説明

給湯システム

【課題】システムを運転オフにするようなことなく、必要に応じて給水管の水をそのまま所望の給湯先に供給することができるとともに、それ以外の他の給湯先には湯を適切に供給することが可能な利便性に優れる給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯機1と、この給湯機1から出湯した湯に給水管40Bの水を混合させることにより複数の給湯先に供給される湯水の温度調整を行なうための複数の湯水混合手段23を有する湯水混合ユニット2と、を備えている、給湯システムA1であって、前記複数の給湯先のうち、少なくとも1つの給湯先への湯水供給モードとして、出水モードを設定可能な出水モード設定手段31bと、前記出水モードを設定された給湯先が開栓状態とされたときには、この給湯先に対して給水管40Bの水が湯を混合されることなく供給されるように、前記出水モードに対応する湯水混合手段23を湯の未混合状態に設定して固定させる制御手段20と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機から出湯される湯を、台所、浴室、洗面所などの複数の給湯先に対して異なる温度で同時に供給できるようにされた給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯システムの具体例としては、給湯機と、湯水混合ユニットとを組み合わせたものがある(たとえば、特許文献1,2を参照)。前記湯水混合ユニットは、前記給湯機から出湯した湯に、水道管などの給水管の水を混合させることにより、前記湯の温度調整を行なう複数の湯水混合弁を有している。また、前記給湯機には、リモコンが通信接続されており、このリモコンは、台所、浴室、洗面所などの給湯先ごとの目標給湯温度を設定できるようになっている。
【0003】
このような構成の給湯システムによれば、給湯機から湯水混合ユニットに湯が供給された際に、複数の湯水混合弁を利用して異なる温度の湯を生成することが可能である。したがって、台所、浴室、洗面所などの複数の給湯先に対して、リモコンで設定されている目標出湯温度の湯を同時に供給することができる。また、このように各給湯先に目標給湯温度の湯を供給可能であれば、各給湯先に取り付けられる給湯詮としては、湯温調整を可能とする混合詮を用いる必要はなく、それよりも廉価な単詮を用いればよいこととなる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、給湯システムを使用する場合、湯に代えて、給水管の水をそのまま使用したい場合がある。これに対し、従来の給湯システムは、運転オン状態の際に給湯詮が開かれたときには、常に目標給湯温度の湯が給湯先に供給されるようになっている。このため、従来において、給水管の水をそのまま使用したい場合には、リモコンを操作して給湯システムを運転オフにする必要があった。
【0006】
ところが、このように給湯システムを運転オフにしたのでは、全ての給湯先において湯を全く利用することができなくなり、不便となる。たとえば、台所で水を使用すべく給湯システムを運転オフにすると、他の浴室や洗面所などにおいて湯を使用しようとしても湯が一切供給されないこととなる。また、給湯システムを運転オフにして台所で水を使用している際に、他のユーザが浴室や洗面所のリモコンを操作して運転オンにする場合も考えられるが、この場合には台所に対してユーザの意図しない温かい湯が供給されることとなる。
【0007】
このような不具合は、各給湯先に取り付けられる給湯詮として、混合詮を使用し、かつこの混合詮から水のみが排出されるように調整すれば解消される。ところが、混合詮は、単詮と比較すると高価であるばかりか、この混合詮には、湯用の配管と水用の配管とをそれぞれ接続する必要があり、それらの配管施工の負担も大きい。また、前記給湯システムは、既述したように、混合詮を用いなくても、複数の給湯先への給湯温度を個別に調整できる利点を有するものであるから、この利点を活かす観点からしても、混合詮の使用はなるべく避けることが望まれる。このようなことから、給湯詮として単詮を用いた場合であっても、前記したような不具合が発生しないようにすることが要望される。
【0008】
【特許文献1】特開平11−270868号公報
