説明

紙材処理システム並びに紙材処理方法

【課題】 全ての書類が確実に処分されたことを保証する紙材処理システム並びに紙材処理方法の提供。
【解決手段】 紙材が投入されるとともに、該紙材を液体中で撹拌し、パルプ状に溶解するパルパー槽と、パルパー槽から排出された排出液を圧搾し、パルプ成分と水成分とに分離するスクリュープレスと、スクリュープレスから排出された前記パルプ成分を外部へ搬出する搬出コンベアからなる紙材処理システムであって、前記パルパー槽に前記紙材を投入する投入装置には、該投入される紙材の重量を測定可能な第1測定装置が備えられ、前記パルパー槽には、紙材投入前のパルパー槽重量と紙材投入後のパルパー槽重量の差分を算出する第2測定装置が備えられ、前記第1測定装置の測定値と前記第2測定装置からの算出値を比較するための比較手段を備えることを特徴とする紙材処理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙材を処理するための紙材処理システム並びに紙材処理方法に関し、より詳しくは、情報が記載された紙材の機密性を確実に保ったまま処分し、これを保証することができる紙材処理システム並びに紙材処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術(Information Technology)の発展に伴い、情報自身の価値が非常に高まっている。これにともない、情報の機密保持の重要性が高まりつつある。
このような趨勢から、例えば、オフィス内で不要となった書類は、シュレッダで裁断した後、廃棄することが常識的に行われるようになってきている。
【0003】
一般的に、オフィスで不要となった書類を処分する手段として、シュレッダが用いられるが、シュレッダによる廃棄には、以下のような問題点がある。
オフィスに配備されるシュレッダは、オフィス空間の大きさの制限を受ける。したがって、一般的なオフィスに配されるシュレッダの容量は小さく、大量の書類を裁断処理するのには不都合である。
この問題は、オフィスの移転の際に顕著となる。オフィスの移転の際には、大量の不要書類が処分されるのが一般的である。上述の如く、一般的なオフィスに配備されるシュレッダは小さいため、これを用いた場合、裁断された紙材を受ける容器を頻繁に入れ換えるなど極めて煩雑な作業が要求される。
【0004】
したがって、従来において、オフィス移転などに起因する大量の不要な書類の処理の際には、書類を処理する業者に依頼して、該業者が所有する大型の紙材処理装置を用いて書類を処理するのが一般的である。
この依頼の際には、依頼者と業者間で機密保持契約をし、機密の漏洩を防ぐことが一般的に行われている。
【0005】
しかしながら、情報が持つ価値が高まると、機密保持契約をするのみでは、機密の漏洩を十分に防ぐことができない。紙処理業者が、処分前に書類を山積みにしているときに、第三者が山積みされた書類を盗み出すことがあり得る。或いは、紙処理業者自身が、書類を処理せず、第三者に引き渡すことも考えられる。
【0006】
このような情報漏洩の危険性を低減させるために、現場処理型の紙処理装置が提案されている。この現場処理型の紙処理装置は、紙処理を行う装置が車載され、紙処理装置を載せた自動車が、依頼者のところに行き、依頼者の目の前で紙処理を行うものである。
【0007】
【特許文献1】特開2002−194685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示される発明によれば、依頼者の管理下で紙処理が行われるという点で、高い機密保持性を備えているといえる。
しかしながら、依頼者がその場から離れたときや依頼者が目を離したときに、情報漏洩行為(書類の一部を抜き取るなど)が行われる可能性がある。
この点において、特許文献1に開示される発明は、十分に情報漏洩を防止しているとはいえないものである。また、確実に全ての書類が処理されたことを保証しているとはいえないものである。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、全ての書類が確実に処分されたことを保証する紙材処理システム並びに紙材処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、紙材が投入されるとともに、該紙材を液体中で撹拌し、パルプ状に溶解するパルパー槽と、パルパー槽から排出された排出液を圧搾し、パルプ成分と水成分とに分離するスクリュープレスと、スクリュープレスから排出された前記パルプ成分を外部へ搬出する搬出コンベアからなる紙材処理システムであって、前記パルパー槽に前記紙材を投入する投入装置には、該投入される紙材の重量を測定可能な第1測定装置が備えられ、前記パルパー槽には、紙材投入前のパルパー槽重量と紙材投入後のパルパー槽重量の差分を算出する第2測定装置が備えられ、前記第1測定装置の測定値と前記第2測定装置からの算出値を比較するための比較手段を備えることを特徴とする紙材処理システムである。
