説明

結晶の像を形成するためのシステムおよび方法

本発明は、結晶の像を形成するためのコンピューターで実行可能なシステムおよび方法を提供する。本システムは、それぞれ、(a)光源;(b)回転可能な第1の偏光材料;(c)回転可能な第2の偏光材料;(d)光捕集デバイス;および(e)光捕集デバイスからの電気信号を分析するための、コンピュータで実行可能なシステム上で実行可能なソフトウェアプログラム、を備える。別の実施形態において、本発明のソフトウェアプログラムは:(1)1〜n個のサンプルの像を取得し;(2)サンプルの像の各々を分解し;(3)分解されたサンプルの像を、一連の二次元マトリクスに換算し;(4)マトリクスの各々を、バックグラウンド補正に投入し;そして(5)バックグラウンド補正されたマトリクスを統合して、サンプルの向上された像を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、結晶(例えば、結晶の光学特性と同様の光学特性を有する物質において形成する、タンパク質結晶)の像を形成するためのシステム、デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
X線結晶学は、タンパク質分子内の三次元原子配置を決定するために使用される技術である。タンパク質結晶のx線回折パターンが、タンパク質の三次元構造を決定するために分析される。タンパク質結晶の成長は、試行錯誤のプロセスである。特定のタンパク質結晶の結晶核生成(nucleation)および成長を促進する条件を決定するため、しばしば、数百回または数千回の実験が実行される。大部分の結晶化実験は、多くのウェルを備えるプラスチックトレイにおいて設定される。
【0003】
細胞膜内にインビボで包埋されて存在するタンパク質は、「膜タンパク質」と称される。膜タンパク質の例としては、イオンチャネルおよびGタンパク質共役レセプターが挙げられる。多くの膜タンパク質は、製薬産業にとっての高価値な薬物標的であり、そしてそれらタンパク質の三次元構造は、構造ベースの薬物開発および薬物設計の目的のための大きな可能性を提供する。不運にも、膜タンパク質は結晶化するのが困難であり、そして結果として異なる膜タンパク質のうち、約30個の高解像度構造のみが現在利用可能である。
【0004】
従来より、膜タンパク質の結晶は、界面活性剤/タンパク質複合体由来の溶液中で成長されている。マトリクス(例えば、シリカゲルおよびアガロースゲル)もまた、x線回折実験のための結晶の形成のために使用されている(非特許文献1;非特許文献2)。このようなマトリクスベースの実験において、タンパク質はゲル様材料中に包埋され、そして結晶化誘導剤が添加される。このゲルは、無重力における結晶化に近い条件を形成する作用で対流を低減させ、そしていくつかの場合において、結晶核形成および結晶の成長に好都合の環境を提供する(非特許文献3)。このようなマトリクスの1つは、いわゆる脂質立方相(lipid cubic phase:LCP)である。結晶化マトリクスとしての脂質立方相の使用は、界面活性剤/タンパク質複合体として結晶化され得ないいくつかの膜タンパク質の高品質の結晶を提供した(非特許文献4)。いくつかの可溶性タンパク質もまたLCPマトリクスにおいて結晶化されている。このことは、他の結晶化方法を使用した結晶化を妨害するいくつかの可溶性タンパク質が、LCPマトリクス中で結晶化し得ることを示唆する。これまで、脂質立方相におけるすべての膜タンパク質が着色された(非特許文献5)。
【0005】
タンパク質結晶化実験は、通常、容器(例えば、96ウェルプラスチック結晶化トレイ)内で実施され、この容器は、タンパク質マトリクスまたはタンパク質溶液と結晶化誘導剤(溶液または固体)との物理的接触を可能にする。実験の結果である「結晶性」または「非結晶性」は、代表的に、顕微鏡を使用してオペレーターによる目視検査により評価される。この目的のため、明視野の照明、暗視野の照明および偏光オプションを備える分析用(dissecting)顕微鏡が一般的に使用される。より先進的なシステムは、自動的に実験の像を捕集し得、これらをデータベースに記憶させ得る。最終的な結果に関する実験および決定の注釈は、オペレーターによる入力を必要とする。この手動の注釈は時間がかかるので、多くの結晶化の設定が評価されるべき場合、深刻な障害を生み出す。いくつかの自動化システムが、オペレーターによって検査される必要のある像の数を減少させるために発明されている(非特許文献6;Gester,.T.E.ら、「Method for Acquiring,Storing and Analyzing Crystal Images」、特許文献1、2003)。これらの方法はしばしば、簡単な事前の選択(pre−selection)(例えば、実験全体を通して変化が生じていない実験を無視すること)を実行する。このようなネガティブな選択手順に加え、結晶を同定するために像処理ルーチンが使用されている(非特許文献6;特許文献1)。実際の全ての場合において、これらのアルゴリズムは、端検出アルゴリズムおよびパターン認識に基づく。一般的に、これらの結晶スコア付けツールは、結晶化実験が小さな結晶を含む場合、マトリクスが完全には透明でない場合、または析出物が生じる場合に、明瞭な断面結果(clear−cut result)および面チャレンジ(face challenge)に向けて良好に働く。
【0006】
多くの問題が脂質立方相における無色の膜タンパク質の結晶化と関連する。例えば、タンパク質結晶および周囲の脂質相の屈折率における小さな差異に起因する低コントラスト(非特許文献7)、および低視認性を引き起こす不明瞭なマトリクス、がある。このことは、タンパク質析出物の形成に起因し得るか、または結晶化の過程の間に不透明相への移行を受け得る脂質に起因し得る。また、結晶は非常に小さく観察が困難であり得る。
【特許文献1】米国特許第6,529,612号明細書
【非特許文献1】Garcia−Ruiz,J.M.ら,「Teaching Protein Crystallization by the Gel Acupuncture Technique,」 J.Chem.Edu.75:442−446 (1998)
