説明

系統発生的に関連のある配列のライブラリー

本発明は、系統発生的に関連のある配列のアッセイ法および可能な核酸またはアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する方法を含む。配列はアラインメントを作成するために解析され、系統発生的に関連のある配列のセットが選択される。選択された系統発生的に関連のある配列のアラインメントにおいて各位置を占めている観察される残基またはインデルが同定され、この情報が配列の組み合わせのセットを作成するために用いられ、ここで可能な配列の組み合わせ(核酸またはポリペプチド)であるこのセットは、各位置で同定された観察される残基またはインデルの集合から構成される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般的にはバイオテクノロジー、より具体的には、核酸またはアミノ酸配列のライブラリーを作成する方法およびその結果生じたライブラリーに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
生物学者が利用できる情報の量が増加するにつれて、データ解析および情報の生産的使用は次第により難しくなってくる。配列相同性は、遺伝子の機能の確立から生物体の進化的発生の決定までの多数の仕事における支援のために用いられうる非常に用途の広いツールであった。多数の専門的ツールがパブリックドメインに設立され、相同配列を整列させる機能を果たしている。
【0003】
配列データにおける間断のない増加で、関連した配列間のより多くの相同性が、核酸レベルまたはアミノ酸レベルのいずれにしても、同定されつつある。相同配列の数が増加するにつれて、種間および種内の両方における、より包括的な系統発生的比較が可能になる。
【0004】
伝統的に、配列アラインメントは、保存領域(すなわち、アラインメントのすべてのメンバーが同じヌクレオチドもしくはアミノ酸を有する、核酸またはタンパク質の領域)を同定するために用いられた。より最近では、保存的置換、同一ではないヌクレオチドまたはアミノ酸、が同定され、保存領域の解析に含まれた。
【0005】
伝統的な見解は、保存配列は、保存的置換を含む場合も含まない場合も、強い進化的選択を受けやすい機能を有するということである。この機能は、しばしば、種内および種間の両方で維持されていると推定される。例えば、キナーゼドメインは、多数のタンパク質ファミリーにおいて同定されたが、これらのドメインはリン酸化の機能を保持していると推定される。Doray et al. (2002)を参照されたい。生化学的データが存在しない場合でさえも、タンパク質のような配列は、単に、既知の機能を有する配列との相同性に基づくだけで、特定の機能を有することが推定されうる。Stoilov et al. (2002)を参照。
【0006】
保持された機能の前提が、逆に最も頻繁に適用され、タンパク質ファミリーの新しいメンバーが、単にそれらの配列相同性に基づくだけで他の種から単離される。それゆえに、2つもしくはそれ以上のタンパク質および/または核酸間の相同性の同定は、新しい種から関連した配列を単離する能力を促進する。しかしながら、相同性のみでは、相同配列または領域の正確な生化学的機能を予測しない。
【0007】
保存されたアミノ酸の位置は、一般的に、生物活性の損失または低下なしには変化しえない位置として見られうる。前述に逆らうことなく、保存的置換は、保存された位置になされうる。逆に、保存されていない位置は、伝統的に、タンパク質の生物学的機能において明らかな、または必要な役割を欠いている位置として見られている。結果として、ドメイン機能の同定に向けられたアッセイ法は、保存されていない位置の生物学的役割を伝統的に無視する、または脱線的に扱うだけである。
【0008】
核酸配列における保存の解析は配列の機能に依存する。核酸配列、例えば、転写因子の結合部位として、またはt-RNAおよびリボザイムのような他の類似した機能として働く核酸配列は、ヌクレオチドレベルにおいて保存を示すことが予想される。タンパク質をコードする核酸配列は、保存されていないヌクレオチドがコードされたアミノ酸を変化させない場合、相同的であるとみなされうる。従って、遺伝暗号の縮重のために、コード配列におけるサイレント突然変異または変化が、遺伝子産物への効果を考える場合に無視されうる。
【0009】
配列相同性が複数の配列において保存された位置を同定した場合、かつその保存された位置の機能が未知である場合、配列間の保存の存在は、機能性ドメインの存在を推測するために用いられうる。しかしながら、推定されたドメインの機能は依然として決定されなければならない。
【0010】
分子ドメインについての機能の同定は、伝統的に、個々のメンバーの配列の機能を研究し、その後、その機能をファミリーの他のメンバーに帰することによりなされてきた。しかしながら、このアプローチは、単一のメンバーの配列の使用により課せられる制限を被る。例えば、個々のメンバーの配列は、機能を決定するために用いられる特定のアッセイ法に適合しない場合がある。例えば、未知の機能を有する可能性のあるリガンドのファミリーは、伝統的に、個々のメンバーのリガンドを用いて受容体の類への結合についてアッセイすることにより試験される。この場合、個々のメンバーは、アッセイ法に用いられる特定の受容体供給源と一貫性のない結合優先度(例えば、マウス対ヒト)を示しうる。または、リガンドのファミリーの機能は、コンビナトリアルアプローチを用いてスクリーニングされうる。この場合、ライブラリーが作成されて受容体の類への結合についてスクリーニングされうる。このアプローチの下で、ライブラリーは、同一性を有するそれらの位置を一定に保ち、保存されていない位置をランダム化することにより作成される。このアプローチは、多数の配列のスクリーニングを必要とする。このコンビナトリアルアプローチは多くの制限を被る。
【0011】
本発明は、個々のメンバーのアプローチおよびコンビナトリアルアプローチの制限を克服する。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明は、配列のセット内において保存的および非保存的置換を同定する方法であって、1つまたは複数の非保存的置換が所望の性質を示している方法を含む。本発明はさらに、保存的置換を含む系統発生的に関連のある配列をアッセイする方法に関する。
【0013】
本発明のアミノ酸および核酸配列は特定の分子と相互作用する。例えば、受容体もしくは受容体サブタイプに特異的に結合するアミノ酸配列、またはリガンド結合分子に特異的に結合する核酸配列。本発明はさらに、ポリペプチド配列をコードする核酸に関する。
【0014】
本発明は、系統発生的に関連のある配列の組成に基づいた配列のセットを作成する方法と統合される、系統発生的に関連のある配列のアラインメントを提供する。配列のセット(ライブラリーまたは分岐論的ライブラリー)は、ライブラリーの複雑さを低減させるために、各位置に観察されるメンバー、保存された位置および許容されている置換(保存的置換およびインデルを含む非保存的置換)を利用する。配列アラインメントの各位置に観察されるメンバーが同定され、この情報から、各位置において観察されるメンバーの集合から構成される配列の組み合わせのセットが作成される。従って、作製しなければならない配列の数は低減する。さらに、本発明の方法により調製されるライブラリーまたは配列のセットは、天然の配列に存在しない組み合わせに対するそれぞれの許容されている置換により与えられる潜在的な利益を拡大する。
【0015】
配列の数をさらに低減させるために、位置を占める保存的置換が、その位置を占める単一残基と同一であるとして処理してもよい。従って、保存的置換の代表が選択され、その位置における保存的置換は、選択された代表と等価であると考えられる。保存的置換のメンバーを代表すると考えられる残基の選択は、配列アラインメントにおける出現頻度または当技術分野において公知の他の判定基準に基づいて選択されうる。
【0016】
本発明はさらに、本明細書に開示された方法により作成された配列のセットから同定される配列(ペプチドおよび/または核酸)に関する。配列がコノペプチドのようなポリペプチドである場合、同定された配列は、標的受容体に特異的に結合する。本発明はまた、ペプチドをコードする核酸、例えば、受容体に特異的に結合するペプチドをコードする核酸に関する。さらに、本発明は、ペプチドをコードすること以外の機能を有する核酸配列、例えば、リボザイム、プロモーターエレメント、制御エレメント、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、およびtRNAに関する。
【0017】
本発明は、可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する方法であって、アミノ酸配列がアラインメントを作成するために解析され、系統発生的に関連のある配列のセットが選択される方法に関する。選択された系統発生的に関連のある配列のアラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルが同定されて可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成するために用いられ、配列の組み合わせは、各位置で同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から構成される。
【0018】
本発明は、可能な核酸配列の組み合わせのセットを作成する方法であって、核酸配列がアラインメントを作成するために解析され、系統発生的に関連のある配列のセットが解析された配列から選択される方法に関する。選択された系統発生的に関連のある配列のアラインメントにおいて各位置を占めている観察される核酸残基またはインデルが同定されて可能な核酸配列の組み合わせのセットを作成するために用いられ、配列の組み合わせは、各位置で同定された観察される核酸残基またはインデルの集合から構成される。
【0019】
本発明はさらに、可能な核酸配列の組み合わせのセットを作成する方法であって、アミノ酸配列がアラインメントを作成するために解析され、系統発生的に関連のある配列のセットが選択される方法に関する。選択された系統発生的に関連のある配列のアラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルが同定されて可能な核酸配列の組み合わせのセットを作成するために用いられ、核酸配列の組み合わせは、各位置で同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から構成されるポリペプチドのセットをコードする。
【0020】
本発明はまた、リガンド結合ペアメンバーを同定するために可能性のあるアミノ酸もしくは核酸配列の組み合わせのセットをスクリーニングまたは選択すること、および同定された個々のリガンド結合ペアメンバーまたは同定された個々のリガンド結合ペアメンバーの混合集団を単離することに関する。さらに、同定されたリガンド結合ペアメンバーは、化学合成により作製されうるか、または組換え宿主において産生されうる。可能性のあるアミノ酸または核酸配列の組み合わせのセットは、ファージディスプレイ、アレイ、または他のリガンド提示システムを用いてスクリーニングされうる。
【0021】
本発明はまた、配列のセットに関し、配列のセットは、アラインメントの各位置における観察されるメンバーの集合である。
【0022】
本発明のもう一つの局面において、系統発生的に関連のある配列は、機能的関係(例えば、μ-、ω-、σ-、κ-、χ-、τ-、α-、および/またはγ-コノペプチド)を有し、配列はクレードまたはクレードの一部を形成する。
【0023】
本発明はさらに、本発明の方法を実行するコンピュータープログラムに関する。
【0024】
本発明はまた、セットの個々の配列が既知のおよび/または単離された部位を占める配列(アミノ酸または核酸)のセット、例えば、マイクロアレイ、バイオチップまたはチップに関する。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明の系統発生的に関連のある配列の大きな供給源を構成するコノペプチドは、しばしば、高度に保存されたシステイン残基間のジスルフィド結合により安定化された、イモガイ属(Conus)巻き貝毒由来の小さな遺伝子産物(8〜60残基、より典型的には10〜40残基)である(Norton and Pallaghy, 1998)。コノペプチド前駆体は、3部構造(シグナル-プロペプチド-成熟)に従うことが予想される。コノペプチドのジスルフィド結合は、システイン間ループにおける高可変性を許容する構造的スキャフォールドを提供する。高程度の可変性は、多様な受容体の標的化を可能にする。例えば、「6システイン、4ループ」スキャフォールド(C...C...CC...C...C)は、ナトリウムチャネル上の3つの異なる部位を含む、電位開口型のナトリウム、カルシウム、およびカリウムチャネルの複数のサブタイプを標的にするコノペプチドに共有されている(McIntosh et al., 1999)。
【0026】
コノペプチドは選択性が高い受容体リガンドであり、薬理学的ツールとしての使用を促進し(McIntosh et al., 1999)、結果として、神経細胞の薬物としてのそれらの可能性にかなりの関心を生んだ(Bowersox, S. S.,およびR. Luther, 1998)。システイン残基のスペーシングは、そのようなペプチドの生産的折り畳みにとって重要であるように思われ(Drakopoulou et al., 1998)、これまで同定された天然に存在するコノペプチドスキャフォールドの数は限られている。これらのスキャフォールドは、共通の進化上の起源を共有しうる大きな高頻度可変性ファミリーを限定する(Conticello et al., 2001)。イモガイ毒の多様性(約500種の属について種当たり推定50〜200個の固有コノペプチド)を考慮すれば、分子標的を決定することおよび特定の受容体またはチャネルサブタイプに対して高選択性を有する個々のペプチドを同定することは、困難かつ大きな労働力を要しうる。結果として、これらのペプチドのほんのごく少数の構造および機能が決定された。本発明の一つの代表的態様はコノペプチドを同定する方法を提供し、そのペプチドの天然の変異を用いて所望の性質を有する許容されている置換の組み合わせを同定する。本明細書に実証されているように、本発明はまた、配列アラインメントの広い範囲にも適用できる。
【0027】
コノペプチド前駆体の可変性および進化の概要は、ESTストラテジーを用いてコノペプチドをコードする転写産物を同定して確立された(Conticello et al., 2001)。イモガイ毒系は、コノペプチドをコードする転写産物が比較的短く(約0.5 kb)、高度に発現されるため、そのようなアプローチに理想的に適している。5つの異なるイモガイ種由来の2,000個を超えるcDNAクローンおよびPCR産物のシーケンシングは、3つのシステインスキャフォールドスーパーファミリーを代表する8つの遺伝子ファミリー由来の170個の別個のコノペプチド前駆体配列のデータセットを提供した(Conticello et al., 2001)。多数のコノペプチド前駆体配列が、今、すべての8つのスーパーファミリーおよび各スーパーファミリー内の多数のファミリーから同定された(Jones et al., 2001)。コノペプチド多様性は、高可変性およびその後の多様化する選択を生じうる、標的化変異原性機構の反映である。
【0028】
同義置換は中性であるため、定着率は、突然変異率に比例しているとみなされうる。それゆえに、同義部位当たりの同義置換の数(DS)(Nei and Gojobori, 1986)は、突然変異率の妥当な代表であると想定されうる。成熟ペプチド領域におけるDSは、シグナルドメインについてより有意に高く、たいていのファミリーにおけるプロペプチド領域は中間値を示している。コノペプチドの成熟ドメインについての見かけの突然変異率は、シグナルペプチドに対して約1桁上昇している。従って、コノペプチドの成熟領域においてシステイン間残基の高頻度の可変性が存在する。
【0029】
システイン間ループにおける高頻度可変性に加えて、ポジティブ選択が、毒が発現される遺伝子ファミリーの多様化において決定的な役割を果たしていることが報告された(Ohno et al., 1998; Duda, T. F.,およびS. R. Palumbi, 1999)。従って、上記の高頻度変異は、強いポジティブ選択および高頻度突然変異機構に起因すると考えられる。コノペプチドにおける多様化する選択に対する一つの可能性のある推進力は、この属に広く行き渡った餌食の特殊化である(Kohn, A. J., and J. W. Nybakken, 1975)。
【0030】
成熟コノペプチドにおける高頻度変異および強い選択の結果として、単一のアミノ酸変化が受容体サブタイプ特異性へ有意な影響を及ぼしうる(Luo et al., 1990)。例えば、単一アミノ酸置換は、受容体サブタイプ選択性プロファイルを2桁変化させるのに十分である(Luo et al., 1990)。さらに、アミノ酸置換は、結果として、異なる生物活性を生じうる。例えば、Wells et al., 1987は、アミノ酸の限られたセットを一つのタンパク質から別のタンパク質の中へ入れ替えは、それらのアミノ酸の機能を新しいキメラタンパク質へ運ぶことができることを示した。それゆえに、本発明は、分子または受容体を標的にすることのような新しい、改善された、または変化した機能のための供給源として各位置に観察される許容されているアミノ酸置換を利用する。
【0031】
成熟領域のシステイン間ループに関連した高頻度可変性とは対照的に、システインは、ジスルフィド結合形成およびタンパク質構造に必要だが、非常に高度に保存されている。この保存は、個々のシステインコドン、TGTおよびTGCにまで及び、アラインメントにおける異なる位置においてどちらか一方のコドンへの強い偏りがある(Conticello et al., 2001)。異なるコドンは異なる位置に保存されているため、特に成熟ドメインの極めて高頻度可変性環境を考慮すれば、単一コドンの偏りが司ることはできない。従って、システイン組成および/またはコドン優先度は、コノペプチドの特定のスーパーファミリーおよびファミリーへの割当についての根拠としての役割を果たしうる。
【0032】
何百個または何千個のコノペプチド遺伝子をシーケンシングする能力は、非常に大きな系統樹を作成する能力を提供する。しかしながら、この情報は、遺伝子産物の機能を確かめるために必要な分子生物学またはペプチド化学を扱っていない。本発明は、バイオインフォマティクスデータおよび系統発生的な関係を、両方ともに実際に役に立ち、かつ遺伝子産物の分子機能に取り組む必要な能力を提供するペプチドまたは核酸ライブラリーを構築するために組み合わせている。このように、分子生物学、バイオインフォマティクス、およびペプチド化学の効果的な統合が提供される。
【0033】
機能に取り組むことへの一つのアプローチはコンビナトリアルアプローチと呼ばれているが、すべての保存されていないアミノ酸がランダム化されているペプチドのライブラリーの作成を含む(Jeffrey D. McBride et al., 1996)。コンビナトリアルアプローチは、非常に多数のペプチド配列の作成を必要とする。しかしながら、ペプチド合成は、合成されるべきペプチドの数が非常に大きい場合、容易には達成できない。例えば、ペプチド合成において遭遇される一つの制限は、より多くのペプチドが合成されるにつれて、各種の相対的濃度は下落することである(ペプチドの相対的濃度は、固有のペプチド配列の総数により希釈される)。例えば、約1×1014個よりも多数の異なる配列を有するペプチドプールは、結果として、0.3 μgのペプチド当たり各配列のたった1コピーしか作製されないと見積もられた(COMBINATORIAL PEPTIDE AND NONPEPTIDE LIBRARIES: A HANDBOOK 238 (Gunther Jung ed., 1996))。さらに、4.0 μモルのペプチド合成は、個々の配列の限られた数を作製することができるだけである。例えば、4.0 μモルのペプチド合成は、個々のペプチドをたった約8×1017個しか作製しないと見積もられる(同典拠)。それゆえに、各配列の単一コピーのみを有するペプチドのライブラリーで十分である場合でさえも、ライブラリーは、約8×1017個未満の個々の配列/合成を含むはずである。任意の一つのメンバーの単一コピーがしばしば不足するため、任意の単一合成反応において合成されうる個々の配列の数は急速に減少する。複数の合成反応が実施かつ組み合わせられうるが、ペプチド溶解度の上限が存在し、同様に、単位体積当たりのスクリーニングまたは選択されうる個々の配列の数を制限する。さらに、固有のペプチド配列の数が増加するにつれて、任意の一つの配列を正確に折り畳む能力が減少する。
【0034】
仮定的例として、長さが23個のアミノ酸の高度に保存されたペプチド(アミノ酸レベルで80%を超える同一性を有する)アラインメントは、結果として、コンビナトリアルアプローチを用いる場合に合成されなければならない非常に多数のペプチドになる。この例において、約19個のアミノ酸位置が同一であり、たった4個の位置が保存されていない。コンビナトリアルアプローチを用いて、4個の保存されていないアミノ酸位置がランダム化される。少なくとも20個の天然に存在するアミノ酸(新しく同定されたアミノ酸は、天然アミノ酸の数を21個または22個へ上げる)があるため、4個の保存されていない位置のそれぞれをランダム化することは、(20×20×20×20 = 160,000)160,000個の異なるペプチド配列が作製される必要がある。この例が示しているように、保存されていない位置の数が小さい、たった4個である場合でさえも、必要とされるペプチドの総数は、単一バッチで作製するのが極めて困難になる。
【0035】
さらに、コンビナトリアルアプローチを用いて作製される最大数のうち、多くが有害なアミノ酸置換を組み込んでいる。例えば、天然に存在するアミノ酸の多くは、保存されていない位置の1つへ挿入される場合、その配列の機能を妨げる。それゆえに、コンビナトリアルアプローチを用いる技術者は、最大数のペプチド配列を作製するのに骨を折らなければならず、かつ、これらの苦労して作製されたペプチドの多くは機能しない。
【0036】
本発明は、機能を保持する実際的な数のペプチドの作製を可能にする。自然選択は、有害な突然変異を排除し、機能増強的変化を導入するように働く。例えばイモガイ毒素の場合、毒素の機能を妨げる突然変異は巻き貝の毒の効力を低下させ、結果として、餌食(食料)の捕獲の減少を生じる。それゆえに、そのような突然変異は逆らって選択され、結局、集団から排除される。対照的に、毒素の効力または機能を増強する突然変異は、生物体の適応度を増加させ(餌食捕獲を増加させる)、ポジティブに選択される。
【0037】
有害な突然変異は最終的に排除され、有利な突然変異が選択されるため、本発明は、許容されている置換を、プラス効果を有しかつペプチドの機能(例えば、毒の毒素)を保持する可能性が高い変異の供給源として利用する。本発明の新規なアプローチは必要とされるペプチドの数が劇的に低減するのを可能にし、機能性ペプチドのパーセンテージを増加させる。
【0038】
