説明

経粘膜送達デバイスとともに使用のための溶解可能な裏打ち層

粘膜表面に対する限定領域内に薬剤又は有効物質を確実に維持することを意図された水溶解可能な薬剤送達デバイス。該薬剤送達デバイスは水溶解可能な裏打ち層、裏打ち層の少なくとも一部に隣接する接着層並びに、裏打ち層及び接着層により囲まれている活性層を含んでなる。裏打ち層は場合により水溶解可能な親水性領域及び、裏打ち層中の水、薬剤又は他の有効物質の移動を抑制する、親水性領域内に少なくとも一部は封入された非親水性領域、を含むことができる。接着層は水により活性化されるか又は、外されると接着性物質を露出する剥離可能な被覆層をもつことができる。活性層は単独で又は(i)粘膜をとおって拡散する薬剤又は他の有効物質の能力を増加するエンハンサー及び/又は(ii)活性層を一緒に保持するためのアルギン酸塩のようなマトリックス物質と組み合わせて、任意の薬剤又は他の有効物質を含んでなることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘膜組織をとおって薬剤又は有効物質を送達するために使用される経粘膜送達デバイスの分野に関する。本発明はよりとりわけ、粘膜層に対して薬剤又は他の有効物質を隔離するために使用することができるが、水分(例えば、唾液)にさらされるとやがては溶解又は崩壊するであろう、溶解可能な経粘膜送達デバイスに関与する。
【背景技術】
【0002】
口腔粘膜薬剤送達は全身薬剤送達の代替方法である。それは注射可能送達及び経腸送達双方に優る幾つかの利点を提供する。口腔粘膜を介して吸収される薬剤は低pHの胃液及びプロテアーゼ並びに肝臓内の初回通過代謝(first−pass metabolism)を回避する。作用開始は経口投与よりも早い。注射と異なり、口腔経粘膜送達は非侵襲的で、痛くない。更に、患者は医学専門家からの補助なしに、医薬を投与することができる。
【0003】
ヒト及び他の生物の口腔粘膜をとおして薬剤及び他の有効物質を送達することができる新規投与形態を開発することには著しい興味が示されている。概して、口腔経粘膜投与形態は3種のカテゴリー:(1)固形形態、(2)ガム及び(3)パッチ剤、の1つに分類することができる。一般的な固形投与形態の例にはトローチ剤(lozenges)、棒付きトローチ剤(例えば、ローリーポップ)、口内錠及び舌下錠が含まれる。固形マトリックスは口腔内で溶解又は崩壊する時に薬剤を放出し、それが口腔粘膜により吸収される。この種類の投与形態は、調製物を溶解又は崩壊するために、唾液が投与形態にそして投与形態から自由に流動可能なので、「開放システム」と呼ばれる。薬剤濃度は概括的に、患者がその単位物質を吸う速度により制御される、マトリックスが溶解又は崩壊する速度により制御される。
【0004】
ガムはトローチ剤及び錠剤のように、開放システムである。この投与形態を噛むと、薬剤はガムから口腔内に放出され、そこで、口腔粘膜により吸収されることができる。ガムからの薬剤放出は送達デバイスの構造並びにガムが噛まれる速度により制御される。概して、ガムの投与形態はトローチ剤又は錠剤より長く持続する。
【0005】
「口内パッチ剤」の用語は典型的には、口腔粘膜に接着して、一定期間、薬剤を送達する柔軟なフィルムを表わす。口内パッチ剤の投与形態は更に3種又は3副カテゴリー:(1)溶解可能なマトリックスのパッチ剤、(2)非溶解可能な裏地を有するパッチ剤及び(3)溶解可能な裏地をもつパッチ剤、に分類することができる。口内パッチ剤技術分野で知られた例としては特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26及び27を参照されたい(特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26及び27参照)。
【0006】
溶解可能なマトリックスのパッチ剤はガム、トローチ剤及び錠剤の投与形態と同様に作用する。溶解しているマトリックスは口腔粘膜による吸収のために口腔内に薬剤を放出する。それらは通常、トローチ剤又は錠剤より長く持続する。ガムと異なり、溶解可能マトリックスのパッチ剤は積極的ではなく、むしろ受動的に薬剤を放出する。これらのシステムすべての1つの限界は薬剤濃度が十分には制御されないことである。
【0007】
薬剤送達の期間中の薬剤濃度を制御するために、裏打ち材を伴う口内パッチ剤が開発さ
れた。薬剤濃度を制御することは、透過エンハンサーの補助を必要とする薬剤を粘膜経由で送達する時に特に重要である。透過エンハンサーは薬剤送達を促進することができるように、口腔粘膜の保全性を一時的に妥協させることができる化学薬品である。エンハンサーの濃度は注意して制御されることが必要である。濃度が高すぎるとエンハンサーは粘膜刺激又は損傷をもたらす可能性がある。低すぎると、それは薬品送達の所望される促進を与えないかも知れない。薬剤及びエンハンサー濃度双方の制御を維持する1方法は口内パッチ剤の有効調製物が周囲の環境から完全に隔離されるような裏打ち材を含むことである。
【0008】
口腔パッチ投与形態には2種の裏地システム:溶解可能及び非溶解可能形態裏打ちシステム、が存在する。非溶解可能裏打ち材は通常柔軟である。それらは長時間、例えば、10〜15時間まで口腔内に滞留することが意図される。その欠点は薬剤投与後、パッチ剤を患者により口腔粘膜から取り外さなければならないことである。
【0009】
溶解可能裏打ち材を伴うパッチ剤は短時間、口腔内に滞留することが意図されている。制御された方法で有効度の高い薬剤送達を達成することができるように、裏打ち材はパッチ剤内部の局所的環境を制御することが意図されている。送達デバイスの全体又は一部が消失するために、裏打ち材がやがては口腔内で(例えば、唾液にさらされると)溶解又は崩壊することが意図される。これは処置完了後にパッチ剤を取り外す必要を回避する。
【0010】
溶解可能な又は崩壊可能な裏地をもつパッチ剤を提供する課題の1つは、やがてはまだ溶解又は崩壊可能であるが、適当なバリヤーを提供することができる物質を提供する必要であった。特に口腔内の薬剤又は他の有効物質の経粘膜送達に固有なもう1つの課題は、粘膜層に対して薬剤又は他の有効物質を隔離し、維持する必要である。さもないと、有効物質が口腔内に拡散し、そこで気づかずに又は故意に飲み込むか又は口から吐き出すことができる。どちらの場合も、薬剤又は他の有効物質は意図されるように粘膜を通過することはできないであろう。従って課題は水分の存在下でやがては溶解することもできるが、粘膜表面に対して薬剤又は他の有効物質を隔離、維持、双方が可能な経粘膜送達デバイスを提供することである。
【特許文献1】米国特許第3,598,122号明細書
【特許文献2】米国特許第3,972,995号明細書
【特許文献3】米国特許第4,517,173号明細書
【特許文献4】米国特許第4,573,996号明細書
【特許文献5】米国特許第4,572,832号明細書
【特許文献6】米国特許第4,704,119号明細書
【特許文献7】米国特許第4,713,243号明細書
【特許文献8】米国特許第4,715,369号明細書
【特許文献9】米国特許第4,740,365号明細書
【特許文献10】米国特許第4,855,142号明細書
【特許文献11】米国特許第4,876,092号明細書
【特許文献12】米国特許第4,900,552号明細書
【特許文献13】米国特許第4,900,554号明細書
【特許文献14】米国特許第5,137,729号明細書
【特許文献15】米国特許第5,298,256号明細書
【特許文献16】米国特許第5,346,701号明細書
【特許文献17】米国特許第5,516,523号明細書
【特許文献18】米国特許第5,578,315号明細書
【特許文献19】米国特許第5,599,554号明細書
【特許文献20】米国特許第5,639,469号明細書
