説明

紙製品のコーナー構造

【課題】組立作業性を向上するとともに、十分な強度を確保する。
【解決手段】第1側壁部12A,12Bから糊代部13にかけて延びる第1切断線18を設けるとともに、第1切断線18の両端および中間部に第1折曲線19a,19b,19c,を設け、これらにより略L字形状をなすように内向きに没入される第1折込部17を設け、かつ、閉塞壁部11から第2側壁部12C,12Dにかけて第2切断線22を設けるとともに、第2切断線22の両端および中間部に第2折曲線23a,23b,23cを設け、これらにより第1折込部17とは異なる向きで略L字形状をなすように内向きに没入される第2折込部21を設け、これにより段部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱の蓋やスタッキングトレイなどの紙製品のコーナー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ギフト商品を収容して展示および搬送する場合、上端開口の箱本体と、該箱本体とは別体の下端開口の蓋体とからなる包装箱が使用されている。この包装箱は、蓋体を開けて箱本体に収容させた状態で展示する際に、購入者が商品を確認し易くするために、箱本体の側壁を商品の全高より低くし、その商品の上部が箱本体から露出するように構成している。
【0003】
また、このような包装箱を使用し、蓋体をした状態で積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられた場合には、その荷重が商品に直接的に加わるという問題がある。そのため、従来では、蓋体の内部に、該蓋体の天壁と箱本体の側壁の上端との間に所定の隙間を形成するために、蓋体の内部コーナー部分に載置用の構造を設けている。
【0004】
本発明の紙製品のコーナー構造に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−199302号公報
【0006】
この特許文献には、矩形状をなす底面板の外周縁に側面板を連設し、その対向する一対の側面板の両側縁に、組立状態で隣接する側面板に貼着するための糊代部が連設されている。また、略L字形状をなすように折返部と接着部とを備えたコーナー片を設け、貼着した隣接の側面板から内向きに突出するようにコーナー段部を形成できるように構成している。
【0007】
しかしながら、このコーナー構造は、組立時に側面板と接着部とを接着する必要があるため、利便性が悪いという問題がある。また、コーナー段部は、垂直方向に延びる面により構成されるため、比較的圧縮強度を高いものとすることができるが、側方からの負荷には弱く、十分な強度は得られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、組立作業性を向上できるとともに、十分な強度が得られる紙製品のコーナー構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の紙製品のコーナー構造は、平面視多角形状をなす閉塞壁部の外周縁に側壁部を連設し、隣接する一方の第1側壁部に他方の第2側壁部に貼着するための糊代部を連設した紙製品において、その角部に内向きに突出する段部を形成するためのコーナー構造であって、前記第1側壁部から糊代部にかけて、該第1側壁部と前記閉塞壁部との第1境界線に沿って延びる第1切断線を設けるとともに、該第1切断線の両端および中間部に、前記第1境界線の側に向けて延びる第1折曲線を設け、これら第1切断線および第1折曲線により略L字形状をなすように内向きに没入される第1折込部を設け、かつ、前記閉塞壁部から第2側壁部にかけて、前記第1境界線に沿って延びる第2切断線を設けるとともに、該第2切断線の両端および中間部に、前記第1境界線の側に向けて延びる第2折曲線を設け、これら第2切断線および第2折曲線により前記第1折込部とは異なる向きで略L字形状をなすように内向きに没入される第2折込部を設け、前記第1および第2折込部で内外を閉塞した状態で内向きに突出する段部を構成する。
【0010】
