説明

組み合わせ抗ウイルス治療のための組成物および方法

【課題】特定のウイルス(例えば、HIV)で感染された患者の処置のための経口的活性薬物の新規の組み合わせを提供すること。
【解決手段】本発明は、[2−(6−アミノ−プリン−9イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステル(フマル酸テノホビルジソプロキシル、Viread(登録商標))と、(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン、EmtrivaTM、(−)−シスFTC)との治療用組み合わせ、およびそれらの生理学的に機能的な誘導体に関する。この組み合わせは、HIV感染症(ヌクレオシドインヒビターおよび/または非ヌクレオシドインヒビターに対して耐性があるHIV変異体での感染症を含む)の処置において、有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この非仮出願は、仮出願第60/440,246号および同第60/440,308号(両方とも2003年1月14日出願)の利益を主張する。これらの仮出願は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、抗ウイルス活性を有する化合物の組み合わせに関し、より詳細には、抗HIV特性を有する化合物の組み合わせに関する。特に、本発明は、構造的に多様な抗ウイルス剤の化学的に安定な組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症および関連の疾患は、世界中で主要な公衆衛生問題である。ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)は、ウイルス複製に必要とされる少なくとも3つの酵素(逆転写酵素(RT)、プロテアーゼ(Prt)、およびインテグラーゼ(Int))をコードする。逆転写酵素およびプロテアーゼを標的とする薬物は、広く使用され、特に、組み合わせて使用される場合、有効性を示しているが、毒性および耐性株の発生が、これらの有用性を限定している(Palellaら、N.Engl.J.Med.(1998)338:853−860;Richman,D.D.Nature(2001)410:995−1001)。ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)プロテアーゼ(Prt)は、ウイルス複製に必要不可欠であり、そして認可された抗ウイルス薬物については有効な標的である。このHIV Prtは、ウイルスGagおよびGag−Polポリタンパク質を切断し、ウイルス構造タンパク質(p17、p24、p7およびp6)ならびに3つのウイルス酵素を産生する。RTインヒビターを用いる組み合わせ治療は、ウイルス複製を、持続した期間に亘って、定量できないレベルまで抑制することに高度に効果的であると証明されている。また、RTインヒビターおよびPrtインヒビター(PI)を用いる組み合わせ治療は、HIV複製を抑制することにおいて相乗的な効果を示している。不幸なことには、高い割合(代表的には、30%〜50%)の患者が、現在、薬物耐性の発症、複雑な投与レジメンのコンプライアンス、薬物動態学的相互作用、毒性、および効力の欠如に起因して組み合わせ治療を失敗している。従って、変異HIV株に対して活性があり、明確な耐性プロフィール、より少ない副作用、複雑さが低い投与スケジュールを有し、そして経口的に活性である、新規のHIV−1インヒビターについてのニーズがある。特に、面倒さが少ない投与レジメン(例えば、最適には、可能な限り少ない丸剤での1日あたり1回の経口投与)についてのニーズがある。
【0004】
化合物の組み合わせの使用は、毒性が低減して等価な高ウイルス効果、または薬物効力の上昇を生じ得る。全体的な薬物投与がより少ないことは、HIVの薬物耐性変異体の発生の頻度を減少させ得る。多くの異なる方法が、異なるアッセイ系に一緒に作用する化合物の組み合わせの効果を試験するために使用されている(Furman、WO 02/068058)。より少ない投与は、丸剤負荷量が減少し、投与スケジュールが簡素化される場合、そして必要に応じて、化合物間の相乗効果が生じる場合、より良い患者のコンプライアンスを予想する(Loveday,C.「Nucleoside reverse transcriptase inhibitor resistance」(2001)JAIDS Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes 26:S10−S24)。AZT(zidovudineTM、3’−アジド,3’−デオキシチミジン)は、逆転写以外のHIV−1複製工程において作用する薬剤(組換え可溶性CD4カスタノスパーミンおよび組換えインターフェロンαを含む)と組み合わせて、インビトロで相乗的抗ウイルス活性を実証する。しかし、化合物の組合せは、上昇した細胞傷害性を引き起こし得ることを注意しなければならない。例えば、AZTおよび組換えインターフェロンαは、正常ヒト骨髄前駆細胞に対して上昇した細胞傷害効果を有する。
【0005】
抗ウイルス剤の組み合わせの化学的安定性は、共処方の成功の重要な局面であり、そして本発明は、このような組み合わせの例を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特定のウイルス(例えば、HIV)で感染された患者の処置のための経口的活性薬物の新規の組み合わせであって、高められた治療的安全性および効力を提供し、より低い耐性を与え、そしてより高い患者のコンプライアンスを予想する組み合わせについてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、抗ウイルス化合物の組み合わせ、特に、HIVの阻害のための組成物および方法を提供する。例示的な局面において、本発明は、抗HIV活性を有するフマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを含む組成物を含む。このテノホビルDFおよびエムトリシタビンの組成物は、化学的に安定であるとともに、相乗的であるか、および/またはテノホビルDFおよびエムトリシタビンのうちの1つもしくは両方の副作用を低減させるかのいずれかである。より低い丸剤負荷量および簡素化した投与スケジュールを参照すると、患者のコンプライアンスが上昇した可能性が高い。
【0008】
本発明は、[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノホビルDF、TDF、Viread(登録商標))と、(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン、EmtrivaTM、(−)−シスFTC)との治療用組み合わせ、およびHIV感染症(ヌクレオシドインヒビターおよび/または非ヌクレオシドインヒビターに対して耐性があるHIV変異体での感染症を含む)の処置においてのこれらの使用に関する。本発明はまた、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの上記組み合わせの薬学的組成物および処方物に関する。本発明の別の局面は、フマル酸テノホビルジソプロキシルの生理学的に機能的な誘導体、またはエムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体を含む、薬学的処方物である。
【0009】
本発明の治療用組み合わせならびに薬学的組成物および処方物は、PMEA化合物またはPMPA(テノホビル)化合物とエムトリシタビンまたは(2R,5S,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(3TC、ラミブジン、EpivirTM)との組み合わせ、およびHIV感染症の処置におけるこれらの使用を含む。
【0010】
本発明の1つの局面は、感染した動物におけるHIV感染症の症状または効果の処置または予防のための方法であって、この方法は、[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(テノホビルDF、TDF)またはその生理学的に機能的な誘導体、および(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)またはその生理学的に機能的な誘導体を含む、治療有効量の組み合わせを用いてこの動物に投与する工程(すなわち、処置する工程)を包含する、方法である。
【0011】
本発明の別の局面は、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビン、またはこれらの生理学的に機能的な誘導体を含む、治療用組み合わせの単位投与形態である。この単位投与形態は、経口的経路または他の経路による投与のために処方され得、そして構造的に多様な成分の特性に照らすと予想外に化学的に安定である。
【0012】
本発明の別の局面は、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを含む、化学的に安定な組み合わせの抗ウイルス組成物に関する。本発明のさらなる局面において、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの化学的に安定な組み合わせは、第3の抗ウイルス剤をさらに含む。この3成分混合物において、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの独特の化学的安定性が、第3の抗ウイルス剤との組み合わせを可能にするために利用される。特に有用な第3の薬剤としては、例として、表Aの薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、この第3の成分は、ヒトにおいての抗ウイルス使用について認可された薬剤であり、より好ましくは、この第3の成分は、NNRTIまたはプロテアーゼインヒビター(PI)であり、さらにより好ましくは、この第3の成分は、NNRTIである。特に好ましい実施形態において、本発明は、エファビレンズと一緒の、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの化学的に安定な混合物の組み合わせに関する。
【0013】
本発明の別の局面は、少なくとも1つの、代表的には2つの、そして必要に応じて3つの、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンから選択される活性成分および他の抗ウイルス剤、ならびにフマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを一緒に組み合わせての使用に関する指示を含む情報掲載物を備える、患者用パックである。
【0014】
本発明の別の局面は、本明細書中で上記の組み合わせを調製するためのプロセスであって、このプロセスは、医薬中の組み合わせのテノホビルDFおよびエムトリシタビンを関連させて、抗ウイルス効果を提供する工程を包含する。本発明のさらなる局面において、任意の上記のウイルス感染症または状態の処置のための医薬の製造における本発明の組み合わせの使用が提供される。
本発明は例えば、以下の局面を提供する。
(項目1)
感染した動物におけるHIV感染症の症状または効果の処置または予防のための方法であって、該動物に、[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)またはその生理学的に機能的な誘導体、および(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)またはその生理学的に機能的な誘導体を含む、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
前記組成物が、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記組成物が、約300mgのフマル酸テノホビルジソプロキシルおよび約200mgのエムトリシタビンを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、約1:50〜約50:1の重量比で存在する、項目1に記載の方法。
(項目5)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、約1:10〜約10:1の重量比で存在する、項目1に記載の方法。
(項目6)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、単位投与形態1つあたり約1mg〜約1000mgの量で各々存在する、項目1に記載の方法。
(項目7)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、単位投与形態1つあたり約100mg〜約300mgの量で各々存在する、項目1に記載の方法。
(項目8)
感染した動物におけるHIV感染症の症状または効果の処置または予防のための方法であって、該動物に、[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)またはその生理学的に機能的な誘導体、および式:
【化1】

の化合物を含む治療有効量の組成物を投与する工程を包含し、
ここで、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール、ニトロインドール、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサチン、シュードウリジン、5−フルオロシトシン、5−クロロシトシン、5−ブロモシトシン、5−ヨードシトシン、シュードシトシン、シュードイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、およびピラゾロ[3,4−D]ピリミジンから選択され;そして
Rは、H、C〜Cl8アルキル、C〜Cl8置換アルキル、C〜Cl8アルケニル、C〜Cl8置換アルケニル、C〜Cl8アルキニル、C〜Cl8置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20複素環、C〜C20置換複素環、ホスホネート、ホスホホスホネート、ジホスホホスホネート、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ポリエチレンオキシ、およびプロドラッグ部分から選択される、
方法。
(項目9)
組成物の1つの成分が、(2R,5S,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(3TC)である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記組成物が、鏡像異性体(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オンおよび(2S,5R,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オンのラセミ混合物である、エムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
項目1に記載の方法であって、前記組成物が、構造:
【化2】

