説明

紙匹成形機用の静電脱水素子及び紙匹成形機用に設計される静電脱水素子を被覆するための方法

本発明は紙匹成形機用の静電脱水素子に関する。脱水素子(10)は、粉末粒子(34)で製造される溶射塗膜(26)を有する。粉末粒子(34)は、主粒子(36)で構成される凝集塊である。主粒子(36)の平均サイズは、0.5μm未満である。本発明は、紙匹成形機用に設計され静電脱水素子を被覆する方法にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙匹成形機(web forming machine)用の静電脱水素子に関し、脱水素子は、粉末粒子で製造される溶射塗膜を含む。本発明は、紙匹成形機用に設計される脱水素子を被覆するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
紙匹成形機の脱水素子は、従来的には、固体セラミック材料で製造される。しかしながら、固体セラミック脱水素子の製造は高価である。従って、脱水素子は、適切な金属を被覆することによって、より安価に製造され得る。フィンランド国特許第96437号は、主としてアルミニウムプロファイルから成る脱水素子を提案している。アルミニウムプロファイルは、例えば、電解プラズマ酸化又は溶射爆発被覆によってもたらされる酸化層で被覆される。しかしながら、この特許に従った方法並びに他の既知の方法は、1%を越える空孔率を備える塗膜を製造するために使用され得るだけである。そのような高い空孔率は、フレーム層及び塗膜の境界でピット腐食の危険性を生み出し、それは使用中に塗膜の剥離を引き起こし得る。加えて、充填粒子が多孔性材料に付着し、次に、それは脱水素子と接触するファブリックを消耗する。従来技術に従った脱水素子の表面粗さは、典型的には、0.4〜0.8μmの間にある。既知の塗膜では表面粗さは高く、早いファブリック摩耗を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、既知の被覆脱水素子の表面粗さ及び空孔率よりも低い表面粗さ及び空孔率を有する紙匹成形機用の新規な静電脱水素子を提供することである。この発明に従った脱水素子の特徴的な機能は、付属の請求項1から明らかになるであろう。本発明の他の目的は、脱水素子の表面粗さ及び空孔率が既知の被覆脱水素子の表面粗さ及び空孔率よりも低いよう紙匹成形機内に配置される静電脱水素子を被覆するための新規な方法を提供することである。この発明に従った方法の特徴的な機能は、付属の請求項12から明らかになるであろう。本発明に従った脱水素子の塗膜のために、その平均サイズ分布が0.5μm未満の主粒子が使用される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
静電脱水素子は、紙匹成形機の成形区画内で一般的に使用される。加えて、静電脱水素子は、プレス区画内でも使用される。脱水素子では、フレーム層の上に溶射塗膜を使用することが可能であり、それはフレーム層として極めて多くの異なる種類の材料を使用することを可能にする。脱水素子の特性は、脱水素子のフレーム層を被覆することによって変更され得る。例えば、フレーム層は、セラミック材料又は金属で作成され得る。金属は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムであり得る。被覆は、フレーム層の上に粉末粒子を溶射することによって実施され得る。塗膜は、例えば、プラズマ又は高速火炎溶射方法を使用して溶射され得る。驚くべきことに、その平均サイズが0.5μm未満の主粒子で構成される粉末粒子として凝集塊を使用するならば、最終塗膜の表面粗さを従来技術の解決策に比べて本質的に向上することが可能である。被覆において使用される粒子は、酸化クロムのような酸化物又はタングステンカーバイドのようなカーバイドであり得る。本発明に従って脱水素子を被覆するときには、表面粗さの減少に加えて、表面空孔率が驚くほどに減少する、即ち、向上する。固体セラミックと比較して、同一或いはより良好なレベルが、表面粗さ及び空孔率の両方において達成され得る、即ち、空孔率は1%未満であり、表面粗さは0.3μm未満である。
【0005】
本発明に従った脱水素子の特性は、既知の脱水素子に比べて、完全に新しいレベルにあり、その製造では、被覆が使用される。本発明に従った被覆脱水素子を固体セラミック脱水素子と比較するとき、被覆脱水素子を製造することは、著しくより安価であることが留意され得る。
【0006】
1つの実施態様において、主粒子によって形成される凝集塊は、基礎材料と、混合材料とを含む。この場合には、より一層良好な塗膜特性が達成され得る。混合材料の数は、1つ又はそれよりも多くであり得る。混合材料は、基礎材料の特性を向上し得る。例えば、混合材料は、塗膜の表面円滑性を向上し得る、即ち、表面粗さを減少し、同時に、耐摩耗性のような基礎材料の特性を維持する。加えて、混合材料は、表面円滑性を向上し得る。
