説明

紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法

【課題】 紙葉類を容易に、且つ、正確に処理することができる紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法を提供する。
【解決手段】 仕切カード41の表面と裏面とに異なる表裏識別情報を付与し、両面に同一のカード識別情報を付与する。紙葉類処理装置1に、作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された前記仕切カード41とを有する1バッチ分の被処理媒体Pを複数バッチ重ねて一組の処理単位として投入する。投入された前記被処理媒体Pを、前記紙葉類処理装置1により、1枚ずつ取り込む。取り込んだ前記紙葉類を計数しつつ集積する。前記仕切カード41を取り込むと、仕切カード41に付与されている表裏識別情報とカード識別情報とを検知する。検知した前記仕切カード41の表裏識別情報とカード識別情報と計数した前記紙葉類の計数情報とを対応付けて集計装置2へ送信する。前記集計装置2により、受信したデータを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙幣等の紙葉類を処理するための紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法紙葉類処理装置紙葉類に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理装置は、投入部にセットされた紙幣などの紙葉類を1枚ずつ取込んで検知部に送る。検知部は、取り込んだ紙幣を検知して券種を判定し、判定結果を集計し、合計金額の情報(計数情報)を得ている。紙葉類処理装置で扱う紙幣は、例えば顧客が銀行口座に入金するための現金である。この現金の計数情報を銀行口座の金額情報に加算することにより入金が行なわれる。
【0003】
従来、入金毎に計数を行う方法として、1回の入金毎に紙幣を投入部にセットし、口座の情報などを入力し、計数処理を紙葉類処理装置に行わせる方法があった。しかし、この方法では、装置を操作する係員が紙幣をセットする間装置が停止した状態となるため、スループットが低くなる。
【0004】
そこで、予め、入金する口座のアカウントと対応付けられた識別番号がバーコードとして印刷されたバッチカードを、仕切カードとして複数組の入金紙幣の間に挟んで投入部にセットすることにより、バッチカードを入金の区切りであると認識して入金毎に計数情報を得る紙葉類処理装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−334362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した紙葉類処理装置は、複数枚束ねられて投入された紙幣、或いはバッチカードなどの被処理媒体を取り込んで撮像し、正規の紙幣であるか否か、再使用可能であるか否か、などを鑑査する。この時、被処理媒体を2枚同時に取り込むなどして、鑑査することができない場合がある。この場合、鑑査することができなかった紙幣とバッチカードは排除券として所定の排除集積部へ集積される。初回鑑査が終了した際、排除集積部に集積された排除券とバッチカードを紙葉類処理装置に再度投入して再鑑査を行なうことにより、正確な鑑査を行なっている。
【0006】
しかし、再鑑査を行なう場合、被処理媒体の投入向きが初回鑑査の際の投入向きに対して逆になる場合がある。この場合、被処理媒体のうちの紙幣の計数情報とバッチカードのカード識別番号とを正確に対応付けられなくなるという問題がある。
【0007】
また、このようなことを防ぐ為に、初回鑑査が終了した際、排除集積部に集積された排除券を係員が手作業により振り分ける場合もある。しかし、この場合、係員に大きな負担がかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、紙葉類を容易に、且つ、正確に処理することができる紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る紙葉類処理システムは、紙葉類処理装置と集計装置とを具備する紙葉類処理システムであって、表面と裏面とに異なる表裏識別情報が付与され両面に同一のカード識別情報が付与された仕切カードを具備し、前記紙葉類処理装置は、作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された前記仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入される投入部と、前記投入部に投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込む取込手段と、前記取込手段により取り込んだ紙葉類を計数する計数手段と、前記取込手段により取り込んだ前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報とを検知するカード検知手段と、前記取込手段により取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積する集積手段と、前記カード検知手段により検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数手段により計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する送信手段とを具備し、前記集計装置は、前記紙葉類処理装置からデータを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した表裏識別情報とカード識別情報と集積した前記紙葉類の計数情報とを対応付けて記憶する記憶手段とを具備する。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る仕切カードは、複数枚の紙葉類の仕切に用いる仕切カードであって、表面と裏面とに異なる表裏識別情報が付与され両面に同一のカード識別情報が付与されている。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置は、紙葉類の計数情報を集計装置に送信する紙葉類処理装置であって、作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入される投入部と、前記投入部に投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込む取込手段と、前記取込手段により取り込んだ紙葉類を計数する計数手段と、前記取込手段により取り込んだ前記仕切カードに付与されている表面と裏面とで異なる表裏識別情報と両面で同一のカード識別情報とを検知するカード検知手段と、前記取込手段により取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積する集積手段と、前記カード検知手段により検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数手段により計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する送信手段とを具備する。