仮定的例において、4つの位置が保存されていない場合、コンビナトリアルアプローチは160,000個の配列を必要とした。本発明の方法を用い、かつ3つの異なるアミノ酸が4つの保存されていない位置のそれぞれに見出されると仮定すれば、たった(3×3×3×3 = 81)81個の配列が必要とされる。従って、本発明は、必要とされる配列の数の劇的な低減を提供する(160,000個 対 81個)。仮定が、各保存されていない位置において5個の異なるアミノ酸を仮定するように変えられた場合、たった(5×5×5×5 = 625)625個の配列が必要とされる。さらに、これらの配列は、機能を保持している可能性が非常に高い。81個の配列、または625個の配列の作製であっても、その実践的配慮は160,000個とは対照的に技術者に多大な利益を与える。
【0039】
このように、本発明は必要とされるペプチドを合成する実践的能力を提供し、セットにおけるいずれの1つの配列の濃度も増加させる。本発明はまた、最初の代表物に存在しなかった活性を与える可能性が高い新しい配列を有する配列のセット(ライブラリー)を含む。
【0040】
コンビナトリアルアプローチとは対照的に、個々のメンバーのアプローチは、一つずつ、個々のメンバーの機能を試験する。個々のメンバーのアプローチは、配列の数を1まで低減させ、配列の合成を容易に得られるようにさせる。しかしながら、個々のアプローチはその1つのメンバーの機能および性質を確かめることに必然的に限定される。そのアプローチは、試験されている配列以外の配列の機能に関する情報を提供しない。さらに、個々のアプローチは、アッセイ法および選択された個々のメンバーが適合しない場合、機能を同定しない可能性がある。さらに、個々のメンバーのアプローチは、複数の配列が異なる分子標的についてアッセイされなければならない場合、極めて大きな労働力および時間を要する。さらに、個々のメンバーのアプローチは、同定される配列に存在しない許容されている置換の組み合わせを扱うことができない。このように、本発明は、個々のメンバーのアプローチを越える有意な利点を提供し、異なる機能を実行する。
【0041】
一つの態様において、本発明の配列、例えば、イモガイ属由来の配列は疾患および有害な病状の治療に有用である。癲癇、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症のような神経疾患、ならびに痛み、不安、憂鬱、および睡眠障害のような他の状態を含む多数の疾患がコノペプチドで治療されることが提案された。NMDA受容体のような神経細胞受容体は、これらの疾患において重要な役割を果たしていることが報告された。さらに、NMDA受容体のような受容体は、複数のサブタイプに存在する。これらのサブタイプは、しばしば、異なる分子(アンタゴニストまたはアゴニスト)に結合し、異なる応答を与える。受容体は異なるサブタイプとして存在するため、多くの疾患の治療は、特定の受容体サブタイプに効果を生じる高度に選択的な治療の作成により最も良く達成される。
【0042】
薬における主な問題は、薬物が非常に頻繁に示す副作用に起因し、その副作用の一部は、治療的価値を与える特定の受容体サブタイプだけでなく、しばしば望ましくない生理学的作用を引き起こしうる、密接に関連した、治療的に無関係の受容体サブタイプにも結合することにより引き起こされる。たいていの薬物とは対照的に、コノペプチドは、一般的に、密接に関連した受容体サブタイプ間を識別する。
【0043】
このように、本発明のペプチド、例えば、コノペプチドは特定の受容体または受容体サブタイプに結合しうり、特定の受容体を標的にするために用いられうる。加えて、ペプチドは、この受容体についてのアッセイにおいて用いられうる。さらに、本発明のペプチドは、単一の受容体サブタイプへの特異的結合を同定するために、および異なる受容体サブタイプへの結合の低下または非結合についてアッセイされうる。従って、コノペプチドおよび一般的な毒ペプチドに関連した本発明のペプチドは、狭い受容体サブタイプ特異性を伴った、特定の高分子受容体への高親和性の特に有用な特性を有する。コノトキシンの薬理学的特異性は、それらを、神経疾患および心血管疾患を含む様々な治療的適用のための薬物開発にとって魅力的なものにさせる。
【0044】
さらに、本発明のペプチドは、新しい受容体サブタイプへの特異性、異なる結合親和性を有し、かつ異なる性質(例えば、異なるオフ速度)を有しうる許容されている置換の組み合わせを与える。
【0045】
もう一つの態様において、本発明は、ポリペプチドのセットをコードする核酸配列を提供する。熟練技術者は、核酸配列とアミノ酸配列の間を変換しうり、例えば、既知の核酸配列は推定遺伝子産物を決定するために用いられうる、または既知のポリペプチド配列はそのポリペプチドをコードすると思われる核酸を決定するために用いられうる。従って、本発明の核酸配列は、コードされたポリペプチドに関連して解析されうり、および/または遺伝暗号の縮重を反映するように設計されうる。
【0046】
もう一つの態様において、本発明は、ポリペプチドをコードすることと無関係な機能を有する核酸配列を提供する。例えば、核酸配列は、テロメラーゼRNA分子をコードしうる。この例において、テロメラーゼRNA配列(おそらく偽遺伝子を含む)は、整列されアラインメントの各位置における観察されるメンバーが同定される。核酸配列の組み合わせのセットが作成され、セットは、各位置における観察されるメンバーの集合である。核酸配列の組み合わせのセットは、その後、所望の機能についてアッセイされる。例えば、テロメラーゼRNA配列のセットは、減少したテロメラーゼ活性についてアッセイされ、それにより、可能性のある抗癌産物を同定かつ生成しうる。
【0047】
このように、本発明は、所望の性質を有するタンパク質をコードする核酸配列、およびそれ自身、所望の性質を与える核酸を提供する。
【0048】
用語および定義:
本明細書に用いられる場合、「コノトキシン」、「コノトキシンポリペプチド」、およびコノペプチドという用語は、コナントキン(conantokin)ペプチド、コナントキンペプチド誘導体、コノトキシンペプチド(コントリファン(contryphan)、ブロモコントリファン(bromocontryphan)、コンツラキン(contulakin)、コノフィシン(conophysin)、コノプレシン(conopressin)、およびコノールファミド(conorfamide)を含む)、およびコノトキシンペプチド誘導体を含む。コノトキシンは、典型的には、イモガイ属巻き貝の毒由来であり、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を含みうる。これらのペプチドは、コノトキシン、コナントキン、またはコノペプチドと文献で呼ばれうる。コノトキシンは、インビトロ翻訳、インビトロ転写および翻訳、組換え発現系、ならびに化学合成のような方法により作製されうる。
【0049】
本明細書に用いられる場合、「実質的に純粋な」とは、少なくとも60重量%(乾燥重量)が、対象となる化合物または化合物のセット、例えば、核酸、ポリペプチド、またはポリペプチドもしくは核酸のセットである調製物を意味する。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、および最も好ましくは少なくとも99重量%が、対象となる化合物である。純度は、任意の適切な方法(例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析)により測定されうる。
【0050】
本明細書に用いられる場合、「単離された核酸」とは、それが由来する生物体に天然に存在するゲノムにおいてそれが直接隣接している(5'末端に1つおよび3'末端に1つ)コード配列の両方と直接隣接していない核酸を意味する。例えば、その用語は、ベクターへ、自己複製プラスミドもしくはウイルスへ、または原核生物もしくは真核生物へ組み入れられる組換え核酸;または他の配列から独立した別個の分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理により生成されたcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換え核酸を含む。それはまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換え核酸を含む。核酸配列は、RNAまたはDNAでありうる。
【0051】
本明細書に用いられる場合、「発現のために位置づけられた」とは、核酸分子が、核酸分子の転写、および必要に応じて、翻訳を指揮する配列に機能的にに連結されていることを意味する。
【0052】
「プローブ」とは、標的核酸と、典型的には配列特異的様式で、例えばハイブリダイゼーションを通して相互作用する能力がある分子である。核酸のハイブリダイゼーションは当技術分野においてよく理解されている。典型的には、プローブはヌクレオチドまたは当技術分野において入手できるヌクレオチド誘導体もしくは類似体の任意の組み合わせから作製されうる。
【0053】
本明細書に用いられる場合、「特異的に結合する」とは、標的に結合するが、試料(例えば、生体試料)における他の分子を実質的には認識かつ結合しない分子を意味する。
【0054】
本明細書に用いられる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」(本明細書では、時々、交換可能に用いられうる)は、ペプチド結合を介して連結された2つまたはそれ以上のアミノ酸(天然に存在するのかしないのかにかかわらず)のポリマーを含む。長さに基づいた区別は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の間では意図されない。さらに、複数のポリペプチドサブユニットを含むタンパク質(例えば、DNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼII)または他の構成要素(例えば、テロメラーゼに存在しているようなRNA分子)を含むタンパク質は、本明細書に用いられる場合の「タンパク質」の意味の範囲内に含まれる。同様に、タンパク質およびポリペプチドの断片もまた、本発明の範囲内であり、本明細書では、「ペプチド」、「ポリペプチド」、または「タンパク質」と呼ばれうる。
【0055】
所与のタンパク質の特定のアミノ酸配列(すなわち、アミノ末端からカルボキシ末端まで記載される場合はポリペプチドの「一次構造」)は、mRNAのコード部分のヌクレオチド配列により決定されうり、次いで遺伝子情報、典型的にはゲノムDNA(細胞小器官DNA、例えば、ミトコンドリア、または葉緑体DNAを含む)、により特定化される。または、核酸(DNAまたはRNA)は、ペプチドのアミノ酸配列由来でありうる。
【0056】
本明細書に用いられる場合、「受容体」は、与えられたリガンドへの親和性を有する分子を意味する。受容体は、天然に存在するまたは人工の分子でありうる。また、それらは、それらの不変の状態で、または他の種との凝集体として、用いられうる。受容体は、直接的にかまたは特異的結合物質を介してのいずれかで、結合メンバーへ、共有結合性にまたは非共有結合性に付着しうる。受容体の例は、限定されるわけではないが、抗体(例えば、特定の抗原決定基(ウイルス、細胞、または他の材料上の決決定基ような)と反応性のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および抗血清)、細胞膜受容体(例えば、ニコチン性受容体、γ-アミノ酪酸(GABA)受容体、グリシン受容体、グルタミン酸受容体、セロトニン受容体、α-ブンガロトキシン受容体、ムスカリン性受容体、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体、ニコチン性アセチルコリン(nACh)受容体)、電位開口型イオンチャネル、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、カリウムチャネルなどを含む。
【0057】
受容体はしばしば複数のサブユニットから構築され、例えば、nAChRは、中心陽イオン伝導性孔(central cation-conducting pore)の周囲に配置された5つのサブユニットから構築される。筋肉において、たった1つのサブタイプが同定され、2つのα、1つのβ、1つのδ、および1つのγサブユニットから構成されている。対照的に、8つの神経細胞nAChRαサブユニット(α2〜α7およびα9〜α10)および3つのβサブユニット(β2〜β4)が哺乳動物系で同定された。これらは、ホモマー(例えば、α7またはα9)、二成分のヘテロマー(例えば、α3β2、α2β4、またはα4β2)または複雑なヘテロマー(例えば、α3α5β2またはα3β3β4)として構築されうる。受容体サブタイプは、中枢および末梢神経系中に異なって分布されうる。異なるコノペプチドは、選択的にnAChRを標的とすることが知られている。nAChRを特異的に結合する、今までに同定されたコノペプチドは、2つのクラス:ACh部位において働くもの、および孔ブロックとして非競合的に結合するものへ分類されるアンタゴニストである。しかしながら、受容体への結合について選択されたリガンド、例えば、コノペプチドは作用をブロックするアンタゴニストかまたは作用を誘発するアゴニストのいずれかとして働きうる。
【0058】
本明細書に用いられる場合、「リガンド受容体ペア」または「リガンド結合ペア」は、2つの高分子が複合体を形成するように分子認識を通して結合した場合に形成される。リガンド結合ペアメンバーは、リガンド結合ペアを形成する2つの高分子の1つである。
【0059】
配列同一性は、典型的には、配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705、またはNational Library of Medicineから入手できるBLASTソフトウェア)を用いて測定される。有用なソフトウェアの例は、限定されるわけではないが、GCG(Genetics Computer Group, Madison Wis.)プログラムパッケージ(Devereux, J., et al., 1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Altschul et al., 1990; Altschul et al., 1997)、PILE-UPおよびPRETTYBOXを含む。周知のスミス-ウォーターマンアルゴリズムもまた、同一性を測定するために用いられうる。そのようなソフトウェアは、相同性の程度を様々な置換、欠失、付加、および他の改変に割り当てることにより類似の配列に適合させる。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の同一性を測定する多数の方法が存在するが、「同一性」という用語は、熟練技術者によく知られている。同一性を測定しうる好ましい方法は、試験される2つの配列間の最大の一致を与えるように設計される。そのような方法は、コンピュータープログラムに体系化される。保存的置換は、典型的には、以下の代表的群:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン内の置換を含む。当技術分野において公知の他の群もまた保存的置換を構成しうることが理解されている。
【0060】
「相同的な」または「オルソログ」または「パラログ」という用語は、共通祖先を共有するまたは遺伝子重複から起こる関連配列を指し、配列同一性の程度に基づいて決定される。または、関連配列は、収束進化により生じた相同性を有する配列でありうる。これらの用語は、一つの種、亜種、変種、栽培変種、もしくは菌株に見出される遺伝子と、もう一つの種、亜種、変種、栽培変種、もしくは菌株における対応するかもしくは等価である遺伝子との間、または、パラログの遺伝子の場合においては、種、亜種、変種、栽培変種、もしくは菌株内の2つの関連配列間の関係を記載する。本発明を記載することを目的として、「相同的な」という用語は、オルソログおよびパラログを含む。「相同配列」は機能上、関連していることが考えられる、信じられる、または知られている。機能的関係は、多数の事項で示されうり、限定されるわけではないが、以下のものを含む:(a)配列同一性の程度;および/または(b)同じもしくは類似した生物学的機能。好ましくは、(a)および(b)の両方が示されている。配列同一性の程度は様々でありうるが、関係を定義する領域に対して(当技術分野において公知の標準配列アラインメントプログラムを用いる場合)、好ましくは少なくとも50%、好ましくは約60%〜約99%の間、より好ましくは約75%〜約99%の間、よりいっそう好ましくは約85%〜約99%の間である。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology(F. M. Ausubel et al., eds., 1987)に考察されているもののような、当技術分野において容易に利用できるソフトウェアを用いて決定されうる。好ましいアラインメントプログラムは、MacVector(Oxford Molecular Ltd, Oxford, U.K.)およびALIGN Plus(Scientific and Educational Software, Pennsylvania)である。もう一つのアラインメントプログラムは、デフォルトパラメーターを用いるSequencher(Gene Codes, Ann Arbor, Mich.)である。
【0061】
系統発生的に関連のある配列は、相同配列である、核酸かまたはアミノ酸のいずれかの配列である。系統発生的に関連のある配列は、特定のドメイン(例えば、キナーゼドメイン)、シグナル配列、構造的モチーフ(例えば、コノペプチドのシステインモチーフ)、および/または5'UTRもしくは3'UTRのような非翻訳領域における相同性に基づいて定義されうる。系統発生的に関連のある配列は、任意の進化距離により関連しうり、好ましくは、配列は同じ属に密接に関連、およびより好ましくは同じ属由来である。好ましくは、系統発生的に関連のある配列はクレードから選択される。進化距離または系統発生的距離は、PHYLIP(Felsenstein, J. 1989)、PAUP(Swofford, D. L., 1993; Swofford, D. L., 1998)、MEGA(Kumar et al., 1993)などのようなコンピューターアルゴリズムを用いて計算されうる。WEN-HSIUNG LI, 1997を参照されたい。
【0062】
例えば、コノペプチドは、シグナル配列、3'UTR、システイン構造、および任意で、プロドメインにおける配列保存に基づいて整列されうる。サイレント塩基変化により生じた情報を用いた、成熟毒素をコードする核酸配列を用いるコノペプチドのアラインメントもまた、アラインメントを作成するために用いられうる。または、アラインメントは、ペプチドのアミノ酸配列から作成されうる。例えば、成熟毒素のアミノ酸配列のアラインメントがアラインメントを作成するために用いられうる。従って、本発明は、3'UTRおよびシグナル配列を利用してコノペプチド間の系統発生的な関係を作成し、システインスキャフォールドは、アラインメントを検証する役割を果たす。このように、本発明の一つの代表的態様は、コノペプチド間の系統発生的な関連の作成である。
【0063】
ハイブリダイゼーションという用語は、典型的には、プライマーまたはプローブと遺伝子とのようなヌクレオチド特異的様式における少なくとも2つの核酸分子間の配列主導相互作用を意味する。典型的には、配列主導相互作用は、ヌクレオチドのワトソン-クリック面またはフーグスティーン面上で起きる。2つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者に公知の多数の条件およびパラメーターにより影響を及ぼされる。例えば、反応の塩濃度、pH、および温度のすべてが、2つの核酸分子がハイブリダイズするかどうかに影響を及ぼす。
【0064】
2つの核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションについてのパラメーターは、当業者によく知られている。例えば、いくつかの態様において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として定義されうる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェント性は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄段階の一方または両方の温度および塩濃度の両方により制御される。例えば、選択的ハイブリダイゼーションに達しうるハイブリダイゼーションの条件は、Tm(分子の半分がそれらのハイブリダイゼーションパートナーから解離する融解温度)より約12〜25℃下である温度で高イオン強度溶液(6×SSCまたは6×SSPE)におけるハイブリダイゼーション、引き続く、洗浄温度がTmより約5℃〜20℃下であるように選択された温度および塩濃度の組み合わせでの洗浄を含みうる。温度および塩濃度は、フィルターに固定された参照DNAのサンプルが対象となる標識された核酸にハイブリダイズし、その後、異なるストリンジェント性の条件下で洗浄される予備実験において経験的に容易に決定される。ハイブリダイゼーション温度は、典型的にはDNA-RNAおよびRNA-RNAハイブリダイゼーションについて、より高い。(核酸のハイブリダイゼーションに少なくとも関連している材料について、Sambrook et al., Molcecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989; Kunkel et al., Methods Enzymol. 1987:154:367, 1987)。DNA:DNAハイブリダイゼーションについての好ましいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSCまたは6×SSPEにおいて約68℃(水溶液中)、続いて68℃での洗浄でありうる。ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェント性は、必要に応じて、望まれる相補性の程度が減少するのに従って、およびさらに、可変性が探索される任意の領域のG-CまたはA-Tの豊富度に依存して、低下されうる。同様に、すべて当技術分野において知られているが、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェント性は、必要に応じて、望まれる相同性が増加するのに従って、およびさらに、高相同性が望まれる任意の領域のG-CまたはA-Tの豊富度に依存して、増加されうる。
【0065】
コノトキシンの独特な構造的特徴は多数の翻訳後修飾であり、特に、ジスルフィド架橋である。ジスルフィド結合の主な機能は、構造の安定化であると思われる。コノトキシンは、ジスルフィド結合の数および配置に基づいてファミリーへ分類される。例えば、2-ジスルフィド含有α-コノトキシンは、システインパターン、CC−C−Cを含み、第一と第三、第二と第四のシステインの間にジスルフィドを有する。3-ジスルフィド含有ω-およびδ-コノトキシンは、天然のシステインパターン、C−C−CC−C−C、を共有するが、μ-コノトキシンは、一般のシステインパターン、CC−C−C−CCを共有する。天然のω-、δ-コノトキシンについて、第一と第四、第二と第五、および第三と第六のシステインが結合され、天然のμ-コノトキシンについて、第一と第四、第二と第五、および第三と第六のシステインがジスルフィド結合により結合されている。天然のコノトキシンにおけるジスルフィドの正しい対形成は、それらの生物活性を維持するための必要条件と考えられた。しかしながら、非天然ジスルフィド結合。ジスルフィド架橋は、システイン残基の酸化的対形成の過程において形成される。コノペプチドは、以下のスーパーファミリーおよびファミリー構造により分類されうる:

