説明

紫外線硬化型接着剤の硬化方法

【課題】従来の紫外線硬化型接着剤は、硬化直後に加熱処理しないと経時で着色するという問題があった。硬化直後に加熱処理することなく着色を防止する硬化方法を提供する。
【解決手段】基板表面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させることを特徴とする、紫外線硬化型接着剤の硬化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型接着剤の硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化技術はエレクトロニクス分野をはじめとして広く利用されており、紫外線硬化型接着剤の用途は、フォトレジスト、インク、接着剤、絶縁材料、レンズ材料等様々である。紫外線硬化型接着剤に要求される性能は、用途によって多少異なるが、光学素子に使用される場合、透明性は無論であるが他に耐候性も要求される。すなわち、使用する温度、湿度条件下でも接着力を保ちつつ経時によって着色しないことが求められる。
紫外線硬化型接着剤の着色防止方法としては、硬化した直後に加熱処理するのが一般的である(例えば、非特許文献1〜2参照。)。すなわち、硬化直後に加熱することで、接着剤に残留している着色の原因となる低分子量成分を除去することにより、着色を抑えるものである。しかし、紫外線硬化型接着剤を塗布する基板がフィルムやシート状物質である場合には、熱で変形してしまうことがあるため、加熱処理は好ましくない。そこで硬化直後の紫外線硬化型接着剤を加熱処理しなくても経時で着色しない、紫外線硬化型接着剤の硬化方法が求められている。
【非特許文献1】「光硬化技術実用ガイド」,テクノネット社,2002年
【非特許文献2】「紫外線硬化システム」,総合技術センター,1989年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、硬化直後に加熱処理しなくても紫外線硬化型接着剤の経時による着色が抑えられる硬化方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、特定の手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させることにより、着色が抑えられることを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明の第1は、基板表面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させることを特徴とする紫外線硬化型接着剤の硬化方法に関する。
【0006】
本発明の第2は、本発明の第1の方法によって得られる、片面を紫外線硬化型接着剤でコーティングされた基板の裏面に、紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して紫外線硬化型接着剤を硬化させ、両面が紫外線硬化型接着剤でコーティングされた基板を得ることを特徴とする紫外線硬化型接着剤の硬化方法に関する。
【0007】
本発明の第3は、紫外線硬化型接着剤が、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシルアミノベンゾエートおよび2,4−ジエチルチオキサントンから選ばれる光重合開始剤の1種または2種以上を含むことを特徴とする本発明の第1または本発明の第2に記載の硬化方法に関する。
【0008】
本発明の第4は、硬化直後に40℃以上の温度で加熱処理を行わないことを特徴とする本発明の第1ないし第3のいずれかに記載の硬化方法に関する。
本発明の第5は、硬化後の紫外線硬化型接着剤の厚さが1〜30μmであることを特徴とする本発明の第1ないし第4のいずれかに記載の硬化方法に関する。
【0009】
以下、本発明を詳述する。
本発明の、紫外線硬化型接着剤の硬化方法は、基板表面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させることを特徴とする。
【0010】
本発明の硬化方法が適用される紫外線硬化型接着剤を塗布する基板は特に限定されるものではないが、加熱すると変形しやすい材料ほど本発明の効果が発揮されるため好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリマーを主原料とするフィルムやシート状物質が特に好ましい。
【0011】
紫外線硬化型接着剤は、硬化反応の機構によってアクリル系などのラジカル重合系と、エポキシ系などのカチオン重合系に大別されるが、本発明に使用される紫外線硬化型接着剤は、原料となる各種のアクリル系モノマーやオリゴマーの豊富さや入手の容易さなどからアクリル系が好ましい。また、光重合開始剤もカチオン重合系よりもラジカル重合系の方が種類も多く、この面からもアクリル系の接着剤が好ましい。
アクリル系の紫外線硬化型接着剤を構成する原料としては、例えば、東亞合成(株)、大阪有機化学(株)、日本化薬(株)、新中村化学(株)等の各社から市販されている各種のアクリレート、メタクリレート類や、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等のオリゴマー類が例示できる。
【0012】
本発明において用いる紫外線硬化型接着剤には、光重合開始剤を添加することが好ましい。本発明で使用可能な光重合開始剤は、380nmよりも長波長領域の光照射によって機能を発現できるものであることが必要である。したがって、本発明において光重合開始剤としては、405nmにおける吸光係数(ε)がより高いものが好ましく、具体的には、メタノール中でε=10ml/g・cm以上のものが好ましく、100ml/g・cm以上のものがより好ましい。また、複数の光重合開始剤の併用、あるいは光重合開始剤に光増感剤を併用することも好ましく採用される。
