説明

紙/板紙ウェブ塗布機

本発明は、その長手方向(W)が塗布されるべきウェブの横方向に延びるよう構成された紙/板紙ウェブ塗布機に関する。塗布機は、その長手方向(W)に延びる少なくとも1つの供給室(12)と、供給室(12)と流れ連絡するノズルスロット(30)とを有するノズルユニット(1)を含み、供給手段(4)によって、塗布色が供給室(12)内に運搬され、ノズルスロット(30)も塗布機の前記長手方向(W)に延び、塗布色は、ノズルスロット(30)の全長に亘って、供給室からノズルスロット(30)に供給され、さらに、ノズルスロット(30)の出口孔(31)から外に運搬される。少なくとも1つの供給室(12)と、それに接続されたノズルスロット(30)との間の流れ連絡は、供給室(12)の1つの壁に作成された供給孔(14,18)によって形成され、供給孔を通じて塗布色をノズルスロット(30)に運搬可能である。塗布色の量の横プロファイリングを達成するために、ノズルユニット(1)は、供給孔(14,18)の有効領域を調節し得る手段(15,16;19)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布機の長手方向が塗布されるべきウェブの横方向に延びるよう構成され、塗布機の長手方向に延びる少なくとも1つの供給室と、供給室と流れ連絡するノズルスロットとを有するノズルユニットを含み、供給手段によって、塗布色が供給室内に運搬され、ノズルスロットも塗布機の長手方向に延び、塗布色は、ノズルスロットの全長に亘って、供給室からノズルスロットに供給され、さらに、ノズルスロットの出口孔から外に運搬される紙/板紙ウェブの塗布機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目標は、紙/板紙の塗布色を散布することを目的とするカーテンコーティングに対する改良を提供することである。
【0003】
紙又は板紙ウェブを塗布するためにカーテン塗布を使用することが増大している。何故ならば、それはナイフ塗布/ロッド塗布よりも一層少ない力をウェブ上に及ぼし、その結果、塗布されるウェブの遮断に起因する中断をより少なくし、よって、運転性を向上するからである。カーテン塗布はナイフ塗布と同等の滑らかさを与えないが、得られる範囲はナイフ塗布によって得られる範囲よりも良好である。
【0004】
カーテン塗布機をスロット供給塗布機及びスライド供給塗布機に分割し得る。スライド供給カーテン塗布機では、塗布色はノズルユニットを用いて傾斜面に供給され、塗布色は傾斜平面に沿って平面の縁部に向かって流れることによって、カーテンが平面の縁部からの塗布色ドリップとして形成される。
【0005】
スロット供給塗布ビームでは、塗布色はマニフォルドを介して狭い垂直スロット内に注ぎ込まれ、カーテンはスロットのリップ上に形成され、ウェブ上に滴る。塗布色を1つ又はそれ以上の層に散布し得る。
【0006】
このようにして形成されるカーテンは、その名前によって指し示されるように、供給スロット/供給リップ上に位置する縁部ガイドによって案内される。
【0007】
現在の塗布色カーテン塗布に関連する問題は、塗布色供給チャネルの限定的なサイズ、及び、部分的にこの故に、流れスロットのサイズを制御する困難性である。異なる状況で塗布されるべきウェブ上に散布される塗布色の横方向プロファイルを制御することも、従来技術のカーテン塗布機において問題がある。通常、プロファイルを制御する手段はない。塗布ビームを設計するとき、全体的なプロファイルに影響を及ぼし得る供給チャネルの形状が決定される。塗布色の特性及び/又は供給容量が変化すると、これらは横方向プロファイルに対して明確な効果を有し、それは補正され得ない。製造の非精密もプロファイルに修正不能なまでに影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の1つの重要な目標は、塗布されるウェブの横方向(CD方向)においてノズルユニットの全長に亘る塗布色の均一な供給を可能にする改良されたカーテン塗布機を提供することであり、供給は異なる塗布色に対して調節可能であることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に従った塗布機は、少なくとも1つの供給室と、それに接続されたノズルスロットとの間の流れ連絡が、供給室の1つの壁に作成された供給孔によって形成され、供給孔を通じて、塗布色をノズルスロットに運搬可能であること、並びに、塗布色の量の横プロファイリングを達成するために、ノズルユニットは、供給孔の有効領域を調節し得る手段を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明のより一般的な目標は、多様な繊維状の又は他の液体又は塗布色を紙/板紙又はパルプ成形環境に散布するための散布装置を提供することである。
【0011】