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る紙葉類処理方法は、作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入し、前記投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込み、前記取り込んだ紙葉類を計数し、前記取り込んだ前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報とを検知し、前記取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積し、前記検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて記憶する。
【発明の効果】
【0013】
この発明の形態によれば、紙葉類を容易に、且つ、正確に処理することができる紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る紙葉類処理システム及び紙葉類処理方法について詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理システムの構成例を示す図である。紙葉類処理システムは、紙幣の鑑査及び計数を行なう紙葉類処理装置1と、紙葉類処理装置による計数情報を集計して管理する集計装置2とを備えている。集計装置2は、計数情報を管理すると同時に、紙葉類処理装置1の動作を制御している。
【0015】
紙葉類処理装置1は、紙幣などの紙葉類の他に、仕切カードとしてのバッチカードを処理する機能を有する。バッチカードには識別番号がバーコードなどにより印字されている。紙葉類処理装置1は、バッチカードを検知した場合、紙幣の計数情報とバッチカードの識別番号とを対応付けて集計装置2に送信する。紙葉類処理装置1は、鑑査する紙幣の束とバッチカードとを1バッチ分の被処理媒体として、複数バッチ分の被処理媒体を連続して処理する。
【0016】
集計装置2は、パーソナルコンピュータなどにより構成され、紙葉類処理装置1の制御、紙葉類処理装置1に対する動作設定、あるいは紙葉類処理装置1による処理データの管理を行なう。集計装置2は、紙葉類処理装置1から受信した計数情報とバッチカードの識別番号とを対応付けてデータベース3として記憶する。
紙葉類処理装置1と集計装置2は、LANなどにより互いに接続されている。なお、集計装置2に複数台の紙葉類処理装置1が接続されていてもよい。
【0017】
図2は、一実施形態に係る紙葉類処理装置1の構成例を概略的に示す図である。
紙葉類処理装置1は、区分集積装置1Aと施封装置1Bとを有している。区分集積装置1Aは、紙幣を種類あるいは状態に応じて区分し、区分した紙幣を種類、あるいは状態ごとに集積し、その計数情報を得る集積処理を行なう。施封装置1Bは、集積した紙幣を所定数毎に施封する。なお、この施封装置1Bは、省略してもよい。
【0018】
区分集積装置1Aには、複数バッチ分の被処理媒体が一括して投入される。被処理媒体が投入されると、区分集積装置1Aは、投入された被処理媒体を種類、及び状態に応じて分類する。区分集積装置1Aは、分類した被処理媒体の内、紙幣を各集積庫(カセット)141−146あるいは施封装置1Bへ搬送する。
【0019】
区分集積装置1Aには、被処理媒体が投入される投入部4が設けられている。投入部4は、処理トレイ5、バックアッププレート6、および、取出しローラ10を有している。処理トレイ5には、複数枚の紙幣とバッチカードとを含む被処理媒体がその上端或いは下端に当接して整位された状態で投入される。
【0020】
図3に、本発明の一実施形態に係るバッチカードの一例を示す。また、図4に、投入部4に投入される被処理媒体の配列の一例を示す。
図3に示すように、バッチカード41は、紙幣と同様に矩形状の本体42を有している。バッチカード41の本体42の表面及び裏面には、図3に示すように、9ケタの識別番号がバーコードとして印刷されている。本体42の表面及び裏面に印刷されている識別番号は、カードを識別するための8ケタのカード固有のカード識別番号と、表面と裏面を識別するための1ケタの表裏識別番号とを含んでいる。即ち、本体42の表面には、カード識別番号(12345678)と、表面を示す表裏識別番号(0)とが印刷されている。また、本体42の裏面には、カード識別番号(12345678)と、裏面を示す表裏識別番号(1)とが印刷されている。
【0021】
紙葉類処理装置1は、このバーコードを読み取ることにより、バッチカード41の表面と裏面とを認識する。表裏識別番号は、0か1の2種類のみである。尚、バッチカード41の本体42の厚さは、紙幣との識別を容易にするため、紙幣と異ならせてある。バッチカード41と紙幣は、図4に示すように配列されて区分集積装置1Aの投入部4の処理トレイに投入される。
【0022】
被処理媒体P1、P2、P3、P4は、それぞれ1バッチ分の被処理媒体である。被処理媒体P1、P2、P3、P4は、各々、複数の金種の紙幣を含んでいる。また、各被処理媒体P1、P2、P3、P4の後端には、バッチカード41−1、41−2、41−3、41−4がそれぞれ配列されている。
【0023】
ここでは、被処理媒体Pとして4バッチ分の被処理媒体P1、P2、P3、P4が一括して投入される場合を想定する。処理トレイ5に投入される被処理媒体Pは、それぞれ長手方向と幅方向とを有する。被処理媒体Pは、その長手方向の上端、或いは下端が下を向く姿勢で処理トレイ5に投入される。
【0024】
図2に示すように、バックアッププレート6は、処理トレイ5に対して垂直方向に立設されている。バックアッププレート6は、ばね8により処理トレイ5に沿って取出しローラ10側(図中a方向)に移動するようになっている。取出しローラ10は、1対のローラにより構成される。取出しローラ10は、所定方向に回転することにより、処理トレイ5上にセットされた被処理媒体Pを順に1枚ずつ取り込む取込手段として機能する。したがって、投入部4に投入された被処理媒体Pは、バックアッププレート6によって、処理トレイ5に沿って矢印aの方向に移動され、取出しローラ10(取出し部)に押し付けられる。
【0025】
取出しローラ10の後段には、搬送路12が設けられている。搬送路12は、複数の搬送ローラ15と搬送ベルト14、16により構成されている。搬送路12では、複数の搬送ローラ15により駆動する搬送ベルト14、16により被処理媒体Pが搬送される。搬送路12には、取出しローラ10により取り出された被処理媒体Pが順に供給される。たとえば、取出しローラ10は、被処理媒体Pをその上端或いは下端を先頭にして幅方向に搬送路12に供給する。また、取出しローラ10により搬送路12上に供給される被処理媒体Pは、表裏がばらばらの状態となっている。図2に示す構成例では、投入部4から取出される被処理媒体Pの取出し方向は下向きとなっている。