【特許文献2】特開2003−83603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、システムを運転オフにするようなことなく、必要に応じて給水管の水をそのまま所望の給湯先に供給することができるとともに、それ以外の他の給湯先には湯を適切に供給することが可能な利便性に優れる給湯システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明により提供される給湯システムは、給湯機と、この給湯機から出湯した湯に給水管の水を混合させることにより、複数の給湯先に供給される湯水の温度調整を行なうための複数の湯水混合手段を有する湯水混合ユニットと、を備えている、給湯システムであって、前記複数の給湯先のうち、少なくとも1つの給湯先への湯水供給モードとして、出水モードを設定可能な出水モード設定手段と、前記出水モードを設定された給湯先が開栓状態とされたときには、この給湯先に対して前記給水管の水が湯を混合されることなく供給されるように、前記出水モードに対応する湯水混合手段を湯の未混合状態に設定して固定させる制御を実行する制御手段と、を備えていることを特徴としている。なお、出水モード時において、湯水混合手段を湯の未混合状態に制御するとは、たとえば湯水混合手段として湯水混合弁を用いた場合に、この湯水混合弁に対する入湯・入水状態を水側全開・湯側全閉に制御することが一例として挙げられる。また、そのような水側全開・湯側全閉に非常に近い状態に湯側が微小量だけ開いた状態(実質的に給水管の水がそのまま給湯先に供給されるのと同一視できる程度の出水がなされる状態)に制御することも、含まれる。また、前記出水モード時においては、出水される水の温度とは無関係に湯水混合手段の制御がなされる。
【0012】
本発明によれば、出水モード設定手段を利用して所定の給湯先を出水モードに設定すると、制御手段は、その給湯先に対応する湯水混合手段を湯の未混合状態に設定して固定させる。したがって、前記給湯先には、給水管の水がそのまま供給されることとなる。したがって、従来とは異なり、ユーザが給水管の水をそのまま利用したい場合に、わざわざ給湯システムを運転オフにする必要はない。また、このように運転オフにする必要を無くすと、出水モードに対応する湯水混合手段以外については、通常どおりの湯水混合制御を行なわせることが可能となる。したがって、1つの給湯先には給水管の水をそのまま供給すると同時に、他の給湯先には所望温度の湯を供給することが適切に実現され、ユーザにとって非常に便利となる。もちろん、このような効果は、給湯先に取り付けられる給湯栓を単栓とした場合にも得られる効果であり、混合栓に代えて、それよりも廉価でかつ配管施工の容易な単栓を多く使用したいユーザにとっては、より好適となる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の給湯先ごとに目標給湯温度を設定し、かつこの設定された目標給湯温度のデータを前記湯水混合ユニットに送信可能な少なくとも1つのリモコンを具備し、このリモコンの操作によって前記出水モードの設定および解除が可能であり、このリモコンが前記出水モード設定手段である。
【0014】
このような構成によれば、目標給湯温度を設定するのに利用されるリモコンを操作することによって、出水モードの設定およびその解除を容易に行なうことができるため、ユーザにとってより便利となる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコンは、出水モードの設定およびその解除を行なうための専用操作スイッチを備えた構成とされ、または前記目標給湯温度を変更設定するためのスイッチ操作によって前記出水モードの設定およびその解除が可能な構成とされている。
【0016】
このような構成によれば、リモコンに設けられている専用操作スイッチを操作することにより、あるいは目標給湯温度を変更する操作の一連の流れにおいて特定の操作を行なうことにより、出水モードの設定およびその解除が行なえることとなり、その操作性をさらに良好にすることができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る給湯システムの一実施形態を示している。本実施形態の給湯システムA1は、給湯機1、湯水混合ユニット2、および複数のリモコン3(3A〜3C)を備えている。
【0020】
