説明

組立てAVラック及びこれに用いられる板材固定具

【課題】組立て後の外表面に突起物の生じることがなく、ワンタッチで簡単に組立てることが可能な組立てAVラックとこれに用いられる板材固定具とを提供する。
【解決手段】背板12と、一対の側板14と、側板14の上端部及び下端部に架設される天板16及び底板18とを有し、各板材間のコーナー部分が、一方の板材のコーナー部分に取り付けられ、該板材の内表面側に突出したシャフト34の先端に径方向に膨出した頭部34aを有するコネクトピン20aと、他方の板材のコーナー部分におけるコネクトピン20aに対応する位置に固定され、コネクトピン20aの頭部34aが嵌め込まれる嵌合溝48及び前記嵌合溝48から一方の板材側の端面に亘って設けられ、嵌合溝48にコネクトピン20aの頭部34aを嵌め込む際にシャフト34が通過して頭部34aと嵌合溝48とが係合する切欠き部50を有するジョイントブロック20bとで構成された板材固定具20で接続・固定されていることを特徴とする組立てAVラック10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭の居間などに設置されてAV(オーディオ・ヴィジュアル)機器を載置・収納する組立てAVラックとこれに用いられる板材固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
需要者がネジなどを用いて各部材を連結することで最終的な組立てを行なうノックダウン方式の組立てAVラックは知られているが、従来のこの種の組立てAVラックでは、組立ての際にドライバーやレンチ類などの工具を使用しなければならず、組立てが非常に面倒であった。しかも、組立てAVラックは、或る程度重量があるAV機器を載置・収納するためのものであるから、組立て精度も要求されている。このため、その組立てにはある程度の熟練が必要であり、誰もが簡単に組立てできるようなものではなかった。
【0003】
そこで、係る問題を解決するために、工具を使用することなく簡単に組立てできるものとして、背板の両端に左右の側板を回動自在に枢着し、該側板における天板及び地板との連結部にコネクタボルトを設けた本体と、上記側板との連結部にコネクタボルト用挿入孔を設けると共に、上記コネクタボルトに螺着される蝶ナットを介して上記側板に連結可能とした天板及び地板とを有する組立て家具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−2230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の組立て家具では、コネクタボルトや蝶ナットが天板の上面に突出した状態となっているため、天板上面にもAV機器を載置するAVラックでは、AV機器を載置する際にこれらのコネクタボルトや蝶ナットなどの突起物が邪魔になると言う問題があった。
【0006】
また、AVラックは比較的背が低く、例えば幼児でも簡単に天板上に手が届く高さに形成されていることから、天板上にコネクタボルトや蝶ナットが突出していると、見栄えが悪いのみならず、幼児や高齢者などがこれらの突起物に引っかかり危険であるという問題もあった。
【0007】
さらに、コネクタボルトに蝶ナットを螺着して側板と天板及び地板とを連結する従来の組立て家具では、確かに工具は必要としないものではあるが、コネクタボルトに対する蝶ナットの螺着作業が必要であり、ワンタッチで組立てが完了するものではなかった。
【0008】
それゆえに、本発明の主たる課題は、組立てに工具が不要であるのはもとより、組立て後の外表面に突起物の生じることがなく、誰でもワンタッチで簡単に且つ精度よく組立てることが可能な組立てAVラックとこれに用いられる板材固定具とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
「請求項1」に記載した発明は、
(a)背板12と、前記背板12の左右両端に蝶着可能に枢着された一対の側板14と、前記側板14の上端部間に架設される天板16と、前記側板14の下端部間に架設される底板18とを有し、
(b)前記側板14と前記天板16及び前記側板14と前記底板18とのコーナー部分が、
(b1)一方の板材の前記コーナー部分に取り付けられ、該板材の内表面側に突出したシャフト34の先端に径方向に膨出した頭部34aを有するコネクトピン20aと、
(b2)他方の板材のコーナー部分における前記コネクトピン20aに対応する位置に固定され、前記コネクトピン20aの頭部34aが嵌め込まれる嵌合溝48及び前記嵌合溝48から前記一方の板材に対面する端面に亘って設けられ、前記嵌合溝48に前記コネクトピン20aの頭部34aを嵌め込む際に前記シャフト34が通過して前記頭部34aと前記嵌合溝48とが係合する切欠き部50を有するジョイントブロック20bとで構成された