請求項2記載の発明は、貯水タンクと、脱墨用薬剤を貯蔵する薬剤タンクと、前記貯水タンクから水を、前記薬剤タンクから薬剤を供給される白水槽を更に備え、前記白水槽は、薬剤濃度を検出する濃度計を備え、前記貯水タンクから前記白水槽への給水経路は、前記濃度計による測定値に応じて作動する給水バルブを備え、前記薬剤タンクから前記白水槽への薬剤供給経路は、前記濃度計による測定値に応じて作動する薬剤供給バルブを備え、前記白水槽にて調整された白水が前記パルパー槽に供給されることを特徴とする請求項1記載の紙材処理システムである。
請求項3記載の発明は、前記白水槽が更にpH計を備え、前記白水が、ケイ酸塩水溶液であり、前記白水槽にて、ケイ酸塩濃度が0.05質量%以上5質量%以下、ケイ酸塩水溶液のpHが9以上14以下に調製されることを特徴とする請求項2記載の紙材処理システムである。
請求項4記載の発明は、前記白水槽が、該白水槽中に空気を供給する空気供給チューブを備え、前記白水槽中の上層にある白水を回収する上澄み液回収手段を備えることを特徴とする請求項3記載の紙材処理システムである。
請求項5記載の発明は、前記スクリュープレスにより分離された前記水成分が、前記白水槽に供給されることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の紙材処理システムである。
請求項6記載の発明は、前記パルパー槽から排出される流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を測定する測定手段を備えるとともに、前記排出コンベアが、スクリュープレスから排出された前記パルプ成分の重量を測定する第3測定装置を備え、前記白水槽が、スクリュープレスから排出された前記水成分の重量を測定する第4測定装置を備え、前記パルパー槽から排出される流体の重量及び前記パルパー槽に残留する流体の重量との和算値と、前記パルプ成分の測定重量と前記水成分の測定重量の和算値とを比較する比較手段を備えることを特徴とする請求項5記載の紙材処理システムである。
請求項7記載の発明は、前記紙材処理システムが車載式に構築されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の紙材処理システムである。
【0010】
請求項8記載の発明は、パルパー槽に紙材を投入する投入工程と、パルパー槽内で該紙材を撹拌・溶解し、該紙材をパルプ状にする撹拌溶解工程と、該パルプ状にされた紙材を圧搾し、パルプ成分と水成分に分離する分離工程と、前記パルプ成分を排出する排出工程からなる紙材処理方法であって、前記投入工程の前に、前記パルパー槽に投入される紙材の重量と前記パルパー槽の重量を測定する第1測定段階と、前記投入工程の後に、前記パルパー槽の重量を測定する第2測定段階が設けられ、前記撹拌溶解工程が、前記第1測定段階と前記第2測定段階で得られた前記パルパー槽の重量の差分値と前記第1測定段階で測定された紙材の重量との比較結果に応じて開始されることを特徴とする紙材処理方法である。
請求項9記載の発明は、投入工程の前に、白水供給工程が行われ、該白水供給工程は、貯水タンクから前記白水槽へ水を供給する段階と、薬剤タンクから前記白水槽へ薬剤を供給する段階と、前記白水槽から前記パルパー槽に白水を供給する段階からなり、白水槽への水及び薬剤の供給量が白水槽内の白水の薬剤濃度に応じて定められることを特徴とする請求項8記載の紙材処理方法である。
請求項10記載の発明は、前記白水がケイ酸塩水溶液であり、前記白水供給工程が、前記白水槽へ水を供給する段階及び薬剤タンクから前記白水槽へ薬剤を供給する段階において白水槽へ供給される水及び薬剤の量が、ケイ酸塩濃度及びケイ酸塩水溶液のpHに応じて制御され、前記白水槽中のケイ酸塩濃度が0.05質量%以上5質量%以下、ケイ酸塩水溶液のpHが9以上14以下に調整されることを特徴とする請求項9記載の紙材処理方法である。
請求項11記載の発明は、前記撹拌溶解工程が、前記パルパー槽に空気を供給する段階と、前記撹拌溶解工程の撹拌作業の後、パルパー槽内の白水上層部分を回収する段階を備えることを特徴とする請求項10記載の紙材処理方法である。
請求項12記載の発明は、前記分離工程が、分離された水成分を前記白水槽へ供給する段階を備えることを特徴とする請求項10又は11記載の紙材処理方法である。
請求項13記載の発明は、前記排出工程が、前記パルパー槽から排出された流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を算出する段階と、分離された水成分の重量を測定する第3測定段階と、分離されたパルプ成分の重量を測定する第4測定段階と、前記パルパー槽から排出された流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を和算する段階と、前記水成分の重量と前記パルプ成分の重量を和算する段階と、和算された前記2つの和算値を比較する段階を備えることを特徴とする請求項12記載の紙材処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、投入される紙材の重量とパルパー槽の重量変動が比較されるので、全ての紙材がパルパー槽に投入されたことを保証した上で、紙材処理を進めることができる。
