説明

紫外線処理装置、紫外線処理方法、及びこれらを用いた液晶パネルの製造方法

【課題】装置の大型化、複雑化を生ずることなく、高い処理効率を維持したまま紫外線処理を行うことが可能な紫外線処理装置を得ることができる。
【解決手段】搬送される基板1に順次紫外線3を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理装置において、紫外線3を照射する紫外線照射ユニット4、紫外線照射ユニット4を回転し、紫外線3が基板1に向かう方向となる第一の定位置と、反対方向となる第二の定位置の何れかに移動する回転機構5、及び発生するエラー信号の有無をモニタする検知機能と前記のエラー信号が出た時点で紫外線照射ユニット4を第二の定位置に移動し、消えた時点で第一の定位置に移動する様に回転機構5を制御する制御機能を有する退避動作制御部6を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線処理装置、紫外線処理方法、及び液晶パネルの製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線を照射する紫外線処理は、表面処理として、表面の有機汚染の除去、酸化及び親水化の効果を持ち、更に、樹脂中の有機物に作用し、樹脂の硬化や脱色の効果を持つことから、前処理や樹脂の硬化処理や脱色処理など様々な用途に用いられている。特に液晶パネルの製造においては、表面処理や樹脂に対し処理する工程が多く、紫外線処理が幾つかの製造工程に使用される。また、これら紫外線処理においては、幾つかの連続する工程の途中における一工程の処理として用いられることが多い。
【0003】
この様に連続する工程で処理が行われることから、この紫外線処理を行う装置自体における搬送などの不具合発生時はもとより、連続する下流側装置での不具合発生時においても、紫外線処理途中の処理物(以下ワークと呼ぶ)が紫外線処理装置内で停止してしまう場合が発生する。この様にワークが装置内に停止した場合、紫外線が所望の処理時間を越えてワークに対して照射されることになる。また、紫外線が有効に照射される領域に対して大きなワークを順次移動させながらワークの全面に対して均一な処理を行う場合には、特定の部分のみ所望の処理時間を越えてしまうことになる。殆どの紫外線処理においては、所望の照射時間を大幅に超えると何らかの不具合を発生する場合が多い。特に、移動により全面に均一な処理を行おうとする場合には、均一な処理が行われないことによりムラなどの不具合を発生し易い。
【0004】
この様な紫外線処理中のワークの装置内停止による不具合に関し、その対策として、ワークの装置内停止時においては紫外線ランプを消灯することが考えられるが、紫外線ランプの点灯と消灯を頻繁に行うとランプ寿命が短くなる。また、消灯された紫外線ランプを再点灯した場合にはランプ照度の安定化に数分の時間を要する為、処理の再開に時間が掛かることから生産性の低下が大きい。
【0005】
また、紫外線ランプを消灯することなく、ワークへのダメージを避ける方法として、エラー発生時において、装置内に残存するワークの方をバッファ部分に退避させる方法が特許文献1に記載されており、照射ユニット自体を退避させる方法が特許文献2に記載されている。
【0006】
更に、紫外線ランプが収納された空間とワーク間に紫外線ランプが収納された空間を閉じるシャッター機構を持ち、エラーなどによるワークの装置内停止時において、シャッターが閉じることにより、紫外線ランプからの紫外線を紫外線ランプが収納された空間に閉じ込めることによりワークに照射されない様にし、更にその紫外線ランプが収納されたシャッターにより閉じられた空間の温度上昇を防ぐために冷却を行う方法が特許文献3に記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−33540号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−114580号公報(第7−8頁、第3図)
【特許文献3】実願2006−4355号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然しながら、特許文献1、2の方法ではワーク或いは照射ユニットを退避させるスペースが必要となり、退避動作が大掛かりなので退避位置までの退避時間及び退避位置からの復帰時間が掛かり生産性に問題が生じる。また装置自体が大型化するという問題も生じる。また、特許文献3の様に紫外線ランプが収納された空間をシャッターにより閉じる方法では、生産性への影響は少ないものの、紫外線ランプが収納された空間の温度上昇による不具合が懸念され、新たに冷却機構が必要となるなど、装置の大型化や複雑化が発生する。
【0009】
本発明は、以上説明のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、生産性の低下や、装置の大型化或いは複雑化を生ずることなく、ワークが装置内停止することによる不具合の発生を避けることのできる紫外線処理装置、紫外線照射方法、及び液晶パネルの製造方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の紫外線処理装置においては、上流側装置から搬送されるワークに順次紫外線を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理装置であって、一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニット、この紫外線照射ユニットを回転し、前記紫外線照射ユニットより照射される紫外線の方向が、前記ワークに向かう方向となる第一の定位置と前記ワークに向かう方向と反対方向となる第二の定位置の何れかの定位置に移動する回転機構、及びこの紫外線処理装置或いは前記下流側装置で発生するエラー信号の有無をモニタする検知機能と前記のエラー信号が出た時点で前記紫外線照射ユニットを前記第二の定位置に移動する様に、このエラー信号が消えた時点で前記第一の定位置に移動する様に、前記回転機構を制御する制御機能を有する退避動作制御部を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紫外線処理装置を使用することによって、装置の大型化、複雑化を生ずることなく、高い処理効率を維持したまま紫外線処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
本発明を適用した実施の形態1の紫外線処理装置の構成について図1及び図2を用いて説明する。ここで、図1は製造ラインの途中で用いられるインライン方式の紫外線処理装置と下流側装置を示した説明図、図2は紫外線処理装置を構成する紫外線照射ユニットを示した説明図である。なお、図は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。以下の図においても同様とする。
