説明

組成勾配サーメットおよびその調製のための反応性熱処理方法

サーメット、特に組成勾配サーメットを、適切なバルク金属合金から始めて、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される反応性環境を含む反応性熱処理方法によって調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的にはサーメットに関し、詳細には組成勾配サーメットおよびその調製のための反応性熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
侵食耐性のある材料は、表面が侵食作用を受ける多くの用途に使用される。例えば、様々な化学および石油環境において、触媒微粒子などの硬い固体粒子を含む攻撃的流体にさらされる精油所プロセス容器内部は、侵食と腐食の両方を受ける。特に高温度で侵食および腐食から誘起される材料劣化に対しこれら容器内部を保護することは、技術的挑戦である。流動接触分解装置(FCCU)における内部サイクロンなどのサイクロンの内部壁のような、最も厳しい侵食および腐食を防ぐための保護を必要とする構成要素に対しては、現在、耐火性ライナーが使用されている。これら耐火性ライナーの寿命は、ライナーの機械的摩滅、割れ、および破砕によって著しく制限される。侵食耐性のある材料における最高水準の技術は、化学結合型キャスタブル・アルミナ耐火物である。これらキャスタブル・アルミナ耐火物は、保護を必要とする表面に塗布され、熱硬化させると硬化し、金属錨または金属強化材を介して表面に固着する。それはまた、他の耐火物表面に容易に結合する。一つの市販耐火物の典型的な化学組成は、重量%で80.0%のAl、7.2%のSiO、1.0%のFe、4.8%のMgO/CaO、4.5%のPである。
【0003】
セラミック−金属複合材はサーメットと呼ばれる。化学的に十分に安定なサーメットは、当技術分野で周知の耐火材料を超える大きさの侵食抵抗を提供できる。サーメットは、一般に粉末冶金技術を使用して製造され、この場合、金属とセラミックの粉末が混合され、高温度で押圧および焼結される。粉末から冶金学的に製造したサーメットは、通常均質な微細構造および均一な組成を有するので、表面の侵食抵抗が要求される金属性の表面上にサーメットを取り付けるのに複雑な取付方法が必要である。
【0004】
組成勾配サーメットは、サーメットの一表面がセラミックリッチであり、露出しない表面が金属リッチであるサーメットである。典型的な組成勾配サーメットでは、金属成分中に、深さと共にセラミックの濃度が減少するようなセラミックの濃度勾配がある。溶接などの方法を使用して金属または合金表面上に直接サーメットを経済的に取り付ける上で、相溶性と、実質的に金属性の対象物を他の実質的に金属性の対象物に溶接する容易さの故に、かかる組成勾配サーメットが要望されており、かつ好ましい。更に、かかる組成勾配サーメットはまた、特に熱的変動がある条件下で優れた耐久性を示すことができる。しかしながら、組成勾配サーメットを調製するための効果的な方法に対する要望がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、金属合金の反応性熱処理によってサーメット、特に組成勾配サーメットの調製方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、反応性熱処理方法から得られる組成勾配サーメット生成物を提供することである。
【0007】
これら及び他の目的は、以下の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、
クロムおよびチタンのうちの少なくとも1種を含む金属合金を、600℃〜1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱された金属合金を形成する工程;
前記加熱された金属合金を、反応した合金を提供するのに十分な時間、約600℃〜約1150℃の範囲で、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含んでなる反応性環境に暴露する工程;および
前記反応した合金を約40℃未満の温度に冷却して、組成勾配サーメット材料を提供する工程
を含んでなることを特徴とする組成勾配サーメット材料の調製方法である。
【0009】
他の実施形態は、開示した反応性熱処理方法から得られる組成勾配サーメット生成物を目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
組成勾配サーメット材料の調製方法の第1の工程は、クロムおよびチタンのうちの少なくとも1種を含む金属合金を、約600℃〜約1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱された金属合金を形成することを含んでなる。クロムおよびチタンのうちの少なくとも1種を含む金属合金は、約12〜60重量%のクロム、0〜10重量%のチタン、並びに、鉄、ニッケル、コバルト、ケイ素、アルミニウム、マンガン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される金属が30〜88重量%を含んでなる。好適な実施形態では、合金の主要な物質構成成分は鉄である。従って、タイプ304SS、347SS、321SS、310SS等などのステンレス鋼、およびインコロイ800Hなどの鉄−ニッケル系合金が、本方法に特に適する。
