説明

糸巻取機

【課題】糸の異常な走行状態を検出することが可能な糸巻取機を提供する。
【解決手段】自動ワインダは、パッケージ駆動モータ41と、周速検出部51と、糸速度センサ60と、ユニット制御部50と、を備える。パッケージ駆動モータ41は、糸20が巻き取られる巻取ボビン22を回転駆動する。周速検出部51は、パッケージ回転センサ43が検出した巻取ボビン22の回転数と、角度センサ44からの信号に基づき求められたパッケージ30の径と、に基づき、パッケージ30の周速を検出する。糸速度センサ60は、糸20の走行速度を検出する。ユニット制御部50は、周速検出部51が検出したパッケージ30の周速と糸速度センサ60が検出した糸速度とが予め設定された相関性を有するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機に関する。詳細には、当該糸巻取機において、糸の巻取時に発生する異常を検知する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、巻取管の表面に糸を綾振りながら巻き取り、糸層を形成してパッケージを生成する糸巻取機が知られている。この種の糸巻取機としては、例えば特許文献1が開示する構成の自動ワインダがある。特許文献1は、糸継装置、ヤーントラップ、糸監視器などを備えた自動ワインダを開示する。上記糸監視器(クリアラ)は、糸の状態を監視して欠点や糸切れを検出するためのセンサを備えている。糸の巻取中に糸切れが発生してクリアラが糸を検出しなくなると、当該クリアラが糸切れ検出信号を送信することにより巻取を中断して糸継装置による糸継作業が行われる。
【特許文献1】特開平9−58932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、糸走行方向においてクリアラの下流側にヤーントラップが配置される構成の場合に、当該クリアラの下流で糸切れが発生すると、切れた給糸ボビン側の糸端がヤーントラップに吸われて引き出され、クリアラを通過し続ける状態となることがある。この状態ではクリアラによって糸切れを検出することができず、巻取動作を停止することができない。この状態で巻取管が回転し続けることにより、パッケージ表層の糸が接触ローラとの摩擦によりダメージを受け、不良パッケージが生成されてしまうという問題があった。
【0004】
また、糸の巻取中にテンション変動などの要因によって糸の挙動が不安定になると、パッケージの端面から糸が外れてしまう綾外れが発生する場合がある。この場合、糸は、巻取管の端部や、巻取管を回転可能に支持しているクレードルのベアリングセンタ等に巻き取られるため、綾外れする直前の巻取速度よりも低速で糸が走行し続ける状態となる。このような場合も、従来の糸巻取機では異常を検知するこができず、結果として不良パッケージが生成されてしまっていた。
【0005】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、糸の異常な走行状態を検出することが可能な糸巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、巻取管駆動部と、周速検出部と、糸速度検出部と、制御部と、を備える。前記巻取管駆動部は、糸が巻き取られる巻取管を回転駆動する。前記周速検出部は、前記巻取管に糸を巻き取ったパッケージの周速を検出する。前記糸速度検出部は、糸の走行速度を検出する。前記制御部は、前記周速検出部が検出したパッケージの周速と前記糸速度検出部が検出した糸速度とが予め設定された相関性を有するか否かを判定する。
【0008】
これにより、パッケージの周速に対して期待される速度で糸が走行しているか否かを判定することができる。
【0009】
前記の糸巻取機においては、以下のように構成されていることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、糸綾振装置と、綾振速度検出部と、を備える。前記糸綾振装置は、糸が前記巻取管に巻き取られるときに糸を綾振りする。前記綾振速度検出部は、前記糸綾振装置の綾振速度を検出する。前記制御部は、前記綾振速度検出部が検出した綾振速度を考慮して、前記周速検出部が検出したパッケージの周速と前記糸速度検出部が検出した糸速度とが予め設定された相関性を有するか否かを判定する。
【0010】
これにより、綾振速度を考慮して、パッケージの周速に対して期待される速度で糸が走行しているか否かを判定することができる。このように綾振速度を考慮することにより、特にパッケージの周速が低速である場合の判定精度を向上させることができる。
【0011】
前記の糸巻取機においては、前記制御部は、前記糸速度検出部が検出した糸速度が、前記周速検出部が検出するパッケージの周速との相関性により予め設定された所定の許容範囲を外れている場合に異常と判定することが好ましい。
【0012】
これにより、巻取時における糸の走行速度の異常を検出することができる。従って、例えば糸切れや綾外れによって糸の走行速度に異常がある場合に、当該異常を正確に検出することができる。