【0013】
図1に示される様に、この紫外線処理装置100は、上流側装置(図中左側に配置されるが図示省略)から搬送されるワークである基板1を搬送するとともに順次基板1を移動しながら紫外線処理を行う搬送ローラ2、搬送ローラ2上に配置され紫外線3を一定方向へ照射する紫外線照射ユニット4、紫外線照射ユニット4を回転動作する回転機構5、下流側装置或いはこの紫外線照射装置でのエラー発生時において、紫外線照射ユニット4の退避動作を制御する退避動作制御部6を備えている。更に、本実施の形態1の紫外線処理装置100には、紫外線光や、紫外線3により発生するオゾンガスなどが装置外部へ影響することを防止する為に、紫外線ユニット4と基板1の処理される処理部などを囲む筐体7や、筐体7内の基板1とは反対側となる紫外線照射ユニット4の上面側に配置され、紫外線を吸収する紫外線吸収材8が設けられている。
【0014】
続いて、図2を用いて紫外線照射ユニット4、回転機構5、及び退避動作制御部6について詳細に説明する。紫外線照射ユニット4は、紫外線ランプ4a、紫外線ランプ4aから発する紫外線3を反射して一定方向に誘導する反射板4b、紫外線ランプ4aを保持し電気を供給するランプ接続部を備え、反射板4bを保持するランプ筐体(ランプ接続部及びランプ筐体は図示省略)などより構成されており、紫外線照射ユニット4より一定方向に紫外線3は照射される。なお、ここでいう一定方向とは、180度未満の角度の幅を持ち、一定の範囲に紫外線が照射される方向を示すものとする。また、回転機構5は、詳細な構成の図示は省略するが、紫外線照射ユニット4の筐体を回転可能に保持する保持機構と、紫外線照射ユニット4を回転動作するモータ、モータを駆動し、紫外線照射ユニット4を所定の位置に移動するモータドライバなどより構成されており、紫外線照射ユニット4より照射される紫外線3の方向が、図2(a)に示す様に紫外線処理される基板1に向かう方向となる第一の定位置(処理定位置)と、図2(b)に示す様に基板1に向かう方向と反対方向となる第二の定位置(退避定位置)の何れかの定位置に移動することができる。更に、退避動作制御部6は、外部から入力されるエラー信号の有無をモニタする検知機能と、回転機構5を制御し、エラー信号が出た時点では、紫外線照射ユニット4を図2(a)に示す処理定位置より図2(b)に示す退避定位置に図中矢印の様に回転移動し、エラー信号が消えた時点では、逆に、紫外線照射ユニット4を退避定位置より処理定位置に図中矢印の様に回転移動する制御機能を有している。具体的には図2(a)及び図2(b)に示す様に退避動作制御部6と回転機構5との間には信号線が接続されており、回転機構5へ制御信号を送ることにより制御する。また、回転動作について、回転動作の中心は、少なくとも紫外線ランプ4aと反射板4bの間の点が望ましく、紫外線照射ユニット4の中心(紫外線ランプ4aの長手方向に垂直な断面での外形の重心位置に該当する。)に一致させることが空間の利用効率が良く装置サイズを最もコンパクトにできる点から最適である。
【0015】
続いて、この紫外線処理装置100で処理された基板1を順次処理する下流側に配置される下流側装置について説明を行うが、ここでは下流側装置として洗浄処理装置110のみが配置される場合について説明する。図1中に示される様に、この洗浄処理装置110には、洗浄処理装置110の搬送ローラ2と連続して配置され、紫外線処理装置100から搬送される基板1を搬送するとともに、順次基板1を移動しながら洗浄処理を行う搬送ローラ2a、搬送ローラ2a上に配置され、洗浄処理を行う洗浄ユニット9を備えている。洗浄ユニット9としては、ここでは、洗浄液3aを基板1へ向けて吐出するリンス方式を用いた。この洗浄ユニット9には、更に洗浄液3aに超音波を載せて洗浄効果を上げる超音波発振機構や、洗浄液3aを高圧で供給する高圧供給源を備えても良い。洗浄液3aとしては純水でも良いし、酸やアルカリなど、洗浄用途に応じて多様な洗浄液を用いることができる。また、リンス方式を用いない洗浄ユニットとして、ブラシ洗浄方式などを併用しても良い。
【0016】
更に、図1中に示される様に、上記説明した紫外線処理装置100及び洗浄処理装置110には、装置の全体動作を制御する紫外線処理装置には装置制御部10、洗浄処理装置110には装置制御部11を其々備えている。装置制御部10及び装置制御部11は、其々、紫外線処理装置100及び洗浄処理装置110の処理動作を制御するのみでなく、装置の処理動作の不具合をモニタし、処理を中断する必要がある不具合を発生した場合にはエラー信号を発生する。エラー信号を発する場合としては、基板1の搬送トラブルや、紫外線処理装置100については、紫外線ランプ4aの消灯や温度上昇など、洗浄処理装置110については、洗浄液3aの流量や圧力の異常など、所望の処理ができなくなる様な異常を検知した場合にエラー信号を発するのが望ましく、これらについてモニタする検知器やセンサなどを適宜配置し、装置制御部10及び装置制御部11に接続する。
【0017】
更に、これら装置制御部10及び装置制御部11で発生するエラー信号を外部に出力する様にし、紫外線処理装置100に設けられた退避動作制御部6に入力される様に接続される。退避動作制御部6は、装置制御部10及び装置制御部11で発生するエラー信号をもとにして、図2を用いて説明したとおり、回転機構5を制御して、紫外線照射ユニット4の退避定位置への移動及び処理定位置への移動を行う。その結果、所望の紫外線処理ができなくなった場合には、直ちに、基板1への紫外線照射を中断することができる。
【0018】
また、エラー信号を発する場合として、基板1の搬送トラブルを検知した場合とすることを説明したが、特に紫外線処理装置100内においては、所望の移動速度の範囲で基板が搬送されながら紫外線処理が行われることが、基板内でムラ無く均一な紫外線処理が行われる為に必要である。従って、通常の搬送停止などをモニタするだけでは十分ではなく、紫外線処理時の基板移動速度の変動について直接モニタすることが好ましい。本実施の形態1においては、基板移動速度をモニタする基板移動速度モニタ12を備えて基板1の移動速度自体をモニタし、基板1の移動速度が所定の移動速度より低下する異常を検知した場合には、装置制御部10においてエラー信号を発生する様にした。この基板移動速度をモニタする方法は、紫外線処理装置100及び洗浄処理装置110で発生する他の異常時における停止時においても基板1の搬送が停止することから、同様に基板移動速度の異常として検知することができる。従って、この基板移動速度をモニタする方法を用いた場合には、上記説明した紫外線処理装置100及び洗浄処理装置110で発生する他の異常(紫外線ランプなどで発生する直接的に紫外線処理の不具合に繋がる異常は除く。)をモニタする退避動作制御部6の検知機能は省略することができる。
【0019】
