説明

組合せ計量装置

【課題】アームと容器とが分離されるときに作用するアームへの突発的負荷を軽減した、組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】組合せ計量装置10では、アーム21が、連結ギア243の回転を拘束する機能と連結ギア243を回転させる機能とを含む第1遊星ギア211及び第2遊星ギア212を有している。そして、連結ギア243が拘束されることによって第1遊星ギア211又は第2遊星ギア212の回転力が容器保持部材24をアーム21から押し出す力に変換される。その結果、容器保持部材24がアーム21から容易に開放され、アーム21に作用する突発的負荷が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器に投入された物品を計量し、計量済みの物品を組み合わせて狙いの値になるように組み合わせ対象の容器から物品を排出させる組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2007−114179号公報)に開示されている組合せ計量装置は、物品が投入される複数の容器を所定の周回軌道で搬送し、その周回軌道上で物品の重量を計量する方式であり、制御部が容器ごとに物品の重量を記憶し、組み合わせに適した容器を選択し、選択された容器は排出ゾーンへ搬送されて物品を排出する。
【0003】
各容器は、アームに保持された状態でそのアームと一緒に搬送されるが、搬送されながら隣接するアームに渡されて排出ゾーンへ向かう順序が入れ替えられることもある。また、計量部が物品の重量を計量するときは、アームから計量部へ容器が渡される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送中に容器がアームから脱落しないように容器とアームとは所定の保持力で連結されており、アームが容器を分離する度に突発的負荷がアームに作用する。この場合、機械的ダメージの蓄積がアームの機械的寿命を低下させる可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、アームと容器とが分離されるときに作用するアームへの突発的負荷を軽減した、組合せ計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る組合せ計量装置は、被計量物が投入される複数の容器を所定の周回軌道で搬送し、その周回軌道上で計量機構によって被計量物を計量する組合せ計量装置であって、複数の容器ホルダーと複数のアームとを備えている。容器ホルダーは、容器を保持する。アームは、所定の保持力によって容器ホルダーを回転可能に保持し上記周回軌道に沿って移動する。容器ホルダーには、ギアが連結されている。アームは、回転伝達機構を有している。回転伝達機構は、ギアの回転を拘束する機能とギアを回転させる機能とを含んでいる。アームが容器ホルダーを放す際、回転伝達機構は、ギアの回転を拘束した上で、そのギアを通常回転させるときよりも大きな力をそのギアに加える。
【0007】
この組合せ計量装置では、ギアが拘束されることによって回転伝達機構の回転力が容器ホルダーをアームから押し出す力に変換される。その結果、容器ホルダーがアームから容易に開放され、アームに作用する突発的負荷が軽減される。
【0008】
第2発明に係る組合せ計量装置は、第1発明に係る組合せ計量装置であって、計量機構が、ロードセルと第1マグネットと第2マグネットとを有している。ロードセルは、周回軌道に沿って配置されている。第1マグネットは、ロードセルに固定されている。第2マグネットは、容器ホルダーに固定されギアと同期して回転する。アームは、計量機構が被計量物を計量するとき、第1マグネットと第2マグネットとが対峙する位置で容器ホルダーを放して第2マグネットを第1マグネットに吸着させる。アームは、計量機構が被計量物の計量を終えたとき、再び容器ホルダーを保持し、回転伝達機構およびギアを介して第2マグネットを所定角度回して第1マグネットから引き離す。
【0009】
この組合せ計量装置では、容器とロードセルとを連結している力は第1マグネットと第2マグネットとの磁力だけであるので、一定の力を加えるだけで容器とロードセルとは分離される。したがって、一定の力以上の外力がロードセルに作用することがないので、過負荷によるロードセルの損傷が防止される。
【0010】
また、アームが容器ホルダーを放した時点で、第2マグネットが磁力で第1マグネットに吸着されるので、容器は第1マグネットと第2マグネットとによって決まる一定の姿勢をとる。容器ホルダーが搬送時に誤った姿勢で保持された場合でも、計量のたびに一定の姿勢に補正されてから搬送時の姿勢に戻されるので自動的に姿勢が復元される。
【0011】
さらに、第1マグネットから第2マグネットを引き離すとき、単に引っ張るだけではアームに負荷がかかり好ましくないので、第2マグネットを回して第1マグネットと第2マグネットとが対峙する位置が一致しないようにすれば、互いに引き合う力が弱まる。その結果、第2マグネットを引き離し易くなりアームにかかる負荷が軽減される。
【0012】
第3発明に係る組合せ計量装置は、第2発明に係る組合せ計量装置であって、第2マグネットが第1マグネットに吸着されるとき、第2マグネットは容器ホルダーの姿勢が水平面に対して所定角度傾くまで回される。また、第2マグネットが第1マグネットから引き離されるとき、第2マグネットは傾いている容器ホルダーを矯正する方向に所定角度回される。
【0013】
この組合せ計量装置では、第2マグネットが、第1マグネットから引き離されるときに所定角度回されて容器の姿勢が傾くので、第2マグネットが第1マグネットに吸着される段階で予め傾けておけば、第2マグネットが第1マグネットから引き離されるときに所定角度回されて容器の姿勢が搬送時の姿勢に戻る。つまり、第2マグネットが回されて第1マグネットと第2マグネットとが対峙する位置は一致しないので、互いに引き合う力が弱まり第2マグネットが引き離され易くなる。
【0014】
さらに、容器が搬送されるとき第2マグネットは第1マグネットの近傍を通過するが、第1マグネットと第2マグネットとが対峙する位置は一致しないので、第1マグネットと第2マグネットとが互いに引き合う力は軽減され、アームに作用する負荷も軽減される。
【0015】
第4発明に係る組合せ計量装置は、第1発明に係る組合せ計量装置であって、第1回転伝達機構が隣接する2つのアームうち一方の第1アームに属する。第2回転伝達機構は、隣接する2つのアームうち他方の第2アームに属する。第1回転伝達機構と第2回転伝達機構とがギアと接触している状態において、第1回転伝達機構がギアの回転を拘束し、第2回転伝達機構がギアに回転力を与えたとき、容器が第2アームから第1アームに渡る。また、第1回転伝達機構と第2回転伝達機構とがギアと接触している状態において、第2回転伝達機構がギアの回転を拘束し、第1回転伝達機構がギアに回転力を与えたとき、容器が第1アームから第2アームに渡る。この組合せ計量装置では、第1発明と同じ作用と効果が得られる。
【0016】
