説明

給排容易な粘度を有している濃縮液体セッケン配合物

本発明は、セッケンを高濃度で含むにもかかわらず、全く予想外にも、たとえば消費者用包装(たとえばボトル)および/または製造中の通過点もしくは貯蔵点(たとえば、パイプ、貯蔵タンクなど)から給排できる粘度を有するように配合された濃縮セッケン配合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セッケンを高濃度で含むセッケン配合物、特に液体セッケン配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの実施形態においてはセッケンおよび脂肪酸の50%超が長鎖である(C14よりも長い)。配合および加工の臨界範囲を利用して出願人らは、これらの高濃度セッケンがたとえばチューブ、ボトル、ポンプまたはこの種のディスペンサーから容易に分配できるようになる(適切なレオロジーを有する)方法を知見した。
【0003】
急激な人口増加および経済環境の変化によって世界の上水要求量は増加の一途を辿っている。世界の多くの地域で水不足なので、たとえばできるだけ少量の水を用いる液体洗浄製品の製造が重要である。低水量洗浄製品は上水の負担を軽減し環境に優しい洗浄手段を提供する。本発明において出願人らはまさしくこのような低水量(高セッケン量)クレンザーを提供する。これらは、水を濃厚な液晶性界面活性相で置換することによって形成される。まったく予想外にも、これらの配合物は濃縮製品であるにもかかわらず最終使用消費者が手で容易に分配できるように配合されている。
【0004】
高濃度セッケン配合物(すなわち、脂肪酸セッケンが配合物の>50重量%、好ましくは>50から80重量%、より好ましくは55から85重量%、いっそう好ましくは60から80重量%を構成する配合物)は典型的には室温で固体状または粘性ゲル様レオロジーを有している。このレオロジーを有するので、このような配合物は製造中の給排が難しく、また、チューブ、ボトル、ポンプまたはトグルから分配される身体用クレンザーとして使用することが極めて難しい。
【0005】
理論に束縛されることを望んではいないが、高濃度液体セッケン組成物に付随する粘性レオロジーは、高濃度セッケン中に大量の六方固体界面活性相が存在する結果であると考えられる。
【0006】
予想外にも出願人らは、セッケン/遊離脂肪酸を含有するこれらの濃縮液体セッケン配合物中の遊離脂肪酸対セッケンの比(たとえば中和セッケンのパーセント)が限定した臨界範囲内に維持され、さらに、(1)具体的に限定した好ましいカウンターイオンをもつセッケンの濃度またはパーセンテージ、(2)脂肪酸セッケンおよび遊離脂肪酸の鎖長の飽和対不飽和の好ましいパーセンテージ、(3)脂肪酸セッケンおよび遊離脂肪酸の鎖長分布、(4)合成界面活性剤の量(存在する場合)、および、(5)溶媒(たとえば水、アルキレングリコール)の濃度がすべて臨界的に限定したパラメーターの範囲内で選択および維持されるならば、給排可能な粘度(後記に具体的に限定)を有している高濃縮液体セッケンが得られるように六方固体界面活性相形成の量または程度を制御できることを知見した。逆に、これらのパラメーターが慎重に維持されなければ、粘度が急激に上昇し、配合物の給排が困難になったり不可能になったりする(本発明によって限定した範囲外にもどる)。
【0007】
われわれが“給排可能な”または“流動可能な”粘度と言うとき、これは、製造または流通の過程における多くの様々な段階で臨界的であるレオロジー特性を意味すると理解されたい。したがって、臨界的であるとは、たとえば製造タンクの混練段階、製造タンクまたは貯蔵タンクへの流体の充填および/または放出、および/または、最終包装への製品の充填の際に給排可能な粘度を維持することである。
【0008】
本発明の重要な1つの利点は、中和セッケンと不中和脂肪酸との特定選択ブレンドによって製造された液体がバー製造施設として常用されてきた施設において製造できることである。意外でありまた予想外であったが出願人らは、バー製造工程で使用した脂肪酸とセッケンとのブレンドが濃縮液体の製造にも使用できる(すなわち、上述の臨界範囲を維持できると推定される)ことを知見した。
【0009】
さらに、本発明の方法によって製造された適切なレオロジーを有している濃縮液体は、家庭の消費者に製品の希釈を指示する“濃縮液体製品”として販売することもでき(その結果として環境に優しい包装および絶大なコスト削減の双方が達成される)、または、製造工程の一部として濃縮液体を別の場所に搬送した後で希釈することもできる。後者の場合、生産者は普通よりも廉価に液体セッケン/合成洗剤組成物を製造できる(たとえば、濃縮物を使用するので水を含んだ重い製品よりも輸送コストを節減できる)。上記に指摘したように、バー製造現場の余剰能力を液体の製造に使用できるのでバーおよび液体の双方によって絶大な効率が得られる。
【0010】
解決の要件は上述のように、製品を分配するために必要な分配力と定義した限定レベルよりも低い粘度をもつ最終濃縮液体配合物を得るために、(1)中和セッケン対不中和脂肪酸の比、(2)カウンターイオン、(3)脂肪酸セッケンおよび遊離脂肪酸の鎖長、(4)場合により存在する合成界面活性剤および(5)溶媒などの変数を臨界的に制御することである。脂肪酸の制御中和によって、または、遊離脂肪酸と完全中和セッケンとの混合物の使用によってこの目標に到達でき、その結果として得られる配合物は、限定した配合パラメーターの範囲内に維持され、この範囲内では限定した給排可能なまたは搾り出し可能なレオロジーが得られる。
【0011】
変数間に相互作用が存在すること、また、低い分配力を維持するという最終目標に背かない範囲でこれらの変数を調整できることに注目されたい。したがってたとえば、長い鎖長または短い鎖長のセッケン/脂肪酸の中和度または正確なパーセントが上限範囲または下限範囲に近い値になってもよく、そのような場合には溶媒レベルまたは合成界面活性剤のレベルを調整することができる。
【0012】
