説明

組織低酸素症の非侵襲的検出用の弱塩基性2−ニトロイミダゾール

本発明は、正常組織および悪性組織中の細胞低酸素症の非侵襲的検出に関する先行技術に対する大きな改良として、ハロゲン化2-ニトロイミダゾール中のピロリジン部分、ピペリジン部分、ピペラジン部分、およびアザパン(azapane)部分などの弱塩基性置換基(pKa約8またはそれ以上)を採用する。本発明は、[18F]陽電子放射断層撮影、[19F]磁気共鳴分光法、および[19F]磁気共鳴画像法の使用を特徴とする。先行技術の化合物に対する改良は6つの部分からなる。1)弱塩基性試薬の塩は非常に水溶性が高く、それによって投与が容易になる。2)未反応の試薬は体循環から急速に除去され、それによりバックグラウンドノイズが減少する。3)弱塩基性置換基を有する試薬は、組織中で血漿中濃度の約3倍に濃縮され、それにより結合強度が増加し、かつ信号検出が増大する。4)弱塩基性試薬の共役塩基は、脳を含む全組織に対するそれらの浸透を容易にする、中間的なオクタノール-水分配係数を有する。5)弱塩基性置換基を含む試薬の細胞付加物は、先行技術の試薬よりも安定している。6)弱塩基性置換基を有する試薬は、固形組織中の一過性低酸素症の検出に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)、磁気共鳴分光法(MRS)、および磁気共鳴画像法(MRI)による、正常組織およびがん組織中の細胞低酸素症の非侵襲的測定に有用な、2-ニトロイミダゾールの弱塩基性誘導体(pKa約8またはそれ以上)、およびそれらの最後から2番目の化学的前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
低酸素症は、生理機能、病態生理、およびがんにおいて重要な役割を果たしている。最近の例は、組織酸素化のホルモン制御(Badger et al., Urol Int, 76: 264-268, 2006);骨リモデリング(Dodd et al., Am. J. Physiol. Renal. Physiol 277: C598-602, 1999);胚形成(Nanka et al., Dev Dyn, 235: 723-733, 2006);奇形発生(Danielsson et al., Birth Defects Res A Clin Mol Teratol 73: 146-153, 2005);視神経虚血(Danylkova et al., Brain Res 1096: 20-29, 2006);虚血性心疾患(Cheema, et al., J Am Coll Cardiol 47: 1067-1075, 2006);関節炎を含む炎症性疾患(Peters et al., Arthritis Rheum 50: 291-296, 2004);創傷治癒(Albina et al., Am J Physiol Cell Physiol 281: C1971-1977, 2001);虚血性腎疾患(Villanueva et al., Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 290: R861-870, 2006);硬変肝疾患(Jeong et al., Liver Int 24: 658-668, 2004);肺疾患(Morani et al., Proc Natl Acad Sci USA 103: 7165-7169, 2006);アルコール誘発性膵疾患(McKim et al., Arch Biochem Biophys 417: 34-43, 2003);胸腺疾患(Hale et al., Am J Physiol Heart Circ Physiol 282: H1467-1477, 2002);泌尿生殖器の閉塞疾患(Damaser et al., J Appl Physiol 98: 1884-1890, 2005;Ghafar et al., J Urol 167: 1508-1512, 2002);およびがんの予後(Carnell et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys 65: 91-99, 2006;Kaanders et al., Cancer Res 62: 7066-7074, 2002)を含む。
【0003】
2つの分類の低酸素症、すなわち拡散律速型(diffusion-limited)の慢性低酸素症、および灌流律速型(perfusion-limited)の急性または変動性(fluctuating)低酸素症が現在、固形組織において認識されている。急性および慢性低酸素症は、腫瘍での局所的放射線制御に対するそれらの影響に加えて、低酸素症誘発性血管新生、遊走、および、処置プロトコルとは無関係に全体的な腫瘍の攻撃性を増加させる侵襲因子を誘発することで、がん患者の全体的な予後不良に寄与すると考えられている(Vaupel et al., Semin. Oncol. 28:29-35, 2001)。慢性低酸素症は、肝臓および腎臓などの正常組織の自然な特徴であり、病態生理状態ではない。しかしながら、低酸素症の制御されない変動は、正常組織中で反応性酸素種を作ることにより、低酸素症再灌流傷害に寄与する(Thurman et al., J. Gastroenterol. Hepatol. 13(Suppl):S39-50, 1998)。
【0004】
慢性低酸素症は、腫瘍の場合は、腫瘍血管樹中のpO2の縦勾配から生じる局所的酸素供給の欠乏によって拍車がかかる、血管近傍の細胞中での酸素消費により作られる酸素勾配の遠位端で生じる(Dewhirst et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 42:723-726, 1998)。ThomlinsonおよびGrayは、ヒト腫瘍中に慢性低酸素症の領域が存在することを最初に推定し、これらの領域が腫瘍の耐放射線性に寄与していることを提示した(Thomlinson and Gray, Br. J. Cancer 9:539-549, 1955)。
【0005】
静的で代謝的に制御されているpO2勾配を有する慢性低酸素症とは対照的に、急性低酸素症は、腫瘍の場合は一過性血管閉塞により作られる、血流不安定に起因する変動性のpO2に関連している(Dewhirst et al., 前掲論文)。急性低酸素腫瘍細胞は、増殖性であるため、静止した臨床的低酸素細胞(Kennedy et al., 前掲論文;Varia et al., Gynecol. Oncol. 71:270-277, 1998)よりも治療上関連性がある可能性がある(Wouters et al., Radiat. Res. 147:541-550, 1997)ことが提示されている。正常組織では、変動性低酸素症は、アルコール誘発性肝疾患(Arteel et al., Am. J. Physiol. 271 :G494-500, 1996);アルコール誘発性膵炎(McKim et al., Arch. Biochem. Biophys. 417:34-43, 2003);および化学療法誘発性腎疾患(Zhong et al., Am. J. Physiol. 275:F595-604, 1998)などの低酸素症再灌流傷害に関連している。
【0006】
免疫組織化学的低酸素症マーカーは、ヒト腫瘍中の酸素勾配を明確に可視化するために使用され(Raleigh et al., Br. J. Cancer 56:395-400, 1987;Cline et al., Br. J. Cancer 62:925-931, 1990;Kennedy et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 37:897-905, 1997;および米国特許第5,086,068号)、後には、細胞低酸素症が頭頚部がんの転帰の予後徴候であることを示すために使用された(Kaanders et al., Cancer Res. 62:7066-7074, 2002)。これらのマーカーのうちの1つである、弱塩基性2-ニトロイミダゾールであるピモニダゾール(1-(2-ヒドロキシ-3-ピペリジノプロピル)-2-ニトロイミダゾール、pKa=8.7)のHCl塩が、免疫化学的手段により低酸素症を測定するために使用された(米国特許第5,674,693号;米国特許第5,086,068号)。免疫組織化学的解析は、細胞低酸素症を、酸素調節タンパク質の発現、脈管構造、壊死、および細胞分化などの他の生理的因子に関連づけるために有用であるが、生検組織を必要とするため、侵襲的であり、サンプリング誤差を生じやすく、正常組織低酸素症の日常的臨床研究には不適であり、また、経時的生検に関連する不都合および不快感のため、ヒト組織低酸素症での変化を追跡する上で比較的望ましくない。
【0007】