続いて、本実施の形態1における紫外線処理装置100の動作について説明する。上流側装置より基板1が搬送されると、基板1は、紫外線処理装置100内において、搬送ローラ2により停滞なく一定速度で移動されながら搬送ローラ2上に配置される紫外線照射ユニット4により紫外線3が一定方向に照射され紫外線処理が行われる。この様に一定速度で移動しながら紫外線処理が行われることから、基板1の面内で均一な処理が行われる。この様な紫外線処理工程の途中においては、この紫外線処理装置100或いは下流側に配置され連続的に処理を行う下流側装置である洗浄処理装置110で発生する処理の異常によるエラー信号の有無を退避動作制御部6によりモニタし、エラー信号が発生した場合には、エラー信号を検知した退避動作制御部6が回転機構5を制御することにより紫外照射ユニット4を回転動作し退避定位置に移動する処理監視工程が行われる。更に、本実施の形態1においては、基板移動速度をモニタし、移動速度が所定の移動速度より低下した場合に紫外線照射ユニット4を退避定位置に移動させる処理監視工程も備えている。また、エラー信号が消えた場合には、退避定位置より処理定位置に移動する。また、搬送ローラ2及び搬送ローラ2aの動作もエラー信号に連動させる。装置制御部10及び装置制御部11はエラー信号を発生すると同時に搬送ローラ2及び搬送ローラ2aの動作を停止する。また、エラー信号が消えた場合には、搬送ローラ2及び搬送ローラ2aの動作を再開する。
【0020】
続いて、本実施の形態1の紫外線処理装置100による作用について説明する。上記説明の様に、紫外線処理装置100或いは下流側装置において装置異常が発生した場合、或いは直接的に紫外線処理装置100における基板移動速度の異常が発生した場合など、所望の紫外線処理が行えなくなる可能性のある場合に、紫外線ランプ4aを消灯することなく、一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニット4を紫外線3が基板1に照射されない方向へ回転し退避定位置に移動することにより、直ちに基板1への紫外線照射を中断することができる。また、処理再開時においても、紫外線ランプ4aを消灯していないことから、再点灯によるランプ照度を安定化させる待ち時間も不要であり、回転動作により紫外線照射ユニット4を処理定位置に瞬時に移動し、直ちに基板1の紫外線処理を再開することができる。迅速に処理を再開できることから、装置の停止ロスを少なくできる。また、この様に紫外線処理の中断動作が紫外線照射ユニット4の回転動作のみであることから、動作が速くランプの退避時及び復帰時に時間が殆どかからないことから、処理基板へのダメージが少なく、更に紫外線照射の中断と基板1の搬送停止を連動させることにより、処理の中断の前後で均一な紫外線処理を行うことができる。更に紫外線処理停止時において、筐体内でランプユニットが回転動作するのみであり、ランプが収容されている筐体の容積は変わらず筐体内部での熱収支に変動が無いことから筐体内の温度上昇は発生しない。従って、装置や処理基板に熱によるダメージを与えることも無い。
【0021】
続いて、図1を用い説明した紫外線照射ユニット4の上面側に設けられた紫外線3を吸収する紫外線吸収材8の作用について図3を用い説明する。図3(a)に示す様に紫外線照射ユニット4が退避定位置にある場合、照射される紫外線3の方向が基板1に向かう方向と反対方向となることから、基板1に紫外線3の直接光が照射されることは無くなる。しかし、図中の点線矢印で示す様に装置の筐体7などにより反射された紫外線3の間接光が基板1に微量ながら照射されることが懸念される。この様な反射による間接光は微量ではあるが、長時間装置が停止した場合には基板1への累積する照射量が増加して基板1にダメージが発生する場合がある。本実施の形態1においては、図3(b)に示す様に紫外線照射ユニット4の上面側、即ち紫外線照射ユニット4が退避定位置にある場合の紫外線照射方向に紫外線吸収材6を配置することで、装置の筐体7などの方向へ向かう紫外線3を吸収し強度を減衰することができる。その結果、この様な退避定位置にある場合における間接光による影響について無視できる程度まで低減することができる。紫外線吸収材6としては、溶融ガラスや石英などからなるガラス板を用いることができる。ガラス板は、近接して紫外線が照射されても、比較的、熱や紫外線に対して変化を受け難いなど、耐久性に優れ、空気に比べて紫外線吸収効率も優れており、紫外線吸収材6として好ましい。所望の紫外線吸収特性を得る為には、板厚を調整すれば良く、複数枚のガラス板を重ねて用いても良い。更に、これらガラス板には、表面に樹脂(樹脂中に微細な酸化物などの粒子を分散させたものが、より好ましい。)などをコーティングしたものを利用しても良い。
【0022】
以上の様に、本実施の形態1の紫外線処理装置を使用することによって、紫外線処理装置或いは下流側装置で処理の不具合により装置が停止した場合にもワークにダメージを与えることなく迅速に紫外線処理を中断でき、不具合の解消時にも迅速に所望の処理を再開することができることから、中断による時間ロスを最小限とすることができる。また、中断による紫外線の局所的照射ムラも発生せず処理の歩留りを低下しない。また、大掛かりな紫外線照射部の退避機構、或いは基板の退避機構などを設けることなく紫外線処理の中断を行うことができる。その結果、装置サイズとしては、紫外線吸収材6を配置した場合には装置の上方向に若干増えることがあるが、クリーンルーム内における装置スペースとして問題となる横方向の占有面積を増加することが無い。従って、装置の大型化、複雑化を生ずることなく、必要以上の処理時間の超過や処理による不良品の発生などを防止し、高い効率を維持したままワークの処理を行うことができる。また、不良品となるワークを削減できることから、原材料費の削減につながる。更に不良品の代替品を再度作りなおす無用な処理の削減や、処理効率の向上を実現できることから処理時間の削減によるエネルギー消費の削減につながる。
【0023】
更に、本実施の形態1の紫外線処理装置においては、基板1を移動しながら紫外線3を一定方向に照射して均一な紫外線処理を行う方式で、基板1の移動速度をモニタし、この移動速度が所定の移動速度より低下した場合に基板1の移動を停止すると同時に紫外線照射ユニット4を退避定位置に移動させる処理監視工程を備えていることから、処理中において停止した基板1においても基板1内の其々の位置で均一な紫外線処理を行うことができ、紫外線3の極所的照射ムラによる問題点は発生しない。また、紫外線処理の異常を直接監視することができることから、他の処理監視工程は必ずしも必要では無くなり、紫外線処理装置100及び洗浄処理装置110で発生する他の異常をモニタする退避動作制御部6の検知機能を適宜省略して装置構成を簡略化することも可能である。
【0024】