たとえば発明の1つの実施形態においては、セッケン/脂肪酸および水酸化カリウムのような中和溶媒だけが存在する(たとえば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールのような粘度低減用共溶媒は全く存在しない)であろう。このような実施形態では、長い鎖長の脂肪酸/セッケン(粘度を増加させる傾向)のレベルは最小であり、それらのレベルは確実に限定した範囲内に維持される。本発明の別の実施形態においては、濃縮物が長い鎖長のセッケン/脂肪酸をより高いレベルで許容できるが、分配力を限定パラメーター内に確実に維持するためにはある程度のレベルの合成界面活性剤および/または粘度低減用共溶媒が必要であろう。
【0013】
出願人が知る限り、当業界は、本発明の濃縮セッケン液体を得るために必要な特定パラメーターを開示していない。または、給排可能な、注ぎ出し容易なレオロジー、すなわち、プロトコルにおいて定義した分配力によって測定できるレオロジーを液体セッケンに付与できる液体製造方法を開示していない。具体的に言えば、これが問題であることまたはこのような問題の解決をどのように始めるかについて平均的な当業者に教示または示唆を与える開示は当業界に全く存在していない。
【0014】
GB−A−699,189は、脂肪酸を苛性カリで中和することによって製造された組成物を開示する参考文献の一例である。得られた液体クレンザーの脂肪酸は中和されているが、部分中和に関する、すなわち、得られる脂肪酸対セッケンの臨界特定比に関する指示はない。さらに、このような特定比に関する開示、または、限定した粘度を有する本発明の給排可能な(たとえば絞り出し可能な)濃縮セッケン液体を得るために必要な飽和、鎖長などの他の臨界範囲のいずれかに関する開示もない。この参考文献は1960年以前の多くの古い参考文献の典型である。
【0015】
もっと新しい参考文献はセッケンをはるかに低いレベルで使用するものを含む。このような参考文献の例はWO95/13355、WO05/18760およびWO97/27279などである。
【0016】
いずれもPuvvadaに付与された米国特許第5,952,286号および第6,077,816号は、9から50%の界面活性剤濃度を有している液体洗浄製品中でラメラ構造を形成するための遊離脂肪酸の使用に関する。これらの参考文献中の界面活性剤の全濃度は本発明の組成物の界面活性剤の全濃度(たとえばセッケンと脂肪酸との合計)よりも低く、水の濃度は本発明のものよりも高い。さらに、脂肪酸対セッケンの特定比の使用に関する、または、上述の他の臨界範囲に関する認識も全くない。
【0017】
Divoneらに付与された米国特許第7,351,749号は、濃縮された水相を使用する身体手入れ製品の製造方法に関する。この参考文献は濃縮セッケンまたは脂肪酸対セッケンの特定比に関与しない。
【0018】
MacGilpに付与された米国特許第5,296,158号および第5,149,574号は、カリウムセッケンと遊離脂肪酸とを用いた組成物を開示している。我々の発明の40%という上限溶媒濃度(水/溶媒)に比べて水の濃度が55から90%である。Stirosに付与された米国特許第4,310,433号は中和脂肪酸と不中和脂肪酸との混合物を開示しており、この脂肪酸は飽和および不飽和の混合物である。ここでも組成物は50から95%の水を含有しており、我々の発明の溶媒レベルをはるかに上回る溶媒レベルである。MacGilpに付与された様々な他の参考文献(米国特許第5,158,699号、米国特許第5,296,157号)も水/全溶媒をはるかに高いレベルで含有している。
【0019】
Diasに付与された米国特許第5,308,526号は、Kセッケンと遊離脂肪酸とを用いた組成物を開示している。それらは35から70%の水を含有している。組成物のセッケン含有量は50%をはるかに下回っている。
【0020】
Unileverに付与されたWO2004/080431は、濃縮物から身体手入れ組成物を製造する方法に関する。中和の臨界特定レベル(脂肪酸対セッケンの比)、または、濃縮セッケン配合物に給排可能または分配容易なレオロジーを与える上述の他の変数を有する濃縮物に関する認識は全くないと考えられる。この参考文献はまた、家庭で希釈できるように消費者に販売される独立の濃縮液体を(たとえば単独の独立型製品として)開示していない。
【0021】
GB2005297(Unilever)は、カリウムセッケンと0から20%のグリセロールと5から20%のアルキレングリコールと0から10%の遊離脂肪酸と20から50%の水とを含む液体セッケン組成物を開示している。セッケンのレベルは主題発明の50%というレベルをはるかに下回っている。
【0022】
GB1427341(Unilever)は、12から40%のグリセロールと20から50%のHOとを含むグリセリン水溶液中のカリウムセッケン結晶を開示している。ここでもセッケンのレベルは本発明の組成物のレベルをはるかに下回っている。
【0023】
JP2006/282,591およびJP2002/226,359は洗顔クリームに関する。高度に濃縮された給排可能な液体セッケンを得るための脂肪酸対セッケンの臨界範囲も他の臨界範囲の組合せもまったく開示されていないと、考えられる。
【0024】
いずれの参考文献も、給排可能な濃縮液体セッケンを製造するための脂肪酸対セッケンの臨界比または飽和、鎖長、溶媒などの臨界範囲の組合せを有している高セッケン(>50重量%)組成物を開示していない。また、このような特定組成物を家庭用希釈説明書を添付した独立型濃縮物として販売することに関する参考文献は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】英国特許出願公開第699,189号明細書
【特許文献2】国際公開第95/13355号
【特許文献3】国際公開第05/18760号
【特許文献4】国際公開第97/27279号
【特許文献5】米国特許第5,952,286号明細書
【特許文献6】米国特許第6,077,816号明細書
【特許文献7】米国特許第7,351,749号明細書
【特許文献8】米国特許第5,296,158号明細書
