説明

紙葉類の質量測定装置

【課題】この発明は、スループットを高めることができ紙葉類の重さを高精度に測定することができる紙葉類の質量測定装置を提供することを課題とする。
【解決手段】質量測定装置10は、郵便物の搬送方向と交差する上下方向に離間して並設した2つの駆動ローラ2U、2Lを有する。また、各駆動ローラ2U、2Lを回転させるサーボモータ6U、6Lには、トルク検出装置8U、8Lが接続されている。制御部は、各駆動ローラに速度差を持たせて搬送途中の郵便物を自転させるようにモータ制御装置7U、7Lを制御し、トルク検出装置8U、8Lを介して、各サーボモータ6U、6Lの回転トルクを検出する。そして、制御部は、この検出した回転トルクを空回り時の回転トルクと比較して、演算部を介して当該郵便物の質量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、郵便物などの紙葉類の質量を測定する装置に係り、特に、比較的高速で搬送されている紙葉類の質量を当該紙葉類の搬送を停止することなく測定する紙葉類の質量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送中の紙葉類の重量を測定する装置として、例えば、下記特許文献1に開示された重量検知装置が知られている。この特許文献1に開示された装置では、搬送路上に配置された駆動ローラの回転速度を変化させて、ピンチローラとの間で挟持拘束した状態の搬送中の紙葉類の搬送速度を段階的に可変制御し、このとき当該紙葉類の重量に応じて駆動ローラに加わるトルクの変化を検出し、この検出結果に基づいて当該紙葉類の質量を算出している。
【0003】
このように、駆動ローラとピンチローラとの間のニップで挟持拘束した状態の紙葉類の搬送速度を加減速させて駆動ローラのトルク変動を検知することで、当該紙葉類の搬送を停止させることなく重量を検知することができる。このため、この特許文献1に開示された装置を用いた場合、多量の紙葉類を比較的高速に連続して搬送して処理することができ、処理能力を高めることができる。
【0004】
しかし、この特許文献1に開示された重量検知装置では、搬送中の紙葉類の搬送速度を変化させる必要があるため、紙葉類同士の間に十分なギャップを設ける必要があり、その分スループットが低下してしまう。また、加減速制御する駆動ローラ自体、駆動ローラの駆動軸、または駆動モータのロータなど、紙葉類を搬送していない状態での駆動機構の慣性モーメントに比べ、紙葉類を搬送しているときの慣性モーメントの増加割合が極めて小さいため、重量検知の精度が低くなる。
【特許文献1】特開2005−162407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、スループットを高めることができ紙葉類の重さを高精度に測定することができる紙葉類の質量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の紙葉類の質量測定装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送路を介して搬送されている紙葉類をその搬送面内で自転させる回転機構と、この回転機構の回転トルクを検出するトルク検出部と、このトルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの回転トルクと、当該紙葉類を回転させていないときの上記回転機構の空回りの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、を有する。
【0007】
また、本発明の紙葉類の質量測定装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送路を介して搬送されている紙葉類に接触して回転する駆動ローラ、およびこの駆動ローラを加速および/或いは減速回転させて当該紙葉類をその搬送面内で自転させるモータを有する回転機構と、上記モータの回転トルクを検出するトルク検出部と、このトルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの上記モータの回転トルクと、当該紙葉類を回転させていない状態で上記モータを空回りさせたときの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、を有する。
【0008】
更に、本発明の紙葉類の質量測定装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送路を介して搬送されている紙葉類の表面に接触して回転する第1の駆動ローラ、この第1の駆動ローラに対して当該紙葉類の搬送方向と交差する方向に離間した位置で当該搬送中の紙葉類の表面に接触して回転する第2の駆動ローラ、および、これら2つの駆動ローラに速度差を持たせてそれぞれ独立して加速および/或いは減速回転させて当該紙葉類をその搬送面内で自転させる第1および第2のモータを有する回転機構と、上記第1および第2のモータの回転トルクを検出するトルク検出部と、上記搬送路を介して紙葉類が搬送されていない状態で、紙葉類を回転させるときと同じ条件で上記回転機構を空回りさせて上記トルク検出部で予め検出した上記第1および第2のモータの回転トルクを記憶した記憶部と、上記トルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの上記第1および第2のモータの回転トルクと、上記記憶部に記憶した当該紙葉類を回転させていないときの空回りの上記第1および第2のモータの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、を有する。
