説明

糸巻取装置

【課題】パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性をなくし、コストを低減すること。
【解決手段】パッケージ83を巻き取る巻取部200と、パッケージ83の駆動に対して独立して駆動され、パッケージ83に巻き取られる糸Yをトラバースするトラバースガイド17と、トラバースガイド17のトラバース幅の中央部に設けられ、糸Yの有無を検出するトラバース検出部70と、を備えた糸巻取装置100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸をパッケージとして巻き取る糸巻取装置の技術に関する。より詳細には糸巻取装置のトラバース不良を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
糸巻取装置においては、糸のトラバース不良によって形状や解舒性の悪い不良パッケージが形成されるという問題がある。従来の糸巻取装置においても、糸のトラバース不良を検出するトラバース検出部が設けられている。例えば、ドラムトラバース式の糸巻取装置では、パッケージの中央部に対して左右いずれか一方の端部のみにトラバース検出部を設けている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ドラムトラバース式の糸巻取装置でのトラバース不良は、ほとんどが(1)ドラムの両端部まで糸がトラバースされず、ドラムの中央部のみでトラバースされるトラバース不良、(2)トラバース溝のクロス部分(分岐部分)で糸渡りが悪く、ドラムの一方の端部にまでは糸がトラバースされず途中で折り返すトラバース不良、のいずれかである。
【0004】
前記(1)のトラバース不良は、ドラムの両端部まで糸がトラバースされないので、左右いずれか一方の端部のみにトラバース検出部を設けておけば容易に検出できる。前記(2)のトラバース不良は、ドラムの左右いずれかの端部には糸がトラバースされる場合があり、一方の端部のみにトラバース検出部を設けていても、トラバース検出部で糸が検出されてしまう場合がある。しかしながら、前記(2)のトラバース不良の場合は、トラバース周期が正常時のトラバース周期よりも短くなる。このため、左右いずれか一方の端部のみにトラバース検出部を設けておき、検出信号の周期を測定することで、前記(2)のトラバース不良でも検出することができる。
【0005】
上述のドラムトラバース式の糸巻取装置は、パッケージの駆動と糸のトラバースとが連動している糸巻取装置である。一方、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立している糸巻取装置がある。例えば、アームの往復動によりトラバースガイドを作動させるアームトラバース式の糸巻取装置や、ベルトの往復動によりトラバースガイドを作動させるベルトトラバース式の糸巻取装置である。これらの糸巻取装置では、パッケージの中央部に対して左右いずれか一方の端部にトラバース検出部を設けても、糸のトラバース不良を検出することはできない。
【0006】
つまり、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置では、トラバースガイドを独立して作動させることにより糸をトラバースしている。このような糸巻取装置では、トラバースガイドへの糸の導入ミスや、糸がトラバースガイドから外れることでトラバース不良が発生する。糸がトラバースガイドに掛かっていない場合、トラバースガイドの外側やアームによって糸が右側だけあるいは左側だけに向けて一定の周期(正常なトラバース周期)で叩かれる状態となる。これはパッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置に特有のトラバース不良であり、トラバース不良の大部分を占めている。
【0007】
このようなトラバース不良の場合、パッケージの左右いずれか一方の端部には糸はトラバースされないが、他方の端部には正常なトラバース周期で糸がトラバースされてしまう。このため、パッケージの中央部に対して左右いずれか一方の端部にトラバース検出部を設けて、検出信号の周期を測定してもトラバース不良を検出することはできない。従って、これらの糸巻取装置では、パッケージの中央部に対して左右両端部にトラバース検出部を設ける必要がある。
【0008】
しかしながら、パッケージの中央部に対して左右両端部にトラバース検出部を設けると、トラバース検出部を複数設けることとなり、コストが増大するという問題がある。また、アームトラバース式の糸巻取装置や、ベルトトラバース式の糸巻取装置では、トラバース幅を変更することができ、種々の幅のパッケージを形成することが可能である。ところがパッケージの中央部に対して左右両端部にトラバース検出部を設けた場合、トラバース幅を変更すると糸を検出できなくなるため、トラバース幅の変更に応じてトラバース検出部の位置を調整しなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−17773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものである。第1の目的は、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性をなくし、コストを低減することである。第2の目的は、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部の位置調整の必要性をなくすことである。第3の目的は、トラバース不良の状態でパッケージの巻き取りが継続されることを回避し、不良パッケージが形成されることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、第1の発明は、糸巻取装置であって、巻取部と、トラバースガイドと、トラバース検出部とを備える。巻取部はパッケージを巻き取る。トラバースガイドは前記パッケージの駆動に対して独立して駆動され、前記パッケージに巻き取られる糸をトラバースする。トラバース検出部は前記トラバースガイドのトラバース幅の中央部に設けられ、前記糸の有無を検出する。
【0013】
第2の発明は、第1の発明であって、前記トラバースガイドのトラバース幅の中央部は、前記トラバース幅の1/3の幅を有する領域であり、前記トラバース検出部は、前記領域内に設けられている。
【0014】
第3の発明は、糸巻取装置であって、巻取部と、トラバースガイドと、トラバース検出部とを備える。巻取部はパッケージを巻き取る。トラバースガイドは前記パッケージの駆動に対して独立して駆動され、前記パッケージに巻き取られる糸をトラバースする。トラバース検出部は前記パッケージ幅の中央部に設けられ、前記糸の有無を検出する。
【0015】
第4の発明は、第3の発明であって、前記パッケージ幅の中央部は、前記パッケージ幅の1/3の幅を有する領域であり、前記トラバース検出部は、前記領域内に設けられている。
【0016】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明であって、糸巻取装置は、給糸部と、糸継装置と、糸端捕捉部と、制御部とを備える。給糸部は前記パッケージに巻き取られる糸を供給する。糸継装置は前記パッケージ側の糸端と前記給糸部側の糸端とを継ぐ糸継動作を行う。糸端捕捉部は前記パッケージ側の糸端を捕捉する捕捉動作を行う。制御部は前記糸端捕捉部による捕捉動作と前記糸継装置による糸継動作を行い、前記トラバースガイドのトラバースを開始した後、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記トラバースガイドのトラバースを停止する。
【0017】
第6の発明は、第5の発明であって、糸巻取装置は、前記糸を切断する切断装置を更に備える。前記糸端捕捉部による捕捉動作と前記糸継装置による糸継動作を行い、前記トラバースガイドのトラバースを開始した後、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記制御部は、前記切断装置に前記糸を切断させる。
