説明

紫外線放射を可視光に変換するトランスイルミネータのアダプタ

アダプタは、励起の結果として生じる放出が検出され量子化されることが可能である2次元電気泳動ゲルなどの生化学試料の平坦なアレイで蛍光分子又は蛍光標識を励起させる紫外線トランスイルミネータへの付属品として構成される。アダプタは、トランスイルミネータに覆い被さるように構成され、紫外線光によって励起されると可視スペクトルの光を放出する蛍光染料と、蛍光染料によって生成された可視光の波長帯域の一部を選択する調整物質との両方を含む。アダプタは、検出器に到達する放出を試料から生じるものに制限しつつ、トランスイルミネータからの紫外線光を可視光に変換する。このアダプタを使用することによって、トランスイルミネータは、可視光で励起することができる染料によって標識された試料と共に使用するようにされており、試料およびユーザを紫外線光にさらすこと防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学実験室で実行される電気泳動分析の検出システムの分野に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年1月28日出願の米国仮特許出願第61/147,798号の利益を主張し、その内容が参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
核酸およびタンパク質研究の必須の部分である実験処置は、スラブ状ゲルでのゲル電気泳動による核酸またはタンパク質の分離である。この処置は、断片を識別および定量化するためになされ、断片を複数の帯域に分離する。断片は次いで、通常適切なストークスシフトの蛍光染料によって着色され、その結果、励起波長の光をゲルに照射する時に染料が異なる波長の光を放出し、結果として生じる放出が検出され定量化される。照射は普通透過照明、すなわち検出が実行される側面と反対の側面でゲルに照射することによって達成される。DNA断片のために普通使用される染料は臭化エチジウムであり、これは紫外線範囲の波長でもっとも効率的に励起される。したがって、生化学実験室には通常、UV光源を搭載したライトボックスの形態のトランスイルミネータ(transilluminator)が装備されている。しかし、核酸がUV光による損傷をきわめて受けやすく、かつUV光がユーザにも有害であることが認識されている。したがって、UV光の使用は、DNAまたはRNA断片の検出だけでなく、実験室の技師が励起光にさらされうる処置でのタンパク質および他の蛍光染料によって標識された種を含む他の種の検出においても問題となる。
【0004】
こうした問題に鑑み、可視範囲の光、特に青色光によって励起される染料が開発された。これは、可視範囲の光が試料またはユーザに対する損傷なしに使用できるからである。こうした染料の例は、SYBR(商標)グリーン、Cy2のようなシアニン染料およびフルオレセインイソチオシアナート(FITC)(Invitrogen、米国カリフォルニア州カールスバッド)といった商品名で販売されているものである。他の例も、蛍光染料およびDNA検出を使用する当業者に知られている。紫外線光を放出するトランスイルミネータは幅広く入手可能でありかつ幅広く使用されているので、こうした新しい染料は、紫外線トランスイルミネータからの光を青色光または他の可視光に変換する安価で迅速なやり方に対する必要を生み出した。この必要を満たそうとする1つの試みが、特許文献1(1999年12月7日発行)においてKovalskyらによって開示されている。残念ながら、Kovalskyらの発明によって発生する可視放出スペクトルは、ゲル中で使用される着色用染料の放出波長を侵しており、それにより帯域の画像を不明瞭にする。他の開示は、Johanssenらの特許文献2(1998年4月7日発行)、およびSevilleに与えられた3つの登録特許、すなわち特許文献3(2001年3月6日発行)、特許文献4(2003年1月28日発行)および特許文献5(2005年7月5日発行)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5998789号明細書
【特許文献2】米国特許第5736744号明細書
【特許文献3】米国特許第6198107(B1)号明細書
【特許文献4】米国特許第6512236(B1)号明細書
【特許文献5】米国特許第6914250(B2)号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、可撓性または剛性の、アダプタシートまたはシートの組み合わせが、それがなければ紫外線光を放出するトランスイルミネータの平坦な光放出面の上に配置される。アダプタは、(i)紫外線光によって励起されると可視領域の光を放出する蛍光染料と、(ii)蛍光染料によって放出される光のスペクトルを、着色用染料の放出スペクトルと実質上重複せずに、ゲルのDNA断片または他の種を着色するのに使用された染料の可視範囲励起波長帯域に実質上一致する(同じ広がりを持つ、または一部重複する)狭い帯域に調整する物質とを含む。したがって、ゲル画像中の背景信号は最小化または完全に防止される。着色用染料が、波長帯域のうちの少なくとも1つが可視範囲にある2つ以上の波長帯域の光によって励起されるものである場合、アダプタから出現する調整された光は、着色用染料の励起帯域のうちの少なくとも1つと同じ広がりを持つかまたは少なくとも一部重複する。