【0009】
上記発明によると、搬送中の紙葉類を搬送面内で回転させて、そのときの回転トルクを検出し、紙葉類を回転させていないときの回転機構の空回りの回転トルクと比較して、当該紙葉類の質量を算出するようにしたため、搬送中の紙葉類を加減速するときのトルク変動に基づいて重量を検知する従来の装置と比較して、搬送中の紙葉類の搬送速度を低下させることがなく、スループットを高めることができる。
【0010】
また、本発明によると、紙葉類を回転させたときの回転機構のトルク変動に基づいて当該紙葉類の質量を測定するようにしたため、従来の装置のように紙葉類を搬送方向に沿って加減速させるだけの場合と比較して、比較的大きな回転モーメントに起因した比較的大きなトルク変動を生出させることができ、当該紙葉類の質量を高精度に測定することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の紙葉類の質量測定装置は、上記のような構成および作用を有しているので、スループットを高めることができ紙葉類の重さを高精度に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る質量測定装置を備えた郵便物選別取り揃え押印装置100(以下、単に押印装置100と称する)の概略図を示してある。
【0013】
押印装置100は、郵便物M(紙葉類)の搬送方向に沿って、供給部101、機械検知部102、OCRスキャナ部103、ひねり反転部104、スイッチバック部105、押印部106、および区分集積部107を有する。また、押印装置100は、上述した各部を通して郵便物Mを搬送する搬送部108を有する。さらに、押印装置100は、装置に対して種々の操作を指示するとともに、動作モードの切り換え入力や異常表示等をする図示しない操作パネルを有する。
【0014】
供給部101は、厚さ、搬送方向に沿った長さ、搬送方向と直交する方向に沿った幅、および重さが一定範囲内にある定型の郵便物Mを複数通まとめて受け入れて、1通ずつ取り出して後段の処理部へ供給する。搬送部108は、供給された郵便物Mを後段の処理部102〜107を通して搬送する搬送路1を有する。
【0015】
機械検知部102は、搬送部108によって搬送路1を介して搬送された郵便物Mに含まれる金属、異物、硬物を検知するとともに、郵便物Mの2枚取り(すなわち重送)やショートギャップを検知し、後段の各処理部103〜107で処理不能と判断された郵便物Mを図示しない排除集積部へリジェクトする。なお、この機械検知部102は、搬送されている郵便物Mの質量を測定する後述する質量測定装置10を備えている。
【0016】
機械検知部102では、この他に、質量測定装置10の手前で、郵便物Mの搬送方向に沿った長さや幅を予め検出するとともに、図示しないタイミングセンサを介して郵便物Mの先端通過を検知して、当該郵便物Mの搬送位置に関する情報を前もって取得する。そして、機械検知部102は、当該郵便物Mの長さ、幅、および搬送位置に基づいて後述するように質量測定装置10を動作させて当該郵便物Mの質量を測定し、質量測定装置10で異常な重さであることを判断した郵便物Mを図示しない排除集積部へリジェクトする。
【0017】
OCRスキャナ部103は、郵便物Mの表面を光学的に読み取って光電変換し、郵便物M上に記載されている郵便番号や受取人住所などの区分情報を画像として取得する。また、OCRスキャナ部103は、郵便物Mに貼り付けられている切手(料金計器などを含む料額印面)の有無および位置を検出する。供給部101を介して供給される郵便物Mの向き(表裏天地)がばらばらであるため、OCRスキャナ部103は、郵便物Mの両面を読み取るための少なくとも2つのスキャナ部を有する。
【0018】
ひねり反転部104は、郵便物Mの搬送方向に沿って延びた中心軸を中心に郵便物Mを180°ひねりながら搬送するひねり反転パス(図示せず)を有する。つまり、ひねり反転部104では、郵便物Mの搬送方向を変えずに表裏だけを反転する。また、ひねり反転部104は、送り込まれた郵便物Mをひねり反転パスに送り込まずに迂回させるための迂回搬送路(ストレートパス)(図示せず)を有する。
【0019】
スイッチバック部105は、搬送される郵便物Mを受け入れて逆方向に送り出すことにより郵便物Mの搬送方向を逆転させる2つのスイッチバック機構(図示せず)を有する。スイッチバック部105も、上述したひねり反転部104と同様に、2つのスイッチバック機構を迂回させる迂回搬送路(ストレートパス)を有する。