(b3)板材固定具20で接続・固定されている
(c)ことを特徴とする組立てAVラック10、である。
【0010】
この発明では、一方の板材のコーナー部分内表面側に取り付けられたコネクトピン20aの頭部34aを、他方の板材のコーナー部分におけるコネクトピン20aに対応する位置に固定されたジョイントブロック20bの嵌合溝48に嵌め込むだけで、何ら工具を用いることなく、側板14と天板16及び側板14と底板18とのコーナー部分の接続が完了する。
【0011】
また、側板14と天板16及び側板14と底板18とのコーナー部分が、一方の板材のコーナー部分内表面側に取り付けられたコネクトピン20aと、他方の板材のコーナー部分におけるコネクトピン20aに対応する位置(=内表面側)に固定されたジョイントブロック20bとで構成された板材固定具20で接続されて組立てAVラック10の内面側に位置するため、組立て後の外表面に突起物が生じる心配もない。
【0012】
「請求項2」に記載した発明は、請求項1に記載の組立てAVラック10において、
(イ)さらに、前記コネクトピン20aの頭部に、前記コネクトピン20aのシャフト34の軸方向に開口した凹部40が設けられると共に、
(ロ)前記ジョイントブロック20bの前記嵌合溝48に前記コネクトピン20aの頭部34aを嵌め込んだ際に、前記コネクトピン20aのシャフト34の軸線上に位置する前記ジョイントブロック20bの一方の側面に嵌挿孔52が穿設されており、
(ハ)前記嵌挿孔52には、その先端が前記コネクトピン20aの頭部34aに設けられた凹部40に挿入される係合ピン20cが着脱可能に圧入されている
(ニ)ことを特徴とする組立てAVラック10、である。
【0013】
この発明では、各板材間のコーナー部分に取り付けられたコネクトピン20aの頭部34aを、ジョイントブロック20bの嵌合溝48に嵌め込むだけで、何ら工具を用いることなく、コーナー部分の接続が完了するのに加えて、嵌合溝48に嵌め込んだコネクトピン20aの頭部34aに設けられた凹部40に、嵌挿孔52に圧入した係合ピン20cの先端を挿入させることにより、コーナー部分を形成する側板14と天板16及び側板14と底板18とが離脱しないよう両者それぞれを完全に固定させることができるようになる。
【0014】
「請求項3」に記載した発明は、請求項1又は2に記載の組立てAVラック10において、「前記側板14を前記背板12に向けて折り畳んだ際に、前記コネクトピン20a又は前記ジョイントブロック20bが当接する前記背板12の位置に、前記コネクトピン20a又は前記ジョイントブロック20bを収納可能な大きさの配線取り出し口12aが開設されている」ことを特徴とするもので、これにより、コネクトピン20a又は前記ジョイントブロック20bを取り付けた側板14の表面を背板12の表面に隙間なくピッタリと重ね合わせることができるようになり、側板14が枢着された最終組立て前の背板12の運搬や梱包を容易にすることができる。
【0015】
「請求項4」に記載した発明は、
(1)背板12と、前記背板12の左右両端に設けられる一対の側板14と、前記側板14の上端部に架設される天板16と、前記側板14の下端部に架設される底板18とを備えた組立て家具10における各板材間のコーナー部分の接続に用いる板材固定具20であって、
(2)前記コーナー部分を形成する一方の板材の内表面側に取り付けられるシャフト34の先端に、径方向に膨出した頭部34aが形成されたコネクトピン20aと、
(3)前記コーナー部分を形成する他方の板材の内表面側における前記コネクトピン20aに対応する位置に固定され、前記コネクトピン20aの頭部34aが嵌め込まれる嵌合溝48及び前記嵌合溝48から前記一方の板材側の端面に亘って設けられ、前記嵌合溝48に前記コネクトピン20aの頭部34aを嵌め込む際に前記シャフト34が通過して前記頭部34aと前記嵌合溝48とが係合する切欠き部50が設けられたジョイントブロック20bとを具備する
(4)ことを特徴とする板材固定具20、である。
【0016】
「請求項5」に記載した発明は、請求項4に記載の板材固定具20において、「前記嵌合溝48の開口面積が奥へ向かうほど減少し、前記嵌合溝48の最奥部にて前記コネクトピン20aの頭部34aが嵌着される」ことを特徴とするものである。
【0017】
「請求項6」に記載した発明は、請求項4又は5に記載の板材固定具20において、