【特許文献9】米国特許第5,149,574号明細書
【特許文献10】米国特許第4,310,433号明細書
【特許文献11】米国特許第5,158,699号明細書
【特許文献12】米国特許第5,296,157号明細書
【特許文献13】米国特許第5,308,526号明細書
【特許文献14】国際公開第2004/080431号
【特許文献15】英国特許第2005297号明細書
【特許文献16】英国特許第1427341号明細書
【特許文献17】特開2006−282,591号公報
【特許文献18】特開2002−226,359号公報
【発明の概要】
【0026】
意外でもあり、まったく予想外でもあったが出願人らはここに、不中和脂肪酸対中和脂肪酸セッケンの比が(セッケンが濃縮物の>50%。好ましくは≧60%を構成する特定濃縮物中で)特定臨界範囲内に維持されるならば、後述の他の臨界パラメーターと組合せて、得られる濃縮物が給排可能および/または分配可能なレオロジーを有するであろうことを知見した。このような給排適性は、23℃の温度で測定したときに定常状態で300N未満の力によって分配できる配合物であると定義される。12℃で測定を行うこともできるが、測定を定義するための温度は23℃が好ましい。測定の詳細は後出のプロトコルにおいてより詳細に説明する。テクノロジイの助けを借りないでヒトが300Nの力を発生することはおそらくできないが、プロトコルによって要求されたニュートン力の上限範囲に近い値で流体を分配できる様々な孔径のチューブの設計は可能であることに注目されたい。
【0027】
1つの実施形態において発明は、場合により、搬送されるか(最終製品製造用中間材料として同じ現場でまたは別の現場に搬送)または“最終”製品として販売される(たとえば他の場所で消費者によって希釈されるべく販売)濃縮セッケン配合物に関する。第二の実施形態において発明は、上記の濃縮溶液を収容している包装製品に関する。最後に第三の実施形態において発明は、(a)セッケンを提供しかつ必要なパラメーター(たとえば、脂肪酸対中和セッケンの比)を得るために油とトリグリセリドと脂肪酸とを含むセッケン予製液を中和する段階、または、(b)所望の品質基準を有している混合物を形成するために既に中和済みのセッケンと遊離脂肪酸とを混合する段階を含む濃縮液体の製造方法に関する。
【0028】
発明の1つの組成物的実施形態において本出願は、濃縮セッケン配合物を含むが、合成界面活性剤および/または共溶媒(水および/または中和用水酸化溶液以外)を必ずしも含まない。この実施形態は、
(a)>50重量%の脂肪酸セッケン、好ましくは>50から80重量%、より好ましくは55から80重量%、いっそう好ましくは60から80重量%の脂肪酸セッケンと、
(b)セッケン対遊離脂肪酸の比が重量基準で約2:1から20:1、好ましくは2.5:1から20:1となるような濃度の遊離脂肪酸と、
(c)0から30重量%、好ましくは1から20重量%、より好ましくは1から15重量%(いっそう好ましくは10重量%以下)の合成ノンソープ界面活性剤(たとえば、限定した“給排可能な”目標までの粘度低下を助けるために使用される)と、
(d)水および/または好ましくはアルキレングリコール(たとえばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、混合物、など)から選択された共溶媒の組合せを含む10から40重量%の溶媒と、
を含み、
(b)において、2.5:1から12:1という比は約60から約90%中和という中和度を典型的に表し(脂肪酸と予め形成済みのセッケンとを合せる代りにセッケンを現場で形成する場合)、
(c)の合成界面活性剤は、使用される際には少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤を含み、より好ましくは混合物の過半量のアニオン性界面活性剤を含有するアニオン性界面活性剤/両性界面活性剤混合物を含み、合成界面活性剤は存在するならば粘度調整剤として機能するが、短鎖のセッケンおよび脂肪酸が確実に総量の≧50%を構成するならば合成界面活性剤および/または共溶媒(水以外)の必要性は絶対的ではなく、
(d)において、上述のように短鎖のセッケンおよび脂肪酸が≧50%を構成する場合には共溶媒(水以外)は不要であり、従って好ましくは10から40%の溶媒が水だけから成り、この実施形態の特徴は、
セッケンのカウンターイオンが好ましくはカリウムおよび/またはアミンに基づくカウンターイオンであること(たとえばナトリウムカウンターイオンは使用することはできるが粘度を上昇させる傾向がある)、
セッケンおよび脂肪酸の鎖は飽和と不飽和との混合でよいが、好ましくは>75%、より好ましくは80%から100%、いっそう好ましくは96%から100%、究極的には100%飽和であること、
セッケンおよび脂肪酸は長鎖(>C14−C30)および短鎖(≦C14)の混合物を含み、好ましくは≧50%、より好ましくは>60%、いっそう好ましくは>75%の短鎖を含むこと(上記に指摘したように、短鎖が確実に≧50%である場合、合成界面活性剤および/または共溶媒は不要であるが、これらの一方または双方を少量たとえば5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満の量で使用することは勿論できる)、および、
セッケン対脂肪酸の比を(たとえば中和工程によって)維持しかつ上述の他の変数を限定したパラメーター内に維持することによって到達した“給排可能”粘度は、プロトコルに定義したように23℃または12℃の温度で測定して定常状態で300ニュートン(N)未満の分配力であると定義されること、である。
【0029】
発明の第二の組成物的実施形態において発明は、短鎖の脂肪酸およびセッケン(≦C14)が脂肪酸とセッケンとの合計の50%未満である濃縮セッケン配合物を含む。長鎖(>C14)が>50%から80%またはもっと多い量を構成してもよい。この実施形態においてはプロトコルに定義した給排可能粘度を確保するためにある程度の合成界面活性剤および/または共溶媒のような粘度調整剤が必要である。
【0030】