請求項2記載の発明によれば、紙材の脱墨処理に好適な白水をパルパー槽に供給することができ、紙材処理を確実且つ効率的に行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、紙材のインクを効率よく処理することができる。
請求項4記載の発明によれば、紙材に付着したインク成分を効率よく回収することができる。
請求項5記載の発明によれば、分離された水成分を再利用することができる。
請求項6記載の発明によれば、紙材投入から処理完了までの重量管理を行うことができ、投入された全ての紙材に対する処理の完了を保証することができる。
請求項7記載の発明によれば、依頼者の監視下で紙材処理を行うことができる。
【0012】
請求項8記載の発明によれば、投入される紙材の重量とパルパー槽の重量変動が比較されるので、全ての紙材がパルパー槽に投入されたことを保証した上で、紙材処理を進めることができる。
請求項9記載の発明によれば、紙材の脱墨処理に好適な白水をパルパー槽に供給することができ、紙材処理を確実且つ効率的に行うことができる。
請求項10記載の発明によれば、紙材に付着したインク成分を効率よく回収することができる。
請求項11記載の発明によれば、紙材のインクを効率よく処理することができる。
請求項12記載の発明によれば、分離された水成分を再利用することができる。
請求項13記載の発明によれば、紙材投入から処理完了までの重量管理を行うことができ、投入された全ての紙材に対する処理の完了を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る紙材処理システム並びに紙材処理方法について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る紙材処理システムの概略図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図、図1(c)は後方から見た図である。
図2は、図1に示す紙材処理システムを用いた紙材処理方法の概略を示す図である。
尚、以下に示す例においては、紙材処理システムは車載されている形態であるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0014】
紙材処理システム(1)は、パルパー槽(2)、スクリュープレス(3)及び搬出コンベア(4)を備える。
パルパー槽(2)内に紙材が投入され、パルパー槽(2)は投入された紙材を撹拌・溶解し、パルプ状にする。
スクリュープレス(3)は、パルプ状にされた紙材を圧搾し、パルプ成分と水成分とに分離する。
スクリュープレス(3)から排出されたパルプ成分は、搬出コンベア(4)にて外部に排出される。
【0015】
図2に示すように、パルパー槽(2)は、リフタ(21)を備える。リフタ(21)は、パルパー槽(2)内に紙材を投入するための投入装置である。リフタ(21)は、パルパー槽(2)外周面近傍に配され、垂直に立設するコンベア部(211)とコンベア部(211)に対して直角に延出する台座部(212)から構成される。
投入される紙材は、好適には、紙製の箱、例えばダンボール箱内に梱包されている。この状態で、台座部(212)に載置される。コンベア部(211)を動作させると、台座部(212)は、上方へ移動する。コンベア部(211)の上端に台座部(212)が達すると台座部(212)はコンベア部(211)の移動とともに回転動作をし、台座部(212)上の紙材をパルパー槽(2)内へ投入する。
台座部(212)には、載置される紙材の重量を測定する第1測定装置(213)が配される。尚、図2に示す例においては、ロードセル(213)が用いられている。ロードセル(213)が測定した紙材の重量データは、本発明の比較手段として後述されるコンピュータに送られる。
尚、本発明に用いられる投入装置(21)は、図2に示されるものに限定されるものではなく、パルパー槽(2)上面から、下方に向かって傾斜(垂直ではない角度で)したコンベアであってもよいし、或いは紙材を梱包した紙製箱を吊り上げる形式のものであってもよい。したがって、第1測定手段(213)の種類も、図2に示す例に限定されるものではなく、例えば、紙材を梱包した紙製箱を吊り上げる形式の投入装置の場合には、プッシュ・プルゲージのような手段で紙材の重量を計測するものが好適である。
【0016】
パルパー槽(2)内には、紙材中のインクの分離を促進させ、脱墨処理を促す白水が蓄えられる。投入装置(21)によりパルパー槽(2)内に投入された紙材は、白水中でパルプ状に溶解することとなる。
パルパー槽(2)内部底面からは、上方に向かって撹拌スクリュ(200)が立設している。撹拌スクリュ(200)はその周面に螺旋羽根(201)を備え、撹拌スクリュ(200)の回転運動により、パルパー槽(2)内の白水は回流し、この回流に伴い、紙材はパルプ状に溶解する。
パルパー槽(2)外部底面には、ロードセル(203)が配され、パルパー槽(2)自体は、このロードセル(203)上に固定載置されている。ロードセル(203)は、本発明において第2測定装置として用いられ、紙材投入前後のパルパー槽(2)の重量を測定する。即ち、理論的には、紙材投入前においては、ロードセル(203)が測定する重量は、パルパー槽(2)構成部材の総重量とパルパー槽(2)内部に蓄えられた白水の重量の和であり、紙材投入後においては、これに投入された紙材の重量が加算される。