【0007】
調整物質は好適には非蛍光染料である。したがって、本発明の好適実施形態ではゲルを含むシステム全体は集合的に少なくとも、(i)紫外線光によって励起されて可視スペクトルの光を放出するアダプタ中の蛍光染料と、(ii)蛍光染料によって放出される可視光を、ゲル中の着色用染料のための励起光としての役目を果たすと共に試料が放出する光に含まれる波長を含まない狭い帯域に調整するアダプタ内の非蛍光染料と、(iii)通常蛍光性の、可視スペクトルの光によって励起される試料内の着色用染料と、の3つの染料を含む。
【0008】
本発明の特定の実施形態では、紫外線光によって励起されると可視領域の光を放出する蛍光材料と、試料中の着色用染料を励起する狭い帯域の可視光だけを通過させる調整物質とは、アダプタの個別のシートまたは層に存在する。こうした実施形態では、トランスイルミネータの光放出面に隣接するシートまたは層は蛍光材料を含み、残ったシートまたは層は調整物質を含む。前者を「変換シート」と呼び後者を「調整シート」と呼ぶことができ、変換シートはトランスイルミネータの上に重なり、調整シートは変換シートの上に重なる。青色光を放出する変換シートを、青色光だけを通過させる光フィルタとして作用する調整シートと共に使用するのが好適であるが、赤色変換シートと赤色調整シートとの組み合わせ、または緑色変換シートと緑色調整シートとの組み合わせを使用してもよい。その選択は試料または試料中の染料の選択に依存することが多い。本発明のさらなる実施形態では、アダプタは2つ以上の変換シート、2つ以上の調整シートまたは2つ以上の各シートを含む。いずれかのシートを2つ以上使用することによって、ゲルに到達する光の輝度および帯域幅をさらに制御することができる。
【0009】
本発明のこうした特徴、目的および利点ならびに他の特徴、目的および利点を以下においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】トランスイルミネータおよび試料と共に示された、本発明に係るアダプタの一例の分解斜視図である。
【図2】トランスイルミネータおよび試料と共に示された、本発明に係るアダプタの第2の例の分解斜視図である。
【図3】トランスイルミネータおよび試料と共に示された、本発明に係るアダプタの第3の例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
変換および調整機能が1つの共通のシートで実行されるものであるか複数の個別のシートもしくは層の組み合わせで実行されるものであるかに関わらず、アダプタのために使用可能な材料の例は、特にACRYLITE(商標)(Evonik Industries,米国メイン州サンフォード)の商品名で市販されるものであるポリメチルメタクリレートである。他の例はポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、酪酸塩(butyrate)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンである。紫外線光によって励起される時に可視スペクトルの光を放出する、シート材料に埋め込まれた蛍光染料を持つシートは、製造業者によって市販されると共に蛍光性のものとして一般に認識されている。ACRYLITEシートの具体例は、製品コード番号5F21、5C41、6175−4、および5H44を持つものである。シートの材料の他の例は、当業者に知られている、プラスチック供給業者から市販されている一般に非自己蛍光性または低自己蛍光性のシートである。
【0012】
紫外線光によって励起される蛍光染料の例は、ウンベリフェロン、ALEXA FLUOR 350マレイミド(チオール反応性スルホン化クマリン)、ジエチルアミノクマリン、およびジメチルアミノクマリンといったクマリンと、ジ−、テトラ−およびヘキサ−スルホン化トリアジンスチルベンを含むトリアジンスチルベンと、ビフェニルスチルベンと、イミダゾリンと、ジアゾールと、トリアゾールと、ベンゾオキサゾリン、アニリノナフタレンと、ベンゾフェノンと、ビマン(1,5−ジアザビシクロ(3.3.0)オクタジエンジオン)と、塩化ダンシル、ダンシルグリシン、ダンシルアジリジンおよびダンシルカダベリンを含むダンシル(すなわち、5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホニル)化合物と、パシフィックブルーマレイミドと、パシフィックオレンジマレイミドとである。他の例は当業者には容易に明らかだろう。この種の染料は、Invitrogen(米国カリフォルニア州カールスバッド)を含む様々な供給元から入手可能である。