【0011】
この方法の第2の工程は、加熱された金属合金を、反応した合金を提供するのに十分な時間にわたり約600℃〜約1150℃の範囲で、本質的に反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される反応性環境に暴露することを含んでなる。
【0012】
反応性環境が反応性炭素環境である場合、浸炭反応が起こると考えられる。反応性熱処理方法の機構に束縛されることを望まないが、出願人は、浸炭プロセスにより、合金表面上および合金マトリックス内に、クロムリッチおよびチタン炭化物相、例えば、Cr、Cr23、(Cr0.6Fe0.4、(Cr0.6Fe0.423およびTiCが析出し、サーメット、特に組成勾配炭化物サーメットが得られると考える。
【0013】
反応性炭素環境は、環境中の炭素の熱力学的活量(a)が合金のそれより大きい環境として定義される。
(a環境>(a金属
本発明に適する反応性炭素環境は、CO、CH、CおよびCのうちの少なくとも1種を含んでなる。反応性炭素環境は、任意選択でHを含むことができる。反応性炭素環境は、O、COおよびHOを更に含むことができる。以下に示す次の反応[1]、[2]および[3]は、熱処理条件下で起きて反応性炭素を提供すると考えられるいくつかの反応である。炭素は、金属表面と反応してクロムリッチおよびチタンリッチ炭化物相を形成する。
CO+H→C+HO [1]
2CO→C+CO [2]
CH→C+2H [3]
【0014】
反応[3]の後に熱処理が続くとき、環境中の炭素活量(a)は、
=e−G°/RT(PCH4/PH2
(式中、G°は活性化自由エネルギーであり、Rは気体定数であり、Tはケルビン単位の温度であり、Pはそれぞれのガス、メタンおよび水素の分圧である)
である。炭素活量は、(PCH4/PH2)の関数として図1にプロットされており、ここには、本発明方法の場合のPCH4/PH2の好ましい範囲が示されている。
【0015】
メタンと水素の混合物を使用して反応性炭素環境を提供する場合、メタンと水素のガス状混合物中のメタン含量は、約1体積%〜約99体積%、好ましくは約2体積%〜約45体積%の範囲とすることができる。これは図2に示されており、ここでは、1100℃で3時間暴露した304ステンレス鋼(重量%で74Fe:18Cr:8Ni)の炭素進入による質量増加(サーメット層形成の測度)が、H中のCH含量の関数としてプロットされている。メタンと水素のガス状混合物中の好ましいメタン含量は、曲線のプラトー領域に対応する。この範囲では、サーメットのある特定の厚さを得るための反応時間がより短い。メタンと水素のガス状混合物中のメタン含量が45体積%より大きいガス混合物も使用することができる。しかし、これらの範囲では、図2の質量増加の急速な上昇によって示されるように、合金表面上の固体炭素沈積に遭遇する可能性がある。
【0016】
COと水素の混合物を使用して反応性炭素環境を提供する場合、COと水素のガス状混合物中のCO含量は、約0.1体積%〜約5体積%、好ましくは約0.1体積%〜約2体積%の範囲とすることができる。
【0017】
反応性環境が反応性窒素環境である場合、窒化反応が起こると考えられる。反応性熱処理方法の機構に束縛されることを望まないが、出願人は、窒化プロセスにより、合金表面上および合金マトリックス内に、クロムリッチおよびチタン窒化物相、例えばCrNおよびTiNが析出し、サーメット、特に組成勾配窒化物サーメットが得られると考える。
【0018】
反応性窒素環境は、環境中の窒素の熱力学的活量(a)が合金のそれより大きい環境として定義される。
(a環境>(a金属
合金の窒化の観点からいえば窒素分子は相対的に不活性であるので、アンモニア保持雰囲気が好ましい。アンモニアは準安定であり、高温度に加熱したときN分子とH分子に解離する。反応性窒素環境の好ましい組成物は、空気、アンモニアおよび窒素のうちの少なくとも1種を含んでなる。この組成物は、H、HeおよびArを更に含むことができる。かかる反応性窒素環境では、600℃〜1150℃の範囲の温度において、窒素に対し強い化学親和力を有するCrおよびTiなどの元素を含む合金が、迅速な窒化反応を起こす。合金の窒素吸収を増加させるため、合金表面上で解離するNH分子が好ましく、それによって解離した窒素原子が金属合金の表面で溶解し、そのバルク(bulk)内部に拡散するのが可能になる。浸炭プロセスに類似して、窒化により、表面窒化物、並びに、マトリックス内および合金表面に近い粒界に内部窒化物を形成できる。
【0019】
アンモニアと水素の混合物を使用して反応性窒素環境を提供する場合、アンモニアと水素のガス状混合物中のアンモニア含量は、約1体積%〜約99体積%、好ましくは約2体積%〜約70体積%の範囲とすることができる。
【0020】
クロム、チタン、およびこれらの混合物を含む金属合金の窒化物サーメットへの転化を達成する上で好ましい温度範囲は、約600℃〜約1150℃の範囲である。
【0021】
反応性環境が反応性炭素と反応性窒素の混合物を含んでなる場合、炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの混合物を含んでなる混合組成勾配サーメットになる。反応性環境が反応性炭素および窒素環境である場合、炭窒化反応が起こると考えられる。反応性熱処理方法の機構に束縛されることを望まないが、出願人は、炭窒化プロセスにより、合金表面上および合金マトリックス内に、クロムリッチおよびチタン炭窒化物相、例えばCrCNおよびTiCNが析出し、サーメット、特に組成勾配炭窒化物サーメットが得られると考える。