【0013】
本発明で使用可能な光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシルアミノベンゾエート、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0014】
これらのうち、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等は、単独で405nmにおける吸光係数(ε)が高いため特に好ましい。
【0015】
また、単独では380nm以上の波長に吸収域を殆ど持たない光重合開始剤でも、他の光重合開始剤との併用により、長波長領域の光照射で光重合開始剤として機能させることができる。例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、単独では405nmの光を全く吸収しないが、2,4−ジエチルチオキサントンと併用させると、2,4−ジエチルチオキサントンの増感作用によって、405nmにおける吸光係数(ε)が高くなり、本発明において光重合開始剤として機能することができる。
【0016】
光重合開始剤の紫外線硬化型接着剤への添加量は、接着剤組成物全量基準で、10質量ppm〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは50質量ppm〜5質量%、最も好ましくは100質量ppm〜3質量%の範囲である。10質量ppmよりも少ない場合、重合が十分に進行せずフィルムやシート状物質との接着力が十分でないおそれがある。また10質量%よりも多い場合、残存する光重合開始剤の分解残存物が多くなり着色が激しくなる恐れがあるため好ましくない。
【0017】
また、本発明において用いる紫外線硬化型接着剤には、粘着性や接着性を改善させる目的で各種の増粘剤を添加してもよい。また、保存安定性や均一塗布性の向上のために、各種の安定剤やレベリング剤、界面活性剤等を添加してもよい。さらに必要によっては染・顔料や、流動性の制御のためにシリカや水酸化アルミニウム等の充填剤や溶剤を添加してもよい。
前記の増粘剤としては、本発明の紫外線硬化型接着剤に溶解しうるものであれば特に制限はなく、通常使用される各種の増粘剤、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、ゴム系、石油系炭化水素樹脂、(架橋型)アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0018】
本発明は、紫外線硬化型接着剤を基板表面に塗布した後、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させるものである。
300nm〜380nmの波長における全光線透過率を20%以下とする手段としては特に制限は無く、かかる目的を達成できる手段であれば様々な手段を使用することができる。例えば、300nm〜380nmの波長における全光線透過率を20%以下とするフィルターが挙げられる。具体的には、紫外線(UV)カットコーティングを施した透明ガラス板、ポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセチルセルロース(TAC)などを主原料とする市販の紫外線吸収剤を含む透明フィルム等からなるフィルターが挙げられる。
本発明において、300nm〜380nmの波長における全光線透過率は15%以下であることがより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が最も好ましい。300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%よりも高いと、短波長光の照射量の増加により、様々な分解生成物が生成し、着色の原因となるため好ましくない。
なお、本発明における300nm〜380nmの波長における全光線透過率とは、JIS K 7361−1に記載の方法に基づいて測定した300nm〜380nmの全波長域における光線透過率を意味する。
【0019】
300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下であるフィルターは、当然のことながら405nm付近の光を透過する必要がある。すなわち、照射光に含まれる405nm付近の波長の光によって、紫外線硬化型接着剤を硬化させるのが、本発明の大きな特徴である。
【0020】
本発明において光照射に用いる光源としては、380nmよりも長波長領域の光を発光するものが好ましく、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどが挙げられる。特に高圧水銀ランプは、光化学反応に一般に用いられており、幅広い領域で線スペクトルを有するため好ましい。
【0021】
本発明では、紫外線硬化型接着剤を硬化した直後に40℃以上の温度で加熱処理を行わないことが望ましい。通常の場合は、硬化直後に加熱処理を行わないと、すでに着色が激しくなっていたり、あるいは硬化直後は着色が目立たなくても経時で着色が徐々に激しくなることが多いことから、着色を防止するために、硬化直後に紫外線硬化型接着剤を加熱処理することが行われる。これに対し、本発明の300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下であるフィルターを介して光照射し、紫外線硬化型接着剤を硬化すると、照射される光が長波長領域に制限されるため、着色原因となる望ましくない成分の生成が抑制され、紫外線硬化型接着剤の経時着色が抑えられる。