給湯機1は、たとえばガス燃焼式の給湯機であり、その基本的なハード構成は、従来既知のものと同様である。具体的には、この給湯機1は、缶体11内に送風ブロア16から燃焼用空気を送り込みながら、燃焼器12により燃料ガスを燃焼させるようになっている。この燃焼器12の上方には、水管13を有する熱交換器14が設けられている。水管13の入水口13aには、水道管などの給水管40Aが接続されている。熱交換器14の熱交換により得られた湯は、水管13の出湯口13bから出湯し、配管41を介して湯水混合ユニット2の給湯口21aに供給されるようになっている。
【0021】
給湯機1は、制御部10を備えている。この制御部10は、CPUやこれに付属する各種のメモリを具備して構成されており、また湯水混合ユニット2やリモコン3との通信を行なうための通信機能も備えている。この制御部10は、出湯温度の変更制御を実行する。この制御は、燃焼器12に対する燃料ガスの供給量調整、あるいは熱交換器14を通過した湯に水を混合させるバイパス経路13cに設けられている流量調整弁15の開度を調整するなどして行なわれる。この給湯機1においては、後述する複数の給湯栓6A〜6Cのいずれかが開状態とされることにより水管13内に水流が生じ、かつその流量が予め定められた閾値を超えると、燃焼器12などが駆動するようになっている。また、前記流水量が前記の閾値以下に減少すると、燃焼器12などの駆動が停止されるようになっており、このような制御も制御部10が担当している。
【0022】
複数のリモコン3としては、たとえば台所に設置されるメインのリモコン3Aと、浴室や洗面所に設置されるサブのリモコン3B,3Cとがある。各リモコン3は、目標給湯温度や給湯流量(最大給湯流量)などのデータを入力設定するための複数の操作スイッチ31a,31b、データ表示を行なうための表示部32、および制御部30を備えている。制御部30は、給湯機1の制御部10と同様に、CPUやこれに付属する各種のメモリを具備して構成されており、また給湯機1の制御部10との間で通信線50を介して通信を行なう通信機能も備えている。通信線50には、給湯機1から各リモコン3に対して駆動電力を供給すべく直流電圧印加がなされており、前記データ通信方式としては、AM変調波が重畳されて伝送される重畳2芯方式が用いられている。各リモコン3において操作スイッチ31aが操作されることによって目標給湯温度などのデータが入力設定されると、このデータは、湯水混合ユニット2の後述する制御部20に送信される。ただし、サブのリモコン3B,3Cは、それらが設置されている浴室または洗面所についてのデータを設定し得るに過ぎないのに対し、メインのリモコン3Aにおいては、サブのリモコン3B,3Cで設定されたデータ内容を取り込んで記憶可能であり、また台所、浴室、洗面所のいずれの給湯先についても目標給湯温度などのデータを入力設定できるようになっている。
【0023】
操作スイッチ31bは、出水モードの設定およびその解除を行なうための専用の操作スイッチである。前記出水モードは、水道管などの給水管40Bから湯水混合ユニット2に供給されている水に湯を混合させることなく、その水をそのまま給湯先に供給するモードであり、この出水モードが設定された際の各部の具体的な動作手順については後述する。本実施形態においては、リモコン3A〜3Cのいずれにも操作スイッチ31bが1つずつ設けられており、それらの操作によって、台所、浴室、および洗面所のそれぞれを個々に出水モードに設定可能となっている。ただし、本発明はこれとは異なり、たとえばメインのリモコン3Aには、台所以外として、浴室や洗面所についても個別に出水モードを設定可能とする操作スイッチがさらに追加して設けられた構成とすることもできる。
【0024】
湯水混合ユニット2は、給湯口21aを有する湯用の配管21A、給水管40Bが接続された入水口21bを有する水用の配管21B、これらの配管21A,21Bに流れる湯と水を所定の比率で混合させて所望温度の湯を生成するための複数の湯水混合弁23(23A〜23C)、およびこれら複数の湯水混合弁23の駆動制御を行なう制御部20を備えている。複数の湯水混合弁23の下流側には、複数の配管24A〜24Cが接続されており、またこれらの終端の接続口24a〜24cには、外部配管60A〜60Cが接続されている。これら外部配管60A〜60Cの終端には、台所、浴室、および洗面所に配された複数の給湯栓6A〜6Cが取り付けられている。これらの給湯栓6A〜6Cの全部または一部を混合栓としてもよいが、本実施形態においては、いずれも単栓である。なお、配管24Cは、2つの接続口24cを有するように2つに分岐しており、たとえば家屋の1階および2階のそれぞれの洗面所への給湯が可能となっている。