【非特許文献2】Biertupfel,C.ら、「Crystallization of Biological Macromolecules Using Agarose Gel」 Acta Cryst.D 58:1657−1659(2002)
【非特許文献3】Rummel,G.ら、「Lipidic Cubic Phases:New Matrices for the Three−Dimensional Crystallization of Membrane Proteins」 J.Struct.Biol.121:1−11(1998)
【非特許文献4】Caffrey,M.、「Membrane Protein Crystallization」 J.Struct.Biol.142(1):108−32(2003)
【非特許文献5】Chiu,M.L.ら、「Crystallization In Cubo:General Applicability to Membrane Proteins」 Acta Crystallographica D 56:781−784(2000)
【非特許文献6】Rupp,B.、「High−Throughput Crystallography at an Affordable Cost:The TB Structural Genomics Consortium Crystallization Facility」 Acc.Chem.Res.36(3):173−81.2003
【非特許文献7】Nollert,P.,「Microscope Detection Options for Colorless Protein Crystals Grown in Lipidic Cubic Phases」、J.Appl.Cryst.36(5).2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の問題は、無色の膜タンパク質に対するLCP技術の適応能力を制限する。本特許出願は、結晶の検出を容易にし、そしてマトリクス内でのそれら結晶のコントラストを増強するため、複屈折現象を使用するシステムおよび方法を提供する。本発明は、全ての結晶化実験において適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、結晶の像を形成するためのコンピューターで実行可能なシステムを提供し、このシステムは:(a)光源;(b)回転可能な第1の偏光材料;(c)回転可能な第2の偏光材料;(d)光捕集デバイス;および(e)光捕集デバイスからの電気信号を分析するための、コンピュータで実行可能なシステム上で実行可能なソフトウェアプログラム、を備え、作動時に、(1)光源からの光が、第1の偏光材料を通過し、次いで、この第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置するサンプルを通過し、次いで、この第2の偏光材料を通過し、そして光捕集デバイスに衝突して像を形成し、この像は、ソフトウェアプログラムが動作しているコンピュータデバイスに送信される電気信号の形態で、赤色成分、緑色成分および青色成分を含み;そして(2)このソフトウェアプログラムは、その像を、赤色成分、緑色成分および青色成分に分解し、赤色成分と、緑色成分と、青色成分との間の差異を計算し、そしてこの差異を合成して合成像(combined image)を形成する。
【0009】
本発明のシステムのいくつかの実施形態において、このソフトウェアプログラムは:(1)1〜n個のサンプル像を取得し;(2)これらのサンプル像の各々を分解し;(3)分解されたサンプル像を、一連の二次元マトリクスに換算(reduce)し;(4)これらのマトリクスの各々をバックグラウンド補正に投入し;そして(5)バックグラウンドの補正されたマトリクスを統合して、サンプルの向上された(enhanced)像を構築する。
【0010】
本発明はまた、本明細書中により完全に記載される、複屈折結晶を可視化するためのコンピューターで実行可能な方法を提供する。
【0011】
本発明のシステムおよび方法を使用して、任意の型の結晶(脂質立方相物質中に存在するタンパク質結晶が挙げられる)を可視化し得る。
【0012】
本発明の前述の局面および多くの付随する利点は、添付の図面を組合わせる場合、以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるようになるのと同様により容易に認識されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、用語「消光」とは、偏光軸が互いに対して垂直であるように方向付けられる2つの偏光材料によって、平面偏光された光が完全にかまたはほぼ完全に吸収される現象をいう。
【0014】
1つの局面において、本発明は、結晶の像を形成するためのコンピューターで実行可能なシステムを提供する。このシステムは、各々:(a)光源;(b)回転可能な第1の偏光材料;(c)回転可能な第2の偏光材料;(d)光捕集デバイス;および(e)光捕集デバイスからの電気信号を分析するための、コンピュータで実行可能なシステム上で実行可能なソフトウェアプログラム、を備え、作動時に、(1)光源からの光が、第1の偏光材料を通過し、次いで、この第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置するサンプルを通過し、次いで、この第2の偏光材料を通過し、そして光捕集デバイスに衝突して像を形成し、この像は、ソフトウェアプログラムが動作しているコンピュータデバイスに送信される電気信号の形態で、赤色成分、緑色成分および青色成分を含み;そして(2)このソフトウェアプログラムは、その像を、赤色成分、緑色成分および青色成分に分解し、赤色成分と、緑色成分と、青色成分との間の差を計算し、そしてこの差を合成して合成像を形成する。
【0015】
