紙容器
【課題】表面の光沢性、美粧性に優れ、かつ、容器成形時の作業性に優れたバリア性を有する紙容器を提供すること。
【解決手段】紙基材11の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層12、外面側に光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層13が設けられた積層材料を胴部材2として作製された紙容器で、さらには、胴部材の一方の端縁2aを他方の端縁2bに重ね合わせて筒状に成形する際、重ね合わせ部の内側に位置する側端縁2aは、紙基材より延出される樹脂延出部14を一軸延伸ポリオレフィン樹脂面側に折り返し、折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされている。
【解決手段】紙基材11の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層12、外面側に光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層13が設けられた積層材料を胴部材2として作製された紙容器で、さらには、胴部材の一方の端縁2aを他方の端縁2bに重ね合わせて筒状に成形する際、重ね合わせ部の内側に位置する側端縁2aは、紙基材より延出される樹脂延出部14を一軸延伸ポリオレフィン樹脂面側に折り返し、折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー、ジュース等の液状物を収容する紙容器に関するものであり、特には、光沢性、美粧性、ヒートシール性に優れた液状物の長期間収容が可能な紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュースやコーヒーなどの液状物等を充填する紙容器として、レンガ状、ゲーブルトップ状、紙カップ状等の紙容器が流通している。そしてその場合の紙容器の胴体部分は、外側からポリエチレン層/印刷層を設けた紙基材/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン層からなる層構成を有する積層材料からなるものが一般的であった。このように、紙基材の表側に印刷層を設けた構成としているので、細かい模様の再現性が劣り、表面のポリエチレン層の透明性が良くなく、また、傷つき易いので美粧性に優れているとは言い難かった。
【0003】
従って、絵柄層の再現性に優れたもの、あるいは表面に光沢感を与えて絵柄を引き立たせたもの等店頭での陳列効果を目立たせることが要望されている。
【0004】
そして、容器表面の陳列効果を高める手段として、例えば、外側面に金属光沢層を設けた紙の金属光沢層面に裏刷りしたプラスチックフィルムを貼り合わせて胴紙としたり、さらにプラスチックフィルムの上にヒートシールニス層を設けた胴紙が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−180430号公報。
【特許文献2】特開平11−100020号公報。
【0005】
また、最外層にポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた構成も提案されている。
【0006】
しかしこれらの方法は、作業工程が複雑であったり、ヒートシールニス塗布工程が増えたり、一方の端縁をもう一方の端縁に重ねて胴貼りする際、接着力を保つため、接着補助剤を塗布する必要がある、等の問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特にジュース、コーヒー等の液状物を長期間収容する紙容器に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、表面の光沢性、美粧性に優れ、かつ、容器成形時の作業性に優れたバリア性を有する紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の発明は、紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側にJIS K7105により測定した光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製したことを特徴とする紙容器である。
【0009】
このように請求項1に記載の発明によれば、紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側に光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製しているので、胴部材の外側面が高光沢となって、印刷が映え綺麗に見え、美麗性に富んだ紙容器とすることができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記胴部材の一方の側端縁を他方
の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされていることを特徴とする、紙容器である。
【0011】
このように請求項2に記載の発明によれば、胴部材の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされているので、重ね合わせ部においては、一方の側端縁と他方の側端縁とは同じ未延伸ポリオレフィン樹脂層同士の接着となって、容易に熱接着が可能となり、また強固な熱接着性を有することとなる。
【0012】
さらに、紙の端面保護手段として、紙の端面を削り取るスカイブヘミング手段を用いないので、紙粉が発生するおそれがなく衛生的であり、紙の端面がポリオレフィン樹脂フィルムに覆われているので、液状物が紙の端面から浸透することがなく長期間保存が可能な紙容器とすることができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であることを特徴とする、紙容器である。
【0014】
このように請求項3に記載の発明によれば、内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であるので、一方の側端縁と他方の側端縁とは容易に熱接着可能となり、また、その熱接着力は強固なものとなる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0016】
このように請求項4に記載の発明によれば、紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられているので、成形された紙容器はバリア性の優れた紙容器とすることができる。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層が設けられていることを特徴とする、紙容器である。
【0018】
