説明

給湯システム

【課題】混合温調制御に用いる部品等が故障しても、所望の温度の湯を供給することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】貯湯タンク31から湯水を導出する出湯管2に燃焼給湯器10を直列に接続する。出湯管2を燃焼給湯器10の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管37と、出湯バイパス管37を開閉するバイパス弁38とを設ける。貯湯タンク31の湯と給水管1の水とを混合する混合温調制御又は燃焼給湯器10による加熱温調制御を実行する温調制御手段50を設ける。温調制御手段50は、混合比変更手段34,35、混合温度センサ36,39、貯湯温度センサ32、及びタンク用加熱手段60のうち、少なくとも何れか一つに故障が発生したとき、バイパス弁38を閉弁状態として加熱温調制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱された湯を貯留する貯湯タンクの下流側に、瞬間加熱式の燃焼給湯器を直列に接続した給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱された湯を貯留する貯湯タンクの下流側に、瞬間加熱式の燃焼給湯器を直列に接続した給湯システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このように、貯湯タンクと燃焼給湯器を直列に接続することによって、貯湯タンクの湯切れが生じたときであっても、燃焼給湯器を作動させることで目標給湯温度での給湯を継続して行うことができる。
【0003】
また、上記従来の給湯システムにおいては、貯湯タンクから湯を導出する出湯管に給水管が接続され、混合比変更手段として設けられている混合調節弁により湯と水とを混合する。このとき、混合調節弁の下流に設けた混合温度センサの検出温度が所望の給湯温度となるように湯の温度を調節する混合温調制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−196983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の給湯システムの構成では、貯湯タンクから燃焼給湯器を経由して出湯管の終端に至る湯の流通経路が長くなる。そのため、当該流通経路における圧力損失が大きくなって十分な給湯流量が得られないだけでなく、燃焼給湯器の燃焼が停止状態で貯湯タンクから出湯した湯は、燃焼給湯器を通過する際の放熱により湯の温度が低下する不都合がある。
【0006】
そこで、燃焼給湯器を迂回して燃焼給湯器の上流側と下流側で出湯管を連通するバイパス管を設けることが考えられる。上記従来の給湯システムにバイパス管を設ける場合には、燃焼給湯器と混合調節弁の下流の混合温度センサとの間に位置する出湯管にバイパス管の始端を接続し、燃焼給湯器の出口側と出湯栓との間に位置する出湯管にバイパス管の終端を接続する。
【0007】
更に、バイパス管にバイパス弁を設ける。こうすることにより、貯湯タンクの湯切れが生じていないときには、バイパス弁を開弁し、貯湯タンクからの湯をバイパス管に流通させることで燃焼給湯器を介さない湯の流通経路を形成することができ、燃焼給湯器を流通することによる湯の圧力損失や放熱を回避することができる。また、貯湯タンクの湯切れが生じた場合には、バイパス弁を閉弁し、貯湯タンクから燃焼給湯器に湯水を流通させることにより燃焼給湯器による加熱温調制御を行って所望の温度の湯を得ることができる。
【0008】
ところで、混合温調制御を行うことにより正確に所望の温度の湯を供給するためには、前記混合調節弁や前記混合温度センサ等の混合温調制御で用いる部品が何れも正常に作動している状態でなければならない。
【0009】
しかし、前記混合温調制御で用いる部品の何れかが故障した場合に、バイパス管を通して給湯しようとしても、正確な混合温調制御が行えないために、所望の温度の湯を供給することができない。
【0010】
上記の点に鑑み、本発明は、混合温調制御に用いる部品等が故障しても、所望の温度の湯を供給することができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の給湯システムは、貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するタンク用加熱手段と、前記貯湯タンク内の湯水の温度を検出する貯湯温度センサと、前記貯湯タンクに接続されて該貯湯タンク内の湯水を導出する出湯管と、前記貯湯タンク及び前記出湯管に接続された給水管と、前記貯湯タンクから前記出湯管に供給される湯水と、前記給水管から前記出湯管に供給される水との混合比を変更する混合比変更手段と、前記出湯管と前記給水管との接続箇所の下流側で前記出湯管の途中に設けられ、前記出湯管を流通する湯水をバーナにより熱交換器を介して加熱する燃焼給湯器と、前記出湯管を前記燃焼給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管と、前記出湯バイパス管を開閉するバイパス弁と、前記混合比変更手段により混合された湯水の温度を検出する混合温度センサと、前記熱交換器により