より詳細には、この実施形態は、
(a)>50重量%、好ましくは>50%から80%、より好ましくは55%から80%、いっそう好ましくは60%から80%の脂肪酸セッケンと、
(b)第一の組成物的実施形態に限定した比と同じ比の遊離脂肪酸と、
(c)好ましくは少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤を含む0%から30%、好ましくは1%から20%、より好ましくは1%から15%、いっそう好ましくは5%から15%の合成界面活性剤と、
(d)好ましくは水以外の溶媒を1%から15%の量で含む10%から40%の溶媒と、
を含み、この実施形態の特徴は、
(c)および/または(d)の水以外の溶媒が合計で少なくとも1から10重量%、好ましくは少なくとも2から10重量%の量で存在する必要があり(すなわち、合成界面活性剤および/または水以外の溶媒が少なくとも1%の量で存在しなければならない)、このような他の溶媒が好ましくはアルキレングリコールであること、
カウンターイオンおよび飽和レベルは第一の組成物的実施形態の記載と同じであること、
長鎖セッケン(>C14)が脂肪酸/セッケン鎖長の>50%から80%を構成していること、および、
組合せた給排可能粘度はプロトコルに記載したように定常状態で300ニュートン(N)未満の分配力であると限定されることである。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、
(a)消費者への販売または流通を目的としたラベルまたは広告を含む容器またはボトルと、
(b)本発明の組成物的実施形態に定義した濃縮セッケン配合物と、
を含む包装された身体手入れ/身体洗浄製品を提供する。
【0032】
この実施形態において、容器または容器を保持する包装は、最終使用のために濃縮製品をいつどのように希釈するかについて消費者に指示する使用説明書を含み得る。
【0033】
また別の実施形態において、本発明は、組成物的実施形態のいずれかに従う濃縮セッケン液体を製造するための方法を含む。方法は、
(a)油、トリグリセリド、脂肪酸およびそれらの混合物を含むセッケン予製液を中和用溶液、好ましくはKOHのような苛性溶液と反応させてセッケン対遊離脂肪酸の比が重量基準で2:1から20:1、好ましくは2.5:1から12:1(一般的に60から90%の中和レベルに対応)となる組成物とし、引き続いてまたは同時に、セッケン予製液および中和用溶液を0%から20%の合成界面活性剤および10%から40%の溶媒と合せる段階を含むか、または、
(b)既に中和済みのセッケンと遊離脂肪酸とを混合して上述の比および/または中和レベルを有している混合物を形成し、引き続いて、同じく上述の同じレベルの合成界面活性剤および溶媒と合せる段階を含む。
【0034】
これらのおよびその他の目的、特徴および利点は平均的な当業者には以下の詳細な記載および特許請求の範囲を読了することによって明らかになるであろう。曖昧にならないように明記しておくが、本発明の1つの目的のいずれかの特徴は本発明の他のいずれかの目的においても使用し得る。以下の記載に与えられた実施例は本発明を明確にするものであって、本発明の範囲をそれらの実施例自体に限定するものではない。実験実施例または他の指示がある場合以外には、ここに使用された諸成分の量または反応条件を表す全ての数値がすべての場合に“約”という語で修飾されていると理解されたい。
【0035】
同様に、すべてのパーセンテージは他の指示がなければ、全組成物の重量/重量パーセンテージである。形式“xからyまで”で表される数値範囲はxおよびyを含むと理解されたい。特定の特徴について多数の好ましい範囲が形式“xからyまで”によって記載されているとき、異なる端点を結ぶすべての範囲が同じく考察されると理解されたい。濃度の範囲の特定に関してはさらに、いずれか特定の上限濃度がいずれか特定の下限濃度に対応していることに注目されたい。明細書または特許請求の範囲において“含む”という用語が使用されている場合、この用語は具体的に明記されていない用語、段階または特徴のいずれをもを排除するものではない。曖昧にならないように明記しておくが、“含む”という語は“包含している”を意味するが“から成る”または“から構成された”を必ずしも意味しないものとする。言い換えると、列挙した段階、選択肢または代案が網羅的である必要はない。すべての温度は他に特定されていないかぎり摂氏(℃)である。すべての測定値は他に特定されていないかぎりSI単位である。引用したすべての文献は参照によってこの文中の−適切な箇所に−組込まれるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、高度に濃縮された量のセッケンを含みしかもこれらの濃縮セッケンがタンク、容器またはボトルから給排するための適当な粘度/レオロジーを維持している液体セッケン配合物に関する。配合物は、後述のプロトコルを使用して23℃で測定したときに定常状態で300N未満の分配力によって分配できる配合物であると定義される。意外にも出願人らは、中和セッケン対不中和遊離脂肪酸の比が厳密な臨界的限定範囲内に維持され、脂肪酸およびセッケンのカウンターイオン、飽和および鎖長、溶媒および/または合成界面活性剤のレベルなどのパラメーターが制御されているときにのみ、そのときに限って、適正な給排可能液体(上述の分配力によって定義される)の特性値を維持している濃縮セッケン配合物(すなわち>50%セッケン)を得るのが可能であることを知見した。
【0037】
1つの組成物的実施形態において、発明は濃縮液体配合物自体を目的とする。このような組成物は、臨界レオロジーが得られる中和セッケン対脂肪酸の比(これはまた中和レベルに対応する)によって定義される。配合物は、制御中和によっておよび/または臨界的に限定されたパラメーターの範囲内になるように脂肪酸とセッケンとを混合することによって得ることができる。
【0038】