を有するフマル酸テノホビルジソプロキシルの生理学的に機能的な誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を含み、
ここで、RおよびRが、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R、およびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールおよびC〜C20置換アリールであり;
が、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、またはCHORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、およびC〜Cハロアルキルであり;
およびRが、独立して、H、NH、NHRおよびNRから選択され、ここでRが、C〜Cアルキルであり;そして
およびRが、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択される、
方法。
(項目12)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)C(CHである、項目11に記載の方法。
(項目13)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)OC(CHである、項目11に記載の方法。
(項目14)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)OCH(CHである、項目11に記載の方法。
(項目15)
感染した動物におけるHIV感染症の症状または効果の処置または予防のための方法であって、治療有効量の[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)またはその生理学的に機能的な誘導体、および(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)またはその生理学的に機能的な誘導体を組み合わせて投与するか、または交互に投与する工程を包含する、方法。
(項目16)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、交互に投与される、項目15に記載の方法。
(項目17)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、単一組み合わせ処方物として組み合わされて投与される、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記単一組み合わせ処方物が、1日あたり1回、感染したヒトに投与される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記動物がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記組成物が、プロテアーゼインヒビター(PI)、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)、およびインテグラーゼインヒビターから選択される第3の活性成分をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記第3の活性成分が、9−[R−2−[[(S)−[[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ]−フェノキシホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニン(GS−7340)である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記組成物が、薬学的に受容可能な流動促進剤をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記流動促進剤が、二酸化ケイ素、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ステアリン酸金属塩、アルミノケイ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、炭酸マグネシウム、アスベストを含まない滑石、ステアロウェトC、デンプン、デンプン1500、ラウリル硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、およびこれらの組み合わせから選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記ステアリン酸金属塩が、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびこれらの組み合わせから選択される、項目23に記載の方法。
(項目25)
[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)またはその生理学的に機能的な誘導体、および(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)またはその生理学的に機能的な誘導体を含む、薬学的処方物。
(項目26)
1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤をさらに含む、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目27)
前記薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤が、糊化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、およびステアリン酸マグネシウム;ならびにこれらの組み合わせから選択される、項目26に記載の薬学的処方物。
(項目28)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、1:50〜50:1の重量比で存在する、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目29)
テノホビルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、1:10〜10:1の重量比で存在する、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目30)
単位投与形態である、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目31)
フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはその生理学的に機能的な誘導体、およびエムトリシタビンまたはその生理学的に機能的な誘導体が、各々かつ個々に、単位投与形態1つあたり100mg〜1000mgの量で存在する、項目30に記載の薬学的処方物。
(項目32)
フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを含む、項目31に記載の薬学的処方物。
(項目33)
約300mgのフマル酸テノホビルジソプロキシルおよび約200mgのエムトリシタビンを含む、項目32に記載の薬学的処方物。
(項目34)
経口投与に適切な、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目35)
錠剤またはカプセル剤の形態である、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目36)
感染したヒトへの1日あたり1回の投与に適切な、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目37)
(2R,5S,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(3TC)であるエムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体を含む、項目25に記載の薬学的処方物。
(項目38)
項目25に記載の薬学的処方物であって、前記組み合わせが、以下の構造:
【化3】

を有するフマル酸テノホビルジソプロキシルの生理学的に機能的な誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を含み、
ここで、RおよびRが、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R、およびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールまたはC〜C20置換アリールであり;
が、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、またはCHORであり、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、またはC〜Cハロアルキルであり;
およびRが、独立して、H、NH、NHRおよびNRから選択され、ここでRが、C〜Cアルキルであり;そして
およびRが、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択される、
薬学的処方物。
(項目39)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)C(CHである、項目38に記載の薬学的処方物。
(項目40)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)OC(CHである、項目38に記載の薬学的処方物。
(項目41)
およびRのうちの少なくとも1つが、−CHOC(=O)OCH(CHである、項目38に記載の薬学的処方物。
(項目42)
[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)および(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)から選択される少なくとも1つの活性成分、ならびにテノホビルおよびエムトリシタビンを一緒に組み合わせる使用に関する指示を含む情報掲載物を備える、患者用パック。
(項目43)
100mg〜1000mgのフマル酸テノホビルジソプロキシル、および100mg〜1000mgのエムトリシタビンを共処方した、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤を備える、項目42に記載の患者用パック。
(項目44)
300mgのフマル酸テノホビルジソプロキシル、および200mgのエムトリシタビンを共処方した、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤を備える、項目43に記載の患者用パック。
(項目45)
100mg〜1000mgのフマル酸テノホビルジソプロキシル、および100mg〜1000mgのエムトリシタビンの別々の丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤を備える、項目42に記載の患者用パック。
(項目46)
300mgのフマル酸テノホビルジソプロキシル、および200mgのエムトリシタビンの別々の丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤を備える、項目45に記載の患者用パック。
(項目47)
フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの、化学的に安定な組み合わせ。
(項目48)
前記組み合わせが、薬学的投与形態である、項目47に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目49)
前記投与形態が、経口用である、項目48に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目50)
第3の抗ウイルス剤をさらに含む、項目47、項目48、または項目49のいずれか1項に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目51)
前記第3の抗ウイルス剤が、NNRTIまたはPIである、項目50に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目52)
前記第3の抗ウイルス剤が、PIである、項目51に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目53)
前記第3の抗ウイルス剤が、NNRTIである、項目51に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目54)
前記第3の抗ウイルス剤が、Reyataz、KaletraまたはSustivaから選択される、項目50に記載の化学的に安定な組み合わせ。
(項目55)
フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンを含む、化学的に安定な経口用薬学的投与形態。
(項目56)
フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビンおよびReyatazを含む、化学的に安定な経口用薬学的投与形態。
(項目57)
フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビンおよびKaletraを含む、化学的に安定な経口用薬学的投与形態。
(項目58)
フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビンおよびSustivaを含む、化学的に安定な経口用薬学的投与形態。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、列挙された特許請求の範囲とともに記載されるが、本発明は、本発明をこの特許請求に限定することを意図しないことが理解される。対照的に、本発明は、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内に含まれ得る、全ての代替物、変更、および等価物を網羅することが意図される。
【0016】
(定義)
他に述べられない限り、以下の用語および成句は、本明細書中で使用される場合、以下の意味を有することが意図される:
商品名が本明細書中で使用される場合、出願人は、この商品名の製品およびこの商品名の製品の活性な薬学的成分を独立して含むことを意図する。
【0017】
用語「化学的安定性」とは、組み合わされた2つの主な抗ウイルス剤が、化学的分解に対して実質的に安定であることを意味する。好ましくは、これらは、組み合わせ製品の商業的に有用な貯蔵寿命を可能にするような物理的組み合わせにおいて十分に安定である。代表的には、「化学的に安定な」とは、2つの成分が物理的に組み合わされて薬学的投与形態を形成する場合、この混合物の第1の成分が、第2の成分を分解するように作用しないことを意味する。より代表的には、「化学的に安定な」とは、第1の成分の酸性度が、第2の成分の酸分解を触媒しないか、さもなければ加速させないことを意味する。例として、限定はしないが、本発明の1つの局面において、「化学的に安定な」とは、フマル酸テノホビルジソプロキシルが、エムトリシタビンの酸性度によって実質的に分解されないことを意味する。この状況における「実質的に」とは、製品が薬学的投与形態中に存在する場合、24時間の期間に亘る、少なくとも約10%未満の、好ましくは1%未満の、より好ましくは0.1%未満の、さらにより好ましくは0.01%未満のフマル酸テノホビルジソプロキシルの酸分解を意味する。
【0018】
用語「相乗効果」および「相乗的」とは、一緒に使用される化合物を用いて達成される効果が、化合物を別々に使用して生じる効果の合計よりも大きいこと(すなわち、別々に投与される2つの活性成分に基づいて予測される効果よりも大きいこと)を意味する。相乗効果は、化合物が:(1)共処方されて投与されるか、もしくは組み合わされた処方物で同時に送達されるか;(2)別々の処方物として交互に、もしくは並行で送達されるか;または(3)いくつかの他のレジメンによって投与される場合、獲得され得る。交互の治療において送達される場合、相乗効果は、例えば、別々の錠剤、丸剤もしくはカプセル剤で、または別々の注射器での別個の注入によって、化合物が逐次投与されるか、もしくは送達される場合、獲得され得る。概して、交互の治療の間、有効投与量の各活性成分は、逐次(すなわち、連続して)投与されるが、一方、組み合わせ治療において、有効投与量の2つ以上の活性成分は、一緒に投与される。相乗的抗ウイルス効果は、組み合わせの個々の化合物の、予想される純粋に相加的な効果よりも大きい抗ウイルス効果を示す。
【0019】
用語「生理学的に機能的な誘導体」とは、本発明の組み合わせにおいて別の薬学的に活性な化合物と組み合わせて投与される場合、テノホビルDFまたはエムトリシタビンに対して等価な生理学的機能または等価に近い生理学的機能を有する、薬学的に活性な化合物を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「生理学的に機能的な誘導体」は、任意の:生理学的に受容可能な塩、エーテル、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体(鏡像異性体、ジアステレオマー、または立体異性体に富んだ混合物もしくはラセミ混合物を含む)、および、レシピエントへの投与の際に、このような化合物または抗ウイルス的に活性な代謝産物もしくはその残渣を(直接的か、または間接的に)提供することを可能にする、任意の他の化合物を含む。
【0020】
「バイオアベイラビリティ」とは、薬学的に活性な薬剤が、身体へのこの薬剤の導入の後、標的組織に利用可能となる場合に対する程度である。薬学的に活性な薬剤のバイオアベイラビリティの増大は、患者にとってより効果的な処置および効果的な処置を提供し得る。なぜなら、所定の用量について、より多くの薬学的に活性な薬剤は、標的組織部位において有効であるからである。
【0021】
本発明の組み合わせの化合物は、「活性成分」または「薬学的に活性な薬剤」として言われ得る。
【0022】
用語「プロドラッグ」とは、本明細書中で使用される場合、生物系に投与される場合に自然に生じる化学反応、酵素触媒化学反応、および/または代謝化学反応の結果として薬物基質(すなわち、活性成分)を生成する、任意の化合物をいう。
【0023】
「プロドラッグ部分」とは、代謝の間、全身的に、細胞内で、加水分解、酵素的開裂によって、またはいくつかの他のプロセスによって、活性阻害化合物から分離する不安定な官能基を意味する(Textbook of Drug Design and Development(1991)中の、Bundgaard,Hans,「Design and Application of Prodrugs」,P.Krogsgaard−LarsenおよびH.Bundgaard編、Harwood Academic Publishers,pp.113−191)。プロドラッグ部分は、溶解度、吸収、および親油性を高め、薬物送達、バイオアベイラビリティおよび効力を最適化することに役立ち得る。従って、「プロドラッグ」とは、治療的に活性な化合物の共有結合的に修飾されたアナログである。
【0024】
「アルキル」とは、もとのアルカン、アルケン、またはアルキンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、飽和または不飽和の、分枝鎖状の、直鎖状の、分枝鎖状の、または環状の炭化水素基を意味する。代表的なアルキル基は、1〜18個の飽和炭素および/または不飽和炭素(例えば、直鎖状炭素原子、2級炭素原子、3級炭素原子または環状炭素原子)からなる。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル、Me(−CH)、エチル、Et(−CHCH)、アセチレン(−C≡CH)、エチレン、ビニル(−CH=CH)、1−プロピル、n−Pr、n−プロピル(−CHCHCH)、2−プロピル、i−Pr、i−プロピル(−CH(CH)、アリル(−CHCH=CH)、プロパルジル(−CHC≡CH)、シクロプロピル(−C)、1−ブチル、n−Bu、n−ブチル(−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル、i−Bu、i−ブチル(−CHCH(CH)、2−ブチル、s−Bu、s−ブチル(−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル、t−Bu、t−ブチル(−C(CH)、1−ペンチル、n−ペンチル、(−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、シクロプロピル(−C)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)1−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、シクロヘキシル(−C11)、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、および3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)。
【0025】
「アリール」とは、もとの芳香環系の単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、6〜20個の炭素原子の一価の芳香族炭化水素基を意味する。代表的なアリール基としては、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「アリールアルキル」とは、炭素原子(代表的には、末端炭素原子またはsp炭素原子)に結合した水素原子の1つが、アリール基で置換される、非環式アルキル基をいう。代表的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールアルキル基の6〜20個の炭素原子は、例えば、アリールアルキル基のアルキル部分(アルカニル基、アルケニル基またはアルキニル基を含む)が、1〜6個の炭素原子であり、そしてアリール部分が5〜14個の炭素原子である。
【0027】
「置換アルキル」、「置換アリール」、および「置換アリールアルキル」とはそれぞれ、1つ以上の水素原子が各々独立して置換基で置換されている、アルキル、アリール、およびアリールアルキルを意味する。代表的な置換基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NRR、−S(=O)、−S(=O)OH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)ORR、−P(=O)ORR−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRR、−C(NR)NRR。ここで、各Xは、独立してハロゲン(F、Cl、Br、またはI)であり;そして各Rは、独立して、−H、アルキル、アリール、複素環、またはプロドラッグ部分である。
【0028】
「ヘテロアリール」および「複素環」とは、1つ以上の環原子が、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素および硫黄)である環系をいう。複素環は、以下に記載される:Katritzky,Alan R.,Rees,C.W.,およびScriven,E.Comprehensive Heterocyclic Chemistry(1996)Pergamon Press;Paquette,Leo A.;Principles of Modern Heterocyclic Chemistry W.A.Benjamin,New York,(1968),特に第1章,第3章,第4章,第6章,第7章,および第9章;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs」(John Wiley & Sons,New York,1950年から現在まで),特に第13巻,第14巻,第16巻,第19巻,および第28巻。例示的な複素環としては、以下の置換基が挙げられるが、これらに限定されない:すなわち、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、2−イミダゾール、4−イミダゾール、3−ピラゾール、4−ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、シノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、3−(1,2,4−N)−トリアゾリル、5−(1,2,4−N)−トリアゾリル,5−テトラゾリル、4−(1−O,3−N)−オキサゾール、5−(1−O,3−N)−オキサゾール、4−(1−S,3−N)−チアゾール、5−(1−S,3−N)−チアゾール、2−ベンゾキサゾール、2−ベンゾチアゾール、4−(1,2,3−N)−ベンゾトリアゾール、およびベンジミダゾールから誘導される基。
【0029】
本明細書中で使用される立体化学の定義および慣習は、一般的には、S.P.Parker編,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York;ならびに、Eliel,E.およびWilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物が、光学的に活性な形態で存在する。すなわち、これらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物を記載することにおいて、接頭語DおよびL、またはRおよびSは、そのキラル中心の周りでの分子の絶対立体配置を表すために使用される。接頭語dおよびl、または(+)および(−)は、化合物による平面偏光の回転の符号を表すために使用される。(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭語を付けられた化合物は、右旋性である。所定の化学構造について、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、これらが互いの鏡像である以外は、同一である。特定の立体異性体もまた、鏡像異性体としていわれ、そしてこのような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物としばしば呼ばれる。鏡像異性体の50:50の混合物は、ラセミ混合物またはラセミ化合物と言われる。用語「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」とは、2つの鏡像異性体種の等モルの混合物(光学活性を欠く)をいう。
【0030】
用語「キラル」とは、鏡像相手に重ね合わせることが可能でない特性を有する分子をいうが、用語「アキラル」とは、それらの鏡像相手に重ね合わせることが可能な分子をいう。
【0031】
用語「立体異性体」とは、同一の化学構成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる、化合物をいう。
【0032】
「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラリティー中心を有し、そしてこれらの分子が互いの鏡像でない、立体異性体をいう。ジアステレオマーは、異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性、および反応性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順(例えば、電気泳動およびクロマトグラフィー)に基づいて分離し得る。
【0033】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることが可能でない鏡像である化合物の2つの立体異性体をいう。
【0034】
(組み合わせの活性成分)
本発明は、一緒に使用されている2つ以上の活性成分の新規の組み合わせを提供する。いくつかの実施形態において、相乗的抗ウイルス効果が達成される。他の実施形態において、化学的に安定な組み合わせが得られる。この組み合わせは、(1)フマル酸テノホビルジソプロキシルおよび生理学的に機能的な誘導体から選択される少なくとも1つの活性成分、ならびに(2)エムトリシタビンおよび生理学的に機能的な誘導体から選択される少なくとも1つの活性成分を含む。用語「相乗的抗ウイルス効果」は、組み合わせの個々の成分(a)および(b)の予想される純粋に相加的な効果よりも大きい抗ウイルス効果を表すように本明細書中で使用される。
【0035】
テノホビルジソプロキシル(Viread(登録商標)、テノホビルDF、テノホビルジソプロキシル、TDF、ビス−POC−PMPAとしても公知(米国特許第5935946号、同第5922695号、同第5977089号、同第6043230号、同第6069249号))は、テノホビルのプロドラッグであり、そして以下の構造:
【0036】
【化4】