【特許文献21】米国特許第5,766,620号明細書
【特許文献22】米国特許第5,800,832号明細書
【特許文献23】米国特許第5,863,555号明細書
【特許文献24】米国特許第5,900,247号明細書
【特許文献25】米国特許第6,159,498号明細書
【特許文献26】米国特許第6,210,699号明細書
【特許文献27】米国特許第6,319,510号明細書
【発明の開示】
【0011】
本発明は口腔粘膜をとおって薬剤又は他の有効物質を粘膜を介して送達するために使用される水溶解可能な又は崩壊可能な送達デバイスを含んでなる。このようなデバイスは、規定の期間中、粘膜表面に対して、薬剤又は他の有効物質を隔離し、維持することができるが、水分にさらされると(例えば、患者の口腔内で唾液にさらされると)溶解又は崩壊するであろう。
【0012】
本発明に従う経粘膜送達デバイスには、薬剤又は他の有効物質が粘膜をとおって拡散するために、規定の期間中、粘膜表面に対して薬剤又は他の有効物質を隔離し、維持するために共働する少なくとも3種の別個のそして特定可能な層が含まれる。送達デバイスは、所望の処置の完了後に、粘膜表面からそれを物理的に取り外す必要を回避するために、薬剤又は他の有効物質のこのような拡散中又はその後のいつかの時点で溶解又は崩壊することができる。
【0013】
本発明に従う送達デバイス内の3種の主要な層又は領域には(1)溶解可能な裏打ち材層、(2)裏打ち層の少なくとも一部に隣接する接着層及び(3)裏打ち層又は接着層の少なくとも一方に隣接する活性層、が含まれる。裏打ち層は活性層の外周を超えて延伸するようなサイズ及び形態になっている。このように、裏打ち層は活性層を囲む。接着層も同様に、粘膜表面に対して限られて囲まれた領域内に活性層を有効に隔離するために、使用時に、粘膜表面に裏打ち層を確実に接着するために活性層を囲む。このように、裏打ち層及び接着層は、それがそれをとおって拡散することを意図される粘膜の表面に対して制限された領域内の活性層内に薬剤又は他の有効物質を維持するように共働する。
【0014】
好ましい態様において、裏打ち層は、粘膜をとおって拡散するための活性層内の薬剤又は他の有効物質に要求される規定期間中そのままで留まるようなサイズ及び処方をもつ。このように、裏打ち層は、活性層と、他の場合には粘膜表面から(例えば、口腔の唾液中に)薬剤又は他の有効物質を引き離す可能性がある周囲の流体との間に物理的及び/又は化学的バリヤーを提供することができる。裏打ち層が水分にさらされるとやがて溶解又は崩壊可能であるためには、裏打ち層は概括的に水分に感受性の1又は複数の親水性重合体を含んでなるであろう。
【0015】
粘膜表面からの薬剤又は他の有効物質の拡散を防止する裏打ち層の能力は、活性層の後方及びその周辺付近の双方にバリヤーを提供するその能力と同様であるのみなので、接着層は相乗的に裏打ち層と共同して作用して、使用時に活性層を超えて延伸し、それを囲むバリヤーを提供する。例えば、ほとんど存在はしないが、粘膜表面から引き離すことができる溶解可能な裏打ち層は、それをとおって粘液が流入し、活性層にアクセスをもち、そしてそれをとおって薬剤又は他の有効物質が絞り出され、漏洩され又は拡散することができる経路を提供することができ、それにより意図されるように粘膜表面に対して有効物質を隔離し、維持する裏打ち層の能力を損なう可能性がある。接着層は粘膜表面からの裏打ち層の望ましくない剥離を防止する。
【0016】
水分にさらされると裏打ち層が滑り易く、そして活性層を囲む接着領域が滞留することは好ましいことであろう。そうでないと、裏打ち層に対して舌又は他の相対する粘膜表面
を押し付け、次に粘膜表面から引き離すことによるように、送達デバイスが気づかずに粘膜表面から取り外される可能性があると考えられる。
【0017】
使用中の送達デバイスのバリヤー性を増加するために、場合により別個の親水性及び非親水性領域を含んでなる裏打ち層を使用することは本発明の範囲内にある。親水性及び非親水性領域は、非親水性領域を含まない裏打ち層に比較して、水、薬剤又は他の有効物質のそこ中の拡散を更に抑制しながら、規定期間中、水分中で良好な溶解性又は崩壊性を提供するように共働する。
【0018】
本発明のこれらの及び他の特徴物は以下の説明及び付記の請求項からより完全に明白になるであろうし、又は以下に示される本発明の実施により確認することができる。
【0019】
本発明の前記の及び他の利点及び特徴物を更に明白にするために、本発明のより具体的な説明が付記の図面に具体的に示されるそれらの特定の態様に関連して提供されるであろう。これらの図面は本発明のごく典型的な態様を表わし、従ってその範囲を限定することは考えることはできないことが理解される。本発明は付記の図面の使用により更なる特異性及び詳細を伴って記載、説明されるであろう。
【0020】
本発明はヒト又は他の生存動物の口腔粘膜をとおって薬剤又は他の有効物質を粘膜を介して送達するために使用される水溶解可能な又は崩壊可能な送達デバイスに関する。本発明の経粘膜送達デバイスは規定期間中、粘膜表面に対して薬剤又は他の有効物質を隔離し、維持するために適するが、水分にさらされると(例えば、患者の口腔内の唾液にさらされると)溶解又は崩壊するであろう。
【0021】
経粘膜送達デバイスは粘膜表面に対して薬剤又は有効物質を隔離し、維持するために共働する3種の主要な層を含んでなる。それらは:(1)溶解可能な裏打ち層、(2)裏打ち層の少なくとも一部に隣接し、それにより囲まれた接着層及び(3)裏打ち層又は接着層の少なくとも一方に隣接した活性層、を含む。
組成物
本発明に従う本発明の経粘膜送達デバイスは前記の3種の主要層を含んでなる送達デバイスをもたらすために一緒に混合されるか、又は層として接着されることができる様々な異なる成分を含むことができる。
【0022】
明細書及び特許請求の範囲中で使用される「溶解する」及び「溶解可能な」の用語には必ずしもそれらに限定はされないがそれぞれ、「溶解する」又は「崩壊する」及び「溶解可能な」又は「崩壊可能な」の用語により意味されるものが含まれる。同様に「水溶解可能」の用語にはそれらに限定はされないが、「水崩壊可能」の用語により意味されるものが含まれる。例えば、本明細書で使用される溶解可能層は水分にさらされると成分に分離しそして場合により溶液に変わるか、又は水分にさらされると直接溶液に変わることができる。
溶解可能な裏打ち層
溶解可能な裏打ち層は概括的に唾液又は口腔の水分中で溶解可能である特性を有する1又は複数の親水性重合体を含んでなる。本発明に従って使用することができる親水性重合体の例にはそれらに限定はされないが、ゼラチン、カゼイン、他のタンパク質をベースとする物質、ペクチン、アガロース(寒天)、キトサン、カラゲーナン、デンプン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋重合体(例えば、クロスカルメルロースナトリウム)、微細結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースエーテル、セルロー
スアセテート、セルロースアセテートフタレート、他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋ポビドン、他のビニル重合体及び共重合体、グアーガム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエーテル、アルコキシ重合体、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、他の天然のヒドロゲル及び天然産物から誘導されるヒドロゲルが含まれる。本発明に従って使用することができる親水性重合体の好ましい例にはそれらに限定はされないが、ゼラチン及びアルギン酸ナトリウムが含まれる。