【0022】
硬化後の紫外線硬化型接着剤の厚さは特に限定されないが、1〜30μmが望ましく、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。硬化後の紫外線硬化型接着剤が1μmよりも薄いと、基板との接着力が十分でないことがあるため好ましくない。また、30μmよりも厚い場合、均一な厚さで紫外線硬化型接着剤を基板上に塗布するのが難しいため好ましくない。
【発明の効果】
【0023】
本発明の、紫外線硬化型接着剤の硬化方法により、硬化直後に加熱処理を行わなくても紫外線硬化型接着剤の経時着色が抑えられるため、工程が簡略化される。
【実施例】
【0024】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)紫外線硬化型接着剤の硬化方法
高圧水銀ランプUVL−3204RS−N(ウシオ電機社製)を用いて、光源から40cmの距離で照射した。
(2)色値の測定
分光測色計CM−3500d(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
(3)全光線透過率の測定
紫外可視分光光度計JASCO V−500(日本分光社製)を用いて測定した。
【0025】
[参考例1]
三つ口フラスコに、M−1100(東亞合成社製アクリレート)を30g、M−313(東亞合成社製)を5g、M−5710(東亞合成社製)を20g、N−ビニルピロリドンを40g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを4g、2,4−ジエチルチオキサントンを1g、増粘剤(参考例3の方法で調整)を5gそれぞれ加え、遮光下65℃で1時間撹拌させ、紫外線硬化型接着剤1を得た。
【0026】
[参考例2]
三つ口フラスコに、M−1100(東亞合成社製)を30g、M−313(東亞合成社製)を5g、M−5710(東亞合成社製)を20g、N−ビニルピロリドンを40g、Darocur TPO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光重合開始剤)を5g、増粘剤(参考例3の方法で調整)を5gそれぞれ加え、遮光下65℃で1時間撹拌させ、紫外線硬化型接着剤2を得た。
【0027】
[参考例3]
重量平均分子量50万のアクリル樹脂系粘着剤(樹脂成分:n−ブチルアクリレート/メチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート=80重量%/18重量%/2重量%の共重合物)100重量部に、トリレンジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(架橋剤)3重量部を配合して増粘剤を得た。
【0028】
[参考例4]
紫外線硬化型接着剤アロニックスUV−3610(東亞合成社製)100gに、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを4gおよび2,4−ジエチルチオキサントンを1g添加し、遮光下40℃で20分撹拌し、紫外線硬化型接着剤3を得た。
【0029】
[比較例1]
参考例1で調製した紫外線硬化型接着剤1を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51(帝人デュポン社製)上に、5μm厚となるように塗布し、ポリテトラフルオロエチレンフィルムHSL−75(帝人デュポン社製:フィルム厚75μm)でラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム1を得た。
紫外可視分光光度計JASCO V−500(日本分光社製)で測定した、HSL−75フィルムの透過スペクトルを図1に示す。
【0030】
[比較例2]
比較例1で得た、フィルム1の裏面すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例1で調製した紫外線硬化型接着剤1を、5μm厚となるように塗布し、HSL−75フィルムでラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム2を得た。
【0031】
[比較例3]
参考例2で調製した紫外線硬化型接着剤2を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51上に、5μm厚となるように塗布し、HSL−75フィルムでラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間の紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム3を得た。
【0032】
[比較例4]
比較例3で得た、フィルム3の裏面すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例2で調製した紫外線硬化型接着剤2を、5μm厚となるように塗布し、HSL−75フィルムでラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム4を得た。
【0033】
[比較例5]
参考例4で調製した紫外線硬化型接着剤3を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51上に、5μm厚となるように塗布し、HSL−75フィルムでラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム5を得た。