このように請求項5に記載の発明によれば、紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層、より具体的には、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムが設けられているので、成形された紙容器は金属光沢を有し美麗性の優れた紙容器となる。また、請求項6の発明は、前記紙容器が紙カップであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙容器である。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明の紙容器は、最外層に光沢度が70%以上の熱可塑性の一軸延伸ポリ
オレフィン樹脂層を設け、かつ、一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の紙層と接する側に印刷層を設けた構成としたので、高光沢性があり、カラー画像の再現性に優れた印刷層を形成することができる。
また、一方の側端縁と他方の側端縁とを重ねた重ね合わせ部においては、同じ未延伸ポリオレフィン樹脂層同士の熱接着となるので、容易に、かつ、強固に熱接着が可能となり、従って、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用したときのように接着補助剤を用いる必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の紙容器(1)は、例えば、図1、図2に示すように、紙基材(11)の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)、外面側に一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)が設けられた積層材料(10)を胴部材に用いて作製したものであり、胴部材(2)の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部(3)の内側に位置する側端縁(2a)は、紙基材(11)より延出される未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)とによる樹脂延出部(14)を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面(13)同士を重ねるように折り返し、該折り返し部分は、重ね合わせ部の外側に位置する側端縁(2b)の未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)と熱融着により封筒貼りされているものである。
【0021】
紙基材の内面側に設けられる未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)は、紙容器の最内層となる層で、一般的に使用されている低密度ポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。
【0022】
紙基材の外面側に設けられる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)は、紙容器の最外層となる層で、最内層のポリオレフィン樹脂と同系統の透明性、光沢性に優れた一軸延伸高密度ポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。なお、光沢度はJIS K7105 プラスチックの光学的特性試験方法により、堀場製作所製のHORIBA グロスチェッカー IG−330にて測定している(反射角 60°)。
【0023】
印刷層(15)は一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の紙基材と接する側に設けると良い。一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の内面側に、例えば、グラビア印刷法により印刷層(15)を設けることにより、美粧性、耐摩擦性に優れた印刷層(15)を得ることができる。
【0024】
図3は、本発明の紙容器に使用する積層材料の別の実施形態の断面説明図である。図3において、16はバリア層を、17は金属光沢付与層を示す。
すなわち、紙基材(11)と未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)の間にバリア層(16)を設けた構成とすることもできる。バリア層(16)としては、例えば、[紙基材側]ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]、[紙基材側]ポリエチレン/酸化ケイ素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]、[紙基材側]ポリエチレン/酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]等の複合フィルムを挙げることができる。バリア層(16)を設けることにより紙容器のバリア性がさらに良くなる。
【0025】
また、紙基材(11)と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の間に金属光沢付与層(17)を設けた構成とすることもできる。金属光沢付与層(17)としては、アルミニウム箔、酸化アルミニウムの薄膜を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム等の金属蒸着薄膜層を設けたプラスチックフィルム等が好ましく使用できる。金属光沢付与層(17)を設けることにより紙容器の美粧性がさらに高まる。バリア層(16)や金属光沢付与層(17)を設けるか否かは収容する内容物の種類、流通期間等を勘案して決めることができる。当然のことながら、バリア層(16)と金属光沢付与層(17)の両方を設けることにより、バリア性と金属光沢性の双方を有する紙容器を作製することができる。
【0026】
つぎに、樹脂延出部の付いた胴部材の作り方の一例として、カップ状容器の場合を挙げて二つの方法を説明する。
先ず、第1の方法は、ロール状の一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)に、グラビア印刷法を用いて扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷する。なお、胴部材ブランク(2)の必要個所には同時に印刷層(15)を設けておく。
このロール状の一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)の印刷層(15)を施した面にロール状の紙基材(11)を貼り合わせると共に、胴部材ブランク(2)の一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として穿設して複合シートとした(図4(a),(b)参照)。
【0027】
ついで、別に準備したバリア層(16)であるバリアフィルムに、未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により積層して複合フィルムとした。この複合フィルムのバリア層(16)面と、上述の長窓(4)を穿設したロール状の複合シートの紙基材(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン(18)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした(図5(a),(b)参照)。
