絞り羽根を有する光量調節装置
【課題】機械的精度が高精度な絞り羽根を用いて絞り開口精度を向上するように構成した光量調節装置を提供する。
【解決手段】絞り羽根の形状にカットしたシート材53における、設置すべき軸部材52の中心軸(設計中心)と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部53bを穿設する。この軸部材位置決め用の穴部53bを軸部50aに挿通して位置決めする。これと同時に、軸部50aに軸部材52の穴部52a又は52cを挿通して軸部材52を位置決めする。この状態で、透明の軸部材52を透過させてレーザー光をシート材53に照射することにより、シート材53に軸部材52を溶着して、絞り羽根を構成する。これにより軸部50aで、軸部材52とシート材53とが同時に位置決めされることにより、誤差の生じる要因を減少させ、高精度で絞り羽根を構成できる。
【解決手段】絞り羽根の形状にカットしたシート材53における、設置すべき軸部材52の中心軸(設計中心)と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部53bを穿設する。この軸部材位置決め用の穴部53bを軸部50aに挿通して位置決めする。これと同時に、軸部50aに軸部材52の穴部52a又は52cを挿通して軸部材52を位置決めする。この状態で、透明の軸部材52を透過させてレーザー光をシート材53に照射することにより、シート材53に軸部材52を溶着して、絞り羽根を構成する。これにより軸部50aで、軸部材52とシート材53とが同時に位置決めされることにより、誤差の生じる要因を減少させ、高精度で絞り羽根を構成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒に搭載され、高精度で製作された絞り羽根を用いて絞り開口精度を向上させるようにした絞り羽根を有する光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラ等の光学機器に用いられるレンズ鏡筒には、光量調節を行うために、絞り羽根方式の光量調節装置を装着したものがある。
【0003】
このような光量調節装置は、複数の絞り羽根を用い、虹彩のように光軸を中心にして開口径を変化させている。この絞り羽根は、一般的に、遮光のための羽根基板と羽根基板を回動するために設けられた軸部とで構成されている。
【0004】
従来の光量調節装置に用いられる絞り羽根は、薄板状の羽根基板と軸部とを合成樹脂により一体成形されていることが知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、このような絞り羽根を製作する場合には、図11に例示するような製造装置によって、光量調節装置に用いられる絞り羽根を製作することが考えられる。
【0005】
この製造装置は、軸部材104とシート材103とを一体的に固着して、絞り羽根として機能する形状を構成する。このため、製造装置は、シート材103を載置する設置台101と、シート材103の浮き上がりを押さえる押え部材102と、軸部材104を押さえる押え板105とを備える。また、図示しないが、シート材103に軸部材104を溶着するためのレーザー光線を照射するレーザー光線照射装置を備える。
【0006】
さらに、この製造装置には、絞り羽根を載置するための設置台101上に、絞り羽根の素材となるシート材103を位置決めするための位置決めピン部101a、101bを立設する。これと共に、設置台101上には、シート材103を設置台101との間に挟み付けて浮き上がるのを防止するための押え部材102を位置決めするための位置決めピン部101c、101dを立設する。
【0007】
次に、上述のように構成された製造装置を用いて絞り羽根を製作する工程について説明する。
【0008】
この絞り羽根の製作工程では、まず、設置台101の設置面101e上に絞り羽根の形状にカットされたシート材103を設置する。その際、位置決めピン部101a、101bがシートに穿設された位置決め穴部103a、103bにそれぞれ嵌合させる。これによりシート材103は、設置台101に対してシート材103の設置面に平行な方向(図中X軸に平行な方向)の位置が位置決めされる。
【0009】
次に、設置台101に載置したシート材103の上に、押え部材102を重ねるように組み込む。この押え部材102には、位置決め用の穴部102a、102bと、逃げ穴102c、102dが穿設されている。この押え部材102は、位置決め用の穴部102a、102bに、受け台101に設けられた位置決めピン部101c、101dを嵌合させることにより位置決めして、設置台101に組み込む。このとき、設置台101から突出する位置決めピン101a、101bは、逃げ穴102c、102d内に遊挿される。
【0010】
このように設置台101上に、シート材103を介して押え部材102を組み込んだ状態では、シート材103の面103cが平面的に押えられ、その面に垂直な方向(図中Y軸方向)への移動が制止された状態となる。
【0011】
すなわち、シート材103は、受け台101と押え部材102とによって挟まれた状態で位置決めされ、製造装置にセットされる。
【0012】
また、押え部材102には、シート材103に固着する軸部材104を挿入する貫通穴である穴部102eが穿設されている。この軸部材104は、透明な材料で形成されシート材103に固着されて絞り羽根を構成する。軸部材104は、絞り羽根操作用の部材に設けられた丸穴およびカム穴に嵌合されて絞り羽根を旋回させ、絞り開口を変化させるよう操作されるものである。
【0013】
さらに、この製造装置では、押え部材102における、穴部102eの上側に幅の大きい穴部102fを穿設する。
【0014】
この製造装置では、押え部材102の穴部102eに軸部材104を挿入した後、透明な材料で形成された押え板105を穴部102fに挿入して、軸部材104の上面104aを押さえるように設置する。
【0015】
これにより、軸部材104の下面104bは、シート材103の上面103cに圧接された状態に保持される。
【0016】
次に、この製造装置では、図示しないレーザー光線照射装置により、押え部材102の上方から、レーザー光106を発射する。このレーザー光106は、透明な押え板105及び軸部材104を透過して、シート材103の当接面103d(図中矢印方向)に照射される。これにより当接面103dが発熱し、軸部材104の下面104bとシート材103の当接面103dとが局部的に溶融する。その後、レーザー光106の照射を遮断すると溶融部分が固まり、軸部材104とシート材103が一体的に固着され、絞り羽根として機能する形状が形成される。
【特許文献1】特開平6−317826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来の製造装置で製作した光量調節装置の絞り羽根では、シート材103の面103cに対する軸部材104の位置決め精度(X軸に平行な方向の取り付け精度)が悪かった。それは以下の理由による。まず受け台101に対してシート材103のX方向の位置は、位置決めピン部101a、101bと穴部103a、103bの嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向の位置ズレが生じる。さらに設置台101に対して押え部材102のX軸に平行な方向の位置は、位置決めピン101c、101dと穴部102a、102bの嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向の位置ズレが生じる。これらの誤差は、重なって軸部材104の嵌合のための穴部102eのX軸に平行な方向への位置ズレとなる。
【0018】
また、位置決めピン101a、101bの位置に対する位置決めピン101c、101dのX軸に平行な方向の位置誤差も加わる。これと共に、穴部102a、102bの位置に対する穴部102eのX軸に平行な方向の位置誤差も加わる。さらに、押え部材102に対して軸部材104のX軸に平行な方向の位置は、穴部102eと軸部材104の嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向に位置ズレが生じる。
【0019】
このような従来の製造装置で製作した場合には、上述のようなガタおよび位置誤差により、シート材103の面103cに対する軸部材104の位置決め精度が悪くなっていた。これと共に、絞り羽根における軸部材104の位置精度が悪い場合には、絞り開口精度を悪化させる原因となる。
【0020】
本発明の目的は、機械的精度が高精度な絞り羽根を形成し、この高精度な絞り羽根を用いて絞り開口精度を向上するように構成した絞り羽根を有する光量調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明の絞り羽根を有する光量調節装置は、板状材を絞り羽根の形状に形成し、前記軸部材を一体に固着して構成した絞り羽根を、前記軸部材を操作して絞り開口を変化させるように装着した絞り羽根を有する光量調節装置において、
前記絞り羽根が、
前記板状材における、設置すべき前記軸部材の中心軸と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部を穿設する工程と、
前記板状材の前記軸部材位置決め用の穴部に軸部を挿通して位置決めする工程と、
前記軸部に、位置決め用の穴部を挿通して、透明な材料で形成した前記軸部材を位置決めする工程と、
前記軸部に位置決めされている前記軸部材にレーザー光を透過させて、前記軸部に位置決めされている前記板状材に照射することによって、前記板状材に前記軸部材を溶着する工程と、により製作されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絞り羽根となるシート材(薄板)に軸部材を、高い位置精度で取り付けることができるため、機械的精度の高い絞り羽根を形成できる。これにより光量調節装置に装着された複数枚の高精度の絞り羽根が重なることによって形成される絞り開口部の開口精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
[カメラシステム]
先ず、本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒(レンズ装置)が装着されたカメラシステムについて説明する。