【0034】
[比較例6]
比較例5で得た、フィルム5の裏面すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例4で調製した紫外線硬化型接着剤3を、5μm厚となるように塗布し、HSL−75フィルムでラミネートして、HSL−75フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HSL−75フィルムを剥離して、フィルム6を得た。
【0035】
[実施例1]
参考例1で調製した紫外線硬化型接着剤1を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51上に、5μm厚となるように塗布し、ポリテトラフルオロエチレンフィルムHB−25(帝人デュポン社製:フィルム厚25μm)でラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム7を得た。
紫外可視分光光度計JASCO V−500(日本分光社製)で測定した、HB−25フィルムの透過スペクトルを図2に示す。
【0036】
[実施例2]
実施例1で得た、フィルム7の裏面、すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例1で調製した紫外線硬化型接着剤1を、5μm厚となるように塗布し、HB−25フィルムでラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム8を得た。
【0037】
[実施例3]
参考例2で調製した紫外線硬化型接着剤2を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51上に、5μm厚となるように塗布し、HB−25フィルムでラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム9を得た。
【0038】
[実施例4]
実施例3で得た、フィルム9の裏面、すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例1で調製した紫外線硬化型接着剤1を、5μm厚となるように塗布し、HB−25フィルムでラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム10を得た。
【0039】
[実施例5]
参考例4で調製した紫外線硬化型接着剤3を、ポリエチレンナフタレートフィルムテオネックスQ−51上に、5μm厚となるように塗布し、HB−25フィルムでラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム11を得た。
【0040】
[実施例6]
実施例5で得た、フィルム11の裏面、すなわち接着剤を塗布していない面に、参考例4で調製した紫外線硬化型接着剤3を、5μm厚となるように塗布し、HB−25フィルムでラミネートして、HB−25フィルムを通して22秒間紫外線光を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させた。硬化後、HB−25フィルムを剥離して、フィルム12を得た。
【0041】
[実施例7]
比較例1〜6および実施例1〜6で得た、フィルム1〜12について、23℃、相対湿度60%の部屋に24時間静置した後、CM−3500d(コニカミノルタ社製)を用いてハンターLab表色系でそれぞれb値を測定し、次いで、90℃のオーブンに250時間投入した後のb値を、再度測定した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】比較例1で測定したHSL−75フィルムの透過スペクトルを示す。
【図2】実施例1で測定したHB−25フィルムの透過スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させることを特徴とする、紫外線硬化型接着剤の硬化方法。
【請求項2】
請求項1の方法によって得られる、片面が紫外線硬化型接着剤でコーティングされた基板の裏面に、紫外線硬化型接着剤を塗布し、300nm〜380nmの波長における全光線透過率が20%以下となる手段を介して光照射し紫外線硬化型接着剤を硬化させ、両面が紫外線硬化型接着剤でコーティングされた基板を得ることを特徴とする、紫外線硬化型接着剤の硬化方法。
【請求項3】
紫外線硬化型接着剤が、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシルアミノベンゾエートおよび2,4−ジエチルチオキサントンから選ばれる光重合開始剤の1種または2種以上を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の硬化方法。
【請求項4】
硬化直後に40℃以上の温度で加熱処理を行わないことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の硬化方法。
【請求項5】
硬化後の紫外線硬化型接着剤の厚さが1〜30μmであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の硬化方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−794(P2007−794A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184746(P2005−184746)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】