【0020】
押印部106は、搬送される郵便物Mの1方の表面に接触して回転する図示しない押印ハブを有する。押印部106では、この押印ハブを切手の部位に転接させて消印を押印する。本実施の形態では、押印部106に搬送される全ての郵便物Mがひねり反転部104およびスイッチバック部105を通過して表裏および天地が揃えられているため、押印ハブを搬送路1の1側にだけ設けた。
【0021】
区分集積部107は、OCRスキャナ部103で検出した区分情報に応じて各郵便物Mを所定の区分位置へ区分集積する。また、区分集積部107は、上述したスイッチバック装置105内で一時的に滞留して送り出された郵便物Mなどを、押印部106による押印を禁止して、リジェクトする図示しない排除集積部を有する。
【0022】
上記構造の押印装置100は、例えば、上述した質量測定装置10で測定した当該郵便物Mの重さに対し、OCRスキャナ部103で当該郵便物Mから読み取った切手などの料額印が適正な金額であるか否かを判断し、料金不足であることを判断した郵便物Mに押印部106で消印を押印することなくリジェクトする。
【0023】
図2には、上述した機械検知部102を通過される郵便物Mの質量を測定する質量測定装置10の要部概略図を示してある。また、図3には、この質量測定装置10の動作を制御する制御系のブロック図を示してある。また、図4には、この質量測定装置10の動作を説明するための動作説明図を示してある。さらに、図5には、この質量測定装置10に組み込まれた後述する2つの駆動ローラ2U、2Lの速度パターンの一例をグラフにして示してある。
【0024】
以下、これら図2〜図5を参照して、本実施の形態の質量測定装置10の構造および動作について説明する。
本実施の形態の質量測定装置10は、搬送中の郵便物Mの質量を、当該郵便物Mの搬送を停止或いは減速させることなく測定可能であることを特徴としている。なお、本実施の形態では、機械検知部102(すなわち質量測定装置10)を通過する郵便物Mは図4に示すように立位で搬送されるものとする。つまり、質量測定装置10内を通る郵便物Mの搬送面は、鉛直方向に延びている。
【0025】
図2に示すように、質量測定装置10は、搬送路1の一側(図中手前側)で上下に離間して配置された2つの駆動ローラ2U、2Lを有する。これら2つの駆動ローラ2U、2Lは、略鉛直方向に延びて互いに離間して同軸に配置された回転軸3U、3Lをそれぞれ有し、搬送路1を介して搬送される郵便物Mの一側の表面に接触して回転する。言い換えると、2つの駆動ローラ2U、2Lは、郵便物Mの搬送面に沿って搬送方向に回転可能に取り付けられている。
【0026】
そして、これら2つの駆動ローラ2U、2Lの回転軸3U、3Lには、それぞれ、各駆動ローラ2U、2Lを可変速で回転させるサーボモータ6U、6Lの回転軸が同軸に接続されている。ここでは図示を省略したが、各駆動ローラ2U、2Lの回転軸3U、3Lと各サーボモータ6U、6Lの回転軸はそれぞれカップリングで連結されている。
【0027】
すなわち、本実施の形態の質量測定装置10では、搬送方向と交差する方向(すなわち、上下方向)に離間して配置された2つの駆動ローラ2U、2Lをそれぞれ独立して所望する速度で回転させることができ、搬送路1を介して搬送される郵便物Mの搬送姿勢をその搬送面に沿って例えば図4に示すように回転(自転)させることができる。
【0028】
これら2つの駆動ローラ2U、2Lに対して搬送路1の反対側(紙面奥側)には、2つの従動ローラ4U、4Lが対向配置されている。これら2つの従動ローラ4U、4Lも、それぞれ独立して略鉛直方向に延び且つ互いに同軸に配置された回転軸5U、5Lを有する。各従動ローラ4U、4Lの回転軸5U、5Lは、機械検知部102の図示しないフレームなどに固設されている。つまり、2つの従動ローラ4U、4Lは、固定された回転軸5U、5Lを中心に自由に回転可能となっている。
【0029】
より詳細には、鉛直上方に配置された一方の駆動ローラ2Uには、搬送路1を介して、一方の従動ローラ4Uが転動可能に接触して対向配置され、鉛直下方に配置されたもう一方の駆動ローラ2Lには、搬送路1を介して、もう一方の従動ローラ4Lが転動可能に接触して対向配置されている。なお、2つの駆動ローラ2U、2Lはゴムローラであり、2つの従動ローラ4U、4Lは、スポンジ層とゴム層を有する2層ローラである。
【0030】
つまり、従動ローラ4U、4Lは、それぞれの回転軸5U、5Lに図示しないベアリングを介して図示しない芯金を有し、その芯金の外側に第1層目のスポンジ層を有する。そして、このスポンジ層のさらに外側にゴム層を有する。さらに、各回転軸5U、5Lは、上述したように機械検知部102に固定的に取り付けられている。
【0031】
このため、各従動ローラ4U、4Lは、搬送路1を介して搬送される郵便物Mの厚さに応じてそのスポンジ層が変形することで、郵便物Mを駆動ローラ2U、2Lとの間のニップに受け入れる。そして、これら2組のローラ2U、4U、2L、4Lのニップに受け入れられた当該郵便物Mは、2つの駆動ローラ2U、2Lを回転させることによって、2組のローラで挟持拘束された状態で搬送される。