を有し、そしてフマル酸塩(HOCCHCHCO)を含む。
【0037】
フマル酸テノホビルジソプロキシルについての化学名としては、以下が挙げられる:[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステル;9−[(R)−2−[[ビス[[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]メトキシ]ホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニン;および2,4,6,8−テトラオキサ−5−ホスファノナネジオン酸,5−[[(1R)−2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル−,ビス(1−メチルエチル)エステル,5−オキシド。CAS登録番号としては、以下が挙げられる:201341−05−1;202138−50−9;206184−49−8。テノホビルのエトキシメチル単位は、キラル中心を有するということが注意されるべきである。R(右(rectus)、右まわりの立体配置)鏡像異性体が、示される。しかし、本発明はまた、S異性体を含む。本発明は、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物、およびテノホビル(PMPA)の立体異性体に富んだ混合物、ならびにその生理学的に機能的な誘導体を含む。
【0038】
PMPAまたはテノホビル(米国特許第4808716号、同第5733788号、同第6057305号)は、以下の構造:
【0039】
【化5】

を有する。
【0040】
PMPA、テノホビルの化学名としては、以下が挙げられる:(R)−9−(2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン;およびホスホン酸,[[(1R)−2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル]。CAS登録番号は、147127−20−6である。
【0041】
フマル酸テノホビルジソプロキシル(DF)は、他の抗レトロウイルス剤と組み合わせてのHIV−1感染症の処置について、米国で2001年に認可されたヌクレオチド逆転写酵素インヒビターである。フマル酸テノホビルジソプロキシルまたはViread(登録商標)(Gilead Science,Inc.)は、テノホビルジソプロキシルのフマル酸塩である。Viread(登録商標)は、以下のように命名され得る:9−[(R)−2−[[ビス[[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]メトキシ]ホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニンフマル酸塩(1:1);または2,4,6,8−テトラオキサ−5−ホスファノナネジオン酸,5−[[(1R)−2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル]−,ビス(1−メチルエチル)エステル,5−オキシド,(2E)−2−ブテネジオン酸塩(1:1)。CAS登録番号は、202138−50−9である。
【0042】
フマル酸テノホビルジソプロキシルの生理学的に機能的な誘導体としては、PMEA(アデホビル、9−((R)−2−(ホスホノメトキシ)エチル)アデニン)、およびPMPA化合物が挙げられる。例示的な組み合わせとしては、エムトリシタビンまたは3TCと組み合わせたPMEA化合物またはPMPA化合物が挙げられる。PMEA化合物およびPMPA化合物は、以下の構造:
【0043】
【化6】

を有し、
ここで、PMEAについては、RはHであり、そしてPMPAについては、Rは、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、またはCHORであり、ここでRは、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、またはC〜Cハロアルキルである。RおよびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルである。RおよびRは、独立して、H、NH、NHRまたはNRであり、ここでRは、C〜Cアルキルである。RおよびRは、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R(例えば、POM)、またはアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)OR(例えば、POC)であり、ここでRは、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールまたはC〜C20置換アリールである。例えば、RおよびRは、ピバロイルオキシメトキシ、POM、−CHOC(=O)C(CH;−CHOC(=O)OC(CH;またはPOC、−CHOC(=O)OCH(CHであり得る。また例えば、テノホビルは、RがCHであり、そしてR、R、R、R、R、およびRがHである構造を有する。ジアルキルホスホネートは、以下の方法に従って調製され得る:Quastら(1974)Synthesis 490;Stowellら(1990)Tetrahedron Lett.3261;米国特許第5663159号。
【0044】
PMPA化合物は、鏡像異性体に富んでいるか、または純粋(単一の立体異性体)であり得、ここでRを有する炭素原子は、R鏡像異性体またはS鏡像異性体であり得る。PMPA化合物は、ラセミ化合物(すなわち、R立体異性体およびS立体異性体の混合物)であり得る。
【0045】
アデホビル(R〜RがHである、9−(2−ホスホノメトキシエチル)アデニン)は、例示的なPMEA化合物である(米国特許第4808716号、同第4724233号)。ビス−ピバレートプロドラッグとして、アデホビルジピボキシル(ビス−POM PMEAとしても公知)(R〜Rは、Hであり、RおよびRは、−CHOC(=O)C(CH、ピボキシル、POM、ピバロイルオキシメトキシである)は、HIV感染症およびB型肝炎感染症に対して効果的である(米国特許第5663159号、同第6451340号)。アデホビルジピボキシルは、抗HIV活性を有する他の化合物(PMPA、d4T、ddC、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビルが挙げられる)と組み合わせて、HIV複製の低い程度から中程度の相乗的阻害を実証している(Mulatoら(1997)Antiviral Research 36:91−97)。
【0046】
本発明は、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物、ならびにPMEAおよびPMPAの立体異性体に富んだ混合物、ならびにその生理学的に機能的な誘導体を含む。
【0047】
エムトリシタビン((−)−シス−FTC、EmtrivaTM)(FTCの単一の鏡像異性体)は、HIVの処置について認可された強力なヌクレオシド逆転写酵素インヒビターである(米国特許第5047407号、同第5179104号、同第5204466号、同第5210085号、同第5486520号、同第5538975号、同第5587480号、同第5618820号、同第5763606号、同第5814639号、同第5914331号、同第6114343号、同第6180639号、同第6215004号;WO 02/070518)。この単一の鏡像異性体エムトリシタビンは、以下の構造を有する:
【0048】
【化7】

エムトリシタビンについての化学名としては、以下が挙げられる:(−)−シス−FTC;β−L−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン;(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン;および4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−[1,3]−(2R,5S)−オキサチオラン−5−イル)−1H−ピリミジン−2−オン。CAS登録番号としては、以下が挙げられる:143491−57−0;143491−54−7。FTCは、オキサチオラン環の2位および5位に2つのキラル中心を含み、従って、光学異性体(すなわち、鏡像異性体)の2対の形態、およびその混合物の形態(ラセミ混合物を含む)で存在し得ることが注意されるべきである。従って、FTCは、シス異性体、もしくはトランス異性体、またはその混合物のいずれかであり得る。シス異性体およびトランス異性体の混合物は、異なる物理的特性を有するジアステレオマーである。各々のシス異性体およびトランス異性体は、2つの鏡像異性体のうちの1つとして、またはその混合物(ラセミ混合物を含む)として存在し得る。本発明は、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物、およびエムトリシタビンの立体異性体に富んだ混合物、ならびにその生理学的に機能的な誘導体を含む。例えば、本発明は、鏡像異性体(2R,5S,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)およびその鏡像(2S,5R,シス)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オンの1:1ラセミ混合物、または任意の相対量にある2つの鏡像異性体の混合物のような、生理学的に機能的な誘導体を含む。本発明はまた、FTCのシス型およびトランス型の混合物を含む。
【0049】
エムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体は、以下の構造:
【0050】
【化8】