この紙製品のコーナー構造では、前記第1折込部の中間部に位置する第1折曲線を、前記第1側壁部と糊代部との第2境界線の延長線上に位置するように設けるとともに、前記第2折込部の中間部に位置する第2折曲線を、前記閉塞壁部と第2側壁部との第3境界線の延長線上に位置するように設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙製品のコーナー構造では、例えば、第1折込部が平面視でL字形状をなすように、第1側壁部から糊代部にかけて水平方向に延び、第2折込部が第1折込部の外面において、側面視でL字形状をなすように、閉塞壁部から第2側壁部にかけて垂直方向に延びる。即ち、この折込部により形成される段部は、糊付けなど作業が不要であるため、組立作業性を向上できる。また、これら折込部により構成される段部は、従来と比較すると剛性を極めて高くすることができる。よって、このコーナー構造を包装箱の蓋体に適用した場合には、その包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられたりしても、その荷重が商品に直接的に加わることを防止できる。
【0012】
また、第1折込部の中間部に位置する第1折曲線を、第1側壁部と糊代部との第2境界線の延長線上に位置するように設けるとともに、第2折込部の中間部に位置する第2折曲線を、閉塞壁部と第2側壁部との第3境界線の延長線上に位置するように設けると、段部を形成しない紙製品を組み立てた後に、第1折込部および第2折込部の順番で内向きに押圧することにより、簡単かつ確実に内向きに没入させた段部を形成することができる。その結果、組立時には、周知の自動製函装置を使用することが可能になるため、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
図1から図4は、本発明に係る第1実施形態のコーナー構造を適用した紙製品である包装箱を示す。この包装箱は、商品の上部が露出する底が浅い箱本体1の上端開口を、本発明のコーナー構造を適用した蓋体10により閉塞するものである。
【0015】
前記箱本体1は、長方形状をなす底壁2の各外周縁に4方を囲繞する側壁3A〜3Dを設けた段ボール紙製のものである。これら側壁3A〜3Dは、底壁2に連続する外側面4と、該外側面4に連続して内側に折り返される内側面5とからなる2重壁構造のものである。また、これら側壁3A〜3Dは、内部に収容する商品の全高より低い高さに設定されている。
【0016】
本実施形態の蓋体10は、箱本体1の側壁3A〜3Dの外周部を囲繞する側壁部12A〜12Dの上端開口を閉塞壁部である天壁部11により閉塞した下端開口のもので、図4に示すように、周知の紙器打抜装置(図示せず)によって段ボール紙を連続した一枚のブランクとして打ち抜いて成形される。なお、段ボール紙は、一対の表紙と裏紙との間に波状の中しんを配設したものである。
【0017】
この蓋体10のブランクは、箱本体1の外法と略同一の長方形状をなす天壁部11を備えている。この天壁部11には、その外周縁に周壁部を構成する4面の側壁部12A〜12Dが連設されている。これら側壁部12A〜12Dは、箱本体1の側壁3A〜3Dより組立状態での高さ寸法が大きく形成されている。そして、側壁部12A〜12Dのうち、図4中上下に位置する第1の側壁部12A,12Bには、隣接する左右の第2の側壁部12C,12Dに貼着するための糊代部13が連設されている。
【0018】
前記側壁部12A〜12Dのうち、第1の側壁部12A,12Bと天壁部11との境界部分には、肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線14(第1境界線)が設けられている。また、第2の側壁部12C,12Dと天壁部11との境界部分には、両端に位置する第2折込部21を除く位置に同様の折曲線15(第3境界線)が設けられている。さらに、第1の側壁部12A,12Bと糊代部13との境界部分には、折曲線14の側に位置する端部を除く位置に同様の折曲線16(第2境界線)が設けられている。
【0019】
第1の側壁部12A,12Bおよび糊代部13には、これらにかけて(跨って)延び、組立状態でL字形状をなすように内向きに没入される第1折込部17が設けられている。この第1折込部17は、第1の側壁部12A,12Bと天壁部11との境界線である折曲線14に沿って平行に延びる第1切断線18と、該第1切断線18の両端および中間部分に位置する3本の第1折曲線19a,19b,19cとを設けることにより、折曲線16の端部に区画して設けられている。なお、本実施形態では、第1の側壁部12A,12Bにおいて、第1折込部17を形成する部分は内向きに没入されるため、その部分は側壁部12A,12Bを構成しない。そのため、ブランク状態で第2の側壁部12C,12Dと糊代部13とを区画するためのスリット20は、第1折込部17の端部、即ち、第1折曲線19aまで延びるように設けられている。