組成物的発明の1つの態様は、好ましくはセッケン/脂肪酸の≧50%が≦C14の鎖長を有しておりかつ合成界面活性剤および/または何らかの共溶媒の使用が必要でない組成物を提供することであり、第二の態様は、>C14の鎖長を>50%有しており、最小レベルの合成界面活性剤および/または共溶媒(たとえばアルキレングリコール)を必要とする組成物を提供することである。鎖長C14を>50%有している組成物に関するこの第二の態様において成分(d)が水以外の共溶媒だけから成る(たとえば水が存在しない)ことは理論的には可能であるが、実際問題として共溶媒は好ましくは全溶媒の1%から50%を構成する(たとえば50%から99%は水である)。
【0039】
第二の実施形態において発明は、第一の組成物的実施形態の濃縮配合物を収容している包装されたボトルまたは容器を含む包装された消費者用製品であると定義される。好ましくは、濃縮物を効果的に使用するためにどのように水を加えるかを消費者に指示する使用説明書をラベルが提供する。
【0040】
第三の実施形態において発明は、これらの独創的な濃縮セッケン液体の製造方法を含む。該方法は本質的に、予想外の給排可能レオロジーを保証する臨界的に限定された比を最終製品が確実に有するように中和工程および/または反応体を制御する段階を含む。
【0041】
本発明をさらに詳細に以下に説明する。
【0042】
本発明の組成物は上述のように>50重量%の脂肪酸セッケン、好ましくは>50から80重量%、より好ましくは55から80重量%、いっそう好ましくは60から80重量%の脂肪酸セッケンを含む。
【0043】
さらに、本発明の組成物は遊離脂肪酸を含む。実際、“給排適性”に必要なレオロジーを(後記で検討する他の変数と共に)限定し易くできるのは遊離脂肪酸対セッケンの比である。
【0044】
より具体的には、セッケンに対する遊離脂肪酸の濃度(制御中和によってまたは単なる混合によって得られる)は、セッケン対遊離脂肪酸の比が約2:1から20:1、好ましくは2.5:1から12:1になる濃度である。この後者の比は約60から90%中和という中和度(現場で形成される場合)を典型的に表す。
【0045】
さらに、セッケンのカウンターイオン、飽和または不飽和の程度、セッケンおよび/または脂肪酸中の鎖長分布、ならびに、合成界面活性剤および/または溶媒のレベルが最終レオロジー(たとえば給排または分配のためにはどのような分配力が必要であるか)を決定するために臨界的である。指摘したように、特に鎖長分布次第では、合成界面活性剤および/または溶媒のレベルは適切な感触を得るためにも臨界的であろう。
【0046】
いかなる塩のカウンターイオンも使用できるが、好ましくはセッケンのカウンターイオンはカリウムである。ナトリウムカウンターイオンは粘度を上昇させる傾向があり、他の要因との相互作用次第では粘度が本発明に必要な値以上よりも高くなってしまう(たとえばナトリウム使用の際には合成界面活性剤および/または共溶媒の使用量の増加が必要であろう)。アミンに基づくカウンターイオン(トリアルカノールアミン、アンモニウムなど)はカリウムと同様の効果を有し得るのでこれらも使用できる。使用し得る他のカウンターイオンはカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛を含む。指摘したように、好ましい目標は、粘度に最小の影響を与えかつ限定した給排適性を他の要因と共に維持させ得るカウンターイオンを使用することである。
【0047】
特に上述のように、50%から100%、より好ましくは80%から100%、いっそう好ましくは100%のカリウムおよび/またはアミン(たとえばトリアルカノールアミン)から成るカウンターイオンを使用するのが好ましい。より好ましくは、カウンターイオンを>75%、好ましくは80%から100%カリウムにできる。
【0048】
また、脂肪酸およびセッケンの飽和鎖を使用することも好ましい。飽和鎖は一般的に色(たとえば褐色化)または臭いの問題が少なく、また一般的に泡立ちがよい。しかしながら、たとえば製品がより軟質またはペースト状に維持され易くするためにある程度の不飽和を使用してもよい。典型的には飽和鎖を>75%、より好ましくは80%から100%、いっそう好ましくは96%から100%、究極には100%で使用するのが好ましい。
【0049】
鎖長C14以下の脂肪酸およびセッケンも一般的に好ましい。典型的には、C14超の鎖長だけの製品は極めて粘性のレオロジーを有するであろう。しかしながら上記で検討したように、短い鎖長(≦C14)が≧50%で存在するのが好ましいが(本発明の第一の組成物的実施形態に包含される)、<50%のC14鎖長を含む、すなわち、>50%から80%の>C14鎖長を有する組成物を使用してもよく、その場合(第二の組成的実施形態の場合)には、最少量の合成界面活性剤および/または共溶媒(水以外)が使用される。好ましくは、溶媒を使用する場合、溶媒はたとえばジプロピレングリコールまたはプロピレングリコールのようなアルキレングリコール溶媒である。やはり上述したように、ナトリウム(または粘度を過度に上昇させ得る他のカウンターイオン)をセッケンのカウンターイオンとして使用する場合には合成界面活性剤および/または共溶媒が粘度調整剤として使用されると考えることもできる。
【0050】
先に指摘したように、この第二の実施形態において全溶媒が水以外の溶媒だけから成ることは理論的に可能ではあるが、これを達成するのは極めて難しく、この実施形態においては一般的に水以外の溶媒が全溶媒の1%から50%を構成し、たとえば、水が50から99%を構成する。解決の要件は(双方の実施形態に関して)、プロトコルに記載の試験によって得られた溶液の分配力が定義温度で測定したときに定常状態で確実に300ニュートン(N)未満となるように比、カウンターイオン、合成界面活性剤および/または溶媒を操作することである。
【0051】
本発明の組成物はまた、0から30重量%、好ましくは1から20重量%、より好ましくは1から15重量%、いっそう好ましくは1から10重量%の合成ノンソープ界面活性剤を含んでいなければならない。また、≧50%の≦C14鎖長を含む配合物においては合成界面活性剤が不要であろうが、>50%の>C14を含む場合にはある程度の合成界面活性剤および/または共溶媒が必要である。