【0032】
このとき、従動ローラ4U、4Lの回転軸5U、5Lが分離しているため、各従動ローラ4U、4Lは、それぞれ独立して互いに異なる周速で回転可能となっており、各従動ローラ4U、4Lに接触する部位の郵便物Mの厚さに差がある場合であっても、当該郵便物Mに不所望なストレスが加わることを防止できる。
【0033】
図2および図3に示すように、駆動ローラ2U、2Lを回転させるサーボモータ6U、6Lには、それぞれ、モータ制御装置7U、7L、およびトルク検出装置8U、8Lが接続されている。また、図3に示すように、上述した質量測定装置10の動作を制御する制御部110には、質量測定装置10に向けて搬送される郵便物Mの搬送方向先端通過を検知するタイミングセンサ111や、後述するデータテーブルを格納したメモリ112などが接続されている。さらに、制御部110には、トルク検出装置8U、8Lによる検出結果に基づいて当該郵便物Mの質量を算出する演算部120が接続されている。
【0034】
モータ制御装置7U、7Lは、郵便物Mが質量測定装置10に送り込まれる前の待機状態で、押印装置100のプロセス速度、すなわち郵便物Mの搬送速度と同じ周速で2つの駆動ローラ2U、2Lを回転させるように、サーボモータ6U、6Lを回転制御している。そして、質量測定装置10の制御部110が、タイミングセンサ111を介して郵便物Mの先端通過を検知したことをトリガーとして、モータ制御装置7U、7Lは、例えば図5に示す速度パターンで2つの駆動ローラ2U、2Lを回転させるように、2つのサーボモータ6U、6Lを駆動制御する。駆動ローラ2U、2Lの速度パターンは、メモリ112内に制御データとして予め用意してある。
【0035】
トルク検出装置8U、8Lは、例えば図4の速度パターンに従って2つの駆動ローラ2U、2Lを回転させて郵便物Mを回転させた際に、各サーボモータ6U、6Lに給電される電流値をモニタし、この電流値を予めメモリ112に用意したデータテーブルに照会して各サーボモータ6U、6Lの回転トルクτを検出する。
【0036】
また、トルク検出装置8U、8Lは、郵便物Mを搬送していない状態で、各サーボモータ6U、6Lが駆動ローラ2U、2Lを図4の速度パターンで加減速させて空回りさせた際の回転トルクτ0を予め検出しておく。そして、この予め検出した空回り時の各サーボモータ6U、6Lの回転トルクτ0は、時間をパラメータとして、メモリ112に格納されている図示しないデータテーブルに記憶させておく。
【0037】
上記構造の質量測定装置10で郵便物Mの重さを測定する場合、制御部110は、例えば図5の速度パターンに従って2つの駆動ローラ2U、2Lを回転させて、図4に姿勢変化の軌跡を2点鎖線で示すように、当該郵便物Mをその搬送面に沿って自転させながら搬送する。
【0038】
このとき、制御部110は、タイミングセンサ111を介して当該郵便物Mの搬送位置に関する情報を取得して、2つの駆動ローラ2U、2Lとそれぞれ対向する従動ローラ4U、4Lとの間のニップで当該郵便物Mの搬送方向先端が挟持拘束された後、図5の速度パターンに基づく回転制御をスタートする。なお、図4では、当該郵便物Mを矢印T方向に搬送した際の姿勢変化の軌跡をM1〜M7として示した。
【0039】
このとき、少なくとも当該郵便物Mを回転させる前の搬送速度と回転させた後の搬送速度が同じ速度になるように、すなわち、当該郵便物Mが質量測定装置10に送り込まれる前と通過した後の搬送速度が同じ速度になるように、駆動ローラ2U、2Lの速度パターンを設定することが望ましい。
【0040】
言い換えると、当該郵便物Mが質量測定装置10で回転された場合であっても、回転されないで単に通過された場合と同じ処理時間になるように、駆動ローラ2U、2Lの速度パターンを設定することが望ましい。つまり、質量測定装置10を通過した郵便物Mに搬送遅れを生じないことが望ましい。
【0041】
本実施の形態では、回転前と後で搬送速度が変化しないことに加えて、回転前と後で搬送姿勢が変化しないような速度パターンを採用した。つまり、本実施の形態の速度パターンで2つの駆動ローラ2U、2Lを回転制御することで、搬送速度に変化を生じることがなく、搬送姿勢にスキューやシフトを生じることもない。
【0042】
上述したように搬送中の郵便物Mを回転させる場合、2つの駆動ローラ2U、2Lを一定の速度パターン(例えば図5に示す速度パターン)に従って加減速させる必要がある。このため、上述したように郵便物Mを回転させると、各サーボモータ6U、6Lに負荷がかかって回転トルクが大きくなる。この回転トルクの変化は、駆動ローラ2U、2Lの速度パターンに関係するとともに、駆動ローラ2U、2L、回転軸3U、3L、図示しないカップリング、およびサーボモータ6U、6Lなどの駆動系自体の慣性モーメントに関係し、回転の対象となる当該郵便物Mの質量にも関係する。例えば、比較的重い郵便物Mを回転させる場合、サーボモータ6U、6Lは、郵便物Mの質量に応じた比較的大きな回転トルクを必要とする。
【0043】