【0007】
本発明は、本発明の実施態様の一部を例証する添付の図面を参照して、以下に詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明に従った脱水素子の可能な用途を示している。静電脱水素子用の本発明に従った被覆方法では、粉末粒子を含む溶射可能な塗膜を使用して被覆が実施される。塗膜中に使用されるこれらの粉末粒子は、本発明によれば、選択される平均サイズが0.5μm未満の主粒子を含む凝集塊(agglomerate)である。そのような方法によって被覆される脱水素子は、紙匹成形機の成形区画12中の多くの位置で使用され得る。紙匹成形機は、例えば、抄紙機又は厚紙抄紙機であり得る。脱水素子10は、ブレードカバー14、装填素子16、フォイルブレード18、湾曲穿孔カバー、又は、スロット付きカバー20であり得る。脱水素子は、ファブリック(fabric)11を介して紙匹から水を除去するために使用される。ファブリック11は、脱水素子と接触し、脱水素子に摩損を引き起こす。本発明に従った塗膜を備える脱水素子は、抄紙用具ファブリック(clothing fabric)及びフェルト(felt)と接触する脱水素子のために、プレス区画内のような、多くの他の位置にも適用され得る。そのような位置は、例えば、ユールボックス又はトランスファサクションボックスのカバーである。上述のように、本発明に従った方法は、フェルト及びファブリックのような多くの種類の抄紙用具と接触する得脱水素子を被覆するために使用され得る。
【0009】
図2に示される本発明に従った脱水素子10は、フレーム層の上に、例えば、10〜1000μm、有利には、10〜500μmの厚さを有する薄い溶射塗膜層を有する。フレーム層は、例えば、複合材料、プラスチック、又は、金属であり得る。有利に、複合材料は、炭素又はガラス繊維複合材料である。他方、フレーム層は、金属から有利に作成され、金属は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムであり得る。脱水素子10内の開口24、即ち、長さ方向に引かれるそれらの中央値Kは、脱水素子10の横方向表面の法線Nに対して30°を越える角度αにある。有利に、開口は、35〜50°の範囲内にある。開口の長さ方向と脱水素子横方向表面の法線との間の角度αが増大するに応じて、脱水は向上する。この用途において、固体セラミック脱水素子に30°を越える角度αの開口を作成することは、主として製造技術の理由の故に、極めて困難であり且つ高価である。本発明に従った脱水素子内のフレーム層の材料選択は、例えば、45°の角度の開口を作成することを許容する作業方法でそれが処理されることを可能にする。開口が、例えば、34°の角度にあるとき、脱水は、開口が30°の角度にある状況と比べてより効率的である。
【0010】
図2に示される本発明に従った脱水素子は、塗膜26を備える。塗膜26は、実際よりもずっと厚く図2中に示されている。本発明に従った脱水素子塗膜の外表面の粗さは、0.3μmよりも小さい。塗膜の外表面の表面粗さが減少すると、外表面とファブリックとの間の摩擦力は減少する。よって、ファブリック及び塗膜が以前よりも少なく或いは以前よりも顕著により遅く摩耗する用途を得ることが可能である。驚くべきことに、タングステンカーバイドに基づく塗膜の表面厚さのために、0.1μmのレベルさえも達成され得ることが分かった。
【0011】
脱水素子を被覆するための本発明に従った方法は、1%未満の表面空孔率を有する脱水素子を製造するために使用され得る。空孔率が1%未満であるときには、極めて高密度の塗膜が達成され得る。さらに、そのような高密度の塗膜は、以前に比べて脱水素子のより良好な耐食性を達成することを可能にする。加えて、紙中に使用される充填剤粒子は、表面に付着しない。これは脱水素子表面に対する充填剤粒子の荒れ効果を回避するのを可能にし、それはファブリック摩耗を増大する。塗膜の空孔率は、Cr、TiO、SiO、又は、ZrOのような、既知の酸化セラミックスにとって特に問題である。
【0012】
図2に示される本発明に従った脱水素子10は、2つの塗膜層を有するので、塗膜26は、2つの塗膜層42で構成される。塗膜層の数は、2つよりも大きくもあり得る。例えば、塗膜を脱水素子のフレーム層に取り付けるために、或いは、塗膜のための摩耗表示器として、複数の層が使用され得る。もし塗膜層が被覆されるべきフレーム層に他の方法で付着し損なうならば、接着層が使用され得る。摩耗表示器として機能するとき、塗膜層は異なる色でなければならない。有利に、接着層のために、最外側塗膜層のためにとは異なる材料が使用され得るので、この接着層は同時に表示器として機能する。そのような2つの塗膜層の構造を使用するならば、図面中にも示されるように、これよりも多くの層を使用するときよりも単純な被覆プロセスが達成され得る。