【0018】
第7の発明は、第6の発明であって、前記トラバースガイドのトラバースを停止させた後、前記制御部は、前記糸端捕捉部に捕捉動作を再度行わせる。
【0019】
第8の発明は、第5から第7のいずれかの発明であって、前記巻取部と前記トラバースガイドの連続運転中に、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記制御部は、前記巻取部と前記トラバースガイドの運転を停止する。
【0020】
第9の発明は、第6又は第7の発明であって、前記巻取部と前記トラバースガイドの連続運転中に、前記切断装置が前記糸を切断した場合、前記制御部は、前記巻取部と前記トラバースガイドの運転を停止する。
【0021】
第10の発明は、第1から第9のいずれかの発明であって、糸巻取装置は、主案内プレートと、補助案内プレートとを更に備える。主案内プレートは前記パッケージの近傍に設けられ、前記糸をトラバース方向に案内する。補助案内プレートは前記糸端捕捉部による捕捉動作時に前記糸を前記主案内プレート上へ案内する。前記トラバース検出部は、前記主案内プレートと前記補助案内プレートとの間を通過する前記糸を検出する。
【0022】
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明であって、前記トラバース検出部は、反射式のセンサである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
第1の発明によれば、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバースガイドのトラバース幅の中央部にトラバース検出部を設けた。このため、トラバース検出部を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。これは、糸がトラバースガイドに係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸はトラバースガイドによってパッケージの一方の端部に向けて連続的に叩かれるためである。つまりトラバースガイドによって短い周期(トラバース周期)で糸が叩かれるため、糸はトラバースガイドのトラバース幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされなくなる。このため、トラバース不良が発生するとトラバース幅の中央部に設けたトラバース検出部が糸を検出しなくなる。これによりトラバース不良を検出することができる。よって、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部の位置調整を行う必要がない。
【0025】
第2の発明によれば、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部を設けたため、トラバース検出部を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。つまり、糸がトラバースガイドに係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸はトラバースガイドに叩かれ、トラバース幅の中央部にトラバースされなくなる。しかしながら、トラバース不良により糸がトラバースされなくなる領域は、完全な中央だけではない。糸がトラバースされなくなる領域は、完全な中央を含んだ、トラバース幅の1/3の幅を有する領域である。このため、トラバース幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部を設けることにより、トラバース不良を検出できる。よって、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部の位置調整を行う必要がない。
【0026】
第3の発明によれば、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、パッケージ幅の中央部にトラバース検出部を設けた。このため、トラバース検出部を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。つまり、糸がトラバースガイドに係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、トラバースガイドによって短い周期(トラバース周期)で糸が叩かれるため、糸はパッケージ幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされなくなる。このため、トラバース不良が発生するとパッケージ幅の中央部に設けたトラバース検出部が糸を検出しなくなる。これによりトラバース不良を検出することができる。よって、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部の位置調整を行う必要がない。
【0027】
第4の発明によれば、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、パッケージ幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部を設けたため、トラバース検出部を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。つまり、糸がトラバースガイドに係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸はトラバースガイドに叩かれ、パッケージ幅の中央部にトラバースされなくなる。しかしながら、トラバース不良により糸がトラバースされなくなる領域は、完全な中央だけではない。糸がトラバースされなくなる領域は、完全な中央を含んだ、パッケージ幅の1/3の幅を有する領域である。このため、パッケージ幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部を設けることにより、トラバース不良を検出できる。よって、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、パッケージの駆動と糸のトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部の位置調整を行う必要がない。
【0028】
第5の発明によれば、糸端捕捉部による捕捉動作と糸継装置による糸継動作を行い、トラバースガイドのトラバースを開始した後、トラバース検出部により糸が無いことが検出された場合、トラバースガイドはトラバースを停止する。このため、糸継動作後に糸をトラバースできていない状態で、巻取動作が継続されることを回避できる。よって、不良パッケージが形成されることを防止できる。
【0029】
第6の発明によれば、糸端捕捉部による捕捉動作と糸継装置による糸継動作を行い、トラバースガイドのトラバースを開始した後、トラバース検出部により糸が無いことが検出された場合、切断装置は糸を切断する。このため、糸継動作後に糸をトラバースできていない状態であれば、即座に糸を切断し、巻取動作が継続されることを回避できる。よって、不良パッケージが形成されることを防止できる。また、次の糸捕捉動作を行う前にパッケージ側に糸端が形成されているので、糸捕捉装置による次の糸端の捕捉の成功率が向上する。
【0030】
第7の発明によれば、トラバースガイドのトラバースを停止させた後、糸端捕捉部は切断装置で切断したパッケージ側の糸端の捕捉動作を再度行う。糸端の捕捉動作を再度行うことにより、糸巻取装置の生産性を向上させることができる。
【0031】
第8の発明によれば、巻取部とトラバースガイドの連続運転中に、トラバース検出部により糸が無いことが検出された場合、巻取部とトラバースガイドは運転を停止する。トラバースガイドにより糸がトラバースされていない状態でパッケージの巻き取りが継続されることが回避できる。