【0026】
図5は、本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒が装着されたカメラシステムを示すブロック図である。図5において、200はカメラ本体、300はカメラ本体200に着脱自在な交換レンズ本体である。
【0027】
カメラ本体200には、交換レンズ本体300が装着されて、レンズ交換式オートフォーカス(AF)一眼レフカメラを構成している。
【0028】
このカメラのマイクロコンピュータで構成されるカメラ制御部201は、後述するカメラ本体200に搭載された各種装置の動作を制御する。更に、カメラ制御部201は、レンズ本体300が装着された状態で、レンズ接点302とカメラ接点202が接続されて、レンズ制御部301との間で通信を行う。
【0029】
このカメラのユーザが操作するための電源スイッチ203は、カメラ制御部201を起動してカメラ本体200の各アクチュエータやセンサ等への電源供給を行い、動作可能な状態とするためのスイッチである。
【0030】
このカメラのユーザが操作可能な2段ストローク式のレリーズスイッチ204は、オン動作されたときの信号をカメラ制御部201に入力するよう構成されている。カメラ制御部201は、レリーズスイッチ204から入力された信号に従い、以下の撮影動作を行う。
【0031】
即ち、ユーザが第1ストロークスイッチをONすると、SW1信号が出力される。すると、カメラ制御部201は、測光装置205による露光量演算や測距装置208による被写体の測距演算や測距結果に基づいた合焦装置306によるフォーカスレンズの合焦動作や合焦判定等の撮影準備状態に移行する。
【0032】
このカメラでは、ユーザが、第2ストロークスイッチをONするとSW2信号が出力される。するとカメラ制御部201は、レンズ本体300のレンズ制御部301に対して後述する絞り装置307の駆動命令を出力する。尚、レンズ制御部301は、後述するレンズ本体300の各種装置の動作を制御する。カメラ本体200に装着されてレンズ接点302とカメラ接点202が接続された状態で、レンズ制御部301は、カメラ制御部201との間で通信を行う。このレンズ制御部301は、絞り装置307を駆動制御する。
【0033】
このカメラのカメラ制御部201は、露光装置206に露光開始指令を出力して実際に露光動作を実行させ、露光装置206から露光終了信号を受信すると記憶装置207に記録開始指令を出力して撮影画像の記憶を行う。
【0034】
このカメラの表示装置209は、カメラ制御部201からの表示制御指令に基づいて、絞り値やシャッタスピード等の各種撮影条件や、撮影枚数、電池残量、各種モードの表示を行う。
【0035】
このカメラの合焦装置306は、フォーカスレンズ及びその保持部材と、フォーカスレンズを目標位置まで駆動するためのレンズ駆動手段と、レンズ駆動手段の駆動力をフォーカスレンズに伝達する伝達機構と、を有する。更に、合焦装置306は、カメラ制御部201から出力されたフォーカスレンズの移動量の情報に従い、レンズ制御部301によって制御され、レンズ駆動手段に駆動指令を出力するレンズ駆動回路を有する。
【0036】
このカメラの絞り装置307は、絞り開口面積(開度)を設定する絞り機構と、絞り機構を駆動するための絞り駆動部とを有する。これと共に、カメラ制御部201からの絞り動作指令に従ってレンズ制御部301により制御され、絞り駆動部に駆動指令を出力する絞り駆動回路と、を有する。
【0037】
尚、本発明の光量調節装置は、上記絞り装置の絞り機構及び絞り駆動部を含むものとする。
【0038】
[光量調節装置の構成]
次に、カメラのレンズ鏡筒に装着される光量調節装置における絞り羽根を用いた絞り装置について説明する。図4は、本発明の光量調節装置を構成する絞り羽根を用いた絞り装置の分解斜視図である。
【0039】
図4において、1は、この光量調節装置に用いる、合成樹脂等の弾性材料で形成されたカバー部材であり、後述する絞り駆動部としてのローターユニットをカバーする。カバー部材1は、後述する回転軸4を軸支する軸受1aと、ボビン5の端子を挿通させる穴部1b−1〜1b−4とを有する。また、カバー部材1は、後述する位置検出素子12の抜けを抑える張り出し片1cと、この張り出し片1cに形成されて位置検出素子12の端子部12aを挿通させる穴部1c−1〜1c−3とを有する。
【0040】
また、カバー部材1は、位置検出素子12の端面部に接触する突起部1j(図6)を有する。更に、カバー部材1は、後述するベース部材13に締結される座部1dと、この座部1dに形成された挿通穴1d−1とスナップフィット結合するように先端部に係止爪部が形成された弾性片部1k(図6)とを有する。このカバー部材1は、座部1dと後述する駆動部材を収納する収納部とを橋渡しする薄肉片部1f(図6)と、ベース部材13と嵌合することにより位置決めするための嵌合片部1e−1,1e−2(図6)とを有する。このカバー部材1は、後述するヨーク部材9を嵌合させて位置決めするための嵌合部1g−1,1g−2,1h−1〜1h−4(図6)を有する。
【0041】
また、光量調節装置を示す図4で、2は永久磁石で形成されたロータ、3はロータ2を接着等で固定するための円盤形状のコア、4はコア3を圧入等で固定するための回転軸である。5a,5bは合成樹脂等で形成されたボビンで、給電のための端子部を有しており、コイル6a,6bが取り付けられると共に、端子部にコイルの引き出し線が連結され、半田によるメッキ処理が施されている。
【0042】
この図4で、7は潤滑性の高い材料で形成され、コア3の端面部と後述の軸受10の端面部の摺動摩擦を低減させるためのワッシャである。8は絶縁性のあるシート材により形成され、コイル6a,6bと後述のヨーク9の間に配置されて両者が導通しないようにするためのシート部材であり、後述の軸受10の逃げ穴部8aと後述のヨーク9の逃げ穴部8b−1,8b−2が形成されている。
【0043】
この光量調節装置を示す図4で、9は軟磁性材料で形成されたヨークである。このヨーク9は、ロータ2と対向するように曲げられたステータ部9b−1,9b−2、後述の軸受10を圧入等により固定するための穴部9a、カバー部材1と嵌合するための嵌合面部9c−1〜9c−6を有している。軸受10は磁性材料で形成され、回転軸4が係合する軸受穴10aとフランジ部10bとを有している。
【0044】
この光量調節装置を示す図4で、11はピニオンで、回転軸4の先端に圧入等により固定されるための穴部11aと、駆動部の回転力を後述のロータリープレート14に伝達するためのギヤ部11bとを有している。12は後述のロータリープレート14の回転位置を検出するためのフォトインタラプタ等の位置検出素子であり、端子部12aを有する。
【0045】
この光量調節装置は、合成樹脂等で形成されたベース部材13を有する。ベース部材13は、光軸方向に突出した突出部13aを有する。突出部13aには、カバー部材1の座部1dの裏面に当接する受け面部13a−3が形成されている。また、突出部13aには、嵌合片部1e−1,1e−2の嵌合端面部1e−1−a、1e−2−a(図6)に嵌合する嵌合突起部13a−2が形成されている。また、突出部13aには、締結部材17を締め込む穴部13a−1が形成されている。
【0046】
また、ベース部材13には、ピニオン11を挿通させる穴部13bと、軸受10のフランジ部10bを嵌合させる穴部13cと、ヨーク9の端面部に当接する座面部13dとが形成されている。このベース部材には、位置検出素子12を収納する収納部13eと、後述のロータリープレート14の遮蔽板部14aの逃げ穴13gとが形成されている。このベース部材13には、弾性片部1k(図6)の挿通穴13fと、後述のカムプレート16の係止爪部16b−1〜16b−3とが係合する係止溝13h−1〜13h−3が形成されている。このベース部材13には、位置決め軸16a−1,16a−2に係合する穴部及び溝部13i−1,13i−2が形成されている。このベース部材13には、後述のロータリープレート14のリブ部14b−1〜14b−6が係合する穴部13jが形成されている。
【0047】
この光量調節装置を示す図4で、14は合成樹脂等で形成された回転部材としてのロータリープレートであり、位置検出素子12の投射光を遮蔽する遮蔽板部14aが突設されている。このロータリープレート14は、穴部13jに係合してロータリープレート14を光軸中心に回転させるリブ部14b−1〜14b−6を有する。
【0048】
ロータリープレート14は、ピニオン11のギヤ部11bに噛み合い、ロータリープレート14に回転力を伝達するギヤ部14cを有する。また、ロータリープレート14には、後述の絞り羽根15の軸部15a−1,15b−1,15c−1,15d−1,15e−1,15f−1を係合させるための穴部14d−1〜14d−6が形成されている。また、ロータリープレート14には、ベース部材13の端面部に光軸方向に当接してプレート14を光軸方向に位置決めするための突起部14e−1〜14e−3が形成されている。なお、14e−3は図示しないが、3箇所の突起部が略光軸まわりに等分に配置される。ここで14fは、開口径である。
【0049】
この光量調節装置を示す図4で、15a〜15fは、合成樹脂又は金属薄板等で形成された絞り羽根であり、穴部14d−1〜14d−6に係合する軸部15a−1,15b−1,15c−1,15d−1,15e−1,15f−1を有する。また、絞り羽根15には、後述のカムプレート16のカム穴16c〜16hに係合する軸部15a−2,15b−2,15c−2,15d−2,15e−2,15f−2が形成されている。なお、軸部15b−2,15c−2,15d−2は図示しない。
【0050】
すなわち図10に示すように、1個の絞り羽根15aは、その一方の側面に軸部15a−1を突設し、その他方の側面に軸部15a−2を突設して構成する。
【0051】
この絞り羽根15aは、その一方の側面に突設された軸部15a−1を、ロータリープレート14の穴部14d−1に係合させる。これと共に、この絞り羽根15aは、その他方の側面に突設された軸部15a−2を、カムプレート16のカム穴16cに摺動自在に挿通して配置する。
【0052】
このように配置された絞り羽根15aは、ロータリープレート14の回動動作に連動して軸部15a−1が移動すると、軸部15a−2がカムプレート16のカム穴16c内を移動する。これにより絞り羽根15aは、ロータリープレート14と共に公転しながら、軸部15a−1の周りに自転する動作を行って、図8に示すように、略円形に整った絞り開口の口径を変化させる絞り動作を行う。
