説明

紫外線硬化型インキ、及びそれを用いて印刷加工した感熱記録材料と感熱記録ラベル

【課題】ヘッドマッチング性(搬送性、スティッキング性、待機時のサーマルヘッド貼り付き防止性など)に優れた紫外線硬化型インキ及び、該インキで印刷加工された感熱記録材料と感熱記録ラベルの提供。
【解決手段】(1)ラジカル重合性の二重結合を有するプレポリマー及びモノマー、紫外線によりラジカルを生成する光重合開始剤、並びに(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子を含有することを特徴とする紫外線硬化型インキ。
(2)支持体上に、中間層、熱により呈色する感熱発色層、及び結着樹脂と架橋剤/フィラーと離型剤を含有する保護層をこの順に有し、(1)記載の紫外線硬化型インキで印刷加工されていることを特徴とする感熱記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インキ、及びそれを用いて印刷加工した感熱記録材料と感熱記録ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に、無色又は淡色のロイコ染料と該ロイコ染料を接触時発色させる顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設け、該ロイコ染料と顕色剤との間の熱、圧力等による発色反応を利用して記録を行う材料が種々提案されている。この種の感熱記録材料は現像、定着等の煩雑な処理を施す必要がなく、比較的簡単な装置で短時間に記録することができること、騒音の発生が少ないこと、更にコストが安いこと等の利点により、図書、文書などの複写に用いられるほか、電子計算機、ファクシミリ、発券機、ラベルプリンター、レコーダー、ハンディターミナル用などの記録材料として広く使用されている。
しかし、感熱記録材料の用途の広がりに合わせて、プリンターの高速化、省エネ化による低トルク化、使用環境の屋外化など、従来に比べて厳しい印字条件への対応が求められている。
このような要求に対し、スティッキング防止を始めとするヘッドマッチング性の向上を図るため、水溶性樹脂、顔料及び架橋剤等を主成分とする保護層が提案されている(例えば特許文献1〜6など)。また、特許文献7には、スチレン−アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体エマルジョンの使用が、特許文献8にはポリウレタン樹脂エマルジョンの使用が提案されている。また、保護層中にシリコーン系化合物を添加し走行性及びスティッキングの改善がなされている(例えば、特許文献9〜11)。
【0003】
一方、用途の広がりにより、これまでのファクシミリ用紙、ワープロ用紙、レコーダー用紙といった記録媒体としての使用に加えて、チケットやラベルなど視覚的付加価値を付けるために、保護層上に印刷加工を行って使用するケースが多くなってきている。例えばチケット等では、全面に多色の図柄印刷が行われたり、POS用のラベルなどでも、特売品などで、消費者の目を引くために黄色のベタ印刷が行われるなど、広範囲での印刷が行われている。
このような印刷加工は、感熱紙のように、加熱の必要が無く瞬時で硬化することから、紫外線硬化型インキ(UVインキ)が用いられることが多いが、先に示したヘッドマッチング性の改善を行った保護層上に印刷加工が行われるため、インキに覆われた保護層では本来の機能が発揮されず、インキの性能によってヘッドマッチング性に問題を起こすことがしばしば発生している。
【0004】
【特許文献1】実公昭59−9909号公報
【特許文献2】実公昭62−26216号公報
【特許文献3】特公平1−17478号公報
【特許文献4】特公平4−30918号公報
【特許文献5】特公平4−71716号公報
【特許文献6】特公平4−77672号公報
【特許文献7】特開昭54−128347号公報
【特許文献8】特公平4−22153号公報
【特許文献9】特開平1−198386号公報
【特許文献10】特開平02−187388号公報
【特許文献11】特開平03−002088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する欠点を改良し、高湿環境条件下でのヘッドマッチング性(搬送性、スティッキング性、待機時のサーマルヘッド貼り付き防止性など)に優れた紫外線硬化型インキ及び、該インキで印刷加工された感熱記録材料と感熱記録ラベルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、次の1)〜14)の発明によって解決される。
1) ラジカル重合性の二重結合を有するプレポリマー及びモノマー、紫外線によりラジカルを生成する光重合開始剤、並びに(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子を含有することを特徴とする紫外線硬化型インキ。
2) 球状粒子の平均粒子径が2〜5μmであることを特徴とする1)記載の紫外線硬化型インキ。
3) シリコン系化合物の配合割合がインキ全体量の5〜15重量%であることを特徴とする1)又は2)記載の紫外線硬化型インキ。
4) 支持体上に、中間層、熱により呈色する感熱発色層、並びに、結着樹脂、架橋剤、フィラー及び離型剤を含有する保護層をこの順に有し、1)〜3)の何れかに記載の紫外線硬化型インキで印刷加工されていることを特徴とする感熱記録材料。
5) 中間層に有機中空フィラーを含有することを特徴とする4)記載の感熱記録材料。
