説明

結晶性2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体、その製造方法及び前記化合物を含有する医薬組成物

本発明は、一般式(IB)


(式中、Rはベンジル−、2−(チエニル)メチル−または2−(フリル)メチル基を表し、RはC1−4アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたフェニルまたはフリル基を表す)を有するデスモトロプの結晶形及び非晶形並びにその塩及び溶媒和物、一般式(1B)を有するデスモトロプを活性成分として含有する医薬組成物、及びデスモトロプ(1A)及び(1B)の結晶形及び非晶形の製造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体の2つの異なる結晶形、すなわち結晶形A及びBの製造方法及びこれらを含有する医薬組成物である。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開第02/096879号パンフレットは、一般式(1):
【0003】
【化3】

[式中、
は水素原子またはC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を表し、
は水素原子またはC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を表し、
は水素原子;C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基;場合により1個以上のC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されているフェニル−、チエニル−またはフリル基;1〜3個の窒素原子、1個の窒素原子と1個の酸素原子、または1個の窒素原子と1個の硫黄原子を含有し、場合により1個以上のC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されている5員または6員ヘテロ芳香族環を表し、
及びRは水素原子を表し;または場合によりメチレンジオキシ基、または1個以上のC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子で置換されている1,3−ブタジエニル基を共に形成してもよく、
は水素原子、シアノ基、アミノカルボニル基、C1−4アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基を表し、
は水素原子;C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基;場合により1個以上のC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子で置換されているフェニル−、ベンジル−、チエニル−またはフリル基;または1〜3個の窒素原子、1個の窒素原子と1個の酸素原子、または1個の窒素原子と1個の硫黄原子を含有し、場合により1個以上のC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、C1−4直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されている5員または6員ヘテロ芳香族環を表し、
Xは−CH−、−NH−または−NR基(ここで、RはC1−4直鎖もしくは分枝鎖アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を表す)、硫黄または酸素原子、スルホまたはスルホキシ基を表し、
nは0、1または2の値である]
を有する2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体、並びにその溶媒和物及び異性体を記載している。
【0004】
国際特許出願公開第02/096879号パンフレットに記載されている方法によれば、一般式(1)を有する2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体は4−置換−2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体をアシル化した後生じた中間体を選択加水分解することにより製造されている。
【0005】
溶液中の一般式(1)を有する化合物のNMRスペクトルは2つの互変異性体
【0006】
【化4】

(式中、置換基は一般式(1)について上に定義したと同一の意味を有する)
の存在を示している。
【0007】
溶液中で、互変異性体1A及び1Bは溶媒及び温度により規定される平衡状態にある。
【0008】
国際特許出願公開第02/096879号パンフレットは、溶液中で主たる形態である化合物は互変異性体1Aであるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
驚くことに、本発明者らは、一般式(1)の範囲に入る一般式(I):
【0010】
【化5】

(式中、Rはベンジル−、2−(チエニル)メチル−または2−(フリル)メチル基を表し、RはC1−4アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたフェニルまたはフリル基を表す)
を有する化合物の場合、2つの互変異性体は固体状態で別々に分離され得、生じた結晶状態のデスモトロピック形態は実際無期限に保存され得る。結晶化条件に応じて、形態IAまたは形態IBが得られ、これらの形態はデスモトロプ(desmotrop:互変結合様式異性体)と見なされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
固体IR並びに15N及び13C NMR研究に基づいて、以下の一般構造がそれぞれデスモトロプIA及びデスモトロプIB
【0012】
【化6】

(式中、置換基は一般式(I)について上に定義したと同一の意味を有する)
に決定された。
【0013】
デスモトロプIAは互変異性体(1A)の固体形態、デスモトロプIBは互変異性体(1B)の固体形態である。
【0014】
デスモトロプのスペクトル特徴を比較して、本発明者らはIRスペクトルにおいて最大の違いが特徴的なアミドC=O吸収バンドの位置で見られ得、デスモトロプIAでは約1670cm−1、デスモトロプIBでは約1620cm−1に現れると述べることができる。
【0015】
固体状態で、2つのデスモトロプのそれぞれの化学シフト間の有意な差は、13C NMRスペクトルではキノリン環の2、3及び8a位の炭素原子及びカルボニル炭素原子で見られ得るのに対して、15N NMRではキノリン窒素及びカルボニル基に結合しているN原子で見られ得る。
【0016】
デスモトロプIA及びIBは再結晶によりそれぞれに変換され得、溶媒和物の形態で溶媒を含有し得る。
【0017】
上記にてらし、本発明の主題は、適切な4−置換−2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体をアシル化し、生じた中間体を選択的加水分解することによる、デスモトロプIA及びIB:
【0018】
【化7】