【0013】
前記の糸巻取機においては、前記制御部は、前記周速検出部が検出したパッケージの周速が所定の速度以上である場合において、前記糸速度検出部が検出した糸速度が所定の下限値以下であった場合に異常と判定することが好ましい。
【0014】
これにより、パッケージが所定の周速以上で回転している場合に、糸が通常は考えられないほどの低速で走行していることを検出した場合は、異常であると判定することができる。その結果、異常な状態でパッケージが回転を続けることを防止できるので、糸が損傷を受けて品質が低下してしまうことを防止できる。
【0015】
前記の糸巻取機においては、前記制御部は、前記パッケージの周速と前記糸速度との相関性を判定する際に、一方の検出速度と、他方の検出速度に基づいて算出された推算値と、を比較して、前記一方の検出速度と前記推算値との偏差が所定値以上である場合に異常と判定することが好ましい。
【0016】
これにより、例えば、パッケージの周速から期待される糸速度の推算値に対して、実際に検出された糸速度が大きく異なっている場合に、異常であると判定することができる。その結果、異常な状態でパッケージが回転を続けることを防止できるので、糸が損傷を受けて品質が低下してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る糸巻取機としての自動ワインダが備えるワインダユニット101の概略図である。
【0018】
図1に示すワインダユニット101は、給糸ボビン21から解舒される糸20をトラバースさせながら巻取ボビン(巻取管)22に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ30とするものである。本実施形態の自動ワインダ(糸巻取機)は、並べて配置された複数のワインダユニット101と、図略の機台制御装置を備えている。
【0019】
それぞれのワインダユニット101は、巻取ユニット本体16と、ユニット制御部(制御部)50と、を備えている。
【0020】
ユニット制御部50は、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、I/Oポートと、を備えて構成されている。前記ROMには、巻取ユニット本体16の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。また前記I/Oポートには前記機台制御装置が接続されている。以上の構成で、オペレータが機台制御装置を適宜操作することにより複数のワインダユニット101を一括して管理或いは制御することができる。
【0021】
前記巻取ユニット本体16は、給糸ボビン21と接触ローラ29との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置14と、糸速度センサ(糸速度検出部)60と、クリアラ(糸品質測定器)15と、ヤーントラップ61と、を配置した構成となっている。
【0022】
解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21からの糸の解舒を補助するものである。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに対し接触し、当該バルーンに適切なテンションを付与することによって糸の解舒を補助する。規制部材40の近傍には前記給糸ボビン21のチェース部を検出するための図略のセンサが備えられている。このセンサがチェース部の下降を検出すると、それに追従して前記規制部材40を例えばエアシリンダ(図略)によって下降させる制御が行われる。
【0023】
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯36に対して可動の櫛歯37を配置するゲート式のものを用いることができる。可動側の櫛歯37は、櫛歯同士が噛み合わせ状態又は解放状態になるように、例えばロータリ式に構成されたソレノイド38により回動することができる。このテンション付与装置13によって、巻き取られる糸20に一定のテンションを付与し、パッケージ30の品質を高めることができる。なお、テンション付与装置13には、上記ゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
【0024】
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、パッケージ30側の上糸とを糸継ぎするものである。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
【0025】
糸速度センサ60は、紡績糸20の糸速度を非接触で検出する装置である。糸速度センサ60は、糸に糸太さの変動があることを利用して、この糸太さの変動部位の移動速度を検出し、その検出値を出力するように構成されている。具体的には、この糸速度センサ60は、受光素子と光源とを備えた光学式の糸太さ検出部を、糸走行方向に沿って複数備えている。そして、糸走行方向で異なる位置にある糸太さ検出部の出力信号の変化に基づいて、紡績糸20の走行速度を検出する。この糸走行速度の検出信号(糸速度信号)は、ユニット制御部50に入力される。なお、この構成の糸速度センサ60は、ごく低速の糸速度は検出することができないため、糸速度が一定速度以下の場合には上記糸速度信号が出力されない構成となっている。