【0023】
親水性重合体の外に、裏打ち層をより柔軟性にする溶媒又は可塑化剤を使用することができる。可塑化剤の例にはそれらに限定はされないが、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、糖アルコール及びコーンシロップが含まれる。親水性領域はまた、非親水性領域が存在する場合は、それが親水性領域中でより安定であるように界面活性剤又は乳化剤を含むことができる。裏打ち層にはまた、送達デバイスがより安定で、患者のより良いコンプライアンスを促進するように、フレーバー付与剤、甘味剤、着色剤、消毒剤、保存剤、非親水性物質及び他の材料(ingredients)のようなその他の成分(components)、も含まれることができる。
【0024】
使用中の送達デバイスのバリヤー性を増加するために、場合により明確な親水性及び非親水性領域を含んでなる裏打ち層を使用することが本発明の範囲内にある。「非親水性領域」の用語は親水性領域以外のあらゆる1又は複数の領域を表わすこととする。親水性及び非親水性領域は、少なくとも1種の非親水性領域をも含まない裏打ち層に比較して、水、薬剤又は他の有効物質のそこ中の拡散を更に抑制しながら、規定期間中、水分中で良好な溶解性を提供するように共働する。
【0025】
1態様において、親水性領域は非親水性領域を実質的に又は完全に囲む又は包含する連続相を含んでなるであろう。しかし、2又はそれを超える明白な副領域、層又は成分を含んでなる非親水性領域を提供することは確実に本発明の範囲内に入る。
【0026】
親水性領域又は成分が水分(例えば、唾液)にさらされると溶解する時間は多数の因子に左右される。これらには親水性領域内の様々な成分の本質及び濃度、以下により詳細に考察される非親水性領域内の成分、並びにそれらのサイズ、全体の裏打ち層の厚さ、裏打ち層がさらされる水分の量及び裏打ち層の崩壊又は溶解を加速することができる掻き混ぜ、運動又は他の外力(例えば、舌の動き)の存在、が含まれる。
【0027】
概して、親水性領域内の親水性重合体の濃度は親水性領域の約1重量%〜100重量%の範囲内、より好ましくは、約5%〜約90%の範囲内、そしてもっとも好ましくは、親水性領域の約10重量%〜約80重量%の範囲内にあるであろう。
【0028】
親水性領域内の溶媒又は可塑化剤の濃度は親水性領域の0重量%〜80重量%の範囲内、より好ましくは、約2%〜約60%の範囲内、そしてもっとも好ましくは、親水性領域の約5重量%〜約50重量%の範囲内にあるであろう。
【0029】
親水性領域は好ましくは、全体の裏打ち層の約10容量%〜95容量%の範囲、より好ましくは、約15%〜約90%の範囲、そしてもっとも好ましくは、裏打ち層の約20容量%〜約85容量%を含んでなるであろう。
【0030】
非親水性領域は親水性領域に対して分散相又は連続相のいずれかを含んでなることができる。非親水性領域の主目的は、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、裏打ち層中の水、薬剤又は他の有効物質又は分子の移動を抑制し、又は遅らせることである。移動
の抑制又は遅延の程度は劇的である必要はないが、認め得るほどに適度でなければならない。しかし、本発明に従うより好ましい態様においては、移動の抑制又は遅延は実質的なものであろう(例えば、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、標的分子が裏打ち層中を拡散するために数倍長い時間を要するように)。
【0031】
親水性領域内に1又は複数の非親水性領域を形成するために使用することができる非親水性物質の例には、気孔の分散相(例えば、気泡)、疎水性液体の連続又は分散相、固体又は半固体の疎水性物質の連続又は分散相及び、必ずしも化学的に疎水性ではないが、容易に水溶性ではない固体粒子の連続又は分散相(例えば、固体の非水溶性粒子及び固体の疎水性粒子)が含まれる。
【0032】
分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に液滴形態で分散されることができる疎水性液体の例にはそれらに限定はされないが、油、植物油、鉱油、シリコーン及び有機重合体が含まれる。
【0033】
分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に分散されることができる固体又は半固体の非親水性物質の例には、それらに限定はされないが広範な種類の硬化植物油、ワックス、ステアリン酸マグネシウム、脂肪、脂肪酸、脂肪酸の塩、重合体、重合体ビーズ及びシリコーン粒子が含まれる。
【0034】
化学的には必ずしも疎水性ではないが容易には水溶性でなく、そして分散非親水性領域を形成するために親水性領域中に分散されることができる固体粒子の例には非水溶性無機充填剤粒子が含まれ、その例にはそれらに限定はされないがタルク、砂、シリカ、アルミナ、遷移金属酸化物(例えば、二酸化チタン)、シリケート、粉砕地質学的物質及び石灰岩が含まれる。
【0035】
容易に認めることができるように、気相、液相又は固相にあろうと、実質的にあらゆる物質が非親水性領域を含んでなることができるが、唯一の制約は、これらの物質が水、薬剤又は他の有効物質に対して、親水性領域よりも実質的に高いバリヤーを提供することである。概して、口内パッチ剤又は他の経粘膜送達デバイス中に使用を意図される裏打ち層の場合には、あらゆるGRAS(「generally regarded as safe(一般に安全と認められる」)物質を口腔内に安全に使用することができると推定される。
【0036】
分散相の代わりに、非親水性領域は、裏打ち層中の水、薬剤、有効物質又は他の分子の移動を防止し、抑制し又は遅らせるように連続シールド又はバリヤーを有効に形成する連続相を含んでなることができる。1態様において、連続的非親水性領域は親水性領域内に完全に封入されるか又は親水性領域を2種以上の副領域又は層に二分する連続相を含んでなることができる。何が複数の連続相でなく分散相を構成するかの概念は滑動する尺度(sliding scale)であるが、非親水性領域は分散相よりも複数の連続相を有効に構成するために十分に大きい複数の副領域を含んでなることができる。連続的非親水性領域又は成分は,薬剤又は他の標的分子を含む活性層又は領域と、親水性領域の少なくとも一部の間に挟まれる液体又は固体の非親水性物質の薄い層を含んでなることができる。
【0037】
非親水性領域が比較的小さい気孔、疎水性液滴又は粒子の分散相を含んでなる場合は、非親水性物質は概括的に任意の所望の非親水性物質を含んでなることができる。これは、水分にさらされると、親水性領域がやがては溶解するので、親水性領域とともに分散された疎水性液体の液滴又は粒子もまた口腔又は送達デバイスの接着の他の部位内に容易に分散するであろうためである。
【0038】
他方、非親水性領域が1又は複数の実質的なサイズの連続領域を含んでなる場合は、非親水性領域を形成するために使用される物質は、少なくとも体温において、実質的に液体であるかさもなければ容易に崩壊し、分散される物質を含んでなることが好ましいかも知れない。非親水性領域を含んでなる物質が室温で液体である場合、それは概括的に親水性領域の崩壊時に容易に分散するであろう。室温で固体又は半固体であることができるが親水性領域の崩壊時に、より容易に分散性になるように、体温に上昇させると、十分に軟化する物質を選択することもまた、本発明の範囲内にある。
【0039】
非親水性領域は好ましくは、全裏打ち層の約5容量%〜約90容量%、より好ましくは、約10%〜約85%、そしてもっとも好ましくは、裏打ち層の約15容量%〜約80容量%を含んでなるであろう。
【0040】