を有する1,3オキサチオランヌクレオシドを含む。
【0051】
上記の1,3オキサチオランヌクレオシド構造において、Bは、相補的核酸塩基または核酸塩基アナログ(例えば、プリン、7−デアザプリン、またはピリミジン)と対合してワトソン−クリック水素結合を形成することが可能な、任意の窒素含有複素環式部分を含む核酸塩基である。Bの例としては、以下の天然に存在する核酸塩基が挙げられる:アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、ならびに天然に存在する核酸塩基の微量成分およびアナログ(例えば、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール、ニトロインドール、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサチン、シュードウリジン、5−フルオロシトシン、5−クロロシトシン、5−ブロモシトシン、5−ヨードシトシン、シュードシトシン、シュードイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン(米国特許第6,143,877号および同第6,127,121号;WO 01/38584)、ならびにエテノアデニン(Fasman(1989)in Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,pp.385−394,CRC Press,Boca Raton,Fl))。
【0052】
核酸塩基Bは、天然に存在する核酸の立体配置において、プリンのN−9間の共有結合を介して(例えば、アデニン−9−イルおよびグアニン−9−イル)、またはピリミジンのN−1間の共有結合を介して(例えば、チミン−1−イルおよびシトシン−1−イル)、1,3オキサチオラン部分に結合され得る(Blackburn,G.およびGait,M.編「DNA and RNA structure」in Nucleic Acids in Chemistry and Biology,第2版,(1996)Oxford University Press,pp.15−81)。
【0053】
また、上記の1,3オキサチオランヌクレオシド構造において、Rは、H、C〜C18アルキル、C〜C18置換アルキル、C〜C18アルケニル、C〜C18置換アルケニル、C〜C18アルキニル、C〜C18置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20複素環、C〜C20置換複素環、ホスホネート、ホスホホスホネート、ジホスホホスホネート、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ポリエチレンオキシ、またはプロドラッグ部分である。
【0054】
エムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体はまた、3TC(ラミブジン、Epivir(登録商標))を含む。3TCは、Combivir(登録商標)(GlaxoSmithKline)としてのAZTと組み合わせたHIV−1感染症の処置について、米国で認可された逆転転写酵素インヒビターである。米国特許第5859021号;同第5905082号;同第6177435号;同第5627186号;同第6417191号。ラミブジン(米国特許第5587480号、同第5696254号、同第5618820号、同第5756706号、同第5744596号、同第568164号、同第5466806号、同第5151426号)は、以下の構造を有する。
【0055】
【化9】