本発明のシステムにおいて有用である光源は、白熱電球または発光ダイオード(LED)のいずれかにより放射される白色光(約400nm〜約800nmの範囲の波長を有する)を生じる。光フィルタ(例えば、Volpi AG(Wiesenstrasse 33,CH−8952 Schlieren,Switzerland)より販売される赤色フィルタ2350.081)を使用して、所望の波長および関連するバンド幅を有する光を提供し得る。白色光光源の例は、Volpi KL150(Volpi AG(Wiesenstrasse 33,CH−8952 Schlieren,Switzerland)より利用可能)である。
【0016】
本発明の実施において有用な偏光材料は、光を偏光させる。本発明の実施において有用ないくつかの偏光材料は、複屈折性(birefringent)である。本発明の実施において有用ないくつかの偏光材料は、環状の光偏光材料であり、そして本発明の実施において有用な他の偏光材料は、線形の光偏光材料である。有用な偏光材料の例としては、3M Corporation(3M Center,St.Paul,MN 55144−1000,USA)より販売される線形の偏光物(polarizer)HN22のような、Polaroidシートフィルタが挙げられる。
【0017】
偏光材料は、この偏光材料の平面に対して90°の角度にある回転軸の周りに回転可能である。偏光材料は、代表的に、偏光材料の薄いシートであり、このシートは、シートの平面で回転され得る。このシート材料が回転されている間、このシートの主要な軸は、回転軸に平行なままである。
【0018】
本発明のシステムにおいて有用な光捕集デバイスは、第一の偏光材料を通過し、次いでサンプル(例えば、結晶を含む脂質立方相物質のサンプル)を通過し、次いで第二の偏光材料を通過する光を捕集する。有用な光捕集デバイスの例としては、可視光を捕集し得そして記録し得るデバイス(これは、二次元アレイで配置され得る)、例えばCCDカメラ(例えば、Diagnostic Instruments,Inc.(6540 Burroghs St.Sterling Heights,MI 48314−2133,USA)より販売されるSpot Insight QE Color Mosaic)が挙げられる。この光捕集デバイスは、コンピューターに送信される電気シグナルの形式で像を形成する。このコンピューターにおいて、本明細書中に記載される像の解析のためのソフトウェアプログラムが実行される。
【0019】
図1は、本発明のシステム10の例示的な実施形態を示す。システム10は、光源12、顕微鏡14(図1の側面断面図のとおりであり、説明を容易にするために示される)、光捕集デバイス16、および計算デバイス18、を備える。ソフトウェアプログラムは計算デバイス18上で動作する。このソフトウェアプログラムは、光捕集デバイス16からの電気信号を分析する。
【0020】
顕微鏡14は、顕微鏡14の構成要素を支持するL字型ブラケット20を備える。光ファイバーの束22は、光源12と、顕微鏡14の一部であるスリーブ(bushing)取付具24とを接続する。顕微鏡14は、光ファイバーの束22からの光を反射する反射プリズム26を備える。反射プリズム26は、ステージ30に取り付けられたプリズムサポート28上で支持される。ステージ30は、モーター付の(motorized)直線位置決めレール32の組に取り付けられる。
【0021】
図2に示される顕微鏡14の前面図に示されるように、顕微鏡14はまた反射板34を備え、この反射板34は、ホイール38を手動で回転することによって回転され得る車軸36に取り付けられる。顕微鏡14はまた、車軸36のためのガイド40を備える。ガイド40は、ステージ30に取り付けられる。モーター付の直線位置決めレール32は、プリズム26または反射板34のいずれかへ光源12からの光が当たることを可能にする2つの位置のいずれかへの、プリズム26および反射板34の水平移動を可能にする。
【0022】
図2に示されるように、顕微鏡14は、第一の偏光フィルタ42(これは、線形または環状の偏光フィルタ)および第一の光補償フィルタ44を備え、これらは両方とも支持体46上に支持される。第一の偏光フィルタ42は、第一のモーター付回転ステージ47(例えば、Sigma KOKI Co.LTD(1−19−9,Midori,Sumida−ku,Tokyo,130−0021,Japan)より販売される、モーター付回転ステージSGSP−120YAW)により回転される。支持体46は、第二ステージ48に取り付けられ、この第二ステージ48は、第一の偏光フィルタ42および第一の光補償フィルタ44の水平移動を可能にする、モーター付の直線位置決めレール50の第二の組に取り付けられる。モーター付の直線位置決めレール50は、L字型ブラケット20に取り付けられる。光フィルタのためのレセプタクル51もまた、第二ステージ48に取り付けられる。異なる光フィルタ(例えば、赤色フィルタまたは青色フィルタ)は、レセプタクル51に挿入されて、所望の色を有するビーム光を生じ得る。例として繰り返すと、波長板(例えば、λ/4またはλ/2の波長板(wave retardation plate)がレセプタクル51に挿入されて、低偏光コントラストな対象の偏光コントラストを増大させ得る。
【0023】
顕微鏡14はまた可動性ステージ52を備え、この可動性ステージ52は、サンプルホルダ54、例えば、サンプルを保持するための多くのウェルを備える結晶化トレイ(deCode biostructures(7869 NE Day Road West,Bainbridge Island,WA 98110,USA)より利用可能である、CombiCloverTM Juniorプレート)を支持する。サンプルホルダ54はシステム10の一部ではないが、例示および説明のために示されることが理解される。可動性ステージ52は、モーター付のステージ位置決めレール55の組に取り付けられ、このレール55は、第一の偏光フィルタ42または第一の光補償フィルタ44から出るビーム光路にサンプルホルダ54の一部を位置決めするため、水平面内でサンプルホルダ54を移動する。モーター付のステージ位置決めレール55は、L字型ブラケット20に取り付けられる。光を通さないハウジング56は、プリズム26、第一の偏光フィルタ42および第一の光補償フィルタ44を囲む。
【0024】