1976年に、Vargheseらは、含窒素複素環化合物が、還元的に活性化され、低酸素哺乳動物細胞に共有結合することを示した(Varghese et al., Cancer Res. 36:3761-3765, 1976)。2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーを生体内還元的に活性化する細胞電子伝達系からの電子のカスケード中での第1の電子の付加は、分子酸素により逆転可能であり、それにより、マーカーの結合が組織低酸素症の間接的な尺度となる。1981年に、Chapmanらは、結合の酸素依存性は、放射線損傷に対する耐性を組織に与えるpO2の範囲内であることを示した(Chapman et al., Br. J. Cancer 43:546-550, 1981)。VargheseらおよびChapmanらの発見の後、組織低酸素症の測定に臨床的に有用な技術にそれらを変換する試みがなされた。侵襲的技術は、放射性標識2-ニトロイミダゾールのオートラジオグラフィーおよびシンチレーション計数(Urtasun et al., Br. J. Cancer 54:453-457, 1986);抗体に基づく免疫組織化学的検査(Raleigh et al., 前掲論文;Cline et al., 前掲論文;および米国特許第5,086,068号);抗体に基づく酵素結合免疫吸着検定法(Raleigh et al., Br. J. Cancer 69:66-71, 1994);ならびに抗体に基づくフローサイトメトリー法(Olive et al., Acta. Oncol. 40:917-923, 2001)を含んでいた。
【0008】
組織低酸素症を測定するための初期の非侵襲的技術は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT;Urtasun et al., Br. J. Cancer Suppl. 27:S209-12, 1996;Iyer et al., Br. J. Cancer 78:163-9, 1998);核医学(Ballinger et al., J. Nucl. Med. 37:1023-31, 1996;Strauss et al., J. Nucl. Cardiol.. 2:437-45, 1995);[19F]磁気共鳴分光法(Raleigh et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 12: 1243-5, 1986;Jin et al., Int. J. Radiat. Biol. 58:1025-34, 1990);および18F-フルオロミソニダゾールを用いる陽電子放射断層撮影([18F]FMISO;Rasey et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 17:985-991, 1989)を含んでいた。[18F]フルオロミシダゾール(fluoromisidazole)([18F]MISO)を改良する目的で多くの試薬が考案された。これらは、[18F]フルオロエタニダゾール([18F]FETA;Rasey et al., J. Nucl. Med. 40:1072-1079, 1999);[18F]フルオロエリスロニトロイミダゾール([18F]FETNIM;Yang et al., Radiology 194:795-800, 1995;Wallaceら、米国特許第5,728,843号);[18F]2-(2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-イル)-N-(3-フルオロプロピル)-アセトアミド([18F]EF1;Evans et al., J. Nucl. Med. 41:327-336, 2000;Kochら、米国特許出願公開第2005/0026974 A1号);[18F]2-(2-ニトロ-1H-イミダゾール-1-イル)-N-(2,2,3,3-ペンタフルオロプロピル)-アセトアミド([18F]EF5;Ziemer et al., Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 30:259-266, 2003;Doblerら、米国特許出願公開第2006/0159618 A1号);[18F]フルオロアゾマイシンアラビノフラノシド([18F]FAZA;Sorger et al., Nucl. Med. Biol. 30:317-326, 2003);4-ブロモ-1-(3-[18F]フルオロプロピル)-2-ニトロイミダゾール(4-Br-[18F]FPN);および1-(3-[18F]フルオロプロピル)-2-ニトロイミダゾール([18F]FPN;Yamamoto et al., Biol. Pharm. Bull. 25:616-621)を含んでいた。[18F]FMISOと比較して、腫瘍対正常組織比のわずかな改良、減少した肝取り込み、および減少した循環代謝物が実現した。
【0009】
[18F]標識2-ニトロイミダゾールを用いる組織低酸素症のPET測定は、4つの多少なりとも独立したステップを伴う:(1)低酸素症マーカー付加物に付着した[18F](t1/2=109.8分)の所定の急速な放射性減衰。これは、(2)未代謝[18F]低酸素症マーカー分子の洗浄および洗い流し;(3)[18F]低酸素症マーカータンパク質付加物の構築および異化;ならびに(4)マーカーのシステイン付加物およびグルタチオン付加物、ならびに加水分解断片化生成物を含む、低酸素症マーカーの[18F]小分子代謝物の構築および洗い流しの動的バックグラウンドに対する、急速に減衰する低酸素症信号を構成する(Raleigh and Liu, Int. J. Radiat. Oncol. Biol Phys. 10:1337-1340, 1984)。生体内還元的に活性化された2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーの約80%が加水分解で断片化される。バックグラウンドノイズに対して大きく寄与するが、低酸素症信号には何も加えない非結合性[18F]代謝物が、断片化により生成される。生体内還元的に活性化された2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーの約20%が低酸素症信号を生成する-10%がタンパク質との付加物で、10%がグルタチオンのような小さなチオール含有化合物である(Raleigh and Koch, Biochem. Pharmacol. 40:2457-2464, 1990)。放射性減衰による信号損失の不在を除けば、非侵襲的[19]MRSおよび[19F]MRIは、[18]PETと同様な信号対ノイズ比の考慮に供される。
【0010】
バックグラウンドノイズ(未結合低酸素症マーカーおよびその非結合性代謝物)から低酸素症信号(タンパク質付加物およびグルタチオン付加物)を分離するために数学的モデルが設計されたが、低酸素症マーカー代謝に関連する同時の動的プロセスに関する動態学的データを患者毎に得ることは本質的に不可能であり、PET研究者は、注射後の所定の2〜3時間において1.4以上の腫瘍対血液の放射能比を有する腫瘍部位(画素)の比率である、低酸素腫瘍体積率という、より単純な概念を採用した(Koh et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 33:391-398, 1995;Couturier et al., Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 31 :1182-1206, 2004)。
【0011】
[18F]F-MISO(Rasey et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 17:985-991, 1989)および[19F]CCI-103F(Raleigh et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 12:1243-5, 1986)などの2-ニトロイミダゾール化合物を用いた初期の研究では、組織低酸素症を非侵襲的に測定するための[18F]PETおよび[19]MRSの潜在能力を証明したが、慢性低酸素症と急性低酸素症との両方について信号対ノイズ比の限定を改良することにより感度および特異性を改良する試薬は依然として要求されている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、陽電子放射断層撮影(PET;例えば[18F]PET)、磁気共鳴分光法(MRS;例えば[19F]MRS)、および磁気共鳴画像法(MRI;例えば[19F]MRI)を用いる組織低酸素症検出薬として有用なある種の新規化合物に関する。新規化合物は、フッ素化試薬の最後から2番目の化学的前駆体、ならびに[19F]および[18F]フッ素化試薬自身を含み、いずれも容易に合成可能である。
【0013】
本発明の第1の局面は、下記式Iの構造を有する化合物を特徴とする:

式中、R1は、ハロゲン(例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、もしくはアスタチン(At))、陽電子放出放射性核種(例えば、[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、もしくは[99mTc])、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート(tryflate)、水素、またはヒドロキシルであり;かつ、R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子(例えば2個、3個、または4個の窒素原子)を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;但し、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む。
【0014】
本発明の第1の局面の好ましい態様では、化合物は、式III〜VIまたはVIII〜XVIIIの構造を有する。
【0015】
本発明の第2の局面は、下記式IIの構造を有する化合物を特徴とする:

式中、R1は、ハロゲン(例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、もしくはアスタチン(At))、陽電子放出放射性核種(例えば、[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、もしくは[99mTc])、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート、水素、またはヒドロキシルであり;かつ、R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子(例えば2個、3個、または4個の窒素原子)を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;但し、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む。
【0016】
本発明の第2の局面の好ましい態様では、化合物は、式VIIの構造を有する。
【0017】
本発明の第1および第2の局面のいくつかの態様では、R2およびR3は連結して5員、6員、または7員の複素環を形成しているか;R1はトシレート、メシレート、またはトリフレートであり、かつR2およびR3は連結して5員、6員、または7員の複素環を形成しているか;
R2およびR3は連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、かつ該複素環は2個、3個、または4個の窒素原子を含み、該複素環の該窒素原子または炭素原子のうち少なくとも1個は低級アルキルまたはヒドロキシアルキルと共有結合しているか;R1はヒドロキシルであり、かつR2およびR3は連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、該複素環の少なくとも1個の炭素または窒素原子はハロアルキル(例えば、[19F]または[18F]などのフルオロアルキル)で置換されているか;R1はトシレート、メシレート、またはトリフレートであり、かつR2およびR3は、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルからなる群より独立して選択されるか;あるいは、R1、R2、R3、または複素環は、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、または非金属を含むように置換されている低級アルキルを含む。
【0018】
本発明の第1および第2の局面の好ましい態様では、陽電子放出放射性核種は、[18F]、[79Br]、または[124I]である。
【0019】
本発明の第3の局面は、
(a)下記式IまたはIIの構造を有する化合物を提供する段階であって:

式中、R1は、トシレート、メシレート、トリフレートであり;R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子(例えば2個、3個、または4個の窒素原子)を含む5員、6員、または7員の複素環を形成する、段階;および
(b)該化合物と、遊離形態または塩の形態の陽電子放出放射性核種(例えば、[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、または[99mTc])とを、陽電子放出放射性核種含有化合物を形成させる条件下で反応させる段階
による、陽電子放出放射性核種含有化合物を製造する方法を特徴とする。
【0020】
本発明の第3の局面のいくつかの態様では、R2およびR3は、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルからなる群より独立して選択されるか;陽電子放出放射性核種は、[18F]、[79Br]、または[124I]であるか;あるいは、R2およびR3は連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、該複素環は2個、3個、または4個の窒素原子を含み、該複素環の該窒素原子または炭素原子のうち少なくとも1個はハロアルキル(例えば、[19F]または[18F]などのフルオロアルキル)と共有結合している。
【0021】
本発明の第4の局面は、哺乳動物(例えばヒト)の正常組織、患部正常組織(diseased normal tissue)、または悪性組織(例えば、脳、肺、心臓、目、腎臓、肝臓、膵臓、胸腺、腸、泌尿生殖器、胃、および骨の組織を含み、虚血組織(例えば脳卒中で損傷を受けた組織)、炎症組織(例えば関節炎組織)、創傷治癒を経験している組織、および腫瘍組織をさらに含む)中の低酸素細胞を検出するための方法であって、陽電子放出放射性核種(例えば、[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、もしくは[99mTc])、または陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキルを含む、本発明の第1または第2の局面の化合物を該哺乳動物に投与する段階、および、非侵襲的な陽電子放射断層撮影(PET)により該正常組織、患部正常組織、または悪性組織中に保持されている該化合物のいずれかを検出する段階による方法を特徴とする。
【0022】
本発明の第4の局面の好ましい一態様では、陽電子放出放射性核種は[18F]である。
【0023】
本発明の第5の局面は、哺乳動物(例えばヒト)の正常組織、患部正常組織、または悪性組織(例えば、脳、肺、心臓、目、腎臓、肝臓、膵臓、胸腺、腸、泌尿生殖器、胃、および骨の組織を含み、虚血組織(例えば脳卒中で損傷を受けた組織)、炎症組織(例えば関節炎組織)、創傷治癒を経験している組織、および腫瘍組織をさらに含む)中の低酸素細胞を検出するための方法であって、
(a)下記式IまたはIIの構造を有する化合物を該哺乳動物に投与する段階であって:

式中、R1は、ハロゲン(例えば[19F])、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、非金属(例えば[31P]または[13C])、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート、水素(例えば重水素)、またはヒドロキシルであり;かつ、R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;但し、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む、段階;ならびに
(b)非侵襲的な磁気共鳴分光法(MRS)または磁気共鳴画像法(MRI)により正常組織、患部正常組織、または悪性組織中に保持されている該化合物のいずれかを検出する段階
による方法を特徴とする。
【0024】
本発明の第6の態様は、陽電子放射断層撮影(PET)、磁気共鳴分光法(MRS)、または磁気共鳴画像法(MRI)による組織低酸素症の解析を実証するための方法であって、患部細胞(例えば腫瘍細胞)中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドと本発明の第1または第2の局面の化合物との反応後に得られる付加物に特異的に結合する抗体(例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、あるいは該抗体を含む抗血清)に、患部組織(例えば腫瘍組織)を接触させる段階、および、該患部組織に対する該抗体の結合を検出する段階による方法であり、正常組織に対する該抗体の結合に比して、患部組織に対する該抗体の結合が増加していることにより、PET、MRS、およびMRIを用いる組織低酸素症の決定が実証される方法を特徴とする。
【0025】
本発明の第6の局面の一態様では、患部組織に対する抗体の結合は、免疫蛍光法、免疫ペルオキシダーゼ法、サイトメトリー法、フローサイトメトリー法、または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて検出される。別の態様では、組織低酸素症の解析は、[18F]PET、[19F]MRS、または[19F]MRIを用いて行われる。
【0026】
本発明の第7の局面は、患部細胞(例えば腫瘍細胞)中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドと、本発明の第1または第2の局面の化合物との反応後に得られる付加物で哺乳動物(例えばウサギ、サル、ヤギ、またはヒト)を免疫する段階、および、該哺乳動物から抗血清または抗体を回収する段階による、抗体を産生するためのことを特徴とする。
【0027】
本発明の第8の局面は、本発明の第1または第2の局面の化合物を有する容器、該化合物と、患部細胞(例えば腫瘍細胞)中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドとの反応により得られる付加物に特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、あるいは該モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を含むモノクローナル抗血清またはポリクローナル抗血清を有する容器、および、組織中の低酸素細胞を検出するためにキットを使用するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0028】
本発明の第8の局面の好ましい一態様では、説明書は、免疫蛍光法、免疫ペルオキシダーゼ法、サイトメトリー法、フローサイトメトリー法、または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により付加物を検出するためにキットを使用するための方法を記述している。
【0029】
本明細書で開示され、主張されている新規化合物は、すべて下記一般構造式IまたはIIを有する弱塩基性部分を有している:

式中、R1は、水素、ヒドロキシル、トシレート、メシレート、トリフレート、[19F]フッ素、または[18F]フッ素からなる群、ならびに、低級アルキル部分、または1個もしくは複数のN原子を含む5員、6員、および7員環の群より独立して選択される。一方、R2およびR3は、低級アルキル部分、アリル部分、もしくはアルキル部分、または1個もしくは複数のN原子を含む5員、6員、および7員環の群より独立して選択され、R2およびR3は連結して、1個もしくは複数のN原子を有する5員、6員、もしくは7員の複素環を形成する。構造I中の少なくとも1個のN原子は、ハロゲン化物を含むがそれに限定されるわけではないアニオン性対イオンとの塩の形態である。R2およびR3に複数のN原子が存在する場合、少なくとも1個のNが低級アルキル基で置換されていてもよい。さらに、R2およびR3は、炭素において、水素、トシレート、メシレート、トリフレート、[19F]フッ素、または[18F]フッ素からなる群より独立に選び出される部分で置換されていてもよい。
【0030】
本発明は、組織低酸素症の非侵襲的PET、MRS、およびMRI解析に関して、既存の試薬に対する具体的な改良を示す薬物動態特性および薬力学特性を与える少なくとも1個の弱塩基性部分を含む化合物の慎重かつ明確な選択を伴う。
【0031】
本発明は、患部正常組織および悪性組織中の低酸素症を測定するためのPET、MRS、およびMRIの使用を改良することを意図している。これは、増加した感度で慢性低酸素症および急性低酸素症の初期レベルを測定すること、および、治療介入に応答しての両種類の低酸素症の変化を追跡することを含む。
【0032】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜24個の炭素原子の分岐状または非分岐状の飽和炭化水素基、例えば、例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、オクチル、デシル、エイコシル、テトラコシルなどを指す。本明細書において好ましいアルキル基は、1〜5個の炭素を含む「低級アルキル基」である。
【0033】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、ヒドロキシル基を含むアルキル基を指す。
【0034】
「トシレート」という用語は、ヒドロキシル基が塩化p-トルエンスルホニルと反応する際に形成されるエステルを示すが、トルエン部分がアルキル基、ハライド基、エステル基、エーテル基、またはシアノ基などで置換されている塩化トルエンスルホニルを含み得る。
【0035】
「メシレート」という用語は、ヒドロキシル基が塩化メタンスルホニルと反応する際に形成されるエステルを示すが、メタン部分がアルキル基、ハライド基、エステル基、エーテル基、またはシアノ基などで置換されている塩化メタンスルホニルを含み得る。
【0036】
「トリフレート」という用語は、ヒドロキシル基がトリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応する際に形成されるエステルを示す。
【0037】
「環の骨格内で」とは、原子、または基の少なくとも1個の原子を、環構造の隣接原子内に組み入れることを意味する。
【0038】
例は、フッ素化2-ニトロイミダゾールに関して提示されるが、PETの場合は、本発明の化合物を、例えば[76Br]および[124I]を含む任意の陽電子放出核種で標識することができることは、当業者に公知である。
【0039】
本発明の化合物を、組織低酸素症のPET、MRS、およびMRI検出に使用することができ、弱塩基性部分を組み入れる試薬の利点が[18]PET、[19F]MRS、および[19F]MRIに生じることが理解される。化学合成の当業者に周知の手順により、[19F]などのハロゲン原子の数を増加させることで、化合物中に存在するハロゲン原子の数の2乗に比例してMRS/MRIの検出感度が増加すると、本発明者らが認識していることが理解される。
【0040】
静脈内投与がPET研究(例えば[18F]を用いる)に好ましい経路であるが、本発明の化合物、例えば組織低酸素症の[19]MRSまたは[19F]MRI解析で使用される化合物について、静脈内投与または経口投与を使用することができることが理解される。
【0041】
本発明の化合物の生体内還元的に生成される高分子付加物に対してポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を作成することができ、免疫蛍光法、免疫ペルオキシダーゼ法、および酵素結合免疫吸着検定法を含む免疫化学的手段により非侵襲的PET、MRS、およびMRI解析を実証するためにこれらを使用することができることが理解される。
【0042】
本発明の他の特徴および利点は、その好ましい態様に関する下記の説明、および特許請求の範囲から明らかであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】弱塩基性2-ニトロイミダゾール(左手パネルAおよびC)、ならびに弱塩基性部分を欠く2-ニトロイミダゾール(パネルBおよびD)の結合に関する免疫染色を比較する顕微鏡写真である。パネルAおよびB、ならびにパネルCおよびDは、同一のイヌ腺がんの異なる領域からのものである。パネルCおよびDでは、免疫染色の程度は両低酸素症マーカーについて同様であるが、パネルAおよびBでは、弱塩基性マーカー(パネルA)の結合の程度は、弱塩基性部分を欠くマーカー(パネルB)のそれを大きく超えており、さらに、パネルAでの比較的広範囲な結合の部位は、パネルBでのそれよりも明度が高いことに留意されたい。腫瘍における壊死領域の周辺の強い免疫染色ゾーンの存在下で、明るい染色は、弱塩基性部分を有するマーカーが検出に優れている急性低酸素症または変動性低酸素症に特有である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
弱塩基性部分(pKa約8またはそれ以上)を、例えばハロゲン、陽電子放出放射性核種、または非金属で標識された2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーに組み入れる、本発明に係る新規化合物および方法論により、正常組織低酸素症の非侵襲的解析、および組織低酸素症の変化の解析が容易になる。特に、本発明は、低酸素症に基づく治療介入の対象となる患者の有効かつタイムリーな選択を結果として可能にする、治療介入前に低酸素症を測定するための簡便な技術を提供する。本発明はまた、患部正常組織および悪性組織中で低酸素症に基づく治療介入の有効性を追跡するための方法を提供する。特に、本発明の化合物は、例えば脳、肺、心臓、目、腎臓、肝臓、膵臓、胸腺、腸、泌尿生殖器、胃、および骨の組織中に存在する低酸素状態の検出に有用である。低酸素状態は、虚血(例えば脳卒中の結果としての)、炎症、創傷治癒、および腫瘍に起因し得る。
【0045】
本発明は、PET、MRS、およびMRIを用いる慢性低酸素症と急性低酸素症の両方の非侵襲的検出のための化合物を提供する。化合物は、慢性低酸素症および急性低酸素症を効率的に検出する。本発明の化合物は、増加した信号対ノイズ比を提供し、かつ、先行技術のマーカーより大きい感度で急性低酸素症または変動性低酸素症を検出する能力を有する。がん生物学者の間で、急性低酸素症が、がん治療に甚大な影響を与えると広く考えられているため、急性低酸素症を検出する能力は重要である。
【0046】
本発明の化合物は、[18F]PET、[19F]MRS、または[19F]MRIによる患部正常組織および悪性組織中の低酸素症の非侵襲的検出用の、フッ素化2-ニトロイミダゾール誘導体を含む。化合物の2-ニトロイミダゾール部分は、生体内還元を経験して、10mmHg以下のpO2を有する組織細胞中のペプチドおよびタンパク質に共有結合する中間体になり、その結果、組織低酸素症用のマーカーとして作用する安定した付加物が形成される。[18F](および/または他の陽電子放出放射性核種)、あるいは[19F](および/または他の非放射性ハロゲンもしくは非金属)を2-ニトロイミダゾールに導入することで、物理的に非侵襲的な[18F]PET、[19F]MRS、または[19F]MRIによる組織低酸素症の検出が可能になる。本発明の化合物を、患部正常組織(例えば関節炎組織)および悪性組織(例えばがん組織)中の低酸素症の非侵襲的研究で使用することができる。
【0047】
本発明は2つの方法で使用することができる。第一に、治療前に組織低酸素症のレベルを評価して、低酸素症に基づく介入の利益を享受し得る患者の選択を可能することができる。第二に、電離放射線、温熱療法、低酸素細胞用放射線増感剤、生体内還元性細胞毒、抗炎症薬、または増殖因子阻害剤などの治療介入に応答した組織低酸素症の変化を、介入の成功の尺度として追跡することができる。
【0048】
本発明の化合物は、特に下記を含むいくつかの点で先行技術の化合物に対する改良を構成する。1)本発明の化合物は、低酸素症の非侵襲的測定で使用する際に、既存のPET、MRS、およびMRI試薬に関して典型的に観察されるバックグラウンド「ノイズ」を低減する。2)弱塩基性置換基を有する2-ニトロイミダゾール化合物の酸塩は水溶性であり、それにより、ヒト用途と実験動物用途との両方で投与が容易になる。3)弱塩基性試薬は、ヒトにおいてはるかに短い血漿内半減期を有する。例えば、ピモニダゾールは、ミソニダゾール(t1/2=9.3時間)またはEF5(t1/2=11.7±2.7時間)などの低酸素症マーカーよりもはるかに短い血漿内半減期(t1/2=5.1±0.8時間)を有する。したがって、未代謝の弱塩基性マーカーは、循環からはるかに急速に除去され、それにより、例えば[18F]PET、[19F]MRS、および[19F]MRI]解析時の信号対ノイズ比が増加すると考えられる。4)組織細胞への弱塩基性PET試薬の細胞外濃度を超えた選択的取り込みにより、低酸素細胞の結合速度が増加し、検出感度が増大すると考えられる。本発明の方法論は、増大した取り込みは、固形腫瘍の細胞中の細胞内pHと細胞外pHとの差による結果であることを認識する。5)弱塩基性置換基を有する本発明の化合物(例えば、本発明の[18F]PET、[19F]MRS、および[19F]MRI試薬)の共役塩基は、中間的なオクタノール-水分配係数を有する。これは、化合物が、脳を含む全組織に容易に浸透し、そこで血漿中濃度の約3倍に濃縮されることを意味する。したがって、先行技術の親水性マーカーが、対象となる多くの正常組織から有効に除去されるのに対し、本発明の弱塩基性PET、MRS、およびMRI化合物は、すべての正常組織および腫瘍組織中の低酸素症を調査するために使用することができる。弱塩基性2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーに関して、中枢神経系に対する毒性は限定的であることは公知である。しかしながら、PET化合物は微量で使用され、中枢神経系に対する毒性は重大な問題ではない。比較的高用量(0.5g/m2;750〜1000mg/患者;単一最大耐容用量の50%)の弱塩基性低酸素症マーカーであるピモニダゾールでさえ、中枢神経系(CNS)に対する作用のうち最も軽度なもの、例えば温熱感でさえ非常に低い頻度でしか有さずに臨床的に使用されており、これは、CNSに対する毒性が、MRSまたはMRIのための、比較的高濃度の本発明の弱塩基性2-ニトロイミダゾール化合物の使用(例えば、[19F]MRSまたは[19F]MRIのための、本発明の[19F]フッ素化弱塩基性2-ニトロイミダゾール化合物の使用)を妨げないであろうことを示している。6)低酸素症マーカーと弱塩基性置換基の付加物は、弱塩基性置換基を欠く低酸素症マーカーよりも安定している。これは、現在入手可能な先行技術のPET、MRS、およびMRIマーカーに対して、低酸素症信号を安定化させる作用を有する(特に、本発明のフッ素化低酸素症マーカーは、先行技術の[18F]PET、[19F]MRS、および[19F]MRI低酸素症マーカーよりも安定した低酸素症信号を示す)。7)本発明の弱塩基性化合物は、先行技術のPET、MRS、およびMRSマーカーよりはるかに高い感度で急性低酸素症の検出を可能にする。本発明の化合物の弱塩基性置換基は、高い細胞外pH(pHe)の組織微小環境内の、変動性低酸素症を経験している細胞中で、それら化合物の濃縮を促進する。これは、変動性低酸素症を経験している細胞の細胞内pHと細胞外pHとの差により生じる。変動性低酸素症を経験している細胞が比較的高いpHになるように、pH勾配が固形組織中に存在する。
【0049】
本発明の化合物
本明細書において提供される化合物は、下記構造式(I)および(II)で定義されるものである。