(式中、Rはベンジル−、2−(チエニル)メチル−または2−(フリル)メチル基を表し、RはC1−4アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたフェニルまたはフリル基を表す)
の結晶形及び非晶形の製造方法であり、
a)デスモトロプIAを製造するためには、生成物をイソブタノールから結晶化させる;
b)デスモトロプIBを製造するためには、アシル化反応を極性溶媒中で実施し、所望により生成物を極性溶媒から結晶化させる;または
c)デスモトロプIBを製造するためには、所与の場合にはデスモトロプIBの結晶を接種した後に、デスモトロプIAまたは任意の比率のデスモトロプIA及びIBの混合物を極性、無極性または双極性の非プロトン性溶媒から結晶化させることを特徴とする前記方法である。
【0019】
変形b)では、反応を2−ブタノン、アセトニトリルまたはエタノール中で実施することが好ましい。
【0020】
変形c)では、デスモトロプIAまたは任意の比率のデスモトロプIA及びIBの混合物を極性、無極性または双極性の非プロトン性溶媒から結晶化させることが好ましい。溶媒に関して、好ましくはクロロホルム、2−ブタノンまたはメタノールが使用される。
【0021】
各化合物のデスモトロプIA及びIBの特徴は実施例に示す。
【0022】
本発明の更なる主題は、デスモトロプIB並びにその塩及び溶媒和物である。
【0023】
本発明のデスモトロプIA及びIBの生物学的活性は同一であるが、物理的特性、特に溶解性、浸透性等は異なり得る。よって、薬剤中に所与の剤形にとって最も適切なデスモトロプが使用され得る。
【0024】
本発明のデスモトロプIA及びIBの製造及び説明及び構造決定の結果を以下の実施例に示すが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0025】
4−メトキシ−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−キノリン−2−イル)ベンズアミド
一般式(IA)中、Rはベンジル基を表し、Rは4−メトキシフェニル基を表す。
【0026】
3−メトキシ−N−(3−メトキシベンゾイル)−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド(1g)をアセトニトリル(16ml)中に含む溶液に1N メタノール性水酸化カリウム溶液(4ml)を添加する。反応混合物を3分間還流加熱する。そこに氷酢酸(0.6ml)を添加し、混合物を1M 炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で中和し、生じた結晶を1−ブタノール(15ml)中に熱時溶解し、濾過する。溶液を室温までゆっくり(0.2℃/分)冷却する。
【0027】
0.65gの標記化合物が得られる。
融点:188〜191℃。
IR:νCN 2220;νCO 1670cm−1
SsNMR
13C(ppm):C(2) 153.9;C(3) 87.4;C(8a) 146.6;CO 167.1。
【0028】
15N(ppm):N(1) −136.2;アミド−N −244.3;シアノ−N −105.1;ベンジルアミノ−N −297.6。
【実施例2】
【0029】
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド
一般式(IB)中、Rはベンジル基を表し、Rは4−メトキシフェニル基を表す。
【0030】
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド(1.2g)を2−ブタノン(30ml)中に含む溶液に1Nのナトリウムエチラート−エタノール溶液(5ml)を添加する。反応混合物を4分間還流加熱する。そこに氷酢酸(0.7ml)を添加し、混合物を1M 炭酸水素ナトリウム溶液(12.5ml)で中和し、生じた黄色結晶性物質を濾別する。
【0031】
0.45g(49%)の標記化合物が得られる。
融点:178〜180℃。
IR:νCN 2205;νCO 1620cm−1
SsNMR
13C(ppm):C(2) 158.2C;C(3) 81.2;C(8a) 135.4;CO 176.7。
【0032】
15N(ppm):N(1) −240.2;イミノ−N −185.4;シアノ−N −113.8;ベンジルアミノ−N −280.9。
【実施例3】
【0033】
実施例2の化合物は次のようにしても製造され得る:
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−キノリニル]−4−メトキシベンズアミド(2.0g)をクロロホルム(30ml)中に還流温度で溶解させる。溶液を熱時濾過し、室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、室温で一晩放置する。翌日、固体生成物を濾別し、真空中40℃で乾燥する。
【0034】
0.98g(49%)の生成物が得られる。
融点:180〜182℃。
IR:νCN 2205;νCO 1620cm−1
【実施例4】
【0035】
実施例2の化合物は次のようにしても製造され得る:
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−キノリニル]−4−メトキシベンズアミド(2.0g)を2−ブタノン(50ml)中に含む懸濁液を室温で10日間撹拌する。生成物を濾別し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0036】
0.74g(37%)の生成物が得られる。
融点:180〜182℃。
IR:νCN 2214;νCO 1620cm−1
【実施例5】
【0037】
実施例2の化合物のエタノールとの溶媒和物(2:1比)は次のようにしても製造され得る:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(5.0g)を96% エタノール(210ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、室温で一晩放置する。翌日、生じた沈殿を濾別し、周囲温度で96% エタノール(3ml)で洗浄し、真空中60℃で乾燥する。
【0038】
4.39g(83.14%)の生成物が得られる。
融点:110〜122℃。
IR:νCN 2206;νCO 1663cm−1
【実施例6】
【0039】
実施例2の化合物の1−プロパノールとの溶媒和物(2:1比)は次のようにしても製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(1.0g)を1−プロパノール(33ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、生じた沈殿を濾別し、周囲温度で1−プロパノール(5ml)で洗浄し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0040】
0.91g(84.8%)の生成物が得られる。
融点:111〜134℃。
IR:νCN 2210;νCO 1664cm−1
【実施例7】
【0041】
実施例2の化合物の2−プロパノールとの溶媒和物(2:1比)は次のようにして製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(0.7g)を2−プロパノール(70ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり冷却し、生じた沈殿を濾別し、周囲温度で1−プロパノール(2ml)で洗浄し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0042】
0.52g(69.3%)の生成物が得られる。
融点:111〜134℃。
IR:νCN 2210;νCO 1664cm−1
【実施例8】
【0043】
実施例2の化合物の2−プロパノールとの溶媒和物(1:1比)は次のようにして製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(30mg)を2−プロパノール(2.65ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を直ちに砕いた氷浴に入れ、衝撃急冷により0℃まで冷却し、−5℃で一晩保持する。生じた沈殿を濾別し、1−プロパノール(0.5ml)で洗浄し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0044】