ロードセル(203)が紙材投入前のパルパー槽(2)の重量と紙材投入後のパルパー槽(2)の重量のデータを記憶可能とし、更に記憶された重量データの差分を算出する機能を備えるものであってもよい。この場合には、比較手段として用いられるコンピュータに、ロードセル(203)により算出された差分値が送られる。
或いは、コンピュータに紙材投入前後のパルパー槽の重量データを送り、コンピュータに差分値を算出させてもよい。
尚、第2測定装置は、図2に示す例のロードセル(203)に限定されるものではなく、パルパー槽(2)が吊下げ式に固定されるならば、パルパー槽(2)を懸架するワイヤに加わる荷重を歪みゲージ等の手段にて測定するといったものであってもよい。
【0017】
パルパー槽(2)にて紙材がパルプ状になるまで溶解された後、パルパー槽(2)内の白水及び白水内に溶解した紙材は、ポンプ(22)により、パルパー槽(2)底面からスクリュープレス(3)へ送られる。
ポンプ(22)のキャビテーションを防止するため、パルパー槽(2)からの排出工程の後においても、パルパー槽(2)内には僅かに白水並びに白水中に溶解した紙材が残留するが、ロードセル(203)は、排出工程後のパルパー槽(2)の重量を測定し、その測定値は比較手段として用いられるコンピュータに送られる。
また、パルパー槽(2)からスクリュープレス(3)へ向かう流路の途中には、流量計(23)が配され、流量計(23)によりスクリュープレス(3)へ送られた流体流量が測定される。そして、その流量のデータは、比較手段として用いられるコンピュータに送られる。
更には、ポンプ(22)の作動時間のデータもコンピュータに送られる。
これらのデータから、パルパー槽(2)内に残留した流体量及びスクリュープレス(3)へ送られた流体量が算出される。
【0018】
スクリュープレス(3)は、ドラム体(31)と、ドラム体(31)を貫く回転シャフト(32)を備える。
ドラム体(31)は、上流側に供給口(311)を備え、下流側に排出口(312)を備える。パルパー槽(2)からの白水並びに白水中で溶解した紙材は供給口(311)からドラム体(31)内に供給される。
回転シャフト(32)は、上流側から下流側に向けて徐々に径大となる、テーパ形状のテーパシャフト(321)と、テーパシャフト(321)周面から半径方向に突出するとともに螺旋状にテーパシャフト(321)を周回する螺旋羽根(322)から構成される。
【0019】
供給口(311)から供給された白水と白水中に溶解した紙材は、回転シャフト(32)の回転に伴い、螺旋羽根(322)に案内され、下流側の排出口(312)へ向かう。このとき、ドラム体(31)の内径が上流から下流にわたって一定であるのに対し、テーパシャフト(321)は下流に向けて径大となる。したがって、白水並びに白水中に溶解した紙材がドラム体(31)内を軸方向に移動するときに、白水並びに白水中に溶解した紙材は徐々に狭くなる経路を通過することとなり、結果として圧搾作用を受ける。この圧搾作用により、白水並びに白水中に溶解した紙材は、水成分とパルプ成分とに分離する。
ドラム体(31)の下流側を高く、上流側を低くするように、ドラム体(3)を傾斜させて配することで、パルプ成分は、螺旋羽根(322)に案内され下流側へ移動し、水成分は上流側へ移動する。
このようにして、パルプ成分と水成分との分離を確実に行うことが可能となる。
尚、本発明に用いられるスクリュープレス(3)は、図2に示される形態のものに限定されない。例えば、ドラム体(31)を下流側に向かうにつれて径小となるようにしてもよいし、或いはその他の構造のスクリュープレス(3)を用いることも可能である。
【0020】
螺旋羽根(322)により排出口(312)に案内されたパルプ成分は、排出口(312)の下方に配される搬出コンベア(4)に送られる。
搬出コンベア(4)は、紙材処理システム(1)が収容される自動車(A)のコンテナ(C)側方側にスライド可能である。したがって、自動車(A)が走行中には、搬出コンベア(4)はコンテナ(C)内に完全に収容された状態であるが、紙材処理中においては、コンテナ(C)側方に突出し、処理後の紙材の取扱いを容易にする。
搬出コンベア(4)は、搬出コンベア(4)上に置かれたパルプ成分の重量を測定可能な第3測定装置(403)を備える。尚、図2に示す例においては、第3測定装置としてロードセル(403)が、搬出コンベア(4)下方に配されている。
【0021】
スクリュープレス(3)にて分離された水成分は、白水槽(5)に送られる。白水槽(5)は、第4測定装置(503)を備える。図2に示す例においては、第4測定装置としてロードセル(503)が用いられ、ロードセル(503)は白水槽(5)下面に配される。ロードセル(503)は、スクリュープレス(3)からの水成分供給前後の白水槽(5)の重量を測定し、その差分の算出を可能とする。
スクリュープレス(3)から白水槽(5)に供給された水成分は、その後、ポンプ(52)により、パルパー槽(2)上部からパルパー槽(2)内に送られる。このようにして、紙材処理工程にて用いられた水の再利用を図ることができる。