顕微鏡14はまた、レンズマウント60によって定位置に保持されるレンズ58を備える。レンズマウント60は、第三のステージ62に取り付けられ、この第三のステージ62は、レンズ58を上下に移動する(これによって、サンプルの像の拡大の調節、例えば、1×〜5×の倍率の範囲での調節を可能にする)、垂直方向のレンズ位置決めレール64に取り付けられる。制御可能な開口部66は、レンズ58に達する光の量を制御する。制御可能な開口部66は、第三のステージ62によって支持される。
【0025】
顕微鏡14はまた、第二のモーター付の偏光フィルタ68(例えば、線形の偏光フィルタ)を備え、この偏光フィルタ68は、第二の支持体70によって支持される。第二のモーター付の偏光フィルタ68は、第二のモーター付の回転ステージ71(例えば、Sigma KOKI Co.LTD(1−19−9,Midori,Sumida−ku,Tokyo,130−0021,Japan)より販売される、モーター付の回転ステージSGSP−120YAW)によって回転される。第二の支持体70はまた、第二の光補償フィルタ72を支持する。第二の支持体70は、第四のステージ74に取り付けられ、この第四のステージ74は、水平方向のモーター付の直線位置決めレール76に取り付けられ、このレール76は第二のモーター付の偏光フィルタ68および第二の光補償フィルタ72の水平移動を可能にする。第五のステージ78は、水平方向の偏光レール76の垂直方向の移動を可能にする。第五のステージ78は、垂直方向位置決めレール80に沿って移動する。光を通さないハウジング82(これは、図1に概略が示される)は、第二のモーター付の偏光フィルタ68および第二の光補償フィルタ72を囲む。
【0026】
可撓性の覆い84は、光を通さないハウジング82からレンズマウント60まで延びる。Cマウント86はカメラ16を支持する。オプションの像マルチプレクサープリズム88(または像スプリッター)は、カメラ16と第二のモーター付の偏光フィルタ68との間に配置される。像マルチプレクサープリズム88(または像スプリッター)は、同じ対象の多重像が記録されるのを可能にする。ケーブル90(例えば、USB2ケーブル)は、カメラ16と計算デバイス18とを連絡する。
【0027】
作動時、光ファイバーの束22は、光源12から反射プリズム26または反射板34のいずれかへと光を導く。スリーブ取付具24を使用して、光ファイバーの束22の位置を手動で調節し得る。プリズムサポート28は、モーター付の直線位置決めレール32に沿って、光ファイバーの束22から光が放射する通路における、所望に応じて反射プリズム26または反射板34のいずれかの位置へと移動する。プリズム26を使用して、固定角で対象を照射し得る(例えば、光が出る光ファイバーの束22と照射される対象に向けて移動する光の間の角度が90°である)。反射板34は可動性であり、側面から対象に当てる方式で光を偏向させるために回転され得る。反射板34のこのような操作は、対象を擬似暗視野(pseudo−dark field)の照射の下で可視化するために使用され得る。代表的に、プリズム26は、第一の偏光フィルタおよび第二の偏光フィルタ68が光路中に存在する場合に使用され、一方で反射板34は第一の偏光フィルタ42および第二の偏光フィルタ68が光路中に存在しない場合に使用され得る。そして、結晶面をくっきりさせる像が結晶から得られる
プリズムサポート28の移動は、コンピューターによって制御される。光ファイバーの束22から放射するビーム光に対する反射板34の角度は、手動の回転ホイール38によって制御される。従って、例えば、反射板34の角度の調節は、斜角でのサンプルの照射を可能にし、これによって擬似暗視野の照射を生じる。
【0028】
反射プリズム26または反射板34によって反射された光は、第一のモーター付の偏光フィルター42または第一のモーター付の光補償フィルタ44のいずれかを通って方向付けられ、次いでサンプルホルダ54におけるサンプル(例えば、結晶)に当たる。モーター付の直線位置決めレール32の水平方向の移動は、支持体28に水平移動させ、これによって第一のモーター付の偏光フィルタ42または第一のモーター付の光補償フィルタ44のいずれかを、光源12からの光路中に移動させる。第一の光補償フィルタ44は第一の偏光フィルタ42の光学効果を補償し、そして第一の偏光フィルタ42が光源12からの光路から外される場合に、焦点を調節するための必要を避ける。第一の偏光フィルタ42は、その光軸の回りに回転され得る。第一の偏光フィルタ42が平板の偏光材料である本発明の実施形態において、回転は、第一の偏光フィルタ42の平面と平行である。回転軸は、光源12から第一の偏光フィルタ42に入る光路と平行である。
【0029】
サンプルを通って伝えられる光は、制御可能な開口部66を通過し、この開口部66は手動で操作され、そして調節されて、より多くまたはより少ない光がレンズ58に達することを可能にし得、これによって領域の深さおよび光強度に関する調節を可能にし得る。レンズ58は、カメラ16に対するサンプルの像を拡大しそして焦点を合わせる。1実施形態において、焦点距離35mmでアポクロマートであるレンズ58が、1つの計画である。
【0030】
レンズ58を通過する光は、次いで、第二のモーター付の偏光フィルタ68または第二の光補償フィルタ72のいずれかを通過する。水平方向のモーター付の直線位置決めレール76の移動は、第二の支持体70を水平方向に移動させ、これによってレンズ58からの光路中に第二のモーター付の偏光フィルタ68または第二の光補償フィルタ72のいずれかを移動させる。第五のステージ78は、水平方向のモーター付の直線位置決めレール76の垂直方向の移動を可能にする。垂直方向の位置決めレール80に沿った第五ステージ78の移動は、第二のモーター付の偏光フィルタ68および第二の光補償フィルタ72を垂直方向に移動させる。
【0031】
第二の偏光フィルタ68はその光軸の周りに回転され得る。第二の偏光フィルタ68が平板の偏光材料である本発明の1実施形態において、回転は第二の偏光フィルタ68の平面に平行である。回転軸は、光源12から第二の偏光フィルタ68に入る光路に平行である。
【0032】