【0028】
このロール状の積層材料(10)から、外方に延出して設けられた樹脂延出部(14)を含む長窓部分を形成させた側の胴部材ブランク(2)の不必要部分(5)を連続してカットする(図6(a),(b)参照)。
【0029】
最後に片側の不必要部分(5)が切り取られた積層材料から、印刷された複数の扇形状の胴部材ブランクを打ち抜き、片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた胴部材ブランク(2)を作製することができる。この方法で作製した延出樹脂部を折り返した胴部材ブランクの端縁の状態を図7に示す。
【0030】
次に第2の方法を記す。
ロール状の紙基材(11)に扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷すると共に、胴部材ブランクの一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として打ち抜き、穿設する。
【0031】
必要個所にグラビア印刷法により絵柄等の印刷層(15)を設けた一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)と、上述の長窓(4)が穿設されたロール状の紙基材(11)とを印刷層(15)を内側にして低密度ポリエチレン樹脂(19)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、第2複合シートとした。
【0032】
別にバリア層(16)であるバリアフィルムに未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂層を溶融押し出し法により積層して第2複合フィルムを作製し、この第2複合フィルムのバリアフィルム(16)面と第2複合シートの紙基材(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(20)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした。以下は第1の方法と同様であるので説明を省略する。この方法で作製した樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の状態を図8に示す。
【0033】
次に、こうして作製した一方の端縁に樹脂延出部(14)が形成された胴部材ブランク(2)の樹脂延出部(14)を、紙基材端面に折り返し接着させる方法の一例を図9、図
10に基づいて説明する。
【0034】
胴部材ブランク(2)の紙基材(11)より所定幅だけ延出された樹脂延出部(14)を、紙カップに成形した際の、紙基材(11)の外面側となる側に向けて、櫛状に形成された押さえ突起(D11)を具備する第1部材(D1)を上方から下方に垂直方向に移動させて略90°の角度に押し曲げ、仮折りする(図9及び図10(a)、(b)参照)。
【0035】
ついで、櫛状に形成された押さえ突起(D21)を具備する第2部材(D2)を、前記第1部材の押さえ突起(D11)と押さえ突起(D11)の間の間隙(D12)をめがけて、胴部材ブランクの外側方向より内側方向に向けて水平移動させ、樹脂延出部(14)を略90°押し曲げ、先端近傍が胴部材ブランクの紙基材外側方向に重なるように仮折りする(図9及び図10(c)参照)。
【0036】
最後に、第1部材の下側に配置され、櫛状に形成された押さえ突起(D31)を具備する第3部材(D3)を、垂直に上方に押しつけ圧着して、折り返した樹脂延出部(14)の先端近傍を胴部材ブランクの紙基材の外側面に仮接着させる(図9及び図10(d)参照)。なお、第3部材(D3)の押さえ突起(D31)を適宜の温度に加熱しておくと樹脂延出部の接着性が向上してより効果的である。
【0037】
このような方法により作成した胴部材ブランク(2)を用いてカップ状の紙容器を成形する成形方法の一例を説明する(図11参照)。
【0038】
樹脂延出部(14)を折り返して紙端面を覆った方の胴部材ブランクの側端縁(2a)を内面側にして、もう一方の側端縁(2b)に重ね合わせて重ね合わせ部(3)を形成させて下方に向けて先細る円筒形状の胴部材(2)を作製する。
【0039】
この胴部材の下部内面に、周縁部分(6a)を下向きに起立させた略円形状の底部材(6)をはめ込み、周縁部内面を接合させ、ついで底部材の周縁部を覆うように胴部材の下端縁部(7)を内方に折り曲げて折り曲げ部(7a)を形成させ、該折り曲げ部を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部(8)を形成させる。
【0040】
最後に胴部材の上部周縁を外方に向けて巻き込み、フランジ部(9)を形成させ、カップ状の紙容器(1)とする。
【0041】
本発明の紙容器の形状としては、上述の紙カップ状の紙容器の他に、頂部が切り妻屋根型の四角柱状紙容器、頂部がフラットな六面体状紙容器、あるいは円筒状紙容器、角筒状紙容器等熱シールにより成形加工される紙容器を挙げることができる(図12参照)。
【0042】
具体的な実施例を以下に詳述する。
【実施例1】
【0043】
先ず、紙基材(11)として坪量が260g/m2のカップ原紙を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂(13)として厚さ25μmの一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムである三井ハイブロンフィルム(光沢度 89%)(三井化学株式会社製)を、それぞれ準備した。
【0044】
そして、三井ハイブロンフィルム(13)に、グラビア印刷法で扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷した。なお、胴部材ブランク(2)の必要個所には同時に絵柄等の印刷層(15)を設けた。
【0045】
このロール状の三井ハイブロンフィルム(13)の印刷層(15)を施した面に、ロール状の紙基材であるカップ原紙(11)をドライラミネート法により貼り合わせると共に、各胴部材ブランク(2,2,‥)の一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として穿設した複合シートを作製した。
【0046】
別に準備したバリア層(16)となる厚さ9μmのアルミニウム箔に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により60μmの厚さに積層して、複合フィルムを作製した。
【0047】
この複合フィルムのアルミニウム箔(16)面と、上述の長窓(4)を穿設したロール状の複合シートのカップ原紙(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(18)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)を作製した。