【0022】
白水槽(5)は、更に、貯水タンク(6)及び薬剤タンク(7)と接続する。貯水タンク(6)からは、紙材処理工程で用いられる水が白水槽(5)内に供給される。薬剤タンク(7)には、脱墨処理に好適な薬剤が貯蔵され、薬剤タンク(7)から白水槽(5)へ薬剤が供給される。
白水槽(5)には、白水中の薬剤の濃度を測定する濃度計(51)が配される。また、貯水タンク(6)から白水槽(5)への流路及び薬剤タンク(7)から白水槽(5)への流路の途中には、それぞれ、バルブ(56)及びバルブ(57)が配される。バルブ(56,57)は、濃度計(51)が測定する白水中の薬剤濃度に応じて開閉し、白水中の薬剤濃度を一定にする。
【0023】
薬剤タンク(7)中に蓄えられる薬剤は、ケイ酸塩水溶液であることが好ましい。更に好ましくは、ケイ酸塩にNaOHのようなアルカリ塩基を添加してpHが調整された変性ケイ酸塩の混合水溶液である。以下に薬剤の具体例を示す。
用いられるケイ酸塩としては、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カドミウム、ケイ酸マンガン、ケイ酸鉄、ケイ酸コバルト、ケイ酸カルシウムナトリウム及びケイ酸マグネシウムカルシウムなどが例示できるが、ケイ酸のアルカリ金属塩であるケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムを用いることが好ましい。特に、ケイ酸ナトリウムが好ましいケイ酸塩である。
上記のケイ酸塩を用いたケイ酸塩水溶液に苛性アルカリを添加する。この苛性アルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが例示できる。尚、水酸化ナトリウムを用いることが好適である。
【0024】
上記のケイ酸塩水溶液からなる白水を用いる場合には、白水槽(5)にpH計(52)が更に配されることが好ましい。そして、pH計(52)による白水槽(5)中のpH値に応じて、バルブ(56,57)を開閉し、白水のpHを調整することが好ましい。このpH値の調整において、白水のpH値が9以上14以下とされることが好ましい。
また、白水槽(5)中のケイ酸塩濃度が0.05質量%以上5質量%以下に調整されることが好ましい。
このような白水を用いることで、白水の界面活性効果を得られる。また、白水を繰り返し使用することが可能であるとともに、処理後の紙材(パルプ成分)の建材等への再資源化を容易に促すことができる。更には、このような白水は脱臭効果に優れ、紙材処理中の臭いの発生を防止できる。
【0025】
図3は、上記のケイ酸塩水溶液を白水として用いた場合に好適なパルパー槽(2)を示す概略図である。
図2を用いて説明したパルパー槽(2)の構成に加えて、図3のパルパー槽(2)は、回収槽(24)とコンプレッサ(25)を備える。他の構成は、図2に示すパルパー槽(2)と同様である。
回収槽(24)は、ポンプ(241)を介して、パルパー槽(2)上部と接続している。ポンプ(241)は、白水上層部分を回収槽(24)へ送る。
コンプレッサ(25)は、パルパー槽(2)底部と接続し、空気をパルパー槽(2)内へ供給する。
【0026】
撹拌スクリュ(200)を回転させ、パルパー槽(2)内の白水を回流させている間、コンプレッサ(25)から空気がパルパー槽(2)内に供給される。これにより、ケイ酸塩水溶液がエマルジョンを形成することとなり、このエマルジョンが紙材中のインクに浸透し、インクを白水上層へ浮上させる。
撹拌工程が終了した後、白水上層へ浮上したインクは、ポンプ(241)により、回収槽(24)へ送られる。回収槽(241)に送られた白水は、その後、沈澱処理等を施され、インク成分が白水から分離される。インク成分分離後の白水は、白水槽(5)に戻される。
このように、インク成分を取り除くことにより、処理後のパルプ成分が含有するインク成分が低減し、良質なパルプ材料として再資源化されることとなる。
【0027】
図4は、上記において説明された第1乃至第4測定装置(213,203,403,503)と流量計(23)から、比較手段として用いられるコンピュータ(8)へのデータの流れを示す図である。
第1測定装置(213)からは、台座部(212)に加わる紙材の重量のデータが送られる。
第2測定装置(203)からは、紙材投入前のパルパー槽(2)の重量、紙材投入直後のパルパー槽(2)の重量、及びパルパー槽(2)から白水並びに白水に溶解した紙材を排出した後のパルパー槽(2)の重量のデータが送られる。
第3測定装置(403)からは、搬出コンベア(4)上のパルプ成分の重量データが送られる。
第4測定装置(503)からは、スクリュープレス(3)から水成分を供給される前の白水槽(5)のデータ及びスクリュープレス(3)から水成分を供給された後の白水槽(5)のデータが送られる。
流量計(23)からは、パルパー槽(2)からスクリュープレス(3)へ流れる液体流量のデータが送られる。
ポンプ(22)(或いはポンプ(22)を作動させるためのコントローラ)からは、ポンプ(22)の作動時間のデータが送られる。
【0028】
図5は、紙材処理工程のフローチャートである。