本実施の形態1においては、下流側装置として洗浄処理装置110のみが配置される場合を一例として説明したが、その他の処理装置でも良く、更に下流側に処理装置が配置されていても良い。この様に複数の下流側装置が配置される場合においては、下流側に配置される処理装置の全てについて、処理停止により紫外線処理装置100の処理のタクトよりも遅くなる可能性が出た場合にエラー信号を発する様にしておき、本実施の形態1における洗浄装置110で発生するエラー信号の場合と同様に、それら処理装置で発生する全てのエラー信号が紫外線処理装置100に入力される様に接続するのが望ましい。そして、それら処理装置のエラー信号の有無をモニタし、このエラー信号をもとにして紫外線照射ユニット4の退避定位置への移動及び処理定位置への移動を行う処理監視工程を行うことが望ましい。但し、この様に複数の下流側装置が配置される場合においても、上記説明を行った本実施の形態1の場合と同様に、紫外線処理装置100における基板移動速度をモニタする方法を用いた場合には、これら処理装置でのエラー信号の有無をモニタする処理監視工程は省略することができる。この様な変形例においても、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0025】
また、本実施の形態1においては、紫外線処理装置100と洗浄処理装置110を、其々別の装置として扱って説明を行ったが、一般的な洗浄処理装置において、本実施の形態1の様に紫外線処理装置100と洗浄処理装置110が搬送ローラで接続され、其々紫外線処理ユニットと洗浄処理ユニットとし、まとめて一台の洗浄処理装置として扱われていることも多い。然しながら、この様な装置においても、実質的に其々のユニットは独立した処理を行う装置とみなした本実施の形態1の構成と同じであることから、本発明の適用範囲はこの様な紫外線処理機能を持つ一台の洗浄処理装置にも及ぶものとする。更に、紫外線処理装置100と下流側装置である洗浄処理装置110間の搬送手段として、連続して配置される搬送ローラにより行われる場合を例として説明を行ったが、これに限られず一旦搬送カセット内に収納し搬送カセットを運ぶ搬送ローラや搬送車などにより搬送しても良いし、搬送ロボットなどによる受け渡しを適宜用いても良い。この様な変形例においても実施の形態1と同様の効果を有する。
【0026】
更に、本実施の形態1においては、基板移動速度モニタ12や検知器、センサなどにより検知される処理異常を装置制御部10がモニタしてエラー信号を発生する様にした。しかし、この様な構成には限られず、例えば処理異常を検知するこれらの基板移動速度モニタ12や検知器、センサなどにエラー信号発生機能を持たせ、装置制御部10を介さず退避動作制御部6に直接エラー信号を出す様にしても良い。また、退避動作制御部6が装置制御部10と独立した構成としたが、装置制御部10が退避動作制御部6の機能も兼ねる様にしても良い。この様な変形例においても実施の形態1と同様の効果を有する。
【0027】
また、以上説明を行った実施の形態1及び変形例においては、紫外線処理されるワークとしての一例として、基板を用いて説明したが、この様に装置内に収まり処理できるものに限られず、連続する紙などの装置サイズよりも長いシート状部材よりなるワークであっても良い。実施の形態1での基板と同様に搬送ローラで移動しながら紫外線処理を行うことができ、実施の形態1と同様の効果を有する。特に、この様な装置サイズよりも長いシート状部材を処理する場合においては、紫外線処理の中断時にワークの方を紫外線の照射位置より退避することは容易でないことから本発明は好適に作用する。
【0028】
実施の形態2.
上記説明した実施の形態1においては、処理基板を順次移動しながら紫外線処理を行う方式の紫外線処理装置に本発明を適用した場合を例として説明した。続いて、処理基板を装置内の所定位置に保持した状態で所定時間の紫外線処理を行う方式の紫外線処理装置に対し本発明を適用した適用例である実施の形態2について説明する。本実施の形態2においては、実施の形態1より基板の搬送に関する搬送機構、処理中の基板の保持に関する保持機構、処理の異常時に紫外線照射を中断する処理監視工程を行う処理監視機構などが一部変更されている。以下、実施の形態1との変更部を重点的に説明し、実施の形態1と同じ構成については適宜説明を省略する。
【0029】
先ず、本実施の形態2の紫外線処理装置の構成について、図4の本実施の形態2の紫外線処理装置を示した説明図を参照して説明する。図4に示される様に、本実施の形態2の紫外線処理装置120は、上流側装置(図中左側に配置されるが図示省略)から搬送されるワークである基板1を載せて装置外と装置内の間を搬送し、装置内の所定位置に基板1を保持しながら紫外線処理を行うステージ13、前記の基板1が保持される所定位置上に配置され紫外線3を一定方向へ照射する紫外線照射ユニット4、紫外線照射ユニット4を回転動作する回転機構5、下流側装置或いはこの紫外線照射装置でのエラー発生時において、紫外線照射ユニット4の退避動作を制御する退避動作制御部6を備えている。紫外線照射ユニット4、回転機構5、及び退避動作制御部6については実施の形態1と同様の構成と機能を持つものであることから詳細な説明は省略する。更に、実施の形態1と同様に、紫外線ユニット4と基板1の処理される処理部などを囲む筐体7や、筐体7内の紫外線照射ユニット4の上面側に配置される紫外線吸収材8が設けられている。
【0030】
続いて、この紫外線処理装置120で処理された基板1を順次処理する下流側に配置される下流側装置、及び下流側装置への基板1の搬送手段について説明を行う。ここでは、図示を省略するが、実施の形態1或いは変形例において説明したものと同様に下流側装置が配置される。下流側装置としては、実施の形態1で説明した様に洗浄処理装置のみが配置されるものであっても良いし、本実施の形態1の変形例として例示した様な処理装置でも良い。更にこれらの下流側装置においても、実施の形態1と同様に下流側に配置される処理装置の全てについて、不具合などの発生による処理停止により紫外線処理装置120の処理のタクトよりも遅くなる可能性が出た場合にエラー信号を発する様に異常をモニタする検知機能を配置しておき、それら処理装置で発生する全てのエラー信号が紫外線処理装置120の退避動作制御部6に入力される様に接続するのが望ましい。また、紫外線処理が完了したステージ13上の基板1の下流側装置への搬送は、ステージ13上の基板1を受け取るアームなどを備えた搬送ロボットを配置しても良いし、ステージ13の内部に紫外線処理時には格納され、搬出時にはステージ13表面に突出してステージ上より基板1を搬送する搬送ローラを配置する様にしても良い。この様に紫外線処理装置120より外部に搬送された基板1について、装置間を結ぶ搬送手段、例えば搬送ローラにより下流側装置に搬送する。紫外線処理装置120と下流側装置の装置間を結ぶ搬送手段としては、他に、一旦搬送カセット内に収納し搬送カセットを運ぶ搬送ローラや搬送車などにより搬送しても良いし、搬送ロボットなどによる受け渡しを適宜用いても良い。
【0031】