【0022】
反応性炭素および窒素環境は、環境中の炭素(a)および窒素(a)の熱力学的活量が合金のそれより大きい環境として定義される。反応性炭素および窒素環境の好ましい組成物は、アンモニアおよび窒素のうちの少なくとも1種、並びにCO、CH、CおよびCのうちの少なくとも1種を含んでなる。この組成物は、H、HeおよびArを更に含むことができる。かかる反応性炭素および窒素環境では、600℃〜1150℃の範囲の温度において、炭素および窒素に対し強い化学親和力を有するCrおよびTiなどの元素を含む合金が、迅速な炭窒化反応を起こす。浸炭または窒化プロセスに類似して、炭窒化により、表面炭窒化物、並びに、マトリックス内および合金表面に近い粒界に内部炭窒化物を形成できる。
【0023】
反応性環境が反応性ホウ素環境である場合、ホウ化反応が起こると考えられる。反応性熱処理方法の機構に束縛されることを望まないが、出願人は、ホウ化プロセスにより、合金表面上および合金マトリックス内に、クロムリッチおよびチタンホウ化物相、例えばCrBおよびTiBが析出し、サーメット、特に組成勾配ホウ化物サーメットが得られると考える。
【0024】
反応性ホウ素環境は、環境中のホウ素の熱力学的活量(a)が合金のそれより大きい環境として定義される。反応性ホウ素環境の好ましい組成物は、例えば、ジボラン(B)、BClおよびBFのうちの少なくとも1種を含んでなる。この組成物は、H、HeおよびArを更に含むことができる。かかる反応性ホウ素環境では、600℃〜1150℃の範囲の温度において、ホウ素に対し強い化学親和力を有するCrおよびTiなどの元素を含む合金が、迅速なホウ化反応を起こす。浸炭または窒化プロセスに類似して、ホウ化により、表面ホウ化物、並びにマトリックス内および合金表面に近い粒界に内部ホウ化物を形成できる。
【0025】
反応性環境が反応性酸素環境である場合、酸化反応が起こると考えられる。反応性熱処理方法の機構に束縛されることを望まないが、出願人は、酸化プロセスにより、合金表面上および合金マトリックス内に、クロムリッチおよびチタン酸化物相、例えば(Cr,Fe)、CrおよびTiOが析出し、サーメット、特に組成勾配酸化物サーメットが得られると考える。
【0026】
反応性酸素環境は、環境中の酸素ポテンシャルが、酸化物と平衡状態にある酸素分圧より大きい環境として定義される。反応性酸素環境の好ましい組成物は、空気、酸素およびCOのうちの少なくとも1種を含んでなる。この組成物は、H、HeおよびArを更に含むことができる。かかる反応性酸素環境では、600℃〜1150℃の範囲の温度において、酸素に対し強い化学親和力を有するCrおよびTiなどの元素を含む合金が、迅速な酸化反応を起こす。浸炭または窒化プロセスに類似して、酸化により、表面酸化物、並びにマトリックス内および合金表面に近い粒界に内部酸化物を形成できる。
【0027】
プロセスの第3の工程は、反応した合金の冷却である。冷却工程は、約40℃未満まで冷却する前に、様々な冷却速度および/または中間温度の保持を含むことができる。一実施形態では、冷却工程は、反応した合金を毎秒0.5℃〜毎秒25℃の範囲の速度で冷却することを含んでなる。別の実施形態では、冷却工程は、前記反応した合金を500℃〜100℃の範囲の温度まで冷却し、その温度を、5分〜10時間にわたり500℃〜100℃の範囲の任意の温度に保持し、その後、毎秒0.5℃〜毎秒25℃の範囲の速度で約40℃未満まで冷却することを含んでなる。出願人は、この好ましい冷却プロファイルが、プロセスおよび生成物に有利な点を有すると考える。
【0028】
暴露時間(加熱された合金が反応性環境に暴露される時間)を約1時間〜800時間の範囲で変化させ、金属合金表面上に様々な厚さの炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、または酸化物サーメットを得ることができる。炭化物サーメットの例が図4に示されており、ここでは、37.3体積%のCH:62.7体積%のH環境における1100℃の条件で、種々のFe:Ni:Cr高温合金上に形成された表面炭化物サーメットの厚さが、暴露時間の関数としてプロットされている。即ち、この例は、本発明の方法を使用して、任意の厚さの炭化物サーメットが得られ、組成勾配炭化物サーメットが得られることを示す。あるいは、この方法はまた、クロム、チタン、または、合金を含んでなるクロムとチタンの混合物のバルク全体を、組成勾配サーメットに完全に転化するのに使用でき、この場合、勾配がバルク合金の厚さ全体に浸透する。
【0029】
サーメット層の厚さは、反応性環境の組成、温度および暴露時間によって制御できる。暴露時間は、炭化物サーメットの場合、図4に示すように実験的に決定できる。薄い層ほど暴露時間は短くなり、厚い層ほど暴露時間は長くなる。炭化物サーメットの場合の典型的な暴露時間は、約1時間〜約500時間、好ましくは約5時間〜約300時間、より好ましくは約10時間〜約200時間の範囲とすることができる。従って、暴露時間および温度は、所望の厚さのサーメットおよび所望の組成勾配サーメットを提供できる2つの変数である。窒化物サーメットの場合、典型的な暴露時間は、約1時間〜約800時間、好ましくは約5時間〜約500時間、より好ましくは約10時間〜約300時間の範囲とすることができる。従って、暴露時間および温度は、所望の厚さの窒化物サーメットおよび所望の組成勾配窒化物サーメットを提供できる2つの変数である。