第二のモーター付偏光フィルタ68または第二の光補償フィルタ72を通過する光は、次いでカメラ16に入ってそして電気シグナルを形成し、この電気シグナルは、画像分析ソフトウエアプログラムが動作しているコンピューター18へと送信される。本明細書中でより完全に考察されるように、この画像分析ソフトウェアプログラムは、像を赤色成分、緑色成分および青色成分に分解し、その赤色成分と緑色成分と青色成分との間の差を計算し、そしてそれらの差を結合して合成像を形成する。
【0033】
図3は、本発明のシステム10において使用される画像分析ソフトウェアにより実行される主要な工程を示すブロック図である。ブロック302において、異なる偏光角におけるサンプルの1〜n個の像(ここで、nは1より大きい正の整数である)が、非圧縮の像ファイルとして取得される。ブロック304において、各々の像は、像中の色情報を量子化するm次元のマトリクス(すなわち基本色空間)へと分解される(mは任意の正の整数)。1つの方法は、RGBまたはHSVのような色モデルを使用する基本色空間へと像情報をマップ付けする(map)ことである。ブロック306において、m次元マトリクスはさらに、一連の二次元マトリクス(通常、色モデルの個々の軸またはチャネルを示す)へと換算される。色モデルがRGBである場合、赤色チャネル、緑色チャネルおよび青色チャネルを示す3つの二次元マトリクスが引き出され得る。ブロック308において、これらのマトリクスはバックグラウンド補正フィルタに送られる。バックグラウンド補正は、各々のチャネルマトリクスに対して適用されて、未処理(raw)像をしばしば支配する、低振動数の空間偏差(例えば、サンプルのマトリクスにおける光の勾配または偏差)を補償する。対照的に、目的の対象物は、鋭利な端および小さな寸法を有する結晶であり、これは像の高振動数の空間偏差を示す。色シグナルを取り出す処理は、この特徴的な振動数の差を利用する。ブロック310において、各々のチャネルに対してバックグラウンド補正されたマトリクスは、他の偏光像から導かれるマトリクスと統合されて、複屈折シグナルが増幅される新規のマトリクスを生じる。ブロック312において、マトリクスの集合は再構築されて、最終的にデジタル強化された色像を生じる。
【0034】
図4は、バックグラウンド補正の1形態を示すブロック図である。ブロック402において、マトリクスnの未処理チャネルkの形態で像が提供される。ブロック404において、マトリクスは、2−Dガウスフィルターの5回の反復性サイクルを通されて、ブロック406においてマトリクスnのチャネルkに対するバックグラウンドを概算するマトリクスを形成する。ガウスフィルタは、このチャネルについての一連の漸増性に不鮮明な像を生じ、ここで高振動数の対象(例えば、結晶の端)がさらに強調されることはない。像の2−Dガウスたたみこみ(Gaussian convolution)は、最初にx軸方向で1−Dガウスを用いてたたみ込み(convolving)、次いでy軸方向に別の1−Dガウスを用いてたたみこむことによって達成される。各々の像軸に関して、Σを用いたガウスフィルターは20に等しく、そして1×40ピクセルのマスクが使用される。
【0035】
ブロック408において、元の像のピクセル強度オフセットが実行され、ここで各々のピクセルの明度がコントラスト量の分増加される。オフセットマトリクスは、その後の減算(subtraction)が負の値(または切捨て(truncation))をそのマトリクス中に生じないことを確実にする。ブロック410において、最終のガウスフィルターされたマトリクスは、オフセットマトリクスから減算され、ブロック412において新規のバックグラウンド補正されたマトリクスを生じる。このバックグラウンド補正されたマトリクスにおけるバックグラウンドは、単調化されており(flattern)、そして結晶の複屈折シグナルは強調されている。
【0036】
図5は、同じサンプルの異なる像を示すマトリクスを統合するための、シグナル操作の1形態を示すブロック図である。ブロック502において、補正されたチャネルkマトリクスlが提供される。ブロック504において、補正されたチャネルkマトリクスiが提供される。ブロック506において、チャネルkマトリクスlにおける各々のピクセルの値は、チャネルkマトリクスiの対応するピクセル位置から減算される(ここで、iは像の数より少ない整数である)。切捨ては、2つのチャネル間の絶対単位の差を使用することによって、異なる計算において避けられる。ブロック508において、得られたマトリクスのセットが統合される。ブロック510において、より多くのマトリクスが存在する場合、シグナル操作処理は、さらなるマトリクスを用いて反復される。さらなるマトリクスが存在しない場合、ブロック510における所定のチャネルの全てのマトリクスが、ブロック512において統合されたチャネルへと結合される。
【0037】
図6は、統合されたマトリクスからの像の再構築を示すブロック図である。ブロック602において、統合されたチャネルlが提供される。ブロック604において、統合されたチャネルkが提供される。ブロック606において、差の計算より得られた統合されたチャネル(l〜k)(図5のブロック506に示される)は、再結合され、再構築された色増強像を生じる。ブロック608において、再構築された像のヒストグラム分析が行われる(そして代表的に低い値に向けてピクセル値はバイアスをかけられることを示す)。ブロック610において、最終的な操作が実施され、ここで像のコントラストが再較正される。この工程を使用して、解釈のより容易な像を使用者に提供する。再構築される像に対して最大のピクセル値および最小のピクセル値が決定され、次いで像の各々のピクセルに対して、ピクセルの値が再度尺度付けされ(rescaled)、その結果、最大のコントラストが達成される。
【0038】
図7は、結晶の像を形成するため本発明のシステムにおいて使用される、画像分析ソフトウェアプログラムの代表的な例により実施される、主要な工程を示す。太活字の全ての関数は、MATLAB(登録商標)関数である。ブロック702において、像分解が最初に
【0039】
【数1】

を使用して入力された像をm次元マトリクスに変換し、次いで二次元の部分マトリクスを取り出すことによって実施される。ブロック704において、2つの関数を使用してガウスフィルタを設定し、このガウスフィルタは、親の二次元マトリクスにおいてバックグラウンドのシグナルを概算するマトリクスを生じる。最初に、工程704において、ガウスフィルタは