【0052】
たとえば23℃で軟質ペーストを製造するためには合成洗剤(syndet)が不要であるが、合成洗剤は上述の理由で(後述の共溶媒と同様に)低温粘度を低下させるために使用できる。
【0053】
典型的には合成界面活性剤がもし存在するならば少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤(たとえばアルキルスルフェートまたはイセチオネート)を含むであろう。特にアニオン性界面活性剤がこのような合成界面活性剤混合物の50%以上を構成するときには、好ましくは組成物がアニオン性合成界面活性剤と両性界面活性剤(たとえばベタイン)との組合せを含むであろう。
【0054】
本発明の濃縮組成物はさらに10から40重量%の溶媒を含む。溶媒は水または苛性中和用溶液を含み、さらに非水性共溶媒たとえばポリプロピレングリコールを含む。
【0055】
一般的に、共溶媒の量が多くなるほど水の必要量が少なくなる。また、共溶媒を多く使用し水を少なく使用するほど粘度を所要範囲内に維持することが容易である。
【0056】
本発明の粘度低減用共溶媒はプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび当業者に公知の多くの他の類縁溶媒を含む。
【0057】
1つの実施形態においてはグリセリンを共溶媒として使用できる。グリセリンは低温安定性を強化しないが、少量のグリセリンを用いて低粘度製品を製造できる。約10%を上回るレベルではもっと大量の共溶媒および/または合成界面活性剤を使用しなければならない。
【0058】
最後に、適正な給排粘度は、プロトコルの記載に従って測定したときに300N未満の分配力を必要とする製品の粘度であると定義される。
【0059】
本発明の濃縮配合物は、セッケン/脂肪酸、溶媒および合成界面活性剤を含むことに加えて、さらに、様々な有益物質および/または流動性液体身体手入れ配合物に典型的に使用できる他の成分を含むであろう。
【0060】
有益物質は、たとえば皮膚に効果を与える潜在能力を有している何らかの物質であろう。
【0061】
有益物質は、本発明の組成物から付着したときに皮膚を保護、保湿または状態調整できる水不溶性物質であろう。これらは、シリコーンオイルおよびガム、油脂、ワックス、炭化水素(たとえばペトロラタム)、高級脂肪酸およびエステル、ビタミン、日光遮蔽剤を含み得る。それらは、参照によってここで主題出願に組込まれる米国特許第5,759,969号の8列31行から9列13行に記載された物質のいずれかを含み得る。
【0062】
有益物質はまた、単独で存在するかまたは油性の有益物質に閉込められたグリセリン、ポリオール(たとえば糖類)、酵素、α−またはβ−ヒドロキシ酸のような水溶性物質であろう。
【0063】
組成物はまた、香料、0.01から1%、好ましくは0.01から0.05%の量のEDTAまたはEHDPのような金属イオン封鎖剤、着色剤、乳白剤および真珠光沢剤たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、マイカ、EGMS(エチレングリコールモノステアレート)またはスチレン/アクリレートコポリマーを含み得る。
【0064】
組成物はさらに、2−ヒドロキシ4,2’4’トリクロロジフェニルエーテル(DP300)、3,4,4’−トリクロロカルバニリドのような抗菌剤、精油、および、ジメチルヒダントイン(Glydant XL 1000)、パラベン、ソルビン酸などのような保存料を含み得る。
【0065】
組成物はまた、起泡増進剤としてココヤシアシルモノまたはジエタノールアミドを含んでもよく、また、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムのような強イオン化性塩の使用も有益であろう。
【0066】
たとえばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような抗酸化剤は適宜に約0.01%以上の量で有利に使用し得る。
【0067】
使用し得るカチオン性コンディショナーは、Quatrisoft LM−200 ポリクアテルニウム−24、Merquat Plus 3330−ポリクアテルニウム 39およびJaguqr(登録商標)種のコンディショナーを含む。
【0068】
組成物はまた、Bentonite(登録商標)クレーのようなクレー、ならびに、研磨剤、光輝顔料および微光材のような微粒物質を含み得る。
【0069】
発明の第二の実施形態において、発明は、ラベル(たとえば製品ロゴまたは標章を表示)および/または広告(たとえばプリントコピーまたは他の形態の広告)を含む容器またはボトルを含み、販売または流通を目的とする包装された身体手入れまたは身体洗浄製品に関する。製品は発明の組成物的実施形態に開示したようなセッケン配合物を含む。
【0070】
好ましい実施形態において、包装または容器は家庭または他の場所で使用の際に濃縮セッケンをどのようにいつ希釈するかを消費者に指示する使用説明書を有している。
【0071】
この包装済製品を使用すると、たとえば、製品の生産者が販売基点(たとえばマーケット)にもっと重い製品を輸送するよりも輸送コストを節減でき、さらに、消費者の使用基点までの消費者の運搬コスト(重量/エネルギー)も節減できる。さらに、広告や好意の源泉として利用できる環境に易しい製品を提供する。
【0072】
第三の実施形態において、発明は濃縮セッケンの製造方法に関する。
【0073】
方法は、“給排適性”を得るために必要な粘度目標を満たすべくセッケン予製液と脂肪酸とを反応させて中和し発明によって要求される比を(たとえば現場で)得ることによって、および/または、同じ所望の比を得るために既に調製済みのセッケンと脂肪酸とを混合することによって行われる。どちらの場合にも(好ましいまたはそうでない)、脂肪酸およびセッケンを随意選択される合成界面活性剤および溶媒とさらに反応させて最終濃縮物を形成する。
【実施例】
【0074】
プロトコル
レオロジー測定プロトコル