【0032】
第9の発明によれば、巻取部とトラバースガイドの連続運転中に、切断装置により糸が切断された場合、巻取部とトラバースガイドは運転を停止する。糸が切断されている状態でパッケージの巻き取りが継続されることが回避できる。
【0033】
第10の発明によれば、トラバース検出部は、主案内プレートと補助案内プレートとの間を通過する糸を検出する。主案内プレートと補助案内プレートにより案内される糸の有無をトラバース検出部で検出するため、検出精度が向上する。
【0034】
第11の発明によれば、トラバース検出部として反射式のセンサを用いる。透過型のセンサでは、トラバース検出部が大型化するが、反射式のセンサであればトラバース検出部の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1に係る糸巻取装置100を示す正面簡略図及びブロック図。
【図2】巻取部200及び案内プレート61の正面図。
【図3】巻取部200及び案内プレート61の側面図。
【図4】巻取部200及び案内プレート61の平面図。
【図5】糸巻取装置100の立ち上がり運転の動作の流れを示す図。
【図6】糸巻取装置100の連続巻き取り運転の動作の流れを示す図。
【図7】本発明の実施例2に係る巻取部200を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0037】
本発明の実施例1に係る糸巻取装置100について、図1から図6を用いて説明する。
【0038】
本実施例の糸巻取装置100は、図1に示すように、給糸ボビン81の糸Yをトラバース装置12でトラバース(綾振り)させながら巻取チューブ82上に糸層を形成し、パッケージ83を形成する糸巻取装置である。糸Yの走行方向は、給糸ボビン81からパッケージ83に向かう方向である。図1に示す糸巻取装置100は1台であるが、このような糸巻取装置100を複数台列設することで、自動ワインダが構成される。
【0039】
本明細書では、巻取チューブ82及びパッケージ83を総称して巻取ボビンBとする。すなわち、糸層が形成されていない巻取ボビンBが巻取チューブ82であり、糸層が形成された巻取ボビンBがパッケージ83である。
【0040】
まず糸巻取装置100の概略について説明する。図1に示すように、糸巻取装置100は、巻取部200、トラバース装置12、案内プレート61、給糸部300を備えている。
【0041】
巻取部200は、糸Yをパッケージ83に巻き取る部分であり、クレードル13と接触ローラ14を備えている。クレードル13には、ベアリング(図示せず)、巻取ボビン駆動モータ18、巻取ボビン回転速度センサ32、巻取ボビン径センサ33が設けられている。ベアリングは巻取ボビンBを着脱可能であり、巻取ボビンBの両端を回転自在に把持する。クレードル13は揺動軸15を中心に揺動自在である。巻取ボビンBに糸Yが巻取られることで巻取ボビンBの径が増大すると、クレードル13が揺動する。これによって巻取ボビンBの周面と接触ローラ14との適度な接触が保たれる。
【0042】
巻取ボビン駆動モータ18は、巻取ボビンBを駆動させる。巻取ボビン駆動モータ18の駆動軸は、巻取ボビンBをクレードル13のベアリングに把持させたときに、巻取ボビンBと相対回転不能に連結され(いわゆるダイレクトドライブ方式)、巻取ボビン駆動モータ18により巻取ボビンBを積極的に回転駆動して糸Yを巻き取る。接触ローラ14は、巻取ボビンBの周面に接触して従動回転する。
【0043】
巻取ボビン回転速度センサ32は、巻取ボビンBの回転数を検出する。巻取ボビン径センサ33は、巻取ボビンBの径を検出する。巻取ボビン径センサ33はロータリエンコーダ又はレゾルバ等で構成され、クレードル13の揺動角を検出することで巻取ボビンBの径を検出する。
【0044】
トラバース装置12は、巻取ボビンB(パッケージ83)の近傍に設けられる。トラバース装置12によって、糸Yがトラバース(綾振り)されながら巻取ボビンBに巻き取られる。トラバース装置12は、アーム部材16、トラバースガイド17、トラバースガイド駆動モータ19を備えている。トラバースガイド17は、糸Yと係合して糸Yをトラバースするフック状の部材である。トラバースガイド17は、揺動自在に構成したアーム部材16の先端に設けられている。トラバースガイド駆動モータ19は、アーム部材16を図1の矢印のように巻取ボビンBの巻取幅の方向、つまり巻取ボビンBの第1の端部(図示左側の端部)と第2の端部(図示右側の端部)の両端を往復するように駆動させることでトラバースガイド17を往復移動させる。本実施例ではトラバースガイド駆動モータ19としてサーボモータを用いているが、ステップモータ等を用いてもよい。
【0045】
以下では、トラバースガイド17によって糸Yがトラバースされる幅を「トラバース幅」という。トラバース幅はトラバースガイド駆動モータ19が回動する角度を増減することで変更することができる。また、糸Yがトラバースされる方向、つまり巻取ボビンBの第1の端部から第2の端部に向かう方向、及び巻取ボビンBの第2の端部から第1の端部に向かう方向を「トラバース方向」という。
【0046】
図2、図3、図4に示すように、案内プレート61は、トラバース装置12の近傍に設けられる。案内プレート61は、トラバースガイド17に対して、糸Yの走行方向の上流側に配置される。案内プレート61は、主案内プレート62、第1補助案内プレート63、第2補助案内プレート64とを有している。主案内プレート62は、糸Yをトラバース方向に案内する部材であり、トラバースガイド17に近接する位置に配置されている。主案内プレート62は、糸Yを案内する縁部が円弧状に形成されている。
【0047】
第1補助案内プレート63と第2補助案内プレート64は、後述する上糸捕捉案内部27により糸端の捕捉動作が行われる際に、糸Yを主案内プレート62上へ案内する部材である。第1補助案内プレート63は、主案内プレート62の第1の端部(図2において図示左側の端部)から中央部に向けて形成されている。図4に示すように、第1補助案内プレート63は、主案内プレート62との間に糸Yがトラバース方向に通過する間隔を形成している。第1補助案内プレート63の糸Yを案内する縁部は、主案内プレート62の第1の端部側から中央部に向けて低くなるように形成され、縁部に当接した糸Yに張力が加わると、糸Yが縁部に沿って滑り、主案内プレート62の中央部に寄るようになっている。
【0048】
第2補助案内プレート64は、主案内プレート62の第2の端部(図2において図示右側の端部)から中央部に向けて形成されている。図4に示すように、第2補助案内プレート64も、主案内プレート62との間に糸Yがトラバース方向に通過する間隔を形成している。また、第2補助案内プレート64の先端部と第1補助案内プレート63の先端部は、糸Yが通過する間隔を空けて重なっている。第2補助案内プレート64の糸Yを案内する縁部は、主案内プレート62の第2の端部側から中央部に向けて低くなるように形成され、縁部に当接した糸Yに張力が加わると、糸Yが縁部に沿って滑り、主案内プレート62の中央部に寄るようになっている。案内プレート61の下方には、トラバース装置12によって、トラバース(綾振り)される糸Yの綾振支点となるガイド65が設けられている。
【0049】
案内プレート61には、トラバース検出部70が設けられる。トラバース検出部70は、案内プレート61に案内される糸Yの存在の有無を検出する。具体的には、トラバース検出部70は、主案内プレート62と第1補助案内プレート63との間を通過する糸Yの有無を検出する。主案内プレート62には、トラバース幅の中心線上に透孔(図示せず)が形成されている。この透孔を通してトラバース検出部70は、トラバースガイド17のトラバース幅の中央部において、主案内プレート62と第1補助案内プレート63との間を通過する糸Yの有無を検出する。
【0050】