例えば、いくつかの治療的使用について、3TCは、テノホビルDFまたはテノホビルDFの生理学的に機能的な誘導体と組み合わせた、エムトリシタビンの生理学的に機能的な誘導体であり得る。
【0056】
テノホビルDFおよびエムトリシタビン、ならびにそれらの生理学的に機能的な誘導体は、ケト型またはエノール型の互変異性型で存在し得、そして任意のその互変異性型の使用は、本発明の範囲内であることが認識される。テノホビルDFおよびエムトリシタビンは、通常、対応する鏡像異性体を実質的に含まない(すなわち、約5w/w%未満の対応する鏡像異性体が存在する)本発明の組み合わせで利用される。
【0057】
(プロドラッグ)
本発明は、テノホビルおよびエムトリシタビンの全てのプロドラッグを含む。テノホビルの例示的なプロドラッグは、フマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF、Viread(登録商標))である。多くの構造的に多様なプロドラッグは、ホスホン酸について記載されている(FreemanおよびRoss、Progress in Medicinal Chemistry 34:112−147(1997))。一般的に使用されるプロドラッグクラスは、アシルオキシアルキルエステルであり、このアシルオキシアルキルエステルは、カルボン酸についてのプロドラッグ戦略として最初に使用され、次いで、Farquharら(1983)J.Pharm.Sci.72:324;また、米国特許第4816570号、同第4968788号、同第5663159号、ならびに同第5792756号によって、ホスフェートおよびホスホネートに適用された。引き続いて、アシルオキシアルキルエステルは、細胞膜をまたがってホスホン酸を送達するために使用され、そして経口バイオアベイラビリティを高めるために使用された。アシルオキシアルキルエステル戦略の近い改変体である、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステルもまた、本発明の組み合わせの化合物におけるプロドラッグ部分として、経口バイオアベイラビリティを高め得る。リン基のアリールエステル(特に、フェニルエステル)は、経口バイオアベイラビリティを高めることが報告される(DeLambertら(1994)J.Med.Chem.37:498)。ホスフェートのオルト位にカルボン酸エステルを含有するフェニルエステルもまた、記載されている(KhamneiおよびTorrence,(1996)J.Med.Chem.39:4109−4115)。ベンジルエステルは、もとのホスホン酸を生成することが報告される。いくつかの場合において、オルト位またはパラ位における置換基は、加水分解を促進させ得る。アシル化フェノールまたはアルキル化フェノールを有するベンジルアナログは、酵素(例えば、エステラーゼ、オキシダーゼなど)の作用を介して、フェノール性化合物を生成し得る。このフェノール性化合物は、次に、ベンジル性C−O結合での切断を受け、リン酸およびキノンメチド中間体を生じる。プロドラッグのこのクラスの例は、Mitchellら(1992)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 2345;Brookら、WO 91/19721によって記載される。さらに他のベンジル性プロドラッグは、ベンジル性メチレンに結合されるカルボン酸エステル含有基を含むように記載されている(Glazierら、WO 91/19721)。チオ含有プロドラッグは、ホスホネート薬物の細胞内送達について有用であると報告される。これらのプロエステルは、エチルチオ基を含み、このエチルチオ基において、チオール基はアシル基でエステル化されるか、または別のチオール基と結合してジスルフィドを形成するかのいずれかである。このジスルフィドの脱エステル化または還元は、遊離のチオ中間体を生成し、この中間体は、引き続いて、リン酸およびエピスルフィドに分解される(Puechら(1993)Antiviral Res.,22:155−174;Benzariaら(1996)J.Med.Chem.39:4958)。環状ホスホン酸エステルもまた、リン含有化合物のプロドラッグとして記載されている。
【0058】
本発明に従うプロドラッグエステルは、独立して、以下の群から選択される:(1)テノホビルもしくはエムトリシタビンまたは任意の他の化合物のモノ−リン酸エステル、ジ−リン酸エステル、およびトリ−リン酸エステル(テノホビルまたはエムトリシタビンもしくは任意の他の化合物は、ヒト被験体への投与の際に、上記のモノ−リン酸エステル、ジ−リン酸エステル、またはトリ−リン酸エステルを(直接的または間接的に)提供することが可能である);(2)カルボン酸エステル、(3)スルホン酸エステル(例えば、アルキルスルホニルまたはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル));(4)アミノ酸エステル(例えば、アラニン、L−バリルまたはL−イソロイシル);(5)ホスホン酸エステル;および(6)ホスホンアミデートエステル。
【0059】
エステル基(1)〜(6)は、以下で置換され得る:直鎖状もしくは分枝鎖状のC〜C18アルキル(例えば、メチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル);C〜C12シクロアルキル;アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル);アリールアルキル(例えば、ベンジル);アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル);C〜C20アリール(例えば、必要に応じて(例えば、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはアミノで)置換されたフェニル);アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R(例えば、POM)、またはアシルオキシメチルカルボン酸エステル−CHOC(=O)OR(例えば、POC)、ここでRは、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールもしくはC〜C20置換アリールである。例えば、エステル基は、以下であり得る:−CHOC(=O)C(CH、−CHOC(=O)OC(CH、または−CHOC(=O)OCH(CH
【0060】
このようなエステルに存在する例示的なアリール部分は、フェニル基または置換フェニル基を含む。多くのホスフェートプロドラッグ部分は、米国特許第6312662号;Jonesら(1995)Antiviral Research 27:1−17;Kuceraら(1990)AIDS Res.Hum.Retro Viruses 6:491−501;Piantadosiら(1991)J.Med.Chem.34:1408−14;Hostellerら(1992)Antimicrob.Agents Chemother.36:2025−29;Hostetlerら(1990)J.Biol.Chem.265:611127;およびSiddiquiら(1999)J.Med.Chem.42:4122−28に記載される。
【0061】
薬学的に受容可能なプロドラッグとは、宿主の中で代謝されて(例えば、酵素作用によって、または一般的な酸加溶媒分解もしくは塩基加溶媒分解のいずれかによって、加水分解もしくは酸化されて)、活性成分を形成する、化合物をいう。本発明の組み合わせの活性成分のプロドラッグの代表的な例は、この活性化合物の官能基部分に生物学的に不安定な保護基を有する。プロドラッグは、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、エステル化、脱エステル化、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、脱リン酸化、または他の官能基交換もしくは変換(このプロドラッグの化学結合の形成または切断を含む)され得る化合物を含む。
【0062】
(薬学的処方物の化学的安定性)
薬学的処方物中の活性成分の化学的安定性は、不純物の生成を最小化し、そして適切な貯蔵寿命を保障することに関連する。本発明の薬学的処方物中の活性成分であるフマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンは、比較的小さいpKa値(活性成分の酸加水分解を引き起こす可能性を示す)を有する。2.65のpKaを有するエムトリシタビン(EmtrivaTM Product Insert,Gilead Sciences,Inc.2003,gilead.comで入手可能)は、5−フルオロシトシン核酸塩基の加水分解的脱アミノ化を受け、5−フルオロウリジン核酸塩基を形成する。3.75のpKaを有するフマル酸テノホビルジソプロキシル(Yuan L.ら「Degradation Kinetics of Oxycarbonyloxymethyl Prodrugs of Phosphonates in Solution」,Pharmaceutical Research(2001)第18巻,第2号,234−237)もまた、アデニン核酸塩基の環外のアミンの加水分解的脱アミノ化を受け、そしてPOCエステル基のうちの1つまたは両方の加水分解を受ける(米国特許第5922695号)。フマル酸テノホビルジソプロキシルとエムトリシタビンとの治療用組み合わせ、およびその生理学的に機能的な誘導体を、最小限の不純物および適切な安定性を有するように処方することが望ましい。
【0063】
本発明の組み合わせは、以下の酸分解に対して化学的に安定である、組み合わせの薬学的投与形態を提供する:(1)第1の成分(例えば、フマル酸テノホビルジソプロキシル、および生理学的に機能的な誘導体);(2)第2の成分(例えば、エムトリシタビン、生理学的に機能的な誘導体);および(3)必要に応じて、抗ウイルス活性を有する第3の成分。この第3の成分としては、抗HIV剤が挙げられ、そして、プロテアーゼインヒビター(PI)、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)、およびインテグラーゼインヒビターを含む。第1の成分と第2の成分との組み合わせで投与される例示的な第3の活性成分は、表Aに示される。第1の成分および第2の成分は、「組み合わせの活性成分」と題名を付けられた上節で定義されるようなものである。
【0064】
(塩)
本発明の組成物における任意の化合物に対する任意の言及もまた、任意のその生理学的に受容可能な塩を含む。テノホビルDF、エムトリシタビンおよびそれらの生理学的に機能的な誘導体の生理学的に受容可能な塩の例としては、適切な塩基(例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニアおよびNX(ここで、XはC〜Cアルキルである))、または有機酸(例えば、フマル酸、酢酸、コハク酸)から誘導される塩が挙げられる。水素原子またはアミノ基の生理学的に受容可能な塩としては、有機カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、コハク酸)、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸)、ならびに無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、もしくはスルファミン酸)の塩が挙げられる。ヒドロキシ基の化合物の生理学的に受容可能な塩としては、適切なカチオン(例えば、NaおよびNX(ここでXは、独立して、HまたはC〜Cアルキル基から選択される))と組み合わせたこの化合物のアニオンが挙げられる。
【0065】
治療的使用のために、本発明の組み合わせの活性成分の塩は、生理学的に受容可能である。すなわち、これらは、生理学的に受容可能な酸または塩基から誘導される塩である。しかし、生理学的に受容可能でない酸または塩基の塩もまた、例えば、生理学的に受容可能な化合物の調製または精製において、使用を見出し得る。全ての塩は、生理学的に受容可能な酸または塩基から誘導されようと誘導されまいと、本発明の範囲内にある。
【0066】
(処方物の投与)
組み合わせの活性成分については、単独治療として、単独および別々に投与されることは可能であるが、この組み合わせの活性成分を薬学的共処方物として投与することが好ましい。2つの部分の、または3つの部分の組み合わせが、同時にまたは順次投与され得る。順次投与される場合、この組み合わせは、1つ、2つ、または3つの投与物で投与され得る。
【0067】
好ましくは、2つの部分、または3つの部分の組み合わせは、単一の薬学的投与形態で投与される。より好ましくは、2つの部分の組み合わせは、単一の経口投与形態として投与され、そして3つの部分の組み合わせは、2つの同一の経口投与形態として投与される。例としては、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの単一の錠剤、または、フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン、およびエファビレンズの2つの錠剤が挙げられる。
【0068】
組み合わせの化合物は、(1)共処方物における化合物の組み合わせによって同時に、または(2)別々の薬学的処方物において交代で(すなわち、連続的に、順次に、並行でまたは同時に化合物を送達すること)投与され得ることが認識される。交互の治療において、第2の活性成分、および必要に応じて第3の活性成分を投与することにおける遅れは、例えば、活性成分の組み合わせの相乗的治療効果の利益を損失するべきではない。投与(1)または(2)のいずれかの方法によって、理想的には、組み合わせは、各活性成分の最高の血漿濃度を達成するように投与されるべきである。組み合わせ共処方物の投与による、1日1回1錠レジメン(one pill once−per−day regimen)は、何人かのHIV陽性患者に対して実行可能であり得る。組み合わせの活性成分の効果的な最高血漿濃度は、約0.001μM〜100μMの範囲にある。最適な最高血漿濃度は、特定の患者について処方される処方物および投与レジメンによって達成され得る。テノホビルDFおよびエムトリシタビン、またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体は、同時に与えられるか、または順次与えられるかいずれにせよ、個々に、複数で、または任意のこれらの組み合わせで、投与され得ることもまた理解される。概して、交互の治療(2)の間、有効投与量の各化合物は連続的に投与され、共処方治療(1)においては、有効投与量の2つ以上の化合物が、一緒に投与される。
【0069】
(組み合わせの処方物)
組み合わせの個々の成分が別々に投与される場合、これらは一般的に、薬学的処方物として各々表される。処方物に対する明細書中で下記の言及は、他に特に提示されない限り、これらの組み合わせまたはこれらの成分化合物のいずれかを含有する、処方物を言及する。患者を本発明の正しい使用に転換させるパッケージ掲載物内にある、各処方物の単一の患者用パック、または複数の患者用パックによる本発明の組み合わせの投与は、本発明の所望のさらなる特徴であることが理解される。本発明はまた、別々の投与に関連して、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの処方物、またはこれらのいずれかもしくはこれらの両方の生理学的に機能的な誘導体を備える2つのパックを含む。
【0070】
本発明の組み合わせ治療は:(1)テノホビルDFとエムトリシタビンとの組み合わせ、または(2)これらのいずれかもしくはこれらの両方の生理学的に機能的な誘導体を含む組み合わせを含む。
【0071】
この組み合わせは、この活性成分の定期的(例えば、毎日)投与または部分投与(subdose)のための固定量の各活性薬学的成分を含む、単位投与量処方物で投与され得る。
【0072】
本発明に従う薬学的処方物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤および必要に応じて他の治療剤と一緒に、本発明に従う組み合わせを含む。活性成分を含有する薬学的処方物は、投与が意図された方法に適切な任意の形態であり得る。経口的使用に使用される場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性懸濁液または油性懸濁液、分散可能な散剤または顆粒剤、乳剤、硬質または軟質カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤が、調製され得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)。経口的使用が意図される組成物は、薬学的組成物の製造について当該分野で公知の任意の方法に従って調製され得、そしてこのような組成物は、口当たりが良い調製物を提供するために、1種以上の薬剤(抗酸化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤および保存剤を含む)を含み得る。錠剤の製造に適している無毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合して活性成分を含む錠剤は、受容可能である。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸);結合剤(例えば、セルロース、微結晶性セルロース、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);ならびに滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸または滑石)であり得る。錠剤は、コーティングされなくても、または胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、そしてそれによって長期間に亘った持続的作用を提供するために公知の技術(マイクロカプセル化を含む)によってコーティングされてもよい。例えば、単独か、または蝋と一緒の時間遅延物質(例えば、モノステアリン酸グリセリン、またはジステアリン酸グリセリン)が、使用され得る。
【0073】
経口的使用のための処方物もまた、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、糊化(pregelatinized)デンプン、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される硬質ゼラチンカプセル剤として、または活性成分が水もしくは油媒体(落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油)と混合される軟質ゼラチンカプセルとして示され得る。
【0074】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合して活性物質を含む。このような賦形剤としては、懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム)、および分散剤または湿潤剤(例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレントキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート))が挙げられる。この水性懸濁剤はまた、1つ以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、またはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1つ以上の着色剤、1つ以上の矯味矯臭剤、および1つ以上の甘味剤(例えば、スクロース、スクラロースまたはサッカリン)を含み得る。
【0075】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ごま油もしくはやし油)中に、または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させることによって処方され得る。この経口懸濁液は、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコール)を含み得る。上で示されたような甘味剤および矯味矯臭剤は、口当たりが良い経口調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、BHTなど)の添加によって保存され得る。
【0076】
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な、本発明の分散可能な散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存剤と混合して活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上で開示されたものによって例示される。さらなる賦形剤(例えば、甘味剤、矯味矯臭剤および着色剤)もまた、示され得る。
【0077】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油型乳濁液またはリポソーム処方物の形態であり得る。この油相は、植物油(例えば、オリーブ油もしくは落花生油)、鉱物油(例えば、流動パラフィン)、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴム、およびトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。この乳濁液はまた、甘味剤および矯味矯臭剤を含み得る。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤(例えば、グリセロール、ソルビトール、またはスクロース)と共に処方され得る。このような処方物はまた、粘滑剤、保存剤、矯味矯臭剤または着色剤を含み得る。
【0078】
本発明の薬学的組成物は、無菌性注射用調製物(例えば、無菌性注射用水性懸濁液または無菌性注射用油性懸濁液)の形態であり得る。この懸濁液は、上記されている適切な分散剤または湿潤剤または懸濁剤を用いて、公知技術に従って処方され得る。この無菌性注射用調製物はまた、無毒性で非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオールでの溶液)での無菌性注射用溶液または無菌性注射用懸濁液であり得るか、凍結乾燥した粉末として調製され得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用され得る。この目的のために、任意の無刺激の不揮発性油が使用され得、この不揮発性油としては、モノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射可能物の調製に同様に使用され得る。
【0079】
本発明の薬学的組成物は、非経口的に(例えば、静脈内に、腹腔内に、くも膜下腔内に、心室内に、胸骨内に(intrastemally)、頭蓋内に、筋内に、または皮下に)注入され得るか、本発明の薬学的組成物は、注入技術によって投与され得る。本発明の薬学的組成物は、他の物質(例えば、溶液を血液と等張にするのに十分な塩またはグルコース)を含み得る無菌性水溶液の形態で最もよく使用される。この水溶液は、必要な場合、(好ましくは、3〜9のpHに)適切に緩衝化されるべきである。無菌条件下での適切な非経口的処方物の調製は、当業者に周知の標準薬学的技術によって、容易に達成される。
【0080】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻腔内に投与され得るか、または吸入によって投与され得、そして適切なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a))、二酸化炭素、または他の適切な気体)を使用して、加圧容器またはネブライザーからの乾燥粉末吸入物またはエアロゾルスプレーの提示(presentation)の形態で、都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合では、投与単位は、所定量を送達するような弁を提供することによって決定され得る。この加圧容器または噴霧器は、例えば、溶媒としてエタノールとプロペラントとの混合物を用いて、組成物の溶液または懸濁液を含み得る。これは、潤滑剤(例えば、ソルビタントリオレエート)をさらに含み得る。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)での使用のためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチンから作製)は、式(I)の化合物と適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)との粉末混合物を含むように処方され得る。エアロゾル処方物または乾燥粉末処方物は、患者への送達のために、好ましくは、各々所定の用量または「パフ」が、20μg〜20mgの組成物を含むように配置される。エアロゾルを用いた全体的な毎日の用量は20μg〜20mgの範囲にあり、これは、1日を通して、単一用量で、より通常では、分割用量で投与され得る。
【0081】
単一の投与形態を作製するためにキャリア物質と組み合わされ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与形態に依存して変化する。例えば、ヒトへの経口投与が意図される時限放出処方物は、全組成物の約5重量%〜約95重量%(重量:重量)で変化し得る適切で便利な量のキャリア物質を用いて調合された約1mg〜1000mgの活性物質を含み得る。この薬学的組成物は、投与について容易に測定可能な量を提供するように調製され得る。例えば、静脈内注入が意図される水溶液は、約30mL/時間の速度において適切な容量の注入が起こり得るように、溶液の1mLあたり約3μg〜500μgの活性成分を含み得る。上で注意したように、経口投与に適切な本発明の処方物は、個々の単位(例えば、事前決定された量の活性成分を各々含む、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤;散剤もしくは顆粒剤;水性液体もしくは非水性液体中での溶液もしくは懸濁液;または、水中油型液体乳濁液もしくは油中水型乳濁液)として示され得る。この活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として投与され得る。
【0082】
本発明の組み合わせは、単位投与形態にある薬学的処方物として都合よく示され得る。都合の良い単位投与処方物は、各々約1mg〜1gの任意の量(例えば、10mg〜300mgであるが、これに限定されない)で活性成分を含む。エムトリシタビンと組み合わせたテノホビルDFの相乗効果は、広い比にわたって(例えば1:50〜50:1(テノホビルDF:エムトリシタビン))実現され得る。1つの実施形態において、この比は、約1:10〜10:1の範囲にわたり得る。別の実施形態において、共処方された組み合わせ投与形態(例えば、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤)におけるテノホビル対エムトリシタビンの重量/重量比は、約1である(すなわち、ほぼ等量のテノホビルDFおよびエムトリシタビン)。他の例示的な共処方物において、FTCより多いかまたは少ないテノホビルが存在し得る。例えば、300mgのテノホビルDFおよび200mgのエムトリシタビンが、1.5:1(テノホビルDF:エムトリシタビン)の比で共処方され得る。1つの実施形態において、各化合物は、単独で使用される場合に抗ウイルス活性を示す量で組み合わせて使用される。例示的な処方物A、B、C、D、E、およびF(実施例)は、12:1〜1:1(テノホビルDF:エムトリシタビン)の比を有する。例示的な処方物A、B、C、D、E、およびFは、25mg〜300mgの範囲にあるテノホビルDFとエムトリシタビンとの量を使用する。この組み合わせの化合物の他の比および量は、本発明の範囲内で意図される。
【0083】
単位投与形態は、テノホビルDFおよびエムトリシタビン、またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体、ならびに薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み得る。
【0084】
処置における使用に必要とされる本発明の組み合わせ中の活性成分の量は、種々の因子(処置されている状態の性質、ならびに患者の年齢および状態を含む)に従って変化し、そして最終的には、主治医または健康管理者の自由裁量であることが、当業者に認識される。考慮されるべき因子としては、投与経路および処方物の性質、動物の体重、年齢および全身状態、ならびに処置されるべき疾患の性質および重篤度が挙げられる。例えば、エムトリシタビンの第I相/第II相の単独治療の研究において、患者は、1日2回で2週間、25mg〜200mgの範囲にある用量を受け取った。200mg以上の各用量レジメンにおいて、98%(1.75log10)以上のウイルス抑制が観察された。200mgのエムトリシタビンの1日1回の用量は、ウイルス負荷量を平均99%(1.92log10)減少させた。Viread(登録商標)(テノホビルDF)は、HIV感染症の処置および予防について、300mgの経口錠剤としてFDAによって認可されている。EmtrivaTM(エムトリシタビン)は、HIVの処置について、200mgの経口錠剤としてFDAによって認可されている。
【0085】
同時投与または順次投与のための単位投与形態にある任意の2つの活性成分と、第3の活性成分とを組み合わせることも可能である。3つの部分の組み合わせは、同時にまたは順次投与され得る。順次投与される場合、この組み合わせは、2つまたは3つの投与物で投与され得る。第3の活性成分は、抗HIV活性を有し、そして第3の活性成分としては、プロテアーゼインヒビター(PI)、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)、およびインテグラーゼインヒビターが挙げられる。テノホビルDF、エムトリシタビン、およびそれらの生理学的に機能的な誘導体と組み合わせて投与される例示的な第3の活性成分は、表Aに示される。
【0086】
(表A)
5,6ジヒドロ−5−アザシチジン
5−アザ2’デオキシシチジン
5−アザシチジン
5−イル−炭素環式2’−デオキシグアノシン(BMS200,475)
9(アラビノフラノシル)グアニン;9−(2’デオキシリボフラノシル)グアニン
9−(2’−デオキシ2’フルオロリボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン
9−(2’−デオキシ2’フルオロリボフラノシル)グアニン
9−(2’−デオキシリボフラノシル)−2,6ジアミノプリン
9−(アラビノフラノシル)−2,6ジアミノプリン
アバカビル、Ziagen(登録商標)
アシクロビル、ACV;9−(2−ヒドロキシエトキシルメチル)グアニン
アデホビルジピボキシル、Hepsera(登録商標)
アムドキシビル、DAPD
アムプレナビル、Agenerase(登録商標)
アラA;9−β−D−アラビノフラノシルアデニン(ビダラビン)
アタザニビルスルフェート(Reyataz(登録商標))
AZT;3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン、ジドブジン、(Retrovir(登録商標))
BHCG;(.+−.)−(1a,2b,3a)−9−[2,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニン
BMS200,475;5−イル−炭素環式2’−デオキシグアノシン
ブシクロビル;(R)9−(3,4−ジヒドロキシブチル)グアニン
BvaraU;1−β−D−アラビノフラノシル−E−5−(2−ブロモビニル)ウラシル(ソリブジン)
カラノリドA
カプラビリン
CDG;炭素環式2’−デオキシグアノシン
シドホビル、HPMPC;(S)−9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)シトシン
クレブジン、L−FMAU;2’−フルオロ−5−メチル−β−L−アラビノ−フラノシルウラシル
Combivir(登録商標)(ラミブジン/ジドブジン) シタレン;[1−(4’−ヒドロキシ−1’,2’−ブタジエニル)シトシン] d4C;3’−デオキシ−2’,3’−ジデヒドロシチジン
DAPD;(−)−β−D−2,6−ジアミノプリンジオキソラン
ddA;2’,3’−ジデオキシアデノシン
ddAPR;2,6−ジアミノプリン−2’,3’−ジデオキシリボシド
ddC;2’,3’−ジデオキシシチジン(ザルシタビン)
ddI;2’,3’−ジデオキシイノシン,ジダノシン,(Videx(登録商標)、Videx(登録商標)EC)
デラビルジン、Rescriptor(登録商標)
ジダノシン,ddI,Videx(登録商標);2’,3’−ジデオキシイノシン
DXG;ジオキソラングアノシン
E−5−(2−ブロモビニル)−2’−デオキシウリジン
エファビレンズ、Sustiva(登録商標)
エンフビルチド、Fuzeon(登録商標)
F−アラ−A;フルオロアラビノシルアデノシン(フルダラビン)
FDOC;(−)−β−D−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン]シトシン
FEAU;2’−デオキシ−2’−フルオロ−1−β−D−アラビノフラノシル−5−エチルウラシル
FIAC;1−(2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)−5−ヨードシトシン
FIAU;1−(2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)−5−ヨードウリジン
FLG;2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオログアノシン
FLT;3’−デオキシ−3’−フルオロチミジン
フルダラビン;F−アラ−A;フルオロアラビノシルアデノシン
FMAU;2’−フルオロ−5−メチル−β−L−アラビノ−フラノシルウラシル
FMdC
ホスカネット;ホスホノギ酸、PFA
FPMPA;9−(3−フルオロ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン
ガンシクロビル、GCV;9−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシメチル)グアニン
GS−7340;9−[R−2−[[(S)−[[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ]−フェノキシホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニン
HPMPA;(S)−9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン
HPMPC;(S)−9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)シトシン(シドホビル)
ヒドロキシ尿素、Droxia(登録商標)
インジナビル、Crixivan(登録商標)
Kaletra(登録商標)(ロピナビル/リトナビル)
ラミブジン、3TC、EpivirTM;(2R,5S,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン
L−d4C;L−3’−デオキシ−2’,3’−ジデヒドロシチジン
L−ddC;L−2’,3’−ジデオキシシチジン
L−Fd4C;L−3’−デオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−5−フルオロシチジン L−FddC;L−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジン
ロピナビル
ネルフィナビル、Viracept(登録商標)
ネビラピン、Viramune(登録商標)
オキセタノシンA;9−(2−デオキシ−2−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロ−オキセタノシル)アデニン
オキセタノシンG;9−(2−デオキシ−2−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロ−オキセタノシル)グアニン
ペンシクロビル
PMEDAP;9−(2−ホスホニルメトキシエチル)−2,6−ジアミノプリン
PMPA,テノホビル;(R)−9−(2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン
PPA;ホスホノ酢酸
リバビリン;1−β−D−リボフラノシル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド
リトナビル、Norvir(登録商標)
サキナビル、Invirase(登録商標)、Fortovase(登録商標)
ソリブジン、BvaraU;1−β−D−アラビノフラノシル−E−5−(2−ブロモビニル)ウラシル
スタブジン、d4T、Zerit(登録商標);2’,3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジン
トリフルオロチミジン、TFT;トリフルオロチミジン
Trizivir(登録商標)(アバカビルスルフェート/ラミブジン/ジドブジン) ビダラビン、アラA;9−β−D−アラビノフラノシルアデニン
ザルシタビン、Hivid(登録商標)、ddC;2’,3’−ジデオキシシチジン
ジドブジン、AZT、Retrovir(登録商標);3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン
ゾナビル;5−プロピニル−1−アラビノシルウラシル。
【0087】
本発明の別の局面は、テノホビルDF、FTC、および9−[(R)−2−[[(S)−[[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ]フェノキシホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニン(本明細書中でGS−7340としても命名される)を含む3つの部分の組み合わせである。GS−7340は、以下の構造を有する。
【0088】
【化10】