【0030】
典型的な層またはサーメット構造厚さは、最小で約100μmから最高で金属合金が作用を受ける厚さまで、好ましくは約5mm〜約30mm、より好ましくは約5mm〜約20mmの範囲とすることができる。層厚は、電子顕微鏡検査の当業者に知られている電子顕微鏡検査技術によって決定できる。
【0031】
本発明はまた、クロムおよびチタン含有金属合金と組み合わせて、ある量のクロムリッチまたはチタンリッチ炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、および酸化物からなる物品に適用できる。
【0032】
本発明の反応性熱処理方法により、実施例4に示すように、クロム、チタン、およびこれらの混合物を含む非処理合金の侵食抵抗より優れた侵食抵抗を有する組成勾配サーメットが得られる。これは、サーメット層が発現し硬化するのに伴い、合金の侵食抵抗が改良されるからである。本発明では、それぞれの反応性環境から、クロム、チタン、およびこれらの混合物を含む金属合金の中に拡散する反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、および反応性酸素量を利用して、組成勾配サーメットが製造される。サーメットに転化されない、クロム、チタン、およびこれらの混合物を含む合金の一部は変化しないで、本発明による処理の前に備えていた物理的性質を維持する。この組成勾配の構造は、表面に対して炭化物サーメットを取り付ける方法として溶接の使用を望む場合、特に有利である。更に、組成勾配サーメットは、熱的変動下での優れた耐久性と共に、下にある金属素地との優れた熱膨張整合を有することができる。従って、サーメット層は、取り付けのための物理的性質および合金の機械的信頼性を保持しながら、侵食抵抗を提供する。
【0033】
本発明の方法によって製造された組成勾配サーメットは、300℃〜800℃の温度範囲で使用して、過酷な侵食および摩耗にさらされるいかなる鋼または他のいかなる合金表面をも保護することができる。これらの用途のいくつかの限定されない例には、保護ライニング、精製工業で使用される流動接触分解装置(Fluid Catalytic Cracking Unit)のサイクロンにおけるような流体−固体分離サイクロン用のライニング・タイル、耐摩板、ノズルおよび格子穴インサート、タービンブレード、並びに、侵食フローストリームの支配下にある構成要素が含まれる。これらの用途では、本発明の方法によって調製された組成勾配サーメットは、侵食抵抗および靭性の組み合わせ、並びに、構成要素内の熱応力の最適化を提供する。粉末冶金法によって調製された従来のサーメットと比較して、それは、ベース鋼に対する従来の溶接技術による取り付け、および熱膨張の優れた整合をもたらす。それはまた、タービンブレードを酸化および侵食から保護する、優れた方法を提供することができよう。
【0034】
本発明の他の実施形態は、
クロムおよびチタンのうちの少なくとも1種を含む金属合金を、約600℃〜約1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱された金属合金を形成する工程;
前記加熱された金属合金を、反応した合金を提供するのに十分な時間、約600℃〜約1150℃の範囲で、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含んでなる反応性環境に暴露する工程;および
前記反応した合金を約40℃未満の温度に冷却する工程
を含んでなる方法によって調製されることを特徴とする組成勾配サーメット生成物を目的とする。
【0035】
本発明の方法は、あらゆる表面に適用することができる。例えば、ある温度の、本質的にクロム、チタンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される金属を含んでなる任意の化学または石油精製反応器の内部表面を、約600℃〜約1150℃の範囲の温度に加熱し、次いで、反応した内部表面を提供するのに十分な時間にわたり約600℃〜約1150℃の範囲で、本質的に反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される反応性環境に暴露することができる。約40℃未満の温度に冷却すると、反応器の内部表面に組成勾配サーメット材料が形成される。組成勾配サーメットを含んでなる反応器の内部表面は、強化された侵食抵抗を示すことができる。この用途の一つの限定されない例示的な例は、油精製における流動触媒分解装置のサイクロン分離器である。
【0036】
他の例として、あらゆる対象物、例えばタービンブレードの表面は、ある温度の、本質的にクロム、チタンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される金属を、約600℃〜約1150℃の範囲の温度に加熱し、次いで、熱処理した対象物を提供するのに十分な時間にわたり約600℃〜約1150℃の範囲で、本質的に反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される反応性環境に暴露した金属から製造できる。約40℃未満の温度に冷却すると、反応性環境に暴露された対象物の表面に組成勾配サーメット材料が形成される。
【0037】