【0026】
搬送路12上に、検知部30が設けられている。検知部30は、種々のセンサを有し、搬送路12を搬送される被処理媒体Pから種々の情報、例えば、被処理媒体Pの券種、表裏、天地、汚れや破損の有無等の特徴を読み取る。検知部30は、たとえば、被処理媒体Pの表面の画像を読み取るイメージセンサ、被処理媒体Pの厚さを検知するセンサ、被処理媒体Pに含まれる磁性体を検知するセンサなどを備えている。検知部30の各センサにより読み取った情報に基づいて、後述する判定部は、例えば画像、厚さ、磁気情報のような被処理媒体Pの特徴を判定する。
【0027】
図2に示す区分集積装置1Aでは、表裏および天地がばらばらの状態の複数の被処理媒体Pが投入部4に投入される。このため、検知部30を通過する各被処理媒体Pも、表裏および天地がばらばらな状態となっている。
【0028】
ここで、検知部30を通過する被処理媒体Pの表裏および天地に関する向きは4種類ある。以下の説明では、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された被処理媒体Pを表上(FF)券と称し、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された被処理媒体Pを表下(FR)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された被処理媒体Pを裏上(BF)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された被処理媒体Pを裏下(BR)券と称する。つまり、検知部30を通過して搬送される被処理媒体Pは、これら4種類の搬送姿勢のうちいずれかの姿勢で搬送されることになる。
【0029】
検知部30の後段に延設された搬送路12上には、バッチカード41を検知するカード検知手段として機能するカード検知器90が設けられている。カード検知器90は、例えばバーコードリーダからなり、バッチカード41が搬送されてきた場合に、バッチカード41に印刷されているバーコードからカード識別番号、表裏識別番号を読み取る。
【0030】
カード検知器90の後段に延設された搬送路12上には、検知部30における検知結果に基づいて被処理媒体Pの搬送方向を選択的に切換えるための複数のゲートG1乃至G9が設けられている。
【0031】
ゲートG1は、被処理媒体Pを後段の処理が可能なものとリジェクトするものとに振り分ける。たとえば、検知部30による検知結果に基づいた判定において、後段の処理が不可能、即ち、再使用が不可能であることが判定された被処理媒体P(排除券)は、ゲートG1を介してリジェクト箱32へ搬送される。排除券としては、例えばバッチカード41、2枚取りが判定された紙幣、所定のレベルを超えて大きくスキューしたことが判定された紙幣、或いは再流通可能な正券と判定されなかった損券や、偽券などがある。即ち、リジェクト箱32には、図5に示すように、バッチカード41と、各バッチカード41の間で再使用不可であると判定された排除券である被処理媒体Rとが蓄積される。
【0032】
リジェクト箱32には、必要に応じて、被処理媒体がリジェクトされたことを検知する排除検知器を設けることもできる。リジェクト箱32は、紙葉類処理装置1の外部からアクセスが可能となっているので、リジェクト箱32に集積された被処理媒体Rは、係員が取り出すことができるようになっている。
【0033】
一方、検知部30において後段の処理が可能であると判定された被処理媒体P、即ち紙幣Pは、ゲートG1を介してゲートG2へ搬送される。ゲートG2は、表裏に応じて紙幣Pを振り分けるようになっている。ゲートG2の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。すなわち、ゲートG2は、表裏の状態に応じて紙幣Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0034】
ゲートG2の下流側で分岐された一方の搬送路上には、紙幣Pの表裏を反転させるための表裏反転機構34(表裏反転部)が設けられている。また、ゲートG2の下流側で分岐された他方の搬送路36は、紙幣Pの表裏を変化させずに、単に紙幣Pを通過させる搬送パスとなっている。すなわち、ゲートG2の後段では、紙幣Pの表裏を取り揃えられるようになっている。
【0035】
表裏反転機構34は、2組の搬送ベルト33、35を備えている。搬送ベルト33および35は、その入口から出口に向けて中心軸の回りで180°回転されたねじり搬送路を形成している。したがって、ゲートG2により表裏反転機構34へ振り分けられた紙幣Pは、表裏反転される。たとえば、FF券は、表裏反転機構34により表裏反転され、裏面を上にしたBF券に反転される。
【0036】
表裏反転機構34を通過して表裏反転された紙幣P、および、表裏反転機構34を通過せずに搬送路(搬送パス)36を通過した紙幣Pは、いずれも合流部38を介してゲートG3に送り込まれる。
【0037】
ゲートG2から表裏反転機構34を介して合流部38に至る紙幣Pの処理時間(搬送時間)とゲートG2から搬送路36を介して合流部38に至る紙幣Pの搬送時間とが同じになるように設定されている。これにより、表裏反転機構34を介して搬送された紙幣Pと搬送路36を通過された紙幣Pとが同じタイミングで合流部38を通過する。その結果、全紙幣PがBF券に合わせられてゲートG3へ送られる。
【0038】
ゲートG3は、合流部38を通過した紙幣Pを振り分けるようになっている。ゲートG3の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。ゲートG3は、紙幣Pの種類(あるいは状態)に応じて紙幣Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0039】
ゲートG3の下流側で分岐された一方の搬送路は、紙幣Pを例えば施封装置1Bへ搬送するための搬送路である。また、ゲートG3の下流側で分岐された他方の搬送路(水平搬送路)40は、紙幣Pを区分集積装置1A内の各集積庫141乃至146に集積するための搬送路であり、複数の集積庫141乃至146の上方で略水平方向に延びた搬送路を形成している。水平搬送路40上には、紙幣Pを6つの集積庫141乃至146のうちのいずれか1つに振り分けて集積するための5つのゲートG5乃至G9が設けられている。また、各集積庫141乃至146には、それぞれ図示しない紙幣Pの有無を検知するセンサが設けられている。
【0040】