【0053】
なお、他の絞り羽根15b〜15fにも、それぞれ上述と同様にして、軸部15b−1〜15f−1と、軸部15b−2〜15f−2とが形成される。そして、他の絞り羽根15b〜15fも、それぞれ同様にして、ロータリープレート14とカムプレート16との間に装着される。
【0054】
このカム部材としてのカムプレート16は、カム穴16c〜16hを有する。また、カムプレート16は、ベース部材13との位置決めのための軸部16a−1,16a−2、ベース部材13にカムプレート16をスナップフィット結合させるための係止爪部16b−1〜16b−3、開口穴部16kを有する。
【0055】
次に、この光量調節装置を構成する各部品の相互関係について、図4、図6及び図7を参照して、組立手順に従って説明する。
【0056】
この光量調節装置組立にあたっては、まず、ヨーク9に軸受10を取り付ける。このため、ヨーク9の穴部9aには、軸受10の外周部分を圧入等によって固定する。このとき、軸受10のフランジ部10bが、ヨーク9の端面部に当接し、軸受10のヨーク9に対する位置が決まる。
【0057】
次に、ヨーク9にシート部材8を敷設する。その際、ヨーク9のステータ部9b−1,9b−2を穴部8b−1,8b−2に挿通させる。
【0058】
次に、コイル6a,6bが取り付けられたボビン5a、5bの中空穴部(不図示)をヨーク9のステータ部9b−1,9b−2に挿通させる。
【0059】
次に、ロータ2と回転軸4が一体となったローターユニットの回転軸4にワッシャ7を挿通し、回転軸4の端部を軸受10の穴部10aに係合させる。
【0060】
次に、ヨーク9をカバー部材1に取り付ける。その際、ヨーク9の嵌合面部9c−1〜9c−6が嵌合部1h−1〜1h−4,1g−1,1g−2にそれぞれ嵌合する。また、この時に嵌合部の一部、例えば9c−5,9c−6と1g−1,1g−2を圧入すると、ヨーク9がカバー部材1に固定され、組立の際に不用意に分解してしまうことがなくなる。上述した組立後の状態を図6に示す。
【0061】
次に、ピニオン11を回転軸4の先端部に圧入等により固定する。
【0062】
次に、カバー部材1をベース部材13に取り付ける。このため、図7に示すように、ピニオン11まで取り付けた状態のカバー部材1を、光軸方向にベース部材13に移動させていく。その際、位置検出素子12をベース部材13の収納部13eに収める。更にカバー部材1をベース部材13に接近させていき、嵌合面部1e−1−a、1e−2−a(図6)を突起部13a−2(図4)にそれぞれ嵌合させる。また、軸受10のフランジ部10bをベース部材13の穴部13cに嵌合させる。これらの嵌合により、カバー部材1がベース部材13に位置決めされる。
【0063】
これらの嵌合と同時に、穴部1c−1〜1c−3に端子部12aを挿通させる。そして、更にカバー部材1をベース部材13に接近させていくと、座部1dの端面部が受け面部13a−3に当接する。そして、締結部材17により締め込まれ、カバー部材がベース部材に固定される。
【0064】
一方、カバー部材1をベース部材13に取り付けた状態では、カバー部材1の係止爪部1kがスナップフィット結合により、ベース部材に固定される。
【0065】
[絞り羽根の製造方法と機械的構成]
次に、上述のように構成した光量調節装置に用いて好適な絞り羽根の製造方法と機械的構成について、図1を参照しながら説明する。
【0066】
図1は、シート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【0067】
この絞り羽根の製造装置は、予め用意された絞り羽根の形状に形成されたシート材(薄板)53の所定位置に軸部材52をレーザー光により溶着して一体化させるための装置である。このため、シート材(薄板)53と軸部材52とを予め製作して用意しておく。なお、この絞り羽根では、一方の側面に突設する軸部材52と、他方の側面に突設する軸部材52とを、同一の絞り羽根の製造装置で製作する。
【0068】
この薄板であるシート材53は、遮光性を有し、レーザー光で溶融可能な材料であるプラスチック等の合成樹脂で製作したシート状の板状材を絞り羽根の形状にカットして形成する。さらに、シート材53には、設置すべき軸部材52と中心軸(設計中心)を一致させた同軸(同芯)の貫通穴である軸部材位置決め用の穴部53bを穿設する。また、シート材53には、軸部材位置決め用の穴部53bの補助として、シート材53全体を位置決めするため、図示しない2つの補助用位置決め穴部を穿設する。
【0069】
また、絞り羽根を構成するための軸部材52は、レーザー光で加熱溶融された部材から受けた熱で溶融可能な材料である透明プラスチック等の合成樹脂を材料として一体形成する。この軸部材52は、円筒状で中空内部の中間部を竹の節状に塞ぐ仕切り壁を設けて、断面H状の回転体形状に構成する。
【0070】
この軸部材52は、ロータリープレート14の穴部14d−1〜14d−6と、カムプレート16のカム穴16c〜16hとに係合されて絞り羽根を旋回させ、絞り開口を変化させるよう操作されるものである。
【0071】
この絞り羽根の製造装置は、シート材53を載置する平面台である設置台50と、シート材53の浮き上がりを押さえる押え部材51と、軸部材52を押さえる押え板54とを備える。また、図示しないが、シート材53に軸部材52を溶着するためのレーザー光線を照射するレーザー光線照射装置を備える。
【0072】
この製造装置の設置台50上には、シート材53の軸部材位置決め用の穴部53bを挿通して、軸部材52の取り付け部分を正確に位置決めするための軸部50aを立設する。
【0073】
さらに、この軸部50aは、軸部材52の中空穴である穴部52a、52cの内部に挿入されて、軸部材52の中心軸が設計中心と一致するように位置決め可能な直径と高さに形成する。
【0074】
すなわち、軸部材52は、その穴部52a、52cの内径を、軸部50aを挿入して位置決め可能な寸法となるように、軸部50aの外径以上の近似した寸法に形成する。なお、軸部材52は、一方の穴部52aが軸部50aに嵌合されても、また他方の軸部50cが軸部50aに嵌合されても良い。
【0075】
また、図示しないが、設置台50上には、シート材53の図示しない2つの補助用位置決め穴部に挿入する2つの位置決めピン部を立設する。これと共に、設置台50上には、シート材53を設置台50との間に挟み付けて浮き上がるのを防止するための押え部材51を位置決めするための図示しない位置決めピン部を立設する。
【0076】
この製造装置を構成する押え部材51には、軸部材52を遊挿して倒れないようにガイドするための保持用の穴部51aを穿設する。
【0077】
さらに、押え部材51には、保持用の穴部51aの上側に段状に連続するよう、同芯で大径の保持穴51bを穿設する。
【0078】
この押え部材51には、図示しないが、設置台50に立設された2つの位置決めピン部が当たらないように逃げる2つの逃げ穴を穿設する。さらに、押え部材51には、図示しないが、設置台50に立設された位置決めピン部を嵌合させることにより位置決めするための2つの位置決め用の穴部を穿設する。
【0079】
また、この絞り羽根の製造装置で用いる押え板54は、透明のガラス又は樹脂等で厚肉の平板状に形成したもので、押え部材51の保持穴51bに遊挿される厚肉円板等の外形に形成する。
【0080】
次に、本実施の形態に係わる製造装置を用いて絞り羽根を製作する工程について説明する。
【0081】
この絞り羽根の製作工程では、まず、設置台50の設置面上に絞り羽根の形状にカットされたシート材53を載置する。その際、設置台50の軸部50aを、シート材53の軸部材位置決め用の穴部53bに挿通して嵌合させることにより、シート材53における軸部材位置決め用の穴部53bの近傍を確実に適正位置に位置決めする。さらに、図示しないが、シート材53は、設置台50に立設された位置決めピン部に、シート材53に穿設された位置決め穴部を挿通してシート材53全体を位置決めする。これによりシート材53は、設置台50に対してシート材53の設置面に平行な方向(図中X軸に平行な方向)の位置が位置決めされる。
【0082】
次に、設置台50に載置したシート材53の上に、押え部材51を重ねるように組み込む。このとき、図示しないが、押え部材51の位置決め用の穴部に、設置台50に設けられた位置決めピン部を嵌合させることにより位置決めする。なお、このとき、設置台50から突出するシート材53用の位置決めピンは、押え部材51の逃げ穴内に逃がされる。
【0083】
このように設置台50上に、シート材53を介して押え部材51を組み込んだ状態では、シート材53の面が平面的に押えられ、その面に垂直な方向(図中Y軸方向)への移動が制止された状態となる。すなわち、シート材53は、設置台50と押え部材51とによって挟まれた状態で位置決めされ、製造装置にセットされる。
【0084】
さらに、設置台50上に載置されたシート材53を押え部材51で挟んだ状態で位置決めしてセットした状態で、押え部材51の穴部51a内に軸部材52を挿入する。
【0085】
このように設置台50上にシート材53を押え部材51押さえてセットした状態で、押え部材51の穴部51a内に、軸部材52を挿入する。このとき、軸部材52は、設置台50の軸部50aに穴部52a(穴部52cでも良い)が嵌合されて、設置台50の軸部50aの中心軸と、軸部材52の中心軸とが一致するように位置決めされる。なお、このとき軸部材52の外周面は、穴部51aに対してクリアランスを有する遊挿状態となっている。この押え部材51の穴部51aは、軸部材52を挿入する際の案内となるもので、設置台50の軸部50aの中心軸と、軸部材52の中心軸とが一致するように位置決めする動作を妨げないようになっている。
【0086】
次に、押え部材51の穴部51a内に軸部材52が挿入された状態で、保持穴51b内に押え板54を入れ、軸部材52の上面を、押え板54の自重で押さえる。すなわち、押え板54は、軸部材52がシート材53の面53aより浮かないようにその自重で図中−Y方向に押えている。これにより、軸部材52の溶着面である下側の面53aが、シート材53の表面に圧接された状態に保持される。
【0087】