本発明の方法によって調製されたサーメット組成物は、強化された侵食および腐食特性を備えている。侵食速度は、本開示の実施例セクションに記載されているような高温侵食および摩滅試験(Hot Erosion and Attrition Test)(ヒート(HEAT))によって決定される。本発明の方法によって調製された勾配サーメットの侵食速度は、1.0×10−6cc/(グラムSiC侵食体(erodant))未満である。腐食速度は、本開示の実施例セクションに記載されているような熱重量(TGA)分析によって決定される。本発明の方法によって調製された勾配サーメットの腐食速度は、1×10−10/cmsec未満である。
【0038】
本発明の方法によって調製されたサーメット組成物は、約3MPa・m1/2を超える、好ましくは約5MPa・m1/2を超える、より好ましくは約10MPa・m1/2を超える破壊靭性を備えている。破壊靭性は、単調な負荷をかけている条件下で材料中のクラック伝搬を阻止する能力である。破壊靭性は、クラックが材料に不安定な方法で伝播する臨界応力拡大係数として定義される。破壊力学理論によれば、曲げ試料の引張り側に予めクラックを加えた三点曲げの幾何形状の負荷を使用して、破壊靭性を測定するのが好ましい。本発明のサーメットは、機械的な手段によって、または溶接によって金属表面に加えることができる。
【実施例】
【0039】
更に本発明を例示するため、以下の限定されない実施例が含まれる。
【0040】
実施例1:市販合金の反応性熱処理
選択されたクロム含有市販合金の304SS、310SS、ハイネス(Haynes)HR120、およびインコネル353MAについて反応性熱処理を行った。公称組成は以下に示される。
【0041】
【表1】

【0042】
試料は、約1.25cm×1.25cm×1cmの寸法を有する矩形の幾何形状を有していた。試料表面を600グリットSiC仕上げまで研磨し、アセトン中で超音波洗浄した。本発明で使用した手順は、純粋な浸炭環境(CH−H)において選択された合金の浸炭の動力学を確立することであり、それは、カーン(Cahn)1000熱重量分析装置で熱重量的に決定された。温度範囲800℃〜約1160℃で調査を行った。切り取り試片を、垂直の石英反応器管内の水素環境中で1100℃の温度に加熱し、その温度で約5分間保持した。その後すぐに、環境を、37.3体積%のCH−62.7体積%のHに切り替えた。3時間の暴露後、石英反応器を取り囲む炉を下げることによって金属試料を冷却した。試料が室温に到達した後、走査電子顕微鏡検査法によって表面微細構造を調べた。「残分」は、構成物質の組成において金属の残りを意味する。
【0043】
図5aは、37.3体積%のCH:62.7体積%のH環境において、1100℃、3時間で反応性熱処理した後、厚さ400μmのクロム炭化物−金属サーメット層が、310ステンレス鋼(重量%で54Fe:21Ni:25Cr)表面上に形成されたことを表す。サーメット微細構造の拡大図は、複合セラミック−金属二相構造を作り出すCrリッチ炭化物[(Cr0.6Fe0.4 ]とCr欠乏鋼(重量%で63Fe:31Ni:6Cr)を表すが、これが図5bに示されている。Crリッチは、金属Crが、Mを含んでなる他の構成成分金属に比べて重量基準の割合が大きいことを意味し、ここで、Mは、重量%で54Fe:21Ni:25Crである。この走査電子顕微鏡写真では、Crリッチ炭化物は濃い灰色のように見え、金属は、炭化物より深くエッチングされているので、へこんで見える。これらの図は、サーメット表面を有する最終生成物を示し、それは、本発明によって生成されたものである。炭素のガス状環境への暴露の持続時間を変えると、セメンタイト層の厚さが変わる。これは、図4のグラフに示されている。
【0044】
実施例2:市販合金の反応性熱処理
上記クロム含有合金を、10体積%のCH:90体積%のH環境において、1100℃、24時間、管状炉内で反応的に熱処理した。試料を、水素環境で1100℃の温度に加熱し、その温度で約5分間保持した。24時間の暴露後、合金試料を冷却した。試料が室温(25℃)に到達した後、表面微細構造および種々の合金表面上に形成されたサーメット層の厚さを、断面走査電子顕微鏡検査法で調査した。M炭化物相およびCr欠乏結合相の化学組成を、半定量的エネルギー分散型X線分光法によって調査した。金属マトリックスと炭化物析出相の間で、FeとNiが分配される傾向が異なると予期される。サーメット層の厚さ、M炭化物相のCrおよびFe含量、並びに、サーメット層内のCr欠乏金属マトリックス相の組成が以下にまとめられている。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例3:特別注文の合金の反応性熱処理
異なる濃度のFe、Ni、Cr、およびTiを含む合金を、アーク溶融によって調製した。アーク溶融合金金属粒を、不活性アルゴン雰囲気中で1100℃で一晩焼き戻し、炉を室温に冷却した。約1.25cm×1.25cm×0.75cmの立方体試料を金属粒から切削した。試料面を600グリット仕上げに研磨し、アセトン中で洗浄した。試験片を、10体積%のCH:90体積%のHのガス状環境に1100℃で24時間暴露した。
【0047】