水平搬送路40の最も上流側にあるゲートG5によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫141に集積される。ゲートG6によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫142に集積される。ゲートG7によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫143に集積される。ゲートG8によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫144に集積される。ゲートG9によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫145或いは集積庫146に集積される。これらの、搬送路、ゲートG1乃至G9、及び集積庫141乃至146により被処理媒体Pの集積手段が構成されている。
【0041】
施封装置1Bは、区分集積装置1Aから搬送される紙幣Pを集積庫(カセット)51−52に集積し、所定数毎に紙帯で施封する。施封装置1Bは、図1に示すように、集積庫51、集積庫52、供給部53、施封機構54、印刷機構55、帯供給部56を有している。集積庫51、52は、それぞれゲートG4を介して送り込まれた紙幣Pを集積する。各集積庫51、52には、それぞれ紙幣Pの蓄積枚数を検知するセンサが設けられている。
【0042】
供給部53は、集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば100枚)の紙幣Pを施封機構54に供給する。施封機構54は、供給部53によって供給される集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば100枚)の紙幣Pを紙帯で施封する施封機構である。印刷機構55は、施封機構54で使用する紙帯に所望の印刷データを印刷する。帯供給部56は、施封機構54で使用する紙帯を供給する。
【0043】
施封装置1Bには、区分集積装置1AのゲートG3により図中左方向に分岐された搬送路によって紙幣Pが供給される。区分集積装置1Aから供給された紙幣Pは、施封装置1B内においてゲートG4により搬送方向が2方向に選択的に切換えられる。ゲートG4によって分岐搬送される紙幣Pは、施封装置1B内の集積庫51あるいは集積庫52に選択的に集積される。
【0044】
ゲートG4を介していずれかの集積庫51あるいは52に集積された紙幣Pは、供給部53によって施封機構54へ送り込まれる。施封機構54では、帯供給部56から供給された紙帯によって供給部53により供給された所定枚数の紙幣Pを施封する。所定枚数毎に施封された紙幣Pの束は、図示しないコンベアを介して装置外へ搬出される。
【0045】
区分集積装置1Aでは、必要に応じて特定の券種を施封装置1Bへ供給し得る。一方、施封装置1Bにて施封すべき券種以外の券種の紙幣Pは、区分集積装置1A内の集積庫141乃至146のいずれかに集積される。
【0046】
被処理媒体P1、P2、P3、P4の取り込みが終わり、バッチカード41を検出してから一定時間経過後も搬送される被処理媒体Pがない場合、区分集積装置1Aは、そのバッチカード41がトレイの最後と判断し、自動で被処理媒体Pの取込みを停止し、集積庫に紙幣Pを収納して電子ロックし、集積処理を終了する。
【0047】
また、ここで、2枚取りなどにより排除券であると判定され、リジェクト箱32に蓄積された被処理媒体Pが係員により再度処理トレイ5に投入され、上記した集積処理が行なわれる。
【0048】
次に、紙葉類処理装置1の制御系について説明する。
図6は、図2に示す紙葉類処理装置1の制御系を示すブロック図である。
紙葉類処理装置1の区分集積装置1Aの制御系は、図6に示すように、例えば制御部60、記憶部61、取出し制御部62、搬送制御部63、ゲート制御部64、判定部65、及びカード検知器90などを備えている。
【0049】
カード検知器90は、バーコードとしてバッチカード41に印刷されたカード識別番号と表裏識別番号を検知し、この検知結果を制御部60に送る。制御部60は、この検知結果に基づいてバーコードに記載された情報を記憶部61に蓄積することができる。
【0050】
取出し制御部62は、制御部60の制御に基づいて取出しローラ10の駆動を行うものである。
搬送制御部63は、制御部60の制御に基づいて搬送ローラ15の駆動を行うものである。
【0051】
判定部65は、判定手段として機能し、検知部30の検知結果に基づいて、例えば紙幣Pなどの紙葉類の状態を判定し得る。判定部65では、各センサにより読み取った情報と基準となる情報とを比較することにより紙幣Pの特徴を判定する。
【0052】
たとえば、判定部65は、当該紙幣Pの券種を判定するとともに、紙幣Pの表裏および天地を判定する。さらに、判定部65は、当該紙幣Pが正券か損券かを判定する。正券とは、再流通が可能な券であり、損券とは、再流通が不可な券である。つまり、正券か損券かは、紙幣Pの状態(質)の良し悪しにより判定されるものである。判定部65では、紙幣Pの汚れ、破れ、折れ、紙質、テープ貼り等の度合いによって正券か損券かを判定する。
【0053】
ここで、制御部60は、検知部30により正券であると判定された紙幣Pを計数する。
また、判定部65は、偽券等を検知し、その検知結果を制御部60に送ることができる。
【0054】
ゲート制御部64は、制御部60の制御に基づいてゲートG1乃至G3、G5乃至G9の駆動を行うものである。例えば、バッチカード41及び偽券等の検知結果を受けて、制御部60がゲートG1を駆動することにより、バッチカード41及び偽券等をリジェクト箱32に排除することができる。即ち、制御部60およびゲートG1は、被処理媒体を装置外部から取り出し可能な状態で排除する排除手段として機能する。
【0055】
制御部60は、予め設定した動作プログラムに従って区分集積装置1Aの全体動作を制御する。記憶部61には、制御部60により実行される動作プログラムが記憶される。また、制御部60は、判定部65により判定した取り込んだ紙葉類の金種に基づいて、1バッチ毎の計数情報を得る。即ち、制御部60は、計数手段として機能する。また、記憶部61は、データの記憶用に用いられる。たとえば、記憶部61には、各集積庫141乃至146、および、施封装置1Bの集積庫51、52に集積される集積枚数を計数する計数テーブルが設けられている。
【0056】
さらに、記憶部61は、区分集積装置1Aの動作プログラムの実行に使用される設定情報例えば取出し制御部62における取出しトルクの設定値、判定部にて各検知器の検知結果の判定に使用される基準値、搬送制御部63における搬送センサレベル、適正な搬送方向に対する被処理媒体Pの角度のずれの許容限度となる整位角、ゲート制御部64における集積庫の選択及び集積される券種の設定等の情報が各々複数種ずつ記憶される。
【0057】
また、制御部60は、バッチカード41の検知情報を受けて一定時間経過後も搬送される被処理媒体Pがない場合、そのバッチカード41がトレイの最後と判断し、取り出し制御部62に取込みの停止を指示することができる。取込みの停止の指示を受けて、取り出し制御部62は、取り出しローラ10の駆動をOFFすることができる。
【0058】