また、エラー信号を発する場合として、下流側装置での不具合発生による処理停止時とすることを説明したが、特に紫外線処理装置120内においては、所望の処理時間内に紫外線処理が完了し、装置内の所定位置より装置外に搬出されることがダメージなどの発生の無い適切な紫外線処理が行われる為に必要である。従って、通常の搬送停止などをモニタするだけでは十分ではなく、紫外線処理時に装置内の所定位置に基板が保持される保持時間について直接モニタすることが好ましい。本実施の形態2においては、基板保持時間をモニタする基板保持時間モニタ14を備えて基板1の保持時間自体をモニタし、基板1の保持時間が所定の保持時間を超過する異常を検知した場合には、装置制御部10においてエラー信号を発生する様にした。この基板保持時間をモニタする方法は、紫外線処理装置120及び下流側装置で発生する他の異常時における停止時においても基板1は保持されたままとなることから、同様に基板保持時間の異常として検知することができる。従って、この基板保持時間をモニタする方法を用いた場合には、上記説明した紫外線処理装置120及び下流側装置で発生する他の異常(紫外線ランプなどで発生する直接的に紫外線処理の不具合に繋がる異常は除く。)をモニタする検知機能は省略することができる。
【0032】
続いて、本実施の形態2における紫外線処理装置120の動作について説明する。上流側装置より基板1が搬送されると、基板1はステージ13の上に載せられ、紫外線処理装置120内に搬送され、紫外線処理装置120内の所定位置に保持されながら基板1が保持される所定位置上に配置される紫外線照射ユニット4により紫外線3が一定方向に照射され紫外線処理が行われる。この様な紫外線処理工程の途中においては、この紫外線処理装置120或いは下流側に配置され連続的に処理を行う下流側装置で発生する処理の異常によるエラー信号の有無を退避動作制御部6によりモニタし、エラー信号が発生した場合には、エラー信号を検知した退避動作制御部6が回転機構5を制御することにより紫外線照射ユニット4を回転動作し退避定位置に移動する処理監視工程が行われる。更に、本実施の形態2においては、基板保持時間をモニタし、保持時間が所定の保持時間を超過する場合には紫外線照射ユニット4を退避定位置に移動させる処理監視工程も備えている。また、エラー信号が消えた場合には、紫外線照射ユニット4を退避定位置より処理定位置に移動する。
【0033】
以上の様に、本実施の形態2の紫外線処理装置を使用することによって、実施の形態1の紫外線処理装置と同様に、紫外線処理装置或いは下流側装置で処理の不具合により装置が停止した場合にもワークにダメージを与えることなく迅速に紫外線処理を中断でき、不具合の解消時にも迅速に所望の処理を再開することができることから、中断による時間ロスを最小限とすることができる。また、迅速に紫外線処理を中断することができることから、処理時間の超過による紫外線によるワークへのダメージも発生せず処理の歩留りを低下しない。また、大掛かりな紫外線照射部の退避機構、或いは基板の退避機構などを設けることなく紫外線処理の中断を行うことができ。その結果、装置サイズとしては、紫外線吸収材6を配置した場合には装置の上方向に若干増えることがあるが、クリーンルーム内における装置スペースとして問題となる横方向の占有面積を増加することが無い。従って、装置の大型化、複雑化を生ずることなく、必要以上の処理時間の超過や処理による不良品の発生などを防止し、高い効率を維持したままワークの処理を行うことができる。また、不良品となるワークを削減できることから、原材料費の削減につながる。更に不良品の代替品を再度作りなおす無用な処理の削減や、処理効率の向上を実現できることから処理時間の削減によるエネルギー消費の削減につながる。
【0034】
更に、本実施の形態2の紫外線処理装置においては、基板1を装置内の所定位置に保持した状態で所定時間の紫外線処理を行う方式で、基板1の所定位置における保持時間をモニタし、この保持時間が紫外線処理を行う所定時間を超過する場合に紫外線照射ユニット4を退避定位置に移動させる処理監視工程を備えていることから、下流側装置などが不具合により停止した場合にも、即座に紫外線処理を中断することなく所定時間の紫外線処理を継続した上で、所定時間を超えて紫外線処理が行われることによるダメージが発生する可能性が出る場合にのみ、紫外線照射ユニットの退避動作による紫外線照射の中断が行われることから、紫外線処理の中断時間を最小限とすることができる。また、紫外線処理の異常を直接監視することができることから、他の処理監視工程は必ずしも必要では無くなり、紫外線処理装置120及び下流側装置で発生する他の異常をモニタする退避動作制御部6の検知機能を適宜省略して装置構成を簡略化することも可能である。
【0035】
また、以上説明を行った実施の形態1及び実施の形態2においては、図3(a)を用い説明した様に装置上面に紫外線吸収材6を配置することにより、装置の筐体7などにより反射された紫外線3の間接光による影響を低減した。間接光による影響を防ぐ別の方法として、以下に説明する変形例がある。図5は、この変形例における紫外線照射ユニット4が退避定位置にある状態を示すもので、この変形例においては、図に示す様に紫外線照射ユニット4が退避定位置にある場合において、紫外線3の照射される方向に紫外線照射ユニット4から少なくとも20cm以上の距離をおいて、即ち紫外線照射ユニット4から装置上面の筐体7までの間隔Dが少なくとも20cm以上となるように筐体7が配置される。これによって、間接光の光程を長くして空気により紫外線を吸収、減衰させることができる。例えば、一般的な紫外線処理装置に用いられる低圧水銀ランプより照射される185nmの波長を持つ紫外線は空気中で1cmあたり10%程度減衰する。従って、紫外線ランプ4aより距離xcm離れた位置での紫外線強度は初期紫外線強度に0.9のx乗を掛けた程度に見積ることができる。例えば、距離40cmを少し超えた時点では初期紫外線強度の1パーセント未満に減衰する。装置筐体7と反射して戻ってくる間接光の光程としては紫外線ランプ4aと装置筐体7との距離の二倍となることから、反射時の減衰も考慮すると距離20cm程度に筐体7との間隔を設定することにより間接光の影響を少なくとも1パーセント未満と無視できる程度に少なくすることができる。その他の紫外線ランプ、例えば172nmの波長を持つエキシマ紫外線ランプを用いた場合にも、低圧水銀ランプよりも更に空気中の減衰率は大きいことから、この距離20cm程度の設定で間接光は全く問題とならない。また、この様に装置上面と間隔を空けた場合においては、装置上面の筐体7は紫外線吸収材或いは遮光性部材より構成されることが望ましい。これにより、紫外線照射ユニット4が退避されて装置の上面側に紫外線3が照射される場合にも、不必要に紫外線3が装置外に漏れることを防止できる。この様な変形例においても、実施の形態1と同様の効果を有する。また、この変形例は実施の形態1を変更したものであるが、実施の形態2に対して同様の変形を適用しても良く同様の効果を有する。
【0036】
実施の形態3.