【0020】
具体的には、前記第1切断線18は、第1の側壁部12A,12Bの先端縁までの寸法が、箱本体1の側壁3A〜3Dの全高より僅かに小さくなる位置に設けられている。また、本実施形態では、第1の側壁部12A,12B内に設ける寸法より、糊代部13内に設ける寸法が大きくなるように形成されている。
【0021】
前記第1折曲線19aは、第1切断線18における第1の側壁部12A,12B内に位置する端部から、折曲線14の端部にかけて直交方向に延びるように設けた前記と同様の折曲線である。第1折曲線19bは、第1切断線18における糊代部13内に位置する端部から、折曲線14の側であるスリット20にかけて第1折曲線19aと平行に延びるように設けたものである。第1折曲線19cは、第1折曲線19bからの寸法が、折曲線16と第1折曲線19aとの間の寸法分離間した位置から、折曲線14の側であるスリット20にかけて第1折曲線19aと平行に延びるように設けたものである。本実施形態では、第1折曲線19b,19cは、肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した前記と同様の折曲線と、該折曲線に沿って延びる切断線とからなるリード罫により構成されている。
【0022】
また、天壁部11および第2の側壁部12C,12Dには、これらにかけて(跨って)延び、組立状態で第1折込部17とは異なる方向でL字形状をなすように内向きに没入される第2折込部21が設けられている。この第2折込部21は、折曲線14に沿って平行に延びる第2切断線22と、該第2切断線22の両端および中間部分に位置する3本の第2折曲線23a,23b,23cとを設けることにより、折曲線15の両端部に区画して設けられている。なお、本実施形態では、第2の側壁部12C,12Dにおいて、第2折込部21を形成する部分は内向きに没入されるため、その部分は側壁部12C,12Dを構成しない。
【0023】
具体的には、前記第2切断線22は、天壁部11内に設ける寸法より、第1の側壁部12C,12D内に設ける寸法が大きくなるように形成されている。ここで、この第2折込部21を形成する第2の側壁部12C,12Dは、第1折込部17を形成する糊代部13が内面に位置するものである。そのため、その肉厚分を考慮して、第2切断線22を形成する基準線となる折曲線15は、第1切断線18を形成する基準となる折曲線16より、第2の側壁部12C,12Dである外側に位置するように設けられている。また、第2折込部21は、第1折込部を内部に折り込んだ後に、その外面に重畳するように折り込むように設定している。そのため、同様に、糊代部13の肉厚を考慮して、第1切断線18より僅かに長い寸法で形成されている。
【0024】
前記第2折曲線23aは、第2切断線22における天壁部11内に位置する端部から、折曲線14の端部にかけて直交方向に延びるように設けた前記と同様の折曲線である。第2折曲線23bは、第2切断線22における第2の側壁部12C,12D内に位置する端部から、折曲線14の側であるスリット20にかけて第2折曲線23aと平行に延びるように設けたものである。第2折曲線23cは、第2折曲線23bからの寸法が、折曲線15と第2折曲線23aとの間の寸法分離間した位置から、折曲線14の側であるスリット20にかけて第2折曲線23aと平行に延びるように設けたものである。本実施形態では、第2折曲線23b,23cは、第1折曲線19b,19cと同様のリード罫により構成されている。
【0025】
前記蓋体10のブランクは、例えば、ブランクの状態で所定の商品の製造メーカに出荷され、自動製函装置により製函される。具体的には、この自動製函装置では、天壁部11に対して第1の側壁部12A,12Bを折り曲げながら、これら第1の側壁部12A,12Bに対して糊代部13を折り曲げる。この際、第1折込部17が内向きに没入するように、専用治具で内向きに折れ曲がるように押圧して誘導する。また、糊代部13における第1折込部17を除く外面側にホットメルトなどの周知の接着剤を塗布する。その後、天壁部11に対して第2の側壁部12C,12Dを折り曲げながら、第2折込部21が内向きに没入するように、専用治具で内向き折れ曲がるように押圧して誘導する。そして、重畳した第2の側壁部12C,12Dの内面と糊代部13の外面とをプレスすることにより貼着する。
【0026】
このように、本実施形態の紙製品のコーナー構造は、糊付けなどの面倒な貼着作業をすることなく、押し込みにより簡単に内向きに突出する段部24を形成することができる。そのため、組立作業性を向上することができる。
