説明

紙幣処理機の紙幣分離繰出機構

【課題】集積された紙幣の中に下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣が存在した場合に、その比較的多様な不良形態に対しても、紙幣の分離不良による重送等を未然に防止することができる紙幣処理機の紙幣分離繰出機構の提供。
【解決手段】紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを移動手段により紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、紙幣集積板12を下方へ退避させる退避手段43と、退避手段43が紙幣集積板12を下方へ退避させた状態で、紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持された紙幣Sの下方への突出の有無から紙幣Sの集積姿勢不良の有無を検知する集積姿勢不良検知手段81とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位状態で集積した紙幣を一枚ずつ分離し繰り出す紙幣処理機の紙幣分離繰出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立位状態で集積した紙幣を一枚ずつ分離し繰り出す紙幣処理機において、集積された紙幣の中に少なくとも一枚、下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態で集積された紙幣が存在した場合に、紙幣の分離不良による重送(複数枚の紙幣が分離繰出部をまとめて通過してしまうこと)等を未然に防止する紙幣処理機として、紙幣を分離して繰り出す前に立位状態で集積した紙幣の下端辺の状態を確認することで、紙幣の分離不良による重送を防止する紙葉類処理装置がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4128851号公報(段落0066、図6−図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の紙葉類処理装置は、複数枚の紙葉類を集積して立位で投入する投入部と、この投入部を介して投入された紙葉類の集積方向一端にある第1紙葉類に転接して回転することにより第1紙葉類を取り出す取出ローラと、上記投入部を介して投入された紙葉類の集積方向他端にある第2紙葉類を集積方向に押圧して上記第1紙葉類を上記取出ローラに押し付ける押圧部材と、上記取出ローラによって取り出された第1紙葉類を他の紙葉類と分離して搬送する分離搬送部と、上記投入部に立位で投入された紙葉類の下端辺の状態を認識する認識手段とを備えている。そして、この認識手段は、上記投入部に立位で投入された複数枚の紙葉類の下端辺を当接せしめて整位する床に形成された開口部と、この開口部を介して複数枚の紙葉類の下端辺を照明するランプと、上記下端辺からの反射光を視認窓に伝達する光学部材とを備えている。
【0005】
上の紙葉類処理装置は、上記投入部を介して投入された紙葉類の取り出しを開始させるための開始ボタンと、上記光学部材を介して伝達される反射光の光量を監視して、この反射光量が予め設定したしきい値を超えたとき、上記開始ボタンによる操作を停止する制御部とをさらに備えていることで、投入部に立位で投入された紙葉類の下端辺の状態を認識できるため、下部が他の紙葉類の下側に潜り込んだ状態の異常な紙葉類を取り出す前に認識でき、異常な紙葉類が分離搬送部を通過することを防止でき、紙葉類の搬送ジャム等の不具合を防止できるようになっている。
【0006】
しかしながら、上記の紙葉類処理装置において、立位で投入された複数枚の紙葉類の下端辺を当接せしめて整位する床に形成された開口部は、その構造上、上記下端辺長さ方向の略中央の一部(実施例では、開口部の紙幣長辺方向の長さが紙幣長辺に対して約36%)に相当する部分しか開口しておらず、例えば、角が他の紙葉類の下側に潜り込んだ状態の紙幣等、その形態によっては認識できない場合もあった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、集積された紙幣の中に下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣が存在した場合に、その比較的多様な不良形態に対しても、紙幣の分離不良による重送等を未然に防止することができる紙幣処理機の紙幣分離繰出機構の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、立位姿勢で横方向に集積された状態の紙幣が載置される紙幣集積板と、該紙幣集積板の一縁沿いに前記紙幣集積板に対して垂直方向に配置され、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を集積方向一側で保持可能な紙幣保持板と、該紙幣保持板と平行をなすように配置され、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を集積方向他側から押圧可能な紙幣押圧板と、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を前記紙幣保持板とで挟持させるように前記紙幣押圧板を前記紙幣保持板に向け移動させる移動手段と、前記紙幣保持板の近傍に配置され、前記紙幣保持板側から紙幣を一枚ずつ分離し繰り出す紙幣分離繰出手段とを備え、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を前記移動手段により前記紙幣押圧板と前記紙幣保持板とに挟持させた状態で、前記紙幣集積板を下方へ退避させる退避手段と、該退避手段が前記紙幣集積板を下方へ退避させた状態で、前記紙幣押圧板と前記紙幣保持板とに挟持された紙幣の下方への突出の有無から紙幣の集積姿勢不良の有無を検知する集積姿勢不良検知手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記紙幣押圧板および前記紙幣保持板の紙幣に対する挟持力を検知する挟持力検知手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記紙幣分離繰出手段は、最も前記紙幣保持板に近い紙幣に当接可能な繰出ローラと、前記紙幣保持板の一部を構成するとともに、最も前記紙幣保持板に近い紙幣に当接可能であって前記繰出ローラの回転軸を中心に揺動自在に設けられた蹴出ローラと、該蹴出ローラを前記紙幣押圧板側へ付勢する付勢部材とを備え、前記挟持力検知手段は、前記蹴出ローラの所定の挟持揺動位置への揺動の有無を検知する位置検知センサの検知結果に基づき、前記挟持力を検知することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記挟持力検知手段は、前記紙幣保持板の前記紙幣押圧板側の面および前記紙幣押圧板の前記紙幣保持板側の面のうちの少なくともいずれか一方に設けられた圧力検知センサの検知結果に基づき、前記挟持力を検知することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2ないし4のいずれか一項に係る発明において、前記移動手段は、前記挟持力検知手段の検知結果に基づき前記紙幣押圧板の移動位置を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項2ないし5のいずれか一項に係る発明において、前記退避手段は、前記紙幣集積板を、前記紙幣保持板に近接する通常位置と該通常位置よりも下方の退避位置との間で移動可能となるように支持する支持部と、該支持部を駆動する駆動部とで構成されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記支持部は、位置固定の土台部と、前記紙幣集積板と一体に形成され、前記紙幣集積板に対して垂直方向に突出する取付部と、前記土台部と前記取付部とを連結する平行リンク機構とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項6または7に係る発明において、前記駆動部は、前記挟持力検知手段の検知結果に基づき前記紙幣集積板を前記通常位置と前記退避位置との間で移動させるように前記支持部を駆動することを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8のいずれか一項に係る発明において、前記紙幣集積板は、両側縁部の上部に段差部が形成された昇降可能な凸形状板部と、両側の前記段差部を埋めるように設けられた一対の昇降可能な可動板部とからなり、前記退避手段は、前記一対の可動板部のうちの一方を停止させた状態で前記凸形状板部および前記一対の可動板部のうちの他方を下方へ退避させる第1退避状態と、前記一対の可動板部のうちの前記他方を停止させた状態で前記凸形状板部および前記一対の可動板部のうちの前記一方を下方へ退避させる第2退避状態とに、前記紙幣集積板を退避可能であって、前記集積姿勢不良検知手段は、前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記第1退避状態および前記第2退避状態の両方にて行うことを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項1ないし8のいずれか一項に係る発明において、前記紙幣集積板は、中間部に凹部が形成された昇降可能な凹形状板部と、前記凹部内に配置可能な位置固定の固定板部とからなり、前記退避手段は、前記凹形状板部を下方へ退避可能であって、前記集積姿勢不良検知手段は、前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記凹形状板部を下方へ退避させた状態で行うことを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10のいずれか一項に係る発明において、前記紙幣集積板は、前記紙幣保持板側に設けられた昇降可能な可動紙幣集積板部と、前記紙幣保持板とは反対側に位置固定で設けられた固定紙幣集積板部とで構成され、前記退避手段は、前記可動紙幣集積板部を下方へ退避可能であり、前記集積姿勢不良検知手段は、前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記紙幣分離繰出手段による所定枚数の紙幣の繰り出し毎に行うことを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明において、前記可動紙幣集積板部の前記紙幣押圧板の移動方向における長さは、少なくとも、立位状態の紙幣の高さの1/4以上、高さ以下であることを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項11または12に係る発明において、前記所定枚数は、前記可動紙幣集積板部の、前記紙幣押圧板の移動方向における長さに応じて予め定められていることを特徴とする。
【0021】
請求項14に係る発明は、請求項1ないし13のいずれか一項に係る発明において、前記集積姿勢不良検知手段は、前記紙幣押圧板の移動方向に平行な少なくとも二つのライン上であって、前記紙幣押圧板の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知し、少なくともいずれか一方のライン上において紙幣の下方への突出有りを検知した場合に、前記集積姿勢不良の発生有りを判定することを特徴とする。
【0022】