【0013】
図2中に示される脱水素子10の開口24は、低い表面エネルギを有する表面処理剤を用いて処理された。よって、水及び水結合繊維、紙料及び充填剤は、開口の表面に拡散或いは付着せず、水と共に開口からより容易にすっかり流れる。よって、表面エネルギを減少する表面処理のない状況に比べて、表面はより容易に清浄に維持される。開口の表面エネルギを減少するために、塗膜として混成塗膜が使用される。
【0014】
図2中、塗膜は、脱水素子の適用位置にあるファブリックと接触する脱水素子の表面上にのみある。塗膜は、脱水素子全体の周りにもあり得る。換言すれば、塗膜は、脱水素子の正に所望の部分に作成され得る。
【0015】
図3aに示されるフレーム層22の上に配置される本発明に従った塗膜26を図4aに示される従来技術に従った塗膜30と比較すると、本発明に従った塗膜26は著しくより滑らかであることが分かり得る。図3b及び4bは、図3a及び図4aの拡大図である。拡大図は、図3b中の塗膜が図4b中の塗膜よりも著しく滑らかであることを良く示している。図3aに示され且つ図3bに拡大された、本発明に従った塗膜における相不連続性は、0.5μm未満である。図面を解釈するとき、それらは実際の表面の断面ではなく、原則として、従来技術塗膜と本発明に従った塗膜との間の差を例証していることが考慮されなければならない。いずれにしても、図4aの塗膜は、図3aの塗膜よりも明らかに多孔性である。
【0016】
図5に示されるような本発明に従った被覆プロセスにおいて使用される粉末32において、粉末粒子34は、幾つかの主粒子36で構成されている。換言すれば、主粒子36は、実際の粉末粒子34、即ち、塗膜粒子として機能する凝集塊を形成する。粉末粒子のサイズは、極めて広範にさえ異なり得る。粉末内に包含される最大の粉末粒子は、50μmであり得るのに対し、最少のものは2μmほどの小ささであり得る。これらの粒子は、主粒子で構成され、それらの平均サイズは、0.5μm未満である。驚くべきことに、以前よりも滑らかで高密度の塗膜を得ることを試みるとき、主粒子のサイズは決定的に重要である。主粒子のサイズが0.5μmから減少すると、塗膜の特性は図示されるレベルに維持されるか、或いは、それらはより前のものよりも向上しさえし得る。よって、平均粒子サイズが0.5μm以下であるとき、固体セラミック材料に比べて同一又はより良いレベルの表面特性が達成され、以前の被覆脱水素子を用いる場合よりも特により良いレベルが達成される。
【0017】
図5に示されるように、粉末粒子34、即ち、凝集塊は、基礎材料38と、混合材料40とを含み得る。塗膜粒子は、1つ又はそれよりも多くの材料で構成され得る。有利に、塗膜粒子34は、基礎材料38と、混合材料40とを含み、それによって、より一層良好な塗膜特性が達成される。混合材料として、基礎材料のためと同一の材料が使用され得る。混合材料の数も、1つ又はそれよりも多くであり得る。塗膜は、基礎材料、例えば、Cr、TiO、Al、SiO、又は、ZrOのような酸化セラミックで完全に作成され得る。塗膜は、酸化セラミックの混合物でもあり得る。その場合には、混合材料は、基礎材料の特性を向上し得る。例えば、塗膜表面の空孔率は、混合材料を用いることで減少され得るし、同時に、耐水性のような基礎材料の特性を維持する。加えて、混合材料は、塗膜の表面円滑性も改良し得る。
【0018】
混合材料を使用することは、カーバイドに基づく被覆を塗布するときに特に有利である。基礎材料がタングステンカーバイドであるとき、表面粗さは、例えば、金属コバルト、クロム、ニッケル、ボロン、又は、ケイ素であり得る混合材料を追加することによって減少され得る。驚くべきことに、そのような混合物を使用するとき、固体セラミックを用いるよりも一層低い表面粗さが達成される。この適用は紙匹成形機内で使用されるべき脱水素子の極めて新しい種類を提供する。何故ならば、そのような脱水素子は、固体セラミック脱水素子よりも製造がより安価であるからである。加えて、それらの表面粗さは、固体セラミック脱水素子の表面粗さよりも低い。
【0019】
脱水素子を被覆するために使用される粉末粒子は、75〜95%、有利には80〜90%の基礎材料を含み得る。基礎材料の量が75〜95%、有利には80〜90%であるときには、耐水性のような基礎材料の良好な特性が維持される適用を達成することが可能であるが、混合材料は、塗膜のより低い空隙容積又はより良好な円滑性のような所望の特性をもたらす。有利には、混合材料の数は1つであり、それは塗膜の4〜25%、有利には10〜20%を成す。