【0026】
クリアラ15は、糸20の太さを検出するための図略のセンサが配置されたクリアラヘッド49と、このセンサからの糸太さ信号を処理するアナライザ47と、を備えている。クリアラ15は、前記センサからの糸太さ信号を監視することによりスラブ等の糸欠陥を検出するとともに、前記糸太さ信号が検出されない場合には糸切れを検出するように構成されている。前記クリアラヘッド49の近傍には、前記クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が設けられている。
【0027】
ヤーントラップ61は糸走行経路に開口端を近接させたチューブ状の部材として構成され、他端は負圧源に接続されている。この構成により前記開口端に吸引力を発生させ、走行中の糸20に付着した糸屑や風綿などのゴミを吸引除去することができる。また、巻取中に糸切れ又は糸切断が発生した場合には、糸端を吸引保持することができる。
【0028】
前記スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸案内パイプ25と、パッケージ30側の上糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。また、下糸案内パイプ25と上糸案内パイプ26は、それぞれ軸33,35を中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。
【0029】
また、前記巻取ユニット本体16は、巻取ボビン22を着脱可能に支持するクレードル23と、糸20をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置(糸綾振装置)27と、巻取ボビン22の周面又はパッケージ30の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ29と、を備えている。
【0030】
前記トラバース装置27は、支軸のまわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材28と、このアーム部材28の先端に形成されたフック状のトラバースガイド(綾振糸ガイド)11と、アーム部材28を駆動するトラバースガイド駆動モータ45と、を備える。前記トラバースガイド駆動モータ45はサーボモータにより構成されており、アーム部材28を図1の矢印のように往復旋回運動させることにより、糸20の綾振りを行う構成になっている。
【0031】
また、トラバース装置27には、ロータリエンコーダからなるトラバースガイド位置センサ63が備えられており、アーム部材28の旋回角度を検出して、角度信号をトラバース制御部46へ送信できるように構成されている。
【0032】
接触ローラ29はパッケージ30の表面に接触して従動回転するように構成されており、前記トラバースガイド11によって綾振られる糸20をパッケージ30との間でニップする。これにより糸20が過度に振り回されることを防止し、適切に綾振りを行うことができる。
【0033】
クレードル23は回動軸48を中心に回動可能に構成されており、巻取ボビン22への糸20の巻取に伴う糸層径の増大を、クレードル23が回動することによって吸収できるように構成されている。これにより、パッケージ30が巻き太っても、当該パッケージ30の表面を常に適切に接触ローラ29に接触させた状態で糸20を巻き取ることができる。
【0034】
前記クレードル23の巻取ボビン22を挟持する部分にはパッケージ駆動モータ(巻取管駆動部)41が取り付けられており、このパッケージ駆動モータ41によって巻取ボビン22を回転駆動して糸20を巻き取るように構成されている。パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取ボビン22をクレードル23に支持させたときに、当該巻取ボビン22と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。このパッケージ駆動モータ41の動作はパッケージ駆動制御部42により制御され、このパッケージ駆動制御部42はユニット制御部50からの運転信号を受けて前記パッケージ駆動モータ41の運転/停止を制御するように構成している。
【0035】
また、前記クレードル23にはパッケージ回転センサ43が取り付けられている。このパッケージ回転センサ43は例えばロータリエンコーダとして構成され、巻取ボビン22が所定角度回転するごとに回転パルス信号(パッケージパルス)をユニット制御部50に送信するように構成されている。これにより、巻取ボビン22の回転速度が上がるに応じて前記パッケージパルスが送信される周期が短くなるので、このパッケージパルスの受信間隔を測定することにより巻取ボビン22の回転数を検出することができる。
