説明

給油モニタリング装置およびこれを一体化した可搬式灯油タンク

【課題】ホームタンクからポリタンクに給油した量を把握することができ、作業の切りの良いタイミングで給油作業場所に行くことのできるようにした給油モニタリング装置を提供すること。
【解決手段】可搬式の灯油タンク40に設置される給油量検知・発信機20と、当該給油量検知・発信機とは別体として構成される給油量受信機30とからなる給油モニタリング装置であって、給油量検知・発信機は、灯油タンクに給油された油量を検知する給油量検知装置と、当該給油量検知装置における検知油量に基づいた信号を無線送信する信号送信部を備えており、給油量受信機は、給油量検知・発信機から無線送信された信号を受信する受信部と、受信部が受信した信号に基づいて給油量を表示する給油量表示部31および受信部が受信した信号に基づいて警報を発する警報部32の少なくとも何れかとを備えている給油モニタリング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭に設置されているホームタンクから、ポリタンクとも称される灯油タンクに対して灯油を充填するときに使用する給油モニタリング装置、即ち灯油の充填量を監視する装置と、この給油モニタリング装置を一体化した可搬式灯油タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭において石油ストーブやヒーターなどの暖房装置に灯油を給油する場合等においては、持ち運び可能な程度に灯油を充填したポリタンク(灯油などを入れて運搬・保存するためのポリエチレン製の容器)が使用されている。このポリタンクは、多くの場合、15リットルから20リットル程度の容積であり、常にはこのポリタンクに灯油を収容しておいて、暖房装置に給油が必要な場合には、このポリタンクを持ち運んで給油するか、給油に適した場所にポリタンクを設置しておいて、その場所で暖房装置のカートリッジタンクに給油を行っている。
【0003】
そしてこのポリタンクに灯油を充填する方法としては、灯油の販売所に設置された給油設備(計量器)から直接ポリタンクに充填する場合や、家庭に設置されている容積200リットルから400リットル程度の容積のホームタンク(一般家庭(特に一軒家)において主に灯油貯蔵用に使用される固定式の容器)から随時ポリタンクに充填することが行われている。
【0004】
従来、家庭用のホームタンクからポリタンクに給する場合における満タン報知装置については、特許文献1(特開2006−232390号公報)が提案されている。この特許文献1では、灯油ポリタンクに家庭のホ−ムタンク(200〜400L)から給油する時、目測が困難でありポリタンク(18L)にどこまで灯油が入ったか分からず、また満タンに気づかないで、入れすぎて外にこぼしたり、重くなってそのポリタンクを持ち運べなくなたりするといった課題を解決するべく、灯油ポリタンクのキャップに満タンを報知する装置を取り付けること、および満タンでは重い人には、報知器のレベルアームの長さを調節してポリタンクに灯油が適量で報知することが提案されている。
【0005】
また、特許文献2(実開平07−031698号公報)では、被給油容器へ給油する際、灯油が満杯になるのを監視する必要がなく、安心して給油中も他の用事をすることができるようにした灯油タンク装置が提案されている。この灯油タンク装置は、灯油タンク本体と、この灯油タンク本体の底部に取り付けた給油バルブと、この給油バルブに接続された給油管と、給油バルブ側と反対側の給油管に取り付けられ、油面との間隔が所定値以下になったのを検出すると、油面検出信号を出力する油面検知センサと、油面検出信号が供給されると、給油状態の給油バルブを給油停止状態にするバルブ駆動機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−232390号公報
【特許文献2】実開平07−031698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、家庭用ホームタンクからポリタンクに灯油を移す(充填する)場合、その作業は、通常、屋外で行われているのが実情である。何故ならば、当該ホームタンクは可燃物であり且つ臭気の強い灯油を収容するものであることから、安全性や臭いなどを考慮して屋外に設置している場合が多い為である。
【0008】