請求項15に係る発明は、請求項1ないし14のいずれか一項に係る発明において、前記紙幣集積板の上方に設けられる開閉式の入金口シャッタを有し、前記移動手段は、前記入金口シャッタの閉動作に基づき前記紙幣押圧板の移動位置を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によれば、紙幣集積板上に立位姿勢で横方向に集積された紙幣を、移動手段により紙幣押圧板と紙幣保持板とに挟持させた状態で、退避手段が、紙幣集積板を下方へ退避させると、集積された紙幣の中に下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣が存在した場合に、この紙幣の下部の紙幣集積板による支持が解除され、この紙幣の下部が自重および腰(慣性)により下方に突出することになる。そして、集積姿勢不良検知手段が、紙幣押圧板と紙幣保持板とに挟持された紙幣の下方への突出の有無から紙幣の集積姿勢不良の有無を検知することになる。したがって、集積された紙幣の中に下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣が存在した場合に、その比較的多様な不良形態に対しても、検知を行うことができることになり、紙幣の分離不良による重送等を未然に防止することができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、紙幣押圧板および紙幣保持板の紙幣に対する挟持力を検知する挟持力検知手段を有するため、紙幣集積板を下方へ退避させる際に、確実に紙幣を紙幣押圧板と紙幣保持板とに挟持させた状態で、退避させることができる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、紙幣押圧板で紙幣を挟持すべく紙幣保持板側に押圧すると、最も紙幣保持板に近い紙幣に当接可能であって付勢部材で紙幣押圧板側へ付勢された揺動自在の蹴出ローラが、付勢部材の付勢力に抗して揺動することになり、蹴出ローラが所定の挟持揺動位置へ揺動したことを位置検知センサが検知すると、挟持力検知手段が、紙幣保持板の一部を構成する蹴出ローラと紙幣押圧板とで紙幣を所定の挟持力で挟持していることを検知する。これにより、付勢部材で付勢された蹴出ローラと紙幣押圧板とで紙幣を挟持する場合に、簡素な構成で紙幣に対する挟持力を検知することができる。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、挟持力検知手段が、紙幣保持板の紙幣押圧板側の面および紙幣押圧板の紙幣保持板側の面のうちの少なくともいずれか一方に設けられた圧力検知センサの検知結果に基づき、紙幣押圧板および紙幣保持板の紙幣に対する挟持力を検知することになるため、紙幣押圧板が、蹴出ローラを押し込んだ状態で紙幣保持板との間で紙幣を挟持している場合に、簡素な構成で紙幣に対する挟持力を検知することができる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、移動手段が、挟持力検知手段の検知結果に基づき紙幣押圧板の移動位置を制御するため、最適な挟持力となるように紙幣押圧板を移動させることができる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、退避手段が、駆動部で支持部を駆動することで、紙幣集積板を、紙幣保持板に近接する通常位置と該通常位置よりも下方の退避位置との間で移動させるため、簡素な構造で、紙幣集積板を移動させることができる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、駆動部で支持部を駆動すると、位置固定の土台部に連結された平行リンク機構が紙幣集積板を移動させるため、より簡素な構造で、紙幣集積板を移動させることができる。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、駆動部が、挟持力検知手段の検知結果に基づき紙幣集積板を通常位置と退避位置との間で移動させるように支持部を駆動するため、紙幣集積板を下方へ退避させる際に、確実に紙幣を紙幣押圧板と紙幣保持板とに挟持させた状態で、紙幣集積板を下方へ退避させることができる。
【0031】
請求項9に係る発明によれば、退避手段が、一対の可動板部のうちの一方で紙幣を支持した状態で凸形状板部および一対の可動板部のうちの他方を下方へ退避させる第1退避状態とし、集積姿勢不良検知手段が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことになり、退避手段が、一対の可動板部のうちの他方で紙幣を支持した状態で凸形状板部および一対の可動板部のうちの一方を下方へ退避させる第2退避状態として、集積姿勢不良検知手段が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことになるため、紙幣を下方から支持した状態で集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことができる。よって、紙幣押圧板と紙幣保持板との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣を検知できる。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、位置固定の固定板部で紙幣を支持した状態で、退避手段が凹形状板部を下方へ退避させて、集積姿勢不良検知手段が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うため、紙幣を下方から支持した状態で集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことができる。よって、紙幣押圧板と紙幣保持板との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣を検知できる。
【0033】
請求項11に係る発明によれば、紙幣保持板とは反対側に位置固定で設けられた固定紙幣集積板部はそのままで、退避手段が、紙幣保持板側に設けられた昇降可能な可動紙幣集積板部を下方へ退避させて、集積姿勢不良検知手段が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うため、紙幣押圧板と紙幣保持板とで挟持しなければならない紙幣の量を実質的に少なくできる。よって、紙幣押圧板と紙幣保持板との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣を検知できる。そして、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、紙幣分離繰出手段による所定枚数の紙幣の繰り出し毎に行うことで、順次集積姿勢不良の有無を検知する領域をずらすことができる。
【0034】
請求項12に係る発明によれば、可動紙幣集積板部の紙幣押圧板の移動方向における長さが、少なくとも、立位状態の紙幣の高さの1/4以上、高さ以下であるため、下部が他の紙幣の下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣を良好に検知できる。
【0035】
請求項13に係る発明によれば、所定枚数が、可動紙幣集積板部の、紙幣押圧板の移動方向における長さに応じて予め定められているため、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、紙幣分離繰出手段による所定枚数の紙幣の繰り出し毎に行うことで、集積姿勢不良の有無を適正に検知することができる。
【0036】
請求項14に係る発明によれば、集積姿勢不良検知手段が、紙幣押圧板の移動方向に平行な少なくとも二つのライン上であって、紙幣押圧板の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知し、少なくともいずれか一方のライン上において紙幣の下方への突出有りを検知した場合に、集積姿勢不良の発生有りを判定するため、集積姿勢不良の有無を適正に検知することができる。
【0037】
請求項15に係る発明によれば、移動手段が、入金口シャッタの閉動作に基づき紙幣押圧板の移動位置を制御するため、入金口シャッタを閉じた状態での移動が可能となり、移動中に紙幣が投入されることによるジャム等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す側断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図2】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す正断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構の制御系のブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す側断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図5】本発明の第3実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す側断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図6】本発明の第4実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す側断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図7】本発明の第5実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す正断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板の第1退避状態を示すものである。
【図8】本発明の第5実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構の制御系のブロック図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す正断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【図10】本発明の第7実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を示す側断面図であって、(a)は紙幣集積板が通常位置にある状態を示し、(b)は紙幣集積板が退避位置にある状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0040】
図1に示す第1実施形態に係る紙幣分離繰出機構11は、紙幣Sを入金可能な入金専用の紙幣入金機や、紙幣Sを入出金可能な紙幣入出金機等の紙幣処理機に用いられるものである。
【0041】
紙幣分離繰出機構11は、水平に配置される平面視矩形状の紙幣集積板12と、紙幣集積板12の一側の縁部に沿い且つ紙幣集積板12に対して垂直方向に配置される保持板本体13と、紙幣集積板12の逆側の縁部に沿い且つ紙幣集積板12に対して垂直方向に配置される端壁板14と、保持板本体13および端壁板14を結ぶように、紙幣集積板12の一対の側縁部に沿い且つ紙幣集積板12に対して垂直方向に配置される図2に示す一対の側壁板15とを有している。
【0042】
紙幣集積板12と、紙幣集積板12の上側に配置される保持板本体13、端壁板14および一対の側壁板15とが、上方に開口する入金口20を構成しており、紙幣集積板12はこの入金口20の底面を構成する。入金口20には、入金口20内の紙幣Sの有無を検知する図3に示す入金検知センサ21が設けられている。
【0043】
紙幣集積板12の上方であって入金口20の上方には、入金口20を開閉するスライド開閉式の入金口シャッタ25が設けられており、入金口シャッタ25は、図3に示すシャッタ駆動部26で駆動されてスライドすることになる。なお、入金口20には、入金口シャッタ25が開位置にあることを検知する図3に示すシャッタ開位置検知センサ27と、入金口シャッタ25が閉位置にあることを検知する図3に示すシャッタ閉位置検知センサ28とが設けられている。
【0044】
ここで、紙幣集積板12には、その端壁板14側の端縁部から垂直方向に上向きに突出する取付部31が一体に形成されており、この取付部31が平行リンク機構32を介して、紙幣処理機の機体に位置固定で設けられた土台部33に連結されている。平行リンク機構32は、二本のリンクアーム36と、二本のリンクアーム36のそれぞれの一端を取付部31に回転可能に連結させる支持軸37と、二本のリンクアーム36のそれぞれの他端を土台部33に回転可能に連結させる支持軸38とを有しており、紙幣集積板12を水平状態を維持したまま上下に平行移動させる。これら土台部33、取付部31および平行リンク機構32が、紙幣集積板12を、保持板本体13に近接する通常位置と、この通常位置よりも下方の退避位置との間で移動可能となるように支持する支持部39を構成している。なお、取付部31は、紙幣集積板12から下向きに突出していても良い。