【0036】
また、前記回動軸48には、クレードル23の角度(回動角)を検知するための角度センサ44が取り付けられている。この角度センサ44は例えばポテンショメータからなり、クレードル23の角度に応じた角度信号をユニット制御部50に対して送信するように構成されている。クレードル23はパッケージ30が巻き太るに従って角度が変化するので、クレードル23の回動角を前記角度センサ44によって検出することにより、パッケージ30の糸層の径を検知することができる。これにより、トラバース装置27をパッケージ糸層径に応じて制御することで、糸20の綾振りを適切に行うことができる。また、前記角度センサ44で取得された糸層31の径は、ユニット制御部50からパッケージ駆動制御部42へ転送される。
【0037】
トラバース制御部46はユニット制御部50からの指令を受けて、前記トラバースガイド駆動モータ45の駆動を制御するように構成されている。
【0038】
以上の構成で、トラバース制御部46が巻取ボビン22の回転数及び糸層31の径に応じて適切にトラバースガイド駆動モータ45を駆動することによって、トラバースガイド11によってパッケージ30表面に適切に糸20を綾振り、所望の形状のパッケージ30を形成することができる。
【0039】
次に、ユニット制御部50の構成について詳細に説明する。ユニット制御部50は、周速検出部51と、糸速度信号受信部52と、判定部53と、を主に備えている。ユニット制御部50の前記ROMには各種の制御プログラムが記憶されており、このプログラムが実行されることにより、当該ユニット制御部50の備えるCPU等のハードウェアを、前記周速検出部51、糸速度信号受信部52等として動作させることができる。
【0040】
周速検出部51は、パッケージ30の表層の糸がパッケージ30の周方向に移動する速度であるパッケージ30の周速を検出する。具体的には、パッケージ30の周速は、パッケージ回転センサ43から受信したパッケージパルス信号の受信間隔を測定することにより得られる巻取ボビン22の回転数と、角度センサ44からの角度信号に基づいて求めたパッケージ30の径とに基づき求められる。パッケージ回転センサ43から受信したパッケージパルス信号に基づいて求めた巻取ボビン22の回転数をB1[rpm]、角度センサ44からの信号に基づいて求めたパッケージ径をD1とすると、パッケージ30の周速W[m/min]は以下の式で求められる。
W=π×D1×B1
【0041】
糸速度信号受信部52は、糸速度センサ60からの糸速度信号を受信可能に構成されている。
【0042】
判定部53は、前記周速検出部51が算出したパッケージ30の周速に応じて、糸速度信号受信部52が受信する糸速度信号が所定の範囲であるか否かを判定する。
【0043】
次に、図2を参照して、本実施形態における糸速度の異常を検出する構成について説明する。図2は、本実施形態における糸速度異常検出のフローチャートである。
【0044】
まず、図2のフローの開始時点において、パッケージ30の回転は停止状態にあるとする。ワインダユニット101が巻取運転を開始すると(S101)、ユニット制御部50はパッケージ駆動制御部42に信号を送り、停止状態にあるパッケージ30を回転させ、パッケージ30の周速を加速させる(S102)。周速検出部51はパッケージ回転センサ43からの信号を受信してパッケージ30の周速を算出し、この算出結果に基づいて、ユニット制御部50は所定の周速までの加速が完了したか否かの判定を行う(S103)。そして、パッケージ30の周速が前記所定の周速に達するまでS102,S103の処理を繰り返し、パッケージ30の周速の加速を継続する。
【0045】
パッケージ30の周速が所定の周速になったと判定されると、糸速度異常検出ループ(S104〜S105)が実行される。まず、糸速度信号受信部52が糸速度センサ60からの糸速度信号を受信し(S104)、判定部53が、前記糸速度信号が所定の値以下となっていないかを判定する(S105)。
【0046】
即ち、パッケージ30が所定の周速以上の速度で回転しているにもかかわらず糸速度の検出値が期待される速度以下である場合は、糸切れにより給糸ボビン21側の糸端がヤーントラップ61に吸引され低速で引き出され続けている状態や、綾外れなどの異常が発生していると考えられる。この点を考慮して、判定部53は、パッケージ30の周速の加速が終了した後で、糸速度信号受信部52の糸速度信号の受信状況に基づいて糸走行速度の異常を判定するように構成されている。
【0047】
ところで上記で説明したように、糸速度センサ60は糸速度が一定速度以下の場合には糸速度信号が出力されないように構成されている。本実施形態ではこの点を利用して、判定部53は、糸速度信号受信部52が糸速度信号を受信しない場合に糸速度が所定値以下であると判断し、糸走行速度の異常であると判定するように構成されている。
【0048】