トラバース検出部70は、反射式のセンサである。トラバース検出部70は、物体に対してパルス状の光を照射する光源部と、物体からの反射光を受光する受光部とを備えている。光源部と受光部は並列して配置される。反射式のセンサは、反射光の強度の変化により物体の有無を検出する。本実施例のトラバース検出部70は、主案内プレート62と第1補助案内プレート63との間に向けられているため、光源部からのパルス状の光の大部分は、第1補助案内プレート63に反射する。受光部に受光される光の大部分は、第1補助案内プレート63に反射した光である。受光部に受光された光の強度に応じたパルス状の検出信号が、後述するユニット制御部41に送信される。
【0051】
糸Yが正常にトラバースされている状態では、糸Yは、主案内プレート62と第1補助案内プレート63及び第2補助案内プレート64の間をトラバースされる。糸Yがトラバースされ、トラバース検出部70の前を横切ると、糸Yに反射した光が受光部に受光され、受光部に受光される光の強度に変化が生じる。この光の強度の変化に応じたパルス状の検出信号が、後述するユニット制御部41に送信される。トラバース検出部70は、検出信号の強度の変化により糸Yの有無を検出する。ユニット制御部41では、トラバース検出部70からの検出信号の強度に変化があれば、糸Yが正常にトラバースされていると判断する。
【0052】
本実施例ではトラバース検出部70として反射式のセンサを用いたが、透過式のセンサを用いることもできる。透過式のセンサは、パルス状の光を照射する光源部と、光源部に対向し光源部からの光を直接受光する受光部とを備えている。光源部と受光部との間に糸Yが存在すると、受光部に受光される光の強度に変化が生じる。この光の強度の変化に応じたパルス状の検出信号に基づいて、糸Yの有無を検出する。
【0053】
しかしながら、透過式のセンサは光源部と受光部とを対向させる必要があるため、光源部と受光部を支持する略U字状の支持部材等が必要となる。本実施例では、トラバース幅の中央部にトラバース検出部70を配置するため、透過式のセンサでは、トラバース検出部70を小型化しにくいという問題がある。このため、トラバース検出部70としては、反射式のセンサを用いることが好ましい。
【0054】
また、本実施例で用いた反射式のセンサは、一般に外部からの光が外乱となって誤動作が発生する場合がある。しかしながら、本実施例のトラバース検出部70は、主案内プレート62と第1補助案内プレート63との間に向けられている。このため、主案内プレート62と第1補助案内プレート63が外部からの光を遮断することとなり、外乱による誤動作が少ないという利点もある。この点においても、トラバース検出部70として、反射式のセンサを用いることが好ましい。
【0055】
図1に示すように、給糸部300は、巻取ボビンBに巻き取られる糸Yを供給する部分である。給糸部300には給糸ボビン81が装着される。給糸部300と接触ローラ14との間の糸走行経路中には、給糸部300側から順に、テンション付与装置20、糸継装置21、切断装置としてのヤーンクリアラ22が設けられている。テンション付与装置20は糸Yに適切なテンションを付与するものである。ヤーンクリアラ22は、検出部の部分を通過する糸Yの太さをセンサで検出し、センサからの信号をアナライザ23で分析することで、スラブ等の糸欠点を検出する。ヤーンクリアラ22には、糸欠点を検出したために糸Yを切断(クリアラーカット)したり、糸欠点ではないが、トラバース不良により巻き取りを中断するために糸Yを切断(アディショナルカット)するためのカッタが付設されている。糸継装置21は、ヤーンクリアラ22による糸切断時や給糸ボビン81からの糸Yの糸切れ時に、給糸ボビン81側の下糸と、巻取ボビンB側の上糸との糸端を糸継ぎする糸継動作を行う。
【0056】
糸継装置21の下側には、給糸ボビン81側の下糸を吸引捕捉して糸継装置21に案内する下糸捕捉案内部24が設けられる。糸継装置21の上側には、巻取ボビンB側の上糸を吸引捕捉して糸継装置21に案内する、糸端捕捉部としての上糸捕捉案内部27が設けられる。下糸捕捉案内部24はパイプ状に構成されており、軸25を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側には吸引口26を設けている。上糸捕捉案内部27もパイプ状に構成されており、軸28を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側にマウス29を設けている。下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27には負圧源が接続されており、先端の吸引口26及びマウス29に吸引作用を生じさせる。
【0057】
次に、糸巻取装置100の動作を制御するための構成について説明する。本実施例では図1に示すように、巻取ボビンBを駆動する巻取ボビン駆動モータ18と、トラバースガイド17を駆動するトラバースガイド駆動モータ19とは、別個独立に設けられており、巻取ボビンBとトラバースガイド17とは別個独立に駆動が制御される。糸巻取装置100には、各糸巻取装置100を個別に制御するユニット制御部41が設けられている。ユニット制御部41には、巻取ボビン駆動制御部31と、トラバース制御部34とが接続されている。巻取ボビン駆動制御部31はユニット制御部41からの制御信号に基づいて巻取ボビン駆動モータ18の駆動と停止等を制御する。トラバース制御部34はユニット制御部41からの制御信号に基づいてトラバースガイド駆動モータ19の駆動と停止等を制御する。
【0058】
また、ユニット制御部41には、ヤーンクリアラ22と、糸継装置21と、下糸捕捉案内部24と、糸端捕捉部としての上糸捕捉案内部27が接続されている。ユニット制御部41は、糸欠点を検出したことにより巻き取りを中断する場合や、糸欠点ではないが、トラバース不良により巻き取りを中断する場合等に糸Yを切断するため、ヤーンクリアラ22による糸切断動作を制御する。ユニット制御部41は、ヤーンクリアラ22による糸切断時や給糸ボビン81からの糸Yの糸切れ時に、給糸ボビン81側の下糸と、巻取ボビンB側の上糸との糸端を糸継ぎする、糸継装置21による糸継動作を制御する。ユニット制御部41は、下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による糸端の捕捉動作と、糸端を糸継装置21に案内する案内動作を制御する。
【0059】
トラバース検出部70からの検出信号は、トラバース制御部34に送信される。トラバース制御部34は、検出信号に基づいて、主案内プレート62と第1補助案内プレート63及び第2補助案内プレート64の間をトラバースされる糸Yの有無を検出する。巻取ボビン回転速度センサ32で検出される巻取ボビンBの回転速度信号は、ユニット制御部41、巻取ボビン駆動制御部31及びトラバース制御部34へ送信される。巻取ボビン径センサ33で検出される巻取ボビンBの径信号は、ユニット制御部41へ送信され、ユニット制御部41から巻取ボビン駆動制御部31及びトラバース制御部34へ転送される。
【0060】
ユニット制御部41は機台制御部42に接続されている。機台制御部42は自動ワインダを構成する複数の糸巻取装置100を統括して制御する。ユニット制御部41、機台制御部42、巻取ボビン駆動制御部31及び、トラバース制御部34は、演算部としてのCPUや、記憶部としてのROM、RAM等を備えている。これらのROMには、CPU等のハードウェアを制御部として動作させる制御ソフトウェアが記憶されている。
【0061】
次に、上記構成の糸巻取装置100の制御について図5、図6に従って説明する。
【0062】
まず、立ち上がり運転について説明する。立ち上がり運転は、空の巻取チューブ82に対して糸Yの巻き取りを開始する場合に行う。あるいは、巻き取りの途中でヤーンクリアラ22による糸切断や給糸ボビン81からの糸Yの糸切れが発生した場合に、巻取ボビンBに対して糸Yの巻き取りを再開する場合に行う。立ち上がり運転では、巻取ボビンBの回転は、停止した状態から後述する連続巻取運転での高速度回転まで加速される。以下では、ヤーンクリアラ22による糸切断が発生した場合を例に挙げて説明する。