続いて、本発明を適用した実施の形態3の液晶パネルの製造方法により製造される液晶パネルの構成について、図6を用いて説明する。なお、ここでは一例としてTFT(hin ilm ransistor)方式の液晶パネルについて説明する。この液晶パネル200は、図に示される様にスイッチング素子基板210、カラーフィルタ基板220、及びスイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220との間に充填された液晶230から構成されている。
【0037】
上述のスイッチング素子基板210はガラス基板211の一方の面に液晶230を配向させる配向膜212、配向膜212の下部に設けられ液晶230を駆動する電圧を印加する画素電極213、画素電極213に電圧を供給するTFTなどのスイッチング素子214、スイッチング素子214を覆う絶縁膜215、スイッチング素子214に供給される信号を外部から受け入れる端子216、端子216から入力された信号を対向電極へ伝達する為のトランスファ電極217などを有している。また、ガラス基板211の他方の面には偏光板231を有している。なお、本実施の形態3の液晶パネル200は画素電極213に反射電極213Rと透過電極213Tの双方を備えた屋外等での視認性を改善した半透過型液晶パネルとしており、更に反射電極213Rは反射光の散乱特性を良くする為に一部に有機樹脂膜を用い凹凸形状に加工された絶縁膜215上に形成され表面が凹凸形状となる様に形成されている。
【0038】
一方、上述のカラーフィルタ基板220は、ガラス基板221の一方の面に液晶230を配向させる配向膜222、配向膜222の下部に配置され、スイッチング素子基板210上の画素電極213との間に電界を生じ液晶230を駆動する共通電極223、共通電極223下部に設けられるカラーフィルタ224及び遮光層225などを有している。また、ガラス基板221の他方の面には偏光板232を有している。
【0039】
また、スイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220はシール材233及び基板間の距離を一定の距離に保持するスペーサ(図示せず)を介して貼り合わされている。スペーサとしては、基板上に散布された粒状のスペーサを用いても良いし、何れか一方の基板上に有機樹脂膜をパターニングして形成された柱状のスペーサを用いても良い。更にトランスファ電極217と共通電極223は、トランスファ材234により電気的に接続されており、端子216から入力された信号が共通電極223に伝達される。この他に液晶パネル200は駆動信号を発生する制御基板235、制御基板235を端子216に電気的に接続するFFC(lexible lat able)236、光源となるバックライトユニット(図示せず)などを備えている。
【0040】
この液晶パネル200は次の様に動作する。例えば、制御基板235から電気信号が入力されると、画素電極213及び共通電極223に駆動電圧が加わり、駆動電圧に合わせて液晶230の分子の方向が変わる。そして、バックライトユニットの発する光、或いは液晶パネル200前面より入射する環境光がスイッチング素子基板210、液晶230及びカラーフィルタ基板220を介して外部へ透過、反射、或いは遮断されることにより、液晶パネル200に映像等が表示される。
【0041】
なお、この液晶パネル200は一例であり他の構成でも良い。液晶パネル200の動作モードはTN(wisted ematic)モードやSTN(upper wisted ematic)モード、強誘電性液晶モードなどでも良く、駆動方法は単純マトリックスやアクティブマトリックスなどでも良い。ここでは、過剰な紫外線照射によるダメージを受け易い有機樹脂膜をスイッチング素子基板210上の絶縁膜215の一部やカラーフィルタ基板220の一部などに用いることが多く、特に本発明の紫外線処理装置を用いる効果が高いことから、画素電極に反射電極と透過電極の双方を設けた半透過型液晶パネルの場合を用いて説明を行った。然しながら、反射電極と透過電極が単独で用いられる反射型液晶パネルや透過型液晶パネルにおいても、過度の紫外線処理の超過によりスイッチング素子214の特性が悪化することから、本発明の紫外線処理装置を用いた効果が得られる。また、カラーフィルタ基板220に設けた共通電極223をスイッチング素子基板210側に設置して、画素電極213との間に横方向に電界をかけ液晶230を駆動する横方向電界方式を用いた液晶パネルに用いても良く、この様な横方向電界方式を用いた液晶パネルにおいてはカラーフィルタ基板220上に有機樹脂膜からなるオーバーコート膜を形成する場合や有機樹脂膜からなる遮光層225を形成する場合が多く、特に本発明の紫外線処理装置を用いる効果が高い。
【0042】
次に、図7及び図8に示すフローチャートを用いて、本実施の形態3における液晶パネル200の製造方法について説明する。スイッチング素子基板210の製造方法においては、ガラス基板211の一方の面に成膜、フォトリソグラフィー法によるパターンニング、エッチングなどのパターン形成工程を繰り返し用いてスイッチング素子214や画素電極213、端子216、トランスファ電極217を形成しスイッチング素子基板210を形成する。また、カラーフィルタ基板220の製造方法においては、同様にガラス基板221の一方の面にカラーフィルタ224や共通電極223を形成しカラーフィルタ基板220を形成する。
【0043】
例えば、スイッチング素子基板210の製造方法において、画素電極213における透過電極213T、端子216、トランスファ電極217は透明導電膜であるITO(ndium in xide)膜から同時に形成できる。図7のフローチャートにしたがってITO膜によるパターン形成を例に取ってパターン形成工程について説明する。まず基板洗浄処理を行い(S101)、次に成膜処理を行う(S102)。この基板洗浄処理については、実施の形態1で説明した紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置及び基板洗浄装置を用い、基板洗浄処理及び洗浄効果を上げる前処理として紫外線処理を行った。ITO膜の成膜処理はスパッタリング装置で行った。これら処理は実施の形態1でも説明した様に紫外線処理装置に対し、基板洗浄装置、スパッタリング装置が下流側装置に該当する様に連続して順次処理が行われる様にした。続いてレジストを塗布し(S103)、加熱処理装置によってレジストを焼成処理した(S104)。次に、露光処理装置でレジストに対し露光処理を行い(S105)、現像装置で現像処理を行う(S106)ことにより、レジストパターニングを完了した。続いてエッチング装置を用いレジストで覆われて無い部分のITO膜のエッチングを行い(S107)、その後、レジストを除去し(S108)、透過電極213T、端子216、トランスファ電極217を形成する。
【0044】
その他、スイッチング素子214は電極となる導電膜や半導体となるシリコン膜の成膜処理、パターニング、これらの膜の層間に配置される絶縁膜の成膜処理などの工程を経て形成される。ここでも、導電膜、シリコン膜、絶縁膜などの成膜処理時においては、成膜処理前に実施の形態1で説明した紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置及び基板洗浄装置を用いた基板洗浄処理及び紫外線処理を行った後に成膜処理される。この様な工程を順次組み合わせて行うことによりスイッチング素子基板210が形成される。