【0066】
相同配列は異なる長さを有しうり、これらは一方もしくは他方の配列における挿入または欠失と見られうる。一方の配列における挿入は、常に他方における欠失と見られうるため、「インデル」という用語はしばしばこの状況を記載するために用いられる。インデルの結果は、そのような挿入または欠失を表すために、位置または位置のひと続きが他方の配列におけるダッシュ(ギャップ記号)と対になりうる。インデルは、「ギャップペナルティ」を割り当てられ、それは、当技術分野において公知であり、相同性を決定するのに用いられるコンピュータープログラムへ組み入れられている。
【0067】
系統発生的に関連のある配列は、任意の適切な判定基準、例えば、系統発生的距離、機能、モチーフ構成などに基づいて細分されうる。最も適切な系統発生的に関連のある配列の選択は当業者により知られており、そのような業者により決定される。
【0068】
当業者は、状況に適切なように、関連配列を分類するための判定基準を選択または設定しうる。多数の個々の配列が同定された場合、熟練技術者が関連配列についての確固とした系統発生的分類を同定することが可能である。特に、コノペプチドのような明白な高頻度可変領域を有する関連配列について。例えば、スーパーファミリー内の配列は、さらに、ファミリーおよび/またはサブファミリーへ分類されうり、なおさらに、進化的により近いクレードへ分類されうる。例えば、群内で相対的に短い進化距離により表されるような、確固とした系統発生的な関係を有する配列は、同じ機能を実行するまたは同じ標的(例えば、同じ受容体サブタイプ)に作用する可能性が高いと思われる。それゆえに、系統発生的な群またはクレードをより密接に関連した配列に制限することは特定の機能または標的に焦点を合わせる働きをし、その標的に対抗する活性を保持する可能性が高い、許容されている置換を同定する。系統発生的に関連のある配列の群を確立するために用いられる判定基準を設定する熟練技術者の能力により、本明細書に開示された方法および組成物が配列の広範囲に適用できることが可能になる。
【0069】
「ヌクレオチド変化」という用語は、当技術分野においてよく理解されているように、1つまたは複数のヌクレオチド置換、欠失、および/または挿入を指す。
【0070】
本発明のタンパク質は、翻訳と同時に、翻訳後に、または自発的に修飾されうる。本発明のペプチドは修飾アミノ酸を用いて合成されうるか、または合成の後に修飾されうる。例えば、C末端のアミド化、プロリンの水酸化、グルタミン酸のγ-カルボキシル化、天然に存在するアミノ酸のL-からD-へのエピマー化、L-トリプトファンのインドールのC-6位における位置異性体型ブロム化、アセチル化、ファルネシル化、グリコシル化、ミリスチル化、メチル化、プレニル化、リン酸化、パルミトイル化、硫酸化、ユビキチン化などによる。Wold, F., 1981を参照のこと。さらに、本発明のタンパク質は、修飾または非天然のアミノ酸および誘導体を用いて合成されうる。例えば、多数の非天然または異常アミノ酸は、Chem-Impex International, Inc. (カタログはhttp://www.chemimpex.comにおけるオンラインで利用可能)から入手でき、以下のものを含む:2-アセチルアミノ-6-N-Boc-アミノ-4-ヘキシン酸;アミノ安息香酸(Abz);4-アミノ-1-ベンゾイル-ピロリジン-2-カルボン酸(AZPC);3-アミノ-3-(4-ブロモフェニル)-プロピオン酸;アミノ酪酸(Abu);e-アミノカプロン酸(e-Acp)(6-アミノヘキサン酸);6-アミノ-2-カルボキシメチル-3,8-ジアザビシクロ-(4,3,0)-ノナン-1,4-ジオン(Acdn);アミノシクロヘキサンカルボン酸;4-アミノ-2-シクロペンテン-1-カルボン酸;1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(Acpc);10-アミノデカン酸;2-アミノヘキサン酸;4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルチオ-ヘキサン酸(AHTHxA);δ-アミノレブリン酸;アミノメチル安息香酸(Amb);4-アミノメチル-フェニル酢酸;3-アミノ-3-(1-ナフチル)-プロピオン酸;8-アミノオクタン酸;3-アミノ-2-オキソ-1-アゼピン-酢酸;アミノオキシ酢酸(Aoa);4-アミノピペリジン-4-カルボン酸(Pip);3-アミノプロピルブロミド;3-アミノ-3-(3-ピリジル)-プロピオン酸;4-アミノ-ピロリジン-2-カルボン酸(ABPC);a-アミノスベリン酸(Asu)(2-アミノオクタン二酸);2-アミノテトラリン-2-カルボン酸(Atc);2-アミノ-2-チアゾリン-4-カルボン酸;11-アミノウンデカン酸;シトルリン(Cit);1,2-ジアミノエタン;1,3-ジアミノプロパン;1,3-ジヒドロ-2H-イソインドールカルボン酸(Disc);ホモシトルリン(HoCit)(N-e-カルバミル-リシン);ヒドロキシルアミン;
6-ヒドロキシノルロイシン;4-ヒドロキシプロリン(Hyp);3-フェニルアゼチジン-2-カルボン酸(ラセミ);フェニルグリシン(Phg);プロパノロール;ピログルタミン酸(Pyr);サルコシン(Sar)(N-メチルグリシン);セレノエチオニン;1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-カルボン酸(Tiq);1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi);チアゾリジン-4-カルボン酸(Thz);チアゾリジン-2-オン-4-カルボン酸;チロニン;1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);およびトラネキサム酸。
【0071】
本発明の目的として、生物体またはその祖先由来のポリヌクレオチド源は、任意の適した源、例えば、ゲノム配列またはcDNA配列でありうる。好ましくは、cDNA配列が比較される。本発明の目的として、生物体またはその祖先由来のポリペプチド源は、任意の適した源、例えば、定義済みの組織もしくは細胞、細胞内もしくは細胞外物質、または組換え発現系でありうる。ポリペプチド配列はポリペプチドの直接的シーケンシングにより、例えば、エドマン分解もしくは質量分析法(MS)、またはポリペプチドをコードする核酸から配列を導くことにより決定されうる。核酸またはポリペプチド配列は、利用可能な私的、公的、および/または商業的データベースから得られうる。これらのデータベースは、継続中の研究努力により作成されている分子配列データの宝庫としての役割を果たす。
【0072】
核酸またはポリペプチド配列は、例えば、細胞において発現されたmRNAから逆転写されたcDNAのシーケンシングから、またはPCR増幅後、当技術分野における周知の方法により(例えば、GeneAmp PCR System 9700サーモサイクラー(Applied Biosystems, Inc.)を用いて)、得られうる。または、ゲノム配列が、配列比較のために用いられうる。
【0073】
いくつかの態様において、cDNAは、特定の組織、決定された発生段階における組織、または生物体が特定の状態に曝された後に得られた組織から得られたmRNAから調製される。本発明の配列比較のために用いられるcDNAライブラリーは、当技術分野の文献に完全に説明されている通常のcDNAライブラリー構築技術を用いて構築されうる。全mRNAは、cDNAへ逆転写するための鋳型として用いられうる。転写されたcDNAは、cDNAライブラリーを構築するために適切なベクターへサブクローニングしてもよい。構築されたcDNAライブラリーは、完全長cDNA内容について最大にされうるが、完全長未満のcDNAが用いられる場合もある。さらになお、配列頻度は、例えば、Bonaldo et al., 1996により標準化されうる。構築されたcDNAライブラリーからランダムに選択されたcDNAクローンは、標準的自動化シーケンシング技術を用いてシーケンシングされうる。好ましくは、完全長cDNAクローンがシーケンシングのために用いられる。
【0074】
本発明の一つの態様において、シーケンシングされるべきcDNAクローンは、それらの発現特異性により事前に選択されうる。特異的に発現される活性のある遺伝子に対応するcDNAを選択するために、cDNAを、同じ動物の他の器官、組織または細胞から得られたmRNAを用いる引き算ハイブリダイゼーションに供することができる。適切なストリンジェント性および濃度での特定のハイブリダイゼーション条件下において、非組織特異的mRNAとハイブリダイズし、それゆえに「ハウスキーピング」遺伝子を示している可能性が高いcDNAは、cDNAプールから排除される。従って、シーケンシングされるべき残りのcDNAは、組織特異的機能に関連している可能性がより高い。引き算ハイブリダイゼーションの目的のために、非組織特異的mRNAは、一つの器官から、または好ましくは、異なる器官および細胞の組み合わせから得てもよい。非組織特異的mRNAの量は、組織特異的cDNAを飽和させるように最大にされる。
【0075】
本発明のもう一つの態様において、配列は、配列の所望のクラスに特異的であるPCRプライマーを用いることにより事前に選択してもよい。PCRについて、プライマーは、PRIMER.RTM. (Whitehead Institute)のような公的に利用できるプライマー設計プログラムを含む当技術分野における標準的な方法を用いて、1つまたは複数の生物体の配列から作製されうる。増幅された配列は、その後、自動シーケンサー(Applied Biosystems, Inc.)のような当技術分野における標準的方法および装置を用いてシーケンシングされうる。
【0076】
あるいは、オンラインデータベースからの情報は、特定の機能に関連している可能性がより高いcDNAを選択または優先するために用いられうる。例えば、シーケンシングのためのcDNA候補は、代表的候補cDNA配列から設計されたプライマーを用いるPCRにより選択されうる。代表的候補cDNA配列は、例えば、毒管のような特定の組織にのみ見出されるもの、または特定の機能において重要である可能性が高い遺伝子に対応するものである。そのような組織特異的cDNA配列は、cDNA配列についての発現プロファイルおよび/または生物活性に関する情報が特定化されうるオンライン配列データベースを検索することにより入手されうる。
【0077】
本発明のペプチドは、排他的固相技術、部分的固相技術、断片縮合、または古典的溶液結合によるような適切な方法により合成されうる。組換えDNA技術の使用は、これらのペプチド、特により長いものを調製するために用いられうる。
【0078】
通常の液相ペプチド合成において、ペプチド鎖は、成分アミノ酸が所望の配列において伸長しているペプチド鎖へ付加される一連の結合反応により調製されうる。後の中間体の単離および精製を含む、溶液において反応を行うための、様々なN-保護基、様々な結合試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾール)、様々な活性エステル(例えば、N-ヒドロキシフタリミドまたはN-ヒドロキシ-スクシンイミド)および様々な切断試薬の使用は、周知の古典的なペプチド方法である。古典的溶液合成は、論文GEORG THIEME VERLAG, STUTTGART, W. GER, 1974に詳細に記載されている。排他的固相合成の技術は、教科書SOLID-PHASE PEPTIDE SYNTHESISに示されており、米国特許第4,105,603号の開示により例示されている。合成の断片縮合法は、米国特許第3,972,859号に例示されている。他の利用可能な合成は、米国特許第3,842,067号および米国特許第3,862,925号により例示されている。
【0079】
そのような化学合成に共通するのは、様々なアミノ酸部分の化学変化を起こしやすい側鎖基の適した保護基での保護であり、保護基は、その保護基が最後に除去されるまで化学反応がその部位に起こるのを防ぐ。通常にまた共通するのは、アミノ酸または断片上のα-アミノ基の保護であるが、その実体は、カルボキシル基で反応し、引き続いて、後の反応がその位置で起こるのを可能にするためにα-アミノ保護基を選択的に除去する。従って、そのような合成における段階として、化学変化を起こしやすい側鎖を有する様々な残基に連結された適切な側鎖保護基を有する、ペプチド鎖においてそれの所望の配列で位置するアミノ酸残基のそれぞれを含む中間化合物が生成されることが共通している。
【0080】
側鎖アミノ保護基の選択に関する限り、一般的に、合成の間でのα-アミノ基の脱保護中に除去されないものが選択される。しかしながら、いくつかのアミノ酸(例えば、His)について、保護は一般的に必要ではない。ペプチドの合成に用いられる特定の側鎖保護基の選択において、以下の一般的ルールに従う:(a)保護基は、好ましくは、その保護性質を保持し、結合条件下で分離しない、(b)保護基は、合成の各段階においてα-アミノ保護基を除去するために選択される反応条件下で安定しているべきである、および(c)側鎖保護基は、ペプチド鎖を望ましくない変化を起こさない反応条件下で、所望のアミノ酸配列を含む合成の完了時に除去できなければならない。
【0081】
Bocにより、および側鎖保護基により保護されたC末端アミノ酸は、適切な場合、まず、当技術分野において公知の手順によりクロロメチル化樹脂へ結合してもよい(Hlavacek and Ragnarsson, 2001参照)。例えば、C末端に遊離酸を有するペプチドが合成されることになっている場合、DMFにおけるKFを約60℃で24時間、用いる。BOC-保護アミノ酸の樹脂支持体への結合後、α-アミノ保護基は、塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸(TFA)または単独のTFAを用いることによるように除去される。脱保護は、約0℃と室温の間の温度で行われる。SCHRODER & LUBKE, 1965に記載されているように、ジオクサン中のHClのような他の標準的切断試薬および特定のα-アミノ保護基の除去のための条件を用いてもよい。
【0082】
ペプチド樹脂の一部である間のペプチドの環化とは対照的に、Cys残基間に結合を形成するように線状ペプチドの環化が好ましくは行われる。そのようなジスルフィド環化結合を行うために、完全に保護されたペプチドが、当技術分野において周知のように、アンモノリシスによりヒドロキシメチル化樹脂またはクロロメチル化樹脂支持体から切断されて完全に保護されたアミド中間体を生じ、その後、適切に環化および脱保護される。または、脱保護、および上記の樹脂またはベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂もしくはメチル-ベンズヒドリルアミン(MBHA)からのペプチドの切断は、0℃においてフッ化水素酸(HF)で、続いて、高希釈条件下での空気酸化で起こりうる。
【0083】
コノペプチドおよび他のタンパク質に存在するジスルフィド結合はまた、冷蔵室温度下で長期間、線状ペプチドの空気酸化により生成されうる。それゆえに、ジスルフィド含有ペプチドを作製するための方法は、線状ペプチドを酸化し、その後、その結果生じた生成物を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いて分画し、異なるジスルフィド結合配置を有するペプチドを分離することを含む。これらの画分を天然物質の溶出と比較することにより、または簡単なアッセイ法を用いることにより、最大生物学的効果のための正しい結合を有する特定の画分が決定されうる。
【0084】
コヌス テクスティル(Conus textile)毒管cDNAライブラリーの調製は記載されている(Sasaki et al., 1999)。例えば、毒管mRNAは、任意の種(例えば、コヌス アレナツス(Conus arenatus)、コヌス ペンナセウス(Conus pennaceus)、コヌス テススラツス(Conus tessulatus)およびコヌス ベントリコスス(Conus ventricosus)由来の標本から調製されうる(Conticello et al., 2001)。cDNAは、オリゴdT(制限酵素切断部位を含むまたは含まない)プライミングにより調製されるおよび/またはアダプターに連結され、適切なベクターへクローニングされうる。ライブラリー由来のクローンは、その後、例えば、ABI 373またはABI 377自動シーケンサー上でダイターミネーター法により、シーケンシングされうる。
【0085】