【0027】
ここで、折込部17,21がない周知の蓋体10の組立方法は、これら折込部17,21を内向きに誘導しない点でのみ相違する。即ち、本実施形態の蓋体10では、折込部を設けていない従来の蓋体10の自動製函装置に対し、折込部を内向きに誘導(押圧)する機構または構造だけを付加すればよい。そのため、確実に機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良および制作も比較的容易で、コストアップを抑制できる。
【0028】
このようにして組み立てた蓋体10は、図1および図2に示すように、第1折込部17が平面視でL字形状をなすように、第1の側壁部12A,12Bから糊代部13にかけて水平方向に延びる。また、第2折込部21が第1折込部17の外面において、側面視でL字形状をなすように、天壁部11から第2の側壁部12C,12Dにかけて垂直方向に延びる。このように、第1折込部17と第2折込部21とは、異なる向きで略L字形状をなすように折り込まれ、部分的に重畳した状態をなす。
【0029】
そして、この蓋体10で商品を収容した箱本体1を閉塞した場合、図2および図3に示すように、内部に没入された折込部17,21による段部24が箱本体1の側壁3A〜3Dの上端面角部に載置される。これにより、蓋体10の天壁部11は、箱本体1の側壁3A〜3Dの上端から所定間隔をもって上方に浮いた状態に保持される。その保持状態は、第1折込部17の下端縁と、第2折込部21の水平部21aとで、安定して維持される。そのため、これら折込部17,21による段部24の剛性は、従来と比較すると極めて高い。その結果、この蓋体10を適用した包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられたりしても、その荷重が商品に直接的に加わることはない。
【0030】
図5および図6は第2実施形態のコーナー構造を適用した紙製品であるスタッキングトレイ30を示す。このスタッキングトレイ30は、図5に示すように、上端開口の箱体であり、本発明のコーナー構造を適用することにより、複数のスタッキングトレイ30を安定した状態に積み上げることを可能とするものである。
【0031】
第2実施形態のスタッキングトレイ30は、大略、第1実施形態の蓋体10を天地逆向きにした形状であり、図6に示すように、閉塞壁部である略長方形状をなす底壁部31を備えている。この底壁部31には、その外周縁に周壁部を構成する4面の側壁部32A〜32Dが連設されている。これら側壁部32A〜32Dは、これら側壁部32A〜32Dは、組立状態で僅かに内向きに傾斜するように、その両側縁が先端に向けて内向きに傾斜する傾斜縁33で構成されている。また。これら側壁部32A〜32Dの先端両側には、外向きに突出する突出部34が設けられている。そして、側壁部32A〜32Dのうち、図6中上下に位置する第1の側壁部32A,32Bには、隣接する左右の第2の側壁部32C,32Dに貼着するための糊代部35が連設されている。この糊代部35には、組立状態で貼着される第2の側壁部32C,32Dの突出部34に重畳する突出部36が設けられている。
【0032】
前記側壁部32A〜32Dのうち、第1の側壁部32A,32Bと底壁部31との境界部分には、肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線37(第1境界線)が設けられている。また、第2の側壁部32C,32Dと底壁部31との境界部分には、両端に位置する第2折込部44を除く位置に同様の折曲線38(第3境界線)が設けられている。さらに、第1の側壁部32A,32Bと糊代部35との境界部分には、折曲線37の側に位置する端部を除く位置に同様の折曲線39(第2境界線)が設けられている。
【0033】
そして、第1の側壁部32A,32Bおよび糊代部35には、これらにかけて延び、組立状態でL字形状をなすように内向きに没入される第1折込部40が設けられている。この第1折込部40は、第1の側壁部32A,32Bと底壁部31との境界線である折曲線37に沿って延びる第1切断線41と、該第1切断線41の両端および中間部分に位置する3本の第1折曲線42a,42b,42cとを設けることにより、折曲線39の端部に区画して設けられている。なお、第2実施形態でも第1実施形態と同様に、ブランク状態で第2の側壁部32C,32Dと糊代部35とを区画するためのスリット43は、第1折込部40の端部、即ち、第1折曲線42aまで延びるように設けられている。