次に、この製造装置では、図示しないレーザー光線照射装置により、押え部材51の上方から、レーザー光55a、55bを発射する。このレーザー光55a、55bは、透明な押え板54及び軸部材52を透過して、シート材53の当接面である面53aに照射される。これによりシート材53の面53aが発熱し、面53aと、軸部材52の下面とが局部的に溶融する。その後、レーザー光55a、55bの照射を遮断すると溶融部分52b−1、52b−2が固まり、軸部材52とシート材53とが一体的に固着され、絞り羽根として機能する形状に構成される。
【0088】
よって、この製造装置では、設置台50に立設された軸部50aによって、シート材53の軸部材52を固着する部分に相当する軸部材位置決め用の穴部53bの近傍と、軸部材52とが同軸上で位置決め保持される。このため、この製造装置では、X軸に平行な方向の位置ズレが生じる主な要素が、軸部50aへの軸部材52の穴部52a、53bの嵌合ガタのみとなるので、従来よりもシート材53に対して軸部材52がX軸に平行な方向に精度よく位置決めできる。
【0089】
さらに、位置決め精度を向上するため、この製造装置では、位置決め用の軸部50aを、先端に向かうほど径が小さくなるようなテーパー状(円錐台形状)等の斜面に形成する。これと共に、この製造装置では、位置決め用の穴部52aを穴の深さが深くなるほど径が小さくなるようにテーパー形状(円錐台の穴形状)等の斜面に形成する。そして、穴部52aが軸部50aにガタが生じない程度の嵌め合い寸法に設定した場合には、穴部52aと軸部50aのガタが抑えられ、より精度よく位置決めされる。また、このように構成した場合には、軸部材52が固定されたシート材53を設置台50から取り外す際にも、テーパー形状になっているので作業を容易に行える。
【0090】
以上の構成により寸法精度の高い絞り羽根が形成でき、良好な絞り口径精度が得られ、より撮影者の意図に則した撮影を行うことが可能になる。
【0091】
すなわち、絞り羽根15a〜15fに高い寸法精度で、軸部15a−1〜15f−1と、軸部15a−2〜15f−2と、を設けた場合には、図8に示すように、略円形に整った絞り開口OPの口径を変化させる絞り動作を行う。このように、高い精度で絞り口径を調整できる場合には、適正な露出が得られる。また、絞り開口OPを円形に整えられる場合には、絞り開口OPの形状が円形に近いほど、いわゆる良好なボケ味の撮影画像を得ることができる。よって、高い精度で絞り口径を調整でき、絞り開口OPを円形に整えられる場合には、より撮影者の意図に則した撮影を行うことが可能になる。
【0092】
なお、図9に例示するように、絞り羽根15cにおける軸部15c−2の取り付け位置精度が悪い場合には、絞り込んだときの絞り開口OBの形状が崩れて円形でない形状となってしまい、良好なボケ味の撮影画像を得ることができなくなる。
【0093】
[絞り羽根の製造装置の他の構成例]
次に、絞り羽根の製造装置の他の構成例について、図2及び図3を参照して説明する。
【0094】
図2は、シート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための、他の構成の製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【0095】
図3は、図2のA−A線で切断しY方向に見た状態を示す拡大断面図である。なお、この図2及び図3において、前述した図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0096】
この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置は、軸部材52とシート材53との溶着部が軸部材52の外周よりも外側にはみ出さないようにするためのものである。例えば、シート材53に軸部材52を溶着により接合する際に、レーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材52とシート材53を設置台50上に設置するときのばらつき等に起因し、溶融面積が拡大する場合がある。このような場合には、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及んでしまって、意図しない凸部が生じることがある。このようにして絞り羽根の軸部材52の近傍に凸部ができると、この軸部材52近傍の凸部が、近接する他の部品と機械的に干渉して、絞り羽根の開閉動作に支障をきたし、絞り口径精度に悪影響を及ぼしかねない。
【0097】
そこで、この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置は、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及ばないように、軸部材52の内径寄りにレーザー光を照射して溶着するよう構成されている。
【0098】
この絞り羽根の製造装置では、設置台60に立設した軸部60aに、に図3に示すように、軸方向に伸びる、断面略U字状の逃げ用の溝部60a−1〜60a−3を複数本穿設する。
【0099】
この軸部60aでは、溝部以外部分である円弧の面60b−1〜60b−3に、シート材53の穴部53bと軸部材52の穴部52aとを嵌合して位置決めする。
【0100】
この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置では、図2に矢印で示すようにレーザー光62a、62b、62cを、軸部材52の内径寄りに照射する。すると、軸部材52とシート材53aとの当接面では、軸部材52の内径寄り(穴部52aの直径付近)の部分が溶着する。
【0101】
このとき、レーザー光の照射位置は、製造時のレーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材52とシート材53の設置位置のばらつき等を考慮にいれて設定する。要するに、レーザー光の照射位置は、溶着はみ出し部61a〜61cが軸部材52の外径を超えないように設定する。
【0102】
なお、このようにした場合には、溶着部が、61a〜61cとして示されているように穴部52aの直径よりも内側にはみ出すことになる。そこで、ちょうど溶着部がはみ出す付近に、溝部60a−1〜60a−3を配置することによって、溶着はみ出し部61a〜61cを逃がすように構成する。これらの逃げ量は、レーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材とシート部材の設置のばらつきなどを考慮にいれても、溶着はみ出し部61a〜61cが溝部60a−1〜60a−3に達しない程度に設定する。
【0103】
このように構成した絞り羽根の製造装置では、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及ぶことがないように絞り羽根を製作できるので、絞り口径精度への悪影響を回避できる。また、軸部材52をシート材53に固定して絞り羽根が完成した後に、製造装置から取り出す際には、溶着はみ出し部が溝部60a−1〜60a−3内に逃げるので、引っ掛かりなく行うことができる。
【0104】
よって、図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置によれば、意図した良品の絞り羽根が安定して製造できるので、生産性が向上するだけでなく、ばらつきが少なく良好な絞り性能を持った光量調節装置を提供できる。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の絞り羽根を有する光量調節装置の実施の形態に係わるシート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【図2】本発明の絞り羽根を有する光量調節装置の実施の形態に係わる、他の構成の製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線で切断しY方向に見た状態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の光量調節装置に装着される絞り装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒が装着されたカメラシステムを示すブロック図である。
【図6】本発明の光量調節装置の駆動部の斜視図である。
【図7】本発明の光量調節装置の駆動部の取り付けを説明する分解正面図である。
【図8】本発明の光量調節装置に装着される、絞り羽根に高精度で軸部が形成された絞り装置部分を取り出して示す正面図である。
【図9】本発明の光量調節装置に装着される、絞り羽根に軸部が取り付け位置に誤差がある状態で形成された絞り装置部分を取り出して示す正面図である。
【図10】本発明の光量調節装置に装着される、一つの絞り羽根を取り出して示す斜視図である。
【図11】従来の絞り羽根製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0107】
13 ベース部材
14 ロータリープレート(回転部材)
14d−1〜14d−6 穴部
15 絞り羽根
15a−1〜15f−1 軸部
16 カムプレート
16c〜16h カム穴
50 設置台
50a 軸部
51 押え部材
51a 穴部
51b 保持穴
52 軸部材
52a 穴部
52b−1 溶融部分
52b−2 溶融部分
52c 穴部
53 シート材
53a 面
53b 軸部材位置決め用の穴部
54 押え板
60 設置台
60a 軸部
60a−1〜60a−3 溝部
60b−1〜60b−3 円弧の面
61a〜61c 溶着はみ出し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒に搭載され、高精度で製作された絞り羽根を用いて絞り開口精度を向上させるようにした絞り羽根を有する光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラ等の光学機器に用いられるレンズ鏡筒には、光量調節を行うために、絞り羽根方式の光量調節装置を装着したものがある。
【0003】
このような光量調節装置は、複数の絞り羽根を用い、虹彩のように光軸を中心にして開口径を変化させている。この絞り羽根は、一般的に、遮光のための羽根基板と羽根基板を回動するために設けられた軸部とで構成されている。
【0004】