第5発明に係る組合せ計量装置は、第2発明に係る組合せ計量装置であって、第1回転伝達機構が隣接する2つのアームうち一方の第1アームに属し、第2回転伝達機構が他方の第2アームに属する。第1回転伝達機構と第2回転伝達機構とがギアと接触している状態において、第1回転伝達機構がギアの回転を拘束し、第2回転伝達機構がギアに回転力を与えたとき、容器が第2アームから第1アームに渡る。また、第1回転伝達機構と第2回転伝達機構とがギアと接触している状態において、第2回転伝達機構がギアの回転を拘束し、第1回転伝達機構がギアに回転力を与えたとき、容器が第1アームから第2アームに渡る。さらに、第1回転伝達機構と第2回転伝達機構とがギアと接触している状態において、第1回転伝達機構と第2伝達機構とが共にギアに回転力を与えたとき、容器がロードセルに渡る。
【0017】
この組合せ計量装置では、第1回転伝達機構と第2伝達機構とが共にギアに回転力を与えたとき、ギアが瞬間的に浮いた状態となって、第2マグネットが第1マグネットに吸いつけられる。その結果、容器が容易にロードセルに渡る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る組合せ計量装置では、ギアが拘束されることによって回転伝達機構の回転力が容器ホルダーをアームから押し出す力に変換される。その結果、容器ホルダーがアームから容易に開放され、アームに作用する突発的負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置の斜視図。
【図2】図1の組合せ計量装置が備えている制御部のブロック図。
【図3】容器を保持する容器保持部材の斜視図。
【図4】アームの斜視図。
【図5】図1に示す容器入替機を鉛直平面で切断したときの断面斜視図。
【図6A】隣接する2つの容器の位置を入れ替える動作の初期のアームの正面図。
【図6B】図6Aの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6C】図6Bの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6D】図6Cの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6E】図6Dの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6F】図6Eの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6G】図6Fの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6H】図6Gの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図6I】図6Hの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図7A】隣接する容器に被計量物を移し替える動作の初期のアームの正面図。
【図7B】図7Aの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図7C】図7Bの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図7D】図7Cの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図7E】図7Dの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図8A】容器から被計量物を排出させる動作の初期のアームの正面図。
【図8B】図8Aの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図8C】図8Bの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図8D】図8Cの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図8E】図8Dの状態から次の状態へ進んだアームの正面図。
【図9】空の容器または被計量物の入った容器の重量を測定している計量器の側面図。
【図10】容器を水平に保持した容器保持部材の連結部斜視図。
【図11】容器がロードセルから分離されたときの吸着板および被吸着板の姿勢を示す正面図。
【図12A】2つのアームに保持された容器が一方のアームに渡される直前の各アームおよび容器の正面図。
【図12B】図12Aの容器が一方のアームに渡されたときの各アームおよび容器の正面図。
【図12C】図12Aの容器が他方のアームに渡されたときの各アームおよび容器の正面図。
【図13】2つのアームに保持された容器がロードセルに渡される直前の各アームおよび容器の正面図。
【図14】ロードセルに渡される直前のアームおよび容器の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<組合せ計量装置10>
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置の斜視図である。図1において、組合せ計量装置10は、回転搬送部11の周方向にそって複数の容器入替機20と複数の計量器25とが交互に配置されており、容器Cを移動させながら容器C内の被計量物を各計量器25で計量する。回転搬送部11は、円板部材であって、回転駆動部14によって容器入替機20や計量器25などを旋回させ、容器Cを循環させる。
【0021】
組合せ計量装置10は、供給部12を備えている。供給部12は、予め設定された位置から振動フィーダ12aで被計量物を移動させてホッパー12bへ投入する。被計量物は、ホッパー12bの出口に搬送されて来た容器Cの中へ落下する。振動フィーダ12aは共振型振動フィーダであり、内部の板バネは、ガラス繊維強化プラスチックやカーボン繊維プラスチックなどのFRP材が使用されている。
【0022】
容器入替機20は、アーム21を有している。アーム21は、両端の第1連結指21a及び第2連結指21bで容器Cを保持し、回転によって互いに隣り合う2個の容器Cを入れ替えることができる。また、アーム21は、容器Cの開口を下向きに反転させて被計量物をシューター101へ排出することができる。
【0023】
計量された容器Cは排出される順番が決定されるので、容器入替機20は容器Cがその順番に並ぶように入れ替えながらシューター101の上部に近づける。したがって、排出ゾーンの手前では、容器Cは決定された順に並んで集合している。計量器25は、容器入替機20の間に配置されている。計量器25は、ほぼ中央にロードセル25aを有しており、このロードセル25aを介して容器Cに投入された被計量物の重量を測定する。
【0024】
ロードセル25aは、被計量物が投入される前に容器Cの重量Waを計量し、被計量物が投入された後に再び容器Cの重量Wbを測定する。つまり、WbとWaとの差が被計量物の重量である。
【0025】