糸速度信号が所定の速度以下であると判定部53により判定されると、パッケージ30の周速が正常か否かの判断が行われる(S106)。この判断によって、糸走行速度異常の原因を推定し、オペレータに適切な対応を促すことができる。パッケージ30の周速が正常である場合には、糸切れなどの原因によりパッケージ30に正常に糸20が巻き取られていない状態であると考えられるので、糸切れアラームを発する(S108)。また、パッケージ30の周速が異常である場合には、パッケージ30の回転駆動機構自体の異常により糸速度が低下しているものと考えられるので、パッケージ30の回転異常を検出してオペレータに対応を促す(S108)。そして、上記異常を検出した場合には、パッケージ30へのダメージを防ぐため、巻取運転を停止させる(S109)。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダは、パッケージ駆動モータ41と、周速検出部51と、糸速度センサ60と、ユニット制御部50と、を備える。パッケージ駆動モータ41は、糸20が巻き取られる巻取ボビン22を回転駆動する。周速検出部51は、パッケージ回転センサ43が検出した巻取ボビン22の回転数と、角度センサ44からの信号に基づき求められたパッケージ30の径と、に基づき、パッケージ30の周速を検出する。糸速度センサ60は、糸20の走行速度を検出する。ユニット制御部50は、周速検出部51が検出したパッケージ30の周速と、糸速度センサ60が検出した糸速度と、が予め設定された相関性を有するか否かを判定する。
【0050】
これにより、パッケージ30の周速に対して期待される速度で糸20が走行しているか否かを判定することができる。
【0051】
また、本実施形態の自動ワインダにおいては、ユニット制御部50は、糸速度センサ60が検出した糸速度が、周速検出部51が検出するパッケージ30の周速との相関性により予め設定された所定の許容範囲を外れている場合に異常と判定している。
【0052】
これにより、巻取時における糸20の走行速度の異常を検出することができる。従って、例えば糸切れにより給糸ボビン21側の糸端がヤーントラップ61に吸引され低速で引き出され続けることや綾外れによって糸20の走行速度に異常がある場合に、当該異常を正確に検出することができる。
【0053】
また、本実施形態の自動ワインダにおいては、ユニット制御部50は、周速検出部51が検出したパッケージ30の周速が所定の速度以上である場合において、糸速度センサ60の検出速度が所定の下限値以下であった場合に異常と判定している。
【0054】
これにより、パッケージ30が所定の周速以上で回転している場合に、糸20が通常は考えられないほどの低速で走行していることを検出した場合は、異常であると判定することができる。その結果、異常な状態でパッケージ30が回転を続けることを防止できるので、糸層31の表面の糸が損傷を受けて品質が低下してしまうことを防止できる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態について図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る糸巻取機としての自動ワインダが備えるワインダユニット102の概略図である。図4は、糸速度と綾角の関係を示す模式図である。なお、前記第1実施形態と同一又は類似の構成については同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0056】
この実施形態のユニット制御部50は、周速検出部51と、綾振速度検出部55と、糸速度算出部56と、糸速度信号受信部52と、判定部53とを備えている。
【0057】
周速検出部51は、第1実施形態と同様に、パッケージパルス信号の受信間隔を測定することにより得られる巻取ボビン22の回転数と、角度センサ44からの角度信号に基づいて求めたパッケージ30の径と、に基づいてパッケージ30の周速を算出する。
【0058】
綾振速度検出部55は、綾振速度の算出を行う。綾振速度とは、トラバース装置27がパッケージ30の巻幅の端から端まで糸20を移動させるときの、トラバース幅方向の糸20の速度をいう。前記パッケージ30の周速に応じて前記トラバース速度を適宜調節することにより、パッケージ30表面に糸20を所望の綾角で巻き取り、適切なパッケージ30を形成することができる。綾角θを一定としてパッケージに糸を巻き取る場合、トラバース速度Tは、パッケージ30の周速Wを用いて以下の式で求めることができる。
T=W×tanθ
【0059】
糸速度算出部56は、パッケージ30の周速と前記綾振速度に基づいて、糸20の走行速度の推算値を算出する。即ち、糸20の走行速度は前記パッケージ30の周速で近似することができるが、糸20はパッケージ30の表面を綾角θだけ斜行して巻き取られているため、実際はパッケージ30の周速よりも大きい速度で走行している。この点を考慮して、本実施形態では前記トラバース速度を用いて前記パッケージ30の周速を補正することにより、正確な糸20の走行速度を算出している。糸20の走行速度Yは、前記パッケージ30の周速Wと前記トラバース速度Tを用いて以下の式で算出される。
Y=√(W2+T2
【0060】
判定部53は、前記周速検出部51が算出したパッケージ30の周速に応じて、糸速度信号受信部52が受信する糸速度信号が所定の範囲であるか否かを判定する。