【0048】
出来上がったロール状の積層材料(10)から、外方に延出して設けられた樹脂延出部(14)を含む長窓を形成させた側の胴部材ブランク(2)の不必要部分(5)を連続して切り取り除去した。
【0049】
最後に片側の不必要部分(5)が切り取られた積層材料から、印刷層(15)を有する複数の扇形状の胴部材ブランクを打ち抜き、片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた実施例1の胴部材ブランク(2)を作製した。
【実施例2】
【0050】
先ず、第1の方法と同様に、紙基材(11)として坪量が260g/m2のカップ原紙を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂(13)として厚さ20μmの一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムである三井ハイブロンフィルム(光沢度 89%)(三井化学株式会社製)を、それぞれ準備した。
【0051】
ロール状のカップ原紙(11)に扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷すると共に、胴部材ブランクの一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として打ち抜き、穿設した。
【0052】
三井ハイブロンフィルム(13)の裏面側の必要個所に絵柄等の印刷層(15)をグラビア印刷法に設け、この三井ハイブロンフィルム(13)と、長窓(4)が穿設されたロール状のカップ原紙(11)とを印刷層(15)を内側にして低密度ポリエチレン樹脂を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、第2複合シートとした。
【0053】
別にバリア層(16)として準備した厚さ9μmのアルミニウム箔に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により60μmの厚さに積層して第2複合フィルムを作製した。
【0054】
この第2複合フィルムのアルミニウム箔面と、第2複合シートのカップ原紙面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(20)を介してサンドイッチラミネーション法により、第2複合フィルムと第2複合シートを貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした。以下第1の方法と同様にして胴部材用の積層材料(10)から片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた実施例2の胴部材用部ブランク(2)を作製した。
【0055】
このようにして作製した実施例1及び実施例2の胴部材ブランクから上述した方法にしたがい、一般的に公知の紙カップ成型機を用いてカップ状の紙容器(1)を作製した。
出来上がった紙容器は、光沢が有り、美麗性に優れた紙容器であり、また、重ね合わせ部
の接着も強固なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の紙容器の胴部材に使用する積層材料の一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】図1の積層材料を用いて作製した胴部材を筒状に成形する、(a)は胴部材の一方の端縁の紙基材より延出される樹脂延出部の一実施例を示す、断面説明図であり、(b)は(a)の樹脂延出部を外方に折り返し、もう一方の端縁と重ね合わせ、筒状に成形した部位の重ね合わせ部の一実施例を示す、断面説明図である。
【図3】本発明の紙容器の胴部材に使用する積層材料の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図4】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクの長窓を設けた状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図5】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクにバリア層を貼り合わせた状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図6】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクを所定の形状に打ち抜く状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図7】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の一実施例を示す、断面説明図である。
【図8】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図9】樹脂延出部を有する胴部材ブランクの樹脂延出部を紙基材の外面側に折り曲げ仮接着させる仮接着機構の一実施例を模式的に示す、説明図である。
【図10】(a)〜(d)は、樹脂延出部を紙基材の外面側に折り曲げ仮接着させる工程を示す、説明図である。
【図11】カップ状紙容器の作製工程を模式的に示す、説明図である。
【図12】本発明の紙容器の形状例を示す、斜視説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1‥‥紙容器
2‥‥胴部材、胴部材ブランク
2a‥内側に位置する側端縁
2b‥外側に位置する側端縁
3‥‥重ね合わせ部
4‥‥長窓
5‥‥不必要部分
6‥‥底部材
6a‥端縁部分
7‥‥胴部材の下端縁部分
7a‥折り曲げ部
8‥‥環状脚部
9‥‥フランジ部
10‥‥積層材料
11‥‥紙基材
12‥‥未延伸ポリオレフィン樹脂層
13‥‥一軸延伸ポリオレフィン樹脂層
14‥‥樹脂延出部
15‥‥印刷層
16‥‥バリア層
17‥‥金属光沢付与層
18‥‥低密度ポリエチレン樹脂
19‥‥低密度ポリエチレン樹脂
20‥‥低密度ポリエチレン樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー、ジュース等の液状物を収容する紙容器に関するものであり、特には、光沢性、美粧性、ヒートシール性に優れた液状物の長期間収容が可能な紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュースやコーヒーなどの液状物等を充填する紙容器として、レンガ状、ゲーブルトップ状、紙カップ状等の紙容器が流通している。そしてその場合の紙容器の胴体部分は、外側からポリエチレン層/印刷層を設けた紙基材/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン層からなる層構成を有する積層材料からなるものが一般的であった。このように、紙基材の表側に印刷層を設けた構成としているので、細かい模様の再現性が劣り、表面のポリエチレン層の透明性が良くなく、また、傷つき易いので美粧性に優れているとは言い難かった。