【0045】
上記支持部39と、この支持部39を駆動することで紙幣集積板12を昇降させる図3に示す集積板駆動部(駆動部)40と、紙幣集積板12が通常位置に位置することを検知する図3に示す通常位置検知センサ41と、紙幣集積板12が退避位置に位置することを検知する図3に示す退避位置検知センサ42とが、紙幣集積板12を下方へ退避させる退避部(退避手段)43を構成している。集積板駆動部40は、例えば下側のリンクアーム36に設けられたカムフォロアに下側から当接するカムとこのカムを回転させるモータとで構成され、あるいは支持軸37,38のいずれか一つを駆動することによりこの支持軸に固定されたリンクアーム36を駆動するステッピングモータ等で構成されている。
【0046】
紙幣分離繰出機構11は、入金口20内に、紙幣集積板12に対して垂直方向に配置され且つ保持板本体13および端壁板14と平行をなすように配置される紙幣押圧板50を有している。この紙幣押圧板50は、保持板本体13および端壁板14と平行をなす姿勢のままこれら保持板本体13および端壁板14を結ぶ方向にスライド可能に設けられており、図3に示す押圧板駆動部(移動手段)51で駆動されてスライドする。なお、紙幣押圧板50は、図1(a)に二点鎖線で示すように最も保持板本体13から離れた位置を待機位置としており、この紙幣押圧板50が待機位置にあることを検知する図3に示す待機位置センサ52が設けられている。
【0047】
ここで、入金口シャッタ25が開放された状態で、紙幣Sは立位姿勢で横方向に集積された状態で入金口20内の保持板本体13と紙幣押圧板50との間に、これらを結ぶ方向に集積方向を沿わせて投入されることになり、その結果、紙幣Sが、この状態で紙幣集積板12上に載置される。
【0048】
紙幣分離繰出機構11は、保持板本体13の近傍に配置され、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを保持板本体13側から一枚ずつ分離し繰り出す紙幣分離繰出部55(紙幣分離繰出手段)を有している。
【0049】
この紙幣分離繰出部55は、保持板本体13の入金口20とは反対側に配置されて、保持板本体13の下方に位置する繰出ローラ56と、繰出ローラ56を機体に軸支する回転軸57と、紙幣集積板12の保持板本体13側の下方に配置されて、繰出ローラ56に端壁板14側から当接する分離ローラ58と、分離ローラ58を機体に軸支する支持軸59とを有している。
【0050】
また、紙幣分離繰出部55は、繰出ローラ56の回転軸57にこの回転軸57を中心に揺動自在となるように支持されて保持板本体13の入金口20とは反対側で上方に延出する揺動アーム60と、この揺動アーム60の中間位置の支持軸61に支持されて保持板本体13の中間位置から図示略の開口部を介して入金口20内に一部突出する蹴出ローラ62と、揺動アーム60を保持板本体13側(図1の時計回り方向)に付勢することで蹴出ローラ62を入金口20内に突出させる方向つまり紙幣押圧板50側へ付勢する蹴出スプリング(付勢部材)65と、揺動アーム60が所定位置よりも保持板本体13から離間する方向に揺動すると揺動アーム60に当接して揺動アーム60を同じく紙幣押圧板50側へ付勢する付勢力を発生させる挟持スプリング(付勢部材)66とを有している。
【0051】
さらに、紙幣分離繰出部55は、蹴出ローラ62および繰出ローラ56を同期回転させる図3に示す分離繰出駆動部67を備えている。
【0052】
蹴出ローラ62は、上記のように揺動アーム60に支持されることで、繰出ローラ56の回転軸57を中心に揺動自在に設けられており、保持板本体13から入金口20内に突出することで、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sのうち最も保持板本体13に近い紙幣Sに当接可能となっている。蹴出ローラ62は、保持板本体13とで、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを集積方向一側で保持可能な紙幣保持板70を構成する。言い換えれば、蹴出ローラ62は紙幣保持板70の一部を構成する。よって、この紙幣保持板70は、紙幣集積板12の一縁沿いに紙幣集積板12に対して垂直方向に配置され、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを集積方向一側で保持可能となっており、これに対して、紙幣押圧板50が紙幣保持板70と平行をなすように配置され、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを集積方向他側から押圧可能となっている。また、上記した押圧板駆動部51は、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを紙幣保持板70とで挟持させるように紙幣押圧板50を紙幣保持板70に向け移動させることになる。
【0053】
蹴出ローラ62は、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sのうち最も紙幣保持板70に近い紙幣Sに当接して、これを紙幣集積板12と保持板本体13との間の繰出口72に向けて蹴り出す。なお、揺動アーム60は、蹴出ローラ62が保持板本体13から所定位置まで突出すると図示略のストッパに当接して停止することになり、この位置が待機位置となっている。
【0054】
揺動アーム60は、待機位置よりも保持板本体13から離間する方向に揺動することで蹴出スプリング65を圧縮することになる。蹴出スプリング65は、このように揺動アーム60により圧縮されて所定の蹴出圧縮状態まで圧縮されると蹴出ローラ62による紙幣Sの蹴り出しに最適な付勢力を発生させることになり、図1(a)に示すように、蹴出スプリング65がこの蹴出圧縮状態に圧縮されたことを揺動アーム60の被検知部75の位置で検知する蹴出位置検知センサ76が揺動アーム60の近傍に位置固定で設けられている。なお、蹴出スプリング65がこの蹴出圧縮状態に圧縮された状態で、もう一つの挟持スプリング66は付勢力を発生させることがないように設定されている。
【0055】
この挟持スプリング66は、揺動アーム60で圧縮されて、所定の挟持圧縮状態になると、後述するように蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とで、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能となる付勢力を、同じく揺動アーム60でさらに圧縮されて所定の挟持圧縮状態になっている蹴出スプリング65とで発生させることになる。図1(b)に示すように、このときの蹴出ローラ62の位置が、紙幣押圧板50とのみで、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能となる所定の挟持揺動位置となる。
【0056】
このように挟持スプリング66が挟持圧縮状態に圧縮されたこと、つまり蹴出ローラ62の位置が上記の挟持揺動位置になったことを揺動アーム60の被検知部75の位置で検知する挟持位置検知センサ(挟持力検知手段,位置検知センサ)77が位置固定で設けられている。つまり、挟持位置検知センサ77は、蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50との紙幣Sに対する挟持力を検知する。また、挟持位置検知センサ77は、蹴出スプリング65および挟持スプリング66が所定の挟持圧縮状態になっているか否か、つまり蹴出ローラ62の所定の挟持揺動位置への揺動の有無を検知することになり、その検知結果に基づき、蹴出ローラ62の所定の挟持揺動位置への揺動が無しから有りになると、紙幣保持板70と紙幣押圧板50との紙幣Sに対する挟持力が所定値に達したことを検知する。この挟持力は、紙幣集積板12上に最大量の紙幣Sが載置されていても、全紙幣Sを、紙幣集積板12による支持を解除した状態で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とで挟持できる値となっている。
【0057】
ここで、蹴出スプリング65の付勢力は、紙幣集積板12による支持を解除した状態で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とで最大量の紙幣Sを挟持することが不可能となっている。また、蹴出スプリング65および挟持スプリング66が挟持圧縮状態になっている状態では、挟持力が大きすぎて、蹴出ローラ62による適正な紙幣Sの蹴り出しは不可能となっている。
【0058】
繰出ローラ56は、入金口20内の紙幣Sのうち最も紙幣保持板70に近い紙幣Sに当接可能となっていて、蹴出ローラ62が繰出口72に向け蹴り出した紙幣Sを繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出す。分離ローラ58は、蹴出ローラ62が繰出口72に向け蹴り出した紙幣Sのうち最も繰出ローラ56側にある紙幣以外の紙幣Sを停止させることにより、繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出す紙幣Sを一枚ずつに分離する。
【0059】
なお、紙幣集積板12は、上記したように昇降可能となるため、分離ローラ58を通過させることが可能な切欠部78が形成されている。
【0060】
そして、通常位置にある紙幣集積板12の近傍位置であって退避位置にある紙幣集積板12の上側の近傍位置には、集積姿勢不良検知センサ(集積姿勢不良検知手段)81が設けられている。この集積姿勢不良検知センサ81は、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、紙幣集積板12を下方へ退避させ、この状態で、紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持された紙幣Sの下方への突出の有無から紙幣Sの集積姿勢不良の有無を検知する。つまり、集積された紙幣Sの中に下部が他の紙幣Sの下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣S(S1)が存在した場合には、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、紙幣集積板12を下方へ退避させると、この集積姿勢不良紙幣S(S1)は自重および腰(慣性)によって下方に突出する図1(b)および図2(b)に示す突出部Saを形成する状態となるため、この突出部Saを集積姿勢不良検知センサ81が検知するのである。
【0061】
集積姿勢不良検知センサ81は、発光素子82と受光素子83とからなる光学式センサであり、発光素子82の発光を受光素子83で受光することで光路上に集積姿勢不良紙幣S(S1)が無いことを検知し、発光素子82の発光が遮光され受光素子83で受光できないことで光路上に集積姿勢不良紙幣S(S1)が有ることを検知する検知動作を行う。
【0062】
紙幣押圧板50の移動方向(紙幣Sの集積方向)に平行な二つのライン上であって、紙幣押圧板50の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知するように、集積姿勢不良検知センサ81が図2に示すように二つ設けられている。一方の集積姿勢不良検知センサ81は、発光素子82と受光素子83とを結ぶ光路が、紙幣押圧板50の移動方向に平行となり、適正に集積されている紙幣Sの下縁の一端より若干内側の下方位置を通るように設けられており、他方の集積姿勢不良検知センサ81は、発光素子82と受光素子83とを結ぶ光路が、紙幣押圧板50の移動方向に平行となり、適正に集積されている紙幣Sの下縁の他端より若干内側の下方位置を通るように設けられている。これらの集積姿勢不良検知センサ81は、それぞれの光路が紙幣集積板12と平行な同一平面内に位置するように配置されている。
【0063】