従来の光量調節装置に用いられる絞り羽根は、薄板状の羽根基板と軸部とを合成樹脂により一体成形されていることが知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、このような絞り羽根を製作する場合には、図11に例示するような製造装置によって、光量調節装置に用いられる絞り羽根を製作することが考えられる。
【0005】
この製造装置は、軸部材104とシート材103とを一体的に固着して、絞り羽根として機能する形状を構成する。このため、製造装置は、シート材103を載置する設置台101と、シート材103の浮き上がりを押さえる押え部材102と、軸部材104を押さえる押え板105とを備える。また、図示しないが、シート材103に軸部材104を溶着するためのレーザー光線を照射するレーザー光線照射装置を備える。
【0006】
さらに、この製造装置には、絞り羽根を載置するための設置台101上に、絞り羽根の素材となるシート材103を位置決めするための位置決めピン部101a、101bを立設する。これと共に、設置台101上には、シート材103を設置台101との間に挟み付けて浮き上がるのを防止するための押え部材102を位置決めするための位置決めピン部101c、101dを立設する。
【0007】
次に、上述のように構成された製造装置を用いて絞り羽根を製作する工程について説明する。
【0008】
この絞り羽根の製作工程では、まず、設置台101の設置面101e上に絞り羽根の形状にカットされたシート材103を設置する。その際、位置決めピン部101a、101bがシートに穿設された位置決め穴部103a、103bにそれぞれ嵌合させる。これによりシート材103は、設置台101に対してシート材103の設置面に平行な方向(図中X軸に平行な方向)の位置が位置決めされる。
【0009】
次に、設置台101に載置したシート材103の上に、押え部材102を重ねるように組み込む。この押え部材102には、位置決め用の穴部102a、102bと、逃げ穴102c、102dが穿設されている。この押え部材102は、位置決め用の穴部102a、102bに、受け台101に設けられた位置決めピン部101c、101dを嵌合させることにより位置決めして、設置台101に組み込む。このとき、設置台101から突出する位置決めピン101a、101bは、逃げ穴102c、102d内に遊挿される。
【0010】
このように設置台101上に、シート材103を介して押え部材102を組み込んだ状態では、シート材103の面103cが平面的に押えられ、その面に垂直な方向(図中Y軸方向)への移動が制止された状態となる。
【0011】
すなわち、シート材103は、受け台101と押え部材102とによって挟まれた状態で位置決めされ、製造装置にセットされる。
【0012】
また、押え部材102には、シート材103に固着する軸部材104を挿入する貫通穴である穴部102eが穿設されている。この軸部材104は、透明な材料で形成されシート材103に固着されて絞り羽根を構成する。軸部材104は、絞り羽根操作用の部材に設けられた丸穴およびカム穴に嵌合されて絞り羽根を旋回させ、絞り開口を変化させるよう操作されるものである。
【0013】
さらに、この製造装置では、押え部材102における、穴部102eの上側に幅の大きい穴部102fを穿設する。
【0014】
この製造装置では、押え部材102の穴部102eに軸部材104を挿入した後、透明な材料で形成された押え板105を穴部102fに挿入して、軸部材104の上面104aを押さえるように設置する。
【0015】
これにより、軸部材104の下面104bは、シート材103の上面103cに圧接された状態に保持される。
【0016】
次に、この製造装置では、図示しないレーザー光線照射装置により、押え部材102の上方から、レーザー光106を発射する。このレーザー光106は、透明な押え板105及び軸部材104を透過して、シート材103の当接面103d(図中矢印方向)に照射される。これにより当接面103dが発熱し、軸部材104の下面104bとシート材103の当接面103dとが局部的に溶融する。その後、レーザー光106の照射を遮断すると溶融部分が固まり、軸部材104とシート材103が一体的に固着され、絞り羽根として機能する形状が形成される。
【特許文献1】特開平6−317826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来の製造装置で製作した光量調節装置の絞り羽根では、シート材103の面103cに対する軸部材104の位置決め精度(X軸に平行な方向の取り付け精度)が悪かった。それは以下の理由による。まず受け台101に対してシート材103のX方向の位置は、位置決めピン部101a、101bと穴部103a、103bの嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向の位置ズレが生じる。さらに設置台101に対して押え部材102のX軸に平行な方向の位置は、位置決めピン101c、101dと穴部102a、102bの嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向の位置ズレが生じる。これらの誤差は、重なって軸部材104の嵌合のための穴部102eのX軸に平行な方向への位置ズレとなる。
【0018】
また、位置決めピン101a、101bの位置に対する位置決めピン101c、101dのX軸に平行な方向の位置誤差も加わる。これと共に、穴部102a、102bの位置に対する穴部102eのX軸に平行な方向の位置誤差も加わる。さらに、押え部材102に対して軸部材104のX軸に平行な方向の位置は、穴部102eと軸部材104の嵌合によって定まるが、嵌合ガタによってX軸に平行な方向に位置ズレが生じる。
【0019】
このような従来の製造装置で製作した場合には、上述のようなガタおよび位置誤差により、シート材103の面103cに対する軸部材104の位置決め精度が悪くなっていた。これと共に、絞り羽根における軸部材104の位置精度が悪い場合には、絞り開口精度を悪化させる原因となる。
【0020】
本発明の目的は、機械的精度が高精度な絞り羽根を形成し、この高精度な絞り羽根を用いて絞り開口精度を向上するように構成した絞り羽根を有する光量調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明の絞り羽根を有する光量調節装置は、板状材を絞り羽根の形状に形成し、前記軸部材を一体に固着して構成した絞り羽根を、前記軸部材を操作して絞り開口を変化させるように装着した絞り羽根を有する光量調節装置において、
前記絞り羽根が、
前記板状材における、設置すべき前記軸部材の中心軸と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部を穿設する工程と、
前記板状材の前記軸部材位置決め用の穴部に軸部を挿通して位置決めする工程と、
前記軸部に、位置決め用の穴部を挿通して、透明な材料で形成した前記軸部材を位置決めする工程と、
前記軸部に位置決めされている前記軸部材にレーザー光を透過させて、前記軸部に位置決めされている前記板状材に照射することによって、前記板状材に前記軸部材を溶着する工程と、により製作されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絞り羽根となるシート材(薄板)に軸部材を、高い位置精度で取り付けることができるため、機械的精度の高い絞り羽根を形成できる。これにより光量調節装置に装着された複数枚の高精度の絞り羽根が重なることによって形成される絞り開口部の開口精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
[カメラシステム]
先ず、本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒(レンズ装置)が装着されたカメラシステムについて説明する。
【0026】
図5は、本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒が装着されたカメラシステムを示すブロック図である。図5において、200はカメラ本体、300はカメラ本体200に着脱自在な交換レンズ本体である。
【0027】
カメラ本体200には、交換レンズ本体300が装着されて、レンズ交換式オートフォーカス(AF)一眼レフカメラを構成している。
【0028】
このカメラのマイクロコンピュータで構成されるカメラ制御部201は、後述するカメラ本体200に搭載された各種装置の動作を制御する。更に、カメラ制御部201は、レンズ本体300が装着された状態で、レンズ接点302とカメラ接点202が接続されて、レンズ制御部301との間で通信を行う。
【0029】
このカメラのユーザが操作するための電源スイッチ203は、カメラ制御部201を起動してカメラ本体200の各アクチュエータやセンサ等への電源供給を行い、動作可能な状態とするためのスイッチである。
【0030】
このカメラのユーザが操作可能な2段ストローク式のレリーズスイッチ204は、オン動作されたときの信号をカメラ制御部201に入力するよう構成されている。カメラ制御部201は、レリーズスイッチ204から入力された信号に従い、以下の撮影動作を行う。
【0031】
即ち、ユーザが第1ストロークスイッチをONすると、SW1信号が出力される。すると、カメラ制御部201は、測光装置205による露光量演算や測距装置208による被写体の測距演算や測距結果に基づいた合焦装置306によるフォーカスレンズの合焦動作や合焦判定等の撮影準備状態に移行する。
【0032】
このカメラでは、ユーザが、第2ストロークスイッチをONするとSW2信号が出力される。するとカメラ制御部201は、レンズ本体300のレンズ制御部301に対して後述する絞り装置307の駆動命令を出力する。尚、レンズ制御部301は、後述するレンズ本体300の各種装置の動作を制御する。カメラ本体200に装着されてレンズ接点302とカメラ接点202が接続された状態で、レンズ制御部301は、カメラ制御部201との間で通信を行う。このレンズ制御部301は、絞り装置307を駆動制御する。
【0033】
このカメラのカメラ制御部201は、露光装置206に露光開始指令を出力して実際に露光動作を実行させ、露光装置206から露光終了信号を受信すると記憶装置207に記録開始指令を出力して撮影画像の記憶を行う。