配列は、Sequencher 3.0(GeneCodes Corp., Ann Arbor, Mich.)のようなコンピュータープログラムを用いて、ベクターおよびアダプター領域を捨てるように編集されうる。コンティグ(コンティグ配列への個々の配列の集合体)は、手作業で、またはその後の手作業の編集がある場合も無い場合もあるが、自動的に、構築されうる。個々の転写産物は、典型的には、CLUSTAL X(Thompson et al., 1997)のようなコンピュータープログラムを用いて整列され、アラインメントは手作業でさらに正確にしてもよい。系統樹は、近隣結合法(Saitou および Nei, 1987)を用いて構築し、TreeView(Page, 1996)のようなコンピュータープログラムで視覚化されうる。同義置換 対 非同義置換の比率は、MEGA(Kumar, et al., 1993)を用いて解析されうる。種および遺伝子ファミリー内ならびに種および遺伝子ファミリー間の両方において、異なる領域における置換比率の差の有意性を推定するために、無限の自由度を有する片側t検定を用いてもよい。チップテスト(tip test)(Templeton, 1996)は、分岐図の複雑さ(例えば、シグナル+プロペプチドに基づいたツリーにおけるクレードは、成熟ペプチドに基づいたツリーにおけるクレードと異なる)を低減するために解析される領域(例えば、シグナル+プロペプチド、成熟ドメイン)に特異的なアラインメントに基づいて行われる。例えば、Castelloe and Templeton, 1994に示唆されているような、フィッシャー2×2分割検定が、遺伝子ツリーの外枝および内枝におけるサイレント置換 対 交代置換において行われる。
【0086】
RT-PCRは、各コノペプチドファミリーの5'および3'非翻訳領域(UTR)における保存されたエレメントにアニールするプライマーを用いて行われる。RT-PCRについての条件は当業者により決定され、以下のものを含みうる:50℃で40分および94℃で2分、続いて、94℃で30秒、55〜60℃で30秒および68℃で1分の25回の増幅サイクル。その結果生じたPCR断片は、T-オーバーハングベクターへ直接的にライゲーションされ、各反応からのクローンがシーケンシングされうる。
【0087】
分子進化または核酸間の進化距離の決定が求められる場合、非同義置換の同義置換に対する比を解析することが好ましい。非同義置換の同義置換に対する比、KA/KS比、はLi et al.の方法により行われうるが、種間でポジティブ選択された遺伝子を検出することができる他の解析プログラムもまた用いられうる。Li et al., 1985; Li, 1993; Messier and Stewart, 1997; Nei, 1987。KA/KS法は、比に関して、遺伝子の相同性タンパク質コード領域間の非同義部位当たりの非同義置換の割合(KA)と、同義部位当たりの同義置換の割合(KS)との比較を含むが、進化の間の自然選択と対立するものとして、適応選択によって決定されうる配列置換を同定するために用いられる。同義(「サイレント」)置換は、遺伝暗号の縮重のために、コードされるアミノ酸配列に変化を起こさない置換である。非同義置換は、結果としてアミノ酸の交代が生じる。各型の変化の程度は、それぞれ、KAおよびKS、同義部位当たりの同義置換および非同義部位当たりの非同義置換の数として見積もられうる。KA/KSの計算は、手作業で、またはソフトウェアを用いることにより、行われうる。適したプログラムの例は、MEGA(Molecular Genetics Institute, Pennsylvania State University)である。
【0088】
KAおよびKSを見積もることを目的として、完全かまたは一部のいずれかのタンパク質コード配列が、同義および非同義置換ならびに非同義および同義部位の総数を計算するために用いられる。解析されるポリヌクレオチド配列の長さは任意の適切な長さであることができる。好ましくは、ありとあらゆる有意な変化を決定するために、全コード配列が比較される。適切で望ましい場合、比較は、特定の機能ドメインなどに限定されうる。Li93(Li (1993))またはINAのような公的に利用可能なコンピュータープログラムは、すべてのペアワイズ比較についてKAおよびKS値を計算するために用いられうる。この解析は、少数の重要な変化が配列全体により隠されないように、「スライディングウィンドウ」様式で配列を調べるようにさらに適応しうる。「スライディングウィンドウ」とは、遺伝子の連続した、重複しているサブセクションの調査を指す(サブセクションは任意の長さでありうる)。
【0089】
KA/KSは、適応進化が研究中の配列において作動した程度の反映であることが示された。KA/KS比が高ければ高いほど、配列が適応進化を受けたこと、および非同義置換が進化的に有意であることの可能性が高い。例えば、Messier and Stewart (1997)を参照されたい。
【0090】
核酸またはポリヌクレオチド配列は、相同配列を同定するために比較される。この比較を完了するための任意の適切な機構は、本発明により企図されている。アラインメントは手作業で、またはソフトウェア(適したアラインメントプログラムの例は当技術分野において公知である)により行われうる。核酸またはポリペプチド配列は、データベース検索(例えば、BLAST検索)による比較のために選択されうる。高スコアの「ヒット」、すなわち、BLAST解析後有意な類似性を示す配列が検索および解析される。有意な類似性を示す配列は、比較領域に対して少なくとも約60%〜約99%配列同一性を有するものでありうる。好ましくは、約80%を上回る同一性を示す配列はさらに解析される。データベース検索により同定された相同配列は、Higgins et al., 1992による一般に用いられる簡単なアラインメントプログラムCLUSTAL Vのような、当技術分野において公知であり利用可能な配列アラインメント法およびプログラムを用いてその全体が整列されうる。
【0091】
あるいは、核酸またはポリペプチド配列のシーケンシングおよび相同性比較は、シーケンシングチップテクノロジーにより同時に行われうる。例えば、米国特許第5,545,531号を参照されたい。
【0092】
整列化させた核酸またはポリペプチド配列は、アラインメントの各位置に観察されるヌクレオチドまたはアミノ酸を同定するために解析される。この場合もやはり、この解析を達成するための任意の適切な方法は、本発明により企図されている。検出された配列の違いは、一般的に正確さについて調べられる。好ましくは、最初の調査は、以下の段階の1つまたは複数を行うことを含み、それらのすべては当技術分野において公知である:(a)2つの配列間に変化がある位置を見出す段階;(b)当該配列に固有と思われる塩基もしくはアミノ酸が呼び出された塩基もしくはアミノ酸に特異的な強く明らかなシグナルに対応しているかどうかを決定するために配列フルオログラム(クロマトグラム)またはデータ源を調べる段階;および/または(c)配列変化に対応する複数の配列があるかどうかを見るために追加の配列を調べる段階。参照配列において異なるヌクレオチドまたはアミノ酸がある位置における、同じヌクレオチドもしくはアミノ酸を有する同じ遺伝子またはペプチドへの複数の配列エントリーは、当該配列が正確であること、および変化が有意であることの独立した裏付けを提供する。そのような変化は、これらのヌクレオチド配列変化が結果としてコードされたタンパク質のアミノ酸配列における変化を生じるかどうかを決定するために、データベース情報および遺伝暗号を用いて調べてもよい。「ヌクレオチド変化」の定義が明らかにしているように、本発明は、対応する配列と比較した場合、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列における少なくとも1つのヌクレオチド変化、置換、欠失、または挿入を含む。
【0093】
ヌクレオチドまたはポリペプチド配列内の、特に高程度の淘汰圧を受けやすい配列において、新しく同定された有意な変化は、固有の、増強または変化した機能的能力との潜在的な関連を示唆しうる。
【0094】
本発明のペプチドをコードする核酸は、二重ハイブリッドレポーター系のいずれかのようなレポーター構築物、またはファージディスプレイのようなディスプレイ系に融合されうる。さらに、核酸は、シグナル配列などに融合させてもよい。核酸はまた、発現ベクターを含むベクターに挿入してもよく、かつ適切な場合には原核細胞または真核細胞に導入してもよい。
【0095】
本発明の範囲内に含まれる機能的核酸は、アンチセンス分子、アプタマー、プローブ、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部ガイド配列を含む。アプタマーは、標的分子と、好ましくは特異的様式で相互作用する分子である(概説として、Gold et al., 1995, Annu. Rev. Biochem., 64, 763;およびSzostak & Ellinigton, 1993, The RNA World, ed. Gesteland and Atkins, pp 511, CSH Laboratory Press参照)。典型的には、アプタマーは、ステム-ループまたはG-カルテットのような定義済みの二次および三次構造へ折り畳める15〜50塩基長の範囲である低分子核酸である。アプタマーは、ATP(米国特許第5,631,146号)およびテオフィリン(米国特許第5,580,737号)のような低分子、ならびに逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)およびトロンビン(米国特許第5,543,293号)のような高分子を結合させることができる。アプタマーは、10-12 M未満の標的分子からのkdで非常にしっかりと結合することができる。アプタマーは、10-6未満のkdで標的分子を結合させることが好ましい。アプタマーを作製および使用する方法の代表的例は、米国特許第6,458,559号に見出されうる。
【0096】
本発明の方法により構築されたペプチドライブラリーは、反復ライブラリー解析および再合成によりスクリーニングしてもよい。ライブラリーのペプチドは、所望の活性について、例えば特定の受容体への結合活性についてプールかつスクリーニングされうる。いったん所望の活性が同定されたならば、ライブラリーは、1つの可変性アミノ酸を有するペプチドの1つまたは複数のプールが一定に保たれているように再合成される。ペプチドの1つまたは複数のプールは、同定されたまたは所望の活性について反復して再スクリーニングされる。スクリーニングまたは選択は、ファージディスプレイ、選択的感染性ファージ、結合についてスクリーニングするためのポリソームテクノロジー、酵素活性またはタンパク質安定性についてのアッセイ系のような当技術分野において公知の方法により行われうる。所望の性質を有するポリペプチドは、対応する核酸配列のシーケンシングにより、またはアミノ酸シーケンシングにより同定してもよい。
【0097】
ペプチドライブラリーはまた、1つまたは複数の物質への結合についてスクリーニングされ、結合されていないペプチドは除去され(例えば、結合していないペプチドを十分に洗浄することにより)、その後結合したペプチドが溶出されうる。溶出されたペプチドはその後、同じかまたはよりストリンジェントな条件を用いて再スクリーニングされうる。この工程は、所望の結合特異性または活性を得るために繰り返されうる。選択の最終ラウンドから溶出されたペプチドは、例えばイオン化質量分析法または当技術分野において公知の他の方法を用いてシーケンシングしてもよい。
【0098】
配列のセットはまた、位置同定アプローチ(例えば、アレイまたはチップアプローチ)と結びつけられた、本明細書に開示されている方法を用いて構築してもよい。この方法によりライブラリーのペプチドまたは核酸が合成され、個々の種は、米国特許第5,143,854号に記載されている、マイクロキャリアビーズへの共有結合的な結合のような公知の方法により付着させられる。または、ペプチドまたは核酸は、マルチウェル支持体または他の公知の構造体および物理的支持体へ付着させてもよい。この方法は、Jayawickreme et al., 1994の方法によりさらに改変してもよい。Jayawickreme et al.の方法は、気相遊離手順を用いてマイクロキャリアビーズへ結合したペプチドを遊離させ、それによりマイクロキャリアビーズに共有結合的に付着していたペプチド末端が本来の活性に必要であるペプチドの分析を促進する。
【0099】
本発明のペプチドおよび核酸は、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、UV光励起性色素、消光部分、およびそれらの組み合わせのような蛍光化合物に連結させてもよい。蛍光化合物の連結は、アミン反応性プローブの使用を介するような当技術分野において公知の方法により達成されうる。または、ペプチドおよび核酸は、放射性同位元素、ビオチン、ハプテン、抗体もしくはその断片、非蛍光色素、酵素(例えば、ペルオキシダーゼおよびトポイソメラーゼ)、ペプチドまたは化学物質による手段、当技術分野において公知の他の手段により標識してもよい。追加のアミノ酸および/またはヌクレオチドは、標識の付着を促進するためにライブラリーへ、一方の末端(カルボキシ末端、5'末端、アミノ末端または3'末端)位置で付加されうる。さらに、標識は、約2〜50個の炭素原子の炭素鎖などのようなリンカーを介して付着しうる。
【0100】
本発明はまた、以下の1つまたは複数を含むキットを提供する:本発明の核酸;本発明のペプチド;組換えベクター;本発明の核酸を含むもしくは含まない、または本発明のペプチドを発現するもしくは発現しないこともある適した宿主細胞;抗体;受容体;コンピュータープログラム;および本発明のペプチドまたは核酸を作製するための方法。
【0101】
本発明は、以下の非限定的例証的実施例の使用によりさらに説明される。
【0102】
実施例1
cDNAライブラリーの構築
cDNAライブラリーを適切な細胞、組織、または生物を用いて構築する。さらにその細胞または生物は、時間的(例えば、細胞周期のG2期)または発生的(例えば、3齢幼虫期の昆虫、原腸形成中の生物など)に段階化し採取してもよい。当業者は対象となる特性に従って、分析する適切な細胞、組織、または生物を選択できる。例えば、疾病の治療に有用なコノペプチドを産生する毒液産生細胞が公知である。そこで、毒液産生細胞の単離によってコノペプチドを含みかつ発現する細胞を濃縮する。
【0103】
一つの態様において、イモガイ属(Conus)の毒液管細胞(RNeasy kit, Quiagen; RNAse-free Rapid Total RNA kit, 5 Prime--3 Prime, Inc.)から全RNAを抽出し、そのRNAの完全性および純度を従来の分子クローニング法に従って決定する。ポリA+RNAを単離し(Mini-Oligo(dT) Cellulose Spin Columns, 5 Prime--3 Prime, Inc.)、オリゴ(dT)をプライマーとして用いたcDNA逆転写用の鋳型として使用する。合成されたcDNAは、市販されているキットを用いてクローニング用に処理および修飾する。次に組換え体を宿主細胞系に挿入し増幅させる。挿入混合物の一部を増幅し、残りは増幅前に保存しておく。ライブラリーを標準化することが可能であり、ライブラリー中の独立した組換え体の数を決定する。
【0104】
実施例2
配列比較
宿主細胞系におけるcDNAライブラリー由来のcDNAまたはmRNAから直接調製したcDNAのいずれかのPCR増幅用に、候補となる生物の遺伝子に基づく適切なプライマーを調製および使用する。cDNAライブラリーから選択したcDNAクローンは、ABI377等の自動シークエンサーを用いて解析する。M13ユニバーサルプライマーおよびリバースプライマー等のプライマーもこの配列決定に使用できる。あるいは、このプライマーはcDNA中に見られる1つまたは複数の部位とのアニーリング用に設計してもよい。末端解析によって完全には配列決定されない挿入部のために、色素標識したターミネーターまたはカスタムプライマーが残りのギャップを埋めるために使用できる。配列はまたコード化されたタンパク質の直接配列決定によっても調べられる。
【0105】
コノペプチドをコードしているDNAを、Oliveraら(1996)による記載のように当技術分野において公知の従来技術および手順を用いて単離およびクローニングした。例えば、プライマーは公知のコノペプチドのDNA配列に基づいてもよい。M13ユニバーサルプライミング部位およびM13リバースユニバーサルプライミング部位にほぼ対応するプライマーを使用し、単一クローン由来のDNAを従来技術によって増幅した。約300〜500ヌクレオチドの長さがあるクローンを配列決定し、公知のコノペプチド配列との類似性をスクリーニングした。
【0106】
実施例3
表1は系統発生的に関連するコノペプチドのアライメントを示す。表1で示すように、3〜5位、7〜9位、13〜15位、および17位は保存されているが、1〜2位、6位、10〜12位、16位、および18位は、異なった許容される置換を示している(太字表記)。
【0107】
可変位置は2位または3位のどちらかの許容される置換を含む。本例の配列は、捕食性のイモガイ属マキガイが、とりわけ被食者を動けなくするために使われる毒を表す。そこで、この配列は強い自然選択に曝されている。例えば、このペプチドは被食者となる様々な生物種の受容体に高い親和性で結合しなければならない。そのため許容される置換は、様々な被食者の標的となる受容体における相違を反映しうる。あるいは、許容される置換は、遅い解離率などのような他の選択的な利点を反映しうる。全ての許容される置換と他の全ての許容される置換を組み合わせることで、本発明は、有害なまたは許容されない置換も含めた全ての可能な組み合わせのサンプリングを必要とせずに、元々の集団にはない有利な配列の同定を規定する。そこで、全ての許容されるアミノ酸のライブラリーを使用することは、ランダムな有害である可能性のあるアミノ酸を導入せずに、有用なペプチドの最も可能性のある範囲を含むライブラリーを提供する。
【0108】
代表的なコノペプチドの配列アライメントは本発明の一態様の適用を実証する。
【0109】
(表1)