裏打ち層の厚さは概括的に水分(例えば、唾液)にさらされると裏打ち層が実質的に溶解されるのに要する時間と相関する。概して、乾燥後の完成製品としての裏打ち層は好ましくは、約0.1mm〜約5mmの範囲内、より好ましくは約0.2mm〜約3.5mmの範囲内、そしてもっとも好ましくは約0.3mm〜約2mmの範囲内の厚さを有するであろう。
【0041】
裏打ち層は規定の期間又は範囲にわたり唾液にさらされると(又は身体の何か他の部分の水分にさらされると)口腔内で溶解される裏打ち層を生成するように調製され、サイズをもつことができる。例えば、本発明に従う裏打ち層は、裏打ち層が約1分〜約2時間の範囲内、より好ましくは、約10分〜約1時間の一定の期間及び範囲中、唾液にさらされると、口腔内で溶解されるような調製物及び厚さを有することができる。
【0042】
更に、非親水性領域は、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、いくらかの適度な量だけ、裏打ち層をとおる水、薬剤、他の有効物質又は他の分子の移動を抑制し、又は遅らせることが必要なだけである。概して、本発明に従う裏打ち層は好ましくは、非親水性領域の不在下の裏打ち層に比較して、少なくとも約25%、より好ましくは、少なくとも約50%だけ、そしてもっとも好ましくは、少なくとも約75%だけ、水、薬剤、他の有効物質又は少なくとも1種の他の分子の透過係数を減少するであろう。
接着層
接着層は粘膜表面に接着することができる任意の種類の接着性物質を含んでなることができる。本明細書で使用される「接着性」の用語は湿った粘膜上皮に適用される天然の又は合成物質が粘膜層に接着して、通常新規の界面を生成する現象を表わす(Ther.Drug Carrier,Vol.5,Issue 1,p.21(1988)中のCRC Critical Review)。粘膜接着は概括的に物理的又は化学的過程又はそれら双方により達成することができる。この機序はJournal of Controlled Release,Vol.2,p.57(1982)及びJournal of Controlled Release,Vol.18(1992)p.249に記載されている。前記の引用はそれらの全体を本明細書に引用することにより取り込まれている。接着層は乾燥している時は実質的に非接着性又は弱い接着性であるかも知れないが、それが例えば、湿った粘膜表面に対して配置されることにより、湿らせると実質的に接着性になる。場合により、接着性はある程度の湿り気まで増加することができるが、その後過剰に湿らせると接着性は低下するかも知れない。このような場合には、裏打ち層がまだ不変であり、溶解する前に、接着層の過剰な湿りを被覆する補助をするであろう。しかし、接着層が増加した水分にさらされる時の一定の期間後には、水溶解可能な裏打ち層は溶解するであろう。
【0043】
あるいはまた、接着層は湿り気なしに接着性である接着性物質を含んでなることができ
る。この場合には、粘膜表面に対して配置するべき接着層の表面を暴露するために、使用時に剥離することができる取り外し可能なカバーを含むことが有利であるかも知れない。
【0044】
適した接着性物質又は本明細書で使用される粘膜接着性重合体の例には、それらに限定はされないが、ポリアクリル酸重合体[例えば、Carbopol(R)(B.F.Goodrich Co.)及びPemulen(R)(B.F.Goodrich Co.)]、ポリエチレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール)、デンプン、セルロースエーテル及びそれらの塩、カラゲーナン、アルギン酸ナトリウム及び、裏打ち層に関して前記に挙げられた1又は複数の親水性重合体との前記の混合物が含まれる。適した接着性物質の好ましい例には、それらに限定はされないが、Polyox(R)750(ポリエチレンオキシド、水溶性樹脂)及びCarbopol(R)971が含まれる。
【0045】
粘膜接着性重合体の外に、接着層はまた、接着層が柔軟で、そして/又は患者のコンプライアンスを促進するように可塑化剤、甘味剤、フレーバー付与剤、保存剤又は、他の添加剤を含むことができる。
【0046】
接着層は図面に関して下記により詳細に考察されるように裏打ち層の表面の一部又は全体に接着させることができる。接着層は概括的に、粘膜表面の標的領域に対して活性層内に含まれる薬剤又は他の有効物質を隔離し、維持するために、粘膜に確実に接着させ、活性層の周囲にバリヤーを形成するために活性層を超えて延伸するであろう。
【0047】
接着層の厚さは、特に裏打ち層の溶解時に、水分にさらされるとやがて溶解することもできるが、所望の接着レベルを提供するように調節することができる。概して、乾燥後の完成製品としての接着層は好ましくは、約10ミクロン〜約1mmの範囲内、より好ましくは約20ミクロン〜約0.5mmの範囲内、そしてもっとも好ましくは、約30ミクロン〜約200ミクロンの範囲内の厚さをもつであろう。
活性層
活性層は概括的に1又は複数の薬剤又は他の有効物質、活性層を一緒に保持するマトリックス物質及び場合によりエンハンサーを含んでなる。概して、活性層はあらゆる知られた又は将来開発される薬剤又は当該技術分野で知られた他の有効物質を含んでなることができる。エンハンサーは粘膜中の薬剤又は他の有効物質の拡散を促進するために使用することができる。
【0048】
本発明に従う活性層内に含まれることができる薬剤の例には、それらに限定はされないが、フェンタニル、コデイン、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、モルフィネ、他のアヘン剤、スマトリプタン、他のトリプタン、インターフェロン、ヘパリン、タンパク質、ペプチド、バルビタール剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗不安薬、鎮静剤、抗鬱剤、カンナビノイド、抗凝固剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、血圧調節剤及び抗コレステロール剤、等が含まれる。好ましいがそれらに限定はされない例には、フェンタニル、スフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンチュニル、スマトリプタン、他のトリプタン、インターフェロン、タンパク質及びペプチドが含まれる。より好ましいがそれらに限定はされない例には、スマトリプタン、他のトリプタン、インターフェロン、タンパク質、ペプチド又は、エンハンサーを必要とするあらゆる薬剤が含まれる。
【0049】
粘膜層中の薬剤又は他の有効物質、とりわけそれなしでは粘膜をとおって拡散することが困難な可能性がある親水性分子の送達を容易にするか又は促進するために使用することができるエンハンサーの例には、それらに限定はされないが、胆汁酸、それらの塩形態及び誘導体、アシルカルニチン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、ラウリル硫酸ナトリウム、飽和及び不飽和脂肪酸の塩及び他の誘導体、界面活性剤、アルコール
、テルペン、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、サポニン及びそれらの誘導体、キトサン、及びキレート形成剤(例えば、EDTA、クエン酸及びサリチル酸塩)が含まれる。胆汁酸、それらの塩形態及び誘導体の例にはそれらに限定はされないが、コール酸、デヒドロコール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、デオキシコール酸、リソコール酸、ケノコール酸、ケノデオキシコール酸、グリコケノコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロケノコール酸、タウロケノデオキシコール酸、ウルソコール酸、ウルソデオキシコール酸及びヒオデオキシコール酸、等が含まれる。