なお、これら集積姿勢不良検知センサ81の光路に干渉しないように、繰出ローラ56、回転軸57、分離ローラ58および支持軸59は、軸方向位置および高さ方向位置の少なくとも一方を、集積姿勢不良検知センサ81の光路とは異ならせて配置されている。また、これら集積姿勢不良検知センサ81の光路に干渉しないように、支持部39も、軸方向位置および高さ方向位置の少なくとも一方を、集積姿勢不良検知センサ81の光路とは異ならせて配置されている。ここで、集積姿勢不良検知センサ81の数は少なくとも二つあれば良く、紙幣押圧板50の移動方向に平行な二つのライン上であって、紙幣押圧板50の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知するように三つ以上設けても良い。その場合、二つ設ける場合と同様、紙幣集積板12と平行な同一平面内に配置するのが好ましい。
【0064】
図3に示すように、上記した入金検知センサ21、シャッタ駆動部26、シャッタ開位置検知センサ27、シャッタ閉位置検知センサ28、集積板駆動部40、通常位置検知センサ41、退避位置検知センサ42、押圧板駆動部51、待機位置センサ52、分離繰出駆動部67、蹴出位置検知センサ76、挟持位置検知センサ77および二つの集積姿勢不良検知センサ81が、制御部(退避手段)90に通信可能に接続されている。制御部90には、操作者による操作入力が行われる操作部91と、操作者に対して表示を行う表示部92とが接続されている。
【0065】
以上の構成の第1実施形態の紙幣分離繰出機構11においては、図1(a)に示すように紙幣集積板12が通常位置にあり、図1(a)に二点鎖線で示すように紙幣押圧板50が紙幣保持板70から離れた待機位置にある状態から、入金口シャッタ25が開かれて、入金口20の紙幣押圧板50と紙幣保持板70との間に紙幣Sが、これら紙幣押圧板50と紙幣保持板70とを結ぶ方向に集積方向を向けた状態で挿入されることになり、挿入された紙幣Sは上記の姿勢で紙幣集積板12上に載置される。なお、紙幣押圧板50は手動でスライド可能となっており、紙幣集積板12上の紙幣Sが倒れない位置まで手動によりスライドさせられる。
【0066】
そして、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、入金検知センサ21で入金口20内に紙幣Sがあることが検知されていることを条件として、シャッタ駆動部26を駆動して入金口シャッタ25を閉動作させることになり、入金口シャッタ25が閉位置まで移動したことをシャッタ閉位置検知センサ28が検知すると、シャッタ駆動部26を停止させて入金口シャッタ25を停止させるとともに、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる(つまり、入金口シャッタ25の閉動作に基づき、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50の移動位置を制御する)。
【0067】
上記した移動により、紙幣押圧板50が紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを介して蹴出ローラ62を押圧することになり、蹴出ローラ62が揺動アーム60によって、繰出ローラ56の回転軸57を中心に揺動する。そして、図1(b)に示すように、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、押圧板駆動部51を停止させて紙幣押圧板50を停止させる(つまり、押圧板駆動部51は、挟持位置検知センサ77の検知結果に基づき紙幣押圧板50の移動位置を制御する)。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65の付勢力と、同じく挟持圧縮状態にある挟持スプリング66の付勢力とで、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0068】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを押圧板駆動部51により蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、集積板駆動部40を駆動して、通常位置にあった紙幣集積板12を下方に退避させることになり、退避位置検知センサ42で紙幣集積板12が検知されると、集積板駆動部40を停止させ、その結果、紙幣集積板12を退避位置で停止させる。つまり、押圧板駆動部51は、挟持位置検知センサ77の検知結果に基づき紙幣集積板12を通常位置と退避位置との間で移動させるように支持部39を駆動することになる。
【0069】
この状態で、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81の発光素子82を発光させ、それぞれの発光を受光素子83が受光するか否かを検知する検知動作を行う。そして、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方において受光素子83が受光しない状態、つまり、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの突出部Saつまり紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0070】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、集積板駆動部40を駆動して、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に向けて上昇させることになり、通常位置検知センサ41で紙幣集積板12が検知されると、集積板駆動部40を停止させ、紙幣集積板12を停止させる。このとき、紙幣集積板12上の紙幣Sを繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことはない。
【0071】
次に、制御部90は、押圧板駆動部51を駆動して紙幣押圧板50を待機位置に向けて紙幣保持板70から離間する方向に移動させ、紙幣押圧板50が待機位置センサ52で検知されると、押圧板駆動部51を停止させ、その結果、紙幣押圧板50を待機位置で停止させることになり、シャッタ駆動部26を駆動して入金口シャッタ25を開動作させることになり、入金口シャッタ25が開位置まで移動したことをシャッタ開位置検知センサ27が検知すると、シャッタ駆動部26を停止させ、その結果、入金口シャッタ25を開位置で停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入が可能となる。なお、紙幣保持板70から離間する方向への紙幣押圧板50の移動で押圧力が解除されるため、挟持スプリング66および蹴出スプリング65の付勢力により揺動アーム60が蹴出ローラ62を保持板本体13から突出する方向に揺動させることになり、蹴出ローラ62が保持板本体13から所定位置まで突出して待機位置に戻ると揺動アーム60が図示略のストッパに当接して停止する。
【0072】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべてにおいて受光素子83が受光する状態、つまり、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになる。
【0073】
集積姿勢不良の発生無しを判定すると、制御部90は、集積板駆動部40を駆動して、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に向けて上昇させることになり、通常位置検知センサ41で紙幣集積板12が検知されると、集積板駆動部40を停止させ、その結果、紙幣集積板12を通常位置で停止させる。次に、制御部90は、押圧板駆動部51を駆動して紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させることになり、これにより、紙幣押圧板50の押圧力が解除されるため、挟持スプリング66および蹴出スプリング65の付勢力により蹴出ローラ62が揺動アーム60によって、繰出ローラ56の回転軸57を中心に揺動する。そして、揺動アーム60が図示略のストッパに当接する手前で、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されることになり、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると、制御部90は、押圧板駆動部51を停止させて紙幣押圧板50を停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。
【0074】
そして、制御部90は、分離繰出駆動部67を駆動して紙幣分離繰出部55の蹴出ローラ62および繰出ローラ56を駆動することになり、蹴出ローラ62が紙幣保持板70側の紙幣Sを繰出口72側に蹴り出し、繰出ローラ56および分離ローラ58が蹴り出された紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。紙幣Sの繰り出しに伴って、入金口20内の紙幣量が減ると蹴出ローラ62が揺動アーム60を揺動させながら入金口20内に突出することになるが、揺動アーム60の被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されなくなると、制御部90は押圧板駆動部51を駆動して紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されるまで移動させることになり、これを適宜繰り返すことで蹴出ローラ62に常に適正な圧力で紙幣Sを接触させる。そして、紙幣集積板12上のすべての紙幣Sが図示略の紙幣搬送路に繰り出されたことを入金検知センサ21で検知すると、制御部90は、分離繰出駆動部67を停止させて蹴出ローラ62および繰出ローラ56を停止させる。その後、制御部90は、押圧板駆動部51を駆動して紙幣押圧板50を待機位置に向けて移動させ、紙幣押圧板50が待機位置センサ52で検知されると、押圧板駆動部51を停止させ、その結果、紙幣押圧板50を待機位置で停止させる。
【0075】
以上に述べた第1実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、紙幣集積板12上に立位姿勢で横方向に集積された紙幣Sを、制御部90が、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、集積板駆動部40により紙幣集積板12を下方へ退避させると、集積された紙幣Sの中に下部が他の紙幣Sの下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣S(S1)が存在した場合に、この紙幣Sの下部の紙幣集積板12による支持が解除され、この紙幣の下部が自重および腰(慣性)により下方に突出して突出部Saを形成することになる。そして、集積姿勢不良検知センサ81が、紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持された紙幣Sの下方への突出部Saの有無から紙幣Sの集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことになる。したがって、集積された紙幣Sの中に下部が他の紙幣Sの下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣S(S1)が存在した場合に、例えば適正な紙幣Sの角部近傍の下部に潜り込む等、その比較的多様な不良形態に対しても、検知を行うことができることになり、紙幣Sの分離不良による重送等を未然に防止することができる。
【0076】
また、紙幣押圧板50および紙幣保持板70の紙幣Sに対する挟持力を検知する挟持位置検知センサ77が設けられているため、紙幣集積板12を下方へ退避させる際に、確実に紙幣Sを紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、退避させることができる。
【0077】
また、紙幣押圧板50で紙幣Sを挟持すべく紙幣保持板70側に押圧すると、最も紙幣保持板70に近い紙幣Sに当接可能であって蹴出スプリング65で紙幣押圧板50側へ付勢された揺動自在の蹴出ローラ62が、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力に抗して揺動することになり、蹴出ローラ62が所定の挟持揺動位置へ揺動したことを挟持位置検知センサ77が検知すると、紙幣保持板70の一部を構成する蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを所定の挟持力で挟持していることを検知する。これにより、蹴出スプリング65および挟持スプリング66で付勢された蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを挟持する場合に、簡素な構成で紙幣Sに対する挟持力を検知することができる。