被処理媒体Pが投入部4に投入された場合、区分集積装置1Aは、投入された被処理媒体Pを集積すると同時に、投入された被処理媒体Pのうちの紙幣を計数し、計数情報を集計装置2に送信する。例えば、図4に示すような被処理媒体Pが図中の矢印aの方向で投入された場合、区分集積装置1Aは、まず、検知部30により被処理媒体P1を検知し、被処理媒体P1の中に含まれている紙幣の合計金額である計数情報を得る。区分集積装置1Aは、カード検知器90によりバッチカード41−1からカード識別番号と表裏識別番号とを検知したタイミングT1において、被処理媒体P1の計数情報をバッチカード41−1のカード識別番号と表裏識別番号とに対応付けて、集計装置2に送信する。
【0059】
次に、区分集積装置1Aは、被処理媒体P2を検知し、被処理媒体P2の計数情報を得る。区分集積装置1Aは、バッチカード41−2からカード識別番号と表裏識別番号とを検知したタイミングT2において、被処理媒体P1と被処理媒体P2の計数情報をバッチカード41−1のカード識別番号と表裏識別番号とそれぞれに対応付けて、集計装置2に送信する。即ち、バッチカード41−1から読み取った表裏識別番号と被処理媒体P1の計数情報とを対応付け、読み取った表裏識別番号と逆の表裏識別番号と被処理媒体P2の計数情報とを対応付ける。
【0060】
次に、区分集積装置1Aは、被処理媒体P3を検知し、被処理媒体P3の計数情報を得る。区分集積装置1Aは、バッチカード41−3からカード識別番号と表裏識別番号とを検知したタイミングT3において、被処理媒体P2と被処理媒体P3の計数情報をバッチカード41−2のカード識別番号と表裏識別番号とそれぞれに対応付けて、集計装置2に送信する。
【0061】
次に、区分集積装置1Aは、被処理媒体P4を検知し、被処理媒体P4の計数情報を得る。区分集積装置1Aの制御部60は、バッチカード41−4からカード識別番号と表裏識別番号とを検知したタイミングT4において、被処理媒体P3と被処理媒体P4の計数情報をバッチカード41−3のカード識別番号と表裏識別番号とそれぞれに対応付けて、集計装置2に送信する。即ち、制御部60は、集計装置にデータを送信する送信手段を備えている。
【0062】
区分集積装置1Aは、最後にバッチカード41を検知してから一定時間経過後(タイミングT5)、被処理媒体Pを検知しなかった場合、最後に検知したバッチカード41が処理トレイで最後の被処理媒体であると判定し、被処理媒体P4とバッチカード41−4以降に検知した被処理媒体Pの計数情報をバッチカード41−4のカード識別番号と表裏識別番号とにそれぞれ対応付けて、集計装置2に送信し、処理を終了する。
【0063】
図7は、初回鑑査の際、集計装置2に送信された被処理媒体Pの計数情報の例を示す図である。バッチカード41を検知したタイミングT1乃至T5が、データ送信タイミングT1乃至T5と対応している。
【0064】
また、初回鑑査で、図5に示すような排除券Rが蓄積された場合、係員は、排除券Rを再度区分集積装置1Aの投入部4に投入し、再鑑査を実行させる。例えば、区分集積装置1Aは、排除券である被処理媒体Rが図5中の矢印aの向きで投入された場合、図4の例と同様に、被処理媒体R1乃至R4を順に検知していき、各タイミングでバッチカード41のカード識別番号、表裏識別番号、及びバッチカード41の表側と裏側の被処理媒体Rの計数情報とを対応付けて、図8に示すようなデータを集計装置2に送信する。
【0065】
また、再鑑査の際、被処理媒体R1乃至R4が図5中の矢印bの向きで再度区分集積装置1Aの投入部4に投入された場合、区分集積装置1Aは、最初にバッチカード41−4からカード識別番号と表裏識別番号とを検知したタイミングT4において、それ以前に検知した被処理媒体Rの計数情報をバッチカード41−4のカード識別番号と表裏識別番号とに対応付けて、集計装置2に送信する。
【0066】
以降、図4の例と同様に、被処理媒体Rを被処理媒体R4、R3、R2、R1の順に検知していき、タイミングT4、T3、T2、T1、T6のそれぞれのタイミングにおいて、バッチカード41のカード識別番号、表裏識別番号、及びバッチカード41の表側と裏側-の被処理媒体Rの計数情報とを対応付けて、図9に示すようなデータを集計装置2に送信する。
【0067】
紙葉類処理装置1の施封装置1Bの制御系は、制御部70、記憶部71、搬送制御部72、ゲート制御部73、移動機構74、施封機構54、印刷機構55などを備えている。
制御部70は、予め設定した動作プログラムに従って施封装置1Bの全体動作を制御する。記憶部71には、制御部70により実行される動作プログラムが記憶される。また、記憶部71には、施封装置1Bの動作プログラムを実行するための設定情報例えば施封装置の台数、施封に用いられる紙帯の印刷パターン等の情報が各々複数種ずつ記憶される。
【0068】
搬送制御部72は、制御部70の制御に基づいて搬送ローラを駆動するものである。ゲート制御部73は、制御部70の制御に基づいてゲートG4の駆動を行うものである。移動機構74は、制御部70の制御に基づいて集積庫51あるいは52に集積された所定枚数の紙幣Pを移動(搬送)するものである。
【0069】
集計装置2の制御系は、制御部80、記憶部81、表示部82、操作部83などを備えている。
制御部80は、予め設定した動作プログラムに従って、集計装置2全体の制御を司るものである。たとえば、制御部80は、係員からの操作指示に基づいて区分集積装置1Aに対する各種の動作設定などを行う機能を有する。記憶部81には、制御部80により実行される動作プログラムが記憶される。また、記憶部81には、集計装置2の動作プログラムを実行するための設定情報例えば使用する国、あるいは操作画面言語等の情報が各々複数種ずつ記憶される。
【0070】
表示部82は、制御部80の表示制御に基づいて係員に対する操作案内などを表示するものである。操作部83は、係員が操作指示を入力するものである。表示部82は、ディスプレイ装置などを備えている。操作部83は、キーボードあるいはマウスなどの入力装置などを備えている。表示部82と操作部83とは、たとえば、タッチパネル内蔵のディスプレイ装置により構成されるようにしても良い。さらに、表示部82と操作部83とは、タッチパネル内蔵のディスプレイ装置とキーボード等の入力装置とを設けた構成としても良い。
【0071】
制御部80は、紙葉類処理装置1からデータを受信する受信手段を備えている。制御部80は、紙葉類処理装置1からデータを受信した際、受信した表裏識別番号とカード識別番号と集積した紙幣Pの計数情報とを記憶手段としての記憶部81に追記記憶し、図10に示すようなデータベース3を作成する。この際、データを送信した紙葉類処理装置1の処理号機の情報も対応付けて記憶する。
【0072】
また、制御部80は、既にデータベース3に登録されているカード識別番号を含むデータを受信した場合、受信したデータは再鑑査の際のデータであると判定し、初回鑑査/再鑑査の情報を再鑑査を示す1とする。受信したデータが含んでいるカード識別番号がデータベース3に登録されていない場合、制御部80は、受信したデータは初回鑑査の際のデータであると判定し、初回鑑査/再鑑査の情報を初回監査を示す0とする。