添付の図面を参照して本発明を以下により詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、既知のスライド供給多層カーテン塗布機のノズルユニットの一般的構造を概略的に示している。ノズルユニットはノズル部3,3aから成り、供給室12と、等価室13と、厚い鋼板に機械加工されたノズルスロット30とをそれぞれ有する。最外側ノズル部の縁部33は供給リップを形成し、それによって、ノズルスロット30の出口孔31から放出され且つノズルユニットの上面に沿って流れる塗布色は、塗布色カーテンを形成し且つ縁部ガイド(図示せず)を用いてそれを案内するために、塗布色カーテンを塗布機の下方を走行する塗布されるべき紙/板紙ウェブの表面上に運搬される。形成された塗布色カーテンは、塗布されるべきウェブを横切って延びる。
【0013】
図2は、本発明に従って実現し得るスライド供給多層カーテン塗布機の塗布ビーム1を示している。塗布ビームは、支持構造を形成する支持体2上に位置するノズル部3,3a,32を含み、ノズル部は全体的にノズルユニットを形成し、図示の実施態様では、それは多層塗布を可能にする3つのノズルスロット30を有する。ノズル部3,32は支持体の頂部上に移動可能に配置されている。移動可能なノズル部3,32を移動するために、カーテン塗布機は、支持体2上に載置された固定支持体5を含み、固定支持体5の他の側面上には、最内側ノズル部32と固定支持体5との間に閉鎖管6があり、固定支持体5の反対側上には、開放管7があり、閉鎖管6を加圧することによって、ノズルユニットを閉鎖するために、移動可能なノズル部3,32を固定ノズル部3aの方向に移動し得るし、閉鎖管6から圧力を解放し且つ開放管7を加圧することによって、例えば、乾燥塗布色をノズルスロット及び/又はノズルの異なる室から除去するためにノズルユニットを開放するよう、移動可能なノズル部3,32を固定ノズル部3aから離れる方向に移動し得る。
【0014】
ノズルの一端には、供給される塗布色のための供給パイプ4が配置され、供給パイプは供給室内に開口している。供給される物質は供給室に沿って反対端に向かって走行し、バイパスがそこに選択的に配置されている。供給室内を進むとき、供給される物質は、供給室の長さに亘る各地点で等価室に移動し、そこからさらに、ノズルスロット30の全長手距離に亘って、ノズルスロット30に移動する。
【0015】
図3及び4は、本発明に従った1つのノズル部の解決策を示しており、供給室12と等価室13との間に供給孔14がある。目標はノズルから流出する物質のためのプロファイルを可能な限り均一に達成することであり、等価室13内にはプロファイリング部材15が配置され、プロファイリング部材は、供給孔14を含む等価室13の表面上に位置し、且つ、連続的な供給孔によって決定される長さに亘って延在する。所望量の塗布色を等価室内に供給するための個々の供給孔又は幾つかの供給孔の群の有効領域をその長手方向の異なる地点で変えるために、プロファイリング部材の横位置は調節可能である。調節手段16を用いてプロファイリング部材の横位置を変えることができ、調節手段の操作は自動化されるのが好ましく、運転期間中のプロファイリングは塗布される物体の横方向においても可能である。ノズル部の長手方向Wにおける調節手段間の相互距離は、例えば100〜600mmであり、好ましくは150〜300mmである。参照番号17は、供給室を取り囲む水空間を指し示している。プロファイリング部材は、調節なしの通常構造と同一の塗布色供給チャネルシステムを用いて、かなり大きな供給容積領域を制御することを可能にする。プロファイリング部材は、供給スロットの製造の精度も大幅に減少し、それによって、塗布色の特性及び流速に拘わらず正しくなるよう、横プロファイルを正確に調節し得る。プロファイリング部材を用いる解決策の追加的な利点は、等価室が二段階のものになることであり、それは供給孔に起因する如何なる条痕も極めて効率的に均一化する。構造は全ての供給スロット内で容易に実施され、よって、相互に無関係に、全ての層をプロファイル化し得る。異なる供給スロットに接続された調節手段16は、連続的な供給スロット内の異なる長手位置にあるのが好ましく、その場合には、それらは塗布色の全体的プロファイルに累積的たるみを引き起こさない。
【0016】
図5は、本発明に従った他のノズル部の解決策を示しており、供給室12内には、ノズル部の長手方向に相互に所定距離で供給孔18が形成され、供給孔2を通じて、塗布色は等価室13に運搬される。供給室12及び等価室13は、実質的にノズル部の全長に亘って延在している。図示の実施態様において、供給孔18は、供給室12と等価室13との間に角度を成し、図5に示される位置において、水平方向に供給室内に開口し、垂直方向に等価室13内に開口している。加えて、各供給孔18内には、ノズル部の外側に開放したボア19aが形成され、ボアは供給孔18の垂直部と接続している。ボア19a内には、長手方向に移動可能な調節ピン19が配置され、供給孔18内に延びるその内側端部は斜角とされるのが好ましい。調節ピンの外側端部25には、調節ナット21が配置され、それを回転することによって、供給孔18の有効断面領域を変えるために、調節ピン19をその長手方向に移動し得る。調節ピンと関連して、調節板20が配置され、その場合には、調節板を除去することによって、供給容積を減少するために、低減供給孔の有効断面領域の基本設定を変え得る。調節ピン19はガスケット22を用いてボア19a内に封止される。供給孔の有効断面領域を変えることによって所望の横プロファイリングを達成するために、ノズル部の長手方向における供給孔18間の相互距離は、例えば100〜600mmであり、好ましくは150〜300mmである。調節ピンの操作は自動化されるのが好ましく、よって、運転期間中のプロファイリングは塗布される物体の横方向においても可能である。参照番号24は、ノズル部の組立ネジの取付レベルを指し示している。組立ネジは、所要のガスケット手段を備える水空間17を横断する連続的ボア19aの間に延在している。