【0034】
このカメラの表示装置209は、カメラ制御部201からの表示制御指令に基づいて、絞り値やシャッタスピード等の各種撮影条件や、撮影枚数、電池残量、各種モードの表示を行う。
【0035】
このカメラの合焦装置306は、フォーカスレンズ及びその保持部材と、フォーカスレンズを目標位置まで駆動するためのレンズ駆動手段と、レンズ駆動手段の駆動力をフォーカスレンズに伝達する伝達機構と、を有する。更に、合焦装置306は、カメラ制御部201から出力されたフォーカスレンズの移動量の情報に従い、レンズ制御部301によって制御され、レンズ駆動手段に駆動指令を出力するレンズ駆動回路を有する。
【0036】
このカメラの絞り装置307は、絞り開口面積(開度)を設定する絞り機構と、絞り機構を駆動するための絞り駆動部とを有する。これと共に、カメラ制御部201からの絞り動作指令に従ってレンズ制御部301により制御され、絞り駆動部に駆動指令を出力する絞り駆動回路と、を有する。
【0037】
尚、本発明の光量調節装置は、上記絞り装置の絞り機構及び絞り駆動部を含むものとする。
【0038】
[光量調節装置の構成]
次に、カメラのレンズ鏡筒に装着される光量調節装置における絞り羽根を用いた絞り装置について説明する。図4は、本発明の光量調節装置を構成する絞り羽根を用いた絞り装置の分解斜視図である。
【0039】
図4において、1は、この光量調節装置に用いる、合成樹脂等の弾性材料で形成されたカバー部材であり、後述する絞り駆動部としてのローターユニットをカバーする。カバー部材1は、後述する回転軸4を軸支する軸受1aと、ボビン5の端子を挿通させる穴部1b−1〜1b−4とを有する。また、カバー部材1は、後述する位置検出素子12の抜けを抑える張り出し片1cと、この張り出し片1cに形成されて位置検出素子12の端子部12aを挿通させる穴部1c−1〜1c−3とを有する。
【0040】
また、カバー部材1は、位置検出素子12の端面部に接触する突起部1j(図6)を有する。更に、カバー部材1は、後述するベース部材13に締結される座部1dと、この座部1dに形成された挿通穴1d−1とスナップフィット結合するように先端部に係止爪部が形成された弾性片部1k(図6)とを有する。このカバー部材1は、座部1dと後述する駆動部材を収納する収納部とを橋渡しする薄肉片部1f(図6)と、ベース部材13と嵌合することにより位置決めするための嵌合片部1e−1,1e−2(図6)とを有する。このカバー部材1は、後述するヨーク部材9を嵌合させて位置決めするための嵌合部1g−1,1g−2,1h−1〜1h−4(図6)を有する。
【0041】
また、光量調節装置を示す図4で、2は永久磁石で形成されたロータ、3はロータ2を接着等で固定するための円盤形状のコア、4はコア3を圧入等で固定するための回転軸である。5a,5bは合成樹脂等で形成されたボビンで、給電のための端子部を有しており、コイル6a,6bが取り付けられると共に、端子部にコイルの引き出し線が連結され、半田によるメッキ処理が施されている。
【0042】
この図4で、7は潤滑性の高い材料で形成され、コア3の端面部と後述の軸受10の端面部の摺動摩擦を低減させるためのワッシャである。8は絶縁性のあるシート材により形成され、コイル6a,6bと後述のヨーク9の間に配置されて両者が導通しないようにするためのシート部材であり、後述の軸受10の逃げ穴部8aと後述のヨーク9の逃げ穴部8b−1,8b−2が形成されている。
【0043】
この光量調節装置を示す図4で、9は軟磁性材料で形成されたヨークである。このヨーク9は、ロータ2と対向するように曲げられたステータ部9b−1,9b−2、後述の軸受10を圧入等により固定するための穴部9a、カバー部材1と嵌合するための嵌合面部9c−1〜9c−6を有している。軸受10は磁性材料で形成され、回転軸4が係合する軸受穴10aとフランジ部10bとを有している。
【0044】
この光量調節装置を示す図4で、11はピニオンで、回転軸4の先端に圧入等により固定されるための穴部11aと、駆動部の回転力を後述のロータリープレート14に伝達するためのギヤ部11bとを有している。12は後述のロータリープレート14の回転位置を検出するためのフォトインタラプタ等の位置検出素子であり、端子部12aを有する。
【0045】
この光量調節装置は、合成樹脂等で形成されたベース部材13を有する。ベース部材13は、光軸方向に突出した突出部13aを有する。突出部13aには、カバー部材1の座部1dの裏面に当接する受け面部13a−3が形成されている。また、突出部13aには、嵌合片部1e−1,1e−2の嵌合端面部1e−1−a、1e−2−a(図6)に嵌合する嵌合突起部13a−2が形成されている。また、突出部13aには、締結部材17を締め込む穴部13a−1が形成されている。
【0046】
また、ベース部材13には、ピニオン11を挿通させる穴部13bと、軸受10のフランジ部10bを嵌合させる穴部13cと、ヨーク9の端面部に当接する座面部13dとが形成されている。このベース部材には、位置検出素子12を収納する収納部13eと、後述のロータリープレート14の遮蔽板部14aの逃げ穴13gとが形成されている。このベース部材13には、弾性片部1k(図6)の挿通穴13fと、後述のカムプレート16の係止爪部16b−1〜16b−3とが係合する係止溝13h−1〜13h−3が形成されている。このベース部材13には、位置決め軸16a−1,16a−2に係合する穴部及び溝部13i−1,13i−2が形成されている。このベース部材13には、後述のロータリープレート14のリブ部14b−1〜14b−6が係合する穴部13jが形成されている。
【0047】
この光量調節装置を示す図4で、14は合成樹脂等で形成された回転部材としてのロータリープレートであり、位置検出素子12の投射光を遮蔽する遮蔽板部14aが突設されている。このロータリープレート14は、穴部13jに係合してロータリープレート14を光軸中心に回転させるリブ部14b−1〜14b−6を有する。
【0048】
ロータリープレート14は、ピニオン11のギヤ部11bに噛み合い、ロータリープレート14に回転力を伝達するギヤ部14cを有する。また、ロータリープレート14には、後述の絞り羽根15の軸部15a−1,15b−1,15c−1,15d−1,15e−1,15f−1を係合させるための穴部14d−1〜14d−6が形成されている。また、ロータリープレート14には、ベース部材13の端面部に光軸方向に当接してプレート14を光軸方向に位置決めするための突起部14e−1〜14e−3が形成されている。なお、14e−3は図示しないが、3箇所の突起部が略光軸まわりに等分に配置される。ここで14fは、開口径である。
【0049】
この光量調節装置を示す図4で、15a〜15fは、合成樹脂又は金属薄板等で形成された絞り羽根であり、穴部14d−1〜14d−6に係合する軸部15a−1,15b−1,15c−1,15d−1,15e−1,15f−1を有する。また、絞り羽根15には、後述のカムプレート16のカム穴16c〜16hに係合する軸部15a−2,15b−2,15c−2,15d−2,15e−2,15f−2が形成されている。なお、軸部15b−2,15c−2,15d−2は図示しない。
【0050】
すなわち図10に示すように、1個の絞り羽根15aは、その一方の側面に軸部15a−1を突設し、その他方の側面に軸部15a−2を突設して構成する。
【0051】
この絞り羽根15aは、その一方の側面に突設された軸部15a−1を、ロータリープレート14の穴部14d−1に係合させる。これと共に、この絞り羽根15aは、その他方の側面に突設された軸部15a−2を、カムプレート16のカム穴16cに摺動自在に挿通して配置する。
【0052】
このように配置された絞り羽根15aは、ロータリープレート14の回動動作に連動して軸部15a−1が移動すると、軸部15a−2がカムプレート16のカム穴16c内を移動する。これにより絞り羽根15aは、ロータリープレート14と共に公転しながら、軸部15a−1の周りに自転する動作を行って、図8に示すように、略円形に整った絞り開口の口径を変化させる絞り動作を行う。
【0053】
なお、他の絞り羽根15b〜15fにも、それぞれ上述と同様にして、軸部15b−1〜15f−1と、軸部15b−2〜15f−2とが形成される。そして、他の絞り羽根15b〜15fも、それぞれ同様にして、ロータリープレート14とカムプレート16との間に装着される。
【0054】
このカム部材としてのカムプレート16は、カム穴16c〜16hを有する。また、カムプレート16は、ベース部材13との位置決めのための軸部16a−1,16a−2、ベース部材13にカムプレート16をスナップフィット結合させるための係止爪部16b−1〜16b−3、開口穴部16kを有する。
【0055】
次に、この光量調節装置を構成する各部品の相互関係について、図4、図6及び図7を参照して、組立手順に従って説明する。
【0056】
この光量調節装置組立にあたっては、まず、ヨーク9に軸受10を取り付ける。このため、ヨーク9の穴部9aには、軸受10の外周部分を圧入等によって固定する。このとき、軸受10のフランジ部10bが、ヨーク9の端面部に当接し、軸受10のヨーク9に対する位置が決まる。
【0057】
次に、ヨーク9にシート部材8を敷設する。その際、ヨーク9のステータ部9b−1,9b−2を穴部8b−1,8b−2に挿通させる。
【0058】
次に、コイル6a,6bが取り付けられたボビン5a、5bの中空穴部(不図示)をヨーク9のステータ部9b−1,9b−2に挿通させる。
【0059】
次に、ロータ2と回転軸4が一体となったローターユニットの回転軸4にワッシャ7を挿通し、回転軸4の端部を軸受10の穴部10aに係合させる。
【0060】
次に、ヨーク9をカバー部材1に取り付ける。その際、ヨーク9の嵌合面部9c−1〜9c−6が嵌合部1h−1〜1h−4,1g−1,1g−2にそれぞれ嵌合する。また、この時に嵌合部の一部、例えば9c−5,9c−6と1g−1,1g−2を圧入すると、ヨーク9がカバー部材1に固定され、組立の際に不用意に分解してしまうことがなくなる。上述した組立後の状態を図6に示す。
【0061】
次に、ピニオン11を回転軸4の先端部に圧入等により固定する。
【0062】