紙材処理工程は、投入工程と、撹拌溶解工程と、分離工程からなる。
図6は、投入工程のフローチャートである。
投入工程において、リフタ(21)の台座部(212)に紙材が載置される。このとき、第1測定装置(213)は、台座部(212)上の紙材の重量を測定し、コンピュータ(8)へ紙材の重量データを送る。コンピュータ(8)は、第1測定装置(213)から送られた重量データを格納する。
また、第2測定装置(203)は、紙材がパルパー槽(2)に投入される前のパルパー槽(2)の重量を測定する。そして、このパルパー槽(2)の重量のデータはコンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)は、第2測定装置(203)から送られたパルパー槽(2)の重量データを格納する。
リフタ(21)は、紙材を上方へ移動させ、その後、紙材をパルパー槽(2)へ投入する。
尚、投入工程前には、上述の如く薬剤濃度及び/又は白水のpHが白水槽(5)内で調整され、この調整工程後の白水がパルパー槽(2)に蓄えられている。
【0029】
図7は、撹拌溶解工程のフローチャートである。
撹拌溶解工程において、まず紙材投入後のパルパー槽(2)の重量が第2測定装置(203)により測定される。そして、このパルパー槽(2)の重量のデータはコンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)は、第2測定装置(203)から送られたパルパー槽(2)の重量データを格納する。
コンピュータ(8)は、紙材投入前後のパルパー槽(2)の重量の差分を算出する。そして、コンピュータ(8)は、この差分値と、投入工程にて測定された台座部(212)上の紙材の重量とを比較する。差分値と台座部(212)上の紙材の重量データが、一定範囲で一致しているならば、コンピュータ(8)は撹拌スクリュ(200)と接続するモータに信号を送り、撹拌スクリュ(200)を回転させる。
差分値と台座部(212)上の紙材の重量データが、一定範囲で一致していない場合、コンピュータ(8)は、警告ランプ或いは警告アラーム発生器に信号を送り、紙材処理工程に携る作業員に警告を与える。作業員はこの警告に基づき、紙材の散乱の有無などを確認することとなる。
【0030】
コンピュータ(8)が、撹拌スクリュ(200)を回転させるモータに信号を送ると、撹拌スクリュ(200)はパルパー槽(2)内の紙材がパルプ状に溶解するまで、パルパー槽(2)内部溶液を撹拌し続ける。
紙材がパルパー槽(2)で溶解し、パルプ状になると、ポンプ(22)が作動する。そして、パルパー槽(2)中の液体はスクリュープレス(3)へ供給される。このとき、流量計(23)は、パルパー槽(2)からスクリュープレス(3)へ接続する流路を流れる流体の流速を測定する。そして、この流速データは、コンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)は流速データを格納する。
また、ポンプ(22)或いはポンプ(22)を作動させるコントローラから、ポンプの作動時間のデータがコンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)は作動時間のデータを格納する。
更に、第2測定装置(8)は、パルパー槽(2)からの流体排出が終了した後のパルパー槽(2)の重量を測定する。
流量計(23)が、流路内を流れる流体の質量流量を出力するならば、コンピュータ(8)は、作動時間のデータと流速データを積算することで、スクリュープレス(3)に送られた流体の重量を算出する。
流量計(23)が、流路内を流れる流体の体積流量を出力するならば、コンピュータ(8)は、作動時間のデータと流速データとの積算値に更に、流体の単位体積当りの重量を積算することで、スクリュープレス(3)に送られた流体の重量を算出する。
また、紙材投入直後に測定されたパルパー槽(2)の重量と流体排出終了後のパルパー槽(2)の重量の差分を、コンピュータ(8)は算出する。
このようにして、スクリュープレス(3)に送られた流体重量と、パルパー槽(2)内に残留する流体重量が算出される。
【0031】
尚、流量計(23)の代わりに、パルパー槽(2)に液位計を配設してもよい。この場合には、液位計にて、紙材投入直後のパルパー槽(2)内の液位を測定する。パルパー槽(2)から流体を排出した後の液位を、更に液位計を用いて測定する。この2つの液位のデータの差分とパルパー槽(2)の設計容積から排出された流体の体積が算出される。そして、流体の単位体積当りの重量と流体体積を積算することで、パルパー槽(2)から排出された流体の重量が算出される。また、流体排出後の液位とパルパー槽(2)の設計容積からパルパー槽(2)内部に残留する液体体積が算出され、これと流体の単位体積当りの重量を積算することで、パルパー槽(2)内の流体重量が算出される。
【0032】
その他の方法として、パルパー槽(2)に、パルパー槽(2)内部の流体に対するリミッタを設置する方法でもよい。リミッタにより定められる最低液位が、排出後にパルパー槽(2)に残留する流体体積である。したがって、液位計による測定は紙材投入直後の液位測定のみとなる。
【0033】