【0017】
本発明に従った解決策を単層又は多層塗布機として実現可能であり、ノズルスロット30の数は、例えば、1〜24であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術に従った多層カーテン塗布機のノズルユニットを示す概略図である。
【図2】本発明に従って実現し得るスライド供給カーテン塗布機のノズルユニットを概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に従ったカーテン塗布機内のノズル部の実施態様を概略的に示す断面図であり、ノズル部は供給室及びノズルスロットを含む。
【図4】図3に従ったノズル部を示す斜視図である。
【図5】図2に従ったカーテン塗布機のノズルユニットのノズル部の他の実施態様を概略的に示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該塗布機の長手方向が塗布されるべきウェブの横方向に延びるよう構成され、
当該塗布機の前記長手方向に延びる少なくとも1つの供給室と、該供給室と流れ連絡するノズルスロットとを有するノズルユニットを含み、
供給手段によって、塗布色が前記供給室内に運搬され、
前記ノズルスロットも当該塗布機の前記長手方向に延び、
前記塗布色は、前記ノズルスロットの全長に亘って、前記供給室から前記ノズルスロットに供給され、さらに、前記ノズルスロットの出口孔から外に運搬される、
紙/板紙ウェブの塗布機であって、
前記少なくとも1つの供給室と、前記供給室に接続された前記ノズルスロットとの間の前記流れ連絡は、前記供給室の1つの壁に作成された供給孔によって形成され、該供給孔を通じて、前記塗布色を前記ノズルスロットに運搬可能であること、並びに、前記塗布色の量の横プロファイリングを達成するために、前記ノズルユニットは、前記供給孔の有効領域を調節し得る手段を有することを特徴とする塗布機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの供給室と、該供給室に接続された前記ノズルスロットとの間に、当該塗布機の前記長手方向に延びる少なくとも1つの等価室があり、該等価室内に前記供給孔が開口していること、並びに、前記供給孔の領域のための調節手段として、プロファイリング部材が前記等価室内に配置され、前記プロファイリング部材は、前記供給孔を含む前記等価室の表面上に位置し、且つ、連続的な前記供給孔によって決定される長さに亘って延在し、前記プロファイリング部材は、所望量の塗布色を前記等価室内に供給するための個々の供給孔又は幾つかの供給孔の群の前記有効領域を前記長手方向の異なる位置で変えるために、調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の塗布機。
【請求項3】
前記プロファイリング部材の前記調節手段は、前記ノズルユニットの外面から前記等価室に延びる調節ボルトであり、前記供給孔を所望の程度にカバーし或いはカバー解除すために、該調節ボルトを用いて、前記プロファイリング部材をその長手方向に対して直交する方向に偏位し得ることを特徴とする、請求項2に記載の塗布機。
【請求項4】
前記供給孔の領域のための調節手段として、各供給孔にそれぞれ接続された調節ピンがあり、該調節ピンは、各供給孔の前記有効領域を所望に変えるために、その長手方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の塗布機。
【請求項5】
前記供給孔は、前記ノズル部の外側に開口するボアによって形成され、前記調節ピンは、前記ボア内に移動可能に位置し、その有効断面領域を変えるために、その一端で前記供給孔内に延びていることを特徴とする、請求項2に記載の塗布機。
【請求項6】
前記供給孔内の前記調節ピンの前記端部は斜角にされていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の塗布機。
【請求項7】
2つ又はそれ以上の供給スロットを備える多層塗布機とされていることを特徴とする、上記請求項のうちいずれか1項に記載の塗布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−504942(P2007−504942A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525849(P2006−525849)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/FI2004/050122
【国際公開番号】WO2005/024132
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501249157)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】