【0045】
また、カラーフィルタ基板220の形成の際にも、共通電極223を構成するITO膜を実施の形態1で説明した紫外線処理装置及び基板洗浄装置を用いたのち形成するのが望ましい。以上、説明したとおり紫外線処理を用いる工程以外については、従来の一般的な液晶表示パネルの製造方法を用いて、スイッチング素子基板210及びカラーフィルタ基板220を形成した。
【0046】
続いて、以上の様に準備されたスイッチング素子基板210及びカラーフィルタ基板220を組み合わせる組み立て工程について図8に示すフローチャートにしたがって説明する。まず、基板洗浄工程において、画素電極213が形成されているスイッチング素子基板210を洗浄する(S1)。この洗浄工程は、洗浄液やブラシを用いた一般的な洗浄処理と紫外線処理による有機汚染の除去及び基板表面膜質の改善(配向膜に対しての濡れ性改善)を適宜組み合わせて行う。ここでは、紫外線処理として、実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた。
【0047】
次に、配向膜形成工程において、スイッチング素子基板210の一方の面に配向膜212を形成する(S2)。この工程は、例えば、印刷法により有機膜からなる配向膜212を塗布し、ホットプレートなどにより焼成処理し乾燥させる。その後、ラビング工程において配向膜212にラビング処理を行い配向膜212を配向させる(S3)。また、共通電極223が形成されているカラーフィルタ基板220についても、スイッチング素子基板210に対して行ったS1からS3と同様に洗浄、配向膜222の形成、ラビング処理を行う。この場合においても、洗浄工程において、実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた紫外線処理を行う。
【0048】
続いて、シールパターンを形成するシール材塗布工程において、シール印刷を用いスイッチング素子基板210或いはカラーフィルタ基板220の一方の面にシール材233の塗布処理を行う(S4)。また、シール材233には、例えばエポキシ系接着剤などの熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂を用いた。次に、トランスファ材塗布工程において、スイッチング素子基板210或いはカラーフィルタ基板220の一方の面にトランスファ材234の塗布処理を行う(S5)。そして、スペーサ散布工程において、スイッチング素子基板210或いはカラーフィルタ基板220の一方の面にスペーサを散布する(S6)。この工程は、例えば、湿式法や乾式法によりスペーサを分散させることにより行われる。なお、スペーサとして有機樹脂膜をパターニングして形成された柱状のスペーサを用いる場合には、スイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220の何れかの上に組み立て工程前に形成しておくことが望ましく、その場合においては、このスペーサ散布工程は省略可能である。
【0049】
その後、貼り合わせ工程において、スイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220を貼り合わせる(S7)。続いて、シール材硬化工程において、スイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220を貼り合わせた状態でシール材233を完全に硬化させる(S8)。この工程は、例えばシール材233の材質に合わせて熱を加えることや、紫外線処理を行うことにより行われる。シール材233に紫外線硬化型樹脂を用いた場合には、紫外線処理として実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた紫外線処理を行うのが好ましい。次に、セル分断工程において、貼り合わせた基板を多数の個別セルに分解する(S9)。そして、液晶注入工程において、個々のセルに対して液晶注入口から液晶を注入する(S10)。この工程は、例えば、液晶230を液晶注入口から真空注入により充填することにより行われる。更に、封止工程において、液晶注入口を封止する(S11)。この工程は、例えば、光硬化型樹脂で封じ、光を照射することにより行われる。
【0050】
以上のS7〜S11の貼り合わせから液晶封止までの工程については、通常の注入口からの液晶注入方法を一例として説明した。しかし、別の液晶注入方法として、注入口の無いシール材233の形状とし、液晶230をスイッチング素子基板210或いはカラーフィルタ基板220の上に液滴状態で滴下して形成し、この滴下した液晶230を挟む様にスイッチング素子基板210とカラーフィルタ基板220を貼り合わせた後にシール材233を硬化させる方法、所謂、滴下注入方式を用いてもかまわない。
【0051】
最後に、偏光板貼り付け工程において、セルに偏光板231、232を貼り付け(S12)、制御基板実装工程において、制御基板235を実装する(S13)ことによって、液晶パネル200が完成する。
【0052】
以上説明した実施の形態3の液晶パネルの製造方法では、製造途中における紫外線処理工程において、実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた紫外線処理を行うことによって、装置の大型化、複雑化を生ずることなく、製造中の処理中断時における時間ロスを最低限とすることができ、更に処理中断により発生する紫外線処理の局所的ムラや過剰な処理による液晶パネルのダメージにより引き起こされる液晶パネルの色ムラ不良やギャップ不良などによる不良品を発生することが無いなど、高い処理効率を維持したまま液晶パネルの製造を行うことができる。
【0053】
以上説明した実施の形態3の液晶パネルの製造方法では、製造途中における特に有機樹脂膜を一部に用いた絶縁膜215の形成された後の、例えば、絶縁膜215上の透過電極213T、端子216、トランスファ電極217を形成するITO膜の成膜処理前の洗浄工程において、実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた紫外線処理を行っていることから、過剰な紫外線照射によるダメージを受け易い有機樹脂膜に対しても問題を発生することがなく不良品を発生することが無い。また、横方向電界方式の液晶パネルにおける有機樹脂膜からなるオーバーコート膜や有機樹脂膜からなる遮光層を形成したカラーフィルタ基板や、更に有機樹脂膜からなる柱状のスペーサを用いた液晶パネルにおける柱状のスペーサの形成されるカラーフィルタ基板或いはスイッチング素子基板に対して、本実施の形態3で説明した様にS1の工程において実施の形態1で説明を行った紫外線照射部の回転による退避機能を持った紫外線処理装置を用いた紫外線処理を行うことによっても同様の効果が得られる。
【0054】