【0061】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態における糸速度異常の検出について説明する。
【0062】
図5のフローが開始されると、巻取運転が開始されるまで待機する(S201)。巻取運転が開始されると、パッケージ30の周速の加速が完了するまで周速を加速させる(S202,S203)。
【0063】
なお、前述のとおり糸速度センサ60は所定速度以下では糸速度信号の出力を行わないため、巻取速度がこの速度以下の場合は糸速度の異常判定を行うことができない。そこで、パッケージ30の周速の加速が完了していない場合は、現在のパッケージ30の周速と所定の速度(所定の下限速度)とが比較される(S204)。パッケージ30の周速が所定の速度以下の場合、後述の糸速度異常検出は行われない。
【0064】
パッケージ30の周速の加速が完了した場合、又は加速の完了には至っていないもののパッケージ30の周速が前記下限速度を上回っている場合は、周速検出部51によるパッケージ30の周速の算出、綾振速度検出部55による綾振速度の算出、及び糸速度算出部56による糸速度の算出が行われる(S205)。更に、糸速度センサ60からの糸速度信号を受信する(S206)。
【0065】
次に、判定部53による糸速度の異常判定が行われる(S207)。具体的に説明すると、まず、第1実施形態と同様に糸速度センサ60から糸速度信号が出力されているか否かが判断され、出力されていない場合には異常と判定される。糸速度信号が出力されていた場合は、当該糸速度信号が、前記糸速度算出部56が算出した糸20の走行速度の推算値に対して所定の範囲内にあるか否かが判断される。
【0066】
例えば糸速度センサ60の下流側で糸切れが発生した時に、給糸ボビン21側の下糸の糸端がヤーントラップ61に吸引されると、その吸引力で糸端が引き出されて走行する場合があるため、糸速度センサ60が速度信号を出力してしまう場合がある。また、巻取中に綾外れが発生した場合にパッケージ30の端面の外側に糸20が巻かれると、正常な速度よりも遅い速度で糸20が巻かれて走行してしまうが、このときも糸速度センサ60から糸速度信号が出力されてしまう。上記のような場合には第1実施形態では異常を検知できない。
【0067】
この点、本実施形態では、検出値と推算値が食い違っていないかを判断することにより異常の有無を判定するように構成されている。即ち、パッケージ30の周速などから算出した推算値と、糸速度センサ60が検出した検出値とが大きく離れていた場合は糸20の走行異常であると考えられる。そこで、判定部53は、糸速度センサ60の検出値と推算値の偏差が所定の値以上であるか否か(言い換えれば、前記推算値に対して検出値が所定の範囲内であるか否か)を判定する。そして、糸速度信号と前記推算値との偏差が所定値以上であった場合には異常と判定する。このように、巻取ボビン22の回転数等から求めたパッケージ30の周速に基づいて算出された推算値と、糸速度センサ60が検出した検出値と、を比較することにより、パッケージ30の周速と糸速度センサ60が検出した検出値との相関性を判定することができる。
【0068】
また、上記のように糸20がヤーントラップ61に吸われたり、パッケージ30の端面の外側で巻かれている場合は、糸20の走行速度は比較的低速となる。そのため、パッケージ30の周速が遅いときには、巻取異常のために糸速度が低速となっているのか、或いは正常な速度なのか、を正確に判定するためには、糸速度の推算値を正確に算出する必要がある。この点、本実施形態は綾振速度も考慮して推算値を正確に算出しているので、低速巻取時においても上記の巻取異常を正確に検出することができる。
【0069】
判定部53によって糸速度の異常が検出されると、第1実施形態と同様に、パッケージ30の周速が正常か否かの判断が行われ(S208)、異常の通知(S209又はS210)が行われた後、巻取運転を停止する(S211)。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダは、糸20が巻取ボビン22に巻き取られるときに糸20を綾振りするトラバース装置27と、トラバース装置27の綾振速度を検出する綾振速度検出部55と、を備えている。また、ユニット制御部50は、綾振速度検出部55が検出した綾振速度を考慮して、周速検出部51が検出したパッケージ30の周速と、糸速度センサ60が検出した糸速度と、が予め設定された相関性を有するか否かを判定している。
【0071】
これにより、綾振速度を考慮して、パッケージ30の周速に対して期待される速度で糸20が走行しているか否かを判定することができる。このように綾振速度を考慮することにより、特にパッケージ30の周速が低速である場合の異常判定精度を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態の自動ワインダにおいて、ユニット制御部50は、前記パッケージ30の周速と前記糸速度との相関性を判定する際に、糸速度センサ60による検出値と、周速検出部51が検出したパッケージ30の周速等に基づいて算出された糸速度の推算値と、を比較して、前記検出値と前記推算値との偏差が所定値以上である場合に、異常と判定している。