【0020】
図6は、本発明に従った被覆内で使用される主粒子が有し得るサイズ分布の1つの実施例を示している。グラフの水平軸は、主粒子の直径(d)を示しており、使用される単位はμmである。次いで、垂直軸は、容積(V)からの粒子の各サイズ等級の部分(%)を示している。よって、サイズ分布は、容積比率として処理される。サイズ分布は、様々な方法を使用して所望に制御され得る。例えば、サイズ分布は、ガウス曲線の形状を有し得るが、特に、制御されるときは、サイズ分布は、ガウス曲線の形状に従わない。粒子のサイズ分布は所望の方向に向かって制御され得るが、特定のサイズ分布が粒子のために常に残る。図6は、主粒子の平均サイズが0.5μm未満の主粒子の1つのサイズ分布を示している。粒子の小さな部分のみが1μmよりも大きい。より大きな主粒子の小さな部分は、特性を著しく劣化しない。よって、そのような浅い主粒子サイズ分布さえも、本発明の着想を実現する。
【0021】
図7は、幾つかの塗膜層42で構成される本発明に従った脱水素子の塗膜26を示している。換言すれば、塗膜26は、少なくとも2つの塗膜層42で構成されている。この実施態様において、塗膜26の塗膜層42は、表面層44、中心層46、及び、結合層48である。結合層48は、塗膜26をフレーム層22、即ち、基礎材料に付着するために使用される。この解決策は、ナノカーバイド及び酸化セラミックの両方を利用して使用され得る。層状構造は、同一塗膜内で幾つかの技術の利点を可能にする。
【0022】
1つの有利な実施態様において、表面層は比較的硬い。換言すれば、表面層は、容易な研磨を可能にし、機械内に滑らかに適合するような堅さとされる。それにも拘わらず、表面層は耐摩耗性がある。従って、表面層は、比較的硬いと言われ得る。よって、表面層は、研磨中並びに使用の初期段階に順応性表面として機能する。表面層は、プロセスに迅速に順応する。加えて、比較的硬い表面層は、硬い中心層よりも研磨がより容易且つより迅速である。表面層は、例えば、適切な特性を有するセラミック材料から成り得る。対称的に、中心層は、極めて硬く、耐摩耗性を有する。本発明によれば、中心層は、耐摩耗層として機能する。結合層の堅さは、表面層の堅さと中心層の堅さの間である。結果的に、結合層は硬いと言われ得る。結合層の堅さよりも本質的なことは、結合層が基礎材料及び中心層の両方に良好に付着することである。この表面層状構造を用いるならば、以前よりも良好な脱水素子表面品質、さらには、より良好なファブリック接触を達成することが可能である。加えて、塗膜の値段は、以前よりも暗化である。何故ならば、例えば中心層で使用される硬い材料を研磨することは、高価で遅いからである。
【0023】
これらの少なくとも2つの塗膜層の色は、有利に異なる。例えば、異なる色を備える塗膜層は、結合層であり得る。結合層は、その場合には、摩耗及び/又は不整列の表示器として機能する。硬い中心層も、表面層と異なる色であり得る。よって、塗膜摩耗に関する情報は極めて早期に得られ得るし、摩耗はより容易に視覚的に検出され得る。如何なる不整列も同時に検出される。例えば、表面層は黒色であり得るのに対し、中心層は金属色を有し得る。この場合には、結合層は、例えば、赤色であり得る。
【0024】
本発明に従った上述の脱水素子は、本発明に従った方法を使用して被覆され得る。被覆は、粉末粒子を含む溶射可能な塗膜を使用して遂行される。粉末粒子は、主粒子を含む凝集塊であり、主粒子のために、0.5μm未満の平均サイズが選択される。
【0025】
1つの実施態様において、本発明に従った方法で製造される塗膜は、被覆後にシール材を使用して封止される。シール材は、酸化物及びカーバイドセラミックを用いて使用され得る。有利に、酸化セラミックを備えるシール材が使用される。酸化セラミック表面が封止されるとき、表面空孔率は著しく減少する。封止は有機又は無機シール材を使用して行われ得る。シール材は、表面空孔率を著しく減少するのに役立つ。これは、例えば、ピット腐食の可能性を著しく減少する。ピット腐食の危険性が減少するので、塗膜の耐久性は向上する。極めて高密度の表面を製造するとき、塗膜下のフレーム層に必須の耐食性が従来技術に従った用途におけるほど高くない用途が達成される。結果的に、フレーム層のために以前に比べてより安価な材料を使用することが可能である。加えて、封止は、表面粗さを減少するのに役立つ。
【0026】
封止後、塗膜は研磨される。シール材及び研磨は、塗膜で達成される表面品質を向上する、即ち、表面粗さ及び空孔率を減少する。これはファブリック摩耗を著しく減少する。シール材及び研磨は、酸化物に基づく塗膜を使用するときに特に重要である。
【0027】