そして屋外で家庭用ホームタンクからポリタンクへの給油作業を行った場合、家庭用ホームタンク内に十分な量の灯油が充填されていれば、灯油自体の重さによる圧力によって、短時間でポリタンクへの給油作業を終えることができるが、家庭用ホームタンク内の灯油量が少ない場合には、単位時間当たりの灯油の排出量(吐出量)も減じられることから、ポリタンクへの給油作業にも多大な時間を有することになる。
【0009】
従って、ホームタンク内の灯油が少なくなった場合には、当該給油作業を長時間見守らなければならず、その間、他の作業を行うことができなかった。また、頻繁に灯油を給油しなければならない冬場などにおいては、屋外の寒い中で、この長時間にわたる給油作業を行わなければならないといった不都合があった。
【0010】
一方、前記した特許文献1では、ポリタンクに給油する場合における満タン報知装置が提案されている。しかしながらこの文献で提案されている満タン報知装置は、給油作業場所において音等の警報を発するものであることから、結局は当該給油作業場所の近くに居なければならず、前記不都合を解決することはできなかった。
【0011】
そこで本発明では、給油作業中、その場所または近くに居なければならない事に起因する不都合を解決し、一定の範囲内で給油場所から離れた所に居ても、当該ポリタンクへの給油量を監視することのできる給油モニタリング装置と、この給油モニタリング装置を一体化した可搬式灯油タンクを提供することを第1の課題とするものである。
【0012】
またホームタンクからポリタンクに灯油を移し変える場合、それに要する給油時間はポリタンク内に残留している灯油の量によって変化することから、給油作業者が当該給油作業時間を予測するのは相当に困難である。その結果、給油作業者が、給油時間を利用して他の作業を行う場合であっても、絶えず給油作業の進み具合を見に行かなければならず、作業に集中できないばかりか、時間を有効に使うことができなかった。
【0013】
そこで本発明では、給油作業場所から離れている場合であっても、ホームタンクからポリタンクに給油した量を把握することができ、例えば給油作業場所から離れた所で別の作業を行っている場合には、作業の切りの良いタイミングで給油作業場所に行くことのできるようにした給油モニタリング装置と、この給油モニタリング装置を一体化した可搬式灯油タンクを提供することを第2の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明ではホームタンクからポリタンクへの給油量を離れた場所で確認することができるように、無線方式を採用した給油モニタリング装置を提供する。より具体的には、ポリタンクに設置される親機から、ポリタンク内の給油量に応じて、作業者が簡易に確認できる子機に対して信号を送信するようにした給油モニタリング装置と、この給油モニタリング装置を一体化した可搬式灯油タンクを提供する。
【0015】
即ち本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するべく、可搬式の灯油タンクに設置される給油量検知・発信機と、当該給油量検知・発信機とは別体として構成される給油量受信機とからなる給油モニタリング装置であって、前記給油量検知・発信機は、灯油タンクに給油された油量を検知する給油量検知装置と、当該給油量検知装置における検知油量に基づいた信号を無線送信する信号送信部を備えており、前記給油量受信機は、給油量検知・発信機から無線送信された信号を受信する受信部と、受信部が受信した信号に基づいて給油量を表示する給油量表示部および受信部が受信した信号に基づいて警報を発する警報部の少なくとも何れかとを備えている給油モニタリング装置を提供する。
【0016】
上記可搬式の灯油タンクは、灯油などの液体を充填して運搬・保存するため容器として市販されている容積10〜20リットル程度のポリエチレン製の容器を意味するが、その他にも暖房器具などに組み込まれるカートリッジタンクや、その他の可搬式の容器であっても良い。
【0017】
また、前記給油量検知・発信機と、給油量受信機とは、相互に分離した別体として構成されており、給油量検知・発信機が親機として、給油量受信機が子機として機能することができる。ただし、給油量受信機を親機とし、給油量検知・発信機を子機として構成することも可能であり、この場合には、給油量受信機から給油量を照会する信号の送信に応呼して、子機である給油量検知・発信機が給油量信号を送信するように構成することができる。
【0018】