次に、カバー部材1をベース部材13に取り付ける。このため、図7に示すように、ピニオン11まで取り付けた状態のカバー部材1を、光軸方向にベース部材13に移動させていく。その際、位置検出素子12をベース部材13の収納部13eに収める。更にカバー部材1をベース部材13に接近させていき、嵌合面部1e−1−a、1e−2−a(図6)を突起部13a−2(図4)にそれぞれ嵌合させる。また、軸受10のフランジ部10bをベース部材13の穴部13cに嵌合させる。これらの嵌合により、カバー部材1がベース部材13に位置決めされる。
【0063】
これらの嵌合と同時に、穴部1c−1〜1c−3に端子部12aを挿通させる。そして、更にカバー部材1をベース部材13に接近させていくと、座部1dの端面部が受け面部13a−3に当接する。そして、締結部材17により締め込まれ、カバー部材がベース部材に固定される。
【0064】
一方、カバー部材1をベース部材13に取り付けた状態では、カバー部材1の係止爪部1kがスナップフィット結合により、ベース部材に固定される。
【0065】
[絞り羽根の製造方法と機械的構成]
次に、上述のように構成した光量調節装置に用いて好適な絞り羽根の製造方法と機械的構成について、図1を参照しながら説明する。
【0066】
図1は、シート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【0067】
この絞り羽根の製造装置は、予め用意された絞り羽根の形状に形成されたシート材(薄板)53の所定位置に軸部材52をレーザー光により溶着して一体化させるための装置である。このため、シート材(薄板)53と軸部材52とを予め製作して用意しておく。なお、この絞り羽根では、一方の側面に突設する軸部材52と、他方の側面に突設する軸部材52とを、同一の絞り羽根の製造装置で製作する。
【0068】
この薄板であるシート材53は、遮光性を有し、レーザー光で溶融可能な材料であるプラスチック等の合成樹脂で製作したシート状の板状材を絞り羽根の形状にカットして形成する。さらに、シート材53には、設置すべき軸部材52と中心軸(設計中心)を一致させた同軸(同芯)の貫通穴である軸部材位置決め用の穴部53bを穿設する。また、シート材53には、軸部材位置決め用の穴部53bの補助として、シート材53全体を位置決めするため、図示しない2つの補助用位置決め穴部を穿設する。
【0069】
また、絞り羽根を構成するための軸部材52は、レーザー光で加熱溶融された部材から受けた熱で溶融可能な材料である透明プラスチック等の合成樹脂を材料として一体形成する。この軸部材52は、円筒状で中空内部の中間部を竹の節状に塞ぐ仕切り壁を設けて、断面H状の回転体形状に構成する。
【0070】
この軸部材52は、ロータリープレート14の穴部14d−1〜14d−6と、カムプレート16のカム穴16c〜16hとに係合されて絞り羽根を旋回させ、絞り開口を変化させるよう操作されるものである。
【0071】
この絞り羽根の製造装置は、シート材53を載置する平面台である設置台50と、シート材53の浮き上がりを押さえる押え部材51と、軸部材52を押さえる押え板54とを備える。また、図示しないが、シート材53に軸部材52を溶着するためのレーザー光線を照射するレーザー光線照射装置を備える。
【0072】
この製造装置の設置台50上には、シート材53の軸部材位置決め用の穴部53bを挿通して、軸部材52の取り付け部分を正確に位置決めするための軸部50aを立設する。
【0073】
さらに、この軸部50aは、軸部材52の中空穴である穴部52a、52cの内部に挿入されて、軸部材52の中心軸が設計中心と一致するように位置決め可能な直径と高さに形成する。
【0074】
すなわち、軸部材52は、その穴部52a、52cの内径を、軸部50aを挿入して位置決め可能な寸法となるように、軸部50aの外径以上の近似した寸法に形成する。なお、軸部材52は、一方の穴部52aが軸部50aに嵌合されても、また他方の軸部50cが軸部50aに嵌合されても良い。
【0075】
また、図示しないが、設置台50上には、シート材53の図示しない2つの補助用位置決め穴部に挿入する2つの位置決めピン部を立設する。これと共に、設置台50上には、シート材53を設置台50との間に挟み付けて浮き上がるのを防止するための押え部材51を位置決めするための図示しない位置決めピン部を立設する。
【0076】
この製造装置を構成する押え部材51には、軸部材52を遊挿して倒れないようにガイドするための保持用の穴部51aを穿設する。
【0077】
さらに、押え部材51には、保持用の穴部51aの上側に段状に連続するよう、同芯で大径の保持穴51bを穿設する。
【0078】
この押え部材51には、図示しないが、設置台50に立設された2つの位置決めピン部が当たらないように逃げる2つの逃げ穴を穿設する。さらに、押え部材51には、図示しないが、設置台50に立設された位置決めピン部を嵌合させることにより位置決めするための2つの位置決め用の穴部を穿設する。
【0079】
また、この絞り羽根の製造装置で用いる押え板54は、透明のガラス又は樹脂等で厚肉の平板状に形成したもので、押え部材51の保持穴51bに遊挿される厚肉円板等の外形に形成する。
【0080】
次に、本実施の形態に係わる製造装置を用いて絞り羽根を製作する工程について説明する。
【0081】
この絞り羽根の製作工程では、まず、設置台50の設置面上に絞り羽根の形状にカットされたシート材53を載置する。その際、設置台50の軸部50aを、シート材53の軸部材位置決め用の穴部53bに挿通して嵌合させることにより、シート材53における軸部材位置決め用の穴部53bの近傍を確実に適正位置に位置決めする。さらに、図示しないが、シート材53は、設置台50に立設された位置決めピン部に、シート材53に穿設された位置決め穴部を挿通してシート材53全体を位置決めする。これによりシート材53は、設置台50に対してシート材53の設置面に平行な方向(図中X軸に平行な方向)の位置が位置決めされる。
【0082】
次に、設置台50に載置したシート材53の上に、押え部材51を重ねるように組み込む。このとき、図示しないが、押え部材51の位置決め用の穴部に、設置台50に設けられた位置決めピン部を嵌合させることにより位置決めする。なお、このとき、設置台50から突出するシート材53用の位置決めピンは、押え部材51の逃げ穴内に逃がされる。
【0083】
このように設置台50上に、シート材53を介して押え部材51を組み込んだ状態では、シート材53の面が平面的に押えられ、その面に垂直な方向(図中Y軸方向)への移動が制止された状態となる。すなわち、シート材53は、設置台50と押え部材51とによって挟まれた状態で位置決めされ、製造装置にセットされる。
【0084】
さらに、設置台50上に載置されたシート材53を押え部材51で挟んだ状態で位置決めしてセットした状態で、押え部材51の穴部51a内に軸部材52を挿入する。
【0085】
このように設置台50上にシート材53を押え部材51押さえてセットした状態で、押え部材51の穴部51a内に、軸部材52を挿入する。このとき、軸部材52は、設置台50の軸部50aに穴部52a(穴部52cでも良い)が嵌合されて、設置台50の軸部50aの中心軸と、軸部材52の中心軸とが一致するように位置決めされる。なお、このとき軸部材52の外周面は、穴部51aに対してクリアランスを有する遊挿状態となっている。この押え部材51の穴部51aは、軸部材52を挿入する際の案内となるもので、設置台50の軸部50aの中心軸と、軸部材52の中心軸とが一致するように位置決めする動作を妨げないようになっている。
【0086】
次に、押え部材51の穴部51a内に軸部材52が挿入された状態で、保持穴51b内に押え板54を入れ、軸部材52の上面を、押え板54の自重で押さえる。すなわち、押え板54は、軸部材52がシート材53の面53aより浮かないようにその自重で図中−Y方向に押えている。これにより、軸部材52の溶着面である下側の面53aが、シート材53の表面に圧接された状態に保持される。
【0087】
次に、この製造装置では、図示しないレーザー光線照射装置により、押え部材51の上方から、レーザー光55a、55bを発射する。このレーザー光55a、55bは、透明な押え板54及び軸部材52を透過して、シート材53の当接面である面53aに照射される。これによりシート材53の面53aが発熱し、面53aと、軸部材52の下面とが局部的に溶融する。その後、レーザー光55a、55bの照射を遮断すると溶融部分52b−1、52b−2が固まり、軸部材52とシート材53とが一体的に固着され、絞り羽根として機能する形状に構成される。
【0088】
よって、この製造装置では、設置台50に立設された軸部50aによって、シート材53の軸部材52を固着する部分に相当する軸部材位置決め用の穴部53bの近傍と、軸部材52とが同軸上で位置決め保持される。このため、この製造装置では、X軸に平行な方向の位置ズレが生じる主な要素が、軸部50aへの軸部材52の穴部52a、53bの嵌合ガタのみとなるので、従来よりもシート材53に対して軸部材52がX軸に平行な方向に精度よく位置決めできる。
【0089】
さらに、位置決め精度を向上するため、この製造装置では、位置決め用の軸部50aを、先端に向かうほど径が小さくなるようなテーパー状(円錐台形状)等の斜面に形成する。これと共に、この製造装置では、位置決め用の穴部52aを穴の深さが深くなるほど径が小さくなるようにテーパー形状(円錐台の穴形状)等の斜面に形成する。そして、穴部52aが軸部50aにガタが生じない程度の嵌め合い寸法に設定した場合には、穴部52aと軸部50aのガタが抑えられ、より精度よく位置決めされる。また、このように構成した場合には、軸部材52が固定されたシート材53を設置台50から取り外す際にも、テーパー形状になっているので作業を容易に行える。
【0090】
以上の構成により寸法精度の高い絞り羽根が形成でき、良好な絞り口径精度が得られ、より撮影者の意図に則した撮影を行うことが可能になる。
【0091】
すなわち、絞り羽根15a〜15fに高い寸法精度で、軸部15a−1〜15f−1と、軸部15a−2〜15f−2と、を設けた場合には、図8に示すように、略円形に整った絞り開口OPの口径を変化させる絞り動作を行う。このように、高い精度で絞り口径を調整できる場合には、適正な露出が得られる。また、絞り開口OPを円形に整えられる場合には、絞り開口OPの形状が円形に近いほど、いわゆる良好なボケ味の撮影画像を得ることができる。よって、高い精度で絞り口径を調整でき、絞り開口OPを円形に整えられる場合には、より撮影者の意図に則した撮影を行うことが可能になる。