【0013】
変換シートの任意選択の構成要素は光散乱剤の役目を果たす添加物である。シートの母材に不溶性であると共に約1ミクロン〜約1mmの範囲のサイズおよび母材に対して±0.003〜±0.2の屈折率差を有する添加物を、光散乱剤として使用することができる。こうした添加物の原料となりうる材料の例は、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレート(母材がポリメチルメタクリレート以外の場合)、架橋ポリスチレンおよび架橋ポリベンジルメタクリレートである。他は当業者には明らかだろう。
【0014】
調整物質またはシートは、適切な波長の光だけを通過させる任意の光フィルタ材料でもよい。こうしたシートも、製造業者によって特定された帯域幅を持つものが市販されている。青色光を通過させることができる調整シートのための材料の一例は、製品コード番号5C28を持つACRYLITEシートである。プラスチックシートに組み込み可能な非蛍光青色染料の例は、オイルブルーAまたはブルーAP(1,4−ビス(イソプロピルアミノ)アントラキノン)と、シカゴブルー4B(ポンタミンスカイブルーとしても知られるアゾ染料)と、アラマブルー(商標)(レサズリンまたは7−ヒドロキシ−3H−フェノキサジン−3−オン 10−オキサイドとしても知られる)とである。本発明の一好適実施形態では、約450nm〜約490nmにピークを有する、約425nm〜約575nmの波長範囲にわたる光を放出する蛍光染料が変換染料として使用され、530nmよりも長い波長の可視光を減衰させる非蛍光染料が調整物質として使用される。別の好適実施形態では、約510nm〜約520nmにピークを有する、約490nm〜約640nmの波長範囲にわたる光を放出する蛍光染料が変換染料として使用され、550nmよりも長い波長の可視光を減衰させる非蛍光染料が調整物質として使用される。本発明の第3の好適実施形態では、約615nm〜約625nmにピークを有する、約590nm〜約750nmの波長範囲にわたる光を放出する蛍光染料が変換染料として使用され、650nmよりも長い波長の可視光を減衰させる非蛍光染料が調整物質として使用される。他の組み合わせも当業者に容易に明らかであるか、または通常の実験によって容易に決定されるだろう。
【0015】
アダプタと、変換および調整機能のために個別のシートが使用される場合の個々のシートとの厚さは重要ではないが、試料に到達する光の均一性および輝度に影響することがある。特定の名目上の厚さのシートは、シート1つごとの厚さのばらつきまたは個々のシートの中の局所的な厚さのばらつきを有することが多いが、蛍光染料の量または蛍光染料を含むシートの厚さを増大させることによって不均一性を減少させることができる。蛍光染料に関しては、最適な結果は一般に、明るい放出光を発生すると共にこのようにして発生した光の顕著な消失を起こさない蛍光染料の量を選択することによって得られることになる。非蛍光染料に関しては、最適な結果は、望ましいフィルタリング効果を達成しつつ、染料吸収中央部の数または密度を最小にすることによって得られる。どちらの場合も、これらのパラメータは、層の厚さ、染料の濃度、またはそれらの両方を変更することによって調節することができる。既存のトランスイルミネータと共にアダプタを使用する場合、トランスイルミネータ自体による機械的制約によって、トランスイルミネータが対応しうるアダプタの厚さが制限されることが多く、したがって、染料の量または染料自体の選択によって調整するのが最良である。大部分の用途では、約2mm〜約25mm、好適には約2.5mm〜約20mmの範囲内の厚さを有する個別の複数のシートまたは単一の結合されたシートによって、最良の結果が得られる。現在考慮されている通りに、個々の最適な変換および調整シートの厚さは各々3mmである。
【0016】
もう1つの特徴は、(ニュートンリングとして知られる)光干渉によって発生するような不均一な光の分布の発生を防止または低減することにある。片方または両方の側面に、例えば艶消し仕上げのようなテクスチャの付いた表面を有する変換シート、調整シート、またはこれらの両方を提供することによって、この特徴を達成することができる。光干渉を防止することに加えて、テクスチャの付いた表面は、光を散乱させ、照射範囲の長さおよび幅にわたって光の空間的均一性を改善する役目を果たすこともできる。現在好適な実施形態では、艶消し仕上げは、変換シートの両面と調整シートの上面(蛍光シートに面していない側面)に存在する。
【0017】