上記給油量検知・発信機は、給油量検知装置と信号送信部とを備えて構成されている。
【0019】
給油量検知装置は、灯油タンクに給油された油量を検知するものであり、灯油タンクに充填された灯油の油面の高さ(油面レベル)を計測する装置や灯油タンクに充填された灯油の質量を計測する装置を使用することができる。
【0020】
油面の高さ(油面レベル)を計測する装置としては、例えば、灯油の抵抗(抵抗値1.8)を利用して油面レベルを検出する装置を利用することができる。これは抵抗が導電体の長さに比例し、かつ断面積に反比例することを利用しているものであり、油面レベルが変化することによって、タンク内の灯油全体の抵抗が変化し、この抵抗値(または抵抗値の逆数)を計測することによって油面レベルを求めることができる。また、フロート(浮き)を灯油タンク内に充填された灯油の表面に浮かべ、そのフロートの高さで油面レベルを検出する装置であっても良い。このような装置は、フロートと高さ計測手段とを針金などで接続し、フロートの高さが計測手段に直接伝わり、油面が上下することによってフロートも上下するため、フロートの高さが計測手段に伝わることによって液面レベルを求めることができる。さらに、光を利用して液面レベルを計測する装置であっても良い。光源と液面とが接触していないときは、空気と灯油との屈折率の違いにより、光の一部が灯油の表面で反射し、また光源と灯油の表面とが接触すると光が灯油の中を進行するため、上述した反射が無くなる。この性質を利用して、灯油タンク内の灯油があるレベルにあるか否かを検出することができる。そして静電容量で液面レベルを計測する装置であっても良い。かかる装置は、油面レベルを計測するのではなく、油面があるレベルにあるか否かのみを検知すれば良い場合もある。
【0021】
特に灯油タンク内における油面の高さ(油面レベル)を計測する装置は、例えば2段階、3段階、又は4段階以上の高さで灯油タンク内における油面の高さを計測するように構成することもできる。例えば3段階に油面の高さを計測する場合には、灯油を検知するセンサーを異なる3つの高さに設置することができる。
【0022】
また、信号送信部は、給油量検知装置における検知油量に基づいて信号を無線送信するものであり、後述する子機として機能する給油量受信機の受信部と1対1で信号又は情報の送受信を達成するものが使用される。また送信する信号は給油量検知装置が油量を検知したことを示すON/OFF信号である他、灯油タンク内に充填された灯油の量に関連付けられ、充填された油量ごとに異なる信号乃至は情報であっても良い。
【0023】
そして本発明にかかる給油モニタリング装置において、通常は子機として機能する給油量受信機は、受信部と、給油量表示部および/または警報部とを備えて構成される。
【0024】
受信部は、給油量検知・発信機から無線送信された信号を受信するものであり、信号送信部との関係で特定されるものである。即ち、受信部と信号送信部は、両者間において信号乃至は情報を無線送信するために使用される周波数帯域や、通信方法により、特定されるものである。ただし、当該無線送信される信号は、大凡100m程度の距離で通信可能なものであることが望ましく、よって近距離赤外線通信規格(IrDA)による通信よりも、所定の周波数領域における電波で通信する方式の方が望ましい。
【0025】
そして受信部が受信した信号は、給油量表示部で可視化されたり、また警報部で音を発する等によって、作業者が認知可能なように処理・出力される。
【0026】
給油量表示部は受信部が受信した信号に基づいて給油量を表示するものであり、例えばLED(発光ダイオード)や、電球等の発光体の他、液晶表示により、受信した信号に基づいて、灯油タンク内に充填された灯油の量を表示する事ができる。特に、LEDを始めとする発光体を使用する場合には、複数段階に灯油タンク内に充填された灯油の量を表示することが望ましい。例えば、灯油タンク内の約半分まで灯油が充填された場合に発光する第1発光体と、灯油タンク内の約2/3まで灯油が充填された場合に発光する第2発光体と、灯油タンクにおける充填容積の直前まで灯油が充填された場合に発光する第3発光体とで構成することができる。また第3発光体が発光するときには、同時に警報を発し、使用者に注意を促すことも考えられる。なお、警報部は、ブザーその他の音を発するものを使用することができ、灯油タンクに充填された灯油の量に応じて、音量、警報回数、音色などを変化することも考えられる。
【0027】