R1は、ハロゲン(例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、もしくはアスタチン(At))、陽電子放出放射性核種(例えば、[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、もしくは[99mTc])、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート、水素、またはヒドロキシルから選択することができ;かつ、R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択され得るか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子(例えば2個、3個、または4個の窒素原子)を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;但し、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む。
【0050】
好ましくは、R2およびR3は連結して、少なくとも1個の窒素原子を有するが、O、S、またはN-アシルなどの塩基性を減少させる環中の基を除外して、5員、6員、または7員の複素環基を形成する。構造(I)中の少なくとも1個のN原子は、ハロゲン化物を含むがそれに限定されるわけではないアニオン性対イオンとの塩の形態であり得る。複数のN原子が存在する場合、少なくとも1個のNが低級アルキル基、ヒドロキシアルキル基、またはフルオロアルキル基で置換されていてもよい。さらに、R2およびR3は、炭素が、水素、トシレート、メシレート、トリフレート、[19F]フッ素、または[18F]フッ素からなる群より独立に選択される部分で置換されていてもよい。
【0051】
この群の中で好ましい化合物の例はチャートAに示す通りである。

【0052】
その塩を含む構造式(VI〜XVIII)で定義される化合物は、単独、または組織生理機能の他のPETマーカー(例えば[18F]-フルオロデオキシグルコース、[18F]-FDG)との組み合わせのいずれかで、患部正常組織および悪性組織中の低酸素症の検出に有用である。
【0053】
本発明の放射標識化合物は、対象中の疾患のイメージング、検出、および診断に有用な組成物である。イメージングおよび検出に有用な放射標識化合物を生成するために、多くの放射標識が使用できる。例えば、放射標識化合物を生成するために使用可能な放射標識の非限定的リストは、11C、13N、15O、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、76Br、86Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、および175Luを含む。特に好ましい放射標識は、18F、64Cu、76Br、I124、およびその混合物を含むか、あるいはそれらからなる。
【0054】
例として、18Fは、18O濃縮水に対するプロトン照射後、サイクロトロンから得ることができる。H-18Fを含む濃縮水は、任意のアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルキルホホスホニウム(alkylphophosphonium)、アルキルクアニジウム(alkylquanidium)、アルキルアミジニウム、またはアルカリ金属(M)、例えば、カリウム、セシウム、あるいは、得られるアルカリ金属-配位子錯体がアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、もしくはジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中で易溶性になるように、Kryptofix 222(4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ(diazabycyclo)[8.8.8]ヘキサコサン)などの配位子に対して強力にキレート化する他の1価イオンである対カチオンを有する塩基で中和することができる。水を蒸発させて対カチオン-18Fの残基を生成することができ、さらに使用するためにそれを有機溶媒中に取り込むことができる。一般に、対カチオンは、フッ化物イオンを有機相中でハロゲンと急速に反応させるように選択される。
【0055】
フッ化物は、最も電気陰性の成分であるため、水和してその求核性を失う傾向にある。これを最小限に抑えるために、標識化反応を無水条件下で行うことが好ましい。例えば、フッ化物(フッ化カリウムとして、または上記で論じた他の対イオンのいずれかとの錯体として)を、アセトニトリルまたはTHFなどの有機溶媒中に入れることができる。Kryptofix 2.2.2(4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]-ヘキサコサン)などの対カチオンに結合する薬剤の補助により、フッ化物イオンは、これらの溶媒中で非常に求核性になる。次に、本発明のキレート分子の残りの部分を溶媒に加え、それによりキレートを18Fで標識することができる。
【0056】
カリウムは、本発明に係る対カチオン中の金属として有用であるが、セシウムがより拡散した電荷を有するより大きなイオンであるため、セシウムがカリウムよりも好ましいことがある。そのため、セシウムは、小さなフッ化物原子とより緩やかなイオン性相互作用を有し、したがって、フッ化物イオンの求核性には干渉しない。同様の理由で、カリウムがナトリウムよりも好ましいことがあり、一般に、周期表の下に行くほど、本発明に係る対カチオン中の金属としてのランタニド金属の適格性が増加する。銀などのIb族試薬も本発明に係る対イオンとして有用である。さらに、テトラアルキルアンモニウム塩などの有機相間移動型イオン(organic phase transfer-type ion)も対カチオンとして使用できる。
【0057】
本発明の化合物の製剤
本発明の化合物は、腫瘍組織を優先的に標的とするために使用できる。本発明の化合物を、ヒトなどの哺乳動物の対象に直接、または、当技術分野で公知の任意の薬学的に許容される担体もしくは塩と組み合わせて投与することができる。薬学的に許容される塩は、医薬業界で通常使用される無毒の酸付加塩または金属錯体を含み得る。酸付加塩の例は、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸などの有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸を含む。金属錯体は、亜鉛、鉄などを含む。1つの例示的な薬学的に許容される担体は生理食塩水である。他の生理学的に許容される担体、およびそれらの製剤は、当業者に公知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, (18th edition), ed. A. Gennaro, 1990, Mack Publishing Company, Easton, PAに記載されている。
【0058】
治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の医薬製剤は、投与経路に適応した薬学的に許容される担体と混合して、経口投与、非経口投与(例えば、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、もしくは皮下注射、吸入、皮内投与、点眼薬(optical drop)、またはインプラント)、鼻腔内投与、膣内投与、直腸内投与、舌下投与、あるいは局所投与することができる。
【0059】
製剤を作製するための当技術分野で周知の方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, (18th edition), ed. A. Gennaro, 1990, Mack Publishing Company, Easton, PAに見られる。経口用途として意図される組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って、固体形態または液体形態で調製することができる。より味の良い調製物を提供するために、組成物は、甘味料、香味料、着色料、香料、および/または保存料を任意で含むことができる。経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。そのような固体剤形中では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容される担体または賦形剤と混合されている。これらは、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、デンプン、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはカオリンなどの不活性希釈剤を含み得る。結合剤、緩衝剤、および/または潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)も使用できる。さらに、錠剤および丸剤は、腸溶コーティング付きで調製することができる。