6) 有機中空フィラーの中空率が85%以上であることを特徴とする5)記載の感熱記録材料。
7) 保護層の結着樹脂が、反応性カルボニル基を含むポリビニルアルコールであることを特徴とする4)〜6)の何れかに記載の感熱記録材料。
8) 保護層の架橋剤がヒドラジド化合物であることを特徴とする4)〜7)の何れかに記載の感熱記録材料。
9) 保護層の離型剤が、(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子であることを特徴とする4)〜8)の何れかに記載の感熱記録材料。
10) 離型剤の平均粒子径が1〜4μmであることを特徴とする9)記載の感熱記録材料。
11) 界面活性剤水溶液により離型剤を均一分散させた離型剤液を用いて作成されたことを特徴とする9)又は10)記載の感熱記録材料。
12) 4)〜11)の何れかに記載の感熱記録材料の裏面に粘着剤層を設けたことを特徴とする感熱記録ラベル。
13) 4)〜11)の何れかに記載の感熱記録材料の裏面に、熱によって粘着性が発現する感熱粘着剤層を設けたことを特徴とする剥離紙不要感熱記録ラベル。
14) プリンターにセットするサイズに打ち抜かれ、スリットによる小巻加工仕上げが行われたことを特徴とする12)又は13)記載の感熱記録ラベル。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
印刷された感熱記録材料の印刷面とサーマルヘッドが長時間接触していることで、印刷部分がヘッドに貼りつくという現象がある。また、小型ラベルプリンターやハンディターミナル用プリンターなどのモータトルクが脆弱なプリンターの場合、非印刷部分から印刷部分へと印字を行うと、印刷部分で搬送異常(搬送が止まる、短くなるなど)を起こすという現象がある。
これらは何れも、ヘッドマッチング性の改善が施された保護層上(非印刷部分)では発生しないが、保護層をインキで覆う印刷部分で発生している。また、これらはヘッドマッチング性の改善機能を備えた保護層を、改善機能の無い紫外線硬化型インキで覆ってしまうことにより発生している。
【0008】
そこで本発明では、感熱記録材料の最表面となる紫外線硬化型インキに、保護層同様の機能を付加することによりヘッドマッチング性の改善を行う。即ち、紫外線硬化型インキに、(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子を添加することによりサーマルヘッドへの貼り付きを抑え、低トルクプリンターにおいてもスティッキングの発生なく、印字を可能にする。該シリコン系化合物は球状の粒子状固体であるため、サーマルヘッドへの貼り付きや、低トルクプリンターにおいてのスティッキングの発生に大きな効果を発揮する。球状粒子の形状は真球状が好ましいが、多少歪んでいてもよく断面が楕円状になっていてもよい。また、該シリコン系化合物は有機溶剤に不溶であり、融点を有しないという特徴を持つ。
(CHSiO3/2)n構造のn数は15以上のものが好ましい。このようなシリコン系化合物の具体例としては、信越化学社製のKMP−590、X−52−1621などが挙げられる。
シリコン系化合物の球状粒子の平均粒子径は2〜5μmが好ましい。2μm未満では、粒子径が小さいためヘッドへの貼り付き防止性が悪く、5μmを超えると、効果はあるが、5μm以下のものと比べて磨耗量が大きくなる。
シリコン系化合物の球状粒子の添加量は、インキ全体量の5〜15重量%が好ましい。5重量%未満では効果が不十分な場合があり、15重量%を超えると、効果は得られるが、コスト負担が大きくなる。
【0009】
感熱紙向けの紫外線硬化型インキとしては、サーマルヘッドからの印字負荷に対する耐熱性、サーマルヘッドへの磨耗の影響が少ないように耐摩耗性などを考慮したものが市販されている。具体例としては、大日本インキ:Dai cure EX−2 、TOKA:BEST CURE サーマルなどが挙げられる。但し、これらのインキでも、近年の高感度・高精細化を付与した感熱記録材料に用いるには不十分であり、印字搬送時のスティッキングや、待機時のサーマルヘッドとの貼り付きが発生してしまう。
しかし、これらの市販されている感熱紙向けの紫外線硬化型インキに対して、本発明に係る(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子を添加すれば、改善を図ることが可能となる。
また、本発明の感熱記録材料は、高感度で精細性(ドット再現性)に優れることと、サーマルヘッドとのマッチング性という背反する特性を両立させたものであり、支持体上に中間層、感熱発色層、保護層を有している。特に中間層に有機中空フィラーを用いると、その断熱性により発色感度を向上させることができるので好ましい。
【0010】
有機中空フィラーとしては、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気などの気体を内包するもので、発泡状態となっている微小中空粒子が好ましく、平均粒子径0.4〜10μm、好ましくは1.0〜5.0μmのものが用いられる。平均粒子径が0.4μm未満のものは、任意の中空率にすることが難しい等の生産上の問題があり、10μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、感度向上効果が低下する。従って、平均粒子径が前記範囲にあると同時に、バラツキが少ない粒子径分布ピークの均一なもの、即ち、粒子径分布の裾野の広がりが狭くピークが立った状態のものが好ましい。