【0034】
第2実施形態の第1切断線41は、第1の側壁部32A,32B内に形成する部分41aが、折曲線37に沿って平行に延びるように設けられ、糊代部35内に形成する部分41bが、折曲線37に沿って僅かに傾斜して延びるように設けられている。そして、その糊代部35内の形成部分41bは、折曲線39に対して直交方向に延びるように構成されている。また、折曲線37との間の寸法が、前記突出部34の突出寸法と略同一に形成されている。さらに、第1の側壁部32A,32B内に形成する部分41aと、糊代部35内に形成する部分41bとは、折曲線39を基準として同一寸法となるように形成されている。
【0035】
前記第1折曲線42aは、第1切断線41における第1の側壁部32A,32B内に位置する端部から、折曲線37の端部にかけて直交方向に延びるように設けた折曲線である。第1折曲線42bは、第1切断線41における糊代部35内に位置する端部から、折曲線37の側であるスリット43にかけて折曲線39と平行に延びるように設けたリード罫である。第1折曲線42cは、第1切断線41の中央、即ち、第1の側壁部32A,32Bと糊代部35との境界線である折曲線39の延長線上に位置する(沿う)ように設けた折曲線である。
【0036】
また、底壁部31および第2の側壁部32C,32Dには、これらにかけて延び、組立状態で第1折込部40とは異なる方向でL字形状をなすように内向きに没入される第2折込部44が設けられている。この第2折込部44は、折曲線37に沿って平行に延びる第2切断線45と、該第2切断線45の両端および中間部分に位置する3本の第2折曲線46a,46b,46cとを設けることにより、折曲線38の両端部に区画して設けられている。
【0037】
前記第2切断線45は、全体が折曲線37に沿って平行に延びるように設けられている。そして、折曲線37との間の寸法は、第1切断線41と同様に、突出部34の突出寸法と略同一に形成されている。また、底壁部31内に形成する部分45aと、第2の側壁部32C,32D内に形成する部分45bとは、折曲線38を基準として同一寸法となるように形成されている。
【0038】
前記第2折曲線46aは、第2切断線45における底壁部31内に位置する端部から、折曲線37の端部にかけて直交方向に延びるように設けた折曲線である。第2折曲線46bは、第2切断線45における第2の側壁部32C,32D内に位置する端部から、折曲線37の側であるスリット43にかけて第2折曲線46aと平行に延びるように設けたリード罫である。第2折曲線46cは、第2切断線45の中央、即ち、底壁部31と第2の側壁部32C,32Dとの境界線である折曲線38の延長線上に位置するように設けたリード罫である。
【0039】
前記スタッキングトレイ30のブランクは、折込部40,44の中間位置に設ける折曲線42c,46cを、第1の側壁部32A,32Bと糊代部35との境界線、および、底壁部31と第2の側壁部32C,32Dとの境界線の延長線上に位置するように設けている。そのため、このスタッキングトレイ30の組立方法は、折込部40,44を形成していないトレイを組み立てる場合と同一でよい。即ち、折込部40,44を内向きに没入させていない状態で組み立てた後、第1折込部40を内向きに押圧して没入させて折り込んだ後、第2折込部44を内向きに押圧して没入させて折り込むことにより、図5に示すように、角部に内向きに突出する段部47を形成することができる。そのため、確実に機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良は不要であるため、コストダウンを図ることができる。
【0040】
そして、このようにして組み立てたスタッキングトレイ30は、第1折込部40が平面視でL字形状をなすように、第1の側壁部32A,32Bから糊代部35にかけて水平方向に延びる。また、第2折込部44が第1折込部40の外面において、側面視でL字形状をなすように、底壁部31から第2の側壁部32C,32Dにかけて垂直方向に延びる。そのため、第1実施形態と同様に、極めて剛性を高めることができる。
【0041】
また、このスタッキングトレイ30に、塵埃の付着を拒まない青果物などの商品を収容させ、積み上げる場合には、内向きに傾斜するように構成した側壁部32A〜32Dにより、その両端に設けた突出部34が段部47内に確実に係止する。そのため、段部24の剛性が高いことも伴い、安定した状態で確実に積み上げ状態を維持できる。