【0063】
図1を参照して説明すると、ヤーンクリアラ22による糸切断が発生した場合、給糸ボビン81側の下糸は下糸捕捉案内部24付近にある。巻取ボビンB側の上糸の糸端は、巻取ボビンBに巻き取られている。トラバース装置12のトラバースガイド17は、巻取ボビンBの第2の端部(図示右側の端部)側に移動している。トラバースガイド17が巻取ボビンBの第2の端部側に移動するのは、巻取ボビンB側の上糸を糸継装置21に案内する際に、邪魔にならないようにするためである。また、トラバースを再開させた直後に糸Yがフック状のトラバースガイド17に係合しやすいように、トラバースガイド17の開口部171を糸Yに向けるためである。
【0064】
ユニット制御部41は、下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による捕捉動作を制御して、下糸捕捉案内部24により給糸ボビン81側の下糸を吸引捕捉させ、上糸捕捉案内部27により巻取ボビンB側の上糸を吸引捕捉させる。また、ユニット制御部41は、下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による案内動作を制御して、下糸捕捉案内部24により下糸を糸継装置21に案内させ、上糸捕捉案内部27により上糸を糸継装置21に案内させる。ユニット制御部41は、糸継装置21に上糸と下糸が案内されると、糸継装置21による糸継動作を制御し、給糸ボビン81側の下糸と、巻取ボビンB側の上糸との糸端を糸継ぎさせる。
【0065】
給糸ボビン81側の下糸と巻取ボビンB側の上糸との糸端を糸継ぎが完了した状態では、糸Yは案内プレート61の内側に入っていない状態である。糸Yは、案内プレート61の外側(図2において紙面手前、図4において図示下方)に乗った状態である。糸Yは綾振支点であるガイド65には係合している。
【0066】
次に図5を参照して、ユニット制御部41が立ち上がり運転を開始すると(ステップS101)、巻取ボビンBの回転駆動が開始され、糸Yの巻き取りが開始される。トラバース検出部70は糸Yの検出を開始する(ステップS102)。トラバース装置12はトラバースガイド17の往復移動を開始する。
【0067】
トラバースガイド17は、前述のように、糸継装置21による糸継動作中は巻取ボビンBの第2の端部(図示右側の端部)側に移動している。その位置からトラバースガイド17の往復移動を開始すると、トラバースガイド17は初め図2、図4において、図示左方向に移動する。その後トラバースガイド17は図示右方向、図示左方向に往復移動を繰り返す。
【0068】
トラバースガイド17が図示左方向に移動する場合には、トラバースガイド17は糸Yに当接し、糸Yを図示左方向に移動させる。一方、糸Yは巻取ボビンBに巻き取られていることから張力が加わっている。第1補助案内プレート63の糸Yを案内する縁部は、糸Yに張力が加わると、糸Yが主案内プレート62の中央部に寄るように形成されている。このため、トラバースガイド17が図示左方向に移動するのに対し、糸Yにはそれに抗する力が作用する。これにより、糸Yはトラバースガイド17の開口部171から中に入って係合する。
【0069】
トラバースガイド17に係合した糸Yは、トラバースガイド17が図4において図示左方向に移動することに伴い、第2補助案内プレート64の外側を図4の矢印D1の方向に移動する。この状態では、トラバース検出部70は糸Yを検出しない。
【0070】
トラバースガイド17が次に図4において図示右方向に移動することに伴い、糸Yは張力が加わっているため、第1補助案内プレート63と第2補助案内プレート64の間に入り、図4の矢印D2の方向に移動する。この状態でも、トラバース検出部70は糸Yを検出しない。
【0071】
更にトラバースガイド17が次に図4において図示左方向に移動することに伴い、糸Yは張力が加わっているため、主案内プレート62と第1補助案内プレート63の間に入り、図4の矢印D3の方向に移動する。糸Yがトラバース検出部70の前を通過すると、トラバース検出部70は糸Yを検出する。立ち上がり運転を開始してから所定時間内にトラバース検出部70が糸Yを検出した場合(ステップS103においてYes)は、ユニット制御部41は、トラバース不良は発生せず、立ち上がり運転が成功したものと判断する(ステップS104)。その後、巻取ボビンBの回転数が連続巻き取り運転での回転数に達したら、連続巻き取り運転に移行し(ステップS105)、立ち上がり運転を終了する。
【0072】
以上が立ち上がり運転時においてトラバース不良が発生せず、立ち上がり運転に成功した場合の制御の説明である。続いて、立ち上がり運転時においてトラバース不良が発生し、立ち上がり運転に失敗した場合の制御について説明する。
【0073】
先程と同様に、ユニット制御部41が立ち上がり運転を開始すると(ステップS101)、巻取ボビンBの回転駆動が開始され、糸Yの巻き取りが開始される。トラバース検出部70は糸Yの検出を開始する(ステップS102)。トラバース装置12はトラバースガイド17の往復移動を開始する。
【0074】
トラバースガイド17は、前述のように、糸継装置21による糸継動作中は巻取ボビンBの第2の端部(図示右側の端部)側に移動している。その位置からトラバースガイド17の往復移動を開始すると、トラバースガイド17は初め図2、図3において、図示左方向に移動する。その後トラバースガイド17は図示右方向、図示左方向に往復移動を繰り返す。
【0075】
立ち上がり運転に成功した場合では、トラバースガイド17が図示左方向に移動する場合に、糸Yはトラバースガイド17に係合した。しかしながら、トラバースガイド17が図示右方向、図示左方向に往復移動を繰り返しても、糸Yがトラバースガイド17に係合せず、トラバースガイド17やアーム部材16が糸Yを巻取ボビンBの一方の端部に向けて連続的に叩くだけの場合がある。このようなトラバース不良の場合には、糸Yがトラバース検出部70の前を通過することはない。このため、トラバース検出部70は糸Yを検出しない。
【0076】
立ち上がり運転を開始してから所定時間内に、トラバース検出部70が糸Yを検出しなかった場合(ステップS103においてNo)は、ユニット制御部41は、トラバース不良が発生し、立ち上がり運転は失敗したものと判断する(ステップS106)。そして直ちにトラバースを停止するとともに(ステップS107)、糸Yを切断し(ステップS108)、立ち上がり運転を終了する。
【0077】
立ち上がり運転に失敗し、立ち上がり運転を終了した後、ユニット制御部41は、直ちに下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による捕捉動作を制御して、下糸捕捉案内部24により給糸ボビン81側の下糸を吸引捕捉させ、上糸捕捉案内部27により巻取ボビンB側の上糸を吸引捕捉させる。また、ユニット制御部41は、下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による案内動作を制御して、下糸捕捉案内部24により下糸を糸継装置21に案内させ、上糸捕捉案内部27により上糸を糸継装置21に案内させる。ユニット制御部41は、糸継装置21に上糸と下糸が案内されると、糸継装置21による糸継動作を制御し、給糸ボビン81側の下糸と、巻取ボビンB側の上糸との糸端を糸継ぎさせる。そしてユニット制御部41は、次の立ち上がり運転を開始させる。
【0078】
一方、糸Yがトラバースガイド17に一旦係合した後、糸Yがトラバースガイド17から外れる場合もある。どの位置で糸Yがトラバースガイド17から外れるのかにもよるが、一旦糸Yがトラバース検出部70の前を通過し、トラバース検出部70が糸Yを検出した後に、糸Yがトラバースガイド17から外れる場合もある。
【0079】
この場合、トラバースガイド17やアーム部材16が糸Yを巻取ボビンBの一方の端部に向けて連続的に叩く状態となる。この状態になると、糸Yはトラバースガイド17のトラバース幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされないトラバース不良となる。このトラバース不良が発生すると、トラバース幅の中央部に設けたトラバース検出部70が糸Yを検出しなくなる。