本発明に従った脱水素子は、使用後に再被覆され得る。塗膜は、使用済み脱水素子から容易に取り外し可能であり、然る後、脱水素子は、再被覆され得る。再被覆を用いることで、顕著な費用節約並びに環境負荷の減少が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】紙匹成形機の成形区画内の本発明に従った脱水素子のための用途を示す概略図である。
【図2】本発明に従った脱水素子を示す断面図である。
【図3a】本発明に従った脱水素子用の塗膜の構造を示す断面図である。
【図3b】図3aの一部を示す拡大図である。
【図4a】従来技術に従った脱水素子用塗膜の構造を示す断面図である。
【図4b】図4aの一部を示す拡大図である。
【図5】主粒子から本発明に従った塗膜の粒子の形成を示す説明図である。
【図6】本発明に従った被覆プロセスにおいて使用される主粒子のサイズ分布を示すグラフである。
【図7】幾つかの塗膜層から成る本発明に従った脱水素子の塗膜を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙匹成形機のための静電脱水素子であり、当該脱水素子は、溶射塗膜を有し、該塗膜は、粉末粒子で製造される脱水素子であって、前記粉末粒子は、主粒子で構成される凝集塊であり、前記主粒子の平均サイズは、0.5μm未満であることを特徴とする、脱水素子。
【請求項2】
前記主粒子によって形成される前記凝集塊は、基礎材料と、混合材料とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の脱水素子。
【請求項3】
前記塗膜の表面空孔率は、1%未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の脱水素子。
【請求項4】
前記塗膜の表面粗さは、0.3μm未満であることを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項5】
前記基礎材料は、前記塗膜の75〜95%、有利には80〜90%を成すことを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項6】
前記混合材料は、前記塗膜の5〜25%、有利には10〜20%を成すことを特徴とする、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項7】
当該脱水素子は、抄紙用具ファブリック又はフェルトと接触するよう構成されることを特徴とする、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項8】
当該脱水素子は、穿孔され、前記開口は、当該脱水素子の横方向表面の法線に対して30°を越える角度にあることを特徴とする、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項9】
前記開口は、表面エネルギ減少剤で処理されることを特徴とする、請求項8に記載の脱水素子。
【請求項10】
前記塗膜は、少なくとも2つの塗膜層で構成されることを特徴とする、請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の脱水素子。
【請求項11】
前記塗膜層の色は異なることを特徴とする、請求項10に記載の脱水素子。
【請求項12】
紙匹成形機のための静電脱水素子を被覆するための方法であり、前記被覆は、塗膜内の粉末粒子を使用して、溶射可能な塗膜を用いて遂行される方法であって、前記塗膜内で使用される前記粉末粒子は、主粒子を含む凝集塊であり、前記主粒子のために、平均サイズは、0.5μm未満から選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記塗膜は、被覆後にシール材を使用して封止されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記塗膜は、封止後に研磨されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記脱水素子は、使用後に再被覆されることを特徴とする、請求項12乃至14のうちのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−536271(P2009−536271A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508409(P2009−508409)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050239
【国際公開番号】WO2007/135231
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】