【0025】
図2を参照して湯水混合ユニット2の構造をさらに詳述する。各湯水混合弁23の入湯・入水用の上流口には、配管21A,21Bの終端またはそれらの分岐配管が接続されている。各湯水混合弁23は、たとえば電動モータMの駆動によって弁本体23aを動作させることにより湯と水の混合割合を変更自在である。配管21A,21Bのうち、各湯水混合弁23よりも上流側には、一対の開閉弁22A,22B、入湯温度ならびに入水温度を検出するための一対の温度センサ70A,70B、および各湯水混合弁23からの逆流を防止する複数の逆止弁74が設けられている。各湯水混合弁23の下流側の配管24A〜24Cには、各湯水混合弁23から流出した湯の温度を検出するための温度センサ71、各湯水混合弁23から流出する湯の最大流量を制限するための過流出防止弁72、および流量センサ73が設けられている。前記した各種センサからの信号は制御部20に送信され、また前記した各種の弁(逆止弁を除く)は、制御部20により駆動制御される。
【0026】
制御部20は、給湯機1の制御部10と同様に、CPUやこれに付属する各種のメモリを具備して構成されており、図1に示すように、給湯機1の制御部10との間で通信線51を介して通信を行なう通信機能も具備している。この通信方式も、先に述べたのと同様な重畳2芯方式である。ただし、湯水混合ユニット2には、たとえば商用電源から電力供給が行なわれるようになっており、通信線51を利用した電力供給は行なわれない。制御部20は、通信線51,50を介して各リモコン3の制御部30との間でも通信可能であり、リモコン3を利用した各種の操作に対応して後述するような制御を行なうように構成されている。
【0027】
次に、前記した給湯システムA1の作用、ならびに湯水混合ユニット2の制御部20の動作処理手順の一例について、図3に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
【0028】
まず、運転オンの状態において、リモコン3A〜3Cの操作スイッチ31aが操作されることにより、台所、浴室、および洗面所のそれぞれにおける目標給湯温度などのデータが設定されると、これらのデータは湯水混合ユニット2の制御部20に送信され、かつこの制御部20に記憶される(S1)。次いで、出水モードが設定されることなく、給湯栓6A〜6Cのいずれかが開かれて出湯が開始されるときには(S2:NO,S3)、制御部20は、複数の流量センサ73からの流量検出信号に基づいて給湯栓6A〜6Cのいずれが給湯先であるかを判断し、給湯機1の制御部10に対して出湯温度の指示データを送信する(S4,S5)。この指示データは、前記目標給湯温度のデータに基づいて制御部20が決定するものであり、たとえば目標給湯温度よりも5〜10°C程度高めの温度である。給湯機1は前記指示データにしたがった温度の湯を湯水混合ユニット2に向けて出湯することとなる。制御部20は、給湯先に対応する湯水混合弁23を制御する(S6)。この制御により、目標給湯温度の湯が生成され、かつこの湯が所定の給湯先に供給されることとなる。
【0029】
一方、前記とは異なり、たとえばリモコン3Aの操作スイッチ31bが操作されることにより、台所が出水モードとして設定された場合には、その旨が湯水混合ユニット2に送信される。すると、制御部20は、その旨を記憶するとともに、複数の湯水混合弁23A〜23Cのうち、台所に対応する湯水混合弁23Aのみを水側全開・湯側全閉となるように動作させ、かつその状態に固定させる制御を実行する(S2;YES,S8)。この制御は、温度センサ71によって検出される温度とは無関係、すなわち出水モードで供給される水の具体的な温度とは関係なく実行される。また、既に述べているとおり、湯水混合弁23Aを動作させる場合、水側全開・湯側全閉の状態に非常に近い状態に湯側が僅かに開き、かつ実質的に給湯管40Bの水がそのまま供給されるのと同一視できるような状態とされていてもかまわず、このような動作を行なわせる場合にも本発明の技術的範囲に包摂される。前記したような湯水混合弁23Aの水側全開・湯側全閉の固定状態は、リモコン3Aにおいて出水モードの設定解除操作がなされると解消されるが(S9:YES,S10)、そうでない限りは、その固定状態は継続される(S9:NO,S8)。このような状態で台所の給湯栓6Aが開かれると、台所には湯が供給されず、給水管40Bの水がそのまま台所に供給されることとなる。したがって、給水管40Bの水をそのまま使用することを目的として給湯システムA1を運転オフにする必要はない。