給排適性を判定するために使用されるレオロジー測定においては直径31.4mmのチューブを使用する。このチューブは、一端が開口しており、他端は直径3mmの開孔をもつ長さ12mmの開孔プレートによってシールされている。最初に開口端からチューブに150mlの製品を充填する。次にチューブの開口端にピストンを挿入し、Instron万能試験機を使用して0.5ml/秒の流速で製品を開孔内に押し進める。定常状態でこの流速に達するために必要な力をInstronで測定する。次に、2回目の試験は摩擦力を計算するためにチューブに製品を存在させないで同じピストン速度で行う。次に、製品を開孔内に押し進めるために要した力から製品が存在しない開孔内にピストンを押し進めるために要した力を減算する。摩擦調整後のこの力を製品の分配力と定義する。主題発明によれば、“給排可能な”と定義された製品が定常状態で要する力は300N未満である。定常状態は、ほぼ一定の分配力が測定された最も長い測定期間であると定義される。測定期間を定常状態期間と考え得るためには、該期間中に0.75ml超の製品が分配されなければならない。このレオロジー測定はチューブからの流出をシミュレートしており、チューブから製品を分配するために必要な力の量の直接測定である。測定を23℃および12℃の2つの温度で行ったが、定義の一貫性を維持するためには測定温度23℃が好ましい。チューブを包囲する温度制御ジャケットを使用して温度を一定に維持した。
【0075】
要約すると、給排適性は、上記のような直径3mmおよび長さ12mmの開孔から押し出すために必要な力が300N未満であることと定義される。本来的に試験は23℃の温度(たとえばほぼ室温)で行うべきである。
【0076】
サンプル調製
実施例では、最初に脂肪酸ブレンドをミキサー内で65から85℃の範囲の温度に加熱した。苛性アルカリ(caustic)の全必要量の75から90%を低速度で混練しながら≧15分の期間を要して溶融脂肪酸に添加した。使用した混合速度は苛性アルカリが完全に反応するために十分であった。次に合成洗剤(SLES、CAPBまたはラウリルサルコシン酸ナトリウム)と共溶媒(ジプロピレングリコール、すなわち、DPGまたはPPG−9)とを脂肪酸セッケンブレンドに混合した。合成洗剤および共溶媒の添加後、残りの苛性アルカリを添加し十分に混練した。次に最終製品を室温に冷却した。
【0077】
略号の説明:
SLES=ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
CAPB=ココアミドプロピルベタイン
PPG=ポリプロピレングリコール
HT=ハードトップト
【0078】
[実施例]
上述のレオロジープロトコルを使用して市販のセッケンバーを試験した。セッケンバーは従来技術の低水分セッケン配合物の代表である。これらの配合物は高粘度を有しておりチューブから分配することができない。使用したレオロジープロトコルによればセッケンバーの分配に要した力は5160Nである。この力は0から300Nという主題発明の臨界範囲よりもはるかに大きい。
【0079】
実施例の配合物に使用した原料についてそれらの鎖長分布を以下の表に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
実施例1から3および比較例AとB
短鎖カリウムセッケンの混合物の場合、セッケン混合物がチューブから分配され得る十分な低粘度(プロトルに定義)を有するような臨界的中和範囲が存在する。以下の実施例(実施例1から3および比較例AとB)は、セッケン:脂肪酸の最終比が2:1から20:1の範囲である中和度の場合に室温で低粘度のセッケン混合物が得られることを示す。すべての実施例において、使用した脂肪酸鎖の75%超がC14以下の鎖長を有している。
【0082】
【表2】

上の実施例から判明するように、セッケン対脂肪酸の比が発明の範囲内に存在しかつ鎖長≦C14を有する脂肪酸およびセッケンのパーセントが50%以上のとき(実施例1−2)、分配力は明らかに300N(給排可能粘度を限定する)未満であった。このような比の範囲外では(比較例Aは1.75という比、比較例Bは無限比)、分配力は300Nをかなり上回る。これらの組成物が水以外の溶媒を含まないこと、合成洗剤が存在しないこと、12℃で測定された粘度が定義した給排可能粘度でないことに注目されたい。
【0083】
実施例4および比較例C
使用した脂肪酸の50%超がC14よりも長い鎖長を有しているならば、セッケン混合物は23℃で測定したときであってもチューブから分配できないほど粘性である(比較例C)。しかしながら、共溶媒および合成界面活性剤(たとえばSLESおよびCAPB)を添加すると、粘度はチューブ分配に適した範囲内になる(実施例4)。
【0084】
【表3】

したがって、双方の実施例がC14よりも長い鎖長を>50%の割合で有している(これは粘度を上昇させる)ときであっても、溶媒と合成界面活性剤との相互作用が定義した分配力を300よりもかなり高い値(383N)からかなり低い値(38.8N)に引き下げる。
【0085】
実施例5および6と比較例D
10から40%の溶媒濃度でセッケン配合物の粘度はチューブから分配できる十分に低い値である。比較例Dは10%未満の溶媒濃度を有しておりチューブから分配できない。実施例3、5および6は、比較例Dと同じ脂肪酸ブレンドを含むが溶媒濃度が10から40%の範囲である。これらの配合物はいずれも23℃で測定したときに300N未満の分配力を有している。比較例Dは10%未満の溶媒を含み、分配力がはるかに大きい。実施例3と6との比較はまた、共溶媒DPGの添加が12℃で測定したときの分配力を300N未満に低下させることを示す(1106Nから70Nに低下)。これは共溶媒が低温分配適性を改善するために使用できることを証明する。
【0086】
【表4】

【0087】
実施例7から9
共溶媒と同様に合成界面活性剤もまた分配力、特に低温分配力を300N未満に低減または維持するために使用できる。実施例7−9は、部分中和セッケン配合物に対する合成界面活性剤の効果を証明する2つの配合物である。実施例3に比較したとき、合成界面活性剤の添加は23℃および12℃の双方で分配力を低減する。