【0110】
本実施例では、Xaa1がGly、Qln、またはProであり、Xaa2がGly、Glu、またはQlnであり、Xaa3がHisまたはTyrであり、Xaa4がAlaまたはAsnであり、Xaa5がValまたはLeuであり、Xaa6がAsn、Asp、またはSerであり、Xaa7がLeuまたはIleであり、およびXaa8がGly、Arg、またはAspである配列

からなるライブラリーを調製する。
【0111】
図1で示す配列の系統発生的な関連を系統発生的に関連のある配列の選択のために使用した。系統発生的に関連のある配列の選択には、所望のライブラリーの目的に基づいて、望ましい任意の数の配列を含めてもよい。本実施例において、系統発生的に関連のある配列は、それらの密接な系統発生的関連に基づき、ニコチンアセチルコリン受容体と相互作用するα-コノトキシンファミリーのメンバーとして選択した。最初の6つの配列を選択した(図2)。表1で示すように、8つのアミノ酸位置に可変アミノ酸が含まれた。これらの変化のそれぞれは特異性または活性上昇を与える可能性がある。8つの同定された位置それぞれで許容される変化の可能な組み合わせを全て検証するために、全部で1296個のアミノ酸配列を作製した。対照的に、許容される置換を有するそれら8つの位置をランダム化して全アミノ酸を各配置する場合、全部で2.5×1010のペプチド配列を作製しなければならない(20個の天然アミノ酸と仮定)。本実施例では、配列は当技術分野において公知の方法によって化学的に合成し折りたたまれた。これには適当なシステイン残基間のジスルフィド結合の作製が含まれる。
【0112】
(表1.1)