図2は、図1の組合せ計量装置が備えている制御部のブロック図である。図1、図2において、制御部50は、メモリ26に格納されている各種プログラムに従って、供給部12、回転駆動部14、容器入替機20および計量器25の動作を制御する。メモリ26には、組合せ計量において選択された容器Cの相対的位置が逐次記憶されるので、制御部50は、容器Cの位置を確認しながら選択された容器Cが列をなすように容器入替機20を介してアーム21を制御する。
【0026】
説明の便宜上、容器Cが回転搬送部11によって回転することを「周回」とよび、容器Cがアーム21の回転軸を中心に回転して左右が入れ替わること「入替」とよび、容器Cが開口を下向きにする動作を「反転」とよぶ。組合せ計量装置10では、容器Cへの被計量物の供給、被計量物の計量、容器Cの順番の並び替え、容器Cから被計量物の排出といった各工程を、周回、入替、および反転によって行っている。
【0027】
例えば、被計量物が供給されていない空の容器Cは、ホッパー12bの下方に達する手前で計量器25のロードセル25aに掛けられ重量が測定される。次に、ホッパー12bの下方に来た容器Cは、ホッパー12bから所定の量の被計量物が投入され、再び、ロードセル25aに掛けられて重量が測定される。制御部50は、空の容器Cの重量を記憶しているので、被計量物が投入された後の重量から空の容器の重量を引き算し、容器Cに投入された被計量物の重量を算出し記憶する。
【0028】
さらに、制御部50は、被計量物の重量に基づいて、どの容器Cの被計量物を組み合せれば所定重量になるのかを演算し、最適な容器Cを選択する。制御部50は、選択した容器C群が連続した並びになるように、容器入替機20によってその順番を入れ替える。容器入替機20による並び替えが完了した容器Cは、シューター101の上部で容器入替機20によって反転させられて、順次、被計量物を排出する。容器Cから排出された被計量物は、下流側に配置された図示しない製袋包装機に供給され梱包される。
【0029】
(容器保持部材24)
図3は、容器Cを保持する容器保持部材の斜視図である。図3において、容器保持部材24は、容器受け241と連結部242と連結ギア243とを有している。容器受け241は環状に成形されている。容器Cは、底面から開口部に向かって徐々に径が広がったカップ形状であるので、容器受け241に挿入されたとき胴部中央が容器受け241の環と密着する。容器Cの胴部と容器受け241の環との密着部には、容器Cが容器受け241から落下しないように、スナップフィットで嵌まり込む嵌合部が予め設けられている。
【0030】
連結部242は、連結ギア243の回転軸を回転自在に保持している。連結部242は、連結ギア243を軸方向から挟む第1壁242a及び第2壁242bを含み、さらに連結ギア243を径方向から挟む第3壁242c及び第4壁242dを含んでいる。第1壁242aと第2壁242bとが互いに平行に対峙し、第3壁242cと第4壁242dとが互いに平行に対峙しており、これら4つの壁が連結ギア243の噛み合い歯243aの一部を露出させるように連結ギア243を囲んでいる。
【0031】
連結ギア243の回転軸は、連結部242の第1壁242aを貫通して容器受け241に接続されている。したがって、連結部242が固定され連結ギア243が回転するとき、容器受け241も回転する。
【0032】
第3壁242c及び第4壁242dにはマグネット244が埋め込まれている。また、連結ギア243の噛み合い歯243aには、回転軸に対して180°間隔で2つのマグネットが埋め込まれている。したがって、連結ギア243が他のギアと噛み合っていないとき、連結ギア243の噛み合い歯243aに埋め込まれたマグネットが、第3壁242c又は第4壁242dのマグネット244に引き寄せられるので、噛み合い歯243aは第3壁242c又は第4壁242dに対して定位置で停止する。
【0033】
(アーム21)
図4は、アームの斜視図である。図4に示すように、アーム21は容器入替機20から突出する駆動軸33cに取り付けられており、駆動軸33cが回転することによってアーム21も回転する。アーム21は、駆動軸33cから互いに反対方向に一定距離はなれた位置に、第1連結指21a及び第2連結指21bを有している。第1連結指21a及び第2連結指21bは、容器保持部材24の連結部242を保持するために、マグネット219が埋め込まれている。つまり、第1連結指21a又は第2連結指21bのマグネット219と、連結部242の第3壁242c及び第4壁242dに埋め込まれているマグネット244とが対峙するようにセットされ、連結部242は第1連結指21a又は第2連結指21bと磁力によって連結される。
【0034】
アーム21には、第1連結指21aに隣接するように第1遊星ギア211が取り付けられており、連結部242が第1連結指21aにセットされたとき、連結ギア243と第1遊星ギア211とが噛み合う。また、第2連結指21bに隣接するように第2遊星ギア212(図5参照)が取り付けられており、連結部242が第2連結指21bにセットされたとき、連結ギア243と第2遊星ギア212とが噛み合う。
【0035】
(容器入替機20の構造)
図5は、図1に示す容器入替機20を鉛直平面で切断したときの断面斜視図である。図5において、容器入替機20は、第1モータ20a、第2モータ20b、第3モータ20c、及びアーム21を備えている。第3モータ20cは、第1モータ20aと第2モータ20bとに挟まれており、上から第1モータ20a、第3モータ20c、第2モータ20bの順で鉛直方向に並んでいる。
【0036】
第1モータ20aは、第1出力ギア31aを回転させる。第1出力ギア31aは第1アイドルギア31bと噛み合い、第1アイドルギア31bは第1軸ギア31cと噛み合っている。第2モータ20bは、第2出力ギア32aを回転させる。第2出力ギア32aは第2アイドルギア32bと噛み合い、第2アイドルギア32bは第2軸ギア32cと噛み合っている。
【0037】
第1軸ギア31cと第2軸ギア32cとは同軸上に並んで配置されている。第2軸ギア32cは、第2軸Aギア32caと第2軸Bギア32cbと連結軸32ccとを有し、第2軸Aギア32caと第2軸Bギア32cbとが第1軸ギア31cを挟んで連結軸32ccによって連結されている。連結軸32ccは、第1軸ギア31cの中心を貫通しているが、回転しても第1軸ギア31cを回転させることはない。
【0038】
第3モータ20cは、アーム21を回転させる駆動軸33cを有している。駆動軸33cは、第2軸Aギア32ca、第2軸Bギア32cbおよび連結軸32ccの中心を貫通しているが、回転しても第2軸Aギア32ca、第2軸Bギア32cbおよび連結軸32ccを回転させることはない。
【0039】
アーム21には、第1遊星ギア211と第2遊星ギア212とが取り付けられている。第1遊星ギア211は第1軸ギア31cと噛み合い、第2遊星ギア212は第2軸Bギア32cbとかみ合っている。したがって、第1出力ギア31aの回転は、第1アイドルギア31b及び第1軸ギア31cを介して第1遊星ギア211に伝達される。同様に、第2出力ギア32aの回転は、第2アイドルギア32b、第2軸Aギア32ca、連結軸32ccおよび第2軸Bギア32cbを介して第2遊星ギア212に伝達される。