(イ)さらに、前記コネクトピン20aの頭部34aに、前記コネクトピン20aのシャフト34の軸方向に開口した凹部40が設けられると共に、
(ロ)前記ジョイントブロック20bの前記嵌合溝48に前記コネクトピン20aの頭部34aを嵌め込んだ際に、前記コネクトピン20aのシャフト34軸線上に位置する前記ジョイントブロック20bの一方の側面に嵌挿孔52が穿設されており、
(ハ)前記嵌挿孔52には、その先端が前記コネクトピン20aの頭部34aに設けられた凹部40に挿入され、且つ後端が径方向に膨出して前記嵌挿孔52周辺の前記ジョイントブロック20bの側面に当接する頭部56が形成された係合ピン20cが着脱可能に圧入されている
(ニ)ことを特徴とする板材固定具20、である。
【0018】
「請求項7」に記載した発明は、請求項6に記載の板材固定具20において、「前記ジョイントブロック20bにおける係合ピン20c取付側の側面には、前記嵌挿孔52の周囲に、一方向の幅L1が前記係合ピン20cの頭部56の直径より小さく、この一方向の幅L1と交差する他方向の長さL2が前記係合ピン20cの頭部56の直径より大きな凹所58が設けられている」ことを特徴とするもので、これにより、この凹所58から係合ピン20cの頭部56の裏面側にマイナスドライバーなどを容易に差し込むことができる。その結果、てこの原理を利用して嵌挿孔52に嵌挿させた係合ピン20cを簡単に抜くことができ、組立てAVラック10の組立てのみならず解体をも簡単に行なうことができるようになる。つまり、組立てAVラック10の組立て及び解体を簡単に繰り返し行なうことができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、組立てに工具が不要であるのはもとより、組立て後の外表面に突起物の生じることがなく、誰でもワンタッチで簡単に且つ精度よく組立てることが可能な組立てAVラックとこれに用いられる板材固定具とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の組立てAVラックの一例を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA矢視部分切欠図である。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】本発明における板材固定具の一例を示す分解斜視図である。
【図5】本発明における組立てAVラックの要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1は、本発明における組立てAVラック10の一例を示す斜視図であり、図2は、図1におけるA矢視部分切欠図であり、図3は、図1におけるB−B断面図である。これらの図が示すように、本発明の組立てAVラック10は、大略、背板12,左右一対の側板14,天板16,底板18及び板材固定具20で構成されている。
【0022】
この組立てAVラック10の背板12,側板14,天板16及び底板18を構成する各板材は、挽材、合板、木質繊維板(インシュレーションボード[IB],中質繊維板[MDF]等)、木削片板(パーティクルボード、ストランドボード、配向性ストランドボード[OSB]等)、集成材及び単板積層材などを単独或いはこれらを任意複合した材料などで形成されており、その表面は、必要に応じて、化粧紙,化粧樹脂含浸紙,化粧合成樹脂シート及び化粧単板等からなる化粧材を貼着することによって、或いは着色塗装,柄模様印刷及び透明塗装などを施すことによって装飾・保護されている。
【0023】
背板12は、組立てAVラック10の背面を形作る矩形の板材で、その左右両端部には、略同じ高さに形成された一対の側板14,14がヒンジ22を介して回動自在に枢着されている(図5参照)。
【0024】
側板14は、組立てAVラック10の側面を形作る矩形の板材で、この側板14同士が互いに対面する内表面の上端部および下端部には、後述する板材固定具20のコネクトピン20aが螺着される鬼目ナット(図示せず)が前後各1カ所ずつ計4カ所埋め込まれている。
【0025】
また、この側板14の内表面には、前後一組のダボ穴24が高さ方向に複数段(図3に示す例の場合上中下の3段)穿設されており、このダボ穴24にダボ26を埋め込み、インサイドボード28の一端を支持するようになっている。なお、組立てAVラック10が広幅の場合には、図1及び図2に示すように、中仕切り板30を立設し、この中仕切り板30の表面にもダボ穴(図示せず)やダボ(図示せず)を設け、インサイドボード28の他端を支持するようにしてもよい。
【0026】