【0060】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、および軟ゼラチンカプセル剤を含む。これらの形態は、水または油媒体などの、当技術分野で通常使用される不活性希釈剤を含む。組成物は、そのような不活性希釈剤以外に、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤などの補助剤を含んでいてもよい。
【0061】
非経口投与用製剤は、滅菌の水溶液剤もしくは非水溶液剤、懸濁液剤、または乳剤を含む。好適なビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、水素化ナファレン(naphalene)、および注射用の有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。そのような製剤は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含んでいてもよい。生体適合性で生分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを、化合物の放出を制御するために使用できる。本発明のペプチド薬のための他の潜在的に有用な非経口送達系は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入系、およびリポソームを含む。
【0062】
液体製剤は、例えば細菌を保持するフィルターを通じた濾過、組成物に滅菌剤を組み入れること、または組成物に対する照射もしくは加熱により滅菌することができる。あるいは、使用直前に滅菌水または何らかの他の滅菌注射用媒体に溶解可能な、滅菌固体組成物の形態でそれらを製造してもよい。
【0063】
直腸内投与または膣内投与用の組成物は、活性物質に加えて、コカバター(coca butter)または坐薬用ワックスなどの賦形剤を含み得る、坐薬であることが好ましい。鼻腔内投与または舌下投与用の組成物も、当技術分野で公知の標準的賦形剤を用いて調製される。吸入用製剤は、賦形剤、例えばラクトースを含み得るか、あるいは、例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココレート、およびデオキシコレートを含む水溶液であり得るか、あるいは、点鼻液もしくは点鼻スプレーの形態での、またはゲルとしての投与用の油性溶液であり得る。
【0064】
本発明の組成物中の有効成分の量は異なり得る。正確な個々の用量は、投与される化合物、投与時間、投与経路、製剤の性質、排泄速度、対象の状態の性質、ならびに、患者の年齢、体重、健康、および性別を含む様々な要因に応じて多少は調整が可能であることを当業者は理解する。さらに、本発明の化合物が標的とする状態の重症度も用量レベルに影響を与えると考えられる。一般に、0.1μg/kg体重〜100mg/kg体重の間の用量レベルが、単一用量として、または複数用量に分割して毎日投与される。好ましくは、一般的な用量範囲は、1日当たり250μg/kg体重〜5.0mg/kg体重の間である。様々な投与経路の異なる効率に鑑み、必要な用量が大きく異なることが予想される。例えば、経口投与は、静脈内注射による投与に比べて高い用量レベルが一般に必要になると予想されるであろう。これらの用量レベルの変動は、当技術分野で周知の、最適化用の標準の経験的ルーチンを用いて調整することができる。一般に、正確な治療有効量は、上記で同定した要因を考慮して主治医が決定すると考えられる。
【0065】
本発明の化合物は、下記の実施例で例示される単純な直接的方法を用いて高収率で調製することができる。本発明をその好ましい具体的な態様と組み合わせて説明してきたが、前述の説明、ならびに後続の実施例が、本発明の範囲を例示することを意図しており、それを制限することを意図しているわけではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の他の局面、利点、および改変は、本発明が関係する技術分野の当業者には明らかであろう。
【0066】
下記の実施例は、本発明の化合物をどのようにして作製および使用するかが当業者に分かるように提供される。実施例は、本発明者らが彼らの発明と見なしているものの範囲を限定することを意図するものではない。すべての出発材料および試薬は市販されている。
【0067】
実施例
実施例1:

出発材料(1)(460mg、1.8mmol)を、50ml THFに溶解させ、Et3N(0.5ml)を加えた後、MsCl(0.28ml、3.6mmol)を滴下した。反応液を室温で20分間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、出発材料がほぼ完全に反応したことを示した。ワークアップ後、粗反応生成物をカラムクロマトグラフ(EtOAc)で精製して、所望のメシル化生成物(2)500mgを得た(収率は84%であった)。


【0068】
Kryptofix 222(270mg、0.72mmol)をアセトニトリル(CH3CN)5mlに溶解させた。この溶液に、無水粉末フッ化カリウム(99.99+%、33mg、0.57mmol)を加えた後、メシレート(2)(80mg、0.24mmol)を加えた。得られた混合物を油浴(95〜100℃)中で2時間還流させた。ワークアップ後、粗反応生成物を分取TLCで精製してフッ化物(3, X)31mgを得た。全収率は50%であった。化合物(3, X)に関して、

である。
【0069】
実施例2:

出発材料(4)(4g、14.85mmol)を200ml THFに溶解させた。この溶液にEt3N(5ml)を加えた後、MsCl(3ml、38.8mmol)を滴下した。反応液を室温で30分間撹拌した。TLCは、出発材料がほぼすべて消費されたことを示した。ワークアップ後、粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフ(EtOAc)で精製して、ジ-メシル化生成物(5)3.1gを得た。収率は49.1%である。


【0070】
Kryptofix 222(分子量376.5、42mg、0.112mmol)をアセトニトリル(CH3CN)2mlに溶解させた。この溶液に、無水フッ化カリウム(99.99+%、22mg、0.379mmol)を加えた後、ジ-メシレート(5)(28mg、0.0658mmol)を加えた。ジ-メシレート(5)がすべて溶解した後、混合物を30分間還流させた。ワークアップ後、粗反応混合物を分取TLCで精製してモノ-フッ素交換化合物(6)20mg(収率87%)を得た。化合物(6)に関して、

である。
【0071】
実施例3:

ピモニダゾール(3.7g、14.5mmol)、無水p-トルエンスルホン酸(5.7g、17.5mmol)、およびDMAP(1.78g、14.5mmol)を、無水CH2Cl2 100mlに、氷水浴中0℃で加えた。30分間撹拌後、反応液を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗反応生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc-ヘキサン=1:1)で精製して、所望のトシレート(7, III)4.1g(収率70%)を得た。化合物(7, III)に関して、

である。
【0072】
Kryptofix 222(分子量376.5、824mg、2.19mmol)をアセトニトリル(CH3CN)6mlに溶解させた。この溶液に、無水フッ化カリウム(99.99+%、128mg、2.19mmol)を加えた後、トシレート(7, III)(300mg、0.73mmol)を加えた。トシレートが完全に溶解した後、反応混合物を油浴中95℃で2時間還流させた。ワークアップ後、粗反応生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc-ヘキサン=1:1)で精製して、目的のフッ素化生成物(8, VI)600mg(収率32%)を副生成物(9, VII)550mg(収率29.4%)と共に得た。
【0073】
化合物(8, VI)に関して、