【0080】
所定時間内にトラバース検出部70が糸Yを検出したが、すぐにトラバース検出部70が糸Yを検出しない状態となった場合(ステップS103においてNo)は、ユニット制御部41は、トラバース不良が発生し、立ち上がり運転は失敗したものと判断する(ステップS106)。そして直ちにトラバースを停止するとともに(ステップS107)、糸Yを切断し(ステップS108)、立ち上がり運転を終了する。
【0081】
この後、ユニット制御部41は、先程と同様に直ちに下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による捕捉動作及び案内動作を制御し、糸継装置21による糸継動作を制御し、次の立ち上がり運転を開始させる。
【0082】
トラバース不良が発生しても、そのまま立ち上がり運転を続けることでトラバース不良が解消する場合もある。しかしながら、本実施例では、トラバース不良が発生した場合は即、立ち上がり運転は失敗したものと判断し、直ちにトラバースを停止するとともに、糸Yを切断する。そして糸継動作、及び次の立ち上がり運転に移行する。このように立ち上がり運転に失敗したと判断したら、早期に次の立ち上がり運転に移行することにより、立ち上がり運転成功の確率を高め、糸巻取装置100の生産性を向上させるとともに、パッケージ83の品質の向上を図る。
【0083】
次に図6を参照して、連続巻き取り運転について説明する。連続巻き取り運転は、立ち上がり運転においてトラバース不良が発生せず、立ち上がり運転に成功した場合に、立ち上がり運転に引き続いて行われる。
【0084】
ユニット制御部41が連続巻き取り運転を開始すると(ステップS201)、巻取ボビンBの回転駆動は高速度回転域で一定となり、高速で糸Yの巻き取りが行われる。トラバース検出部70は連続巻き取り運転における糸Yの検出を開始する(ステップS202)。トラバースガイド17は図示右方向、図示左方向に往復移動を繰り返す。糸Yがトラバースガイド17に係合した状態でトラバース検出部70の前を通過すると、トラバース検出部70は糸Yを検出する。連続巻き取り運転中にトラバース検出部70が糸Yを検出している場合(ステップS203においてYes)は、ユニット制御部41は、トラバース不良は発生せず、連続巻き取り運転が正常に行われているものと判断し、連続巻き取り運転を続行する(ステップS204)。
【0085】
ユニット制御部41は、巻取ボビン径センサ33からの検出信号に基づいてクレードル13の揺動角を検出することで巻取ボビンBの径を検出する。巻取ボビンBの径が満巻きの径に達した場合は、パッケージ83が完成したと判断して巻き取りを終了する(ステップS205においてYes)。巻取ボビンBの径が満巻きの径に達していない場合は、パッケージ83が未完成であると判断して巻き取りを継続する(ステップS205においてNo)。トラバース検出部70は連続巻き取り運転における糸Yの検出を繰り返し行う(ステップS203)。
【0086】
以上が連続巻き取り運転時においてトラバース不良が発生せず、パッケージ83の巻き取りに成功した場合の制御の説明である。続いて、連続巻き取り運転時においてトラバース不良が発生した場合の制御について説明する。
【0087】
先程と同様に、ユニット制御部41が連続巻き取り運転を開始すると(ステップS201)、巻取ボビンBの回転駆動は高速度回転域で一定となり、高速で糸Yの巻き取りが行われる。トラバース検出部70は連続巻き取り運転における糸Yの検出を開始する(ステップS202)。トラバースガイド17は図示右方向、図示左方向に往復移動を繰り返す。糸Yがトラバースガイド17に係合した状態でトラバース検出部70の前を通過すると、トラバース検出部70は糸Yを検出する。
【0088】
連続巻き取り運転中に、糸Yの張力変動等により、糸Yがトラバースガイド17から外れる場合がある。糸Yがトラバースガイド17から外れると、トラバースガイド17やアーム部材16が糸Yを巻取ボビンBの一方の端部に向けて連続的に叩く状態となる。この状態になると、糸Yはトラバースガイド17のトラバース幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされないトラバース不良となる。このトラバース不良が発生すると、トラバース幅の中央部に設けたトラバース検出部70が糸Yを検出しなくなる。
【0089】
連続巻き取り運転中にトラバース検出部70が糸Yを検出しなくなった場合(ステップS203においてNo)は、ユニット制御部41は、トラバース不良が発生し、連続巻き取り運転に失敗したものと判断する。ユニット制御部41は、直ちにヤーンクリアラ22により糸Yを切断し、巻取部200とトラバース装置12を停止し、連続巻き取り運転を停止する(ステップS206)。ユニット制御部41は、アラームを表示して管理者に連続巻き取り運転に失敗したことを報知し(ステップS207)、連続巻き取り運転を終了する。
【0090】
連続巻き取り運転中にトラバース不良が発生した場合、連続巻き取り運転を終了するのは、連続巻き取り運転中は、高速で糸Yの巻き取りを行っているためである。高速で糸Yの巻き取りを行っている途中でトラバース不良が発生すると、トラバース不良が発生してから短時間後であっても、大量のトラバース不良の糸Yが巻取ボビンBに巻き取られている。この大量のトラバース不良の糸Yを上糸捕捉案内部27で吸引回収し、再度糸継動作を行って巻取ボビンBの巻き取りを再開するには長時間を要する。これではパッケージ83の生産性が向上しない。このため、連続巻き取り運転中にトラバース不良が発生した場合は、糸継動作に移行せずに連続巻き取り運転を終了する。
【0091】
以上説明した実施例1に係る糸巻取装置100によれば、次のような効果を有する。
【0092】
巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバースガイド17のトラバース幅の中央部にトラバース検出部70を設けた。このため、トラバース検出部70を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。これは、糸Yがトラバースガイド17に係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸Yはトラバースガイド17やアーム部材16等によって巻取ボビンBの一方の端部に向けて連続的に叩かれるためである。つまりトラバースガイド17やアーム部材16等によって短い周期(トラバース周期)で糸Yが叩かれるため、糸Yはトラバースガイド17のトラバース幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされなくなる。このため、トラバース不良が発生するとトラバース幅の中央部に設けたトラバース検出部70が糸Yを検出しなくなる。これによりトラバース不良を検出することができる。よって、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバース検出部70を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部70の位置調整を行う必要がない。
【0093】
下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による捕捉動作と、糸継装置21による糸継動作を行い、トラバースガイド17のトラバースを開始した後、トラバース検出部70により糸Yが無いことが検出された場合、トラバースガイド17はトラバースを停止する。このため、糸継動作後に糸Yをトラバースできていない状態で、巻取動作が継続されることを回避できる。よって、不良パッケージが形成されることを防止できる。
【0094】