変換シート、調整シート、またはこれらの両方にテクスチャの付いた表面を使用することに対する代替案は、干渉パターンを発生する光の波長よりも大きい幅を有する間隙によってシートを分離することである。さらなる代替案は、変換シートと調整シートとの間、または調整シートと保護シートとの間、またはこれらの間の両方に境界面材料を包含することである。この機能のために有用な境界面材料は、2つのシートの間で両者に連続的に接触するように挿入または適用されることが可能であり、調整シートとほぼ等しいかまたはプラスチックと保護シートに使用されるガラスとのほぼ中間の光屈折率を有し、かつ低い自己蛍光性を示すものである。こうした材料の一例は、Cargille Laboratories(米国ニュージャージー州シーダーグローブ)の製品であるOptical Gel 0607である。別の例は、Wacker−Chemie AG(ドイツ国ミュンヘン)の製品であるSilGel(商標)612である。他の適切な材料は当業者に容易に明らかだろう。光干渉を防止することに加えて、こうした境界面材料は光の入射を改善する。すなわち、シートの表面の反射を減少させる。
【0018】
上記の蛍光および調整プレートには、任意選択ではあるが一定の本発明の用途では、好適な追加の特徴が補われてもよい。こうした特徴の1つは、調整シートの上面と試料との間に保護シートを包含することである。保護シートは、シートの清掃の際またはユーザによるシートの取り扱いの結果発生しうる擦傷といった物理的損傷から調整シートの表面を保護することができる。また、特に試料が電気泳動ゲルである時、保護シートは試料からの染料による調整シートの着色を防止する役目を果たすこともできる。ガラスプレートは保護シートとして十分な役目を果たすことができるが、ガラスプレートを使用するならば、低自己蛍光性を有するものを使用すべきである。こうしたガラスの一例は、BOROFLOAT(商標)33(Schott Glass、米国ペンシルバニア州デュリエ)である。ガラスプレートまたは他の保護シートが存在する場合、変換シートおよび調整シートに関連して上記記載で説明したのと同じ理由で、調整シートに対面する保護シートの表面にテクスチャを付けることができる。
【0019】
使用する際には、アダプタをトランスイルミネータの表面の上に配置し、検出対象の試料をアダプタの上に配置する。アダプタが1つの変換シートおよび1つの調整シート、または2つ以上の各シートを含む時には、試料は、調整シートの上に配置され、または2つ以上の調整シートが使用されている場合には一番上の調整シートの上に配置され、または上記の保護層が存在する場合には一番上の調整シートの上の保護層の上に配置される。試料は、アガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲルといった電気泳動ゲルスラブでもよい。マイクロタイタプレート、顕微鏡スライド、細胞培養、およびペトリ皿といった他の試料の形態も使用することができる。電気泳動ゲルの場合には帯状であり、または細胞培養の顕微鏡スライドの場合にはスポットもしくは帯状であり、またはマイクロタイタプレートの場合には個々のくぼみもしくは穴である試料の領域から放出される光によって、検出が達成される。全ての場合、種は可視スペクトルの光によって励起される染料によって着色されている。着色された核種は、上記のように、DNA断片、核酸全般またはタンパク質もしくはポリペプチドでもよい。染料の使用に対する代替案として、一定の種は固有の蛍光性を有し、可視光によってこれらの種を直接励起することができる。次いで、励起の結果得られる蛍光放出を、目視または自動計測によって検出してもよく、または写真フィルム、デジタルカメラまたは他の従来の撮像装置によって記録してもよい。様々な可能性は当業者に容易に明らかだろう。
【0020】
本発明に係るアダプタの一例をトランスイルミネータおよび試料と共に図1に例示する。この図では、トランスイルミネータ11はその平坦な上面12からUV光を放出する従来のユニットである。アダプタ13は、トランスイルミネータの上に分解された形状で示されている3つの層からなる。そのうち第1のものは、蛍光変換シート14であり、好適には蛍光染料がその内部に埋め込まれたプラスチックのシートであり、トランスイルミネータの光透過面12から紫外線光を受け取り、紫外線光によって励起されると、試料内の対象となる蛍光分子、着色または標識の吸収スペクトルの可視範囲の光の放出を発生する。変換シート14の上は調整シート15であり、好適には変換シートによって放出される光の一部を除去してその光と試料からの放出光との間のスペクトルの重複を低減させまたは最小化させる非蛍光染料を含むプラスチックのシートである。変換シートおよび調整シートの両方の上面には艶消し仕上げがされている。調整シート15の上は保護シート16であり、好適には、変換および調整シートに機械的および化学的保護ならびに耐久性を提供すると共に試料を支持するガラスである。保護シート16の上面に置かれているのは電気泳動スラブゲルの形態の試料17である。
【0021】