GS−7340は、テノホビルのプロドラッグであり、共有に係る係属中の出願である米国出願番号第09/909,560(2001年7月20日出願)、およびBeckerらWO 02/08241の対象である。
【0089】
例えば、3成分の単位投与量は、1mg〜1000mgのフマル酸テノホビルジソプロキシル、1mg〜1000mgのエムトリシタビン、および1mg〜1000mgの第3の活性成分を含み得る。本発明のさらなる特徴として、単位投与形態は、テノホビルDF、エムトリシタビン、第3の活性成分、またはその第3の活性成分の生理学的に機能的な誘導体、および薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み得る。
【0090】
本発明の組み合わせは、患者が複数投与の投薬レジメンからさらにより自由になることを可能にし、複雑な毎日の投与時間および投与スケジュールを思い出し、かつ遵守することに必要とされる必須努力を軽減する。フマル酸テノホビルジソプロキシルとエムトリシタビンとを単一の投与形態に組み合わせることによって、所望の毎日のレジメンは、1日あたり1回の投与で、または1日あたり2回以上の部分投与(sub−dose)として示され得る。共処方されたテノホビルDFおよびエムトリシタビンの組み合わせは、単一の丸剤として、1日1回投与され得る。
【0091】
本発明のさらなる局面は、少なくとも1つの活性成分(フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン、または組み合わせのいずれかの生理学的に機能的な誘導体)、および本発明の組み合わせの使用に関する指示を含む情報パッケージまたは製品掲載物を備える、患者用パックである。
【0092】
薬学的散剤および顆粒剤中での活性成分の分離は、最終投与形態において活性成分のむらのある分散をもたらし得るという広く認識される問題である。分離に寄与するいくつかの主要因子は、粒子サイズ、粒子形態および粒子密度である。分離は、異なる密度および異なる粒子サイズを有する複数の活性成分を含有する単一で均一の錠剤を処方することを試みる場合、特に厄介である。流動促進剤(glidant)は、粒子間摩擦を減少させることによって、顆粒剤および散剤の流動特性を向上させるために伝統的に使用されている物質である。Lieberman,LachmanおよびSchwartz,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,第1巻,p.177−178(1989)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。流動促進剤は、代表的には、錠剤圧縮の直前に薬学的組成物に添加され、錠剤プレスのダイキャビティへの顆粒状物質の流動を促進する。流動促進剤としては、以下が挙げられる:コロイド状二酸化ケイ素、アスベストを含まない滑石、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース、微結晶性セルロース、コーンスターチ、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアロウェトC(stearowet C)、デンプン、デンプン1500、ラウリル硫酸マグネシウム、および酸化マグネシウム。例示的な錠剤処方物Aは、コロイド状二酸化ケイ素を有する(実施例)。流動促進剤は、抗HIV薬物の処方物におけるブレンド組成物の均一性を増大させ、補助するために使用され得る(米国特許第6113920号)。本発明の新規の組成物は、錠剤圧縮の前の操作の間、活性成分の均一性をもたらし、そして維持するために、流動促進剤を含み得る。
【0093】
本発明は、活性成分テノホビルDFおよびエムトリシタビン、またはこれらの生理学的に機能的な誘導体を組み合わせた、十分に均質化された形態にある、薬学的処方物、ならびにこの薬学的処方物を使用するための方法を提供する。本発明の目的は、圧縮前の物質操作の間、薬学的処方物中での活性成分の分離を減少させるために流動促進剤を利用することである。本発明の別の目的は、活性成分テノホビルDFおよびエムトリシタビン、またはこれらの生理学的に機能的な誘導体と、薬学的に受容可能な流動促進剤とを組み合わせた、薬学的処方物を提供し、薬学的に受容可能な尺度の均一性によって特徴付けられる混合物をもたらすことである。
【0094】
処方物は、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所的投与(経皮投与、頬投与および舌下投与を含む)、膣投与または非経口投与(皮下投与、筋内投与、静脈投与および皮内投与を含む)に適切な処方物を含む。この処方物は、単位投与形態で都合よく示され得、そして薬学分野で周知の任意の方法によって調製され得る。このような方法は、本発明のさらなる特徴を提示し、そして活性成分とキャリアとを一緒にする工程を包含する。このキャリアは、1つ以上の補助成分を構成し、そして化学的安定性を維持する。概して、この処方物は、均一かつ親密に、活性成分と液体キャリアもしくは細かく分割された固体キャリアまたはこの両方とを一緒にし、次いで、必要に応じて製品を成形することによって、調製される。
【0095】
経口投与に適切な本発明の処方物は、別個の単位(例えば、事前決定された量の活性成分を各々含む、カプセル剤、キャプレット、カシェ剤、もしくは錠剤;散剤もしくは顆粒剤;水性溶液または非水性溶液での溶液または懸濁液;または水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液)として示され得る。この活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として示され得る。
【0096】
錠剤は、必要に応じて1つ以上の補助成分を有して圧縮または成形することによって、作製され得る。圧縮錠剤は、必要に応じて、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合された自由流動形態(例えば、散剤または顆粒剤)にある活性成分を適切な機械で圧縮することによって、調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適切な機械で成形することによって、作製され得る。この錠剤は、必要に応じて、コーティングされるか、または刻み目を入れられ、そして、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための変動する比でセルロースエーテル誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)またはメタクリレート誘導体を用いて、活性成分の徐放または制御放出を提供するようにその中に処方され得る。錠剤には、必要に応じて、腸溶性コーティングが提供されて、胃以外の腸の部分における放出を提供し得る。
【0097】
口における局所的投与に適切な処方物としては、矯味矯臭基剤(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に活性成分を含むロゼンジ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含むトローチ錠;ならびに適切な液体キャリア中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。直腸投与のための処方物は、例えば、カカオ脂またはサリチレートを含む適切な基剤を有する坐剤として示され得る。局所的投与はまた、経皮的イオン導入デバイスによってであり得る。
【0098】
膣投与に適切な処方物は、活性成分に加えて、当該分野で適切と公知のキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーの処方物として示され得る。
【0099】
予防的使用または治療的使用のための陰茎投与に適切な処方物は、活性成分に加えて、当該分野で適切と公知のキャリアを含む、コンドーム、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーの処方物として示され得る。
【0100】
キャリアが固体である、直腸投与に適切な薬学的処方物は、最も好ましくは、単位用量坐剤として示され得る。適切なキャリアとしては、カカオ脂および当該分野で一般的に使用される他の物質が挙げられる。この坐剤は、軟らかくされたキャリアまたは溶解されたキャリアと活性な組み合わせとを混合し、続いて冷却し、そしてモールドで成形することによって、都合よく形成され得る。
【0101】
非経口的投与に適切な処方物としては、以下が挙げられる:この処方物を意図されるレシピエントの血液と等張にさせる、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含み得る、水性および非水性の等張無菌性注射溶液;ならびに、懸濁剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の無菌性懸濁液;ならびに、化合物が血液成分または他の1つ以上の臓器を標的とするように設計される、リポソームまたは他の微粒子系。この処方物は、単位用量密閉容器または複数用量密閉容器(例えば、アンプルおよびバイアル)で示され得、そして、使用の直前に無菌性液体キャリア(例えば、注射用水)の添加を必要とするだけの凍結乾燥状態で保存され得る。即座の注入溶液および注入懸濁液は、上記の種類の無菌性の散剤、顆粒剤、および錠剤から調製され得る。
【0102】
例示的な単位投与処方物は、明細書中で前に列挙されたような活性成分の毎日の用量もしくは毎日の部分用量、またはその適切な画分を含む処方物である。上で特に言及された成分に加えて、本発明の処方物は、問題の処方物の型を考慮して当該分野で慣用的な他の薬剤を含み得ることが理解されるべきである。例えば、経口投与に適切な処方物は、甘味剤、増粘剤および矯味矯臭剤のようなさらなる薬剤を含み得る。
【0103】
本発明の組み合わせの化合物は、当業者に公知の従来の様式で得られ得る。フマル酸テノホビルジソプロキシルは、例えば、米国特許第5977089号に記載されるように調製され得る。FTCの調製のための方法は、WO 92/14743に記載され、WO 92/14743は、本明細書中で参考として援用される。
【0104】
(組成物の使用)
本発明の組成物は、本明細書中で記載されるような安全かつ有効な量でヒトまたは他の哺乳動物に投与される。これらの安全かつ有効な量は、処置される哺乳動物の種類およびサイズ、ならびに所望の処置結果に従って、変化する。本発明の成分を分解しない、経口投与に適切な錠剤、カプセル剤、または他の固体投与形態をパッケージングすることついて当業者に公知の任意の種々の方法は、パッケージングでの使用に適切である。この組み合わせは、ガラス瓶およびプラスチック瓶中に詰められ得る。経口投与に適切な錠剤、キャプレット、または他の固体投与形態は、必要に応じて、乾燥剤(dessicant)(例えば、シリカゲル)を含む種々のパッケージング材料中に詰められ得るか、または含まれ得る。パッケージングは、単位用量ブリスターパッケージングの形態であり得る。例えば、パッケージは、テノホビルDFの丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤の1つのブリスタートレー、およびエムトリシタビンの丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤の別のブリスタートレーを含み得る。患者は、1つのトレーから1用量(例えば、丸剤)を、そして他のトレーから1用量(例えば、丸剤)を取り出す。あるいは、このパッケージは、単一の丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤中のテノホビルDFとエムトリシタビンとの共処方組み合わせのブリスタートレーを含み得る。他の組み合わせおよびそのパッケージングにおけるように、本発明の組み合わせは、テノホビルDFおよびFTCの生理学的に機能的な誘導体を含む。
【0105】
このパッケージング材料はまた、その上に印刷される薬学的組成物に関連するラベリングおよび情報を有し得る。さらに、製造物品は、製品情報を含む小冊子、報告書、注意書き、パンフレット、またはチラシを備え得る。薬学的情報のこの形態は、薬学的産業において「パッケージ掲載物」として言及される。パッケージ掲載物は、薬学的製造物品に取り付けられ得るか、または薬学的製造物品と一緒に含まれ得る。このパッケージ掲載物および任意の製造物品ラベリングは、薬学的組成物に関連する情報を提供する。この情報およびラベリングは、健康管理の専門家および患者が利用し、組成物、その投与量、および規制機関(例えば、United States Food and Drug Agency)が必要とする種々の他のパラメーターを記載する、種々の形態の情報を提供する。
【0106】
(組み合わせのアッセイ)
本発明の組み合わせは、抗HIV化合物を試験するために開発された標準アッセイ(例えば、WO 02/068058および米国特許第6475491号)に従って、HIVに対するインビトロ活性および感受性について、ならびに検査室適応細胞株(例えば、MT2)および末梢血単核細胞(PBMC)の細胞傷害性について試験され得る。組み合わせアッセイは、組み合わせの化合物の変動する濃度において実行され、段階希釈によってEC50を決定し得る。
【0107】
(例示的な処方物)
以下の実施例は、本発明の範囲内にある特定の実施形態をさらに説明および実証する。技術および処方は、一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)に見出される。本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの変更が可能であるので、実施例は、単に例示のために与えられ、限定として解釈されるために与えられない。以下の実施例は、例示のためのみに意図され、いずれの点においても本発明の範囲を限定することは意図されない。「活性成分」は、フマル酸テノホビルジソプロキシル、エムトリシタビン、またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体を示す。
【実施例】
【0108】
(錠剤処方物)
以下の例示的な処方物A、B、C、D、E、およびFを、水溶液を用いて成分を湿式顆粒化し、顆粒外成分を添加し、続いてステアリン酸マグネシウムを添加し、そして圧縮することによって、調製する。
【0109】
【表3】