下糸捕捉案内部24及び上糸捕捉案内部27による捕捉動作と、糸継装置21による糸継動作を行い、トラバースガイド17のトラバースを開始した後、トラバース検出部70により糸Yが無いことが検出された場合、ヤーンクリアラ22は糸Yを切断する。このため、糸継動作後に糸Yをトラバースできていない状態であれば、即座に糸Yを切断し、巻き取り動作が継続されることを回避できる。よって、不良パッケージが形成されることを防止できる。また、次の糸捕捉動作を行う前に巻取ボビンB側の糸端が形成されているので、上糸捕捉案内部27による次の糸端の捕捉の成功率が向上する。
【0095】
トラバースガイド17のトラバースを停止させた後、上糸捕捉案内部27はヤーンクリアラ22で切断した巻取ボビンB側の糸端の捕捉動作を再度行う。糸端の捕捉動作を再度行うことにより、糸巻取装置100の生産性を向上させることができる。
【0096】
トラバース検出部70は、主案内プレート62と第1補助案内プレート63及び第2補助案内プレート64の間をトラバースされる糸Yを検出する。トラバース検出部70の近くをトラバースされる糸Yを検出するため、検出精度が向上する。
【0097】
トラバース検出部70として反射式のセンサを用いる。透過型のセンサでは、トラバース検出部70が大型化するが、反射式のセンサであればトラバース検出部70の小型化が可能である。
【0098】
連続巻き取り運転中に、トラバース検出部70により糸Yが無いことが検出された場合、巻取部200とトラバース装置12を停止し、連続巻き取り運転を停止する。トラバースガイド17により糸Yがトラバースされていない状態で巻取ボビンBの巻き取りが継続されることが回避できる。
【実施例2】
【0099】
次に本発明の実施例2に係る糸巻取装置100について、図7を用いて説明する。実施例1では、トラバース検出部70をトラバース幅の中心線上に設けた。実施例2では図7に示すように、トラバース幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設ける。トラバース幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設けることで、トラバース検出部70を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。
【0100】
つまり、糸Yがトラバースガイド17に係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸Yはアーム部材16等に叩かれ、トラバース幅の中央部にトラバースされなくなる。しかしながら、トラバース不良により糸Yがトラバースされなくなる領域は、完全な中央だけではない。糸Yがトラバースされなくなる領域は、完全な中央を含んだ、トラバース幅の1/3の幅を有する領域である。このため、トラバース幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設けることにより、トラバース不良を検出できる。
【0101】
この場合、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバース検出部70を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部70の位置調整を行う必要がない。
【0102】
尚、トラバース(綾振り)される糸Yは、ガイド65を綾振支点としている。ガイド65から離れるほど(糸走行方向の下流側にいくほど)糸Yがトラバースされる幅は広くなる。このため、トラバース不良により糸Yがトラバースされなくなる領域も、ガイド65から離れるほど(糸走行方向の下流側にいくほど)広くなる。つまり、図7に示すように、ガイド65から接触ローラ14の領域のうち、接触ローラ14側に近い領域のほうが、トラバース不良が発生した場合に糸Yがトラバースされなくなる領域が広くなる。ガイド65から接触ローラ14の間では、トラバース検出部70は接触ローラ14側の1/3の領域に設けることが好ましく、接触ローラ14側の1/4の領域に設けることがより好ましい。
【0103】
よって、トラバース検出部70は、図7に示すように、トラバース幅の1/3の幅を有する領域であって、かつ、ガイド65から接触ローラ14の間における接触ローラ14側の1/3から1/4の領域に設けることが好ましい。
【実施例3】
【0104】
次に本発明の実施例3に係る糸巻取装置100について説明する。実施例3では、トラバース検出部70を設ける位置をトラバース幅の中心線上ではなく、巻取ボビンB(パッケージ83)の幅の中心線上とする。巻取ボビンB(パッケージ83)幅の中心線上にトラバース検出部70を設けることで、トラバース検出部70を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。
【0105】
つまり、糸Yがトラバースガイド17に係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、アーム部材16等によって短い周期(トラバース周期)で糸Yが叩かれるため、糸Yは巻取ボビンB(パッケージ83)幅の端部付近のみにトラバースされ、中央部にはトラバースされなくなる。このため、トラバース不良が発生すると巻取ボビンB(パッケージ83)幅の中心線上に設けたトラバース検出部70が糸Yを検出しなくなる。これによりトラバース不良を検出することができる。よって、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置において、トラバース検出部70を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部70の位置調整を行う必要がない。
【実施例4】
【0106】
次に本発明の実施例4に係る糸巻取装置100について説明する。実施例3では、トラバース検出部70を巻取ボビンB(パッケージ83)の幅の中心線上に設けた。実施例4では、巻取ボビンB(パッケージ83)の幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設ける。巻取ボビンB(パッケージ83)幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設けることで、トラバース検出部70を複数設けることなくトラバース不良を検出できる。
【0107】
つまり、糸Yがトラバースガイド17に係合していないことによるトラバース不良が発生した場合には、糸Yはアーム部材16等に叩かれ、巻取ボビンB(パッケージ83)幅の中央部にトラバースされなくなる。しかしながら、トラバース不良により糸Yがトラバースされなくなる領域は、完全な中央だけではない。糸Yがトラバースされなくなる領域は、完全な中央を含んだ、巻取ボビンB(パッケージ83)幅の1/3の幅を有する領域である。このため、巻取ボビンB(パッケージ83)幅の1/3の幅を有する領域内にトラバース検出部70を設けることにより、トラバース不良を検出できる。
【0108】
この場合、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバース検出部70を複数設ける必要性がなくなり、コストを低減することができる。また、巻取ボビンBの駆動と糸Yのトラバースとが独立した糸巻取装置100において、トラバース幅を変更する場合でも、トラバース検出部70の位置調整を行う必要がない。
【0109】
尚、トラバース(綾振り)される糸Yは、ガイド65を綾振支点としている。ガイド65から離れるほど(糸走行方向の下流側にいくほど)糸Yがトラバースされる幅は広くなる。このため、トラバース不良により糸Yがトラバースされなくなる領域も、ガイド65から離れるほど(糸走行方向の下流側にいくほど)広くなる。つまり、ガイド65から接触ローラ14の領域のうち、接触ローラ14側に近い領域のほうが、トラバース不良が発生した場合に糸Yがトラバースされなくなる領域が広くなる。ガイド65から接触ローラ14の間では、トラバース検出部70は接触ローラ14側の1/3の領域に設けることが好ましく、接触ローラ14側の1/4の領域に設けることがより好ましい(図7参照。)。