【0113】
3位〜5位は保存されているので、この3つの位置は1つの観察されるメンバーを有し、Cys-Cys-Serとして固定している。同様に、7〜9位、13〜15位、および17位は保存され、不変または固定アミノ酸である。1〜2位、6位、10〜12位、16位、および18位は異なったアミノ酸を示している。例えば6位は2つの許容されるアミノ酸His(H)およびTyr(Y)を示している。
【0114】
本発明は全ての許容される置換の組み合わせを表すライブラリーを含む。1位は3つの許容されるアミノ酸のうちの1つからなり、この3つは位置2の3つの許容されるアミノ酸、6位で観察される2つの許容されるアミノ酸、10位で観察される2つの許容されるアミノ酸、11位で観察される2つの許容されるアミノ酸、12位で観察される3つの許容されるアミノ酸、位置16で観察される2つの許容されるアミノ酸、および位置18で観察される3つの許容されるアミノ酸と組み合わされる。したがって、各位置で観察されるアミノ酸の集合を表す配列セットは、アミノ酸の、1296(3×3×2×2×2×3×2×3)の可能な組み合わせとなる。したがって、各位置の全アミノ酸を完全に表すためには、SEQ ID NO:7の配列を有する1296の配列のセットができる。
【0115】
適切な場合、例えば本実施例のライブラリーはジスルフィド結合を形成するように処理してもよい(2/28/03に出願された米国特許出願第10/377,332号を参照)。このペプチドはタンパク質ジスルフィド異性化酵素で処理してジスルフィド結合を形成させることもできる。例えば、ウシタンパク質ジスルフィド異性化酵素(PDI)を、1mM EDTA、0.1mM GSSG、および2μM PDIを含む0.1M Tris/HCl(pH7.5)中のペプチドのセットに0℃で加える。あるいは、酸化的折りたたみ反応を、1mM EDTA、0.5mM GSSG、および5mM GSHを含む0.1M Tris/HCl(pH8.7)中において22℃で行うこともできる。適切な時間の後、ギ酸を終濃度8%になるように加えて反応を終了させる。
【0116】
当業者は、ランダムで行う場合必要になる少なくとも2.5×1010個ペプチドの合成と比較して、1296個のペプチド配列の合成が重要な改良を示すことを認識すると思われる。したがって、有利な特性を判別する能力を犠牲にせずに、または機能しないかもしくは用いるアッセイ法で確かめられる所望の特性を有さない可能性がある単一ペプチドの分析に限定せずに、本発明は機能スクリーニングに必要なペプチドの数を扱いやすい数に減少させる。さらに、ライブラリーの各ペプチドは、代表的な各配列の正しい折りたたみ型の生成を促進する比較的高濃度で存在すると考えられる。
【0117】
1296の代表的な配列を含むライブラリーは、任意の位置について全ての可能な許容されるアミノ酸の組み合わせから選択された進化上代表的ではない生物種の選択を考慮している。
【0118】
実施例4
受容体結合アッセイ法を用いたタンパク質機能の研究
配列セット(ライブラリー)の機能は、そのセット(例えば、実施例3に開示した1296個の配列のセット)をアッセイすることで決定できる。受容体アッセイ法はMcIntosh(2000)が著した方法を適用して行う。受容体の生理学的、形態学的、および/または生化学的試験によって、ライブラリー、およびそれに続いて代表的な各配列を特定の表現型と関連付けることが可能である。
【0119】
コノトキシンライブラリーの結合:実施例3のコノトキシンライブラリーをCruzおよびOlivera(1986)が著した方法によってヨウ素化する。結合プロトコルはHillyardら(1992)が著した方法の変法である。Harlan Sprague-Dawleyラット由来の粗脳膜をCatterall(1980)の記載のように調製する。ここで、緩衝液組成は前記CruzおよびOliveraの記載のように変更する。ラット脳膜への125I標識コノトキシンライブラリー配列の結合を、約10mg膜タンパク質、100,000cpm無担体[125I]コノトキシンライブラリーペプチド(約150pm)、0.2mg/mlリゾチーム、0.32Mショ糖、100mM NaCl、および5mM HEPES/Tris(pH7.4)を含む200mlのアッセイ混合液中で測定する。非特異的結合は、[125I]コノトキシンライブラリーの添加前に1mMの非標識コノトキシンライブラリーを含む膜調製物を氷上で30分間プレインキュベートすることによって測定する。このライブラリーを氷上で30分間プレインキュベートして活性を評価する。次に、最終アッセイ混合液を室温で30分間インキュベートし、160mM NaCl、1.5mM CaCl2、2mg/mlウシ血清アルブミン、5mM HEPES/Tris(pH7.4)を含む洗浄用緩衝液1.5mlで希釈する。膜はグラスファイバーフィルター(0.1%ポリエチレンアミンに浸したWhatman GF/C)上に回収し、例えばBrandellのモデルM-24装置を用いて、洗浄用緩衝液1.5mlで4回洗浄する。次いでフィルターの放射能量を測定する。
【0120】
標識されたライブラリーを1つまたは複数の標的に対してスクリーニングする。例えば、α4β2ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)の結合についてライブラリーをスクリーニングする。Pabrezaら(1991)の手順を使用する。[3H]シチシン(15〜40 Ci/mmol)をPerkinElmer Life Sciences等の販売業者から入手する。ラット前脳膜を、120mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、および2.5mM CaCl2を含む50mM Tris-HCl(室温でpH7.0)中で4℃75分間インキュベートする。非特異的結合は10mMニコチンを用いて特徴付ける。
【0121】
アドレナリン作動性α1結合についてライブラリーをスクリーニングする。ラット前脳膜を0.3nM [3H]プラゾシン(70〜87 Ci/mmol)を加えてインキュベートする。反応は50mM Tris-HCl(pH7.7)中で25℃約60分間行う。プラゾシン(1.0mM)を非特異的結合を特徴付けるために使用する(19, 20)。
【0122】
アドレナリン作動性a2結合についてライブラリーをスクリーニングする。ラット皮質膜を1.0nM [3H]RX821002(40〜67 Ci/mmol)を加えてインキュベートする。反応は50mM Tris-HCl(pH7.4)中で25℃75分間行う。RX821002(0.1mM)を非特異的結合を特徴付けるために使用する(20, 21)。
【0123】
アドレナリン作動性b1結合についてライブラリーをスクリーニングする。ラット皮質膜を0.2nM(2)[125I]ヨードピンドロール(2200 Ci/mmol)および120nM ICI-118,551(アドレナリン作動性b2受容体を遮断するため)を加えてインキュベートする。反応は150mM NaCl、2.5mM MgCl2、および0.5mMアスコルビン酸塩を含む50mM Tris-HCl(pH7.5)中で37℃約60分間行う。塩酸アルプレノロール(10mM)を非特異的結合を特徴付けるために使用する(22, 23)。
【0124】
ライブラリーの各標本は標的と結合する可能性を有する。したがって、記載のアッセイ法を行うことで、ライブラリーの1つまたは複数のメンバーに対する1つまたは複数の標的を同定する。このように、アッセイ法ではリガンド結合メンバーを同定する。ライブラリーには系統発生的に関連のある配列における2つまたはそれ以上の非保存位置で許容される置換の組み合わせが含まれているので、ライブラリーは1つまたは複数の機能的標的の同定に特に適している。さらにライブラリーは、受容体のサブファミリーへの結合または結合の増加を判別するのに特に適している。
【0125】
最も望ましい結合特性を有するライブラリーのメンバー(例えば最も高い結合親和性)をストリンジェントな条件下で行う結合アッセイ法によって同定する。個々のライブラリーのメンバー(リガンド結合メンバー)は、可能であれば後にペプチド配列決定または質量分析を行う、繰り返しスクリーニングまたは結合ポリペプチドの溶出によって同定してもよい。
【0126】
実施例5
ファージディスプレイによるライブラリーのスクリーニング
アミノ酸配列または核酸配列をスクリーニングまたは選択する1つの方法は、1つまたは複数の縮重部位を含みうる核酸または核酸セットの宿主細胞への導入である。宿主細胞はその後、所望の特性を有する1つまたは複数の核酸配列またはアミノ酸配列を同定するためにスクリーニングまたは選択してもよい。例えば、アミノ酸配列はファージディスプレイまたは発現ベクターを用いて同定できる。
【0127】
ファージ表面上での実施例3のポリペプチドをコードするライブラリーのようなライブラリーのディスプレイのために、ライブラリーの代表的なポリペプチドをコードする合成遺伝子を、fdSN等の線状ファージベクターに挿入してクローニングする。ライブラリーポリペプチドはC末端またはN末端のどちらかで担体タンパク質に連結することもできる(例えばファージの遺伝子3タンパク質)。ライブラリー配列の担体タンパク質への融合がファージの感染力またはパッケージングに重大な悪影響を与えないことを判定するために、fdSNおよび融合ファージ構成物を含む培養物を検証する。
【0128】
アミノ酸配列を個々にまたは縮重配列として対応するコード核酸配列に逆翻訳する。例えば、実施例3のペプチドは次の縮重核酸

