説明

組立式台車兼用作業台

【課題】積荷の大きさに応じて荷台を拡大縮小することができ、使い勝手が良く、また、不使用時の収納スペースや台車自体の運搬もコンパクトに行うことができる組立式台車兼用作業台を提供する。
【解決手段】断面矩形の中空筒状に形成され、かつキャスター2を有し伸縮自在にされた一対の荷台フレーム1と、これら荷台フレーム1を相互に連結分離可能に掛け渡す桟木3と、相互にボルト連結可能とされ、かつ組立状態で任意形状の面状枠体に組立てられ荷台を構成する前方フレーム4、後方フレーム5及び中間フレーム8と、荷台フレーム1及び後方フレーム5に着脱可能に嵌合されるハンドル部材6と、荷台面を構成する天板7と、各フレームの端部に着脱自在に取付けられ、作業台の脚部となるガイドフレーム9とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は様々な用途に用いられる運搬台車に関し、特に分解が可能な組立式で、積荷の大きさに応じて荷台を拡張でき、さらに作業台としても使用可能な組立式台車兼用作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より各種作業に用いる運搬台車としては、四輪キャスター付台車等がある。ところで、一般的には、運搬台車の荷台は前後方向の寸法が幅方向の寸法に対して操作性を考慮した適度な寸法とされている。しかし、積荷が長尺物である場合には、荷台の外へ食み出す部分が長大になり不安定で、運搬時の振動等により荷崩れを生じないように慎重な操作が求められる。
【0003】
そこで、例えば、平坦面を有する矩形荷台の下面に横方向の位置可変な車輪を2個並設し、荷台の前端に沿ってハンドル部材を取付ける固定手摺部を設け、荷台の後端縁と左右両側縁に沿って、それぞれ屈曲させた基端部が荷台の下面に固定したパイプ内に挿脱自在及び荷台面を拡張する方向に伸縮自在な手摺部材を設けた多用途台車(特許文献1参照。)や被運搬物が長尺物である場合には、伸縮操作ハンドルを操作して、ラックとピニオンとでなすピニオンラック機構を介し、長尺物の長さに応じて前方基台と後方基台との間を伸ばし、運搬台車の前後方向寸法を長くすべく調整するもの(特許文献2参照。)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−249132号公報
【特許文献2】特開平8−216890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来の運搬台車は、上述したような、載積する荷物の大きさの違いによる操作性の悪さに加え、不使用時に比較的広い収納スペースを必要とするばかりでなく、台車自体を作業現場等に運搬する際に運搬車の荷台スペースを大きく占有してしまうといった問題がある。本発明はこれら従来技術の問題点に鑑み、積荷の大きさに応じて荷台を拡大縮小することができ、使い勝手が良く、また、不使用時の収納スペースや台車自体の運搬もコンパクトに行うことができる組立式台車兼用作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の組立式台車兼用作業台は、中空筒状に形成され、かつキャスターを有し伸縮自在にされた一対の荷台フレームと、これら荷台フレームを略平行に連結分離可能に掛け渡す桟木と、相互にボルト連結可能とされ、かつ組立状態で任意形状の面状枠体に組立てられ荷台を構成する前方フレーム及び後方フレームと、各フレームに着脱可能に嵌合されるハンドル杆と、荷台面を構成する天板と、各フレームの端部に着脱自在に取付けられ、作業台の脚部となるガイドフレームを備えることを第1の特徴とする。また、ハンドル杆が荷台フレーム内に挿脱可能とされていることを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、下記の優れた効果がある。
(1)不使用時には分解できるので、収納スペースが小さくて済み乗用車のトランク等にも収納できコンパクトに運搬できる。
(2)積荷が長尺物である場合には、一対の荷台フレームを操作して、長尺物の長さに応じて前フレームと後フレームとの間を伸ばし、運搬台車の前後方向寸法を長くするべく調整する。これにより前後フレーム両端部側で長尺物を両持ち支持することができ、前輪と後輪との間隔も大きくなり安定して運搬できる。
(3)積荷が、長尺物でない場合には、前フレームと後フレームとの間を縮める。運搬台車の前後方向寸法は小さくなり、前輪と後輪との間も小さくなって、小回りが効く等、良好な作業性が得られる。
(4)嵩の大きな積荷、例えば円管等を重ねて運搬する場合、前後フレームの両端部に立設されたガイドフレーム間に挟まれ、荷崩れを起こすことなく脱落防止上効果的である。また、運搬台車の操作上、好ましい位置にハンドル杆の向きを変えることができる。
(5)タンスや大きいベニア板など、積荷が台車のサイズを上回る際は、ハンドル杆を荷台フレームの中に収納して使用することができ、使用後の移動時には再びハンドル杆を立設させて台車を移動することができる。
(6)ガイドフレームが脚部となり作業台として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係る運搬台車を組立てた状態を示す斜視図、図2は本発明に係る運搬台車の分解斜視図、図3は本発明に係る運搬台車を伸長した状態を示す斜視図、図4はハンドル部材を荷台フレームに収納した状態を示す平面図、図5は台車を伸長してガイドフレームを立設した状態を示す斜視図、図6は台車を作業台に組立てた状態を示す斜視図である。
【実施例】
【0009】
図1乃至図3に示すように、本発明に係る組立式台車は、断面矩形の中空筒状に形成されかつキャスター2を有し伸縮自在にされた一対の荷台フレーム1、1と、これら荷台フレーム1、1を略平行に連結分離可能に掛け渡す桟木3と、相互にボルト連結可能とされ、かつ組立状態で任意形状の面状枠体に組立てられ荷台を構成する前方フレーム4、後方フレーム5及び中間フレーム8、荷台フレーム1及び後方フレーム5に着脱可能に嵌合されるハンドル杆6と、荷台面を構成する天板7と、各フレームの端部に着脱自在に取付けられ、作業台の脚部となるガイドフレーム9とを備える。