【0050】
薬剤及びエンハンサーに加えて場合により含むことができる適したマトリックス物質の例には、それらに限定はされないが、アルギン酸、その塩及び誘導体、セルロース、セルロースエーテル、それらの塩及び誘導体、デンプン、カラゲーナン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア及びポリアクリル酸が含まれる。
【0051】
活性層の厚さは概括的にエンハンサー及び/又はマトリックス物質のようなあらゆる任意の成分と一緒に、その中に含まれる薬剤又は有効物質の量と相関する。薬剤又は他の有効物質の一定量を提供するためには活性層の厚さは、長さ又は幅のディメンションに反比例するであろう。概して、乾燥後の完成製品としての活性層は好ましくは、約0.1mm〜約2mmの範囲内、より好ましくは約0.2mm〜約1.5mmの範囲内、そしてもっとも好ましくは約0.3mm〜約1.0mmの範囲内の厚さを有するであろう。
【0052】
本明細書で開示される溶解可能な裏打ち層、接着層及び/又は活性層は、場合によりフレーバー付与剤及び/又は甘味剤を含むことができる。当業者に知られたフレーバー付与剤の外の、フレーバー剤の例にはそれらに限定はされないが、ミント(例えば、ペパーミント又はスペアミント)、柑橘油(例えば、レモン、ライム、オレンジ又はグレープフルーツ)、フルーツエッセンス(例えば、ベリー、チェリー又はグレープ)、ココナツ、チョコレート、クローブ、ウインターグリーン、アニス、バニラ又はそれらの組み合わせ物が含まれる。当業者に知られた甘味剤の外の甘味剤の例にはそれらに限定はされないが、単糖類、二糖類及び多糖類のような水溶性甘味剤(例えば、キシロース、リボース、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、果糖、デキストロース、蔗糖、麦芽糖、一部加水分解したデンプン又はコーンシロップの固体)及び糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びそれらの混合物)並びに水溶性の人工甘味剤(例えばサッカリン塩、シクラメート塩、ステビア、アスパルテーム及びアセスルフェーム・カリウム)が含まれる。
代表的薬剤送達デバイス
次に、本発明の範囲内の多数の代表的経粘膜送達デバイスを示す図面を参照する。図1は水溶性−溶解可能な裏打ち層12、接着層14及び活性層16を含んでなる経粘膜送達デバイスを示す。本態様において、接着層14は裏打ち層12の全長に沿って延伸し、活性層16から裏打ち層12を分離する別個の明白な層を形成する。裏打ち層12及び接着層14は、活性層16を囲むために活性層16の外周18を超えて延伸する。このように、送達デバイス10が粘膜表面(図示されていない)に接着されると、裏打ち層12及び接着層14は共働して、活性層16の後方及び周囲にバリヤーを形成する。
【0053】
1態様において、裏打ち層12及び接着層14は、裏打ち層12及び接着層14が活性層16内の薬剤又は他の有効物質が粘膜表面(図示されていない)に対して限られた面積又は領域内に隔離され、維持されるであろう一定の期間中、有効なバリヤーを形成するように調製することができる。これは薬剤又は他の物質が、閉じられた部分又は領域から、気づかず等により、飲み込まれそして/又は吐き出される可能性がある例えば、口腔中に、望ましくなく拡散することを防止する。これは送達デバイスが口内パッチ剤である場合に、特に有用であることができる。
【0054】
図2は水溶解可能な裏打ち層22、裏打ち層22の一部に隣接する接着層24及び裏打ち層22に隣接する活性層26を含む、本発明に従う、代わりの経粘膜送達デバイス20を示す。本態様において、粘膜層26は裏打ち層22の隣に接着層24がない空間又は不連続部を占める。裏打ち層22及び接着層24は、活性層26の周囲付近にシールを提供するために活性層26の外周28を超えて延伸し、それを囲む。本態様において、接着層24及び活性層26はそれらが連続的底面を一緒に形成するように実質的に平らである。
【0055】
図3は水溶解可能な裏打ち層32、裏打ち層34に隣接する接着層34及び接着層34に隣接する活性層36を含んでなる、本発明に従う、代わりの経粘膜送達デバイス30を表わす。本態様において、裏打ち層32は接着層34を超えて延伸し、それを囲む。裏打ち層32及び接着層34は双方とも活性層の外周38を超えて延伸し、それを囲む。前記のように、接着層34は送達デバイス30が粘膜表面(図示されていない)に接着される時に活性層36の周囲38付近の有効なシールを形成する。
【0056】
図4は水溶解可能な裏打ち層42、裏打ち層42の一部に隣接した接着層又は領域44及び、裏打ち層42に隣接した活性層46を含んでなる、本発明に従う、代わりの送達デバイス40を表わす。裏打ち層42の一部は接着層の外周47を超えて延伸し、それを囲む。裏打ち層42及び接着層46双方が活性層46の外周48を超えて延伸し、それを囲む。前記のように、接着層44は送達デバイス40が粘膜表面(図示されていない)に接着される時に活性層46の外周48付近に有効なシールを形成する。
【0057】
図5は親水性領域54及び非親水性領域56を含む水溶解可能な裏打ち層52を含んでなる、本発明に従う経粘膜送達デバイス50の代わりの態様を表わす。非親水性領域は親水性領域以外の任意の1又は複数の領域を表わす。図5の非親水性領域56は分散相の1例である。
【0058】
接着層57は裏打ち層52の全長に隣接して配置されている。活性層58は接着層57の一部に隣接して配置されている。裏打ち層52及び接着層57は活性層58の外周59を超えて延伸し、それを囲む。接着層57は送達デバイス50が粘膜表面(図示されていない)に接着される時に活性層58の周囲59付近に有効なシールを形成する。
【0059】
分散非親水性領域56の目的は粘膜表面(図示されていない)をとおして薬剤又は他の有効物質を送達するために送達デバイス50の使用中に、裏打ち層52中の活性層内に含まれる水、薬剤又は他の有効物質の移動を抑制することである。分散された非親水性領域56を含むことは、薬剤又は他の有効物質が分散された非親水性領域56により形成される断続的バリヤーを回避するために移動しなけらばならない曲がりくねった又は遠回りの経路を形成することにより分子の移動を抑制することが発見された。このように、分散非親水性領域56は裏打ち層52の実際の厚さより長い、有効な拡散経路を形成する。更に、非親水性領域56は水、薬剤又は他の有効物質がそれをとおって拡散することができる表面積を縮小する。このようにして、拡散のための有効面積は裏打ち層52の実際の表面積より小さい。
【0060】
図6は非親水性層66により2層又は2副領域に二分された親水性領域64を有する水溶解可能な裏打ち層62を含んでなる、本発明に従う、代わりの経粘膜送達デバイス60を表わす。接着層67は裏打ち層62の全長に隣接して配置されている。活性層68は接着層67の一部に隣接して配置されている。裏打ち層62及び接着層67は活性層68の外周69を超えて延伸し、それを囲んでいる。このようにして、接着層67は送達デバイス60が粘膜表面(図示されていない)に接着される時に活性層68の周囲69付近に有効なシールを形成する。
【0061】
図7は図1の送達デバイスを表わすが、接着層14及び活性層16の露出面上に取り外し可能な被覆バリヤー70を伴う。取り外し可能なバリヤー70の目的は接着層14及び薬剤層16が汚染されることから被覆することである。更に、粘膜表面(図示されていない)に送達デバイス10を接着させることが所望されるまで非接着性表面を提供することも役立つことができる。使用時に被覆バリヤー70を取り外し、送達デバイス10の露出された接着層14が粘膜表面に対して配置される。