【0003】
従って、絵柄層の再現性に優れたもの、あるいは表面に光沢感を与えて絵柄を引き立たせたもの等店頭での陳列効果を目立たせることが要望されている。
【0004】
そして、容器表面の陳列効果を高める手段として、例えば、外側面に金属光沢層を設けた紙の金属光沢層面に裏刷りしたプラスチックフィルムを貼り合わせて胴紙としたり、さらにプラスチックフィルムの上にヒートシールニス層を設けた胴紙が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−180430号公報。
【特許文献2】特開平11−100020号公報。
【0005】
また、最外層にポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた構成も提案されている。
【0006】
しかしこれらの方法は、作業工程が複雑であったり、ヒートシールニス塗布工程が増えたり、一方の端縁をもう一方の端縁に重ねて胴貼りする際、接着力を保つため、接着補助剤を塗布する必要がある、等の問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特にジュース、コーヒー等の液状物を長期間収容する紙容器に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、表面の光沢性、美粧性に優れ、かつ、容器成形時の作業性に優れたバリア性を有する紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の発明は、紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側にJIS K7105により測定した光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製したことを特徴とする紙容器である。
【0009】
このように請求項1に記載の発明によれば、紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側に光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製しているので、胴部材の外側面が高光沢となって、印刷が映え綺麗に見え、美麗性に富んだ紙容器とすることができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記胴部材の一方の側端縁を他方
の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされていることを特徴とする、紙容器である。
【0011】
このように請求項2に記載の発明によれば、胴部材の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされているので、重ね合わせ部においては、一方の側端縁と他方の側端縁とは同じ未延伸ポリオレフィン樹脂層同士の接着となって、容易に熱接着が可能となり、また強固な熱接着性を有することとなる。
【0012】
さらに、紙の端面保護手段として、紙の端面を削り取るスカイブヘミング手段を用いないので、紙粉が発生するおそれがなく衛生的であり、紙の端面がポリオレフィン樹脂フィルムに覆われているので、液状物が紙の端面から浸透することがなく長期間保存が可能な紙容器とすることができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であることを特徴とする、紙容器である。
【0014】
このように請求項3に記載の発明によれば、内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であるので、一方の側端縁と他方の側端縁とは容易に熱接着可能となり、また、その熱接着力は強固なものとなる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0016】
このように請求項4に記載の発明によれば、紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられているので、成形された紙容器はバリア性の優れた紙容器とすることができる。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層が設けられていることを特徴とする、紙容器である。
【0018】
このように請求項5に記載の発明によれば、紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層、より具体的には、アルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムが設けられているので、成形された紙容器は金属光沢を有し美麗性の優れた紙容器となる。また、請求項6の発明は、前記紙容器が紙カップであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙容器である。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明の紙容器は、最外層に光沢度が70%以上の熱可塑性の一軸延伸ポリ
オレフィン樹脂層を設け、かつ、一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の紙層と接する側に印刷層を設けた構成としたので、高光沢性があり、カラー画像の再現性に優れた印刷層を形成することができる。
また、一方の側端縁と他方の側端縁とを重ねた重ね合わせ部においては、同じ未延伸ポリオレフィン樹脂層同士の熱接着となるので、容易に、かつ、強固に熱接着が可能となり、従って、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用したときのように接着補助剤を用いる必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の紙容器(1)は、例えば、図1、図2に示すように、紙基材(11)の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)、外面側に一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)が設けられた積層材料(10)を胴部材に用いて作製したものであり、胴部材(2)の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部(3)の内側に位置する側端縁(2a)は、紙基材(11)より延出される未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)とによる樹脂延出部(14)を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面(13)同士を重ねるように折り返し、該折り返し部分は、重ね合わせ部の外側に位置する側端縁(2b)の未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)と熱融着により封筒貼りされているものである。