【0030】
また、前記したように台所が出水モードに設定され、かつ台所に実際に水が供給されている最中において、台所とは別のたとえば浴室の給湯栓6Bが開かれた場合、制御部20は、先に述べた通常の給湯の場合と同様な制御を行なう。すなわち、浴室には目標給湯温度の湯が供給されるように、給湯機1に対して出湯温度の指示を行なうとともに、浴室に対応する湯水混合弁23Bを制御する。したがって、台所には給水管40Bの水が供給されつつ、浴室には湯水混合弁23Bを経由して目標給湯温度の湯が好適に供給される。もちろん、洗面所の給湯栓6Cが開かれたときには、この洗面所に対しても湯水混合弁23Cを経由させて目標給湯温度の湯を好適に供給することが可能である。
【0031】
このように、本実施形態の給湯システムA1によれば、運転オン状態において、複数の給湯先のうち、出水モードが設定された箇所では給水管40Bの水をそのまま使用しつつ、他の箇所では所望の目標給湯温度の湯を使用することが可能となり、ユーザにとって甚だ便利となる。とくに、このような効果は、給湯栓6A〜6Cとして単栓を用いた場合にも得られるものであり、高価かつ配管施工が煩雑な混合栓の使用個数を少なくすることが可能であるために、システム全体のコストを廉価にする上でも好ましいものとなる。もちろん、この給湯システムA1では、台所、浴室、および洗面所の全ての箇所で所望温度の湯を同時使用できることに加え、それら全ての箇所を出水モードに設定することによって、運転オン状態のままでそれらの箇所で水の同時使用を行なうことも可能となる。さらに、出水モードの設定およびその解除は、各リモコン3に設けられた専用の操作スイッチ31bを操作するだけでよいため、その操作は簡単で判り易く、使い勝手も良い。
【0032】
図4は、本発明に係る給湯システムの他の例を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0033】
図4に示す給湯システムA2は、湯水混合ユニット2に湯を供給する給湯機1Aとして、貯湯タンク80を用いた電気温水器が用いられている。この給湯機1Aの構成は、従来既知の電気温水器と同様であり、給水管40Aから入水管81を介して貯湯タンク80内に供給された水をヒータ82により加熱して貯湯するようになっている。出湯管83から湯を出湯させるときには、たとえば入水管81の分岐配管81aが接続された混合弁84を利用し、出湯される湯に水を混合させることによって湯の温度調整が可能となっている。この混合弁84やヒータ82を制御する制御部85には、出湯温度などの種々のデータを入力設定するためのリモコン86が通信接続されている。
【0034】
この給湯システムA2においては、給湯機1Aと湯水混合ユニット2との間ではデータ通信は実行されないようになっている。したがって、給湯機1Aは、リモコン86で設定された温度の湯を湯水混合ユニット2に供給する一方、湯水混合ユニット2は、給湯機1Aに対して出湯温度の指示などを行なうことなく、前記湯をリモコン3で設定された目標給湯温度に調整して給湯先に供給させることとなる。給湯機1Aの出湯温度として、リモコン3で設定される目標給湯温度のうち最も高い温度よりもさらに高い温度にしておけば、各給湯先に対して適切な給湯が可能である。もちろん、本発明でいう出水モードは、給湯機1Aの制御とは関係なく設定し、かつ実行することが可能であり、本発明はこのような給湯システムにも適用することができる。
【0035】
前記実施形態から理解されるように、本発明でいう給湯機としては、湯水混合ユニットとの間でデータ通信を行なわないものを用いることが可能である。また、瞬間式のものに代えて、貯湯式のものを用いることもできる。瞬間式のものとしては、ガス燃焼式に代えて、それ以外のオイル燃焼式のものを用いてもよく、また貯湯式のものとしては、ヒータを用いた加熱方式に代えて、たとえはヒートポンプを用いた加熱方式、あるいは太陽熱を利用した加熱方式でもよい。給湯機は、要は湯を生成して湯水混合ユニットに供給する機能を備えていればよい。