である。
【0074】
化合物(9, VII)に関して、

である。
【0075】
実施例4:1-(2-ヒドロキシ-3-(N'-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルピペラジノ)-2-ニトロイミダゾール(XVI)の調製
アセトン中2-ニトロイミダゾール(1モル当量)を、エピクロロヒドリン(1.1モル当量)および炭酸カリウム(0.001モル当量)と混合した。混合物を終夜還流させ、減圧乾燥させて1-(2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル)-2-ニトロイミダゾールを得た。1-(2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル)-2-ニトロイミダゾールを酢酸エチル中に取り込み、同量の10%水酸化ナトリウム水溶液と、激しく撹拌しながら室温で1時間混合した。酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾固させて1-(2,3-エポキシプロピル)-2-ニトロイミダゾールを得た。アセトンに溶解した1-(2,3-エポキシプロピル)-2-ニトロイミダゾール(1モル当量)を、N'-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルピペラジン(1.1モル当量)と混合し、溶液を終夜還流させた。反応液を減圧乾燥させて1-(2-ヒドロキシ-3-(N'-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルピペラジノ)-2-ニトロイミダゾール(XVI)を得て、これをエタノールから再結晶した。化学中間体のN'-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルピペラジンは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルブロミド(1.0モル当量)およびピペラジン(1.1モル当量)をエタノール中で終夜加熱還流させて調製した。化学中間体の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルブロミドは、市販の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(1モル当量)と三臭化リン(0.33モル当量)とをエチルエーテル中、室温で終夜反応させることで調製した。
【0076】
実施例5:
本発明の弱塩基性2-ニトロイミダゾール低酸素症用化合物は、CCI-103Fなどの弱塩基性部分を欠く2-ニトロイミダゾールよりも高感度の、高pHでの細胞中の低酸素症の検出物質である。短期の無酸素条件下でのチャイニーズハムスターV79-4肺線維芽細胞中での、弱塩基性ピモニダゾールのpH依存性結合を、CCI-103Fのそれと比較した。使用したpH範囲(6.4〜7.4)は、ヒト腫瘍中で測定される細胞外pHの約90%を包含する。4.5g/Lグルコースを含むが炭酸塩を含まないイーグル最小基本培地(MEM)を、温室中で37℃に暖め、5%CO2+95%窒素流の下で炭酸水素ナトリウムを加えることでpH 6.4、6.8、および7.4に調整した。ウシ胎児血清(FBS)を加えて、10%FBSを含むイーグルpH調整MEMを生成した。付着したV79-4細胞をEDTA-トリプシンで収集し、pH調整MEM 25mL中で3×105細胞/mLの濃度に希釈した。最終濃度200uMを生成する量のピモニダゾールHClまたはCCI-103Fの原液をこの溶液に加えた。次に、細胞溶液を、5%CO2+95%窒素の雰囲気下で撹拌しながら3時間インキュベートした。細胞可溶化物をELISAで分析し、データをタンパク質含有量に標準化した。両マーカーの試験を三通り行った。
【0077】
ピモニダゾールの結合強度は、全試験pHレベルでCCI-103Fのそれを超えており、その差は最高試験pHで最大であった(表1)。弱塩基性2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーは、全pHにおいて優れた試薬であるが、細胞が比較的高いpHにある組織の微小領域中の低酸素症の検出について特に有利であることを、これらのデータは示している。弱塩基性2-ニトロイミダゾールの細胞内濃度(Ci)が、pHの増加に従って、細胞外濃度(Ce)に対して急激に増加する一方で、弱塩基性部分を欠く2-ニトロイミダゾールではそのような作用が見られないという事実の直接的な帰結である。腫瘍中の領域は、変動性低酸素症を経験する細胞、および比較的高pHの微小環境を含むため、高pHで細胞に対する増加した結合を示す本発明の化合物は、変動性低酸素症の検出に優れている。
【0078】
(表1)無酸素V79細胞に対するピモニダゾールおよびCCI-103Fの結合のpH依存性

*Wardman, Advanced Topics on Radiosensitizers of Hypoxic Cells (Eds. A. Breccia, C. Rimondi and G.E. Adams), Plenum Press, New York, pp. 49-75, 1982に準拠。
【0079】
実施例6:
ヒトに発生するものと類似した大きな自発性イヌ腫瘍中での測定の際に、本発明の弱塩基性2-ニトロイミダゾール低酸素症用化合物は、弱塩基性部分を欠く化合物よりも、変動性低酸素症の検出において効率的である。弱塩基性低酸素症マーカーであるピモニダゾールの塩酸塩を、12匹のイヌに0.5gm/m2体表面積の用量で与えた。7時間後、全12匹のイヌが、弱塩基性部分を欠くマーカーであるCCI-103Fを受け取った。2〜4つの広範囲に分離した生検サンプルを、各腫瘍中の生存領域から採取し、直ちに冷10%中性緩衝ホルマリンに入れた。試料を4℃で18〜24時間固定した後、冷70%エタノールに移し、パラフィンブロックにマウントするまで4℃で保存した。ホルマリン固定し、パラフィンに埋め込んだ生検サンプルの切片の、ピモニダゾールおよびCCI-103Fの結合に関する免疫染色を、一次ウサギポリクローナル抗血清をピモニダゾール付加物およびCCI-103F付加物に対してそれぞれ用いることで行った。免疫染色切片を、Axioskop 50顕微鏡およびFluar対物レンズにより400倍で徹底的にスキャンし、ピモニダゾール付加物およびCCI-103F付加物の免疫染色パーセントを測定した。
【0080】
平均して、ピモニダゾールの結合の免疫染色が、CCI-103Fのそれよりも広範にわたっていた(対応ありt検定(p=0.032)による係数1.25)が、重要なことに、腫瘍毎に係数は1.0〜1.65の範囲であった。さらに、単一腫瘍内で、ピモニダゾールの結合程度は、いくつかの領域ではCCI-103Fのそれと同様であった(図1Cおよび1D)が、血管により近い、免疫染色がより明るい注目すべき成分を有する他の領域ではそれを大きく超えていた(図1Aおよび1B)。腫瘍巣の中心にある慢性低酸素症の部位内の細胞では、弱塩基性部分を有する2-ニトロイミダゾール化合物と弱塩基性部分を有さないそれとの間で、結合にほとんど差がないことが予想されるが、これは、これらの領域のpHが低く不変であるためである(Helmlinger et al., Nature, Medicine 3: 177-182, 1997;図1Cと1Dとを比較されたい)。慢性低酸素症とは対照的に、血管近傍の変動性低酸素症または急性低酸素症は、pHが急激に上昇する領域内で生じる(Helmlinger et al., Nature, Medicine 3: 177-182, 1997)。本発明の弱塩基性化合物は、弱塩基性部分を欠く低酸素症マーカーが示す結合に対して増加した、これらの領域内の細胞に対する結合を示す(図1Aと1Bとを比較されたい)。一般に、弱塩基性部分を欠く低酸素症マーカーは、腫瘍を含む領域内に存在する急性、変動性の低酸素症を経験している領域内の細胞に対する減少した結合を示し、それにより腫瘍の検出がより困難になると考えられる。対照的に、急性、変動性の低酸素状態は、本発明の弱塩基性低酸素症用化合物の結合に最適であり、したがって、該化合物は、弱塩基性部分を欠く2-ニトロイミダゾール低酸素症マーカーよりも急性、変動性の低酸素症に対する応答性が高いと考えられる。
【0081】
[18F]または[19F]で標識された弱塩基性2-ニトロイミダゾール化合物が、弱塩基性部分を欠く先行技術の低酸素症マーカーよりも、哺乳動物の組織中の低酸素症を非侵襲的に検出するために有効であることを、これらのデータは示している。
【0082】
他の態様
本明細書中で言及されているすべての刊行物および特許出願は、それぞれの独立した刊行物または特許出願が参照により組み入れられるよう具体的かつ個別に指示される場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0083】
本発明を、その具体的な態様と結びつけて説明してきたが、それはさらなる改変が可能であり、かつ、本出願は、本発明の原理に一般的に従い、かつ、本発明が関係する技術分野内で公知のまたは慣習的な慣行内であり、上記で開示された本質的な特徴に当てはまり得る本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、または適応を、包含することを意図していると理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの構造を有する化合物:

式中、
R1は、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート(tryflate)、水素、またはヒドロキシルであり;かつ
R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;
ここで、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む。
【請求項2】
R2およびR3が連結して5員、6員、または7員の複素環を形成している、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2およびR3が連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、かつ該複素環が2個、3個、または4個の窒素原子を含み;かつ該複素環の該窒素原子または炭素原子のうち少なくとも1個が低級アルキルまたはヒドロキシアルキルと共有結合している、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がトシレート、メシレート、またはトリフレートであり、かつR2およびR3が連結して5員、6員、または7員の複素環を形成している、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1がヒドロキシルであり、かつR2およびR3が連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、該複素環の少なくとも1個の炭素または窒素原子がハロアルキルで置換されている、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
ハロアルキルが、[19F]または[18F]を含むフルオロアルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
複素環が2個、3個、または4個の窒素原子を含む、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
R1がトシレート、メシレート、またはトリフレートであり、かつR2およびR3が、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルからなる群より独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R1、R2、R3、または複素環が、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、または非金属を含むように置換されている低級アルキルを含む、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
ハロゲンがフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、またはアスタチン(At)である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
陽電子放出放射性核種が[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、または[99mTc]である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
陽電子放出放射性核種が、[18F]、[79Br]、または[124I]である、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
式III〜VIまたはVIII〜XVIIIの構造を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
(a)下記式Iの構造を有する化合物を提供する段階であって:

式中、
R1は、トシレート、メシレート、トリフレートであり;かつ
R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員、または7員の複素環を形成する、段階;ならびに
(b)該化合物と、遊離形態または塩の形態の陽電子放出放射性核種とを、陽電子放出放射性核種含有化合物を形成させる条件下で反応させる段階
を含む、陽電子放出放射性核種含有化合物を産生する方法。
【請求項15】
R2およびR3が、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルからなる群より独立して選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
陽電子放出放射性核種が[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、または[99mTc]である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
陽電子放出放射性核種が[18F]である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
陽電子放出放射性核種が[79Br]である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
陽電子放出放射性核種が[124I]である、請求項16記載の方法。
【請求項20】
R2およびR3が連結して5員、6員、または7員の複素環を形成し、かつ該複素環が2個、3個、または4個の窒素原子を含み;かつ該複素環の該窒素原子または炭素原子のうち少なくとも1個がハロアルキルと共有結合している、請求項14記載の化合物。
【請求項21】
ハロアルキルが、[19F]または[18F]を含むフルオロアルキルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
哺乳動物の正常組織、患部正常組織(diseased normal tissue)、または悪性組織中の低酸素細胞を検出するための方法であって、
陽電子放出放射性核種、または陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキルを含む、請求項9記載の化合物を該哺乳動物に投与する段階、および
非侵襲的な陽電子放射断層撮影(PET)により該正常組織、患部正常組織、または悪性組織中に保持されている該化合物のいずれかを検出する段階
を含む、方法。
【請求項23】
陽電子放出放射性核種が[11C]、[13N]、[15O]、[18F]、[52Fe]、[55Co]、[61Cu]、[62Cu]、[64Cu]、[62Zn]、[63Zn]、[70As]、[71As]、[74As]、[76Br]、[79Br]、[82Rb]、[86Y]、[89Zr]、[110In]、[120I]、[124I]、[122Xe]、[94mTc]、[94Tc]、または[99mTc]である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
陽電子放出放射性核種が[18F]である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物の正常組織、患部正常組織、または悪性組織中の低酸素細胞を検出するための方法であって、
(a)下記式Iの構造を有する化合物を該哺乳動物に投与する段階であって:

式中、
R1は、ハロゲン、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、非金属、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート、水素、またはヒドロキシルであり;かつ
R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;
ここで、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む、段階;ならびに
(b)非侵襲的な磁気共鳴分光法(MRS)または磁気共鳴画像法(MRI)により正常組織、患部正常組織、または悪性組織中に保持されている該化合物のいずれかを検出する段階
を含む、方法。
【請求項26】
ハロゲンが[19F]である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
非金属が[31P]または[13C]である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
水素が重水素である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
腫瘍細胞中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドと請求項1記載の化合物との反応後に得られる付加物に特異的に結合する抗体に、腫瘍組織を接触させる段階、および
該腫瘍組織に対する該抗体の結合を検出する段階を含む、
陽電子放射断層撮影(PET)、磁気共鳴分光法(MRS)、または磁気共鳴画像法(MRI)による組織低酸素症の解析を実証するための方法であって、
正常組織に対する該抗体の結合に比して、腫瘍組織に対する該抗体の結合が増加していることにより、PET、MRS、およびMRIを用いる組織低酸素症の決定が実証される、方法。
【請求項30】
抗体がポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
腫瘍組織を、抗体を含む抗血清と接触させる、請求項29記載の方法。
【請求項32】
腫瘍組織に対する抗体の結合が、免疫蛍光法、免疫ペルオキシダーゼ法、サイトメトリー法、フローサイトメトリー法、または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて検出される、請求項29記載の方法。
【請求項33】
組織低酸素症の解析が[18F]PET、[19F]MRS、または[19F]MRIを含む、請求項29記載の方法。
【請求項34】
腫瘍細胞中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドと、請求項1記載の化合物との反応後に得られる付加物で哺乳動物を免疫する段階、および
該哺乳動物から抗血清または抗体を回収する段階
を含む、抗体を産生するための方法。
【請求項35】
哺乳動物がウサギ、サル、またはヤギである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項1記載の化合物を含む容器、
該化合物と、腫瘍細胞中に存在するタンパク質、ポリペプチド、多糖、またはポリヌクレオチドとの反応により得られる付加物に特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、あるいは該モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を含むモノクローナル抗血清またはポリクローナル抗血清を含む容器、および
組織中の低酸素細胞を検出するためにキットを使用するための説明書
を含む、キット。
【請求項37】
説明書が、免疫蛍光法、免疫ペルオキシダーゼ法、サイトメトリー法、フローサイトメトリー法、または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により付加物を検出するためにキットを使用するための方法を提供する、請求項36記載のキット。
【請求項38】
下記式IIの構造を有する化合物:

式中、
R1は、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、トリフレート、水素、またはヒドロキシルであり;かつ
R2およびR3は、低級アルキルまたはヒドロキシアルキルより独立して選択されるか、あるいは、連結して、少なくとも1個の窒素原子を含む5員、6員、または7員の複素環を形成し;
ここで、R1が水素またはヒドロキシルである場合、R2、R3、または該複素環のうち少なくとも1つは、ハロゲン、陽電子放出放射性核種、非金属、ハロゲンを含むように置換されている低級アルキル、陽電子放出放射性核種を含むように置換されている低級アルキル、非金属を含むように置換されている低級アルキル、トシレート、メシレート、またはトリフレートを含む。
【請求項39】
式VIIの構造を有する、請求項38記載の化合物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−505864(P2010−505864A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531545(P2009−531545)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/080062
【国際公開番号】WO2008/063749
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509095662)ナチュラル ファーマシア インターナショナル インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】