【0078】
また、制御部90および押圧板駆動部51が、挟持位置検知センサ77の検知結果に基づき紙幣押圧板50の移動位置を制御するため、最適な挟持力となるように紙幣押圧板50を移動させることができる。
【0079】
また、制御部90が、集積板駆動部40で支持部39を駆動することで、紙幣集積板12を、紙幣保持板70に近接する通常位置と、この通常位置よりも下方の退避位置との間で移動させるため、簡素な構造で、紙幣集積板12を移動させることができる。
【0080】
また、集積板駆動部40で支持部39を駆動すると、機体に位置固定の土台部33に連結された平行リンク機構32が紙幣集積板12を移動させるため、より簡素な構造で、紙幣集積板12を移動させることができる。
【0081】
また、制御部90および集積板駆動部40が、挟持位置検知センサ77の検知結果に基づき紙幣集積板12を通常位置と退避位置との間で移動させるように支持部39を駆動するため、紙幣集積板12を下方へ退避させる際に、確実に紙幣Sを紙幣押圧板50と紙幣保持板70とに挟持させた状態で、紙幣集積板12を下方へ退避させることができる。
【0082】
また、集積姿勢不良検知センサ81が、紙幣押圧板50の移動方向に平行な二つのライン上であって、紙幣押圧板50の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知し、少なくともいずれか一方のライン上において紙幣Sの下方への突出有りを検知した場合に、集積姿勢不良の発生有りを判定するため、集積姿勢不良の有無を適正に検知することができる。
【0083】
また、制御部90および押圧板駆動部51が、入金口シャッタ25の閉動作に基づき紙幣押圧板50の移動位置を制御するため、入金口シャッタ25を閉じた状態での移動が可能となり、移動中に紙幣Sが投入されることによるジャム等を防止できる。
【0084】
本発明の第2実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図4を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0085】
第2実施形態の紙幣分離繰出機構11は、例えば、入金口20に一度に投入可能な紙幣量つまり入金口20の容量が第1実施形態よりも少なく、蹴出スプリング65の付勢力で蹴出ローラ62と紙幣押圧板50との間に、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能な場合に好適となっている。
【0086】
第2実施形態では、挟持スプリング66は設けられていない。そして、蹴出位置検知センサ76は、第1実施形態と同様に、蹴出スプリング65が揺動アーム60により圧縮されて所定の蹴出圧縮状態まで圧縮されたことを揺動アーム60の被検知部75の位置で検知するようになっている。一方、挟持位置検知センサ77は、蹴出スプリング65が揺動アーム60によりさらに圧縮されて、蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とのみで、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能となる付勢力を発生させる、所定の挟持圧縮状態になっていること、つまり蹴出ローラ62が所定の挟持揺動位置にあることを、揺動アーム60の被検知部75の位置で検知する。
【0087】
以上の構成の第2実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる。
【0088】
上記した移動により、紙幣押圧板50が紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを介して蹴出ローラ62を押圧し、揺動アーム60で支持された蹴出ローラ62を揺動させることになり、図4(b)に示すように、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0089】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、第1実施形態と同様、通常位置にあった紙幣集積板12を図4(b)に示すように下方に退避させ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0090】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に上昇させた後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。このとき、紙幣押圧板50の押圧力が解除されるため、蹴出スプリング65の付勢力により揺動アーム60が蹴出ローラ62を待機位置に戻すことになる。
【0091】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、第1実施形態と同様、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させる。すると、蹴出スプリング65の付勢力により蹴出ローラ62が揺動アーム60によって揺動することになり、制御部90は、図4(a)に示すように、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0092】
以上に述べた第2実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、紙幣押圧板50で紙幣Sを挟持すべく紙幣保持板70側に押圧すると、最も紙幣保持板70に近い紙幣Sに当接可能であって蹴出スプリング65で紙幣押圧板50側へ付勢された揺動自在の蹴出ローラ62が、蹴出スプリング65の付勢力に抗して揺動することになり、蹴出ローラ62が所定の挟持揺動位置へ揺動したことを挟持位置検知センサ77が検知すると、紙幣保持板70の一部を構成する蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを所定の挟持力で挟持していることを検知する。これにより、入金口20の容量が少なく、蹴出スプリング65で付勢された蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能な場合に、簡素な構成で紙幣Sに対する挟持力を検知して、制御を行うことができる。
【0093】
本発明の第3実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図5を参照して第2実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0094】
第3実施形態の紙幣分離繰出機構11は、例えば、入金口20に一度に投入可能な紙幣量つまり入金口20の容量が第2実施形態よりも少なく、蹴出スプリング65の蹴出圧縮状態での付勢力で蹴出ローラ62と紙幣押圧板50との間に、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能な場合に好適となっている。第3実施形態では、挟持位置検知センサ77も設けられていない。
【0095】
以上の構成の第3実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる。
【0096】
上記した移動により、紙幣押圧板50が紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを介して蹴出ローラ62を押圧し、揺動アーム60で支持された蹴出ローラ62を揺動させることになり、図5(a)に示すように、揺動アーム60の被検知部75が、蹴出位置検知センサ(挟持力検知手段,位置検知センサ)76で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、蹴出圧縮状態であり挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0097】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、第1実施形態と同様、図5(b)に示すように、通常位置にあった紙幣集積板12を下方に退避させ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0098】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に上昇させた後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。このとき、紙幣押圧板50の押圧力が解除されるため、蹴出スプリング65の付勢力により揺動アーム60が蹴出ローラ62を待機位置に戻すことになる。
【0099】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、第1実施形態と同様、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に戻した後、紙幣押圧板50をそのままの状態で、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0100】
以上に述べた第3実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、紙幣押圧板50で紙幣Sを挟持すべく紙幣保持板70側に押圧すると、最も紙幣保持板70に近い紙幣Sに当接可能であって蹴出スプリング65で紙幣押圧板50側へ付勢された揺動自在の蹴出ローラ62が、蹴出スプリング65の付勢力に抗して揺動することになり、蹴出ローラ62が所定の蹴出揺動位置へ揺動したことを蹴出位置検知センサ76が検知すると、紙幣保持板70の一部を構成する蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを所定の挟持力で挟持していることを検知する。これにより、入金口20の容量が少なく、蹴出圧縮状態にある蹴出スプリング65で付勢された蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能な場合に、簡素な構成で紙幣Sに対する挟持力を検知して、制御を行うことができる。
【0101】
本発明の第4実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図6を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0102】
第4実施形態の紙幣分離繰出機構11は、例えば、入金口20に一度に投入可能な紙幣量つまり入金口20の容量が第1実施形態よりも多く、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力では、紙幣保持板70と紙幣押圧板50との間に、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持することはできない場合等に好適となっている。
【0103】
第4実施形態の紙幣分離繰出機構11では、挟持スプリング66は設けられていない。また、挟持位置検知センサ77は設けられておらず、代わりに、紙幣保持板70の保持板本体13の紙幣押圧板50側の面および紙幣押圧板50の紙幣保持板70側の面の両方に設けられた圧力検知センサ(挟持力検知手段)100,101の検知結果に基づいて、紙幣押圧板50および紙幣保持板70の紙幣Sに対する挟持力を検知するようになっている。そして、圧力検知センサ100,101のいずれか一方の圧力が所定の挟持圧力値に達すると、入金口20の容量範囲内での最大量の紙幣Sを挟持可能となる挟持力を紙幣押圧板50および紙幣保持板70が発生させたと判断する。なお、圧力検知センサ100,101のいずれか一方のみを設けて、この一方の検知結果に基づいて、紙幣押圧板50および紙幣保持板70の紙幣Sに対する挟持力を検知しても良い。
【0104】