【0040】
アーム21が回転したとき、第1遊星ギア211は第1軸ギア31cに噛み合いながら第1軸ギア31cの周りを回転する。連結部242が第1連結指21aにセットされているとき、連結ギア243は第1遊星ギア211と噛み合っているので、その反対方向に回転して容器Cを傾ける。しかし、容器Cはアーム21の回転に応じて傾いており、連結ギア243の回転によって容器Cは元の姿勢に戻る方向へ回転する。その結果、アーム21が回転しても容器Cの姿勢は変わらない。
【0041】
同様に、アーム21が回転したとき、第2遊星ギア212は第2軸Bギア32cbに噛み合いながら第2軸Bギア32cbの周りを回転する。連結ギア243は第2遊星ギア212と噛み合っているので、その反対方向に回転して容器Cを傾ける。しかし、容器Cはアーム21の回転に応じて傾いており、連結ギア243の回転によって容器Cは元の姿勢に戻る方向へ回転する。その結果、アーム21が回転しても容器Cの姿勢は変わらない。
【0042】
この組合せ計量装置10では、第1モータ20a、第2モータ20b及び第3モータ20cの回転を制御することにより、アーム21の両端に支持された容器Cの順番の入れ替えや、その中に貯留されている被計量物の移し替え、排出等を行うことができる。
【0043】
(容器Cの入れ替え動作)
図6A〜図6Iは、隣接する2つの容器の位置を入れ替えるアームの正面図である。説明の便宜上、隣接するアーム21を、排出位置に近い側から順に第1アーム21X、第2アーム21Yとよぶ。さらに、第1アーム21Xおよび第2アーム21Yそれぞれの第1連結指21aおよび第2連結指21bそれぞれを、第1連結指21aX、第2連結指21bX、および第1連結指21aY、第2連結指21bYとよぶ。また、排出位置に近い側を下流側とよぶ。
【0044】
図6Aにおいて、第1アーム21Xの第1連結指21aXは下流側に、第2連結指21bXは上流側にある。第2アーム21Yの第1連結指21aYは下流側に、第2連結指21bYは上流側にある。容器CXは第1アーム21Xの第1連結指21aXに保持され、容器CYは第2アーム21Yの第2連結指21bYに保持されている。
【0045】
制御部50は、容器CXと容器CYの順番を入れ替える場合、先ず、図6Bにおいて、第1アーム21Xと第2アーム21Yとが干渉しないように、第1アーム21Xを反時計方向に約45°傾ける。その後、図6Cにおいて、第2アーム21Yを時計回りにほぼ水平になるまで回転させる。
【0046】
次に、図6Dにおいて、第1アーム21Xを時計回りにほぼ水平になるまで回転させて、容器CYの連結部242を第2アーム21Yの第2連結指21bYと第1アーム21Xの第2連結指21bXとで挟ませる。次に、図6Eにおいて、制御部50は、第1アーム21Xを反時計回りに回転させながら、容器CYの連結部242を第2連結指21bYから押し出すように第2遊星ギア212(図5参照)を回転させる。その結果、容器CYの連結部242は、第2アーム21Yの第2連結指21bYから第1アーム21Xの第2連結指21bXに渡される。第1アーム21Xは、そのまま反時計周りに約180°回転する。
【0047】
このとき、図6Fにおいて、第1アーム21Xの第2連結指21bXは容器CYの連結部242を保持したまま下流側へ移動し、第1連結指21aXは容器CXの連結部242を保持したまま上流側へ移動する。その間に、制御部50は、第2アーム21Yが第1アーム21Xと干渉しないように第2アーム21Yを反時計方向に約45°傾けて停止させる。
【0048】
次に、図6Gにおいて、制御部50は、第2アーム21Yを時計方向に約45°回転させ、容器CXの連結部242を第1アーム21Xの第1連結指21aXと第2アーム21Yの第2連結指21bYとで挟ませる。次に、図6Hにおいて、制御部50は、第2アーム21Yを反時計方向に回転させながら、容器CXの連結部242を第1連結指21aXから押し出すように第1遊星ギア211(図5参照)を回転させる。その結果、容器CXの連結部242は、第1アーム21Xの第1連結指21aXから第2アーム21Yの第2連結指21bYに渡される。
【0049】
第1アーム21Xは容器CXの連結部242を離した後、図6Iにおいて、第2アーム21Yと干渉しないように反時計方向に約45°傾いて停止し、第2アーム21Yは容器CXの連結部242を受け取ってからそのまま反時計周りにほぼ水平になるまで回転する。
【0050】
(隣接する容器Cに被計量物を移し替える移し替え動作)
制御部50は、組み合わせ計量の対象から外れた被計量物を貯留している2つの容器を対象に、容器Cの姿勢を傾けて隣接する容器Cに被計量物の全部または一部を移す、移し替え動作を実施する。
【0051】
図7A〜図7Eは、容器の姿勢を傾けて隣接する容器に被計量物の全部または一部を移し替えるアームの正面図である。制御部50は、図7Aに示すように2つの容器CX,CYを第1アーム21Xに保持させる。ここで、被計量物を出す側の容器は容器CXであり、被計量物を受ける側の容器は容器CYである。次に、制御部50は、図7Bに示すように第1アーム21Xを反時計回りに回転させ、容器CXを高い位置へ、容器CYを容器CXよりも低い位置へ移動させる。
【0052】
次に、制御部50は、図7Cに示すように第1アーム21Xが反時計方向に約60°傾いたとき、第1モータ20aを回転させて容器CXを傾ける。このとき、被計量物は容器CXから外へ排出され、下方に配置された容器CYに被計量物が移される。
【0053】
容器CX内の被計量物を一部移す場合、制御部50は、第1モータ20a(図5参照)を逆回転させて傾いた容器CXを図7Cに示す姿勢から図7Bに示す姿勢を経て図7Aに示す姿勢へ戻す。
【0054】
一方、容器CX内の被計量物を全部移す場合、制御部50は、第1アーム21Xの回転と容器CXの回転を継続させるので、容器CXは図7Dに示すような反転姿勢となって被計量物を容器CYへ全部排出する。制御部50は、第1アーム21Xの回転と容器CXの回転をさらに継続させるので、図7Eに示すように第1アーム21Xは水平になりながら、容器CXは開口を上に向ける。このとき、制御部50は、隣接する第2アーム21Yと第1アーム21Xとの干渉をさけるため、第2アーム21Yを反時計方向に45°傾けて待機させる。
【0055】
制御部50は、容器CXおよび容器CYを供給位置へ進ませるが、新たに被計量物を供給させずに、移し替え後の被計量物を計量させる。このとき、容器CX,CYに貯留されている被計量物が組合せ計量に選択されるべき重量範囲内になっている場合、容器CX,CYは組合せ計量の対象としてその他の容器Cと共に順番を並び替えられながら排出位置に向かい、排出位置で被計量物を排出する。
【0056】
一方、被計量物を移した後、容器CX,CYの両方またはいずれか一方の計量結果が上記所定の重量範囲外である場合には、制御部50は、再び容器入替機20を制御して2つの容器C間において被計量物の移し替えを行う。
【0057】