ここで、この側板14が回動自在に枢着された背板12には、側板14を背板12に向けて折り畳んだ際に、側板14に取り付けられた板材固定具20のコネクトピン20aが当接する位置に、配線取り出し口12aが開設されている。このような位置に配線取り出し口12aを設けることにより、コネクトピン20aを取り付けた側板14の表面を背板12の表面に隙間なくピッタリと重ね合わせることができるようになり(図5参照)、側板14が枢着された組立て前の背板12の運搬や梱包を容易にすることができる。
【0027】
天板16は、左右一対の側板14の上端部に架設される板材で、その下表面の左右両端部には、側板14に取り付けられたコネクトピン20aに対応する位置に、板材固定具20のジョイントブロック20bが固定されている。
【0028】
底板18は、左右一対の側板14の下端部に架設される板材で、その上表面の左右両端部には、側板14に取り付けられたコネクトピン20aに対応する位置に、板材固定具20のジョイントブロック20bが固定されており、下表面の幅方向所定位置(図1及び2に示す例の場合、左右両端部と中央部)には、奥行き前後にキャスター32が取り付けられている。
【0029】
板材固定具20は、各板材によって形成されるコーナー部分を接続して固定するための部材で、上述したように、主としてコネクトピン20aとジョイントブロック20bとで構成されており、必要に応じて係合ピン20cが設けられる(図4参照)。
【0030】
なお、本実施例では、コネクトピン20aを側板14に取り付けると共に、ジョイントブロック20bを天板16及び底板18に取り付ける場合を中心に説明するが、コネクトピン20a及びジョイントブロック20bの取り付け位置は、各板材によって形成されるコーナー部分をワンタッチで接続・固定できるものであれば如何なる態様であってもよく、例えば、コネクトピン20aを天板16や底板18に取り付けると共に、ジョイントブロック20bを側板14に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
コネクトピン20aは、シャフト34の先端が径方向に膨出した頭部34aを有すると共に、シャフト34の後端部に雄ネジ34bが螺設された金属部品である。このコネクトピン20aの軸方向略中央には、シャフト34の外径が径方向にて円盤状に拡大した座金部36が設けられており、コネクトピン20aを側板14に設けられた鬼目ナット(図示せず)に螺着させて取り付ける際に、この座金部36が側板14の表面に当接して側板14に対するコネクトピン20aの取り付け位置(深さ)を規制するようになっている。
【0032】
またシャフト34の先端に設けられた頭部34aの先端面には、マイナスドライバーなどの工具を係合させるための溝38が設けられると共に、シャフト34の軸線上に当たる頭部34aの中心には、必要に応じて後述する係合ピン20cの先端が挿入される円形状の凹部40が設けられている。
【0033】
なお、図4に示す例では、シャフト34の頭部34aに工具係合用の溝38を設ける場合を示したが、このような溝38を設けずに、頭部34aの外周を多角形状とし、レンチ類などの工具で頭部34aを挟持して回転させるようにしてもよい。
【0034】
ジョイントブロック20bは、ポリアミド系樹脂などの強靭性,耐衝撃性及び柔軟性を兼ね備えた樹脂からなる側面視略台形ブロック状の本体を有する。この本体の前後両端部42には、ネジ44の頭部を収納してこれを係止するネジ孔46が設けられており(図3の部分拡大部参照)、このようなネジ孔46に通したネジ44を使ってジョイントブロック20bが天板16或いは底板18の所定位置に固定される。
【0035】
また、ネジ孔46に挟まれた本体42の表面中央部分には、コネクトピン20aの頭部34aが嵌め込まれる嵌合溝48が掘削されている。この嵌合溝48は、短辺側の幅Wが奥へ向かうほど狭くなっており、コネクトピン20aの頭部34aが嵌め込まれる最奥部では、その幅Wがコネクトピン20aの頭部34aの厚みより若干小さくなるように形成されている。つまり、この嵌合溝48は、その開口面積が奥へ向かうほど減少するように形成されている。この場合、嵌合溝48にコネクトピン20aの頭部34aを嵌め込む際に、該嵌合溝48に対して頭部34aを圧入しなければならないが、この嵌合溝48の最奥部まで圧入して該嵌合溝48に嵌着された頭部34aは、若干弾性変形した嵌合溝48内壁との摩擦によって、該嵌合溝48から簡単には抜け出ないようになる。
【0036】
ここで、図4中の符号50は、嵌合溝48から側材14側の端面に亘って設けられ、嵌合溝48にコネクトピン20aの頭部34aを嵌め込む際にシャフト34が通過して頭部34aと嵌合溝48とが係合する「切欠き部」である。