21mg(61.0%)の生成物が得られる。
融点:110〜128℃。
IR:νCN 2215;νCO 1620cm−1
【実施例9】
【0045】
実施例2の化合物の2−メチル−1−プロパノールとの溶媒和物(2:1比)は次のようにして製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(100mg)を2−メチル−1−プロパノール(2.8ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温まで冷却し、生じた沈殿を濾別し、周囲温度で2−メチル−1−プロパノール(2ml)で洗浄し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0046】
67.3mg(61.7%)の生成物が得られる。
融点:110〜131℃。
IR:νCN 2206;νCO 1667cm−1
【実施例10】
【0047】
実施例2の化合物のN−メチルピロリドンとの溶媒和物(1:1比)は次のようにして製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(200mg)をN−メチルピロリドン(0.5ml)中に90℃で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、生じた沈殿を濾別し、真空中60℃で3時間乾燥する。
【0048】
113.5mg(45.7%)の生成物が得られる。
融点:105〜116℃。
IR:νCN 2212;νCO 1664cm−1
【実施例11】
【0049】
実施例2の化合物の非晶形は次のように製造される:
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(1.5g)をジクロロメタン(300ml)中に室温で溶解させ、溶液を濾過する。35℃の水浴から、透明な濾液を真空中ですぐに蒸発乾固させる。
【0050】
1.41g(94%)の生成物が得られる。
融点:88〜103℃。
IR:νCN 2210;νCO 1622cm−1
【実施例12】
【0051】
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)イリデン]−4−フルオロベンズアミド
一般式(IB)中、Rはベンジル基を表し、Rは4−フルオロフェニル基を表す。
【0052】
4−フルオロ−N−(4−フルオロベンゾイル)−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド(0.26g)をエタノール(6ml)中に含む溶液に1Nの水酸化カリウム−メタノール溶液(0.92ml)を添加する。反応混合物を5分間還流加熱する。そこに氷酢酸(0.14ml)を添加し、混合物を1M 炭酸水素ナトリウム溶液(2.5ml)で中和し、生じた黄色結晶性物質を濾別する。
【0053】
0.12gの標記化合物が得られる。
融点:190〜193℃。
IR:νCN 2214;νCO 1620cm−1
【実施例13】
【0054】
N−[(2Z)−4−(チエニルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド
一般式(IB)中、Rはチエニルメチル基を表し、Rは4−メトキシフェニル基を表す。
【0055】
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(4−チエニルメチルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミドを実施例12に類似の方法により選択加水分解することにより、標記化合物が得られた(64%)。
融点:169〜171℃。
IR:νCN 2203;νCO 1622cm−1
【実施例14】
【0056】
実施例13の化合物は次のようにしても製造され得る:
N−[4−(チエニルメチルアミノ)−3−シアノ−2−キノリニル]−4−メトキシベンズアミド(1.0g)をメタノール(55ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、室温で一晩放置する。生じた沈殿を濾別し、真空中40℃で乾燥する。
【0057】
0.88g(88%)の生成物が得られる。
融点:168〜170℃。
IR:νCN 2203;νCO 1622cm−1
【実施例15】
【0058】
実施例13の化合物の水和物(1:1比)は以下のように製造される:
N−[(2Z)−4−(チエニルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド(30mg)を90% エタノール(3ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、室温で一晩放置する。生成物を濾別し、真空中40℃で乾燥する。
【0059】
21mg(67.1%)の生成物が得られる。
融点:110℃(収縮)170〜171℃。
IR:νCN 2207;νCO 1622cm−1
【実施例16】
【0060】
N−[(2Z)−4−(フリルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド
一般式(IB)中、Rはフリルメチル基を表し、Rは4−メトキシフェニル基を表す。
【0061】
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(4−フリルメチルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミドを実施例12に類似の方法により選択加水分解することにより、標記化合物が得られた(71%)。
融点:114〜116℃。
IR:νCN 2209;νCO 1621cm−1
【実施例17】
【0062】
実施例16の化合物は次のようにしても製造され得る:
N−[4−(フリルメチルアミノ)−3−シアノ−2−キノリニル]−4−メトキシベンズアミド(30mg)を2−ブタノン(0.93ml)中に還流温度で溶解させ、熱時濾過する。溶液を室温までゆっくり(−0.2℃/分)冷却し、室温で一晩放置する。生じた沈殿を濾別し、真空中40℃で乾燥する。
【0063】
0.18mg(60%)の生成物が得られる。
融点:110〜115℃。
IR:νCN 2209;νCO 1621cm−1
【実施例18】
【0064】
N−[(2Z)−4−(フリルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−2−フリルカルボキサミド
一般式(IB)中、Rはフリルメチル基を表し、Rは2−フリル基を表す。
【0065】
N−(2−フランカルボニル)−N−(4−(2−フリルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2−イル)フラン−2−カルボキサミドを実施例12に類似の方法により選択加水分解することにより、標記化合物(88%)が得られる。
融点:188〜191℃。
IR:νCN 2212;νCO 1621cm−1
【0066】
融点は、顕微鏡検査による融解後に、Buchi 535装置とBoetius PHMK 05装置を用いて毛管法で測定した。
【0067】
IRスペクトルは、KBrペレットを用い、Bruker IFS−28FT−IR計器において4000〜400cm−1の範囲で記録した。
【0068】
固体NMR研究は、Bruker DRX−500分光計を用いて以下のパラメータに従って実施した:
ヘッド:4mm標準MASヘッド、
13
スペクトル窓:34.0kHz
検出時間:60ms
緩和時間:15s
データポイント数:8kにゼロフィルした4096
15
スペクトル窓:30.3kHz
検出時間:51ms
緩和時間:15s
データポイント数:8kにゼロフィルした3072
スピニング速度:12.0kHz、
温度:周囲温度(298K)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式IB:
【化1】