【0073】
これにより、パッケージ30の周速から期待される糸速度の推算値に対して、実際に検出された糸速度が大きく異なっている場合に異常であると判定することができる。その結果、異常な状態でパッケージ30が回転を続けることを防止できるので、糸20が損傷を受けて品質が低下してしまうことを防止できる。また、パッケージ30の周速に加えて綾振速度を考慮して糸速度推算値を計算しているので、より一層正確な判定を行うことができる。
【0074】
次に、図6を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る糸巻取機としての自動ワインダが備えるワインダユニット103の概略図である。なお、上記第1及び第2実施形態と同一又は類似の構成については同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0075】
本実施形態のワインダユニット103は、前記実施形態のトラバース装置27に代えて、巻取ドラム72を備えている。この巻取ドラム72の外周面には、螺旋状の綾振溝73が形成されている。また、当該巻取ドラム72はモータ71の出力軸に連結されており、このモータ71の作動はモータ駆動制御装置74によって制御されている。
【0076】
パッケージ30は、当該パッケージ30に対向して配置される前記巻取ドラム72が回転駆動することにより、従動回転されるように構成されている。従って、巻取ドラム72は巻取管駆動部であると言うことができる。上記の構成で、綾振溝73に糸20が導入された状態で巻取ドラム72を回転駆動することにより、糸20がパッケージ30表面に適切に綾振られて巻き取ることができる。
【0077】
巻取ドラム72の回転軸にはドラム回転センサ70が取り付けられている。このドラム回転センサ70は前記実施形態のパッケージ回転センサ43と同様にロータリエンコーダとして構成され、巻取ドラム72が所定角度回転するごとに回転パルス信号(ドラムパルス)をユニット制御部50に送信するように構成されている。このドラムパルスを検出することにより巻取ボビン22の回転数を検出することができる。
【0078】
また、巻取ドラム式のワインダにおいては、ドラム定数(前記ドラムパルスあたりに巻き取られる糸長)が予め判っている。従って、前記ドラムパルスに基づいて(即ち、巻取ドラム72の回転数に基づいて)巻き取られた糸長を計算し、これからパッケージ径を求めることができる。もっとも、前記第2実施形態と同様に角度センサ44からの信号に基づいてパッケージ径D1を求めることもできる。
【0079】
周速検出部51は、前記ドラム回転センサ70が検出したドラムパルスに基づいて求めた巻取ボビン22の回転数と、同じくドラムパルスに基づいて求めたパッケージ径と、に基づいてパッケージ30の周速を算出する。
【0080】
また、当該巻取ドラム72は予め綾角が判っているので、この綾角から綾振速度を求めることができる。従って、上記第2実施形態と同様、巻取ドラム式の自動ワインダにおいても綾振速度を考慮して正確な糸速度を算出し、正確な糸速度異常を検出するための構成を実現することができる。
【0081】
ただし、巻取ドラム式の自動ワインダにおいては上記のようにドラム定数がわかっているので、時間あたりに巻き取られる糸長(即ち糸速度)を、ドラムパルスに基づくドラム回転速度から直接推算することができる。この場合は、綾振速度検出部55を省略することができる。
【0082】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0083】
第1実施形態のS103においては、パッケージ30の周速を算出し、このパッケージ30の周速が所定の速度に達したか否かの判断を行っている。この構成に代えて、パッケージ30の周速の算出を行わず、巻取ボビン22の回転数が所定の回転数に達したか否かの判断を行い、この結果に基づいて糸速度異常検出(S104、S105)を行っても良い。また、第2実施形態についても同様に、S202及びS204の判断の少なくとも何れか一方を、巻取ボビン22の回転数と所定の回転数とを比較することによって行っても良い。
【0084】
第1及び第2実施形態において、パッケージ30の周速の検出は、パッケージ回転センサ43からのパッケージパルス信号の受信間隔を測定することにより得られる巻取ボビン22の回転数と、角度センサ44からの角度信号に基づいて求めたパッケージ30の径と、に基づいて求める構成とした。これに代えて、パッケージ駆動モータ41のモータ軸にモータ回転センサを取り付け、当該モータ回転センサによってパッケージ駆動モータ41の回転数を検出することで、パッケージ30の周速を検出する構成に変更することができる。また、第3実施形態においては、巻取ボビン22の回転数をドラム回転センサ70によって検出する構成とした。これに代えて、モータ71の出力軸にモータ回転センサを取り付け、当該モータ回転センサによってモータ71の回転数を検出することで、巻取ボビン22の回転数を検出する構成に変更することができる。