【0110】
よって、トラバース検出部70は、巻取ボビンB(パッケージ83)幅の1/3の幅を有する領域であって、かつ、ガイド65から接触ローラ14の間における接触ローラ14側の1/3から1/4の領域に設けることが好ましい。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、糸巻取装置100の動作を制御するための構成については実施例に限定されず、例えば、巻取ボビン駆動制御部31とトラバース制御部34を、ユニット制御部41に設けてもよい。
【0112】
また、巻取ボビンBの駆動は、巻取ボビン駆動モータ18により直接駆動する構成としたが、巻取ボビンBの表面に駆動ローラを接触させて巻取ボビンBを駆動させるようにしてもよい。接触ローラ14の形状は両端の径が異なるコーン形状であるが、両端の径が同一である円筒形状であってもよい。
【0113】
また、トラバース装置12は、アーム部材16の長手方向が糸巻取装置100の設置方向(上下方向)に対して平行になるように構成したが、アーム部材16の長手方向が糸巻取装置100の設置面に対して垂直になるように構成されていてもよい。また、トラバース装置12は、トラバースガイド駆動モータ19によってアーム部材16を往復駆動させる構成としたが、接触ローラ14の近傍に無端状のタイミングベルトを配置し、このタイミングベルトにトラバースガイド17を取り付けるとともに、タイミングベルトを、例えばパルスモータによって往復駆動する構成としてもよい。
【0114】
上記の実施例では、巻取ボビンBの径は巻取ボビン径センサ33により検出しているが、巻取ボビンBの径を検出できる構成であれば、その他の構成を採用してもよい。例えば、巻取ボビンBに巻き取られた糸Yの量を計測することにより、巻取ボビンBの径を算出してもよい。
【0115】
上記の実施例のステップS103において、糸Yの検出のタイミングを立ち上がり運転が開始されてから所定時間内として説明したが、経過時間に基づく判断ではなく、例えば、トラバースガイド17のトラバース回数に基づいて判断してもよい。
【0116】
上記の実施例では、自動ワインダにトラバース装置12を適用した例を説明したが、本実施例のトラバース装置12は精紡機等の他の糸巻取装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
100 糸巻取装置
200 巻取部
300 給糸部
12 トラバース装置
13 クレードル
14 接触ローラ
15 揺動軸
16 アーム部材
17 トラバースガイド
171 開口部
18 巻取ボビン駆動モータ
19 トラバースガイド駆動モータ
20 テンション付与装置
21 糸継装置
22 ヤーンクリアラ
23 アナライザ
24 下糸捕捉案内部
25 軸
26 吸引口
27 上糸捕捉案内部
28 軸
29 マウス
31 巻取ボビン駆動制御部
32 巻取ボビン回転速度センサ
33 巻取ボビン径センサ
34 トラバース制御部
41 ユニット制御部
42 機台制御部
61 案内プレート
62 主案内プレート
63 第1補助案内プレート
64 第2補助案内プレート
65 ガイド
70 トラバース検出部
81 給糸ボビン
82 巻取チューブ
83 パッケージ
B 巻取ボビン
Y 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージを巻き取る巻取部と、
前記パッケージの駆動に対して独立して駆動され、前記パッケージに巻き取られる糸をトラバースするトラバースガイドと、
前記トラバースガイドのトラバース幅の中央部に設けられ、前記糸の有無を検出するトラバース検出部と、
を備えたことを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取装置であって、
前記トラバースガイドのトラバース幅の中央部は、前記トラバース幅の1/3の幅を有する領域であり、前記トラバース検出部は、前記領域内に設けられていることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項3】
パッケージを巻き取る巻取部と、
前記パッケージの駆動に対して独立して駆動され、前記パッケージに巻き取られる糸をトラバースするトラバースガイドと、
前記パッケージ幅の中央部に設けられ、前記糸の有無を検出するトラバース検出部と、
を備えたことを特徴とする糸巻取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の糸巻取装置であって、
前記パッケージ幅の中央部は、前記パッケージ幅の1/3の幅を有する領域であり、前記トラバース検出部は、前記領域内に設けられていることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の糸巻取装置であって、
前記パッケージに巻き取られる糸を供給する給糸部と、
前記パッケージ側の糸端と前記給糸部側の糸端とを継ぐ糸継動作を行う糸継装置と、
前記パッケージ側の糸端を捕捉する捕捉動作を行う糸端捕捉部と、
前記糸端捕捉部による捕捉動作と前記糸継装置による糸継動作を行い、前記トラバースガイドのトラバースを開始した後、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記トラバースガイドのトラバースを停止する制御部と、を更に備えたことを特徴とする糸巻取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の糸巻取装置であって、
前記糸を切断する切断装置を更に備え、
前記糸端捕捉部による捕捉動作と前記糸継装置による糸継動作を行い、前記トラバースガイドのトラバースを開始した後、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記制御部は、前記切断装置に前記糸を切断させることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の糸巻取装置であって、
前記トラバースガイドのトラバースを停止させた後、前記制御部は、前記糸端捕捉部に捕捉動作を再度行わせることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の糸巻取装置であって、
前記巻取部と前記トラバースガイドの連続運転中に、前記トラバース検出部により前記糸が無いことが検出された場合、前記制御部は、前記巻取部と前記トラバースガイドの運転を停止することを特徴とする糸巻取装置。
【請求項9】
請求項6又は7のいずれか1項に記載の糸巻取装置であって、
前記巻取部と前記トラバースガイドの連続運転中に、前記切断装置が前記糸を切断した場合、前記制御部は、前記巻取部と前記トラバースガイドの運転を停止することを特徴とする糸巻取装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の糸巻取装置であって、
前記パッケージの近傍に設けられ、前記糸をトラバース方向に案内する主案内プレートと、前記糸端捕捉部による捕捉動作時に前記糸を前記主案内プレート上へ案内する補助案内プレートと、を更に備えており、
前記トラバース検出部は、前記主案内プレートと前記補助案内プレートとの間を通過する前記糸を検出することを特徴とする糸巻取装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の糸巻取装置であって、
前記トラバース検出部は、反射式のセンサであることを特徴とする糸巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−153476(P2012−153476A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13382(P2011−13382)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】