以上の構成の第4実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる。
【0105】
上記した移動により、紙幣押圧板50が紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを介して蹴出ローラ62を押圧し、揺動アーム60で支持された蹴出ローラ62を揺動させることになり、図6(b)に示すように蹴出ローラ62を押し出して紙幣Sを紙幣押圧板50と保持板本体13とで挟持することになる。そして、圧力検知センサ100,101の検知結果から少なくとも一方の検知圧力が所定の挟持圧力値に達すると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、紙幣保持板70の保持板本体13と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0106】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを紙幣保持板70の保持板本体13と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、第1実施形態と同様、通常位置にあった紙幣集積板12を図6(b)に示すように下方に退避させ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0107】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に上昇させた後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。このとき、紙幣押圧板50の押圧力が解除されるため、蹴出スプリング65の付勢力により揺動アーム60が蹴出ローラ62を待機位置に戻すことになる。
【0108】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、第1実施形態と同様、退避位置にあった紙幣集積板12を通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させる。すると、蹴出スプリング65の付勢力により蹴出ローラ62が揺動アーム60によって揺動することになり、制御部90は、図6(a)に示すように被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0109】
以上に述べた第4実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、紙幣保持板70の保持板本体13の紙幣押圧板50側の面および紙幣押圧板50の紙幣保持板70側の面の両方に設けられた圧力検知センサ100,101の検知結果に基づき、紙幣押圧板50および紙幣保持板70の紙幣Sに対する挟持力を検知することになるため、紙幣押圧板50が、蹴出ローラ62を押し込んだ状態で紙幣保持板70との間で紙幣Sを挟持している場合に、簡素な構成で紙幣Sに対する挟持力を検知して、制御を行うことができる。
【0110】
本発明の第5実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図7および図8を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0111】
第5実施形態の紙幣分離繰出機構11は、図7に示すように、紙幣集積板12が、紙幣Sの集積方向に直交する水平方向における中央の凸形状板部110と、その両側の一対の可動板部111,112とに分割されている。
【0112】
凸形状板部110は、可動板部111,112側の両側縁部の上部に段差部115が形成されており、可動板部111,112は、両側の段差部115を埋めるように設けられている。
【0113】
図7においては図示を略すが、凸形状板部110および一対の可動板部111,112には、第1実施形態の図1に示す紙幣集積板12と同様、それぞれの端壁板14側の端縁部から垂直方向に上向きに突出する取付部31が一体に形成されており、これらの取付部31のそれぞれが平行リンク機構32を介して、機体に位置固定で設けられた土台部33に連結されている。よって、凸形状板部110および一対の可動板部111,112はそれぞれ支持部39に支持されて昇降可能となっている。なお、この場合も取付部31を紙幣集積板12から下向きに突出させることが可能である。
【0114】
第5実施形態では、上記した凸形状板部110および一対の可動板部111,112のそれぞれを個別に支持する支持部39と、凸形状板部110に連結された支持部39を駆動する図8に示す凸形状板部駆動部(駆動部)117と、一方の可動板部111に連結された支持部39を駆動する図8に示す可動板部駆動部(駆動部)118と、他方の可動板部112に連結された支持部39を駆動する図8に示す可動板部駆動部(駆動部)119と、凸形状板部110が通常位置に位置することを検知する図8に示す通常位置検知センサ121と、凸形状板部110が退避位置に位置することを検知する図8に示す退避位置検知センサ122と、一方の可動板部111が通常位置に位置することを検知する図8に示す通常位置検知センサ123と、一方の可動板部111が退避位置に位置することを検知する図8に示す退避位置検知センサ124と、他方の可動板部112が通常位置に位置することを検知する図8に示す通常位置検知センサ125と、他方の可動板部112が退避位置に位置することを検知する図8に示す退避位置検知センサ126とが、退避部(退避手段)43を構成している。
【0115】
以上の構成の第5実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させ、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0116】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを押圧板駆動部51により蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、凸形状板部駆動部117および可動板部駆動部119を駆動して、通常位置にあった紙幣集積板12のうち、凸形状板部110および他方の可動板部112を下方に退避させることになり、退避位置検知センサ122で凸形状板部110が検知されると、凸形状板部駆動部117を停止させ、退避位置検知センサ126で他方の可動板部112が検知されると、可動板部駆動部119を停止させる。その結果、図7(b)に示すように、紙幣集積板12のうち、一方の可動板部111を通常位置に位置させて紙幣Sを載置させた状態のままとし、凸形状板部110および他方の可動板部112を退避位置に位置させる第1退避状態となる。つまり、一対の可動板部111,112のうちの一方を停止させた状態で凸形状板部110および一対の可動板部111,112のうちの他方を下方へ退避させる第1退避状態となる。
【0117】
この状態で、制御部90は、他方の可動板部112側に配置された集積姿勢不良検知センサ81のみで、発光素子82を発光させ、その発光を受光素子83が受光するか否かを検知する検知動作を行う。そして、制御部90は、他方の可動板部112側に配置された集積姿勢不良検知センサ81において受光素子83が受光しない状態、つまり、図7(b)に示すように、他方の可動板部112側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0118】
他方の可動板部112側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の検知結果から、集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、凸形状板部駆動部117および可動板部駆動部119を駆動して、退避位置にあった凸形状板部110および他方の可動板部112を通常位置に向けて上昇させることになる。そして、通常位置検知センサ121で凸形状板部110が検知されると、凸形状板部駆動部117を停止させ、凸形状板部110を通常位置で停止させることになり、通常位置検知センサ125で他方の可動板部112が検知されると、可動板部駆動部119を停止させ、他方の可動板部112を通常位置で停止させることになる。このとき、紙幣集積板12上の紙幣Sを繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことはない。
【0119】
次に、制御部90は、第1実施形態と同様、紙幣押圧板50を待機位置に戻し、入金口シャッタ25を開状態とする。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入が可能となる。
【0120】
上記した他方の可動板部112側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の検知結果から、集積姿勢不良の発生無しを判定すると、制御部90は、凸形状板部110はそのままで、可動板部駆動部119を駆動して、退避位置にあった他方の可動板部112を通常位置に向けて上昇させることになる。そして、通常位置検知センサ126で他方の可動板部112が検知されると、可動板部駆動部119を停止させ、他方の可動板部112を通常位置で停止させることになる。続いて、制御部90は、可動板部駆動部118を駆動して、通常位置にあった一方の可動板部111を下方に退避させることになり、退避位置検知センサ124で一方の可動板部111が検知されると、可動板部駆動部118を停止させる。その結果、紙幣集積板12のうち、他方の可動板部112を通常位置に位置させて紙幣Sを載置させた状態のままとし、凸形状板部110および一方の可動板部111を退避位置に位置させる第2退避状態となる。つまり、一対の可動板部111,112のうちの他方を停止させた状態で凸形状板部110および一対の可動板部111,112のうちの一方を下方へ退避させる第2退避状態となる。
【0121】
この状態で、制御部90は、一方の可動板部111側に配置された集積姿勢不良検知センサ81のみで、発光素子82を発光させ、その発光を受光素子83が受光するか否かを検知する検知動作を行う。そして、制御部90は、一方の可動板部111側に配置された集積姿勢不良検知センサ81において受光素子83が受光しない状態、つまり、一方の可動板部111側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。これにより、二つの集積姿勢不良検知センサ81は、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、第1退避状態および第2退避状態の両方にて行うことになる。
【0122】
一方の可動板部111側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の検知結果から、集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、凸形状板部駆動部117および可動板部駆動部118を駆動して、退避位置にあった凸形状板部110および一方の可動板部111を通常位置に向けて上昇させることになる。そして、通常位置検知センサ121で凸形状板部110が検知されると、凸形状板部駆動部117を停止させ、凸形状板部110を通常位置で停止させることになり、通常位置検知センサ123で一方の可動板部111が検知されると、可動板部駆動部118を停止させ、一方の可動板部111を通常位置で停止させることになる。このとき、紙幣集積板12上の紙幣Sを繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことはない。
【0123】
次に、制御部90は、上記と同様、紙幣押圧板50を待機位置に戻し、入金口シャッタ25を開状態とする。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入が可能となる。
【0124】