暴露後の細部電子顕微鏡検査および合金の化学分析では、Fe−Ni−Cr系におけるある特定の合金組成が、M炭化物を有するサーメット構造と金属相を生成することが示された。サーメット層の厚さ、M炭化物相のCrおよびFe含量、および、サーメット層内のCr欠乏金属マトリックス相の組成が、表3にまとめられている。選択された市販合金の実施例とは対照的に、相対的に厚いサーメット層が得られ、Fe−Ni−Cr系に形成される金属マトリックス相のCr濃度が、相対的に濃縮された。金属相のCr濃度が大きいほど、より高い温度での酸化抵抗が強化される。図6に示した光学顕微鏡の画像は、10体積%のCH:90体積%のHにおいて、1100℃で24時間反応性熱処理した後の表面領域におけるM炭化物−金属(M=CrおよびFe)サーメット構造の大きさおよびモルフォロジを示す。
【0048】
組成60Fe:25Cr:10Ni:5Ti(重量%)の合金は、混合したTiCおよびM炭化物相、並びに、金属相を有するサーメット構造を生成する。サーメット層の厚さ、M炭化物相のCrおよびFe含量、並びに、サーメット層内のCr欠乏金属マトリックス相の組成が、表3にまとめられている。図7に示した光学顕微鏡の画像は、10体積%のCH:90体積%のHにおいて、1100℃で24時間反応性熱処理した後の表面領域における混合したTiCおよびM(M=CrおよびFe)炭化物−金属サーメット構造の大きさおよびモルフォロジを示す。
【0049】
【表3】

【0050】
実施例4:侵食試験
市販の310SSについて反応性熱処理を行い、高温侵食および摩滅試験(ヒート)用の試料を調製した。310SS試料は、約2.0インチ×2.0インチ×0.5インチの寸法を有する矩形の幾何形状を有していた。一つの試料を、10体積%のCH:90体積%のH環境において1100℃で138時間、管状炉内で反応的に熱処理し、C310SS1100と命名した。他の試料を、10体積%のCH:90体積%のH環境において1150℃で96時間、管状炉内で反応的に熱処理し、C310SS1150と命名した。
【0051】
侵食速度は、ガス流れに同伴される規定された平均サイズおよび形状の侵食体微粒子の単位質量あたりの除去されたサーメット、耐火物、または比較用材料の体積として測定した。単位は、cc/グラム(例えば、<0.001cc/1000グラムSiC)を有する。鍵となる規定された侵食試験条件は、侵食体の材料および粒度分布、速度、質量流束、侵食体の衝撃角、並びに、侵食試験温度および化学環境である。
【0052】
サーメットの侵食損失は、高温侵食および摩滅試験(ヒート)で測定した。キャリヤーガスおよび雰囲気を、意図した使用法をシミュレーションして、好ましいのは空気であるが、同じ温度に加熱した。ヒート試験は以下のように実施するのが好ましい。ヒート試験の好ましい実施では、約2インチ平方および約0.5インチ厚さのサーメット試験片ブロック(C310SS1100およびC310SS1150)を、±0.01mgの精度で秤量した。ブロックの一面の中心に、直径0.5インチの上昇管から出る空気ジェットに同伴されるSiC微粒子の1200g/分を受けさせた。ここで、上昇管の端部は目標ディスクから1インチであった。侵食体として使用した58μmの角ばったSiC微粒子は、220グリット#1品位の黒色炭化ケイ素研削材(#1 Grade Black Silicon Carbide)であった(UKアブレーシブ社(UK Abrasives,Inc.)、イリノイ州ノースブルック(Northbrook,IL))。サーメット標的に衝突する侵食体速度は45.7m/sec(150ft/sec)であり、標的へのガス−侵食体流れの衝突角度は、上昇管の主軸と試験片ディスクの表面との間で45°±5°、好ましくは45°±2°であった。キャリヤーガスは、全ての試験で空気であった。ヒート装置(HEAT unit)における侵食試験は、732℃(1350°F)で7時間行った。試験の後、サーメット試験片を±0.01mgの精度で再度秤量し、重量減を決定した。侵食速度は、ガス流れに同伴される侵食体微粒子の単位質量あたりの除去された材料の体積に等しく、cc/グラムの単位を有する。表4の改良は、標準のRESCOBONDTMAA−22S(レスコプロダクツ社(Resco Products,Inc.)、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh,PA))の場合の1.0の値と比較した、侵食による重量の減少である。AA−22Sは、典型的には重量%で少なくとも80.0%のAl、7.2%のSiO、1.0%のFe、4.8%のMgO/CaO、4.5%のPを含んでなる。侵食された表面の顕微鏡写真は、損傷機構を判別するために電子顕微鏡でとった。表4に、ヒートで測定した選択されたサーメットの侵食損失をまとめた。
【0053】
【表4】

【0054】
ヒート試験により、非常に攻撃的な侵食体微粒子が評価される。より代表的な微粒子はより軟かく、より低い侵食速度を生ずる。例えばFCCU触媒はアルミナ・シリケートを主成分とし、アルミナ・シリケートは通常アルミナより軟かく、アルミナは通常SiCよりかなり軟かい。
【0055】
実施例5:腐食試験
実施例4のサーメットそれぞれを酸化試験にかけた。使用した手順は次の通りであった。
1)約10mm平方および厚さ約1mmの試験片サーメットを、600グリットのダイヤモンド仕上げに研磨し、アセトン中で洗浄した。
2)次いで、試験片を、熱重量分析計(TGA)内で800℃、100cc/分の空気に暴露させた。
3)工程(2)を800℃で65時間行った。
4)65時間後、試験片を周囲温度に冷却させた。
5)酸化物スケールの厚さは、腐食表面を断面顕微鏡検査法で調べることによって決定した。
【0056】