被計量物の移し替え動作については、組合せ計量において選択された各被計量物を貯留している容器Cを隣接するように並び替えた後、特定の1つの容器Cにそれら他の容器Cに貯留された被計量物を集合させてもよい。
【0058】
この場合には、組合せ計量に参加する被計量物を、1回の排出動作、つまり1つの容器Cの上下反転によって全て排出することができるため、複数の容器Cから被計量物を排出する場合と比較して排出動作を効率よく実施することができる。
【0059】
(電源復旧時の移し替え動作)
容器C内の被計量物の重量は、容器Cごとにメモリ26に記憶される。しかし、停電等によって組合せ計量装置が停止したとき、複数の容器Cのうち全部または一部が被計量物の重量が不確定な容器となる。例えば、停電直前に被計量物が投入される途中であった容器C、或いは停電直前に被計量物が移し替えられる途中であった容器C、或いは停電直前に被計量物が排出される途中であった容器などが被計量物の重量が不確定な容器に相当する。
【0060】
そこで、組合せ計量装置10では、電源が復旧したとき各容器C内の被計量物の重量を確定するため、制御部50が上記移し替え動作を利用して容器CXから容器CYへ被計量物を全部移し替えた後、ロードセル25aに空になった容器CXの重量Waを計量させる。さらに、制御部50は、上記移し替え動作を利用して容器CYから容器CXへ被計量物を全部移し替えた後、ロードセル25aに容器CXの重量Wbを計量させる。制御部50は、WbとWaとの差を被計量物の重量としてメモリ26に記憶する。このような動作を繰り返すことによって、停電時に不明となった被計量物の重量が判明する。制御部50は、被計量物の重量が判明するまでの間、供給部12から各容器Cへ新たな被計量物の供給を行わせず、各容器Cからシューター101への被計量物の排出も行わせない。
【0061】
(被計量物の排出動作)
アーム21に保持されている容器Cに組合せ計量の対象となる被計量物が貯留されている場合、制御部50は排出位置で容器Cから被計量物を排出させるが、単に容器Cを反転させるだけでは容器C内に被計量物が残る可能性があるので、容器Cに勢いを付けて反転させている。以下、図面を用いてその動作を説明する。
【0062】
図8A〜図8Eは、容器から被計量物を排出させるアームの正面図である。制御部50は、図8Aに示すように、容器Cを保持していない第1アーム21Xを約45°傾斜させた状態で待機させ、排出動作させる容器Cを第2アーム21Yの下流側に移動させる。
【0063】
次に、制御部50は、図8Bに示すように、第1アーム21Xを時計回りにほぼ水平になるまで回転させて、容器Cの連結部242を第2アーム21Yの第2連結指21bYと第1アーム21Xの第2連結指21bXとで挟ませる。
【0064】
次に、制御部50は、図8Cに示すように、第1アーム21Xを反時計回りに回転させながら、容器Cの連結部242を第2連結指21bYから押し出すように第1遊星ギア211(図5参照)を回転させる。その結果、容器Cの連結部242は、第2アーム21Yの第2連結指21bYから第1アーム21Xの第2連結指21bXに渡される。
【0065】
次に、制御部50は、図8Dに示すように、第1アーム21Xをそのまま反時計回りにほぼ水平になるまで回転させ、第1アーム21Xと第2アーム21Yとが干渉しないように、第2アーム21Yを反時計方向に45°傾ける。このとき、容器Cは、排出位置の上方に近づいており、既に反転を開始している。
【0066】
次に、制御部50は、図8Eに示すように、第1アーム21Xをそのまま反時計方向に45°傾斜するまで回転させ、同時に容器Cの開口が下方に向くように、容器Cを一挙に反転させる。容器C内の被計量物は、第1アーム21Xの回転による勢いと、容器C自身の反転による勢いに乗じて容器Cからシューター101(図1参照)に向かって飛び出す。
【0067】
以上のように、組合せ計量装置10は、周回移動している容器Cが排出位置に移動してきたタイミングで容器Cを上下反転させることにより、容器Cに貯留されていた被計量物を排出することができる。また、組合せ計量の結果に基づいて、組合せ計量の対象となった容器Cの順番が並び替えられているので、所望の被計量物を連続して排出位置で排出することができる。
【0068】
(計量器25の構造)
図9は、空の容器または被計量物の入った容器の重量を測定している計量器の側面図である。図9において、計量器25は、ロードセル25aを有している。ロードセル25aは、計量器25の正面から露出する吸着板25aaと、正面から内側に向かって埋め込まれている検知部25abとを含んでいる。吸着板25aaの4隅近傍には、マグネット25amが埋め込まれている。また、吸着板25aaは、図4に示すように、アーム21が水平姿勢のとき第1連結指21a及び第2連結指21bに保持された連結部242と対峙する場所に配置されている。
【0069】
図10は、容器を水平に保持した容器保持部材の連結部斜視図である。図9、図10において、連結部242は、第2壁242b側に被吸着板245を有している。被吸着板245は、連結ギア243と同期して回転することができ、ロードセル25aの吸着板25aaと対峙する。被吸着板245の4隅近傍にはマグネット245aが埋め込まれており、第1連結指21a及び第2連結指21bが連結部242の保持を解除すれば、マグネット245aが吸着板25aaのマグネット25amに引かれて吸着板25aaに密着する。
【0070】
連結部242は、容器保持部材24の一部であるので、被計量物と容器Cと容器保持部材24との総重量が吸着板25aaに作用する。検知部25abは吸着板25aaに作用する重量に応じで歪む。検知部25abには歪みゲージ25agが貼り付けられているので、制御部50は、歪みゲージ25agの出力に基づいて吸着板25aaに作用する重量を算出する。
【0071】
例えば、ロードセル25aが容器Cを受けていない状態では、検知部25abは自らの重量および吸着板25aaの重量によって歪んでおり、この状態のときの歪みゲージ25agの出力に基づいて算出された重量は、零点重量としてメモリ26に記憶される。
【0072】
また、ロードセル25aが空の容器Cを受けている状態では、検知部25abは容器C、容器保持部材24、吸着板25aa及び検知部25ab自らの重量によって歪んでおり、この状態のときの歪みゲージ25agの出力に基づいて算出された重量は、風袋重量としてメモリ26に記憶される。
【0073】
また、ロードセル25aが被計量物の入った容器Cを受けている状態では、検知部25abは被計量物、容器C、容器保持部材24、吸着板25aa及び検知部25ab自らの重量によって歪んでおり、この状態のときの歪みゲージ25agの出力に基づいて算出された重量は、総重量としてメモリ26に記憶される。制御部50は、総重量から風袋重量を減じた重量を被計量物の重量としてメモリ26に記憶する。計量は、容器Cから被計量物が排出される前に再度行われることが好ましい。なぜなら、被計量物のこぼれをチェックすることができるからである。
【0074】