一方の可動板部111側に配置された集積姿勢不良検知センサ81の検知結果から、集積姿勢不良の発生無しを判定すると、制御部90は、凸形状板部駆動部117および可動板部駆動部118を駆動して、退避位置にあった凸形状板部110および一方の可動板部111を通常位置に向けて上昇させることになる。そして、通常位置検知センサ121で凸形状板部110が検知されると、凸形状板部駆動部117を停止させ、凸形状板部110を通常位置で停止させることになり、通常位置検知センサ123で一方の可動板部111が検知されると、可動板部駆動部118を停止させ、一方の可動板部111を通常位置で停止させることになる。
【0125】
このように、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方の検知結果から、集積姿勢不良の発生無しを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させて、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0126】
以上に述べた第5実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、退避部43が、一対の可動板部111,112のうちの一方で紙幣Sを支持した状態で凸形状板部110および一対の可動板部111,112のうちの他方を下方へ退避させる第1退避状態として、一対の可動板部111,112のうちの他方側の集積姿勢不良検知センサ81が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことになり、また、一対の可動板部111,112のうちの他方で紙幣Sを支持した状態で凸形状板部110および一対の可動板部111,112のうちの一方を下方へ退避させる第2退避状態として、一対の可動板部111,112のうちの一方側の集積姿勢不良検知センサ81が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことになる。このため、紙幣Sを一対の可動板部111,112のうちの片方で下方から支持した状態で集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことができる。よって、紙幣押圧板50と紙幣保持板70との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣Sを検知できる。
【0127】
本発明の第6実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図9を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0128】
第6実施形態の紙幣分離繰出機構11は、紙幣集積板12が、昇降可能な凹形状板部130と、機体に位置固定で設けられた固定板部131とからなっている。凹形状板部130には、その上面の紙幣Sの集積方向に直交する水平方向の中間部、具体的には中央位置に、紙幣Sの集積方向に延在する凹部133が形成されている。固定板部131は、通常位置にある凹形状板部130の凹部133内に配置されるようになっている。
【0129】
図9においては図示は略すが、凹形状板部130の端壁板14側の端縁部から、第1実施形態の図1に示す紙幣集積板12と同様、垂直方向に上向きに突出する取付部31が一体に形成されており、退避部43は、凹形状板部130の取付部31を平行リンク機構32に連結させており、この平行リンク機構32を集積板駆動部40が駆動することで、凹形状板部130を通常位置から下方の退避位置まで下降させる。また、退避部43は、通常位置検知センサ41が、凹形状板部130が通常位置に位置することを検知することになり、退避位置検知センサ42が、凹形状板部130が退避位置に位置することを検知することになる。
【0130】
以上の構成の第6実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させ、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0131】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、固定板部131に紙幣Sの中央を載置させたまま、通常位置にあった凹形状板部130を、集積板駆動部40によって、退避位置検知センサ42で検知される退避位置に退避させ、この状態で、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0132】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった凹形状板部130を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。
【0133】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、退避位置にあった凹形状板部130を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させて、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0134】
以上に述べた第6実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、機体に位置固定の固定板部131で紙幣Sを支持した状態で、退避部43が凹形状板部130を下方へ退避させて、二つの集積姿勢不良検知センサ81が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うため、紙幣Sを下方から支持した状態で集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うことができる。よって、紙幣押圧板50と紙幣保持板70との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣Sを検知できる。
【0135】
本発明の第7実施形態に係る紙幣処理機の紙幣分離繰出機構を主に図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0136】
第7実施形態の紙幣分離繰出機構11は、紙幣集積板12が、紙幣保持板70側に設けられた昇降可能な可動紙幣集積板部140と、紙幣保持板70とは反対側に機体に位置固定で設けられた固定紙幣集積板部141とに分割されている。
【0137】
可動紙幣集積板部140には、その固定紙幣集積板部141側の端縁部から垂直方向に下向きに突出する取付部31が一体に形成されており、この取付部31が平行リンク機構32を介して、機体に位置固定で設けられた土台部33に連結されている。退避部43は、平行リンク機構32を集積板駆動部40が駆動することで、可動紙幣集積板部140を通常位置から下方の退避位置まで下降させる。また、退避部43は、通常位置検知センサ41が、可動紙幣集積板部140が通常位置に位置することを検知することになり、退避位置検知センサ42が、可動紙幣集積板部140が退避位置に位置することを検知することになる。ここで、可動紙幣集積板部140の紙幣Sの集積方向(紙幣押圧板50の移動方向)における長さは、少なくとも、立位状態の紙幣Sの高さの1/4以上、高さ以下に設定されている。固定紙幣集積板部141には、図示は略すが、二つの集積姿勢不良検知センサ81の光路を形成するための穴が紙幣Sの集積方向に沿って形成されている。
【0138】
以上の構成の第7実施形態の紙幣分離繰出機構11において、入金口20に紙幣Sが挿入され、入金処理の実行指令が操作部91に入力されると、制御部90は、第1実施形態と同様に、入金口シャッタ25を閉位置まで移動させて停止させ、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる。
【0139】
上記した移動により、紙幣押圧板50が紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを介して蹴出ローラ62を押圧し、揺動アーム60で支持された蹴出ローラ62を揺動させることになり、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0140】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、固定紙幣集積板部141に端壁板14側の紙幣Sを載置させたまま、通常位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、退避位置検知センサ42で検知される退避位置に退避させ、この状態で、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0141】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、第1実施形態と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。
【0142】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、退避位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させる。すると、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力により蹴出ローラ62が揺動アーム60によって揺動することになり、制御部90は、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0143】
次に、制御部90は、入金口20の紙幣Sが所定枚数繰り出されると、紙幣分離繰出部55を停止させて、押圧板駆動部51により紙幣押圧板50を紙幣保持板70の方向に移動させる。この所定枚数は、可動紙幣集積板部140上に配置可能な紙幣量以下の枚数に設定されており、言い換えれば、可動紙幣集積板部140の、紙幣Sの集積方向(紙幣押圧板50の移動方向)における長さに応じて設定されている。
【0144】
そして、揺動アーム60の被検知部75が、挟持位置検知センサ77で検知されると、制御部90は、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、紙幣集積板12上の紙幣Sは、挟持圧縮状態にある蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力で、紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに所定の挟持力で挟持されることになる。
【0145】
上記のように、紙幣集積板12上に集積された紙幣Sを蹴出ローラ62を含む紙幣保持板70と紙幣押圧板50とに挟持させた状態で、制御部90は、固定紙幣集積板部141に端壁板14側の紙幣Sを載置させたまま、通常位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、退避位置検知センサ42で検知される退避位置に退避させ、この状態で、二つの集積姿勢不良検知センサ81の両方に同時に検知動作を行わせ、二つの集積姿勢不良検知センサ81の少なくともいずれか一方の光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出有りを検知すると、集積姿勢不良の発生有りを判定することになる。
【0146】
集積姿勢不良の発生有りを判定すると、制御部90は、上記と同様、表示部92に集積姿勢不良が発生した旨と、集積姿勢不良を解消するように紙幣Sの入金口20への投入し直しを促す旨の表示を行うとともに、退避位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を待機位置に移動させて、入金口シャッタ25を開状態とし、紙幣集積板12上の紙幣Sの取り出しおよび再投入を可能な状態とする。このとき、紙幣押圧板50の押圧力が解除されるため、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力により揺動アーム60が蹴出ローラ62を待機位置に戻すことになる。
【0147】