酸化物スケールの厚さは、約0.5μm〜約1.5μmの範囲にあった。サーメット組成物は、約1×10−11/cm・s未満の腐食速度を示し、あるいは、800℃で少なくとも65時間、100cc/分の空気を受けたとき平均厚さ30μm未満の酸化物スケールを示した。これらは優れた耐食性を表す。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】反応CH→C+2Hに基づく環境の炭素活量を、オーステナイト系ステンレス鋼(aはFeCと平衡)と比較して示す。本発明に適用できるガス混合物の炭素活量値もマークされている。
【図2】304ステンレス鋼(重量%で74Fe:18Cr:8Ni)の炭素進入による質量増加(サーメット層形成の測度)を、1100℃、3時間でのH中のCH含量の関数として示す。
【図3】304ステンレス鋼の表面サーメット構造の厚さ変化を、37.3体積%のCH:62.7体積%のH環境、3時間における温度の関数として示す。
【図4】種々のFe:Ni:Crベースの高温合金上に形成された表面サーメットの厚さ変化を、37.3体積%のCH:62.7体積%のH環境、1100℃における反応時間の関数として示す。
【図5】(a)37.3体積%のCH:62.7体積%のH環境において、1100℃、3時間で反応性熱処理した後の310ステンレス鋼(重量%で54Fe:21Ni:25Cr)の表面クロム炭化物−金属サーメット構造、および(b)複合セラミック−金属二相構造を作り出すCrリッチ炭化物[(Cr0.6Fe0.4]とCr欠乏鋼(重量%で63Fe:31Ni:6Cr)を表す表面の拡大区域、を示す走査電子顕微鏡写真を示す。この走査電子顕微鏡写真では、Crリッチ炭化物は濃い灰色のように見え、金属は、炭化物より深くエッチングされているので、へこんで見える。これらの図は、サーメット表面を有する最終生成物を示し、これは本発明方法による生成物である。
【図6】(a)55Fe:35Cr:10Ni(重量%)合金、(b)45Fe:45Cr:10Ni(重量%)合金、および(c)35Fe:55Cr:10Ni(重量%)合金について、10体積%のCH:90体積%のH環境において、1100℃、24時間で反応性熱処理した後のM炭化物(M=CrおよびFe)−金属のサーメット構造を示す光学顕微鏡写真を示す。
【図7】10体積%のCH:90体積%のH環境において、1100℃、24時間で反応性熱処理した後の60Fe:25Cr:10Ni:5Ti(重量%)合金について、TiCとM炭化物(M=CrおよびFe)−金属との混合サーメット構造を示す光学顕微鏡写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロムおよびチタンのうちの少なくとも1種を含む金属合金を、600℃〜1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱された金属合金を形成する工程;
前記加熱された金属合金を、反応した合金を提供するのに十分な時間、600℃〜1150℃の範囲で、反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含んでなる反応性環境に暴露する工程;および
前記反応した合金を40℃未満の温度に冷却して、組成勾配サーメット材料を提供する工程
を含んでなることを特徴とする組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項2】
前記金属合金は、12〜60重量%のクロム;0〜10重量%のチタン;並びに30〜88重量%の、鉄、ニッケル、コバルト、ケイ素、アルミニウム、マンガン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される金属が含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項3】
前記金属合金は、12〜60重量%のクロム、0〜10重量%のチタンおよび30〜88重量%のステンレス鋼を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項4】
前記反応性環境は、CO、CH、CおよびCのうちの少なくとも1種を含んでなる反応性炭素環境であることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項5】
前記暴露工程は、1時間〜800時間にわたることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項6】
前記暴露工程は、前記反応した合金を提供する時間にわたり、前記反応した合金は、析出したクロムリッチ炭化物、チタン炭化物およびクロムリッチ炭化物とチタン炭化物の混合物を含んでなることを特徴とする請求項4に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項7】
前記クロムリッチ炭化物は、Cr、Cr23、(Cr0.6Fe0.4、(Cr0.6Fe0.423およびこれらの混合物を含んでなることを特徴とする請求項6に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項8】
前記チタン炭化物は、TiCを含んでなることを特徴とする請求項6に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項9】
前記暴露工程は、金属合金の表面またはバルクマトリックス中に、厚さ100μm〜30mmの反応した合金の層を形成するのに十分な時間にわたることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項10】