以上のように構成された給油モニタリング装置によれば、給油作業場所、より具体的にはホームタンクから灯油が注がれているポリタンクなどの灯油タンクには、給油量検知・発信機が設置されて、当該灯油タンク内に注ぎ込まれた灯油の量を監視することになる。そして、当該灯油タンク内に注ぎ込まれた灯油の量が、所定の量になった時点で、子機として機能する給油量受信機に対して信号を送信し、当該給油量受信機はこの信号を受信して表示するか警報を発することにより、使用者(作業者)に対して、灯油タンク内の灯油が所定量になったことを知らせることができる。即ち、本発明にかかる給油モニタリング装置では、灯油の充填量を無線方式で子機に送信できることから、此れまでのように、給油作業場所近傍で監視しなければならないと言った問題を解消することができる。
【0028】
更に、子機として機能する給油量受信機が、灯油タンク内に充填された灯油の量に応じて、段階的に充填量を表示する場合には、使用者は、給油作業場所から離れた場所で待機又は作業をしていても、その作業の切りの良いタイミングを見計らって、給油作業場所に移動し、当該給油作業を終了させることができる。かかる給油モニタリング装置は、前記給油量検知・発信機が備える給油量検知装置が、灯油タンクに給油された油量に応じて複数段階に給油量を検知すると共に、前記信号送信部は検知した検知油量に基づいた信号を無線送信する。そして前記給油量受信機は給油量表示部を備えると共に、当該給油量表示部は、灯油タンクに給油された油量を複数段階に表示する給油モニタリング装置として具体化することができる。
【0029】
上記のように構成された本発明にかかる給油モニタリング装置では、搬送(持ち歩き)時に於ける利用者の事情を考慮して、親機として機能する給油量検知・発信機又は子機として機能する給油量検知装置において、警報等により充填の完了を知らせる時の充填量を任意に調整できるように形成することが望ましい。これは、一般的に市販されている灯油タンクは、10リットル容積のものも存在するが、量販店などで一般消費者が最も多く購入するのは18リットル容積のものである。かかる18リットル容積の灯油タンクに容量一杯(約18リットル)の灯油を入れた場合には、相当な重さになることから、老人や子供、あるいは足腰の弱い者にとっては、搬送(持ち歩き)が困難になってしまうことから、持ち運びできる程度に灯油を充填するようにする為である。
【0030】
かかる給油モニタリング装置は、例えば給油量検知装置が、灯油タンクに給油された油量が予め設定された量になった事を検知した時に、前記給油量検知・発信機が備える信号送信部が給油完了を示す信号を発する様に構成することができる。
【0031】
また、前記給油量検知・発信機が、灯油タンクに給油された油量に応じて複数段階の信号を無線送信し、前記給油量受信機は警報部を具備し、当該警報部は、予め設定された量になった事を示す信号を受信したときに警報を発する様に構成することができる。
【0032】
更に本発明にかかる給油モニタリング装置では、ホームタンクからの給油開始時における操作ミスを減じる為、灯油タンクに給油を開始した時点で給油量の監視を行うようにすることが望ましい。よって、上記給油モニタリング装置において、前記給油量検知・発信機は、給油量検知装置が灯油タンク内の油量の上昇を検知することを契機として、信号送信部が動作を開始する事が望ましい。この場合、給油量検知装置に対しては、常に微弱な電力を供給して作動開始の監視を行い、給油作業の開始により灯油タンク内における油面の上昇することにより、最も電力を消費する信号送信部の動作を開始する事が望ましい。
【0033】
そして本発明では、前記した課題の少なくとも何れかを解決する為に、上記本発明にかかる給油モニタリング装置を一体化して設けてなる灯油タンクを提供する。即ち、可搬式の灯油タンクと、当該灯油タンクに給油された灯油の量を監視する給油モニタリング装置とからなる、給油モニタリング装置付き灯油タンクであって、当該給油モニタリング装置は、上記した本発明にかかる給油モニタリング装置が使用され、給油モニタリング装置を構成する給油量検知・発信機は、当該灯油タンクに一体化されている給油モニタリング装置付き灯油タンクである。
【0034】