【0062】
図8も同様に接着層24及び活性層26の露出面に接着された被覆バリヤー70を伴う図2の経粘膜送達デバイスを表わす。
【0063】
取り外し可能な被覆バリヤー又は層70は水溶性又は非水溶性プラスチックのいずれかを含む任意の所望の物質を含んでなることができる。代わりの態様において、取り外し可能な非水溶性又は水溶性バリヤーを本発明に従う経粘膜送達デバイスの裏打ち層の露出面に対して配置することができる。
【0064】
以下の実施例は具体例により与えられ、限定により与えられない。過去形で表わされる実施例は製造された薬剤送達デバイスの実際の組成物を規定する。現在形で表わされる実施例は単に仮定的又は予測的の性状であるが、製造された実際の組成物に基づくか又はそれらから推定されている。
【実施例1】
【0065】
溶解可能な裏打ち層、接着層及び活性層を有する経粘膜薬剤送達デバイスを製造した。溶解可能な裏打ち層を、一緒に親水性領域を形成した、水中ゼラチン20%及びグリセリン10%並びに分散非親水性領域として親水性領域中に分散された気孔、から製造した。親水性領域は裏打ち層の50容量%からなり、他方、気孔は50容量%からなった。裏打ち層をプラスチック基材上に成形した。裏打ち層の厚さは成形時に2mmであった。
【0066】
接着層は水中、2.5%のPolyox(R)750(ポリエチレンオキシド、水溶性樹脂)、0.5%のCarbopol(R)971(ポリアクリル酸、水溶液物質)からなった。それを固化された裏打ち層上に直接成形した。接着層の厚さは成形時に1mmであった。
【0067】
活性層は水中、6%のアルギン酸ナトリウム、4%のコハク酸塩としてのスマトリプタン及び2%のタウロコール酸ナトリウムからなった。活性層を固化接着層の露出面上に直接成形した。
【実施例2】
【0068】
有効物質としてインターフェロンを含む口腔経粘膜送達パッチ剤を本発明に従って製造し、臨床試験に使用した。パッチ剤は3層、(1)活性層、(2)接着層及び(3)裏打ち層、を有した。3層の調製物は下表に挙げられる。

活性層の成分
成分名 濃度(%)
アルギン酸ナトリウム 2%
インターフェロンα2b 0.1%
タウロコール酸ナトリウム、 0.8%
水 97.1%

接着層の成分
成分名 濃度(%)
ポリエチレンオキシド 2.5%
ポリアクリル酸 0.5%
水 97.5%

裏打ち層の成分
成分名 濃度(%)
ゼラチン 20%
グリセリン 10%
ドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド 0.1%
水 69.9%

活性層を形成するために使用されるゲル組成物を、混合カン中で乾燥成分としてアルギン酸ナトリウム、インターフェロンα2b及びタウロコール酸ナトリウムを混合することにより調製した。次に適量の水を添加した。混合カンをローラーミキサー上で緩徐に回転させて、ゲル中に過剰な空気を捕捉することを回避した。ゲルが適当に混合された後に(すなわちゲルが目に見える塊又は粒子をもたずに均一に見える)、1ディスク当たり1mlで複数の0.875インチ(2.22cm)のポリスチレンディスク上にピペットで滴下して活性層を形成した。ゲルを室温で1晩乾燥した。
【0069】
裏打ち層を形成するために使用されるゲル組成物を、55℃の水中にゼラチン、グリセリン及びドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミドを混合することにより調製した。ゼラチンが完全に溶解後に、オーバーヘッドミキサーを使用して、ゲルが白色に変化し、容量が2倍になって、発泡ゲル組成物を形成するまで、1500rpmでゲルを泡立てた。次に泡立てたゲル組成物を1インチ(2.54cm)の直径及び0.125インチ(0.32cm)の厚さを有するプラスチック型中で成形した。成形されたゲル組成物を室温で1晩乾燥させると約50容量%の気孔空間を含んでなる最終裏打ち層を形成した。
【0070】
接着層を形成するために使用されるゲル組成物を、混合カン中で成分を回転混合することにより調製した。約1mmの厚さの薄い層を乾燥した裏打ち層の露出面に適用した。合せた裏打ち層及び接着層を室温で1晩一緒に乾燥した。
【0071】
裏打ち層、接着層及び活性層が準備された後、水25μlを接着層の露出面上にピペットで滴下し、接着層をポリスチレンのディスクから剥離し、湿らせた接着層の表面上に置いた。活性層を接着層/裏打ち層の上部に平らに収まるまで穏やかに圧迫した。次に合せたパッチ剤を室温で乾燥させた。
【0072】
インビボの研究において、麻酔イヌをその口を開放維持させてテーブルに寝せた。口内組織が平らで露出されるように、イヌの頬を平坦な面上に配置した。口内組織を生理食塩水で数回洗浄し、1片のガーゼで乾燥した。イヌの頬組織に対してパッチ剤を配置する前に、正常な湿った口内粘膜表面を模倣するために、200μlの生理食塩水をピペットで表面に滴下した。パッチ剤を口内組織に接着後、口腔の湿った環境を模倣するためにパッチ剤の上部に2.5mlの生理食塩水で浸した2片の1”×1.5”のTelfa(R)パッド(外科用包帯、Kendall Co.)を置いた。口腔内の通常の状態(すなわち摩耗(wear)及び引き裂き(tear))を模倣するためにTelfa(R)パッドを10分毎に交換した。パッチ剤は約60分後に完全に溶解した。
【0073】
イヌからの血清試料を次の時間間隔、0、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3.5、8及び24時間に採取した。図9に示したグラフは24時間の期間中の試験間隔における血清インターフェロンα2bの濃度を示す。血清濃度は1時間後に(tMax)そのピーク(CMax)に達した。データは裏打ち材が、薬剤が口腔粘膜をとおって送達されることができるのに十分な被覆を与えたことを示した。裏打ち材が溶解された後に、薬剤送達は停止され、薬剤濃度は即座に低下し始めた。
【実施例3】
【0074】
有効物質としてスマトリプタンを含有する口腔経粘膜送達パッチ剤を本発明に従って製造して、臨床試験に使用した。パッチ剤は3層:(1)活性層、(2)接着層及び(3)裏打ち層を有した。3層の調製物は下表に挙げられる。

活性層の成分
成分名 濃度(%)
アルギン酸ナトリウム 4%
コハク酸スマトリプタン 11.2%
タウロコール酸ナトリウム 4%
水 80.8%

接着層の成分
成分名 濃度(%)
ポリエチレンオキシド 2.5%
ポリアクリル酸 0.5%
水 97.5%

裏打ち層の成分
成分名 濃度(%)
ゼラチン 20%
グリセリン 10%
アルギン酸ナトリウム 0.25%
アセスルフェームカリウム 0.075%
水 69.675%

裏打ち層を形成するために使用されるゲル組成物をグリセリン及びアルギン酸ナトリウムを含有する50℃の水中にゼラチンを溶解することにより調製した。ゲルを50℃に加熱されたオーブン中に入れて、ゼラチンを完全に溶解させた。ゼラチンが完全に溶解後に、甘味剤としてアセスルフェームカリウムを添加した。ゲル組成物を高剪断ホモジナイザーにより通気して発泡ゲル組成物を生成した。ゲル組成物をプラスチック剥離ライナー上に成形して、成形ブロックを使用して2.2mmの厚さを有する未固化シートを形成した。シートを乾燥せずに固化させた。
【0075】
接着層を形成するために使用されるゲル組成物を水中に水以外の成分を溶解することにより調製した。接着性ゲル組成物を、ゲルが塊をもたず透明になるまで約6時間真空下で混合した。接着性ゲル組成物を、直前の節で形成された、固化された、しかし乾燥されていない裏打ち層上に成形した。成形ブロックの設定は2.2mmに維持された。裏打ち層は固化時に約1.2mm収縮したので、接着層の実際の厚さは約1mmであった。合せた裏打ち層/接着層を室温で1晩乾燥させた。