すなわち、全ての郵便物Mを同じ速度パターンで自転させた場合、駆動系の慣性モーメントが変わらないため、駆動ローラ2U、2Lの回転トルクは、当該郵便物Mの質量に応じて変化することになる。従って、この回転トルクの変動をモニタして基準値と比較すれば、当該郵便物Mの質量を測定することができる。言い換えると、駆動ローラ2U、2Lに給電する電流値をモニタすることで、当該郵便物Mの質量を測定することができる。
【0044】
例えば、当該郵便物Mの質量がゼロの場合、すなわち、郵便物Mを搬送していない状態で、郵便物Mを自転させるときと同じ速度パターンで駆動ローラ2U、2Lを空回りさせた場合、サーボモータ6U、6Lの回転トルクは、このときの速度パターンと駆動系の慣性モーメントのみに応じて変化する。つまり、駆動ローラ2U、2Lを空回りさせたときの回転トルクを時間をパラメータにして当該速度パターンに関連してメモリ112に記憶させておくことで、各郵便物Mの質量を測定する測定基準を与えることができる。
【0045】
すなわち、実際に各郵便物Mの質量を測定する際には、予め決められた一定の速度パターン(例えば図5に示す速度パターン)に従って搬送途中の各郵便物Mを回転させ、そのときのサーボモータ6U、6Lの回転トルクτを予め決めた複数時刻でモニタする。そして、これら各時刻における回転トルクτを予めメモリ112のデータテーブルに記憶した基準となる回転トルクτ0と比較し、その差分から当該郵便物Mの質量を測定する。
【0046】
ここで、上述した本実施の形態の質量測定装置10の効果について、図6乃至図8を参照して、具体例をあげて考察する。つまり、ここでは、従来のように郵便物を回転させないで搬送方向に沿って加減速したときのトルク変動に基づく重量測定と、本実施の形態の質量測定装置10のように郵便物Mを自転させたときのトルク変動に基づく質量測定と、を比較することで、本実施の形態の効果について考察する。
【0047】
上述した本実施の形態の質量測定装置10の駆動系の慣性モーメント、すなわち郵便物Mを自転させていないときの空回り時の慣性モーメントは、2つのサーボモータ6U、6Lの慣性モーメント(I)、4つのローラ、すなわち2つの駆動ローラ2U、2Lと2つの従動ローラ4U、4Lの慣性モーメント(I)、および各駆動ローラ2U、2Lの回転軸3U、3Lの慣性モーメント(I)の和に略等しくなる。実際には、この駆動系の慣性モーメントは、各駆動ローラ2U、2Lと回転軸3U、3Lとをそれぞれ繋ぐ2つの図示しないカップリングの慣性モーメントを加えたものになる。
【0048】
また、郵便物Mを自転させる際の郵便物Mの慣性モーメントを定量化すると、郵便物Mの重心周りの慣性モーメントIMGは、
MG=m・(b+h)/12
m:郵便物Mの質量
b:郵便物Mの搬送方向に沿った長さ
h:郵便物Mの搬送方向と直交する高さ
であり、
郵便物Mの回転中心周りの慣性モーメントIMRは、
m・L
L:郵便物Mの回転中心と郵便物Mの重心との間の距離
であり、
上述した2つの式から、郵便物Mを自転させる際の郵便物の慣性モーメントは、
m・(b+h)/12+m・L
となる。
【0049】
つまり、郵便物Mを自転させていない空回り時の駆動系の慣性モーメントに対する郵便物Mだけの慣性モーメントの比(以下、慣性モーメント比と称する)は、図6に示す式のようになる。
なお、この式の分子にあるr/Rは、駆動ローラ2U、2Lの半径をrとし、2つの駆動ローラ2U、2L間の距離をRとした場合に、郵便物Mの慣性モーメントを駆動系の回転軸周りの慣性モーメントに変換するための計数である。
【0050】
これに対し、郵便物を搬送する際に従来のように駆動ローラを加減速させて郵便物の重量を測定する場合、郵便物が回転しないため、郵便物だけの慣性モーメントは、郵便物の重心の位置や長さや高さに関係なく、回転軸と郵便物との間の距離、すなわち駆動ローラの半径rと、郵便物の重量mと、により決まる。つまり、この場合の郵便物自体の慣性モーメントは、
m・r
となる。
【0051】
このため、仮に、本実施の形態の質量測定装置10を用いて従来のように回転させない加減速制御を実施した場合を想定すると、図6の式に上記郵便物の慣性モーメント(m・r)を代入することで、慣性モーメント比を算出することができる。しかし、この場合、上述したように郵便物Mを回転させる場合と比較して、慣性モーメント比は極めて小さくなり、郵便物を搬送した場合と搬送しない場合とで駆動ローラのトルク変動も極めて小さいものになる。
【0052】
つまり、質量測定装置10のトルク検出装置8U、8Lで検出されるトルク変動が小さいと、郵便物の重量を高精度に検出することができなくなる。このため、本実施の形態のように、質量の測定対象となる郵便物Mを回転させてモータのトルク変動を大きくすることが質量を高精度に測定する上で有効となる。
【0053】
ここで、具体例を挙げて、本実施の形態の質量測定方法を実施した場合における慣性モーメント比と、従来の重量測定方法を実施した場合における慣性モーメント比と、を比較して、本実施の形態の効果について考察する。