【0110】
【表4】

処方物G(制御放出処方物):
この処方物を、水溶液を用いて成分を湿式顆粒化し、続いてステアリン酸マグネシウムを添加し、そして圧縮することによって調製する。
【0111】
【表5】

薬物放出は、約6〜8時間の期間に亘って起こり、そして12時間後に完了する。
【0112】
(カプセル剤処方物)
処方物H:
カプセル剤処方物を、成分を混合し、2部構成の硬質ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルの中に充填することによって調製する。
【0113】
【表6】

処方物I(制御放出カプセル剤):
以下の制御放出カプセル剤処方物を、押出し機を用いて成分a、成分b、および成分cを押出し、続いてこの押出し物を小球化(spheronization)し、そして乾燥させることによって調製する。次いで、乾燥させたペレット剤を放出制御膜(d)でコーティングし、そして2部構成の硬質ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル中に充填することによって調製する。
【0114】
【表7】

処方物J(経口用懸濁剤):
活性成分を成分と混合し、そしてこれらを乾燥粉末として充填する。精製水を加え、そして使用前によく混合する。
【0115】
【表8】

処方物K(坐剤):
Witepsol H15の5分の1を、最高45℃で、蒸気ジャケット型(steam−jacketed)のパンにおいて溶融する。活性成分を、200ミクロンのふるいにかけて落とし、カッティングヘッドを取り付けたSilversonを用いて、なめらかな分散が達成されるまで、溶融した基剤に混合しながら加える。この混合物を45℃に維持し、残存するWitepsol H15を懸濁液に加え、そして均一な混合を確実にするように撹拌する。この完全な懸濁液を、250ミクロンのステンレススチール製ふるいを通過させ、そして撹拌を続けながら、40℃まで冷却させる。38℃〜40℃の温度において、2.02gの混合物を適切な2mlのプラスチックの型に充填する。この坐剤を室温まで冷却させる。
【0116】
【表9】

(一定用量の組み合わせ錠剤)
フマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF)300mg/エムトリシタビン200mgの一定用量の組み合わせ錠剤を、従来の方法を用いて、湿式顆粒化/流体床乾燥プロセスを用いて処方した。米国特許第5935946号;L.Young(編集者).Tableting Specification Manual第5版,American Pharmaceutical Association,Washington,DC,(2001);L.Lachman,H.Lieberman(編集者).Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(第2巻),Marcel Dekker Inc.,New York,185−202(1981);J.T.FellおよびJ.M.Newton,J.Pharm.Pharmacol.20,657−659(1968);US Pharmacopeia 24−National Formulary 19,「Tablet Friability」,第<1216>章,2148頁(2000)を参照のこと。
【0117】
顆粒化の水分レベル(40w/w%〜50w/w%の範囲にある)の効果および湿式塊状化(massing)時間の効果を、最終散剤ブレンドの物理化学的特性、ならびにブレンドの均一性および圧縮率(錠剤圧縮性)に関するその性能に基づいて検討した。さらに、内容物の均一性、アッセイ、安定性および溶解性能を、TDF/エムトリシタビンの一定用量の組み合わせの錠剤について評価した。
【0118】
(処方装置)
装置は、顆粒化水を加えるための圧力タンクおよびスプレーノズルチップを備える高せん断ミキサー、流体床乾燥機、ミル、タンブルブレンダー、ロータリー錠剤プレス、および錠剤脱じん機(deduster)を備えた。
【0119】
(処方プロセス)
乾燥した粉砕粉末を、顆粒外の微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムとブレンドし、次いで、ステアリン酸マグネシウムとブレンドした。粉末サンプルを、ステアリン酸マグネシウムと混合した後に取り出した。このブレンドサンプルを、かさ密度、メッシュ解析および圧縮性について評価した。ステアリン酸マグネシウムと混合したこの粉末ブレンドを、プレス設備(setup)によって錠剤へと圧縮した。
【0120】
(材料)
以下の表1は、TDF/エムトリシタビン錠剤処方物の定量的組成を記載する。
【0121】
【表1】