を用いても生じうる。RNAにおける可能性のある二次構造、融解温度、宿主細胞におけるコドン選択などの要因、および当技術分野において公知の他の要因が適切な選択に影響する場合、当業者はいくつもの他の配列も使用できることを認識すると思われる。
【0129】
ファージ上のライブラリーの発現は、野生型タンパク質を含むヘルパーファージおよびfd-ライブラリーファージ由来の担体タンパク質の、ウェスタンブロットのバンドサイズを比較することにより決定する。ファージ表面上に発現するライブラリーの機能的活性を調べるために、α4β2ニコチンアセチルコリン受容体等の標的へのfd-ライブラリーファージの結合活性を検証する。ライブラリーのジスルフィド結合の還元は結合を破壊することもあるので、ライブラリーの機能的活性のためのジスルフィド骨格の必要性を検証する。fd-ライブラリーのジスルフィド結合を還元するために1%β-メルカプトエタノールまたは同様な試薬を加えてインキュベートしたファージを、非処理ファージと比較した結合親和性の減少について検証する。
【0130】
適切ならば、そのファージをジスルフィド結合形成が増加するように処理してもよい。例えば、ファージをタンパク質ジスルフィド異性化酵素で処理するか、またはタンパク質ジスルフィド異性化酵素をファージの宿主細胞内で発現させてもよい。
【0131】
受容体結合についてファージライブラリーを検証する。連続する各回における陽性クローン単離体を再びスクリーニングすることによって、陽性クローンを選択し結合について再試験する。例えば、4回目からの個々のコロニーを受容体結合についてアッセイする。次にこれらのクローン由来のDNAを配列決定する。
【0132】
選択した配列がファージの非存在下で機能を保持しているかどうかを決定するために、同定したクローンを検証する。同定した配列を単離し、大腸菌で発現させるかまたは合成する。そのタンパク質配列を単離し、再度受容体結合を検証する。
【0133】
ファージライブラリーは担体タンパク質とペプチドの間に切断部位を加えて構築してもよい。例えば、1つまたは複数のタンパク分解切断部位を核酸によってコード化してもよい(例えばエンドプロテイナーゼPro-Pro-Y-Pro、ファクターX、またはトロンビン(Invitrogenから入手可能))。あるいは、そのペプチドは化学的切断によって担体タンパク質から切断できる。
【0134】
実施例6
標的の同定
本発明は昆虫科特異的標的を含む標的の同定のために使用する。オーストラリアジョウゴグモから単離された昆虫特異的神経毒が報告されている。w-ACTX-1ファミリーペプチド(米国特許第5,959,182号)はそれぞれ、3つのジスルフィド結合を形成する6つの厳密に保存されたシステイン残基を有する36〜37の残基を含む。一種類のクモで6以上の毒の変異を有しうり、いくつかの変異は保存残基のたった1つの置換によって異なることが報告されている(Wang, X.-Hら(1999)。w-ACTX-1ファミリーの毒は、コウチュウ目、バッタ目、チョウ目、およびハエ目のメンバーを含む広範な昆虫に対して致命的であるが、マウス新生児に注射しても無害であることが報告されている(前記Wang, X.-Hら、Fletcher, J.I.ら(1997)、Tedford, H.W.ら(2001))。毒をアメリカゴキブリ(Periplaneta americana)に注入すると、運動力の欠如、立直り反射の欠如を伴う肢部の高頻度な痙攣に続き麻痺および死亡を引き起こす(前記Fletcher, J.I.ら)。ゴキブリの後胸神経節へ毒を直接投与すると、後肢反射が消滅するが、後胸神経節の運動神経によって直接刺激されない前肢には影響がない(同上)。そのため、これらのペプチドは抑制作用のある神経毒として分類できる。電気生理学的研究によって、昆虫の電位作動型カルシウムチャネル(VGCC)は遮断するが脊椎動物のチャネルは遮断しない能力に由来する毒の系統発生的特殊性が明らかになった(同上)。チャネルの亜型はN様またはL様のVGCCであると示唆されているが未知である。
【0135】
w-ACTX-1の標的分子の決定
w-ACTX-1ファミリーペプチドを整列化し、ライブラリーの代表的な配列を決定する。例を表2および2.1に示す。前述したようにポリペプチドライブラリーを構築する。その後ライブラリーペプチドをそれぞれ固体支持体上に並べる。次にそのアレイを、N-およびL-電位作動型カルシウムチャネル、および/または電位作動型ナトリウムチャネル、および/またはヘリオティス アルミゲラ(Heliothis armigera)から単離されたGABA受容体を含む受容体調製液でスクリーニングする。受容体結合が同定される。
【0136】
(表2)

【0137】
(表2.1)

【0138】
系統発生的に関連のある配列は進化上の距離を基に選択してもよい。例えば、アクセッション番号P81803を選択した系統発生的に関連のある配列から除外してもよい。この場合、表3および3.1は許容されるアミノ酸の置換の組み合わせを表す配列を示している。アクセッション番号P81803を系統発生的に関連のある配列から除外する場合、各位置で観察されるアミノ酸の結合を有する配列の組み合わせセットは2,304から24の配列に減少する。そこで、系統発生的に関連のある配列の選択はライブラリーの複雑性に影響する。
【0139】
(表3)

【0140】
(表3.1)

【0141】
アノフェレス ステフェンシに特異的な高親和性毒の同定
メソキクロプス ロンギセトゥス(Mesocyclops longisetus)は双翅目であり、同じく双翅目のアノフェレス ステフェンシ(Anopheles stefensi)等のカを捕食すると報告されている。カの個体群駆除におけるM.ロンギセトゥスの使用が増えているが、M.ロンギセトゥスのような生物種で処理しているにもかかわらず、カの駆除において有用な毒についての必要性が残存している。
【0142】
前述したw-ACTX-1ペプチドのライブラリーアレイを、アノフェレス ステフェンシ受容体への特異的結合についてスクリーニングする。そのライブラリーアレイをM.ロンギセトゥス受容体への特異的結合について検証する。A.ステフェンシ受容体への特異的結合を示し、かつM.ロンギセトゥス受容体への結合の減少または結合しないことを示す1つまたは複数のペプチドを選択する。この方法によって単離したペプチドは、M.ロンギセトゥス等の自然の捕食者に実質的な逆効果を与えずに、カの駆除において使用してもよい。
【0143】
各配列は様々な昆虫の受容体への結合について自然選択を受けてきたアミノ酸の1つまたは複数の可能性を示すので、本発明に従って調製したライブラリーの使用は標的受容体の同定を促進する。したがって、整列化ペプチドがそれに結合するように選択されてきた受容体をカの幼虫が発現しなくても、全ての可能な許容される置換がライブラリー中で示され、所望の結合を同定する見込みを増加させる。
【0144】
当業者が認識するように、これらの方法および原理は他の配列および/または生物にも適用できる。
【0145】
実施例7
系統発生的に関連のあるμ-コノトキシン
表4に示すように、系統発生的に関連のあるμ-コノトキシンを整列化した。
(表4)整列化したμ-コノトキシンアライメント

【0146】
(表4.1)

【0147】
表4はμ-コノトキシンファミリー由来の系統発生的に関連のある配列のアライメントを示している。コノトキシンCn3.4およびIm3.1は、μ-コノトキシンファミリーの新規メンバーを示し、その機能および属性は2001年7月23日に出願された米国特許出願第09/910,009号に記載されている。表4.1は各位置で観察されるアミノ酸を示している(例えば保存されたアミノ酸および許容される置換)。本実施例は非保存位置での欠失または挿入(インデル)を有するアライメントを示し、そこではインデルは許容される置換となっている。表4および4.1の1位は、A3.3、Nb3.2、A3.5、Sm3.1、およびCn3.4での挿入、またはIm3.1での欠失とみることができる。このように、本明細書においてアミノ酸または核酸が存在しないことを示すために使われるインデル、およびピログルタミン酸(Z)が1位で観察される。
【0148】
欠失を有するライブラリーを作成するために、欠失位置を個々に処理する。したがって、第1のの配列サブセットが作製され、ここで第1の位置は(位置ではない)全配列から欠失しているとみなされる。この結果として、長さが22アミノ酸である16のペプチド配列のサブセットが作製される。第2のサブセットが作製され、ここで第1の位置はピログルタミン酸であり、このサブセットは23アミノ酸の16のペプチド配列を有する。次にこれら2つのサブセットは最終セットを生じさせるために組み合わされる。
【0149】
実施例8
保存的置換の処理
表5は系統発生的に関連するコノトキシン配列の各位置で観察されるアミノ酸(例えば保存および非保存アミノ酸)を示している。表5に示す位置8および14は、保存的置換を有すると考えてもよい。保存的置換を考慮せずに、全ての許容される置換の組み合わせを有するライブラリーの作成は、SEQ ID NO:24で示されるように、864のペプチドの作製を必要とすると考えられる。ライブラリー作製に必要なペプチド数が増加するにつれて、実質的な限界(特にインビトロでのタンパク質合成について)がますます重大になる。そのため、ペプチド数が極端に多い場合、またはライブラリーの複雑性を減らす理由が他にある場合、複雑性をさらに減少させるために保存的置換を使用してもよい。疎水性側鎖等の保存的置換は同等であるとして処理してもよい。
【0150】
保存的置換は当技術分野において公知であり、例えば、次に示す最初にMargaret Dayhoffによって作成されたPAM250行列によって決定してもよい。

PAM250アミノ酸類似度行列

【0151】
上記PAM250行列は互いに類似のアミノ酸が互いに近接するように配置されてきた。上記の行列で示すように、AlaおよびSer、またはLeuおよびMetは保存的置換である。したがって、観察されるAlaおよびSerの置換は、SEQ ID NO:27にあるように、AlaおよびSerが同等であるとの仮定により許容される置換の決定から除いてもよい。
【0152】
(表5)

【0153】
SEQ ID NO:24に必要なペプチド数は、問題を提起するのに十分ではないかもしれないが、代表的ペプチドの数を減少させうる方法の例となっている。
【0154】
位置2および/または7を許容される保存的置換の1つに限定することで、必要とされる最終的なペプチド数は減少する。例えば、2位および7位で観察される保存的アミノ酸を用いることで、必要なペプチド数は864から288に減少する。
【0155】
実施例9
インデルおよび保存的置換
表6は系統発生的に関連のある配列のアライメントを示す。各位置の観察されるアミノ酸を表6.1で示す。本実施例は複数のインデルおよび保存的置換を有するアライメントを示している。
【0156】
インデルを有するペプチドライブラリーの合成のため、ライブラリーの化学合成を目的としてインデルの位置を個々に処理する。次に、表6.2で示すように、ペプチドサブセットを最終セットまたはライブラリーの作成のために組み合わせる。
【0157】
(表6)整列化したβ-コノトキシン

【0158】
(表6.1)

【0159】
(表6.2)

【0160】
表6.2に示すサブセット1から4を、2,592の特有なペプチドを有する最終セットまたはライブラリーの作製のために組み合わせる。あるいはは、ライブラリーにおけるペプチド数を減少させるために保存的置換を考慮する。表6.3は保存的置換(縁取り文字で示した代表的アミノ酸)を有する位置および、同等なアミノ酸としての保存的置換処理の影響を示している。
【0161】
(表6.3)