前記暴露する工程は、反応した合金が前記金属合金の全体の深さを包含する厚さになる時間にわたることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項11】
前記冷却工程は、前記反応した合金を毎秒0.5℃〜毎秒25℃の範囲の速度で冷却する工程を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項12】
前記冷却工程は、前記反応した合金を500℃〜100℃の範囲の温度に冷却し、その温度を、5分〜10時間にわたり500℃〜100℃の範囲の任意の温度に保持し、その後、毎秒0.5℃〜毎秒25℃の範囲の速度で40℃未満に冷却する工程を更に含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項13】
前記反応性窒素環境は、空気、アンモニアおよび窒素のうちの少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項14】
前記暴露工程は、前記反応した合金を提供する時間にわたり、前記反応した合金は、析出したクロムリッチ窒化物、チタン炭化物およびクロムリッチとチタン炭化物の混合物を含んでなることを特徴とする請求項13に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項15】
前記クロムリッチ窒化物は、CrNを含んでなることを特徴とする請求項14に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項16】
前記チタン炭化物は、TiNを含んでなることを特徴とする請求項14に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項17】
前記反応性炭素および窒素環境は、アンモニアおよび窒素のうちの少なくとも1種、並びにCO、CH、CおよびCのうちの少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項18】
前記反応性ホウ素環境は、B、BClおよびBFのうちの少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項19】
前記反応性酸素環境は、空気、COおよび酸素のうちの少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の組成勾配サーメット材料の調製方法。
【請求項20】
クロム、チタンおよびこれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む金属合金を、600℃〜1150℃の範囲の温度で加熱して、加熱された金属合金を形成する工程;
前記加熱された金属合金を、反応した合金を提供するのに十分な時間、600℃〜1150℃の範囲で、実質的に反応性炭素、反応性窒素、反応性ホウ素、反応性酸素およびこれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を含んでなる反応性環境に暴露する工程;および
前記反応した合金を40℃未満の温度に冷却する工程
を含んでなる方法によって調製されることを特徴とする組成勾配サーメット生成物。
【請求項21】
3MPa m1/2を超える破壊靭性を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって調製される組成勾配サーメット生成物。
【請求項22】
1.0×10−6cc/(グラムSiC侵食体)未満の侵食速度を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって調製される組成勾配サーメット生成物。
【請求項23】
800℃で少なくとも65時間、100cc/分の空気を受けたとき、1×10−10/cm・s未満の腐食速度または平均厚さ150μm未満の酸化物スケールを有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって調製される組成勾配サーメット生成物。
【請求項24】
850℃までの範囲の温度で腐食性の物質に暴露される金属表面の保護方法であって、金属表面に、請求項20〜23のいずれかに記載のサーメット組成物を形成する工程を含んでなることを特徴とする金属表面の保護方法。
【請求項25】
300℃〜850℃の範囲の温度で腐食性の物質に暴露される金属表面の保護方法であって、金属表面に、請求項20〜23のいずれかに記載のサーメット組成物を形成する工程を含んでなることを特徴とする金属表面の保護方法。
【請求項26】
前記表面は、流体−固体分離サイクロンの内側表面を含んでなることを特徴とする請求項24に記載の金属表面の保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−516348(P2007−516348A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533184(P2006−533184)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015552
【国際公開番号】WO2004/104245
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】