かかる給油モニタリング装置付き灯油タンクにおいて、灯油タンクに対する給油量検知・発信機の設置は、当該給油量検知・発信機に使用される油面レベル計測装置の計測方法により種々設定することができるが、この油面レベル計測装置が、灯油に接して液面を感知する場合には、当該給油量検知・発信機における油面レベル計測装置は、灯油タンク内に収容されることになる。この場合、例えば灯油タンクの上面に開口を形成すると共に、当該開口から油面レベル計測装置を挿入し、当該開口を密閉することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように構成された給油モニタリング装置によれば、給油作業中、その場所または近くに居なければならない事に起因する不都合を解決し、一定の範囲内で給油場所から離れた所に居ても、当該ポリタンクへの給油量を監視することのできる給油モニタリング装置を提供することができる。
【0036】
また本発明にかかる給油モニタリング装置では、給油作業場所から離れている場合であっても、ホームタンクからポリタンクに給油した量を把握することができ、例えば給油作業場所から離れた所で別の作業を行っている場合には、作業の切りの良いタイミングで給油作業場所に行くことのできるようにした給油モニタリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】給油モニタリング装置における給油量検知・発信機の設置状態を示す要部透視斜視図
【図2】給油量検知・発信機の動作状態を示す縦断面略図
【図3】給油モニタリング装置の使用状態を示す略図
【図4】他の実施の形態にかかる給油量検知・発信機を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明にかかる給油モニタリング装置10の1つの実施の形態を、、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本実施の形態にかかる給油モニタリング装置10における、給油量検知・発信機20の設置状態を示す要部透視斜視図であり、図2は給油量検知・発信機20の動作状態を示す縦断面略図であり、図3は本実施の形態にかかる給油モニタリング装置10の使用状態を示す略図であり、図4は他の実施の形態にかかる給油量検知・発信機20を示す側面図である。
【0039】
先ず、図1を参照しながら本実施の形態にかかる給油モニタリング装置10の給油量検知・発信機20を説明する。この給油量検知・発信機20は、図1(A)に示す様に、灯油タンク40の持ち手近傍に穿孔した孔部41から当該タンク内に差込まれるセンサー部分22と、このセンサー部分22の上端であって、灯油タンク40の上面に位置する本体部分21とで構成されている。そしてセンサー部分22を灯油タンク40内に収容した後に、当該孔部を塞いで給油量検知・発信機20を灯油タンク40に一体化することで、本実施の形態にかかる給油モニタリング装置10付き灯油タンク40が実現する。なお、この給油モニタリング装置10付き灯油タンク40の組立に際しては、給油量検知・発信機20を、予め灯油タンク40に設けられている孔部42から挿入することも可能である。
【0040】
給油量検知・発信機20の本体部分21は、センサー部分22における検知信号を受信して充填された灯油の量(或いは高さ)を判断する灯油量判断回路(図示せず)を備えており、当該灯油量判断回路と前記センサー部分22とにより、本実施の形態における給油量検知装置を構成している。特に、この給油量検知装置の構成については、従前において、液面の高さを検知する為の様々な構成を採用することができる。例えばフロート24式や、光の屈折を利用する方式、静電容量で液面レベルを計測する方式を採用することができる。
【0041】
特に、本実施の形態におけるセンサー部分22では、図2に示す様に、筒内にフロート24を存在させ、このフロート24が油面の高さに従って上下し、当該フロート24までの距離を計測することにより、当該タンク内に充填された灯油の量を測定するように形成している。なお、このフロート24までの距離の測定は、光の反射を利用した距離測定器や、レーザー距離計などを採用することができる。
【0042】