【0088】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)>50重量%の脂肪酸セッケンと、
(b)セッケン対遊離脂肪酸の比が重量対重量基準で2:1から20:1になるような濃度の脂肪酸セッケンと、
(c)0から30重量%のノンソープ合成界面活性剤と、
(d)水と水以外の共溶媒との組合せを含む10%から40%の溶媒と、
を含み、
セッケンおよび脂肪酸の双方の鎖が飽和および不飽和の鎖長の混合物を含むこと、
セッケンおよび脂肪酸が長い(>C14からC30)および短い(≦C14)鎖長の混合物を含み、短い鎖長の鎖が混合物の≧50%を構成すること、および、
濃縮セッケンが容器から給排できる粘度を有しており、前記給排可能粘度は、23℃で測定したときに定常状態で300N未満の分配力であると定義される、濃縮セッケン組成物。
【請求項2】
セッケン対脂肪酸の比が2.5:1から12:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
セッケンのカウンターイオンの50%から100%がカリウムカウンターイオンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
セッケンおよび/または脂肪酸の>75%が飽和である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
セッケンおよび/または脂肪酸の>60%が≦C14である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
セッケンおよび脂肪酸の>75%が≦C14である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
さらに1%から15%の合成界面活性剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
合成界面活性剤が少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(a)消費者への販売または流通を目的としたラベルまたは広告を含む容器またはボトルと、
(b)請求項1から8のいずれか一項に記載の濃縮セッケン組成物と、
を含む包装された身体手入れ/身体洗浄製品。
【請求項10】
(a)油、トリグリセリド、脂肪酸およびそれらの混合物を含むセッケン予製液を中和用溶液と反応させ、セッケン対遊離脂肪酸の比が重量基準で2:1から20:1である組成物を得、引き続いてまたは同時に、セッケン予製液と中和用溶液とを0%から30%の合成界面活性剤および10%から40%の溶媒と合せる段階を含むか、または、
(b)既に中和済みのセッケンと脂肪酸とを混合し、重量基準で2:1から20:1のセッケン対脂肪酸比を有する混合物を形成し、引き続いて、0から30重量%の合成ノンソープ洗剤および10から40重量%の溶媒と合せる段階を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の濃縮セッケン組成物の製造方法。
【請求項11】
(a)>50重量%の脂肪酸セッケンと、
(b)セッケン対遊離脂肪酸の比が重量対重量基準で2:1から20:1となるような濃度の脂肪酸セッケンと、
(c)0から30重量%のノンソープ合成界面活性剤と、
(d)水と水以外の共溶媒との組合せを含む10%から40%の溶媒と、
を含み、
(c)および/または(d)の水以外の溶媒の合計が少なくとも1%から10%の量で存在しなければならないこと、
セッケンおよび脂肪酸の双方の鎖が飽和および不飽和の鎖長の混合物を含むこと、
セッケンおよび脂肪酸が長い(>C14からC30)および短い(≦C14)鎖長の混合物を含み、長い鎖長の鎖が混合物の>50%を構成すること、および、
濃縮セッケンが容器から給排できる粘度を有しており、前記給排可能粘度は、23℃で測定したときに定常状態で300N未満の分配力であると定義される、前記濃縮セッケン組成物。
【請求項12】
セッケン対脂肪酸の比が2.5:1から12:1である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
セッケンのカウンターイオンの50%から100%がカリウムカウンターイオンである、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
セッケンおよび/または脂肪酸の>75%が飽和である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
セッケンおよび/または脂肪酸の>50%が>C14である、請求項11から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
セッケンおよび脂肪酸の>60%から80%が>C14である、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
さらに1%から15%の合成界面活性剤を含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
合成界面活性剤が少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤を含む、請求項17に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−501833(P2013−501833A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524181(P2012−524181)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060952
【国際公開番号】WO2011/018337
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】