【0042】
なお、本発明の紙製品のコーナー構造は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、第1実施形態の蓋体10は、第2実施形態と同様に、折込部17,21の中間位置に設ける折曲線19c,23cを境界線である折曲線16,15の延長線上に位置するように設けてもよい。また、折込部17,21,40,44による段部24,47は、仕切板によって箱本体内を水平方向に仕切る際の仕切板の載置部として使用することも可能であり、その使用目的は、前記実施形態に限定されるものではない。
【0044】
さらに、前記実施形態では、閉塞壁部である天壁部11および底壁部31を矩形状に形成したが、平面視三角形以上の多角形状であれば、その角数は希望に応じて変更が可能である。しかも、前記実施形態では、隣接する側壁部12A〜12D,32A〜32Dの全ての稜部に段部24,47を形成したが、その角数に応じて所定位置に設ければその数も種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態のコーナー構造を適用した紙製品である包装箱の分解斜視図である。
【図2】包装箱の閉塞状態を示す斜視図である。
【図3】閉塞状態の包装箱の要部断面図である。
【図4】コーナー構造を適用した蓋体のブランクを示す平面図である。
【図5】第2実施形態のコーナー構造を適用した紙製品であるスタッキングトレイを示す斜視図である。
【図6】図5のスタッキングトレイのブランクを示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…箱本体(紙製品)
10…蓋体(紙製品) 30…スタッキングトレイ(紙製品)
11…天壁部(閉塞壁部) 31…底壁部(閉塞壁部)
12A〜12D…側壁部 32A〜32D…側壁部
13…糊代部 35…糊代部
14…折曲線(第1境界線) 37…折曲線(第1境界線)
15…折曲線(第3境界線) 38…折曲線(第3境界線)
16…折曲線(第2境界線) 39…折曲線(第2境界線)
17…第1折込部 40…第1折込部
18…第1切断線 41…第1切断線
19a〜19c…第1折曲線 42a〜42c…第1折曲線
21…第2折込部 44…第2折込部
22…第2切断線 45…第2切断線
23a〜23c…第2折曲線 46a〜46c…第2折曲線
24…段部 47…段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視多角形状をなす閉塞壁部の外周縁に側壁部を連設し、隣接する一方の第1側壁部に他方の第2側壁部に貼着するための糊代部を連設した紙製品において、その角部に内向きに突出する段部を形成するためのコーナー構造であって、
前記第1側壁部から糊代部にかけて、該第1側壁部と前記閉塞壁部との第1境界線に沿って延びる第1切断線を設けるとともに、該第1切断線の両端および中間部に、前記第1境界線の側に向けて延びる第1折曲線を設け、これら第1切断線および第1折曲線により略L字形状をなすように内向きに没入される第1折込部を設け、かつ、
前記閉塞壁部から第2側壁部にかけて、前記第1境界線に沿って延びる第2切断線を設けるとともに、該第2切断線の両端および中間部に、前記第1境界線の側に向けて延びる第2折曲線を設け、これら第2切断線および第2折曲線により前記第1折込部とは異なる向きで略L字形状をなすように内向きに没入される第2折込部を設け、
前記第1および第2折込部で内外を閉塞した状態で内向きに突出する段部を構成するようにしたことを特徴とする紙製品のコーナー構造。
【請求項2】
前記第1折込部の中間部に位置する第1折曲線を、前記第1側壁部と糊代部との第2境界線の延長線上に位置するように設けるとともに、前記第2折込部の中間部に位置する第2折曲線を、前記閉塞壁部と第2側壁部との第3境界線の延長線上に位置するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙製品のコーナー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−29494(P2009−29494A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197605(P2007−197605)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】