分離工程において、スクリュープレス(3)が作動し、スクリュープレス(3)内に供給された流体が、水成分とパルプ成分に分離される。パルプ成分は、搬出コンベア(4)へ送られ、水成分は白水槽(5)へ送られる。
【0034】
図8は、排出工程のフローチャートである。
排出工程において、まず、スクリュープレス(3)から排出される水成分の重量の測定が行われる。この過程において、スクリュープレス(3)から水成分が排出される前の白水槽(5)の重量が、第4測定装置(503)により測定される。この測定は、スクリュープレス(3)にパルパー槽(2)内の流体が送られる前に行われる。
スクリュープレス(3)にパルパー槽(2)内の流体が送られ、スクリュープレス(3)による圧搾工程完了後に、再度白水槽(5)の重量が測定される。これら白水槽(5)の重量データはコンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)はこれらデータの差分値を算出し、この差分値が白水槽(5)に送られた水成分の重量となる。
そして、搬出コンベア(4)に送られたパルプ成分の重量が、第3測定装置(403)により測定される。
そして、第4測定装置(503)及び第3測定装置(403)による測定重量データは、コンピュータ(8)に送られ、コンピュータ(8)に測定重量データが格納される。
【0035】
コンピュータ(8)は、上記のようにして得られたパルパー槽(2)に第4測定装置(503)から得られた水成分の重量データと、第3測定装置(403)から得られたパルプ成分の重量データを和算する。
また、コンピュータ(8)は、流量計(23)及びポンプ(22)からのデータにより得られたパルパー槽(2)からスクリュープレス(3)へ送られた流体重量と、パルパー槽(2)内の残留流体の重量を和算する。
コンピュータは、両和算値を比較して、両和算値が一定範囲内で一致しているならば、搬出コンベア(4)を作動させる信号を、搬出コンベア(4)用の駆動モータに送る。そして、パルプ成分は排出され、再資源として各種の用途に再利用される。
両和算値が一定範囲内で一致していない場合には、上述のような警告動作を行う。
【0036】
上述の如くして、本発明の紙材処理システム並びに紙材処理方法は、紙材の投入から排出までの間の重量管理を行うことにより、投入された紙材全てが処理されたことを保証することができる。
したがって、本発明によれば、処理される紙材に記された情報が第三者に漏洩されていないことを保証することができる。
【0037】
本発明においては、他の様々な変更形態或いは改良形態が可能である。例えば、上記の警告動作を経ずして処理された場合には、コンピュータが処理証明書を出力するようなことも本発明に含まれるものである。
更には、他のシステム構成要素の変更も可能であり、例えば、パルパー槽(2)内壁に磁性体シートをライニングして、紙材を束結する金属を除去する等の形態も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、機密事項が記載された大量の書類を処理する紙材処理に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る紙材処理システムの外観図である。
【図2】本発明に係る紙材処理システムの概略図である。
【図3】本発明に係る紙材処理システムのパルパー槽の変更例を示す図である。
【図4】本発明に係る紙材処理システムのデータフローを示す図である。
【図5】本発明に係る紙材処理方法のフローチャートである。
【図6】本発明に係る紙材処理方法の投入工程のフローチャートである。
【図7】本発明に係る紙材処理方法の撹拌溶解工程のフローチャートである。
【図8】本発明に係る紙材処理方法の排出工程のフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・紙材処理システム
2・・・・パルパー槽
3・・・・スクリュープレス
4・・・・搬出コンベア
5・・・・白水槽
6・・・・貯水タンク
7・・・・薬剤タンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材が投入されるとともに、該紙材を液体中で撹拌し、パルプ状に溶解するパルパー槽と、
パルパー槽から排出された排出液を圧搾し、パルプ成分と水成分とに分離するスクリュープレスと、
スクリュープレスから排出された前記パルプ成分を外部へ搬出する搬出コンベアからなる紙材処理システムであって、
前記パルパー槽に前記紙材を投入する投入装置には、該投入される紙材の重量を測定可能な第1測定装置が備えられ、
前記パルパー槽には、紙材投入前のパルパー槽重量と紙材投入後のパルパー槽重量の差分を算出する第2測定装置が備えられ、
前記第1測定装置の測定値と前記第2測定装置からの算出値を比較するための比較手段を備えることを特徴とする紙材処理システム。
【請求項2】
貯水タンクと、
脱墨用薬剤を貯蔵する薬剤タンクと、
前記貯水タンクから水を、前記薬剤タンクから薬剤を供給される白水槽を更に備え、
前記白水槽は、薬剤濃度を検出する濃度計を備え、
前記貯水タンクから前記白水槽への給水経路は、前記濃度計による測定値に応じて作動する給水バルブを備え、