図11は、容器がロードセルから分離されたときの吸着板および被吸着板の姿勢を示す正面図である。図11において、ロードセル25aの吸着板25aaは、対向する2辺が鉛直に延びる長方形である。図10及び図14に示すように、容器Cが口を真上に向けた姿勢を正規姿勢としたとき、正規姿勢の容器Cの中心線L1に対して被吸着板245の中心線L2は角度θだけ傾いている。
【0075】
したがって、容器Cがロードセル25aで計量されているときは、被吸着板245がロードセル25aの吸着板25aaに連結されているので、被吸着板245の中心線L2が鉛直になり、容器Cが角度θ傾くこととなる。計量時、容器Cは静止しているので、角度θ傾いていても被計量物がこぼれ落ちることはない。そして、計量後、容器Cがロードセル25aから分離されるときは、被吸着板245が角度θ回され、容器Cが正規姿勢になる。
【0076】
(隣接する2つのアーム21間での容器Cの受け渡し)
図12Aは、2つのアームに保持された容器が一方のアームに渡される直前の各アームおよび容器の正面図である。また、図12Bは、図12Aの容器が一方のアームに渡されたときの各アームおよび容器の正面図である。また、図12Cは、図12Aの容器が他方のアームに渡されたときの各アームおよび容器の正面図である。
【0077】
図12Aにおいて、第1アーム21Xと第2アーム21Yとの間で容器CYの受け渡しが行なわれるとき、容器CYの連結部242が第2アーム21Yの第1連結指21aYと第1アーム21Xの第2連結指21bXとによって挟まれる。
【0078】
第2遊星ギア212Xが回転を停止して連結ギア243の回転を拘束している場合、第1遊星ギア211Yが図12AのCW方向に回転するような動作をしたとき、連結ギア243は拘束されているので回転力が容器CYの連結部242を第1連結指21aYから押し出す力に変換される。同時に、第1アーム21Xが反時計回りに回転することによって、図12Bに示すように、容器CYの連結部242は第2アーム21Yの第1連結指21aYから第1アーム21Xの第2連結指21bXに渡る。
【0079】
逆に、第1遊星ギア211Yが回転を停止して連結ギア243の回転を拘束している場合、第2遊星ギア212Xが図12AのCW方向に回転するような動作をしたとき、連結ギア243は拘束されているので回転力が容器CYの連結部242を第2連結指21bXから押し出す力に変換される。同時に、第2アーム21Yが反時計回りに回転することによって、図12Cに示すように、容器CYの連結部242は第1アーム21Xの第2連結指21bXから第2アーム21Yの第1連結指21aYに渡る。
【0080】
(アーム21からロードセル25aへの容器Cの受け渡し)
図13は、2つのアームに保持された容器がロードセルに渡される直前の各アームおよび容器の正面図である。図13において、容器CYの連結部242は第2アーム21Yの第1連結指21aYと第1アーム21Xの第2連結指21bXとによって挟まれ、連結ギア243が回されて容器CYが角度θ傾いている。
【0081】
その状態から、第2遊星ギア212X及び第1遊星ギア211Yが共に図13のCW方向に回転するような動作をし、同時に、第1アーム21X及び第2アーム21Yが連結部242から離れる方向に回転したとき、容器CYの連結部242は第1アーム21Xの第2連結指21bX及び第2アーム21Yの第1連結指21aYから離れ、連結部242が浮いた状態になる。
【0082】
ロードセル25aの吸着板25aaと連結部242の被吸着板245とは強力な磁力で引き合うので、連結部242が浮いた瞬間、被吸着板245が吸着板25aaに引き付けられ、容器CYとロードセル25aとが連結される。
【0083】
また、容器Cは、1つのアーム21に保持された状態からロードセル25aに容易に渡されることも可能である。図14は、ロードセルに渡される直前のアームおよび容器の正面図である。図14において、連結ギア243が第1遊星ギア211によって回転し、容器Cが角度θ傾いている。このとき、アーム21が図14のCCW方向に回転したとき、連結ギア243は反対方向に回転しようとするので、連結ギア243と第1遊星ギア211とがお互いの回転を拘束する。このとき、第1遊星ギア211を回転させる第1モータ20a(図5参照)、及びアーム21を回転させる第3モータ20cにはロックトルクが発生し、連結ギア243と第1遊星ギア211とは互いに離れる方向の抗力を受ける。この抗力が連結部242と第1連結指21aとの保持力を超えたとき、連結部242が第1連結指21aから外れて浮いた状態となる。ロードセル25aの吸着板25aaと連結部242の被吸着板245とは強力な磁力で引き合うので、連結部242が浮いた瞬間、被吸着板245が吸着板25aaに引き付けられ、容器Cとロードセル25aとが連結される。
【0084】
(ロードセル25aと容器Cとの分離)
ロードセル25aと容器Cとの分離は、ロードセル25aの吸着板25aaと連結部242の被吸着板245とが強力な磁力で連結されているので、単に引っ張るだけでは容器Cは分離されず、仮に分離されてもアーム21に不要な負荷が作用する。そこで、図13に示すように第1アーム21Xの第2連結指21bXと第2アーム21Yの第1連結指21aYとが連結部242を挟み、第2遊星ギア212X及び第1遊星ギア211Yを回転させて連結部242の連結ギア243に回転力を伝達する。このとき、容器CYが図13に示す姿勢から正規姿勢に戻る方向に連結ギア243が回転する。したがって、被吸着板245も角度θ回され、マグネット245aと吸着板25aaのマグネット25amとが相対的に滑り移動し、マグネット245aとマグネット25amとが分離される。
【0085】
上記のように、アーム21がロードセル25aから容器Cを分離するときは、被吸着板245を回してマグネット245aとマグネット25amとの対峙を解消してから分離するので、被吸着板245を回さずに分離させる方法に比べてアーム21にかかる負担が小さくなる。
【0086】
また、図11から分かるように、容器Cが角度θ傾いたとき、吸着板25aaの四隅に設けられているマグネット25amと、被吸着板245の四隅に設けられているマグネット245aとがそれぞれ1対1で吸着し合うので、ロードセル25aに保持されたときの容器Cの傾き角度は、ほぼ角度θになっている。そうすると、仮に容器Cが搬送途中に傾いて好ましくない姿勢になっていても、容器Cは、ロードセル25aに渡されるだけで角度θ傾いた姿勢に設定され、その後、アーム21によって復帰方向に角度θ回され正規姿勢となる。つまり、自動的に容器Cの姿勢が補正される。
【0087】
また、図11に示すように、容器Cが口を真上に向けているとき、吸着板25aaの四隅に設けられているマグネット25amは、被吸着板245の四隅に設けられているマグネット245aと対峙しない。容器Cが正規姿勢のとき、吸着板25aaから被吸着板245に作用する力は軽減される。容器Cは搬送されるときロードセル25a近傍を通過するが、正規姿勢で通過するので、吸着板25aaから受ける力は軽減されており、アーム21の動作を妨げるような不具合は発生しない。
【0088】
<本実施形態の特徴>
(1)