更に、有機中空フィラーの中空率は、85%以上が好ましい。なお、ここで言う中空率とは、中空粒子の内径(中空部の直径)と外径の比であり、下記式で表わされるものである。
中空率=〔(中空粒子の内径)/(中空粒子の外径)〕×100(%)
有機中空フィラーの殻となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、或いはそれらの共重合体樹脂が挙げられる。特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
【0011】
保護層に用いる結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ガゼイン等の水溶性高分子などを挙げることができる。好ましくは、熱溶解及び軟化しにくい耐熱性の高い樹脂が、スティッキング改善には有利であり、その観点から、反応性カルボニル基含むポリビニルアルコールが最も好ましい。
反応性カルボニル基含むポリビニルアルコールは、反応性カルボニル基を含むビニルモノマーと脂肪酸ビニルエステルとを共重合して得た重合体を鹸化する等の公知の方法により製造することができる。反応性カルボニル基を含むビニルモノマーとしては、エステルを含む基、アセトン基を含む基が挙げられるが、ジアセトン基を有するビニルモノマーが好ましく、具体的にはジアセトンアクリルアミドやメタジアセトンアクリルアミドが好ましい。脂肪酸ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0012】
保護層に用いる架橋剤としては、ヒドラジド基を持つ化合物が好ましく、例えばカルボヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、蟻酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,7−ナフトエ酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。また、2種以上のヒドラジド化合物を併用しても良いし、機能を損なわない範囲で他の公知の架橋剤と組み合わせても良い。ヒドラジド化合物の中では耐水性・安全性の面でアジピン酸ジヒドラジドが特に望ましい。
【0013】
保護層のフィラーとしては、例えば水酸化アルミニウム、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカなどの無機系微粉末のほか、尿素ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂などの有機系の微粉末を用いることができる。特に、水酸化アルミニウム、カオリン、炭酸カルシウムは、長期に亘って印字を行った際のサーマルヘッドに対する耐磨耗性が良好である。中でも水酸化アルミニウムは耐磨耗性がよく、平均粒子径を0.2〜0.5μmに設定すると耐磨耗性が良好で、且つ高温搬送性・耐低温スティッキング性・低トルクプリンター適性にも優れる。耐磨耗性は0.5μm以下になると格段に良くなるが、0.2μm以下になると、耐磨耗性は良好であるものの、高温搬送性・耐低温スティッキング性・低トルクプリンター適性に低下が見られる。
更に、保護層には、必要に応じてこの種の感熱記録材料に慣用される補助成分、例えば界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤などを添加してもよい。
特に、モンタンエステルワックス、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等は、保護層の摩擦係数を下げることにより、走行性改善及びスティッキング改善効果が見られるので好ましい。
【0014】
保護層に用いる離型剤としては、上述した本発明の紫外線硬化型インキに用いるのと同じ(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子が好ましい。
離型剤として該シリコーン系化合物の球状粒子を添加することにより、高湿環境下でのヘッドへの貼り付きが抑えられ、低トルクプリンターの低温低湿環境下においてもスティッキングの発生なく印字が可能となる。上記球状粒子は微粒子状固体であり、これを界面活性剤水溶液により均一分散させて用いると、一層大きな効果を発揮する。
球状粒子の平均粒子径は1〜4μmが好ましい。1μm未満では、粒子径が小さすぎるため、高温環境下でのヘッドへの貼り付きが悪く、4μmを超えると磨耗量が大きくなるため好ましくない。
【0015】
感熱発色層の材料であるロイコ染料は、単独又は2種以上混合して用いられるが、このようなロイコ染料としては、この種の感熱記録材料において公知のものが任意に適用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フエノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。その具体例としては、以下に示すようなものが挙げられる。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチル−アミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチル−アミノ−5,7−ジメチル−フルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−1,6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ}キサンチル安息香酸ラクタム、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン)イルベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス12−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル1−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−4−p−トリルスルホニルメタン等である。