また、このセンサー部分22は、上記のようにフロート24を使用する他にも、図4に示す様に、液面を検知する検知部(センサー25A,B,C)を、灯油タンク40内に高さ方向に複数設置することができる。即ち、この図4に示す実施の形態では、灯油タンク40内に内装される軸部材に、3つの油面センサーを設置して構成している。灯油タンク40内に灯油が充填され、図4(A)に示す様に、最も下に配されたセンサー(第1センサー25A)まで油面が到達すると、当該第1センサー25Aが油面を検知して、その検知信号を給油量検知・発信機20の本体部分21に送る。更に灯油を充填し、油面が第1センサー25Aの上に配されたセンサー(第2センサー25B)まで到達すると(図4(B)参照)、当該第2センサー25Bが、油面の検知信号を給油量検知・発信機20の本体部分21に送る。更に第2センサー25Bの上方に第3センサー25Cを設置しておくこともできる。このように複数のセンサーを設置した場合において、給油モニタリング装置10の本体部分21は、各センサから信号を受信する毎に、その信号を給油量受信機30に送信するように構成することができる。
【0043】
また、灯油タンク40の上面に存在させて使用される給油量検知・発信機20の本体部分21は、更に、灯油量判断回路における測定結果を受領し、所定の充填量ごとに、信号を送信する信号送信部(図示せず)を備えて構成されている。この信号送信部の構成については、市販されている無線送信装置を使用することができ、例えばラジオコントロールの玩具に使用されているような無線方式の信号送信回路を使用することができる。
【0044】
更に、この給油量検知・発信機20の本体部分21は、前記当油量判断回路における、信号の出力タイミング、或いは信号送信部における信号の送信タイミングを設定する、信号送信設定回路を伴うことができる。即ち、灯油タンク40内に5リットル充填された時点で信号を送信するか、或いは10リットル充填された時点で信号を送信するかなど、信号を送信する時点を設定したりすることができる。かかる信号の送信タイミングの設定は、例えば給油量検知・発信機20の本体部分21の上面に、設定操作用ボタン23を設置して行うことができる。また、1リットル、又は2リットル充填される毎に信号を送信するような回路として形成することもできる。更に、一定の充填量を設定しており、当該設定した充填量に至った段階で、それまでとは異なる信号を送信することも考えられる。例えば、給油開始(充填開始)から1リットル充填するごとに、充填量を示す第1の信号を送信し、設定した充填量に至った場合には、警報を発する第2の信号を送信するように構成することができる。
【0045】
そして、以上のように給油量検知・発信機20から無線方式で送信される信号は、当該給油作業場所とは離れた所に存在する給油量受信機30が受領し、当該信号に基づく情報を表示するように構成されている。
【0046】
図3は、この使用状態を示す略図であり、この図では屋外に設置されたホームタンク50から、灯油タンク40に灯油を移し変えている状態を示している。この図において、灯油が移し変えられる灯油タンク40には、前記した給油量検知・発信機20が設置されている。そして、この移し変え作業が行われている屋外のホームタンク設置場所から離れた所(図では屋内)に、子機として機能する給油量受信機30を設置している。
【0047】
この給油量受信機30は、給油量検知・発信機20から送信された信号に基づいて、現在、どの程度、灯油が充填されたかを示す表示部31を備えており、本実施の形態では、5リットル、10リットル、15リットルの充填量を知らせるLED表示部31を設けている。このLED表示部31の動作は、給油量検知・発信機20から送信される信号を給油量受信機30において積算・演算することで表示させる他、給油量検知・発信機20が各充填量ごとに識別可能な信号を送信する場合には、当該信号を受信することにより、各LEDを発行させるように構成することも考えられる。
【0048】
更に、この実施の形態では、子機として機能する給油量受信機30は、警報を発する警報部32を供えて構成されている。この警報部32は、給油量検知・発信機20から送信される信号により、灯油タンク40内に充填された灯油の量が所定の値になった場合に、音を発することにより、使用者に対して注意を促すように機能することができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態にかかる給油モニタリング装置10では、給油量受信機30が、無線方式で、灯油タンク40内の充填量に関連付けられた信号を受信し、これを給油作業場所から離れた所で表示することができるようになっている。これにより、給油作業場所から離れた所でも、当該給油作業を監視することができる。
【0050】