組合せ計量装置10では、連結ギア243が拘束されることによって第1遊星ギア211又は第2遊星ギア212の回転力が容器保持部材24をアーム21から押し出す力に変換される。その結果、容器保持部材24がアーム21から容易に開放され、アーム21に作用する突発的負荷が軽減される。
【0089】
(2)
組合せ計量装置10では、容器Cとロードセル25aとを連結している力はマグネット25amとマグネット245aとの磁力だけであるので、一定の力を加えるだけで容器Cとロードセル25aとは分離される。したがって、一定の力以上の外力がロードセル25aに作用することがないので、過負荷によるロードセル25aの損傷が防止される。
【0090】
また、アーム21が容器保持部材24を放した時点で、マグネット245aが磁力でマグネット25amに吸着されるので、容器Cはマグネット25amとマグネット245aとによって決まる一定の姿勢をとる。容器保持部材24が搬送時に誤った姿勢で保持された場合でも、計量のたびに一定の姿勢に補正されてから搬送時の姿勢に戻されるので自動的に姿勢が復元される。
【0091】
さらに、マグネット25amからマグネット245aを引き離すとき、単に引っ張るだけではアーム21に負荷がかかり好ましくないので、マグネット245aを回してマグネット25amとマグネット245aとが対峙する位置が一致しないようにすれば、互いに引き合う力が弱まる。その結果、マグネット245aを引き離し易くなりアーム21にかかる負荷が軽減される。
【0092】
(3)
組合せ計量装置10では、マグネット245aが、マグネット25amから引き離されるときに角度θ回されて容器Cの姿勢が傾くので、マグネット245aがマグネット25amに吸着される段階で予め傾けておけば、マグネット245aがマグネット25amから引き離されるときに角度θ回されて容器Cの姿勢が搬送時の姿勢に戻る。つまり、マグネット245aが回されてマグネット25amとマグネット245aとが対峙する位置は一致しないので、互いに引き合う力が弱まりマグネット245aが引き離され易くなる。
【0093】
さらに、容器Cが搬送されるときマグネット245aはマグネット25amの近傍を通過するが、マグネット25amとマグネット245aとが対峙する位置は一致しないので、マグネット25amとマグネット245aとが互いに引き合う力は軽減され、アーム21に作用する負荷も軽減される。
【0094】
<その他の実施形態>
(A)
上記実施形態では、被計量物を容器Cに投入する前、および電源復旧後の被計量物の移し替え動作のときに空の容器Cの重量を測定しているが、空の容器Cの重量を不揮発性メモリに記憶させておいてもよい。
【0095】
この組合せ計量装置10では、制御部50が、不揮発性メモリと容器識別部とをさら有している。容器識別部は、容器入替機20に内蔵されたアンテナと繋がっている。各容器Cは、そのアンテナの近傍を必ず通過するように動作が制御されるか、或いは、容器Cが必ず通過する軌道の近傍に内蔵するか、いずれでも可能である。各容器Cには、容器ごとに異なる番号を記憶したICチップが埋め込まれている。
【0096】
容器Cがアンテナの近傍を通過するとき、容器識別部がアンテナを介してICチップに記憶されている容器番号を非接触で読み取る。不揮発メモリには、予め容器番号に対応する容器の重量が記憶されているので、制御部50はその容器番号と一致する容器の重量を不揮発メモリから読み取ることができる。これによって、各容器Cの空の重量が判明するので、被計量物を容器Cに投入する前、および電源復旧後の被計量物の移し替え動作のときに空の容器Cの重量を測定する動作を省くことができる。
【0097】
(B)
上記実施形態では、ロードセル25aが容器Cを受けていない状態での歪みゲージ25agの出力に基づいて算出された重量が零点重量としてメモリ26に記憶されている。この組合せ計量装置では、この零点重量の測定が、一度だけでなく、ロードセル25aに容器Cが渡されていないとき毎に行われる。その結果、常に最新の零点重量が計量されるので、零点ドリフトの影響が除外され計量精度が上がる。
【0098】
(C)
上記実施形態では、アーム21が容器Cをロードセル25aに渡したときに容器Cの姿勢が自動的に補正されている。しかし、その補正は計量時以外の時期に行われてもよい。例えば、図5に示す第1モータ20aおよび第2モータ20bに、エンコーダ付のステッピングモータが採用される。制御部50は、エンコーダの出力信号から第1モータ20a又は第2モータ20bの脱調を検知したとき、容器Cを角度θ傾けてロードセル25aへ渡す。
【0099】
第1モータ20a又は第2モータ20bが脱調するということは、連結ギア243と第1遊星ギア211又は第2遊星ギア212とが噛み合わず、1歯又は2歯分位置ずれして容器Cの姿勢が正規姿勢から外れている可能性がある。
【0100】
しかし、容器Cが計量時と同じ動作でロードセル25aに渡されることによって、容器Cがアーム21から放された時点で、被吸着板245の4つのマグネット245aが吸着板25aaの4つのマグネット25amの磁力に引き付けられ、互いに対峙する位置が一致するように密着するので、容器Cは角度θ傾いた一定の姿勢に補正される。その後、アーム21が再び容器Cを保持して搬送時の姿勢に戻せば、容器Cは正規姿勢になる。
【0101】
(D)
組合せ計量装置10が、容器Cの存在を検知する手段として、容器検知センサをさらに備えてもよい。例えば、図11において、容器Cが正規姿勢のとき、吸着板25aa上で、且つ、被吸着板245の4つのマグネット245aと対峙する位置の1箇所に、容器検知センサとしてホール素子25ahが設けられている。容器Cが正規姿勢のとき、ホール素子25ahは常に容器Cを検知している。ホール素子25ahが容器Cを検知しないとき、アーム21は容器Cを回転させ、ホール素子25ahが容器Cを検知した後に容器Cを角度θ傾けてロードセル25aへ渡す。一方、アーム21が容器Cを回転させても容器ホール素子25ahが容器Cを検知しないときには運転を停止させる。
【0102】
この組合せ計量装置10では、容器Cが傾いて好ましくない姿勢になっている場合でも、ホール素子25ahに検知されるまで容器Cの姿勢を戻してから角度θ傾ければ、容器Cがアーム21から放されたとき、マグネット245aがマグネット25amの磁力に引き付けられ、互いに対峙する位置が一致するように吸着し合うので、容器Cは角度θ傾いた一定の姿勢に補正される。アーム21が再び容器Cを保持して搬送時の姿勢に戻せば、容器Cは正規姿勢でホール素子25ahに検知される。容器Cが脱落していた場合は、検知されないので脱落していると判定される。
【0103】
また、(C)と(D)とを組み合わせてもよい。その場合、制御部50は、エンコーダの出力信号から第1モータ20a又は20bの脱調を検知したとき、ホール素子25ahで容器Cの存在を確認する。ホール素子25ahが容器Cを検知しないとき、アーム21が容器Cを回転させ、ホール素子25ahが容器Cを検知した後に容器Cを角度θ傾けてロードセル25aへ渡す。また、制御部50は、アーム21が容器Cを回転させさせてもホール素子25ahが容器Cを検知しないときには運転を停止させる。