【0021】
紙基材の内面側に設けられる未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)は、紙容器の最内層となる層で、一般的に使用されている低密度ポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。
【0022】
紙基材の外面側に設けられる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)は、紙容器の最外層となる層で、最内層のポリオレフィン樹脂と同系統の透明性、光沢性に優れた一軸延伸高密度ポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。なお、光沢度はJIS K7105 プラスチックの光学的特性試験方法により、堀場製作所製のHORIBA グロスチェッカー IG−330にて測定している(反射角 60°)。
【0023】
印刷層(15)は一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の紙基材と接する側に設けると良い。一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の内面側に、例えば、グラビア印刷法により印刷層(15)を設けることにより、美粧性、耐摩擦性に優れた印刷層(15)を得ることができる。
【0024】
図3は、本発明の紙容器に使用する積層材料の別の実施形態の断面説明図である。図3において、16はバリア層を、17は金属光沢付与層を示す。
すなわち、紙基材(11)と未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)の間にバリア層(16)を設けた構成とすることもできる。バリア層(16)としては、例えば、[紙基材側]ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]、[紙基材側]ポリエチレン/酸化ケイ素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]、[紙基材側]ポリエチレン/酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム[最内層未延伸ポリオレフィン樹脂側]等の複合フィルムを挙げることができる。バリア層(16)を設けることにより紙容器のバリア性がさらに良くなる。
【0025】
また、紙基材(11)と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層(13)の間に金属光沢付与層(17)を設けた構成とすることもできる。金属光沢付与層(17)としては、アルミニウム箔、酸化アルミニウムの薄膜を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム等の金属蒸着薄膜層を設けたプラスチックフィルム等が好ましく使用できる。金属光沢付与層(17)を設けることにより紙容器の美粧性がさらに高まる。バリア層(16)や金属光沢付与層(17)を設けるか否かは収容する内容物の種類、流通期間等を勘案して決めることができる。当然のことながら、バリア層(16)と金属光沢付与層(17)の両方を設けることにより、バリア性と金属光沢性の双方を有する紙容器を作製することができる。
【0026】
つぎに、樹脂延出部の付いた胴部材の作り方の一例として、カップ状容器の場合を挙げて二つの方法を説明する。
先ず、第1の方法は、ロール状の一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)に、グラビア印刷法を用いて扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷する。なお、胴部材ブランク(2)の必要個所には同時に印刷層(15)を設けておく。
このロール状の一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)の印刷層(15)を施した面にロール状の紙基材(11)を貼り合わせると共に、胴部材ブランク(2)の一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として穿設して複合シートとした(図4(a),(b)参照)。
【0027】
ついで、別に準備したバリア層(16)であるバリアフィルムに、未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により積層して複合フィルムとした。この複合フィルムのバリア層(16)面と、上述の長窓(4)を穿設したロール状の複合シートの紙基材(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン(18)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした(図5(a),(b)参照)。
【0028】
このロール状の積層材料(10)から、外方に延出して設けられた樹脂延出部(14)を含む長窓部分を形成させた側の胴部材ブランク(2)の不必要部分(5)を連続してカットする(図6(a),(b)参照)。
【0029】
最後に片側の不必要部分(5)が切り取られた積層材料から、印刷された複数の扇形状の胴部材ブランクを打ち抜き、片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた胴部材ブランク(2)を作製することができる。この方法で作製した延出樹脂部を折り返した胴部材ブランクの端縁の状態を図7に示す。
【0030】
次に第2の方法を記す。
ロール状の紙基材(11)に扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷すると共に、胴部材ブランクの一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として打ち抜き、穿設する。
【0031】
必要個所にグラビア印刷法により絵柄等の印刷層(15)を設けた一軸延伸ポリオレフィンフィルム(13)と、上述の長窓(4)が穿設されたロール状の紙基材(11)とを印刷層(15)を内側にして低密度ポリエチレン樹脂(19)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、第2複合シートとした。
【0032】
別にバリア層(16)であるバリアフィルムに未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂層を溶融押し出し法により積層して第2複合フィルムを作製し、この第2複合フィルムのバリアフィルム(16)面と第2複合シートの紙基材(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(20)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした。以下は第1の方法と同様であるので説明を省略する。この方法で作製した樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の状態を図8に示す。