他方、制御部90は、二つの集積姿勢不良検知センサ81のすべての光路(ライン)上において紙幣Sの下方への突出無しを検知すると、集積姿勢不良の発生無しを判定することになり、上記と同様、退避位置にあった可動紙幣集積板部140を、集積板駆動部40によって、通常位置検知センサ41で検知される通常位置に戻した後、紙幣押圧板50を紙幣保持板70から離間する方向に移動させる。すると、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力により蹴出ローラ62が揺動アーム60によって揺動することになり、制御部90は、被検知部75が蹴出位置検知センサ76で検知されると、紙幣押圧板50を停止させる。これにより、蹴出ローラ62が紙幣集積板12上に載置された紙幣Sに蹴り出しに最適な圧力で当接することになる。そして、制御部90は、第1実施形態と同様に、紙幣分離繰出部55によって入金口20の紙幣Sを一枚ずつに分離して繰出口72から図示略の紙幣搬送路に繰り出すことになる。
【0148】
そして、入金口20の紙幣Sがなくなるまで、集積姿勢不良の有無を検知する上記した検知動作を、紙幣分離繰出部55による所定枚数の紙幣Sの繰り出し毎に行うことになる。
【0149】
以上に述べた第7実施形態の紙幣分離繰出機構11によれば、紙幣保持板70とは反対側に位置固定で設けられた固定紙幣集積板部141はそのままで、退避部43が、紙幣保持板70側に設けられた昇降可能な可動紙幣集積板部140を下方へ退避させて、集積姿勢不良検知センサ81が、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うため、紙幣押圧板50と紙幣保持板70とで挟持しなければならない紙幣Sの量を実質的に少なくできる。よって、紙幣押圧板50と紙幣保持板70との挟持力が比較的小さくても、挟持を行って、下方に突出する紙幣Sを検知できる。そして、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、紙幣分離繰出部55による所定枚数の紙幣Sの繰り出し毎に行うことで、順次集積姿勢不良の有無を検知する領域をずらすことができる。
【0150】
また、可動紙幣集積板部140の紙幣押圧板50の移動方向における長さが、少なくとも、立位状態の紙幣Sの高さの1/4以上、高さ以下であるため、下部が他の紙幣Sの下側に潜り込んだ状態の集積姿勢不良紙幣S(S1)を良好に検知できる。
【0151】
また、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を行うタイミングを判断する所定枚数が、可動紙幣集積板部140の、紙幣押圧板50の移動方向における長さに応じて予め定められているため、集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、紙幣分離繰出部55による所定枚数の紙幣Sの繰り出し毎に行うことで、集積姿勢不良の有無を適正に検知することができる。
【0152】
なお、第5〜第7実施形態においては、第1実施形態と同様、蹴出スプリング65および挟持スプリング66の付勢力によって蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを挟持する場合を例にとり説明したが、第2,第3実施形態と同様、蹴出スプリング65の付勢力によって蹴出ローラ62と紙幣押圧板50とで紙幣Sを挟持する場合にも適用可能であり、第4実施形態と同様、押圧板駆動部51の駆動力で保持板本体13と紙幣押圧板50とで紙幣Sを挟持する場合にも適用可能である。
【0153】
また、第1〜第7実施形態においては、紙幣集積板12を平行リンク機構32により通常位置から退避位置まで平行移動させるようにしたが、平行でなくても良く、紙幣集積板12が集積姿勢不良検知センサ81の検知に干渉しない位置へ退避することができれば良い。
【符号の説明】
【0154】
11 紙幣分離繰出機構
12 紙幣集積板
25 入金口シャッタ
31 取付部
32 平行リンク機構
33 土台部
39 支持部
40 集積板駆動部(駆動部)
43 退避部(退避手段)
50 紙幣押圧板
51 押圧板駆動部(移動手段)
55 紙幣分離繰出部(紙幣分離繰出手段)
56 繰出ローラ
57 回転軸
65 蹴出スプリング(付勢部材)
66 挟持スプリング(付勢部材)
70 紙幣保持板
76 蹴出位置検知センサ(挟持力検知手段)
77 挟持位置検知センサ(挟持力検知手段,位置検知センサ)
81 集積姿勢不良検知センサ(集積姿勢不良検知手段)
100,101 圧力検知センサ(挟持力検知手段)
110 凸形状板部
111,112 可動板部
115 段差部
117 凸形状板部駆動部(駆動部)
118 可動板部駆動部(駆動部)
119 可動板部駆動部(駆動部)
130 凹形状板部
131 固定板部
133 凹部
140 可動紙幣集積板部
141 固定紙幣集積板部
S 紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位姿勢で横方向に集積された状態の紙幣が載置される紙幣集積板と、
該紙幣集積板の一縁沿いに前記紙幣集積板に対して垂直方向に配置され、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を集積方向一側で保持可能な紙幣保持板と、
該紙幣保持板と平行をなすように配置され、前記紙幣集積板上に集積された紙幣を集積方向他側から押圧可能な紙幣押圧板と、
前記紙幣集積板上に集積された紙幣を前記紙幣保持板とで挟持させるように前記紙幣押圧板を前記紙幣保持板に向け移動させる移動手段と、
前記紙幣保持板の近傍に配置され、前記紙幣保持板側から紙幣を一枚ずつ分離し繰り出す紙幣分離繰出手段とを備え、
前記紙幣集積板上に集積された紙幣を前記移動手段により前記紙幣押圧板と前記紙幣保持板とに挟持させた状態で、前記紙幣集積板を下方へ退避させる退避手段と、
該退避手段が前記紙幣集積板を下方へ退避させた状態で、前記紙幣押圧板と前記紙幣保持板とに挟持された紙幣の下方への突出の有無から紙幣の集積姿勢不良の有無を検知する集積姿勢不良検知手段とを有することを特徴とする紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項2】
前記紙幣押圧板および前記紙幣保持板の紙幣に対する挟持力を検知する挟持力検知手段を有することを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項3】
前記紙幣分離繰出手段は、
最も前記紙幣保持板に近い紙幣に当接可能な繰出ローラと、
前記紙幣保持板の一部を構成するとともに、最も前記紙幣保持板に近い紙幣に当接可能であって前記繰出ローラの回転軸を中心に揺動自在に設けられた蹴出ローラと、
該蹴出ローラを前記紙幣押圧板側へ付勢する付勢部材とを備え、
前記挟持力検知手段は、
前記蹴出ローラの所定の挟持揺動位置への揺動の有無を検知する位置検知センサの検知結果に基づき、前記挟持力を検知することを特徴とする請求項2記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項4】
前記挟持力検知手段は、
前記紙幣保持板の前記紙幣押圧板側の面および前記紙幣押圧板の前記紙幣保持板側の面のうちの少なくともいずれか一方に設けられた圧力検知センサの検知結果に基づき、前記挟持力を検知することを特徴とする請求項2記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項5】
前記移動手段は、
前記挟持力検知手段の検知結果に基づき前記紙幣押圧板の移動位置を制御することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項6】
前記退避手段は、
前記紙幣集積板を、前記紙幣保持板に近接する通常位置と該通常位置よりも下方の退避位置との間で移動可能となるように支持する支持部と、
該支持部を駆動する駆動部とで構成されることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項7】
前記支持部は、
位置固定の土台部と、
前記紙幣集積板と一体に形成され、前記紙幣集積板に対して垂直方向に突出する取付部と、
前記土台部と前記取付部とを連結する平行リンク機構とを有することを特徴とする請求項6記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記挟持力検知手段の検知結果に基づき前記紙幣集積板を前記通常位置と前記退避位置との間で移動させるように前記支持部を駆動することを特徴とする請求項6または7記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項9】
前記紙幣集積板は、
両側縁部の上部に段差部が形成された昇降可能な凸形状板部と、両側の前記段差部を埋めるように設けられた一対の昇降可能な可動板部とからなり、
前記退避手段は、
前記一対の可動板部のうちの一方を停止させた状態で前記凸形状板部および前記一対の可動板部のうちの他方を下方へ退避させる第1退避状態と、前記一対の可動板部のうちの前記他方を停止させた状態で前記凸形状板部および前記一対の可動板部のうちの前記一方を下方へ退避させる第2退避状態とに、前記紙幣集積板を退避可能であって、
前記集積姿勢不良検知手段は、
前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記第1退避状態および前記第2退避状態の両方にて行うことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項10】
前記紙幣集積板は、
中間部に凹部が形成された昇降可能な凹形状板部と、前記凹部内に配置可能な位置固定の固定板部とからなり、
前記退避手段は、
前記凹形状板部を下方へ退避可能であって、
前記集積姿勢不良検知手段は、
前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記凹形状板部を下方へ退避させた状態で行うことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項11】
前記紙幣集積板は、
前記紙幣保持板側に設けられた昇降可能な可動紙幣集積板部と、前記紙幣保持板とは反対側に位置固定で設けられた固定紙幣集積板部とで構成され、
前記退避手段は、
前記可動紙幣集積板部を下方へ退避可能であり、
前記集積姿勢不良検知手段は、
前記集積姿勢不良の有無を検知する検知動作を、前記紙幣分離繰出手段による所定枚数の紙幣の繰り出し毎に行うことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項12】
前記可動紙幣集積板部の前記紙幣押圧板の移動方向における長さは、少なくとも、立位状態の紙幣の高さの1/4以上、高さ以下であることを特徴とする請求項11記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項13】
前記所定枚数は、前記可動紙幣集積板部の、前記紙幣押圧板の移動方向における長さに応じて予め定められていることを特徴とする請求項11または12記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項14】
前記集積姿勢不良検知手段は、
前記紙幣押圧板の移動方向に平行な少なくとも二つのライン上であって、前記紙幣押圧板の移動方向に直交する方向に互いに離間したライン上を検知し、少なくともいずれか一方のライン上において紙幣の下方への突出有りを検知した場合に、前記集積姿勢不良の発生有りを判定することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。
【請求項15】
前記紙幣集積板の上方に設けられる開閉式の入金口シャッタを有し、
前記移動手段は、前記入金口シャッタの閉動作に基づき前記紙幣押圧板の移動位置を制御することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項記載の紙幣処理機の紙幣分離繰出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−143989(P2011−143989A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5052(P2010−5052)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】