図7には、質量測定装置10の各構成要素のサイズ、材料の比重、重量、慣性モーメントを調べた結果を表にまとめた一例を示してある。質量測定装置10の構成要素としては、駆動ローラの芯金、駆動ローラのゴム、駆動ローラの回転軸(シャフト)、カップリング、従動ローラの芯金、および従動ローラのゴム層について調べた。
【0054】
図8には、種々のサイズの郵便物を本実施の形態の質量測定方法に従って回転させた場合における、郵便物Mの1g当りの慣性モーメント比を調べた結果を表にまとめてある。郵便物のサイズ毎の存在比を考慮して、この場合の慣性モーメント比の平均値を計算したところ、駆動系に対する郵便物M1g当りの慣性モーメント比は66.1%であった。
【0055】
これに対し、同じ装置で、従来の重量測定方法に従って郵便物を加減速させて1g当りの慣性モーメント比を調べたところ、慣性モーメント比はわずか1.7%であった。つまり、本実施の形態の質量測定方法を実施した場合における慣性モーメント比は、従来の重量測定方法を実施した場合における慣性モーメント比の20倍以上の値であることが分かる。
【0056】
以上のように、本実施の形態の質量測定方法によると、郵便物Mのわずかな質量差であっても大きなトルク変動として検出することができるため、郵便物Mの質量を高精度に測定できる。
【0057】
以下、本実施の形態の質量測定装置10を用いて、実際に、郵便物Mの質量mを測定する場合の計算例について説明する。
郵便物Mを回転していない空回り時の駆動ローラ2U、2Lの回転トルクτ0は、下式(1)に示すように、上述した駆動系の慣性モーメントとそのときの角加速度ωとの積として表すことができる。駆動系の角加速度ωは、サーボモータ6U、6Lの加速或いは減速時におけるある特定時刻に検出する。
【数1】

【0058】
また、見方を変えると、駆動ローラ2U、2Lの回転トルクτ0は、下式(2)に示すように、サーボモータ6U、6Lに給電する電流値iに比例する。下式(2)のKは、比例定数である。
【数2】

【0059】
上式(1)(2)から、下式(3)が導かれる。
【数3】

【0060】
一方、郵便物Mを回転しているときの駆動ローラ2U、2Lの回転トルクは、上述した空回り時の回転トルクτ0に郵便物Mの慣性モーメントに起因した回転トルクの増加分Δτを加算したものとなる。つまり、このときの駆動ローラ2U、2Lの回転トルクτ0+Δτは、下式(4)のようになる。
【数4】

【0061】
また、見方を変えると、上記回転トルクτ0+Δτは、下式(5)に示すように、サーボモータ6U、6Lに給電する電流値に比例する。このときの電流値は、郵便物Mを回転させるための回転トルクの増加分に相当する電流値Δiを加算したi+Δiとなる。なお、このときの定数Kは、本実施の形態の質量測定装置10の駆動系に固有の値となる。
【数5】

【0062】
上式(1)(4)から、下式(6)が導かれる。
【数6】

【0063】
また、上式(2)(5)から、下式(7)が導かれる。
【数7】

【0064】
さらに、上式(6)(7)から、下式(8)が導かれる。
【数8】

【0065】
そして、上式(3)(8)から、下式(9)のように、当該郵便物Mの質量mを導くことができる。
【数9】

【0066】
つまり、上式(9)において、当該郵便物Mの質量mは、空回り時にサーボモータ6U、6Lに給電する電流値i、および当該郵便物Mを回転させたときにサーボモータ6U、6Lに給電する電流値Δiの関数になっているため、サーボモータ6U、6Lに給電する電流値をトルク検出装置8U、8Lでモニタすることで、当該質量mを算出することができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態の質量測定装置10によると、搬送途中の郵便物Mの搬送速度を変化させることなく自転させて、この自転のため駆動ローラ2U、2Lを加減速する際のサーボモータ6U、6Lの回転トルクを検出し、この検出結果を、予め同じ条件で測定した空回り時の駆動系の回転トルクと比較することにより、当該郵便物Mの質量を測定することができる。このため、プロセス速度のまま、複数通の郵便物Mを連続して高速で搬送して各郵便物Mの質量を測定することができ、搬送速度変化に基づくギャップ変動が無く、スループットを高めることができる。
【0068】
また、上述した実施の形態によると、質量を測定する郵便物Mを自転させることにより、比較的大きな回転トルクを発生させて、分解能を向上するようにしたため、郵便物Mの質量を高精度に測定することができる。
【0069】
さらに、上述した実施の形態によると、郵便物Mを回転させる際の慣性モーメントを利用して当該郵便物Mの質量を測定するようにしたため、封書の中にコインなどの金属片が入っているような郵便物Mの質量を測定した場合、実際の質量より測定値が重くなる。このような郵便物Mは、後段の処理部で処理不能なリジェクトすべき郵便物Mであるため、むしろ、規定内の重量であってもリジェクトすべきである。つまり、このような場合、本実施の形態の質量測定装置10は、異物が混入した郵便物Mを積極的にリジェクトすることになり好ましい。
【0070】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0071】