【0073】
制御部80は、図10に示すように、データベース3に登録されているデータの中で、同一のカード識別番号を含むデータが複数存在する場合、計数情報をカード識別番号毎に集計する集計処理を行なう。即ち、制御部80は、まず初回鑑査の際のデータを参照し、バッチカード41の表側の計数情報と裏側の計数情報のどちらを集計処理に採用するかを、同データ内の表裏識別番号に基づいて判定する。
【0074】
ここでは、制御部80は、通常、カード検知器90により読み取った側に配列されていた被処理媒体のうちの紙幣Pの計数情報を集計処理に採用すると判定する。次いで、制御部80は、再鑑査の際のデータを参照し、初回鑑査の際のデータにおいて、集計処理に採用したのと同じ側の計数情報を集計処理に採用すると判定する。制御部80は、採用すると判定した初回鑑査の際の計数情報と再鑑査の際の計数情報とを集計し、集計した計数情報をカード識別番号に対応付ける。即ち制御部80は、集計手段として機能する。図中でハッチングがかかったマスは、集計処理に採用すると判定した計数情報のマスであることを示している。
【0075】
また、制御部80は、バッチカード41のカード識別番号毎ではなく、予め設定したアカウント番号毎に集計処理を行なうようにしてもよい。即ち、予め、アカウント番号に複数のバッチカード41のカード識別番号を対応付けておき、カード識別番号毎に集計処理を行なった後、同じアカウント番号が対応付けられているデータ同士で計数情報を集計し、集計した計数情報をアカウント番号に対応付けるようにしてもよい。
【0076】
次に、紙葉類処理装置1の動作について説明する。
【0077】
図11は、図2、及び図6に示す紙葉類処理装置1の紙葉類の処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
紙葉類処理装置1を動作させる前に、係員は、図4に示すような被処理媒体Pを処理トレイ5に1組の処理単位として配置し、投入部4に投入する。
【0078】
紙葉類処理装置1は、投入部4から被処理媒体Pを取出しローラ10により個々に取り込み(ステップS11)、被処理媒体Pを搬送路12へ導入する。
紙葉類処理装置1は、検知部30により、被処理媒体Pの特徴を検知する(ステップS12)。ここでは、検知部30は、被処理媒体Pの両面を撮像する、被処理媒体Pの厚さを検知する、などして、被処理媒体Pの券種、表裏、天地、汚れや破損の度合等の特徴を検知する。
紙葉類処理装置1の制御部60は、検知部30により検知した検知結果に基づいて、検知した被処理媒体Pが紙幣であり、且つ、再使用が可能であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0079】
ステップS13において、検知した被処理媒体Pは再使用が可能な紙幣であると判定した場合(ステップS13、YES)、制御部60は、搬送制御部63及びゲート制御部64により搬送ローラ15及び各ゲートG1−G9を制御し、紙幣Pを金種ごとに対応する集積庫141−146のいずれかへ搬送し(ステップS14)、次に取り込んだ被処理媒体Pの処理に移行する。
【0080】
また、ステップS13において、検知した被処理媒体Pが紙幣ではない、若しくは、紙幣であるが再使用が不可能な紙幣であると判定した場合(ステップS13、NO)、制御部60は、カード検知器90により被処理媒体Pの表面のバーコードを読み取る(ステップS15)。続いて、制御部60は、搬送制御部63及びゲート制御部64により搬送ローラ15及びゲートG1を制御し、被処理媒体Pをリジェクト箱32へ搬送する(ステップS16)。
【0081】
また、制御部60は、カード検知器90により読み取った内容に基づいて、被処理媒体Pがバッチカード41であるか否かを判定する(ステップS17)。即ち、制御部60は、カード検知器90により被処理媒体Pからカード識別番号及び表裏識別番号を読み取ることができた場合、被処理媒体Pはバッチカード41であると判定する。
【0082】
ステップS17において、被処理媒体Pはバッチカード41ではないと判定した場合(ステップS17、NO)、制御部60は、被処理媒体Pは排除券であると判定し、次に取り込んだ被処理媒体Pの処理に移行する。
【0083】
ステップS17において、被処理媒体Pはバッチカード41であると判定した場合(ステップS17、YES)、制御部60は、読み取ったカード識別番号、表裏識別番号、及び、集積した紙幣Pの計数情報とを対応付けて集計装置2へ送信する(ステップS18)。ここでは、制御部60は、図6で説明したように、カード識別番号と、表裏識別番号と、バッチカード41の前後の紙幣Pの計数情報とをそれぞれ対応付ける。
【0084】
制御部60は、後続の被処理媒体Pが処理トレイ5内に残っているか否かを判定する(ステップS19)。即ち、制御部60は、最後にバッチカード41を検知してから一定時間経過しても被処理媒体Pを検知しなかった場合、最後に検知したバッチカード41が処理トレイ5内で最後の被処理媒体Pであると判定する。
【0085】
後続の被処理媒体Pが処理トレイ5内に残っていないと判定した場合(ステップS19、NO)、制御部60は、最後に読み取ったバッチカード41のカード識別番号、表裏識別番号、及び、バッチカード41以降に集積した紙幣Pの計数情報とを対応付けて集計装置2へ送信し(ステップS20)、処理を終了する。
【0086】
次に、集計装置2の動作について説明する。
【0087】
図12は、図2、及び図6に示す集計装置2のデータを受信した際の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
集計装置2の制御部80は、紙葉類処理装置1からデータを受信すると(ステップS21)、受信したデータのカード識別番号と同一のカード識別番号を含むデータがデータベース3に既に登録されているか否かを判定する(ステップS22)。登録されていないと判定した場合(ステップS22、NO)、制御部80は、受信したデータは初回鑑査の際のデータであると判定し(ステップS23)、初回鑑査/再鑑査の情報を0として、受信したデータをデータベース3に登録する(ステップS24)。
【0088】
また、ステップS22において、登録されていると判定した場合(ステップS22、YES)、制御部80は、受信したデータは再鑑査の際のデータであると判定し(ステップS25)、初回鑑査/再鑑査の情報を1として、受信したデータをデータベース3に登録する(ステップS26)。
【0089】
図13は、図2、及び図6に示す集計装置2の集計処理の際の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
係員により、集計装置2の操作部83に集計処理を実行するための操作が入力されると(ステップS31)、制御部80は、操作入力に従って、指示されたカード識別番号を含むデータを選択する(ステップS32)。制御部80は、選択したデータが2つ以上であるか否かを判定する(ステップS33)。