【0040】
【数2】

を使用して特定化される。このフィルタは、
【0041】
【数3】

を使用することにより親マトリクスに適用される。ブロック706において、
【0042】
【数4】

を使用して、オフセットマトリクスを形成する。ブロック708において、
【0043】
【数5】

を使用してオフセットマトリクスからバックグラウンドマトリクスを減算し、バックグラウンド補正されたマトリクスを生じる。工程710において、マトリクスにわたるシグナルの統合が、
【0044】
【数6】

を使用することによって達成される。ブロック712において、像の再構築が
【0045】
【数7】

を使用することによって達成される。ブロック714において、再構成された像が、
【0046】
【数8】

を使用してコントラストに対して最適化され、最終的な像を形成する。
【0047】
別の局面において、本発明は、複屈折結晶を可視化するためのコンピュータで実行可能な方法を提供する。本発明のこの局面の方法は、以下の工程を包含する:(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像(visual image)を記録する工程であって、この結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、この結晶を照射して、第1の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで、結晶を通過し、次いで、第2の偏光材料を通過する、工程;(b)第1の偏光材料または第2の偏光材料を、回転軸の周りで一定量回転させ、そして結晶の第2の視像を記録する工程であって、回転軸は、回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして結晶を照射して第2の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで結晶を通過し、次いで第2の偏光材料を通過する、工程;および(c)第1の視像と第2の視像とを合成して、合成像を得る工程であって、バックグラウンドに対する結晶のコントラストは、第1の視像または第2の視像におけるコントラストよりも大きい、工程。
【0048】
複屈折結晶を可視化するためのいくつかのコンピューターで実行可能な方法は、以下の工程を包含する:(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像を記録する工程であって、結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、結晶を照射して、第1の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで結晶を通過し、次いで第2の偏光材料を通過する、工程;および(b)第1の偏光材料または第2の偏光材料を、回転軸の周りで一定量回転させ、そして結晶の第2の視像を記録する工程であって、回転軸は、回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして結晶を照射して第2の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで結晶を通過し、次いで第2の偏光材料を通過する、工程、ここで、(1)第1の像は第1の像の第1の色と第1の像の第2の色とに分解され、そして第2の像は第2の像の第1の色と第2の像の第2の色とに分解され、ここで、第1の像の第1の色は第2の像の第1の色と同じであり、かつ第1の像の第2の色は第2の像の第2の色と同じであり;(2)第1の像の第1の色は、第2の像の第1の色と比較されて、第1の色の差を与え、そして、第1の像の第2の色は、第2の像の第2の色と比較されて、第2の色の差を与え;そして(3)第1の色の差と第2の色の差とが結合されて、合成像(composite image)を与え、バックグラウンドに対する結晶のコントラストは、第1の視像または第2の視像におけるコントラストよりも大きい。
【0049】
複屈折結晶を可視化するためのコンピュータで実行可能ないくつかの方法は、以下の工程を包含する:(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像を記録する工程であって、結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、結晶を照射して、第1の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで、結晶を通過し、次いで、第2の偏光材料を通過する、工程;および(b)第1の偏光材料または第2の偏光材料の両方を、同じ回転軸の周りで一定量回転させ、そして、結晶の第2の視像を記録する工程であって、回転軸は、回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして、結晶を照射して、第2の視像を生成するために使用される光が、第1の偏光材料を通過し、次いで、結晶を通過し、次いで、第2の偏光材料を通過する、工程、ここで、(1)第1の像は、第1の赤色像と第1の青色像と第1の緑色像とに分解され、そして、第2の像は、第2の赤色像と第2の青色像と第2の緑色像とに分解され;(2)第1赤色像が、第2の赤色像と比較されて、赤色像の合成像(composite)を与え、第1青色像が、第2の青色像と比較されて、青色像の合成像を与え、そして、第1緑色像が、第2の緑色像と比較されて、緑色像の合成像を与え;そして(3)青色像の合成像と、赤色像の合成像と、緑色像の合成像とが結合されて、合成像を与え、バックグラウンドに対する結晶のコントラストは、第1の視像または第2の視像におけるコントラストよりも大きい。
【0050】
本発明のシステムを使用して、本発明の方法を実施し得る。