例えば、上述した実施の形態では、トルク検出装置8U、8Lがサーボモータ6U、6Lの電流値をモニタしてサーボモータ6U、6Lの回転トルクτを検出する場合について説明したが、これに限らず、サーボモータ6U、6Lの回転軸に付与した図示しないひずみゲージなどの計測器具を用いて回転トルクτを検出するようにしても良い。
【0072】
また、上述した実施の形態では、質量測定装置10を単独で押印装置100に組み込んだ場合について説明したが、これに限らず、他の処理装置に本発明の質量測定装置の機能を持たせても良い。例えば、押印装置100内を通って延びた搬送路1上に郵便物Mの搬送姿勢(スキューやシフト)を補正する姿勢補正部を設けた場合、この姿勢補正部に質量測定装置の機能を持たせても良い。
【0073】
また、上述した実施の形態では、搬送路1上に配置した2つの駆動ローラ2U、2Lに速度差を持たせて郵便物Mを自転させた場合について説明したが、これに限らず、1つの駆動ローラで郵便物Mを自転させても良い。この場合、例えば、郵便物Mの重心を通って搬送方向に延びた架空の中心線から外れた位置で、当該郵便物Mの表面に1つの駆動ローラを接触させて、駆動ローラを加速および/或いは減速させれば良い。いずれにしても、郵便物Mの質量を測定するためには、郵便物Mに回転力を加えて自転させたときの負荷トルクを何らかの方法で検出できれば良く、郵便物Mを自転させる回転機構や負荷トルクを検出する方法はいかなるものであっても良い。
【0074】
例えば、上述した実施の形態では、郵便物Mの搬送路1を挟んで駆動ローラ2U、2Lに従動ローラ4U、4Lを対向配置せしめた場合について説明したが、従動ローラ4U、4Lは本発明に必須の構成要素ではない。例えば、郵便物Mを寝かせて水平面内で搬送し、搬送面の下側に滑り易い平らな表面を有する板状のガイド部材を配置し、このガイド部材の表面に駆動ローラ2U、2Lで郵便物Mを押し付けるようにすれば、駆動ローラ2U、2Lの速度制御によって当該郵便物Mを回転させることができる。
【0075】
また、上述した実施の形態では、郵便物Mを自転させる回転機構として、駆動ローラ2U、2Lを用いた場合について説明したが、これに限らず、郵便物Mの搬送面に沿って走行可能な駆動ベルトなどを適宜用いることができる。
【0076】
さらに、上述した実施の形態では、回転機構を空回りさせた際の回転トルクτ0を重さの測定基準にした場合について説明したが、これに限らず、ある重さを有する各種サイズのテスト媒体を押印装置100に供給して質量測定装置10のサーボモータ6U、6Lの出力を記録して、測定基準としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る質量測定装置を組み込んだ郵便物選別取り揃え押印装置を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の押印装置に組み込まれた質量測定装置の要部を示す概略図である。
【図3】図3は、図2の質量測定装置の動作を制御する制御系のブロック図である。
【図4】図4は、図2の質量測定装置の動作を説明するための動作説明図である。
【図5】図5は、図2の質量測定装置に組み込まれた2つの駆動ローラの速度パターンの一例を示すグラフである。
【図6】図6は、図2の質量測定装置の駆動系の慣性モーメントに対する郵便物の慣性モーメントの比を説明するための図である。
【図7】図7は、図2の質量測定装置の各構成要素のサイズ、比重、重量、および慣性モーメントの一例をまとめた表である。
【図8】図8は、図2の質量測定装置で質量を測定する各種サイズの郵便物の駆動系に対する慣性モーメント比をまとめた表の一例である。
【符号の説明】
【0078】
2U、2L…駆動ローラ、3U、3L…回転軸、4U、4L…従動ローラ、6U、6L…サーボモータ、7U、7L…モータ制御装置、8U、8L…トルク検出装置、10…質量測定装置、110…制御部、112…メモリ、120…演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する搬送路と、
この搬送路を介して搬送されている紙葉類をその搬送面内で自転させる回転機構と、
この回転機構の回転トルクを検出するトルク検出部と、
このトルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの回転トルクと、当該紙葉類を回転させていないときの上記回転機構の空回りの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、
を有することを特徴とする紙葉類の質量測定装置。
【請求項2】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送速度が変化しないように当該紙葉類を回転させることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項3】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送姿勢と搬送速度が変化しないように当該紙葉類を回転させることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項4】