【0076】
活性層を形成するために使用されるゲル組成物を混合容器中に水以外の成分を乾燥混合し、次に水の添加後、6時間ローラー上でゲルを回転混合することにより調製した。有効ゲル組成物を数分間音波処理して、気泡を除去した。0.6875インチ(1.75cm)の直径及び0.5mmの厚さをもつ複数の型穴を有するプラスチック型を裏打ち層/接着層の一部の上に配置した。有効ゲル組成物をプラスチック型穴中に成形し、過剰なゲル組成物をステンレス鋼の刃を使用して切断した。次にプラスチック型を外した。活性層を乾燥後に、0.8125インチ(2.06cm)直径のダイカッターを使用して3層のパッチ剤を切断した。完成製品は活性層が裏打ち層/接着層より小さい(すなわちそれらに囲まれた)3層パッチ剤であった。
【0077】
図10に示されたグラフは3層の口腔経粘膜スマトリプタンパッチ剤を使用するインビボの動物実験の結果を示す。動物実験の設定は実施例2に類似する。唯一の相異は、最初の生理食塩水量が100μlであり、Telfa(R)パッド(外科用包帯、Kenda
ll Co.)を替える間隔が5分であったことである。考え方はパッチ剤に対してより激しい口腔環境を模倣することであった。動物実験において、裏打ち層は約15分後に溶解し始めた。大部分の裏打ち層は約30分後に溶解していた。スマトリプタンの血清濃度は目視観察と十分対応した、すなわち裏打ち層は約20分間の有効調製物の被覆をもたらした。裏打ち層が溶解されると、被覆は消失し、薬剤濃度が急速に低下し始めた。
【0078】
本発明はその精神又は本質的特徴から逸脱せずに他の特別の形態に具体化されることができる。説明された態様はすべての点で、具体例としてのみ考慮され、限定するものと考えるべきではない。従って本発明の範囲は以上の説明によるよりむしろ、付記の請求の範囲により示される。請求の範囲の意味及び同等物の範囲内に入るすべての変更がそれらの範囲内に包含されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】溶解可能な裏打ち層、裏打ち層に隣接した接着層及び、接着層に隣接し、それに囲まれた活性層、を含む本発明に従う経粘膜送達デバイスを表わす断面図である。
【図2】溶解可能な裏打ち層、裏打ち層の一部に隣接した接着層及び、裏打ち層に隣接し、接着層に囲まれた活性層、を含んでなる、代わりの経粘膜送達デバイスを表わす断面図である。
【図3】溶解可能な裏打ち層、裏打ち層に隣接し、それにより囲まれた接着層及び、接着層に隣接し、それに囲まれた活性層、を含んでなる、経粘膜送達デバイスの代わりの態様を表わす断面図である。
【図4】溶解可能な裏打ち層、裏打ち層に隣接し、それにより囲まれた接着層及び、裏打ち層の一部に隣接し、接着層により囲まれた活性層を含んでなる、代わりの経粘膜送達デバイスを表わす断面図である。
【図5】図1に示したデバイスに類似しているが、活性層からの裏打ち層中の標的分子の拡散を抑制するようになっている明白な親水性及び非親水性領域を有する裏打ち層を含む、本発明に従う経粘膜送達デバイスを表わす断面図である。
【図6】明白な親水性及び非親水性領域を含む溶解可能な裏打ち層、裏打ち層に隣接する接着層及び、接着層に隣接し、それにより囲まれた活性層を含んでなる、本発明に従う、代わりの経粘膜送達デバイスを表わす断面図である。
【図7】接着層及び活性層を覆う一時的な被覆層をもつ、図1の経粘膜送達デバイスを表わす。
【図8】接着層及び活性層を覆う一時的な被覆層をもつ、図2の経粘膜送達デバイスを表わす。
【図9】インビボ実験中の様々な時間間隔におけるインターフェロンの血清濃度を示すグラフを表わす。
【図10】インビボ実験中の様々な時間間隔におけるスマトリプタンの血清濃度を示すグラフを表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達中に規定領域内に薬剤又は他の有効物質を閉じ込めたまま、粘膜をとおして薬剤又は他の有効物質を送達するための経粘膜送達デバイスであって、
少なくとも1種の薬剤又は他の有効物質を含んでなりそして外周を有する活性層、
少なくとも1種の親水性重合体を含んでなる水溶解可能な裏打ち層(ここで、該裏打ち層は裏打ち層の重複部分が該活性層を囲むために、該活性層上にそして該活性層の該外周を超えて延伸している)、及び
粘膜表面に接着するようになっている少なくとも1種の粘膜接着剤を含んでなる、該裏打ち層に隣接する接着層(ここで、該接着層の少なくとも一部は、該活性層の該外周を超えて延伸し、粘膜表面に対して該裏打ち層の該重複部分を封入するようになっており、裏打ち層は、粘膜表面に対するシールを維持し、粘膜表面に対して規定領域内に薬剤又は他の有効物質を閉じ込めるために経粘膜送達デバイスを粘膜表面に対して配置される時に、該接着層を過剰に湿ることから被覆するようになっている)、
を含んでなる経粘膜送達デバイス。
【請求項2】
該活性層がフェンタニル、モルフィネ、他のアヘン剤、スマトリプタン、他のトリプタン、ヘパリン、インターフェロン、タンパク質及びペプチドからなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項3】
該活性層が、該薬剤又は他の有効物質が粘膜表面を透過する速度を増加する少なくとも1種のエンハンサーを含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項4】
該活性層が少なくとも1種のマトリックス物質を含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項5】
該マトリックス物質がアルギン酸、アルギン酸塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエーテル塩、デンプン、カラゲーナン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア、ポリアクリル酸重合体、ポリアクリル酸共重合体及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1員を含んでなる、請求項4記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項6】
該親水性重合体が少なくとも1種のヒドロゲルを含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項7】
該ヒドロゲルがゼラチン、カゼイン、他のタンパク質をベースとする物質、ペクチン、寒天、キトサン、カラゲーナン、デンプン、加工デンプン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋重合体、微細結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、他のセルロースエーテル、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、架橋ポビドン、他のビニル重合体、他のビニル共重合体、グアーガム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエーテル、アルコキシ重合体、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、他の天然のヒドロゲル、天然産物から誘導されたヒドロゲル及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項6記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項8】
該裏打ち層が更に少なくとも1種の可塑化剤を含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達