特に、耐薬品性、とりわけ耐可塑剤性において画像残存率に優れ、高感度で地肌カブリが少なく、耐熱保存性に優れた感熱記録材料を得るためには、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの何れかを用いることが好ましい。
【0016】
また、感熱発色層には、必要に応じて補助添加剤として、電子受容性であるが発色能力の比較的少ない種々のヒンダードフェノール化合物及びヒンダードアミン化合物を併用することができる。その具体例としては以下に示すようなものが挙げられる。
2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等である。
【0017】
感熱発色層には公知のフィラーを使用できる。例えば炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、アルミナ、クレー等の無機又は有機顔料が挙げられるが、特に限定はされない。また、耐水剥がれを考慮すると、酸性顔料(水溶液中で酸性を示すもの)であるシリカ、カオリン、アルミナが好ましく、特に発色濃度を考慮するとシリカが好ましい。感熱発色層に酸性フィラーを使用することにより、保護層を設けた時の耐水性の向上及び耐水化までに要する期間の短縮が可能となる。これは保護層を感熱発色層上に塗工した際に、感熱発色層に含まれる酸性フィラーの影響を受け耐水化反応が促進される為と思われる。
更に感熱発色層に反応性カルボニル基含むポリビニルアルコールを含有させることにより、発色阻害となる架橋剤を添加することなく感熱発色層が耐水化され(保護層の架橋剤の含浸と接触の為と考えられる)、感熱記録材料としての耐水性が向上する。
支持体としては、上質紙、古紙パルプからなる支持体(古紙パルプを50%以上使用)、合成紙、ポリエチレンフィルム、ラミネート紙等の何れも用いることができる。
【0018】
また、上記感熱記録材料の裏面に、粘着剤層を設けて感熱記録ラベルとしたり、熱によって粘着性が発現する感熱粘着剤層を設けて剥離紙不要感熱記録ラベルとしたりして用いることも可能である。更に、これらの感熱記録ラベルを、プリンターにセットするサイズに打ち抜き、スリットによる小巻加工仕上げを行なって用いてもよい。これらの製品は、一般的な粘着加工やライナーレス加工により作製することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高湿環境条件下でのヘッドマッチング性(搬送性、スティッキング性、待機時のサーマルヘッド貼り付き防止性など)に優れた紫外線硬化型インキ、及び、該インキで印刷加工された感熱記録材料と感熱記録ラベルを提供できる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、特に断らない限り例中の「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」である。
【0021】
実施例1〜5、比較例1〜2
<紫外線硬化型インキの作成>
下記表1に示す組成のインキ(No.1〜No.7)を調製した。
【表1】

【0022】
<感熱記録紙の各層塗工液の作成>
(1)染料分散液(A液)の調製
次の材料をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで分散した。
・3−ジブチルアミノ−6−メチル−N−7−アニリノフルオラン 20部
・ポリビニルアルコールの10%水溶液 20部
・水 60部
(2)B液の調製
次の材料をボールミルで平均粒子径が1.0μmになるまで分散した。
・4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン 30部
・シリカ 10部
・ポリビニルアルコールの10%水溶液 20部
・水 40部
(3)C液の調製
次の材料をボールミルで平均粒子径が0.6μmになるまで分散した。
・水酸化アルミニウム 100部
・ポリビニルアルコールの10%水溶液 100部
・水 100部
【0023】
(4)感熱発色層塗工液の調製
次の材料を混合して感熱発色層塗工液を調製した。
・A液 20部
・B液 60部
・ポリビニルアルコールの10%水溶液 30部
・ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分;5%) 1部
(5)保護層塗工液の調製
次の材料を混合して保護層塗工液を調製した。
・C液 300部
・KMP−590、平均粒子径:2.0μm、信越化学社製 10部
・ジアセトン基を含むポリビニールアルコール(固形分;18%) 380部
・アジピン酸ヒドラジド水溶液(固形分;10%) 140部
・ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分;5%) 1部
・モンタン酸エステルのエマルジョン(中京油脂社製 固形分;30%) 35部