【0092】
なお、図9に例示するように、絞り羽根15cにおける軸部15c−2の取り付け位置精度が悪い場合には、絞り込んだときの絞り開口OBの形状が崩れて円形でない形状となってしまい、良好なボケ味の撮影画像を得ることができなくなる。
【0093】
[絞り羽根の製造装置の他の構成例]
次に、絞り羽根の製造装置の他の構成例について、図2及び図3を参照して説明する。
【0094】
図2は、シート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための、他の構成の製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【0095】
図3は、図2のA−A線で切断しY方向に見た状態を示す拡大断面図である。なお、この図2及び図3において、前述した図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0096】
この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置は、軸部材52とシート材53との溶着部が軸部材52の外周よりも外側にはみ出さないようにするためのものである。例えば、シート材53に軸部材52を溶着により接合する際に、レーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材52とシート材53を設置台50上に設置するときのばらつき等に起因し、溶融面積が拡大する場合がある。このような場合には、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及んでしまって、意図しない凸部が生じることがある。このようにして絞り羽根の軸部材52の近傍に凸部ができると、この軸部材52近傍の凸部が、近接する他の部品と機械的に干渉して、絞り羽根の開閉動作に支障をきたし、絞り口径精度に悪影響を及ぼしかねない。
【0097】
そこで、この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置は、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及ばないように、軸部材52の内径寄りにレーザー光を照射して溶着するよう構成されている。
【0098】
この絞り羽根の製造装置では、設置台60に立設した軸部60aに、に図3に示すように、軸方向に伸びる、断面略U字状の逃げ用の溝部60a−1〜60a−3を複数本穿設する。
【0099】
この軸部60aでは、溝部以外部分である円弧の面60b−1〜60b−3に、シート材53の穴部53bと軸部材52の穴部52aとを嵌合して位置決めする。
【0100】
この図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置では、図2に矢印で示すようにレーザー光62a、62b、62cを、軸部材52の内径寄りに照射する。すると、軸部材52とシート材53aとの当接面では、軸部材52の内径寄り(穴部52aの直径付近)の部分が溶着する。
【0101】
このとき、レーザー光の照射位置は、製造時のレーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材52とシート材53の設置位置のばらつき等を考慮にいれて設定する。要するに、レーザー光の照射位置は、溶着はみ出し部61a〜61cが軸部材52の外径を超えないように設定する。
【0102】
なお、このようにした場合には、溶着部が、61a〜61cとして示されているように穴部52aの直径よりも内側にはみ出すことになる。そこで、ちょうど溶着部がはみ出す付近に、溝部60a−1〜60a−3を配置することによって、溶着はみ出し部61a〜61cを逃がすように構成する。これらの逃げ量は、レーザー光の強度や照射時間のばらつき、軸部材とシート部材の設置のばらつきなどを考慮にいれても、溶着はみ出し部61a〜61cが溝部60a−1〜60a−3に達しない程度に設定する。
【0103】
このように構成した絞り羽根の製造装置では、溶着部が軸部材52の外周よりも外側に及ぶことがないように絞り羽根を製作できるので、絞り口径精度への悪影響を回避できる。また、軸部材52をシート材53に固定して絞り羽根が完成した後に、製造装置から取り出す際には、溶着はみ出し部が溝部60a−1〜60a−3内に逃げるので、引っ掛かりなく行うことができる。
【0104】
よって、図2及び図3に示す絞り羽根の製造装置によれば、意図した良品の絞り羽根が安定して製造できるので、生産性が向上するだけでなく、ばらつきが少なく良好な絞り性能を持った光量調節装置を提供できる。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の絞り羽根を有する光量調節装置の実施の形態に係わるシート材と、軸部材とを、接合して絞り羽根を製作するための製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【図2】本発明の絞り羽根を有する光量調節装置の実施の形態に係わる、他の構成の製造装置を示す要部の拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線で切断しY方向に見た状態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の光量調節装置に装着される絞り装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の光量調節装置を適用したレンズ鏡筒が装着されたカメラシステムを示すブロック図である。
【図6】本発明の光量調節装置の駆動部の斜視図である。
【図7】本発明の光量調節装置の駆動部の取り付けを説明する分解正面図である。
【図8】本発明の光量調節装置に装着される、絞り羽根に高精度で軸部が形成された絞り装置部分を取り出して示す正面図である。
【図9】本発明の光量調節装置に装着される、絞り羽根に軸部が取り付け位置に誤差がある状態で形成された絞り装置部分を取り出して示す正面図である。
【図10】本発明の光量調節装置に装着される、一つの絞り羽根を取り出して示す斜視図である。
【図11】従来の絞り羽根製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0107】
13 ベース部材
14 ロータリープレート(回転部材)
14d−1〜14d−6 穴部
15 絞り羽根
15a−1〜15f−1 軸部
16 カムプレート
16c〜16h カム穴
50 設置台
50a 軸部
51 押え部材
51a 穴部
51b 保持穴
52 軸部材
52a 穴部
52b−1 溶融部分
52b−2 溶融部分
52c 穴部
53 シート材
53a 面
53b 軸部材位置決め用の穴部
54 押え板
60 設置台
60a 軸部
60a−1〜60a−3 溝部
60b−1〜60b−3 円弧の面
61a〜61c 溶着はみ出し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状材を絞り羽根の形状に形成し、軸部材を一体に固着して構成した絞り羽根を、前記軸部材を操作して絞り開口を変化させるように装着した絞り羽根を有する光量調節装置において、
前記絞り羽根が、
前記板状材における、設置すべき前記軸部材の中心軸と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部を穿設する工程と、
前記板状材の前記軸部材位置決め用の穴部に軸部を挿通して位置決めする工程と、
前記軸部に、位置決め用の穴部を挿通して、透明な材料で形成した前記軸部材を位置決めする工程と、
前記軸部に位置決めされている前記軸部材にレーザー光を透過させて、前記軸部に位置決めされている前記板状材に照射することによって、前記板状材に前記軸部材を溶着する工程と、により製作されていることを特徴とする絞り羽根を有する光量調節装置。
【請求項2】
前記軸部材に形成された前記位置決め用の穴部が、穴の深さが深くなるほど径が小さくなるような斜面に形成ことを特徴とする請求項1記載の絞り羽根を有する光量調節装置。
【請求項3】
前記板状材と、前記軸部材とを、前記レーザー光を照射して溶着する溶着部が、前記板状材と前記軸部材の当接面のうち、前記軸部材に形成された前記位置決め用の穴部の近傍であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の絞り羽根を有する光量調節装置。
【請求項1】
板状材を絞り羽根の形状に形成し、軸部材を一体に固着して構成した絞り羽根を、前記軸部材を操作して絞り開口を変化させるように装着した絞り羽根を有する光量調節装置において、
前記絞り羽根が、
前記板状材における、設置すべき前記軸部材の中心軸と同軸となるように軸部材位置決め用の穴部を穿設する工程と、
前記板状材の前記軸部材位置決め用の穴部に軸部を挿通して位置決めする工程と、
前記軸部に、位置決め用の穴部を挿通して、透明な材料で形成した前記軸部材を位置決めする工程と、
前記軸部に位置決めされている前記軸部材にレーザー光を透過させて、前記軸部に位置決めされている前記板状材に照射することによって、前記板状材に前記軸部材を溶着する工程と、により製作されていることを特徴とする絞り羽根を有する光量調節装置。
【請求項2】
前記軸部材に形成された前記位置決め用の穴部が、穴の深さが深くなるほど径が小さくなるような斜面に形成ことを特徴とする請求項1記載の絞り羽根を有する光量調節装置。
【請求項3】
前記板状材と、前記軸部材とを、前記レーザー光を照射して溶着する溶着部が、前記板状材と前記軸部材の当接面のうち、前記軸部材に形成された前記位置決め用の穴部の近傍であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の絞り羽根を有する光量調節装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−300669(P2009−300669A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154127(P2008−154127)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]