前記薬剤タンクから前記白水槽への薬剤供給経路は、前記濃度計による測定値に応じて作動する薬剤供給バルブを備え、
前記白水槽にて調整された白水が前記パルパー槽に供給されることを特徴とする請求項1記載の紙材処理システム。
【請求項3】
前記白水槽が更にpH計を備え、
前記白水が、ケイ酸塩水溶液であり、
前記白水槽にて、ケイ酸塩濃度が0.05質量%以上5質量%以下、ケイ酸塩水溶液のpHが9以上14以下に調製されることを特徴とする請求項2記載の紙材処理システム。
【請求項4】
前記白水槽が、該白水槽中に空気を供給する空気供給チューブを備え、
前記白水槽中の上層にある白水を回収する上澄み液回収手段を備えることを特徴とする請求項3記載の紙材処理システム。
【請求項5】
前記スクリュープレスにより分離された前記水成分が、前記白水槽に供給されることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の紙材処理システム。
【請求項6】
前記パルパー槽から排出される流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を測定する測定手段を備えるとともに、
前記排出コンベアが、スクリュープレスから排出された前記パルプ成分の重量を測定する第3測定装置を備え、
前記白水槽が、スクリュープレスから排出された前記水成分の重量を測定する第4測定装置を備え、
前記パルパー槽から排出される流体の重量及び前記パルパー槽に残留する流体の重量との和算値と、前記パルプ成分の測定重量と前記水成分の測定重量の和算値とを比較する比較手段を備えることを特徴とする請求項5記載の紙材処理システム。
【請求項7】
前記紙材処理システムが車載式に構築されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の紙材処理システム。
【請求項8】
パルパー槽に紙材を投入する投入工程と、
パルパー槽内で該紙材を撹拌・溶解し、該紙材をパルプ状にする撹拌溶解工程と、
該パルプ状にされた紙材を圧搾し、パルプ成分と水成分に分離する分離工程と、
前記パルプ成分を排出する排出工程からなる紙材処理方法であって、
前記投入工程の前に、前記パルパー槽に投入される紙材の重量と前記パルパー槽の重量を測定する第1測定段階と、
前記投入工程の後に、前記パルパー槽の重量を測定する第2測定段階が設けられ、
前記撹拌溶解工程が、前記第1測定段階と前記第2測定段階で得られた前記パルパー槽の重量の差分値と前記第1測定段階で測定された紙材の重量との比較結果に応じて開始されることを特徴とする紙材処理方法。
【請求項9】
投入工程の前に、白水供給工程が行われ、
該白水供給工程は、
貯水タンクから前記白水槽へ水を供給する段階と、
薬剤タンクから前記白水槽へ薬剤を供給する段階と、
前記白水槽から前記パルパー槽に白水を供給する段階からなり、
白水槽への水及び薬剤の供給量が白水槽内の白水の薬剤濃度に応じて定められることを特徴とする請求項8記載の紙材処理方法。
【請求項10】
前記白水がケイ酸塩水溶液であり、
前記白水供給工程が、前記白水槽へ水を供給する段階及び薬剤タンクから前記白水槽へ薬剤を供給する段階において白水槽へ供給される水及び薬剤の量が、ケイ酸塩濃度及びケイ酸塩水溶液のpHに応じて制御され、
前記白水槽中のケイ酸塩濃度が0.05質量%以上5質量%以下、ケイ酸塩水溶液のpHが9以上14以下に調整されることを特徴とする請求項9記載の紙材処理方法。
【請求項11】
前記撹拌溶解工程が、
前記パルパー槽に空気を供給する段階と、
前記撹拌溶解工程の撹拌作業の後、パルパー槽内の白水上層部分を回収する段階を備えることを特徴とする請求項10記載の紙材処理方法。
【請求項12】
前記分離工程が、
分離された水成分を前記白水槽へ供給する段階を備えることを特徴とする請求項10又は11記載の紙材処理方法。
【請求項13】
前記排出工程が、
前記パルパー槽から排出された流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を算出する段階と、
分離された水成分の重量を測定する第3測定段階と、
分離されたパルプ成分の重量を測定する第4測定段階と、
前記パルパー槽から排出された流体の重量と前記パルパー槽に残留する流体の重量を和算する段階と、
前記水成分の重量と前記パルプ成分の重量を和算する段階と、
和算された前記2つの和算値を比較する段階を備えることを特徴とする請求項12記載の紙材処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−328606(P2006−328606A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156369(P2005−156369)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(505197621)株式会社サンダイ (1)
【出願人】(000165343)兼松エンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】