紙葉類を搬送する搬送路と、
この搬送路を介して搬送されている紙葉類に接触して回転する駆動ローラ、およびこの駆動ローラを加速および/或いは減速回転させて当該紙葉類をその搬送面内で自転させるモータを有する回転機構と、
上記モータの回転トルクを検出するトルク検出部と、
このトルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの上記モータの回転トルクと、当該紙葉類を回転させていない状態で上記モータを空回りさせたときの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、
を有することを特徴とする紙葉類の質量測定装置。
【請求項5】
上記回転機構は、上記駆動ローラとの間で上記搬送路を介して搬送される紙葉類を挟持拘束して従動回転する従動ローラを有することを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項6】
上記駆動ローラは、上記搬送路を介して搬送される紙葉類の重心を通って搬送方向に延びた架空の中心線から外れた位置に接触して当該紙葉類を回転することを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項7】
上記トルク検出部は、上記モータに流す電流値をモニタして当該モータの回転トルクを検出することを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項8】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送速度が変化しないように当該紙葉類を回転させることを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項9】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送姿勢と搬送速度が変化しないように、上記駆動ローラを加速および減速させることを特徴とする請求項4に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項10】
紙葉類を搬送する搬送路と、
この搬送路を介して搬送されている紙葉類の表面に接触して回転する第1の駆動ローラ、この第1の駆動ローラに対して当該紙葉類の搬送方向と交差する方向に離間した位置で当該搬送中の紙葉類の表面に接触して回転する第2の駆動ローラ、および、これら2つの駆動ローラに速度差を持たせてそれぞれ独立して加速および/或いは減速回転させて当該紙葉類をその搬送面内で自転させる第1および第2のモータを有する回転機構と、
上記第1および第2のモータの回転トルクを検出するトルク検出部と、
上記搬送路を介して紙葉類が搬送されていない状態で、紙葉類を回転させるときと同じ条件で上記回転機構を空回りさせて上記トルク検出部で予め検出した上記第1および第2のモータの回転トルクを記憶した記憶部と、
上記トルク検出部を介して検出した、搬送中の紙葉類を上記回転機構が回転させたときの上記第1および第2のモータの回転トルクと、上記記憶部に記憶した当該紙葉類を回転させていないときの空回りの上記第1および第2のモータの回転トルクに基づいて、当該紙葉類の質量を算出する演算部と、
を有することを特徴とする紙葉類の質量測定装置。
【請求項11】
上記回転機構は、上記第1および第2の駆動ローラとの間でそれぞれ上記搬送路を介して搬送される紙葉類を挟持拘束して従動回転する第1および第2の従動ローラを有することを特徴とする請求項10に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項12】
上記トルク検出部は、上記第1および第2のモータに流す電流値をモニタして当該モータの回転トルクを検出することを特徴とする請求項10に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項13】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送速度が変化しないように当該紙葉類を回転させることを特徴とする請求項10に記載の紙葉類の質量測定装置。
【請求項14】
上記回転機構は、当該紙葉類を回転させる前と後でその搬送姿勢と搬送速度が変化しないように、上記第1の駆動ローラを加速および減速させるとともに、上記第2の駆動ローラを減速および加速させることを特徴とする請求項10に記載の紙葉類の質量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−38885(P2011−38885A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185952(P2009−185952)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】