本発明に係るアダプタの第2の例は、トランスイルミネータおよび試料と共に分解図で図2に示される。この例のアダプタ21は、トランスイルミネータ22からの紫外線光を可視スペクトルの光に変換する蛍光染料と、蛍光染料によって放出された可視光の一部を吸収する非蛍光染料との両方を組み込んだ単一のシートである。2つの染料は、各染料の効果を最適化するようにアダプタ全体に完全に混合または分散される。この例は、アダプタ21と試料23との間に保護シートを含まない。
【0022】
本発明に係る第3の例がさらに、再びトランスイルミネータおよび試料を含む分解図で図3に示される。この例のアダプタ31は、個別のシートに蛍光染料および非蛍光染料を備えたシートの組み合わせである。このアダプタ31には、2つの変換シート32、33と2つの調整シート34、35とが含まれる。トランスイルミネータ36および試料37は図1および図2のものと同じである。図2の例と同様に、この例はアダプタ31と試料37との間に保護シートを含まない。
【0023】
「を備える」および「を含む」という語句ならびにこれらの活用形は、ステップまたは要素の記載に続く場合、さらに別のステップまたは要素が任意選択に追加されることがあり除外されないという意味である。本明細書に引用された全ての特許、特許出願および他の公開された参考資料はそれらの全体を引用することによって本明細書の記載に援用する。本明細書に引用された参考資料または先行技術全般と本明細書の明示的な教示との間に矛盾がある場合は本明細書の教示を優先する。これは、語句の当業技術分野で理解された定義と同じ語句の本明細書で明示的に提供された定義との間のあらゆる矛盾を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線光によって平坦なゲルを透過照明するトランスイルミネータと共に使用される装置であって、
前記紫外線光を前記ゲルに到達する前に可視スペクトルの光に置換するものであり、
前記装置が、
前記トランスイルミネータに覆い被さるサイズであると共に紫外線光によって励起されると可視スペクトルの光を放出する蛍光染料を内部に埋め込んだ第1のシートと、
前記第1のシートに覆い被さるサイズであると共に前記可視スペクトル内で選択した波長範囲外の光を除去する非蛍光染料を内部に埋め込んだ第2のシートと、
を備える、
装置。
【請求項2】
前記蛍光染料が、約450nm〜約490nmにピークを有する、約425nm〜約575nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約530nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蛍光染料が、約510nm〜約520nmにピークを有する、約490nm〜約640nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約550nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記蛍光染料が、約615nm〜約625nmにピークを有する、約590nm〜約750nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約650nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のシートがさらに光散乱剤を内部に埋め込んだ、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のシートが、前記紫外線光が入射する下側面と上側面とを有し、
前記上側面が艶消し仕上げされている、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のシートが、前記蛍光染料によって放出される前記光が入射する下側面と上側面とを有し、
前記上側面が艶消し仕上げされている、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のシートが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、酪酸塩、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンからなるグループから選択された部材から構成され、
前記蛍光染料が前記第1のシートに埋め込まれている、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2のシートが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、酪酸塩、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンからなるグループから選択された部材から構成され、
前記蛍光染料が前記第1のシートに埋め込まれている、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記第2のシートを覆う保護シートを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