【0162】
表6.3に示すサブセット1Aから4Aを、648のペプチドを有する最終セットまたはライブラリーの作製のために組み合わせる。機能的に同等であるとして保存的置換を処理することは必要なペプチド数を2,592から648に減少させる。
【0163】
実施例10
コンピュータによる配列の計算
例えば、Mn3.1、Ac3.3、A3.1、M3.7、M3.3、Cn3.1、A3,3、Nb3.2、A3.5、Sm3.1、およびCn3.4の配列をコンピュータプログラムに入力し、配列の関係を比較し、好ましくは系統樹のような視覚的な出力を作成する。操作者は所望の系統発生的に関連のある配列を決定し、配列識別名をコンピュータに入力してもよい。あるいは、系統発生の関連の所望の度合を分析の初めにセットし、選択した系統発生的に関連のある配列の出力を、さらなる許容される置換および任意の保存的な置換の分析に自動的に送ってもよい。どちらの場合でも、その後コンピュータプログラムは本明細書に記載のように各位置で観察されるメンバーを同定する。次に、各位置で観察されるメンバーの集合からなる配列セットの作成に必要な配列が利用者に出力される。
【0164】
本発明は、少なくとも1つのプロセッサー、少なくとも1つのデータ記憶システム(揮発性および非揮発性メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置を有するコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムにおいて実施してもよい。本明細書に記載の機能を実行し出力情報を作成するために、プログラムコードを入力データに適用する。出力情報は公知の様式によって1つまたは複数の出力装置に適用する。
【0165】
プログラムはコンピュータシステムと通信するように、高レベルの手順または目的指向のプログラミング言語において実施してもよい。プログラムは望ましければアセンブリ言語または機械語でも実施できる。言語はコンピュータによってコンパイルおよび/または翻訳処理が可能な任意の言語でもよい。
【0166】
本明細書に記載の手順を実行するために記憶媒体または装置がコンピュータによって読み込まれる場合、コンピュータを設定し操作するために、通常または特別な目的のコンピュータによって読み込み可能な任意の記憶媒体または装置(例えばROMまたは磁気ディスク)上にコンピュータプログラムを記憶させてもよい。本発明は、コンピュータプログラムで設定されたコンピュータで読み込み可能な記憶媒体として実施されてもよく、この場合、そのように設定された記憶媒体は、本明細書に記載の機能を実行するために特定の、および予め設定した様式でコンピュータが作動するようにする。
【0167】
利用者への出力は、適切で望ましい場合、自動的なペプチドまたは核酸シンセサイザー用の入力としても使用できる。連結反応はBeckman990自動シンセサイザー等で、Rivierら(1978)が報告しているようなプログラムを用いて自動的に実行できる。入力もまた適切で望ましい場合、自動化されたシークエンサーの出力の構成要素となる。
【0168】
実施例11
核酸
表7は系統発生的に関連のある核酸配列のアライメントを示す。示された配列は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)にTATAボックス部位を示す。表7で示すように、5位から9位は異なった許容される置換を表す(太字表記)。
【0169】
(表7)

【0170】
1位から4位は保存位置であり、5位から9位は非保存位置である。5位および6位で許容される置換はそれぞれAまたはTである。7位および8位で許容される置換はそれぞれ、A、T、またはインデル、およびA、G、またはインデルである。9位で許容される置換はAまたはインデルである。このように、最初の4つの位置は不変であり、最後の5つの位置は許容される置換を含む。
【0171】
核酸配列のライブラリーは位置5位から9位を許容される置換に限定することにより作成してもよい。例えば、第1の配列サブセットを6ヌクレオチドの長さで作製する。配列は、tatata、tatatt、tataaa、tataatである。第2の配列サブセットは7ヌクレオチドの長さで作製する。配列は

である。第3の配列サブセットは8ヌクレオチドの長さで作製する。配列は

である。第4の配列サブセットは9ヌクレオチドの長さで作製する。配列は

である。本実施例では、各位置で観察されるヌクレオチドまたはインデルの集合からなる配列のセットを形成するように、4つの配列サブセットを組み合わせる。
【0172】
ライブラリーは所望の特性を有するTATAボックス配列を同定するためにスクリーニングしてもよい。例えば、TATAボックス結合タンパク質を合成しカラムに付着させてもよい。次に、TATAボックス結合タンパク質がライブラリーのメンバーに結合するのに好ましい条件下で、ライブラリーをカラムに通してもよい。非結合メンバーは貫流および続く洗浄段階で除去できる。結合したメンバーを溶出し再びカラムに適用する。これらの段階は適切で望ましい回数繰り返してもよい。最終洗浄段階の後、結合した配列を溶出し、直接配列分析するか、または当技術分野において公知のベクターにクローニングする。この手順によって、TATAボックス結合タンパク質の最適な結合部位が単離される。
【0173】
コノトキシンCn3.4はμ-コノトキシンファミリーの新規のメンバーであり、次の配列を有する。

コノトキシンIm3.1はμ-コノトキシンファミリーの新規のメンバーであり、次の配列を有する。

イモガイ属由来の毒液管は活性型の毒、例えばアミノ酸配列がピログルタミン酸またはグルタミンのいずれかを含みうるCn3.4を発現し、かつ生物活性を保持している。
【0174】
本発明は所定の態様において記述されてきたが、本発明は本開示の精神および範囲の中でさらに変更することも可能である。そのため本出願は、その一般の原則を用いて本発明の任意の変化、使用、または適用が範囲に含まれることを意図している。さらに本出願は、本発明が属する技術分野において公知または通例の実践の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲内に入るような本開示からの逸脱が範囲に含まれることを意図している。
【0175】
参考文献




【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】広範なCognetixコノトキシンデータベース由来の多数のコノトキシン配列の系統発生的な関係を示す。アミノ酸配列の6つはそれらの他の配列との関係と共に例示され、これらはそれぞれSEQ ID NO:1、2、3、4、5、および6に対応している。
【図2】図1に例示された6つのアミノ酸配列およびその配列の系統発生的な関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する方法であって、以下の段階を含む方法:
系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を選択する段階;
該系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を整列させて、アラインメントを作成する段階;
該系統発生的に関連のある配列の該アラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルを同定する段階;および
各位置において同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から本質的になる可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する段階。
【請求項2】
さらに以下の段階を含む、請求項1記載の方法:
リガンド結合ペアメンバーを同定するために可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットをスクリーニングまたは選択する段階;および
同定された個々のリガンド結合ペアメンバーまたは同定された個々のリガンド結合ペアメンバーの混合集団を単離する段階。
【請求項3】
請求項2記載の方法により作製される、同定された個々のリガンド結合メンバー。
【請求項4】
系統発生的に関連のある配列が同じ属由来である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
属がイモガイ属(Conus)またはハドロニケ属(Hadronyche)である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
系統発生的に関連のある配列がコノトキシンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
コノトキシンが成熟毒素である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
系統発生的に関連のある配列がクレードを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一部がコンピューターにより行われる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットの各メンバーが物理的支持体上で分離された位置を占めている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ペプチドライブラリーの各メンバーが物理的支持体上で分離された位置を占めている、請求項2記載の方法。
【請求項12】
可能なアミノ酸配列の組み合わせのスクリーニングまたは選択されたセット由来の同定された個々のリガンド結合ペアメンバーが作製される、請求項2記載の方法。
【請求項13】
可能なアミノ酸配列の組み合わせのスクリーニングまたは選択されたセット由来の同定された個々のリガンド結合ペアメンバーが組換え宿主生物体において産生される、請求項2記載の方法。
【請求項14】
以下の段階をさらに含む、請求項1記載の方法:
(e) アラインメントにおいて保存的変化であるアミノ酸またはインデルを有する少なくとも1つの位置を同定する段階;
(f) 該保存的変化から代表物を選択する段階;および
(g) (e)において同定されたすべての該保存的変化を該位置における(f)由来の該代表物に等価であるとして処理する段階。
【請求項15】
代表物が系統発生的に関連のある配列において出現頻度により選択される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットの各メンバーが物理的支持体上で分離された位置を占めている、請求項13記載の方法。
【請求項17】
以下の段階をさらに含む、請求項14記載の方法:
リガンド結合ペアメンバーを同定するために可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットをスクリーニングまたは選択する段階;
同定された個々のリガンド結合ペアメンバーまたは同定された個々のリガンド結合ペアメンバーの混合集団を単離する段階。
【請求項18】
請求項17記載の方法により作製された個々のリガンド結合メンバー。
【請求項19】
以下の段階を含む、可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する方法:
系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を選択する段階;
該系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を整列させて、アラインメントを作成する段階;
該系統発生的に関連のある配列の該アラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルを同定する段階;
各位置において同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から本質的になる可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する段階;
融合タンパク質のセットをコードする核酸を作製する段階であって、該セットの該各融合タンパク質が担体タンパク質およびペプチドを含み、該ペプチドが可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットから本質的になる、段階;
融合タンパク質の該セットをコードする該核酸をDNAベクターへ導入し、それによって組換えDNAベクターのセットを作製する段階;
組換えDNAベクターの該セットで宿主細胞を形質転換する段階;ならびに
該形質転換された宿主細胞を該融合タンパク質の発現に適した条件下で培養する段階。
【請求項20】
以下の段階をさらに含む、請求項19記載の方法:
リガンド結合ペアメンバーを同定するために、発現された融合タンパク質をスクリーニングまたは選択する段階;および
同定された個々のリガンド結合ペアメンバーまたは同定された個々のリガンド結合ペアメンバーの混合集団を単離する段階。
【請求項21】
請求項20記載の方法により作製された個々のリガンド結合メンバー。
【請求項22】
融合が、担体タンパク質とペプチドの間に切断部位を有する3部からなる融合である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
以下の段階を含む、可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する方法:
系統発生的に関連のある核酸配列を選択する段階;
該系統発生的に関連のある核酸配列を整列させて、アラインメントを作成する段階;
該系統発生的に関連のある配列の該アラインメントにおいて各位置を占めている観察されるヌクレオチドまたはインデルを同定する段階;および
各位置において同定された観察されるヌクレオチドまたはインデルの集合から本質的になる可能な核酸配列の組み合わせのセットを作成する段階。
【請求項24】
核酸配列がポリペプチドをコードする、請求項22記載の方法。
【請求項25】
以下の段階を含む、ペプチドのライブラリーを作成するためのコンピューター支援の方法:
少なくとも2つのアミノ酸配列を記載する文字列をコンピューターシステムへ受け入れる段階;
該少なくとも2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントを示すアラインメントスコアを計算するためにコンピューターシステムにおいてアラインメントアルゴリズムを実行する段階;
系統発生的に関連のある配列を定義するために所望の関係度を定義するパラメーターをコンピューターシステムへ入力する段階;
該少なくとも2つのアミノ酸配列間の系統発生的な関係を最適なアラインメントから作成する段階;
系統発生的に関連のある配列の該アラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルを同定する段階;
各位置で同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から本質的になる可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを定義する段階;および
可能なアミノ酸配列の組み合わせの該セットを作成して、ペプチドのライブラリーを形成する段階。
【請求項26】
以下の段階を含む工程により作成されるアミノ酸配列の組み合わせのセット:
系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を選択する段階;
該系統発生的に関連のあるアミノ酸配列を整列させて、アラインメントを作成する段階;
該系統発生的に関連のある配列の該アラインメントにおいて各位置を占めている観察されるアミノ酸残基またはインデルを同定する段階;および
各位置において同定された観察されるアミノ酸残基またはインデルの集合から本質的になる可能なアミノ酸配列の組み合わせのセットを作成する段階。
【請求項27】
系統発生的に関連のある配列が同じ属由来である、請求項26記載のアミノ酸配列の組み合わせのセット。
【請求項28】
属がイモガイ属である、請求項27記載のアミノ酸配列の組み合わせのセット。
【請求項29】
系統発生的に関連のある配列がコノペプチドである、請求項28記載のアミノ酸配列の組み合わせのセット。
【請求項30】
コノペプチドが成熟毒素である、請求項29記載のアミノ酸配列の組み合わせのセット。
【請求項31】
アミノ酸配列のセットの各メンバーが物理的支持体上で分離された位置を占めている、請求項26記載のアミノ酸配列の組み合わせのセット。
【請求項32】
工程が以下の段階をさらに含む、請求項26記載のペプチド:
所望の性質についてアミノ酸配列の組み合わせの該セットをスクリーニングまたは選択する段階;
アミノ酸配列の組み合わせの該セットから1つまたは複数の個々のリガンド結合ペプチドを同定する段階;および
該個々のリガンド結合ペプチドまたは該個々のリガンド結合ペプチドの混合集団を単離する段階。
【請求項33】
所望の性質が受容体に結合することである、請求項32記載のペプチド。
【請求項34】
以下を含む、ペプチドのセット:
各位置における観察されるメンバーの集合から本質的になるペプチドの組み合わせ。
【請求項35】
観察されるメンバーの集合がコノペプチドを含む、請求項34記載のペプチドのセット。
【請求項36】
観察されるメンバーの集合が成熟コノペプチドを含む、請求項35記載のペプチドのセット。
【請求項37】
ペプチドの組み合わせが物理的支持体へ付着している、請求項36記載のペプチドのセット。
【請求項38】
ペプチドの組み合わせが少なくとも1つの核酸配列によりコードされる、請求項34記載のペプチドのセット。
【請求項39】
ペプチドの組み合わせが宿主細胞系において発現される、請求項34記載のペプチドのセット。
【請求項40】
SEQ ID NO:39に示されたコノトキシンおよびその誘導体を含む単離されたコノトキシンペプチド。
【請求項41】
SEQ ID NO:40に示されたコノトキシンおよびその誘導体を含む単離されたコノトキシンペプチド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−526221(P2007−526221A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515233(P2006−515233)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017903
【国際公開番号】WO2004/108901
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505448785)コグネティックス インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】