【0033】
次に、こうして作製した一方の端縁に樹脂延出部(14)が形成された胴部材ブランク(2)の樹脂延出部(14)を、紙基材端面に折り返し接着させる方法の一例を図9、図
10に基づいて説明する。
【0034】
胴部材ブランク(2)の紙基材(11)より所定幅だけ延出された樹脂延出部(14)を、紙カップに成形した際の、紙基材(11)の外面側となる側に向けて、櫛状に形成された押さえ突起(D11)を具備する第1部材(D1)を上方から下方に垂直方向に移動させて略90°の角度に押し曲げ、仮折りする(図9及び図10(a)、(b)参照)。
【0035】
ついで、櫛状に形成された押さえ突起(D21)を具備する第2部材(D2)を、前記第1部材の押さえ突起(D11)と押さえ突起(D11)の間の間隙(D12)をめがけて、胴部材ブランクの外側方向より内側方向に向けて水平移動させ、樹脂延出部(14)を略90°押し曲げ、先端近傍が胴部材ブランクの紙基材外側方向に重なるように仮折りする(図9及び図10(c)参照)。
【0036】
最後に、第1部材の下側に配置され、櫛状に形成された押さえ突起(D31)を具備する第3部材(D3)を、垂直に上方に押しつけ圧着して、折り返した樹脂延出部(14)の先端近傍を胴部材ブランクの紙基材の外側面に仮接着させる(図9及び図10(d)参照)。なお、第3部材(D3)の押さえ突起(D31)を適宜の温度に加熱しておくと樹脂延出部の接着性が向上してより効果的である。
【0037】
このような方法により作成した胴部材ブランク(2)を用いてカップ状の紙容器を成形する成形方法の一例を説明する(図11参照)。
【0038】
樹脂延出部(14)を折り返して紙端面を覆った方の胴部材ブランクの側端縁(2a)を内面側にして、もう一方の側端縁(2b)に重ね合わせて重ね合わせ部(3)を形成させて下方に向けて先細る円筒形状の胴部材(2)を作製する。
【0039】
この胴部材の下部内面に、周縁部分(6a)を下向きに起立させた略円形状の底部材(6)をはめ込み、周縁部内面を接合させ、ついで底部材の周縁部を覆うように胴部材の下端縁部(7)を内方に折り曲げて折り曲げ部(7a)を形成させ、該折り曲げ部を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部(8)を形成させる。
【0040】
最後に胴部材の上部周縁を外方に向けて巻き込み、フランジ部(9)を形成させ、カップ状の紙容器(1)とする。
【0041】
本発明の紙容器の形状としては、上述の紙カップ状の紙容器の他に、頂部が切り妻屋根型の四角柱状紙容器、頂部がフラットな六面体状紙容器、あるいは円筒状紙容器、角筒状紙容器等熱シールにより成形加工される紙容器を挙げることができる(図12参照)。
【0042】
具体的な実施例を以下に詳述する。
【実施例1】
【0043】
先ず、紙基材(11)として坪量が260g/m2のカップ原紙を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂(13)として厚さ25μmの一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムである三井ハイブロンフィルム(光沢度 89%)(三井化学株式会社製)を、それぞれ準備した。
【0044】
そして、三井ハイブロンフィルム(13)に、グラビア印刷法で扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷した。なお、胴部材ブランク(2)の必要個所には同時に絵柄等の印刷層(15)を設けた。
【0045】
このロール状の三井ハイブロンフィルム(13)の印刷層(15)を施した面に、ロール状の紙基材であるカップ原紙(11)をドライラミネート法により貼り合わせると共に、各胴部材ブランク(2,2,‥)の一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として穿設した複合シートを作製した。
【0046】
別に準備したバリア層(16)となる厚さ9μmのアルミニウム箔に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により60μmの厚さに積層して、複合フィルムを作製した。
【0047】
この複合フィルムのアルミニウム箔(16)面と、上述の長窓(4)を穿設したロール状の複合シートのカップ原紙(11)面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(18)を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)を作製した。
【0048】
出来上がったロール状の積層材料(10)から、外方に延出して設けられた樹脂延出部(14)を含む長窓を形成させた側の胴部材ブランク(2)の不必要部分(5)を連続して切り取り除去した。
【0049】
最後に片側の不必要部分(5)が切り取られた積層材料から、印刷層(15)を有する複数の扇形状の胴部材ブランクを打ち抜き、片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた実施例1の胴部材ブランク(2)を作製した。
【実施例2】
【0050】
先ず、第1の方法と同様に、紙基材(11)として坪量が260g/m2のカップ原紙を、一軸延伸ポリオレフィン樹脂(13)として厚さ20μmの一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムである三井ハイブロンフィルム(光沢度 89%)(三井化学株式会社製)を、それぞれ準備した。
【0051】
ロール状のカップ原紙(11)に扇形状の胴部材ブランク(2)を複数個並べて割り付け印刷すると共に、胴部材ブランクの一方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(4)として打ち抜き、穿設した。
【0052】
三井ハイブロンフィルム(13)の裏面側の必要個所に絵柄等の印刷層(15)をグラビア印刷法に設け、この三井ハイブロンフィルム(13)と、長窓(4)が穿設されたロール状のカップ原紙(11)とを印刷層(15)を内側にして低密度ポリエチレン樹脂を介してサンドイッチラミネーション法により貼り合わせ、第2複合シートとした。
【0053】
別にバリア層(16)として準備した厚さ9μmのアルミニウム箔に未延伸ポリオレフィン樹脂層(12)となる低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により60μmの厚さに積層して第2複合フィルムを作製した。
【0054】
この第2複合フィルムのアルミニウム箔面と、第2複合シートのカップ原紙面とを対向させ、低密度ポリエチレン樹脂(20)を介してサンドイッチラミネーション法により、第2複合フィルムと第2複合シートを貼り合わせ、胴部材用の積層材料(10)とした。以下第1の方法と同様にして胴部材用の積層材料(10)から片方の端縁に樹脂延出部(14)を形成させた実施例2の胴部材用部ブランク(2)を作製した。