【0104】
(E)
組合せ計量装置10は、既存のロードセル25aを容器Cの存在を検知する容器検知センサとして利用することができる。例えば、メモリ26が、容器Cが正規姿勢でロードセル25aと対峙したときにロードセル25aが発する出力を基準出力として記憶する。搬送されている容器Cがロードセル25aと対峙したときに、吸着板25aaのマグネット25amが被吸着板245のマグネット245aの磁力を受けるので、ロードセル25aから歪み検知出力が発せられる。制御部50は、演算部(図示せず)を内蔵しており、その演算部がその歪み検知出力と上記基準出力との差に基づいて、容器Cの正規姿勢に対する傾き角度を演算することができる。その結果、ロードセル25aが容器Cの傾きを検知するので、新たに容器検知センサを設ける必要がない。
【0105】
(F)
組合せ計量装置10の供給部12では、振動フィーダ12a内部の板バネとして、ガラス繊維強化プラスチックやカーボン繊維プラスチックなどのFRP材が使用されており、板バネの機械寿命の予測が困難であり、安全率の設計を誤ると破損に至る。そこで、この実施形態では、板バネ表面の温度を監視する監視回路が振動フィーダ12a内部に組み込まれており、制御部50が、板バネ表面の温度上昇率を算出し、予め記憶している許容温度上昇率と比較している。なお、温度測定には、熱伝対などの接触型温度センサ、又は放射温度計などの非接触型温度センサが用いられる。
【0106】
制御部50は、板バネ表面の温度上昇率が許容温度上昇率を超えていると判定したとき、振動フィーダ12aの動作を停止、または振動量の抑制を行う。その結果、振動フィーダ12aの損傷が防止される。また、振動フィーダ12aに使用される搬送面形状は被搬送物によって変更されるので、搬送面形状が変更されたことによる慣性モーメントや重量の変化が振動量を変化させる。しかし、制御部50が板バネ表面の温度を監視するので、その温度上昇率が適切な範囲に納まるように振動量を調節することもできる。
【0107】
(G)
また、振動フィーダ12a内部の板バネは、吸水または吸湿によって特性が変化するので、板バネへの水分の浸透は回避されなければならない。そこで、この実施形態では、板バネに使用するFRP材の切断面に、水の浸透を防止するコーティングが施されている。
【0108】
その結果、高湿度・高温環境下での板バネの曲げ疲労特性が改善され、疲労による板バネの損傷が防止される。なお、コーティング材は、板バネの変形に耐えうるように延伸性を有する材料が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明によれば、精度良く計量された被計量物が適時に排出されるので、フィルムを用いて製袋しながら被計量物を包装する製袋包装システムに有用である。
【符号の説明】
【0110】
10 組合せ計量装置
21 アーム
24 容器保持部材(容器ホルダー)
25a ロードセル
25am 第1マグネット
26 メモリ(記憶部)
50 制御部
211 第1遊星ギア(回転伝達機構)
212 第2遊星ギア(回転伝達機構)
243 連結ギア
245a 第2マグネット
C 容器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開2007−114179号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が投入される複数の容器を所定の周回軌道で搬送し、前記周回軌道上で計量機構によって前記被計量物を計量する、組合せ計量装置であって、
前記容器を保持する複数の容器ホルダーと、
所定の保持力によって前記容器ホルダーを回転可能に保持し前記周回軌道に沿って移動する複数のアームと、
を備え、
前記容器ホルダーにはギアが連結されており、
前記アームは、前記ギアの回転を拘束する機能と前記ギアを回転させる機能とを含む回転伝達機構を有し、
前記アームが前記容器ホルダーを放す際、前記回転伝達機構は、前記ギアの回転を拘束した上で、前記ギアを通常回転させるときよりも大きな力を前記ギアに加える、
組合せ計量装置。
【請求項2】
前記計量機構は、
前記周回軌道に沿って配置されるロードセルと、
前記ロードセルに固定される第1マグネットと、
前記容器ホルダーに固定され前記ギアと同期して回転する第2マグネットと、
を有し、
前記アームは、
前記計量機構が前記被計量物を計量するとき、前記第1マグネットと前記第2マグネットとが対峙する位置で前記容器ホルダーを放して前記第2マグネットを前記第1マグネットに吸着させ、
前記計量機構が前記被計量物の計量を終えたとき、再び前記容器ホルダーを保持し、前記回転伝達機構および前記ギアを介して前記第2マグネットを所定角度回して前記第1マグネットから引き離す、
請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記第2マグネットは、
前記第1マグネットに吸着されるとき、前記容器ホルダーの姿勢が水平面に対して前記所定角度傾くまで回され、
前記第1マグネットから引き離されるとき、傾いている前記容器ホルダーを矯正する方向に前記所定角度回される、
請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
隣接する2つの前記アームうち一方の第1アームに属する第1回転伝達機構と他方の第2アームに属する第2回転伝達機構とが前記ギアと接触している状態において、
前記第1回転伝達機構が前記ギアの回転を拘束し、前記第2回転伝達機構が前記ギアに回転力を与えたとき、前記容器が前記第2アームから前記第1アームに渡り、
前記第2回転伝達機構が前記ギアの回転を拘束し、前記第1回転伝達機構が前記ギアに回転力を与えたとき、前記容器が前記第1アームから前記第2アームに渡る、
請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
隣接する2つの前記アームうち一方の第1アームに属する第1回転伝達機構と他方の第2アームに属する第2回転伝達機構とが前記ギアと接触している状態において、
前記第1回転伝達機構が前記ギアの回転を拘束し、前記第2回転伝達機構が前記ギアに回転力を与えたとき、前記容器が前記第2アームから前記第1アームに渡り、
前記第2回転伝達機構が前記ギアの回転を拘束し、前記第1回転伝達機構が前記ギアに回転力を与えたとき、前記容器が前記第1アームから前記第2アームに渡り、
前記第1回転伝達機構と前記第2伝達機構とが共に前記ギアに回転力を与えたとき、前記容器が前記ロードセルへ渡される、
請求項2に記載の組合せ計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−47891(P2011−47891A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198589(P2009−198589)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】