(特性評価装置)
水分含量を、加熱ランプ/天秤系を用いて乾燥の際の重量減少によって測定した。粉末ブレンドを、チャンバーを装着したサンプリングシーフを用いてサンプリングし、粉末ブレンドの均一性を決定した。二組のサンプルを、ブレンダーにおけるいくつかの場所の各々から取り出した。ブレンドの均一性の分析を、各場所由来の1つのサンプルについて行った。
【0122】
最終粉末ブレンドの粒子サイズ分析を、ソニックシフターを用いて、スクリーンを通して複数のグラムサンプルをふるいわけることによって決定した。各ふるいおよびファインコレクターに保持された最終粉末ブレンドの量を、試験前後の間でのふるいおよびファインコレクターの重量の差を計算することによって決定した。相乗平均直径粒子サイズを、ふるいをかけた分布の対数的な重み付けによって計算した。
【0123】
かさ密度を、メスシリンダーに最終粉末ブレンドを充填し、そして空のメスシリンダーと充填したメスシリンダーとの間の重量の単位体積あたりの差を測定することによって決定した。
【0124】
錠剤を、フリアビレーター(friabilator)、硬度テスター、印刷機を備える厚さメイクロメーター、および重量天秤を用いて、破砕性について特性評価した。
【0125】
圧縮指標を、400mgの目標重量に対して、平板な、丸みをつけられた縁のポンチを備えるロータリー錠剤プレスを用いて決定した。この粉末ブレンドを、約100MPa〜250MPaの範囲にある目標の上部ポンチ圧力を用いて圧縮した。見かけの正規化射出力を、錠剤の厚さおよび直径について決定し、そして正規化した。
【0126】
錠剤硬度を、硬度テスターを用いて決定した。錠剤厚さをマイクロメーターを用いて決定し、そして錠剤重量をトップローディング(loading)天秤を用いて決定した。
【0127】
(湿式顆粒化)
粉末をグラニュレーター(granulator)でブレンドし、次いで、水を用いて顆粒化した。インペラーおよびチョッパーのスピードを、ブレンダーにおいて、低設定で、顆粒化および湿式塊状化操作の間、一定に維持した。水の添加の後、このインペラーおよびチョッパーを停止し、このグラニュレーターボールを開き、顆粒化コンシステンシーおよび顆粒化組織を観察した。蓋を閉じ、そして湿式塊状化段階を行った。受容可能な顆粒は、それぞれ、40w/w%および60w/w%の水分を有した。
【0128】
(湿式ミリング)
均一な乾燥プロセスを容易にするために、スクリーンおよびインペラーを取り付けたミルを用いて、各湿潤顆粒を脱塊状化した。粉砕した湿潤顆粒を、湿式ミリングの直後に流体床乾燥機に装填した。
【0129】
(流体床乾燥)
粉砕した湿潤顆粒を、約70℃の入口空気設定温度、および約100cfmの気流を用いて乾燥させた。目標LODは、1.5%以下(not more than:NMT)の範囲を有して約1.0%であった。全体の流体床乾燥時間は、53〜75分の範囲にあった。最終LODは、乾燥した全てのバッチについて0.4%〜0.7%の範囲にあった。全てのバッチについての最終排気温度は、47℃〜50℃の範囲にあった。
【0130】
(乾式ミリング)
全ての乾燥した顆粒を、穿孔したスクリーンを通して粉砕した。このミルは四角いインペラーを備え付け、そして操作された。ロットを粉砕し、そして手動でV−ブレンダーに移した。
【0131】
(ブレンド)
各ロットをV−ブレンダーを用いてブレンドした。3つの処方物のうちの1つのセットにおいて、12kgの材料で出発し、ブレンド後の圧縮のために利用可能である最終的な粉末ブレンドの収率は、10.5kg(87.5%)〜11.1kg(92.5%)の範囲にあった。最終粉末ブレンドのかさ密度は、0.48g/cc〜0.58g/ccの範囲にあり、そして相乗平均直径粒子サイズは、112μm〜221μmの範囲にあった。水百分率および湿式塊状化時間は、最終的な粉末ブレンドの粒子サイズおよびかさ密度に影響を与える。
【0132】
テノホビルDFおよびエムトリシタビンの両方についての粉末ブレンドは、テノホビルDFについて、ロットについて目標強度の100.6%〜102.8%の範囲にある平均(n=10)強度値を与え、相対標準偏差(RSD)は、0.5%〜1.7%であった。エムトリシタビンについての平均(n=10)強度値は、ロットについて目標強度の101.3%〜104.1%の範囲にあり、相対標準偏差(RSD)は、0.6%〜1.7%の範囲にあった。最終的な粉末ブレンドの水分レベルは、0.8%〜1.1%LODの範囲にあった。
【0133】
(錠剤圧縮)
最終的なブレンドをロータリー錠剤プレスを用いて圧縮し、そしてこの錠剤を、フィルムコーティングした。
【0134】
3つの300gの処方物(表2)を、1Lのボールを備え付けたグラニュレーターで顆粒化した。顆粒内成分の量は、300gの全バッチサイズに基づいた。ロット1およびロット2における処方物は、それぞれ、30w/w%対20w/w%という微結晶性セルロースの量において異なった。ロット2およびロット3は、結合剤の型を除いては同一であった。ロット2は、結合剤として5w/w%の糊化デンプンを含み、そしてロット3は、結合剤として5w/w%のポビドンを含んだ。
【0135】
【表2】

水の添加の後、インペラーおよびチョッパーを停止し、そしてグラニュレーターボールを開き、顆粒コンシステンシーおよび顆粒組織を観察した。類似の顆粒コンシステンシーを達成するために、ロット1、ロット2、およびロット3を、それぞれ、45w/w%、40w/w%、および30w/w%の水を用いて顆粒化した。蓋を閉め、そして湿式塊状化段階を行った。全てのロットで30秒の湿式塊状化をし、受容可能な顆粒を得た。全てのバッチからの湿潤顆粒は、ふるいを通してハンドスクリーンし、脱塊状化した。得られた顆粒を、60℃に設定された対流オーブンで約20時間トレー乾燥し、LODは1.0%未満となった。全てのバッチからの乾燥した顆粒を、ふるいを通してハンドスクリーンした。この顆粒を小スケール(300mL)V−ブレンダーに適合させるために、最終的なブレンドバッチサイズを100gに調整した。一部分である、ロット1からの81gの生じたブレンドを、15gの微結晶性セルロースと、3gのクロスカルメロースナトリウムと、1gのステアリン酸マグネシウムと混合した。ロット2およびロット3からの86gの生じた顆粒を、10gの微結晶性セルロースと、3gのクロスカルメロースナトリウムと、1gのステアリン酸マグネシウムと各々ブレンドした。
【0136】
純度分析を、逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって行った。フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンに関連する不純物を、表2の3つのロットでの処方の前に、バルクAPI(活性薬学的成分)において特性評価および測定し、そして処方後に、生じた錠剤において再び特性評価および測定した。この不純物は、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの環外のアミノ基の加水分解、ならびにフマル酸テノホビルジソプロキシルのジソプロキシル(POC)エステルの加水分解に由来する副生成物を含む。各ロットにおいて、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンに関連する不純物の合計は、処方および錠剤製造の後では1%未満であった。
【0137】
フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの錠剤の物理化学的特性を、外観、水分含量、ラベル強度、不純物および分解性生物の含量、ならびに錠剤溶解によって評価した。安定性の研究を、意図される臨床容器閉鎖系および市販の容器閉鎖系と同一である容器閉鎖系にパッケージングされた薬物生成物について行った。安定性研究の過程の間に変色の兆候も錠剤粗砕の兆候もなかった。フィルムコーティングされたフマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンの錠剤は、シリカゲル乾燥剤と共にパッケージングされ、保存された場合、40℃/75%のRH(相対湿度)において6ヶ月間まで、満足な安定性を示した。テノホビルDFまたはエムトリシタビンのラベル強度%の有意な減少(5%以上の分解として定義)は、乾燥剤と共にパッケージングされ、保存された場合、40℃/75%のRHにおいて6ヵ月後も観察されなかった。総分解生成物の増加は、3gの乾燥剤とともにパッケージングされ、保存された場合、40℃/75%のRHにおいて6ヵ月後、テノホビルDFについては1.5%、そしてエムトリシタビンについては0.6%〜0.7%であった。
【0138】
本明細書中で列挙される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、詳細かつ個々に、参考として援用されると示されるような場合と同程度まで、参考として援用される。
【0139】
特定の実施形態が上で詳細に記載されるが、当業者は、その教示から逸脱することなく、特許請求の範囲において多くの変更が可能であると明確に理解する。全てのこのような変更は、本発明の特許請求の範囲内で包含することが意図される。
【0140】
(本発明の実施形態)
(A1)
有効量の以下の式:
【0141】
【化11】

の化合物、またはその生理学的に機能的な誘導体を、有効量の以下の式:
【0142】
【化12】

の化合物および薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む薬学的組成物またはその生理学的に機能的な誘導体であって、
ここで、RおよびRは、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R、およびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRは、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールおよびC〜C20置換アリールであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、またはCHORから選択され、ここでRは、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、およびC〜Cハロアルキルであり;
およびRは、独立して、H、NH、NHRおよびNRから選択され、ここでRは、C〜Cアルキルであり;そして
およびRは、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択され;
ここで、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール、ニトロインドール、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサチン、シュードウリジン、5−フルオロシトシン、5−クロロシトシン、5−ブロモシトシン、5−ヨードシトシン、シュードシトシン、シュードイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、およびピラゾロ[3,4−D]ピリミジンから選択され;そして
Rは、H、C〜Cl8アルキル、C〜C18置換アルキル、C〜Cl8アルケニル、C〜Cl8置換アルケニル、C〜Cl8アルキニル、C〜Cl8置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20複素環、C〜C20置換複素環、ホスホネート、ホスホホスホネート、ジホスホホスホネート、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ポリエチレンオキシから選択される、
組成物。
【0143】
(B2)
実施形態A1の組成物であって、式1において、RおよびRが、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R、およびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールおよびC〜C20置換アリールであり;そしてR、R、R、R、およびRが、独立して、HまたはC〜Cアルキルである、組成物。
【0144】
(C3)
実施形態A1の組成物であって、式2において、Bが、シトシンまたは5−ハロシトシンである、組成物。
【0145】
(D4)
実施形態A1の組成物であって、式1において、RおよびRが、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20置換アリールアルキル、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R、およびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜C20アリールおよびC〜C20置換アリールであり;そしてR、R、R、R、およびRが、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり;そして式2において、Bが、シトシンまたは5−ハロシトシンである、組成物。
【0146】
(E5)
実施形態D4の組成物であって、式1において、RおよびRが、独立して、H、アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)Rおよびアシルオキシメチルカルボネート−CHOC(=O)ORから選択され、ここでRが、C〜Cアルキルであり;そしてR、R、R、R、およびRが、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり;そして式2において、Bが、シトシンまたは5−ハロシトシンであり、Rが、Hである、組成物。
【0147】
(F6)
実施形態E5の組成物であって、式1において、RおよびRが、独立して、Hおよび−CHOC(=O)OCH(CHから選択され;Rが、−CHであり;そしてR、R、R、およびRが、Hであり;そして式2において、Bが、5−フルオロシトシンであり、Rが、Hである、組成物。
【0148】
(G7)
薬学的組成物であって、薬学的に有効量の[2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−1−メチル−エトキシメチル]−ホスホン酸ジイソプロポキシカルボニルオキシメチルエステルフマレート(フマル酸テノホビルジソプロキシル)またはその生理学的に機能的な誘導体、および薬学的に有効量の(2R,5S,)−4−アミノ−5−フルオロ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(エムトリシタビン)またはその生理学的に機能的な誘導体;ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
【0149】
(H8)
実施形態A1〜G7の薬学的処方物であって、プロテアーゼインヒビター、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターまたはヌクレオチド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、およびインテグラーゼインヒビターからなる群より選択される第3の活性成分をさらに含む、処方物。
【0150】
(I9)
単位投与形態にある、実施形態A1〜H8の薬学的処方物。
【0151】
(J10)
感染した動物におけるHIV感染症の症状または効果の処置または予防のための方法であって、この動物に、実施形態A1〜I9の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−120957(P2010−120957A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30680(P2010−30680)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願2006−500939(P2006−500939)の分割
【原出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】