【0090】
選択したデータが2つ以上ではなく1つであると判定した場合(ステップS33、NO)、制御部80は、選択したデータのバッチカード41の表側の計数情報と裏側の計数情報のどちらを集計処理に採用するかを、同データ内の表裏識別番号に基づいて決定する(ステップS34)。ここでは、制御部80は、通常、カード検知器90により読み取った側に配列されていた被処理媒体Pのうちの紙幣Pの計数情報を集計処理に採用する。
【0091】
ステップS33において、選択したデータが2つ以上あると判定した場合(ステップS33、YES)、制御部80は、まず、選択したデータのうち初回鑑査の際のデータを参照し、バッチカード41の表側の計数情報と裏側の計数情報のどちらを集計処理に採用するかを、同データ内の表裏識別番号に基づいて決定する(ステップS35)。
【0092】
制御部80は、次に、再鑑査の際のデータを参照し、初回鑑査のデータにおいて集計処理に採用したのと同じ側の計数情報を集計処理に採用すると決定する(ステップS36)。
【0093】
次いで、制御部80は、採用すると決定した複数の計数情報を加算して集計する(ステップS37)。制御部80は、加算した計数情報を指示されたカード識別番号に対応する計数情報として確定して新たに登録し、選択した元のデータを削除する更新処理を行ない(ステップS38)、処理を終了する。
【0094】
以上のように構成された紙葉類処理システムによれば、紙葉類処理装置1は、バッチカード41の前後の紙幣Pの計数情報をバッチカード41の識別番号及び表裏識別番号にそれぞれ対応付けて集計装置2に送信する。集計装置2は、初回鑑査の際のデータと再鑑査の際のデータとで識別できるように受信したデータをデータベースに登録する。
【0095】
初回鑑査の際のデータと再鑑査の際のデータの集計処理の際、集計装置2は、まず初回鑑査の際のデータを参照して、バッチカード41の前後のどちら側の計数情報をバッチカード41と対応付けるかを表裏識別番号に基づいて決定する。つぎに、集計装置2は、再鑑査の際のデータを参照して、初回鑑査でバッチカード41と対応付けた側と同じ側の計数情報をバッチカード41に対応付ける。集計装置2は、バッチカード41に対応付けた初回鑑査の際の計数情報と再鑑査の際の計数情報とを集計し、1バッチ分の計数情報を得る。
【0096】
これにより、被処理媒体を複数回鑑査し、2回目以降の被処理媒体の投入向きが初回の投入向きと逆の場合であっても、初回と同じバッチカードに正確に計数情報を対応付けることができる。上記構成により、紙葉類を容易に、且つ、正確に処理することができる紙葉類処理システム、紙葉類処理装置、仕切りカード、及び紙葉類処理方法を提供することができる。紙葉類処理装置
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、一実施形態に係るバッチカードの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、初回鑑査の際に紙葉類処理装置に投入する被処理媒体の配列の一例を示す図である。
【図5】図5は、再鑑査の際に紙葉類処理装置に投入する被処理媒体の配列の一例を示す図である。
【図6】図6は、図2に示す紙葉類処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図7】図7は、初回鑑査の際に集計装置に送信された被処理媒体の計数情報の例を示す図である。
【図8】図8は、再鑑査の際に集計装置に送信された被処理媒体の計数情報の例を示す図である。
【図9】図9は、再鑑査の際に集計装置に送信された被処理媒体の計数情報の例を示す図である。
【図10】図10は、データベースとして集計装置に記憶される計数情報の例を示す図である。
【図11】図11は、図2、及び図6に示す紙葉類処理装置の紙葉類の処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、図2、及び図6に示す集計装置のデータを受信した際の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、図2、及び図6に示す集計装置の集計処理の際の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1…紙葉類処理装置、1A…区分集積装置、2…集計装置、3…データベース、4…投入部、5…処理トレイ、10…ローラ、12…搬送路、15…搬送ローラ、30…検知部、32…リジェクト箱、41…バッチカード、42…本体、53…供給部、60…制御部、70…制御部、80…制御部、90…カード検知器、141乃至146…集積庫。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類処理装置と集計装置とを具備する紙葉類処理システムであって、
表面と裏面とに異なる表裏識別情報が付与され両面に同一のカード識別情報が付与された仕切カードを具備し、
前記紙葉類処理装置は、
作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された前記仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入される投入部と、
前記投入部に投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込んだ紙葉類を計数する計数手段と、
前記取込手段により取り込んだ前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報とを検知するカード検知手段と、
前記取込手段により取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積する集積手段と、
前記カード検知手段により検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数手段により計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する送信手段と、を具備し、
前記集計装置は、
前記紙葉類処理装置からデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した表裏識別情報とカード識別情報と集積した前記紙葉類の計数情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
を具備する紙葉類処理システム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記仕切カードの表面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの表面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付け、前記仕切カードの裏面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの裏面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する手段を具備する請求項1に記載の紙葉類処理システム。