【0037】
そして、嵌合溝48の最奥部にコネクトピン20aの頭部34aを嵌め込んだ際にコネクトピン20aのシャフト34軸線上に位置するジョイントブロック20bの本体の一方の側面には、必要に応じて係合ピン20cを嵌挿するための嵌挿孔52が穿設されている。
【0038】
ここで、係合ピン20cは、その先端がコネクトピン20aの頭部34aに設けられた凹部40に挿入されるシャフト54と、該シャフト54の後端が径方向に膨出して嵌挿孔52周辺のジョイントブロック20bの本体42側面に当接される頭部56とで構成されている。
【0039】
また、嵌挿孔52の内面には、互いに平行する断面略三角形状のリブ52aが内周方向に複数条突設されており、このリブ52aの先端同士を結ぶ円の直径は、係合ピン20cのシャフト54の直径よりもやや小さく形成されている。このため、嵌挿孔52に係合ピン20cを嵌め込む際には、係合ピン20cのシャフト54を嵌挿孔52に圧入しなければならないが、そうすることによって、嵌挿孔52に嵌め込んだ係合ピン20cのシャフト54がリブ52aに食い込むようになり、嵌挿孔52に嵌挿させた係合ピン20cが容易に抜けないようにすることができる。なお、このようなリブ52aに換えて、係合ピン20cのシャフト54の外径と嵌挿孔52の内径とをほぼ等しく形成すると共に、シャフト54の外周面に抜け止め用のローレット加工を施すようにしてもよい。このような場合でも、嵌挿孔52に係合ピン20cを嵌め込む際には、係合ピン20cのシャフト54を嵌挿孔52に圧入しなければならないが、シャフト54のローレット加工部分が嵌挿孔52の内周面に食い込むようになり、嵌挿孔52に嵌挿させた係合ピン20cが容易に抜けないようにすることができる。
【0040】
さらに、本実施例の板材固定具20では、ジョイントブロック20bの本体における係合ピン20c取付側の側面の嵌挿孔52を中心とした周囲に、一方向の幅L1が係合ピン20cの頭部56の直径より小さく、この一方向の幅と交差する他方向の長さL2が係合ピン20cの頭部56の直径より大きな範囲にて、ジョイントブロック20bの本体側壁の剛性に影響を与えない深さの凹所58が掘設されている。このような凹所58を設けることにより、係る凹所58から係合ピン20cの頭部56の裏面側にマイナスドライバーなどを容易に差し込むことができるようになり、てこの原理を利用して嵌挿孔52に嵌挿させた係合ピン20cを簡単に抜くことができるようになる。
【0041】
なお、図1乃至図3における符号60は、組立てAVラック10の正面にて開閉自在に取り付けられるガラス扉である。係るガラス扉60は、必要に応じて設けられるものである。
【0042】
以上のように構成された組立てAVラック10は、ノックダウン方式で製造されるものであることから、工場において背板12の左右両端部に側板14が枢着されると共に、側板14の所定位置にコネクトピン20aが固定され、又、天板16及び底板18の所定位置にジョイントブロック20bが固定された状態で出荷される。したがって、これら各部材のセットを購入等して入手した需要者は、開梱すると共に各部材を拡げて組立てAVラック10の形状に位置合わせする。具体的には、背板12表面に重ね合わされている側板14を回動させてこれらが互いに略直交するように移動させると共に、側板14の上端部及び下端部をそれぞれ天板16及び底板18で架設するように位置決めする。
【0043】
そして、上下に配置された板材固定具20のそれぞれについて、側板14に取り付けられたコネクトピン20aの頭部34aを、天板16及び底板18に固定されたジョイントブロック20bの嵌合溝48に嵌め込むだけで、何ら工具を用いることなく、側板14と天板16及び側板14と底板18の連結が完了し、組立てAVラック10が完成する。
【0044】
なお、側板14と天板16及び側板14と底板18の連結が完全に外れないよう強固にするためには、嵌挿孔52に係合ピン20cを嵌挿して、嵌合溝48に圧入したコネクトピン20aの頭部34a(より具体的には、頭部34aに設けられた凹部40)に係合ピン20cの先端を係合させればよい。
【符号の説明】
【0045】
10…組立てAVラック
12…背板
12a…配線取り出し口
14…側板
16…天板
18…底板
20…板材固定具
20a…コネクトピン
20b…ジョイントブロック
20c…係合ピン
22…ヒンジ
24…ダボ穴
26…ダボ
28…インサイドボード
30…中仕切り板
32…キャスター
34…(コネクトピンの)シャフト
34a…(シャフトの)頭部
34b…雄ネジ
40…(シャフト頭部の)凹部
42…(ジョイントブロック本体の)本体の端部
44…ネジ