(式中、Rはベンジル−、2−(チエニル)メチル−または2−(フリル)メチル基を表し、RはC1−4アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたフェニルまたはフリル基を表す)
を有するデスモトロプの結晶形及び非晶形、並びにその塩及び溶媒和物。
【請求項2】
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−フルオロベンズアミド、
N−[(2Z)−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド、
N−[(2Z)−4−(チエニルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド、
N−[(2Z)−4−(フリルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−4−メトキシベンズアミド、
N−[(2Z)−4−(フリルメチルアミノ)−3−シアノキノリン−2(1H)−イリデン]−2−フリルカルボキサミド、並びに
その塩及び溶媒和物である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
適切な4−置換−2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体をアシル化し、生じた中間体を選択的加水分解することによる、一般式IA及びIB:
【化2】

(式中、Rはベンジル−、2−(チエニル)メチル−または2−(フリル)メチル基を表し、RはC1−4アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたフェニルまたはフリル基を表す)
を有するデスモトロプIA及びIBの結晶形及び非晶形の製造方法であって、
a)デスモトロプIAを製造するためには、生成物をイソブタノールから結晶化させる;
b)デスモトロプIBを製造するためには、アシル化反応を極性溶媒中で実施し、所望により生成物を極性溶媒から結晶化させる;または
c)デスモトロプIBを製造するためには、所与の場合にはデスモトロプIBの結晶を接種した後に、デスモトロプIAまたは任意の比率のデスモトロプIA及びIBの混合物を極性、無極性または双極性の非プロトン性溶媒から結晶化させる;
ことを特徴とする前記方法。
【請求項4】
溶媒として2−ブタノン、アセトニトリルまたはエタノールを使用することを特徴とする請求項3の変形b)の方法。
【請求項5】
溶媒としてクロロホルム、2−ブタノンまたはメタノールを使用することを特徴とする請求項3の変形c)の方法。
【請求項6】
活性成分として一般式IB(式中、置換基の意味は請求項1に定義した通りである)を有するデスモトロプ、或いはその塩または溶媒和物を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
活性成分として請求項2に記載のデスモトロプを含有することを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2007−532691(P2007−532691A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508986(P2007−508986)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/HU2005/000036
【国際公開番号】WO2005/100320
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】