【0055】
このようにして作製した実施例1及び実施例2の胴部材ブランクから上述した方法にしたがい、一般的に公知の紙カップ成型機を用いてカップ状の紙容器(1)を作製した。
出来上がった紙容器は、光沢が有り、美麗性に優れた紙容器であり、また、重ね合わせ部
の接着も強固なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の紙容器の胴部材に使用する積層材料の一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】図1の積層材料を用いて作製した胴部材を筒状に成形する、(a)は胴部材の一方の端縁の紙基材より延出される樹脂延出部の一実施例を示す、断面説明図であり、(b)は(a)の樹脂延出部を外方に折り返し、もう一方の端縁と重ね合わせ、筒状に成形した部位の重ね合わせ部の一実施例を示す、断面説明図である。
【図3】本発明の紙容器の胴部材に使用する積層材料の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図4】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクの長窓を設けた状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図5】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクにバリア層を貼り合わせた状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図6】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる胴部材ブランクを所定の形状に打ち抜く状態の一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A'線断面説明図である。
【図7】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の一実施例を示す、断面説明図である。
【図8】本発明の一実施例であるカップ状紙容器の製造に用いる樹脂延出部を折り返した胴部材ブランクの端縁の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図9】樹脂延出部を有する胴部材ブランクの樹脂延出部を紙基材の外面側に折り曲げ仮接着させる仮接着機構の一実施例を模式的に示す、説明図である。
【図10】(a)〜(d)は、樹脂延出部を紙基材の外面側に折り曲げ仮接着させる工程を示す、説明図である。
【図11】カップ状紙容器の作製工程を模式的に示す、説明図である。
【図12】本発明の紙容器の形状例を示す、斜視説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1‥‥紙容器
2‥‥胴部材、胴部材ブランク
2a‥内側に位置する側端縁
2b‥外側に位置する側端縁
3‥‥重ね合わせ部
4‥‥長窓
5‥‥不必要部分
6‥‥底部材
6a‥端縁部分
7‥‥胴部材の下端縁部分
7a‥折り曲げ部
8‥‥環状脚部
9‥‥フランジ部
10‥‥積層材料
11‥‥紙基材
12‥‥未延伸ポリオレフィン樹脂層
13‥‥一軸延伸ポリオレフィン樹脂層
14‥‥樹脂延出部
15‥‥印刷層
16‥‥バリア層
17‥‥金属光沢付与層
18‥‥低密度ポリエチレン樹脂
19‥‥低密度ポリエチレン樹脂
20‥‥低密度ポリエチレン樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側にJIS K7105により測定した光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製したことを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記胴部材の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、
胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされていることを特徴とする、請求項1記載の紙容器。
【請求項3】
前記内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項5】
前記紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項6】
前記紙容器が紙カップであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項1】
紙基材の内面側に未延伸ポリオレフィン樹脂層、外面側にJIS K7105により測定した光沢度が70%以上の一軸延伸ポリオレフィン樹脂層が設けられた積層材料を胴部材として作製したことを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記胴部材の一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせて筒状に成形する際、該重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、紙基材より延出される少なくとも未延伸ポリオレフィン樹脂層を含む樹脂延出部を、紙基材を含む一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面側に折り返し、該折り返し部分は紙基材と重なる一軸延伸ポリオレフィン樹脂層面と熱接着されると共に、もう一方の側縁の内面側に位置する未延伸ポリオレフィン樹脂層と熱接着され、
胴部材の一方の端縁ともう一方の端縁とは互いに封筒貼りされていることを特徴とする、請求項1記載の紙容器。
【請求項3】
前記内面側及び外面側に位置するポリオレフィン樹脂が共にポリエチレン系の樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記紙基材と未延伸ポリオレフィン樹脂層の間にバリア層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項5】
前記紙基材と一軸延伸ポリオレフィン樹脂層の間に金属光沢付与層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項6】
前記紙容器が紙カップであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−102038(P2009−102038A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274950(P2007−274950)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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