また、本実施の形態3においては、実施の形態1の紫外線処理装置を液晶パネルの製造方法における紫外線処理工程に用いた液晶パネルの製造方法について説明した。然しながら実施の形態1の紫外線処理装置に代えて、実施の形態1の変形例や実施の形態2及び実施の形態2の変形例において説明した紫外線処理装置を用いた場合においても本実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態3においては、本発明を液晶パネルの製造に用いた場合を一例として説明を行ったが、本発明の紫外線処理装置においては、紫外線を照射する処理を行う、その他、様々な用途に用いることができる。例えば、半導体製品などの電子製品の製造、機械製品の製造、板状素材の表面処理、紫外線硬化インキを用いた印刷処理、殺菌処理などに用いることができ、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及びそれらの変形例で説明したものと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1における紫外線処理装置及び下流側装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1の紫外線処理装置における紫外線照射ユニットの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1の紫外線処理装置における紫外線吸収材の作用説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2における紫外線処理装置の説明図である。
【図5】本発明における紫外線処理装置の変形例の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2における紫外線処理装置の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態3の液晶パネルの製造方法におけるパターン形成工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3の液晶パネルの製造方法における組み立て工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 基板、3 紫外線、4 紫外線照射ユニット、5 回転機構、
6 退避動作制御部、7 筐体、8 紫外線吸収材、
100,120 紫外線処理装置、110 洗浄処理装置、200 液晶パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側装置から搬送されるワークに順次紫外線を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理装置であって、
一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニット、前記紫外線照射ユニットを回転し、前記紫外線照射ユニットより照射される紫外線の方向が、前記ワークに向かう方向となる第一の定位置と前記ワークに向かう方向と反対方向となる第二の定位置の何れかの定位置に移動する回転機構、及び該紫外線処理装置或いは前記下流側装置で発生するエラー信号の有無をモニタする検知機能と前記エラー信号が出た時点で前記紫外線照射ユニットを前記第二の定位置に移動する様に、前記エラー信号が消えた時点で前記第一の定位置に移動する様に、前記回転機構を制御する制御機能を有する退避動作制御部を備えたことを特徴とする紫外線処理装置。
【請求項2】
紫外線照射ユニットが第二の定位置に有る場合における紫外線照射方向に、紫外線吸収材が配置されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項3】
紫外線吸収材がガラス板よりなることを特徴とする請求項2に記載の紫外線処理装置。
【請求項4】
ワークと紫外線照射ユニットを収納する筐体が、前記紫外線照射ユニットが第二の定位置に有る場合における紫外線照射方向に前記紫外線照射ユニットから少なくとも20cm以上の距離をおいて配置されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項5】
上流側装置から搬送されるワークに順次紫外線を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理方法において、一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニットにより前記ワークに対し紫外線処理を行う工程と、
該紫外線処理を行う紫外線処理装置或いは前記下流側装置で発生するエラー信号の有無をモニタし、前記エラー信号が出た時点で紫外線照射ユニットを前記ワークに向かう紫外線照射方向よりワークに向かう方向と反対方向に回転する処理監視工程を備えたことを特徴とする紫外線処理方法。
【請求項6】
上流側装置から搬送されるワークに順次紫外線を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理方法において、前記ワークを移動しながら一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニットにより紫外線処理を行う工程と、
前記ワークの移動速度をモニタし、前記ワークの移動速度が所定の移動速度より低下した場合に前記ワークの移動を停止すると同時に紫外線照射ユニットを前記ワークに向かう紫外線照射方向よりワークに向かう方向と反対方向に回転する処理監視工程を備えたことを特徴とする紫外線処理方法。
【請求項7】
上流側装置から搬送されるワークに順次紫外線を照射する紫外線処理を行い下流側装置に搬送する紫外線処理方法において、該紫外線処理を行う紫外線処理装置内の所定位置に前記ワークを保持し、一定方向に紫外線を照射する紫外線照射ユニットにより所定時間の紫外線処理を行う工程と、
前記ワークの紫外線処理装置内の所定位置での保持時間をモニタし、前記ワークの前記保持時間が紫外線処理を行う前記所定時間を超過する場合に前記紫外線照射ユニットを前記ワークに向かう紫外線照射方向よりワークに向かう方向と反対方向に回転する処理監視工程を備えたことを特徴とする紫外線処理方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線処理装置或いは請求項5〜7のいずれかに記載の紫外線処理方法を用いることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項9】
半透過型或いは横方向電界方式の液晶パネルの製造工程における有機樹脂膜の形成された後の紫外線処理工程に請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線処理装置或いは請求項5〜7のいずれかに記載の紫外線処理方法を用いたことを特徴とする請求項8に記載の液晶パネルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−152089(P2010−152089A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330324(P2008−330324)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】