1つだけの前記第1のシートと1つだけの前記第2のシートとを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
複数の前記第1のシートと複数の前記第2のシートとを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
紫外線トランスイルミネータを使用して可視スペクトル内の選択した波長範囲内の光によって平坦なゲルの標識された化学検体の空間アレイを照射する方法であって、
前記方法が、
(a)紫外線光によって励起されると可視スペクトルの光を放出する蛍光染料によって前記トランスイルミネータからの紫外線光を遮断するステップと、
(b)前記蛍光染料によって放出された、前記選択した波長範囲外の光を除去する非蛍光染料を通じて前記蛍光染料によって放出された光を通過させて、前記非蛍光染料を通過する光が前記ゲルに入射するようにするステップと、
を含む、
方法。
【請求項14】
前記蛍光染料が第1のシートに埋め込まれ、
前記非蛍光染料が前記第1のシートとは異なる第2のシートに埋め込まれた、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記蛍光染料が、約450nm〜約490nmにピークを有する、約425nm〜約575nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約530nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記蛍光染料が、約510nm〜約520nmにピークを有する、約490nm〜約640nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約550nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記蛍光染料が、約615nm〜約625nmにピークを有する、約590nm〜約750nmの波長範囲にわたる光を放出し、
前記非蛍光染料が約650nmよりも長い波長の可視光を減衰させる、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のシートがさらに光散乱剤を内部に埋め込んだ、
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のシートが、前記紫外線光が入射する下側面と上側面とを有し、
前記上側面が艶消し仕上げされている、
請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のシートが、前記蛍光染料によって放出される前記光が入射する下側面と上側面とを有し、
前記上側面が艶消し仕上げされている、
請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のシートが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、酪酸塩、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンからなるグループから選択された部材から構成され、
前記蛍光染料が前記第1のシートに埋め込まれた、
請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2のシートが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、酪酸塩、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルおよびポリスチレンからなるグループから選択された部材から構成され、
前記蛍光染料が前記第1のシートに埋め込まれた、
請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記蛍光染料と前記非蛍光染料とが共に単一のシートに埋め込まれた、
請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−516450(P2012−516450A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548244(P2011−548244)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022188
【国際公開番号】WO2010/088245
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591099809)バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイティド (79)
【Fターム(参考)】