46…ネジ孔
48…嵌合溝
52…(ジョイントブロックの)嵌挿孔
54…(係合ピンの)シャフト
56…(係合ピンの)頭部
58…凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板と、前記背板の左右両端に蝶着可能に枢着された一対の側板と、前記側板の上端部間に架設される天板と、前記側板の下端部間に架設される底板とを有し、
前記側板と前記天板及び前記側板と前記底板とのコーナー部分が、
一方の板材の前記コーナー部分に取り付けられ、該板材の内表面側に突出したシャフトの先端に径方向に膨出した頭部を有するコネクトピンと、他方の板材のコーナー部分における前記コネクトピンに対応する位置に固定され、前記コネクトピンの頭部が嵌め込まれる嵌合溝及び前記嵌合溝から前記一方の板材に対面する端面に亘って設けられ、前記嵌合溝に前記コネクトピンの頭部を嵌め込む際に前記シャフトが通過して前記頭部と前記嵌合溝とが係合する切欠き部を有するジョイントブロックとで構成された板材固定具で接続・固定されていることを特徴とする組立てAVラック。
【請求項2】
さらに、前記コネクトピンの頭部に、前記コネクトピンのシャフトの軸方向に開口した凹部が設けられると共に、前記ジョイントブロックの前記嵌合溝に前記コネクトピンの頭部を嵌め込んだ際に、前記コネクトピンのシャフトの軸線上に位置する前記ジョイントブロックの一方の側面に嵌挿孔が穿設されており、
前記嵌挿孔には、その先端が前記コネクトピンの頭部に設けられた凹部に挿入される係合ピンが着脱可能に圧入されていることを特徴とする請求項1に記載の組立てAVラック。
【請求項3】
前記側板を前記背板に向けて折り畳んだ際に、前記コネクトピン又は前記ジョイントブロックが当接する前記背板の位置に、前記コネクトピン又は前記ジョイントブロックを収納可能な大きさの配線取り出し口が開設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立てAVラック。
【請求項4】
背板と、前記背板の左右両端に設けられる一対の側板と、前記側板の上端部に架設される天板と、前記側板の下端部に架設される底板とを備えた組立て家具における各板材間のコーナー部分の接続に用いる板材固定具であって、
前記コーナー部分を形成する一方の板材の内表面側に取り付けられるシャフトの先端に、径方向に膨出した頭部が形成されたコネクトピンと、
前記コーナー部分を形成する他方の板材の内表面側における前記コネクトピンに対応する位置に固定され、前記コネクトピンの頭部が嵌め込まれる嵌合溝及び前記嵌合溝から前記一方の板材側の端面に亘って設けられ、前記嵌合溝に前記コネクトピンの頭部を嵌め込む際に前記シャフトが通過して前記頭部と前記嵌合溝とが係合する切欠き部が設けられたジョイントブロックとを具備することを特徴とする板材固定具。
【請求項5】
前記嵌合溝の開口面積が奥へ向かうほど減少し、前記嵌合溝の最奥部にて前記コネクトピンの頭部が嵌着されることを特徴とする請求項4に記載の板材固定具。
【請求項6】
さらに、前記コネクトピンの頭部に、前記コネクトピンのシャフトの軸方向に開口した凹部が設けられると共に、前記ジョイントブロックの前記嵌合溝に前記コネクトピンの頭部を嵌め込んだ際に、前記コネクトピンのシャフト軸線上に位置する前記ジョイントブロックの一方の側面に嵌挿孔が穿設されており、
前記嵌挿孔には、その先端が前記コネクトピンの頭部に設けられた凹部に挿入され、且つ後端が径方向に膨出して前記嵌挿孔周辺の前記ジョイントブロックの側面に当接する頭部が形成された係合ピンが着脱可能に圧入されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の板材固定具。
【請求項7】
前記ジョイントブロックにおける係合ピン取付側の側面には、前記嵌挿孔の周囲に、一方向の幅が前記係合ピンの頭部の直径より小さく、この一方向の幅と交差する他方向の長さが前記係合ピンの頭部の直径より大きな凹所が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の板材固定具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−103928(P2011−103928A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259108(P2009−259108)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(591140570)ハヤミ工産株式会社 (3)
【Fターム(参考)】