【0051】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、結晶は複屈折材料内に配置される。第一の偏光材料および第二の偏光材料は、同じ回転軸の周りに同じ量移動され得るか、または第一の偏光材料および第二の偏光材料は、同じ回転軸の周りに異なる量移動され得る。第一の偏光材料および第二の偏光材料は、例えばモーター駆動されるアセンブリによって回転され得るか、または例えば、第一の偏光材料および第二の偏光材料は、手動で回転され得る。第一の偏光材料および第二の偏光材料は、両方の偏光材料が消光へと導かれている線形の偏光物である場合に、代表的に一緒に移動される。第一の偏光材料および第二の偏光材料の両方が移動されるが、第一の偏光材料および第二の偏光材料の移動が同調していない状況の例は、結晶化トレイにより引き起こされる偏光に対して補償することである。第一の偏光材料が環状偏光材料である場合、この第一の偏光材料は代表的に回転されず、第二の偏光材料(線形の偏光物)のみが回転される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、第一の偏光材料および第二の偏光材料が消光に向けられる場合、第一の視像が記録される。
【0053】
本発明の好ましい実施形態が例示され記載されているが、種々の変更が本発明の本質および範囲から逸脱することなく本発明内でなされ得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、側面断面図で示される、顕微鏡を含む本発明のシステムの例示的な実施形態を示す。
【図2】図2は、顕微鏡の前面図を含む、図1に示されるシステムの例示的な実施形態である。
【図3】図3は、本発明のシステムにおいて使用される画像分析ソフトウェアにより実行される主要な工程を示すブロック図である。
【図4】図4は、バックグラウンド補正の1形態を示すブロック図である。
【図5】図5は、同じサンプルの異なる像を示すマトリクスを統合するためのシグナル操作の1形態を示すブロック図である。
【図6】図6は、統合されたマトリクスからの像の再構築を示すブロック図である。
【図7】図7は、結晶の像を形成するために、本発明のシステムにおいて使用される画像分析ソフトウェアプログラムの代表例によって実施される主要な工程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶の像を形成するためのコンピュータで実行可能なシステムであって、該システムは、以下:
(a)光源;
(b)回転可能な第1の偏光材料;
(c)回転可能な第2の偏光材料;
(d)光捕集デバイス;および
(e)該光捕集デバイスからの電気信号を分析するための、該コンピュータで実行可能なシステム上で実行可能なソフトウェアプログラム
を備え、作動時に、
(1)該光源からの光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該第1の偏光材料と該第2の偏光材料との間に位置するサンプルを通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過し、その後、該光捕集デバイスに衝突して像を生成し、該像は、該ソフトウェアプログラムが動作しているコンピュータデバイスに送信される電気信号の形態で、赤色成分、緑色成分および青色成分を含み;そして
(2)該ソフトウェアプログラムは、該像を、赤色成分、緑色成分および青色成分に分解し、該赤色成分と、該緑色成分と、該青色成分との間の差異を計算し、そして、該差異を合成して合成像を形成する、
システム。
【請求項2】
前記光源が、400nm〜800nmの範囲の波長を有する光を放つ、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の偏光材料が、円形の偏光材料、または、線形の偏光材料のうちの一方である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の偏光材料が、本質的に、線形の偏光材料からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の偏光材料が、該第1の偏光材料の平面に対して90°の角度にある回転軸の周りで回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の偏光材料が、本質的に、線形の偏光材料からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の偏光材料が、第1のモーターによって回転され、そして、前記第2の偏光材料が、第2のモーターによって回転される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の偏光材料が、該第2の偏光材料の平面に対して90°の角度にある回転軸の周りで回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光捕集デバイスが、カメラである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記ソフトウェアプログラムが:
(1)1〜n個のサンプルの像を取得し;
(2)該サンプルの像の各々を分解し;
(3)該分解されたサンプルの像を、一連の二次元マトリクスに換算し;
(4)該マトリクスの各々を、バックグラウンド補正に投入し;そして
(5)該バックグラウンド補正されたマトリクスを統合して、該サンプルの向上された像を構築する、
システム。
【請求項11】
複屈折結晶を可視化するためのコンピュータで実行可能な方法であって、該方法は、以下:
(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像を記録する工程であって、該結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、該結晶を照射して、該第1の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程;