・水 100部
(6)中間層塗工液の調製
次の材料を撹拌分散して、中間層塗工液を調製した。
・中空樹脂粒子(中空率90%、平均粒径3.5μm、固形分40%) 25部
・スチレン/ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度47.5%) 15部
・水 60部
【0024】
<感熱記録紙の作成>
坪量60g/mの原紙の上に、中間層塗工液を乾燥塗布量が3.0g/mになるように塗布乾燥し、その上に、感熱発色塗工液を染料付着量が0.54g/mになるように塗布乾燥し、その上に保護層塗工液を乾燥付着量が1.5g/mになるように塗布乾燥した。次いで、スーパーキャレンダーで処理し、感熱記録紙を得た。
<印刷加工の実施>
上記感熱記録紙の保護層上に、〔表1〕の各インキを用いて、インキ量が1.5g/mになるようにRI−テスターで印刷加工し、紫外線照射により硬化させて、印刷加工済み感熱記録紙を得た。各実施例及び比較例と用いたインキとの関係は〔表2〕に示すとおりである。
【表2】

【0025】
<印刷済み感熱記録紙評価法>
・〔評価A〕高湿環境条件下での搬送性評価
各印刷加工済み感熱記録材料及びプリンター(SM−90、寺岡精工社製)を、35℃90%RHの高温高湿環境下に1時間放置して調湿したのち印字した。
印字長は、プリンターによって特定の印字パターンを印字した際の印字スタート部から印字ラスト部までの印字の長さであり、スティッキング性が優れている場合は印字パターンが正確に印字されるのに対し、スティッキング性が劣っている場合は感熱記録材料の同一部分に重複して印字され、また感熱記録材料の蛇行などが発生するため、スティッキング性が劣っている場合の印字長は、搬送性が優れている場合の印字長に比べて短くなる。よって、目視により搬送不良の有無を確認した。評価結果を纏めて表3に示す。
・〔評価B〕高湿環境条件下でのヘッド貼り付き性評価
各印刷加工済み感熱記録材料を、印刷加工部分上にサーマルヘッドが乗るようにプリンター(SM−90、寺岡精工社製)にセットし、ヘッドとプラテンロールで挟み込んだ状態で、35℃85%RHの高温高湿環境下に24時間放置したのち印字した。
貼り付きのないものは異常なく印字されるが、貼り付きのあるものは用紙が搬送されないとか、途中から搬送が始まるため印字長が短いなどの異常が確認される。よって、目視により搬送不良の有無を確認した。評価結果を纏めて表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性の二重結合を有するプレポリマー及びモノマー、紫外線によりラジカルを生成する光重合開始剤、並びに(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子を含有することを特徴とする紫外線硬化型インキ。
【請求項2】
球状粒子の平均粒子径が2〜5μmであることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型インキ。
【請求項3】
シリコン系化合物の配合割合がインキ全体量の5〜15重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の紫外線硬化型インキ。
【請求項4】
支持体上に、中間層、熱により呈色する感熱発色層、並びに、結着樹脂、架橋剤、フィラー及び離型剤を含有する保護層をこの順に有し、請求項1〜3の何れかに記載の紫外線硬化型インキで印刷加工されていることを特徴とする感熱記録材料。
【請求項5】
中間層に有機中空フィラーを含有することを特徴とする請求項4記載の感熱記録材料。
【請求項6】
有機中空フィラーの中空率が85%以上であることを特徴とする請求項5記載の感熱記録材料。
【請求項7】
保護層の結着樹脂が、反応性カルボニル基を含むポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の感熱記録材料。
【請求項8】
保護層の架橋剤がヒドラジド化合物であることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の感熱記録材料。
【請求項9】
保護層の離型剤が、(CHSiO3/2)n構造を有するシリコン系化合物の球状粒子であることを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載の感熱記録材料。
【請求項10】
離型剤の平均粒子径が1〜4μmであることを特徴とする請求項9記載の感熱記録材料。
【請求項11】
界面活性剤水溶液により離型剤を均一分散させた離型剤液を用いて作成されたことを特徴とする請求項9又は10記載の感熱記録材料。
【請求項12】
請求項4〜11の何れかに記載の感熱記録材料の裏面に粘着剤層を設けたことを特徴とする感熱記録ラベル。
【請求項13】
請求項4〜11の何れかに記載の感熱記録材料の裏面に、熱によって粘着性が発現する感熱粘着剤層を設けたことを特徴とする剥離紙不要感熱記録ラベル。
【請求項14】
プリンターにセットするサイズに打ち抜かれ、スリットによる小巻加工仕上げが行われたことを特徴とする請求項12又は13記載の感熱記録ラベル。

【公開番号】特開2008−24749(P2008−24749A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195684(P2006−195684)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】