更に給油量受信機30は、灯油タンク40内に充填された灯油の量を、複数段階で表示するように構成されている。これにより、充填された量を考慮し、更に使用者における現在の作業状況等を考慮して、当該給油作業を終了しに行くことができる。
【0051】
なお、上記実施の形態では、本発明に関する基本的な思想を具体的にするための1例を示したものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変更することが可能である。特に、灯油タンク40内に充填された灯油の量を検知する構成、子機として機能する給油量受信機30に信号を送信する具体的な回路の構成、給油量受信機30において充填量を表示する構成などは、種々変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明にかかる給油モニタリング装置10によれば、給油作業の効率化を図ることができ、更に給油作業者における作業時間を有効に利用することが可能になる。
【0053】
更に、給油作業において灯油があふれ出してしまうなどの無駄を防止することができ、環境保全にも貢献することができる。
【0054】
何よりも、上記のような効果を有する本発明の給油モニタリング装置10の製造・普及により、産業の発達を企図することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 給油モニタリング装置
20 給油量検知・発信機
21 本体部分
22 センサー部分
23 設定操作用ボタン
24 フロート
24A,B,C センサー
30 給油量受信機
31 表示部
32 警報部
40 灯油タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式の灯油タンクに設置される給油量検知・発信機と、当該給油量検知・発信機とは別体として構成される給油量受信機とからなる給油モニタリング装置であって、
前記給油量検知・発信機は、灯油タンクに給油された油量を検知する給油量検知装置と、当該給油量検知装置における検知油量に基づいた信号を無線送信する信号送信部を備えており、
前記給油量受信機は、給油量検知・発信機から無線送信された信号を受信する受信部と、受信部が受信した信号に基づいて給油量を表示する給油量表示部および受信部が受信した信号に基づいて警報を発する警報部の少なくとも何れかとを備えていることを特徴とする給油モニタリング装置。
【請求項2】
前記給油量検知・発信機が備える給油量検知装置は、灯油タンクに給油された油量に応じて複数段階に給油量を検知すると共に、前記信号送信部は検知した検知油量に基づいた信号を無線送信し、
前記給油量受信機は給油量表示部を備えると共に、当該給油量表示部は、灯油タンクに給油された油量を複数段階に表示する、請求項1に記載の給油モニタリング装置。
【請求項3】
前記給油量検知・発信機が備える信号送信部は、給油量検知装置が、灯油タンクに給油された油量が予め設定された量になった事を検知した時に、給油完了を示す信号を発する請求項1又は2に記載の給油モニタリング装置。
【請求項4】
前記給油量検知・発信機は、灯油タンクに給油された油量に応じて複数段階の信号を無線送信し、
前記給油量受信機は警報部を具備し、当該警報部は、予め設定された量になった事を示す信号を受信したときに警報を発する、請求項1又は2に記載の給油モニタリング装置。
【請求項5】
前記給油量検知・発信機は、給油量検知装置が灯油タンク内の油量の上昇を検知することを契機として、信号送信部が動作を開始する請求項1〜4の何れか一項に記載の給油モニタリング装置。
【請求項6】
可搬式の灯油タンクと、当該灯油タンクに給油された灯油の量を監視する給油モニタリング装置とからなる、給油モニタリング装置付き灯油タンクであって、
当該給油モニタリング装置は、請求項1〜5の何れか一項に記載の給油モニタリング装置であり、
給油モニタリング装置を構成する給油量検知・発信機は、当該灯油タンクに一体化されていることを特徴とする給油モニタリング装置付き灯油タンク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35876(P2012−35876A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178614(P2010−178614)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(510217183)
【Fターム(参考)】