(b)該第1の偏光材料または該第2の偏光材料を、回転軸の周りで一定量回転させ、そして、該結晶の第2の視像を記録する工程であって、該回転軸は、該回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして、該結晶を照射して、該第2の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程;および
(c)該第1の視像と該第2の視像とを合成して、合成像を得る工程であって、該バックグラウンドに対する該結晶のコントラストは、該第1の視像または該第2の視像におけるコントラストよりも大きい、工程
を包含する、方法。
【請求項12】
前記結晶が、複屈折材料内に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の偏光材料および前記第2の偏光材料が、同じ回転軸の周りで、同じ量だけ動かされる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の偏光材料と前記第2の偏光材料とが、消光するように方向を合わされているときに、前記第1の視像が記録される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の偏光材料および前記第2の偏光材料が、モーターにより駆動されるアセンブリによって回転される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の偏光材料および前記第2の偏光材料が、手動で回転される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
複屈折結晶を可視化するためのコンピュータで実行可能な方法であって、該方法は、以下:
(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像を記録する工程であって、該結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、該結晶を照射して、該第1の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程;および
(b)該第1の偏光材料または該第2の偏光材料を、回転軸の周りで一定量回転させ、そして、該結晶の第2の視像を記録する工程であって、該回転軸は、該回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして、該結晶を照射して、該第2の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程
を包含し、該方法において、
(1)該第1の像は、第1の像の第1の色と第1の像の第2の色とに分解され、そして、該第2の像は、第2の像の第1の色と第2の像の第2の色とに分解され、ここで、該第1の像の第1の色は、該第2の像の第1の色と同じであり、かつ、該第1の像の第2の色は、該第2の像の第2の色と同じであり;
(2)該第1の像の第1の色は、該第2の像の第1の色と比較されて、第1の色の差を与え、そして、該第1の像の第2の色は、該第2の像の第2の色と比較されて、第2の色の差を与え;そして
(3)該第1の色の差と該第2の色の差とが結合されて、合成像を与え、該バックグラウンドに対する該結晶のコントラストは、該第1の視像または該第2の視像におけるコントラストよりも大きい、
方法。
【請求項18】
前記第1の色および前記第2の色が、赤色、青色および緑色からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の像および前記第2の像が、バックグラウンドについて補正される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複屈折結晶を可視化するためのコンピュータで実行可能な方法であって、該方法は、以下:
(a)バックグラウンドに対して表示される結晶の第1の視像を記録する工程であって、該結晶は、第1の偏光材料と第2の偏光材料との間に位置し、そして、該結晶を照射して、該第1の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程;および
(b)該第1の偏光材料または該第2の偏光材料の両方を、同じ回転軸の周りで一定量回転させ、そして、該結晶の第2の視像を記録する工程であって、該回転軸は、該回転される偏光材料の平面に対して90°の角度にあり、そして、該結晶を照射して、該第2の視像を生成するために使用される光が、該第1の偏光材料を通過し、次いで、該結晶を通過し、次いで、該第2の偏光材料を通過する、工程
を包含し、該方法において、
(1)該第1の像は、第1の赤色像と第1の青色像と第1の緑色像とに分解され、そして、該第2の像は、第2の赤色像と第2の青色像と第2の緑色像とに分解され;
(2)該第1赤色像が、該第2の赤色像と比較されて、赤色像の合成像を与え、該第1青色像が、該第2の青色像と比較されて、青色像の合成像を与え、そして、該第1緑色像が、該第2の緑色像と比較されて、緑色像の合成像を与え;そして
(3)該青色像の合成像と、該赤色像の合成像と、該緑色像の合成像とが結合されて、合成像を与え、該バックグラウンドに対する該結晶のコントラストは、該第1の視像または該第2の視像におけるコントラストよりも大きい、
方法。
【請求項21】
前記第1の偏光材料および前記第2の偏光材料が、顕微鏡の構成要素である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−505319(P2008−505319A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519421(P2007−519421)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/023232
【国際公開番号】WO2006/004905
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.POLAROID
【出願人】(506422593)デコード バイオストラクチャーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】