【0085】
上記第1及び第2実施形態のワインダユニット101,102はアーム式のトラバース装置27によって糸をトラバースしているが、この構成に代えて、トラバースガイドを直線状にベルトで往復駆動する方式のトラバース装置を用いることができる。
【0086】
上記第1及び第2実施形態のワインダユニット101,102はパッケージ30を直接駆動する構成としたが、この構成に代えて、接触ローラ29を駆動することによりパッケージ30を従動駆動する構成に変更することができる。
【0087】
糸速度センサ60は、糸速度を検出できる装置であれば、光学式のセンサに限定されない。例えば、静電容量式のセンサを使用することができる。
【0088】
上記実施形態では糸速度センサとクリアラは別体として構成されているが、一体形成されていても良い。
【0089】
上記実施形態では糸速度センサの検出限界以下の速度を異常速度とみなしたが、この構成に代えて、例えばオペレータが検出下限値を適宜設定/変更できるように構成することができる。
【0090】
上記実施形態ではパッケージの周速に基づいて糸速度を推算したが、これとは逆に、糸速度センサが検出した糸速度に基づいてパッケージの周速を推算し、この推算値をドラムパルスに基づいて検出されたパッケージの周速と比較する構成としても良い。
【0091】
また、本発明は自動ワインダに限らず、糸速度センサを備えた構成の糸巻取機であれば、例えば精紡機などの他の糸巻取機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動ワインダが備えるワインダユニットの概略図。
【図2】第1実施形態における糸速度異常検出処理のフローチャート。
【図3】第2実施形態に係る自動ワインダが備えるワインダユニットの概略図。
【図4】綾角と糸速度の関係を説明する図。
【図5】第2実施形態における糸速度異常検出処理のフローチャート。
【図6】第3実施形態に係る自動ワインダが備えるワインダユニットの概略図。
【符号の説明】
【0093】
101,102,103 ワインダユニット
22 巻取ボビン(巻取管)
27 トラバース装置(糸綾振装置)
30 パッケージ
41 パッケージ駆動モータ(巻取管駆動部)
43 パッケージ回転センサ
50 ユニット制御部(制御部)
51 周速検出部
60 糸速度センサ(糸速度検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が巻き取られる巻取管を回転駆動するための巻取管駆動部と、
前記巻取管に糸を巻き取ったパッケージの周速を検出する周速検出部と、
糸の走行速度を検出する糸速度検出部と、
前記周速検出部が検出したパッケージの周速と前記糸速度検出部が検出した糸速度とが予め設定された相関性を有するか否かを判定する制御部と、
を備えたことを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機であって、
糸が前記巻取管に巻き取られるときに糸を綾振りする糸綾振装置と、
前記糸綾振装置の綾振速度を検出する綾振速度検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記綾振速度検出部が検出した綾振速度を考慮して、前記周速検出部が検出したパッケージの周速と前記糸速度検出部が検出した糸速度とが予め設定された相関性を有するか否かを判定することを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記糸速度検出部が検出した糸速度が、前記周速検出部が検出するパッケージの周速との相関性により予め設定された所定の許容範囲を外れている場合に異常と判定することを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
請求項3に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記周速検出部が検出したパッケージの周速が所定の速度以上である場合において、前記糸速度検出部が検出した糸速度が所定の下限値以下であった場合に異常と判定することを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記パッケージの周速と前記糸速度との相関性を判定する際に、一方の検出速度と、他方の検出速度に基づいて算出された推算値と、を比較して、前記一方の検出速度と前記推算値との偏差が所定値以上である場合に異常と判定することを特徴とする糸巻取機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−42904(P2010−42904A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208023(P2008−208023)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】