【0010】
以下、具体的に詳述すると、鉄鋼製の荷台フレーム1は、外筒フレーム1aに内筒フレーム1bが挿脱可能に収納され、その挿脱操作により荷台フレーム1は伸縮自在に構成される。すなわち、内筒フレーム1bの部材長手方向に沿って所定の間隔でボルト挿通孔1c、1c…が形成され任意の伸縮長を決定して外筒フレーム1aと内筒フレーム1bとをボルト締めして固定するようにされている。
【0011】
これら一対の荷台フレーム1、1は、鉄鋼製の桟木3を掛け渡して略平行に連結分離可能に嵌合連結され、さらに前方フレーム4、後方フレーム5及び中間フレーム8と、受け凹片1dを介して互いにボルト連結され、組立状態で矩形状の面状枠体に組み立てられる。すなわち、荷台フレーム1、1の中間に横架された桟木3と、荷台フレーム1、1の前後に横架された前方フレーム4、後方フレーム5、中間フレーム8及び天板7によって荷台が組み立てられる。
【0012】
そして、パイプを略コ字状に組合わせたハンドル杆6を、後方フレーム5に穿設されたハンドル嵌入孔10、10に嵌め込んで立設して運搬台車として使用する。すなわち、通常は、後方フレーム5に走行操作部材としてのハンドル杆6が立設される。ハンドル杆6は着脱自在であり、その上端部が屈曲された一対の柱部6aと直管状の手摺部6bとに分解可能であるので、収納時や台車自体を運搬する際に便利である。また、図4に示すようにハンドル杆6を使用しない場合には、ハンドル杆6を荷台フレーム1の中空部内に挿入して収納できるようにされている。すなわち、タンスや大きいベニア板など、積荷が台車のサイズを上回る際に便利である。また、運搬後は再度ハンドル杆6を立設させて移動することができる。このため、作業者は従来であれば台車の使用後、腰を屈めて押して行くか、台車を持ち抱えて移動せねばならず腰を痛める危険があったが、その危険を解消できる。尚、ハンドル杆6の収納時には、荷台フレーム1、1の端部に形成された凹所1dに嵌合し、移動に際する振動でハンドル杆6が飛び出すことがないようにされている。
【0013】
また、図5に示すように、ハンドル杆6の立設方向線回りに、その嵌合位置を90度変えることができ、握り部6bを運搬台車の縦方向と横方向に向きを変えることができる。
【0014】
このように本発明によれば左右の荷台フレーム1、1は、いずれも荷台が拡張する方向に伸縮して任意の位置で固定できるので平坦な荷台面をより広く利用できる。このために、荷台面より大きく且つ滑り易い荷物も運搬できる。さらにハンドル杆6を取り外すこともでき、その場合はさらに大きな荷物を積載することが可能となる。
【0015】
なお、キャスター2は、荷台フレーム1の前端部において内筒フレーム1bの下面に取り付けられ、後輪18は、荷台フレーム1の後端部において外筒フレーム1aの下面に取り付けられる。キャスター2は360度方向を変えることができるものが好ましい。
【0016】
図5に示すように、荷台フレーム1の各々の両端部には、ガイドフレーム9を立設するためのガイドフレーム嵌合筒11が設けられる。そして、ガイドフレーム9の先端部をガイドフレーム嵌合筒11に嵌め込むと共に、ガイドフレーム9の上部周囲に突設されたリップ(ストッパー片)9a及び9bによりガイドフレーム嵌合筒11の縁に係止して固定される。このガイドフレーム9を荷台の四方に立設させることにより、積荷のズレや荷崩れを防止することができる。
【0017】
また、図6に示すように、ガイドフレーム9をガイドフレーム嵌合筒11の下方から嵌め込むことにより、ガイドフレーム9が脚部となり、本発明台車を図6に示すような作業台として使用できる。この場合ガイドフレーム9のリップ9a及び9bを傾斜して設けると脚部が略ハ字状に開脚し、略台形状を呈し安定した作業台が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る運搬台車を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る運搬台車の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る運搬台車を伸長させた状態を示す斜視図である。
【図4】ハンドル部材を荷台フレームに収納した状態を示す平面図である。
【図5】台車を伸長してガイドレールを立設した状態を示す斜視図である。
【図6】台車を作業台に組立てた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 荷台フレーム
1a 外筒フレーム
1b 内筒フレーム
1c ボルト挿通孔
1d ハンドル杆嵌合用凹所
2 キャスター
3 桟木
4 前方フレーム
5 後方フレーム
6 ハンドル杆
7 天板
8 中間フレーム
9 ガイドフレーム
9a リップ(ストッパー片)
9b リップ(ストッパー片)
10 ハンドル嵌合孔
11 ガイドフレーム嵌合筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状に形成され、かつキャスターを有し伸縮自在にされた一対の荷台フレームと、これら荷台フレームを略平行に連結分離可能に掛け渡す桟木と、相互にボルト連結可能とされ、かつ組立状態で任意形状の面状枠体に組立てられ荷台を構成する前方フレーム及び後方フレームと、各フレームに着脱可能に嵌合されるハンドル杆と、荷台面を構成する天板と、各フレームの端部に着脱自在に取付けられ、作業台の脚部となるガイドフレームを備えることを特徴とする組立式台車兼用作業台。
【請求項2】
ハンドル杆が荷台フレーム内に挿脱可能とされていることを特徴とする請求項1記載の組立式台車兼用作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−253767(P2007−253767A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79877(P2006−79877)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(503027735)
【出願人】(506099018)
【Fターム(参考)】