【請求項3】
前記紙葉類処理装置は、
前記取込手段により取り込んだ紙葉類が再使用可能な紙葉類か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により再使用不可能であると判定した紙葉類と前記仕切カードとを装置外部から取り出し可能な状態で排除する排除手段と、
をさらに具備する請求項1に記載の紙葉類処理システム。
【請求項4】
前記集計装置は、カード識別情報毎に前記記憶手段により記憶した紙葉類の計数情報を集計する集計手段をさらに具備する請求項1に記載の紙葉類処理システム。
【請求項5】
前記集計手段は、一致するカード識別情報に対応付けられている複数の計数情報を集計する際、一致する表裏識別情報が付与されている計数情報同士で集計する手段を具備する請求項4に記載の紙葉類処理システム。
【請求項6】
前記集計装置は、予め複数のカード識別情報とアカウント情報とを対応付け、アカウント情報毎に前記記憶手段により記憶した紙葉類の計数情報を集計する集計手段をさらに具備する請求項1に記載の紙葉類処理システム。
【請求項7】
複数枚の紙葉類の仕切に用いる仕切カードであって、
表面と裏面とに異なる表裏識別情報が付与され両面に同一のカード識別情報が付与された仕切カード。
【請求項8】
紙葉類の計数情報を集計装置に送信する紙葉類処理装置であって、
作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入される投入部と、
前記投入部に投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込んだ紙葉類を計数する計数手段と、
前記取込手段により取り込んだ前記仕切カードに付与されている表面と裏面とで異なる表裏識別情報と両面で同一のカード識別情報とを検知するカード検知手段と、
前記取込手段により取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積する集積手段と、
前記カード検知手段により検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数手段により計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する送信手段と、
を具備する紙葉類処理装置。
【請求項9】
前記送信手段は、前記仕切カードの表面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの表面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付け、前記仕切カードの裏面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの裏面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付けて前記集計装置へ送信する手段を具備する請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【請求項10】
前記取込手段により取り込んだ紙葉類が再使用可能な紙葉類か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により再使用不可能であると判定した紙葉類と前記仕切カードとを装置外部から取り出し可能な状態で排除する排除手段と、
をさらに具備する請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【請求項11】
作業単位毎に集積された紙葉類と前記集積された紙葉類上に配置された仕切カードとを有する1バッチ分の被処理媒体が複数バッチ重ねられて一組の処理単位として投入し、
前記投入された前記被処理媒体を1枚ずつ取り込み、
前記取り込んだ紙葉類を計数し、
前記取り込んだ前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報とを検知し、
前記取り込んだ前記被処理媒体のうち紙葉類を集積し、
前記検知した前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数した前記紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて記憶する紙葉類処理方法。
【請求項12】
前記仕切カードの表面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの表面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付け、
前記仕切カードの裏面側に集積されている紙葉類の計数情報と検知した前記仕切カードの裏面の表裏識別情報とカード識別情報とをバッチ毎に対応付けて記憶する請求項11に記載の紙葉類処理方法。
【請求項13】
被処理媒体を取り込んだ場合、取り込んだ紙葉類が再使用可能な紙葉類か否かを判定し、
再使用不可能であると判定した紙葉類と前記仕切カードとを排除券として装置外部から取り出し可能な状態で排除し、
前記排除された排除券を投入し、
前記投入された前記排除券を1枚ずつ取り込み、
前記取り込んだ排除券のうちの紙葉類を計数し、
前記取り込んだ排除券のうちの前記仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報とを検知し、
前記取り込んだ前記排除券のうちの紙葉類を集積し、
前記検知した前記排除券のうちの仕切カードの表裏識別情報とカード識別情報と前記計数した前記排除券のうちの紙葉類の計数情報とをバッチ毎に対応付けて記憶する請求項11に記載の紙葉類処理方法。
【請求項14】
前記記憶した紙葉類の計数情報を同一のカード識別情報に対応付けられた計数情報について集計する請求項13に記載の紙葉類処理方法。
【請求項15】
予め複数の仕切カードのカード識別情報とアカウント情報とを対応付け、
前記記憶した紙葉類の計数情報を同一のアカウント情報に対応付けられたカード識別情報に対応付けられている計数情報について集計する請求項11に記載の紙葉類処理方法。
【請求項16】
同一のカード識別情報に対応付けられた計数情報について集計する場合、同一の表裏識別情報に対応付けられた計数情報同士で集計する請求項14又は15に記載の紙葉類処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−250955(P2008−250955A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95004(P2007−95004)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】