デバイス。
【請求項9】
該可塑化剤がグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、糖アルコール及びコーンシロップからなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項8記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項10】
該親水性重合体が水分にさらされるとやがては溶解するようになっている、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項11】
該裏打ち層が、そこで裏打ち層が規定の期間内に又は期間の範囲内、水分にさらされると溶解する調製物及び厚さを含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項12】
該裏打ち層が、そこで該裏打ち層が約5分〜約2時間の範囲内の期間内、水分にさらされると溶解する調製物及び厚さを含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項13】
該裏打ち層が規定の期間内、該裏打ち層をとおる活性層への又は活性層からの水、薬剤又は有効物質の移動を抑制する、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項14】
該裏打ち層が約0.1ミクロン〜約5ミリメーターの範囲内の厚さを有するシート又はフィルムを含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項15】
該接着層がポリアクリル酸重合体、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、デンプン、セルロースエーテル、セルロースエーテル塩、カラゲーナン、アルギン酸ナトリウム及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項16】
該接着層が該活性層の外周から該裏打ち層の外周まで延伸する、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項17】
該接着層の一部が該裏打ち層と該活性層の間に配置されている、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項18】
送達デバイスが口内パッチ剤である、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項19】
該水溶解可能な裏打ち層が
少なくとも1種の親水性重合体を含んでなり、そして水分にさらされると一定の期間にわたり溶解するようになっている親水性領域、及び
該裏打ち層をとおる、水、薬剤又は他の有効物質の移動を抑制するようになっており、そして該親水性領域内にもはや封入されないと分散するようになっている、該親水性領域内に少なくとも一部又は全体が封入された少なくとも1種の非親水性領域、
を含んでなる、請求項1記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項20】
該親水性領域が連続相を含んでなり、そして該非親水性領域が分散相を含んでなる、請求項19記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項21】
該親水性領域が連続相を含んでなり、そして該非親水性領域が連続相を含んでなる、請求項19記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項22】
該非親水性領域が気孔、疎水性液滴、疎水性固体粒子、非溶解可能な固体粒子、油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸の塩、ワックス、有機重合体、シリコーン及び無機充填剤粒子からな
る群から選択される少なくとも1成分を含んでなる、請求項19記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項23】
該非親水性領域が体温に暖められる時に液体又は軟化固体に転化する少なくとも1種の固体成分を含んでなる、請求項19記載の経粘膜送達デバイス。
【請求項24】
薬剤又は他の有効物質を含有する層中への裏打ち層をとおる水の移動を抑制しながら、そして口腔内への裏打ち層をとおる薬剤又は他の有効物質の移動を抑制しながら、粘膜と接し、粘膜をとおり薬剤又は他の有効物質を送達するための口腔経粘膜送達デバイスであって、
薬剤又は他の有効物質を含んでなり、そして外周を有する活性層、
ゼラチン及びその中に分散された気孔を含んでなる水溶解可能な裏打ち層(ここで裏打ち層は、裏打ち層の重複する部分が活性層を囲むように、活性層上にそして活性層の外周を超えて延伸している)及び
口腔内の粘膜表面に接着するようになっている少なくとも1種のポリアクリル酸重合体又はポリアクリル酸共重合体を含んでなる、裏打ち層に隣接した接着層(ここで、接着層の少なくとも一部は活性層の外周を超えて延伸し、粘膜表面に対する裏打ち層の重複部分をシールするようになっている
裏打ち層は、経粘膜送達デバイスが粘膜に対するシールを維持するように、口腔内の粘膜に対して配置されると、唾液から接着層を被覆するようになっており、
裏打ち層は活性層中への裏打ち層をとおる水の移動を抑制するようになっており、そして
裏打ち層は口腔中への裏打ち層をとおる薬剤又は他の有効物質の移動を抑制するようになっている)
を含んでなる経粘膜送達デバイス。
【請求項25】
送達中に規定領域内に薬剤又は他の有効物質を閉じ込めたまま、粘膜と接し、粘膜をとおって薬剤又は他の有効物質を送達するための口腔経粘膜送達デバイスであって、
少なくとも1種の薬剤又は他の有効物質を含んでなりそして外周を有する活性層、
裏打ち層の重複する部分が活性層を囲むために、活性層上にそして活性層の外周を超えて延伸する水溶解可能な裏打ち層
(ここで裏打ち層は
少なくとも1種の親水性重合体を含んでなり、そして水分にさらされると一定の時間にわたり溶解するようになっている親水性領域、及び
裏打ち層をとおる水、薬剤又は他の有効物質の移動を抑制するようになっており、そして親水性領域内にもはや封入されない時には分散するようになっている、親水性領域内に少なくとも一部又は全体が封入された少なくとも1種の非親水性領域、を含んでいる)、並びに
口腔内の粘膜表面に接着するようになっている少なくとも1種の粘膜接着性重合体を含んでなる、裏打ち層に隣接した接着層(ここで接着層の少なくとも一部は活性層の該外周を超えて延伸し、粘膜表面に対する裏打ち層の重複部分をシールするようになっており、
裏打ち層は、粘膜に対してシールを維持し、そして粘膜に対する規定領域内に薬剤又は有効物質を閉じ込めるように、経粘膜送達デバイスが口腔内の粘膜に対して配置される時に、唾液から接着層を被覆するようになっている)、
を含んでなる経粘膜送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−528975(P2006−528975A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532913(P2006−532913)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014555
【国際公開番号】WO2004/103341
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505158024)セフアロン・インコーポレーテツド (21)
【Fターム(参考)】