【0036】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0037】
前記実施形態においては、リモコンに出水モードの設定およびその解除を行なうための専用の操作スイッチ31bが設けられた構成とされているが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、たとえばリモコンのスイッチ操作を行なって目標給湯温度を表示部に順次表示させながら選択していく過程において、目標給湯温度に加えて出水モードの表示も表示部で行なわれるようにし、これをスイッチ操作で選択して設定できるようにしてもかまわない。もちろん、これ以外の手段によって出水モードの設定およびその解除が行なえるようにしてもよい。
【0038】
複数の給湯先に出水モードを設定できるようにすれば、ユーザにとってより便利となるが、やはり本発明はこれに限定されない。本発明では、たとえば台所については出水モードが設定可能であるものの、他の浴室や洗面所については出水モードを設定不能な構成とされていてもよい。要は、複数の給湯先のうち、少なくとも1つの給湯先が出水モードに設定可能な構成とされていればよい。
【0039】
湯水混合ユニットの湯水混合手段としては、前記した湯水混合弁23とは異なる構造の湯水混合手段を用いることが可能である。この湯水混合手段は、複数設けられていればよく、その具体的な数も限定されない。給湯システムの構成要素間の通信方式は、重畳2芯方式に代えて、たとえばワイヤレス通信方式(赤外線通信などの光通信を含む)などの他の通信方式を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る給湯システムの一例を示す説明図である。
【図2】図1に示す給湯システムに用いられている湯水混合ユニットの説明図である。
【図3】図1および図2に示された湯水混合ユニットの制御部の動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る給湯システムの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
A1,A2 給湯システム
1,1A 給湯機
2 湯水混合ユニット
3(3A〜3C) リモコン
6A〜6C 給湯栓
20 制御部(制御手段)
23 湯水混合弁(湯水混合手段)
31b 操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯機と、
この給湯機から出湯した湯に給水管の水を混合させることにより、複数の給湯先に供給される湯水の温度調整を行なうための複数の湯水混合手段を有する湯水混合ユニットと、
を備えている、給湯システムであって、
前記複数の給湯先のうち、少なくとも1つの給湯先への湯水供給モードとして、出水モードを設定可能な出水モード設定手段と、
前記出水モードを設定された給湯先が開栓状態とされたときには、この給湯先に対して前記給水管の水が湯を混合されることなく供給されるように、前記出水モードに対応する湯水混合手段を湯の未混合状態に設定して固定させる制御を実行する制御手段と、
を備えていることを特徴とする、給湯システム。
【請求項2】
複数の給湯先ごとに目標給湯温度を設定し、かつこの設定された目標給湯温度のデータを前記湯水混合ユニットに送信可能な少なくとも1つのリモコンを具備し、
このリモコンの操作によって前記出水モードの設定および解除が可能であり、このリモコンが前記出水モード設定手段である、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記リモコンは、出水モードの設定およびその解除を行なうための専用操作スイッチを備えた構成とされ、または前記目標給湯温度を変更設定するためのスイッチ操作によって前記出水モードの設定およびその解除が可能な構成とされている、請求項2に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−234241(P2006−234241A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47954(P2005−47954)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】