加熱された湯水の温度を検出する給湯器温度センサと、目標給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、給湯時に前記貯湯温度センサの検出温度が前記目標給湯温度に応じて設定された湯切れ判定温度よりも高いときは、前記バイパス弁を開弁状態として、前記混合温度センサの検出温度が前記目標給湯温度となるように、前記混合比変更手段により前記混合比を調節する混合温調制御を実行し、給湯時に前記貯湯温度センサの検出温度が前記湯切れ判定温度以下であるときには、前記バイパス弁を閉弁状態として、前記給湯器温度センサの検出温度が前記目標給湯温度となるように、前記燃焼給湯器による加熱を行う加熱温調制御を実行する温調制御手段とを備え、前記温調制御手段は、前記混合比変更手段、前記混合温度センサ、前記貯湯温度センサ、及び前記タンク用加熱手段のうち、少なくとも何れか一つに故障が発生したとき、前記バイパス弁を閉弁状態として前記加熱温調制御を実行することを特徴とする。
【0012】
本発明の給湯システムは、実施形態において説明の通り、貯湯タンクに湯切れが生じた場合には、貯湯タンクの湯水を燃焼給湯器に流通させ、加熱温調制御により加熱することにより目標給湯温度の湯を生成することができるようになっている。
【0013】
また、貯湯タンクに湯切れが生じていない場合には、バイパス弁を開弁することで、貯湯タンクの湯水を燃焼給湯器に流通させることなく、出湯バイパス管を通して貯湯タンクの湯を供給し、このときに混合温調制御を行って目標給湯温度の湯を生成する。これにより、燃焼給湯器を流通することによる湯の圧力損失や放熱が回避でき、給湯温度設定手段により設定した温度の湯を得ることができる。
【0014】
混合温調制御を行うに際し、前記混合比変更手段、前記混合温度センサ、前記貯湯温度センサ、及び前記タンク用加熱手段のうち、少なくとも何れか一つに故障が発生していると、混合温調制御によって目標給湯温度の湯を生成することが困難になる。そこで、前記温調制御手段は、上記故障が発生したときに、バイパス弁を閉弁状態として加熱温調制御を行う。こうすることにより、貯湯タンクの湯水は、出湯バイパス管を通過することなく燃焼給湯器に導かれ、燃焼給湯器に備える給湯器温度センサを用いて加熱温調制御が行われる。従って、前記燃焼給湯器の加熱温調制御により目標給湯温度の湯を生成することができ、混合温調制御が正常に行えない場合でも支障なく、給湯温度設定手段によって設定した所望の温度の湯を得ることができる。
【0015】
また、本発明の給湯システムにおいて、前記混合比変更手段は、前記出湯管における前記貯湯タンクとの接続部と前記給水管との接続部間に設けられて前記貯湯タンクからの出湯量を変更する湯量可変弁と、前記給水管における前記貯湯タンクとの接続部と前記出湯管との接続部間に設けられて前記給水管から前記出湯管に向かう水量を変更する水量可変弁とを備え、前記温調制御手段は、前記混合温度センサに故障が発生したとき、前記バイパス弁を閉弁状態とし、前記湯量可変弁を閉弁状態とし、前記水量可変弁を開弁状態として、前記加熱温調制御を実行することを特徴とする。
【0016】
貯湯タンク内に十分な量の高温の湯が貯められていることにより、バイパス弁を開弁状態として出湯バイパス管を通過させて給湯を行うとき、混合温度センサが正常に機能しない場合には、湯量可変弁と水量可変弁との開度により湯と水との混合比を調節しようとしても、湯量可変弁の開度が極度に大きくなって貯湯タンク内の高温の湯が水と混合されることなくそのまま出湯供給されることがあり得る。そこで、本発明の給湯システムにおいては、前記混合温度センサに故障が発生したとき、湯量可変弁を閉弁状態とし、水量可変弁を開弁状態とする。これにより、貯湯タンクから高温の湯を出湯させずに、給水管から供給される水を燃焼給湯器により加熱することで、加熱温調制御による目標給湯温度の湯を生成することができるので、給湯温度設定手段によって設定した所望の温度の湯を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における給湯システムの構成図。
【図2】図1に示した給湯システムにおける作動を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1を参照して、本実施の形態の給湯システムは、瞬間加熱式の燃焼給湯器10と、タンクユニット30と、ヒートポンプユニット60とにより構成されている。
【0019】
ヒートポンプユニット60(本発明のタンク用加熱手段に相当する)は、圧縮機71、凝縮器72、減圧器73、及び蒸発器74を、冷媒循環路75で接続して構成されたヒートポンプ70を備えている。凝縮器72は、貯湯タンク31の上部及び下部に接続されたタンク循環路64と接続され、冷媒循環路75内の冷媒とタンク循環路64内の湯水とを熱交換させることによって、タンク循環路64内の湯水を加熱する。
【0020】
タンク循環路64には、貯湯タンク31に貯められた湯水をタンク循環路64内に循環させるための循環ポンプ65と、凝縮器72から貯湯タンク31に供給される湯水の温度を検出する往きサーミスタ66と、貯湯タンク31から凝縮器72に供給される湯水の温度を検出する戻りサーミスタ41とが設けられている。
【0021】
そして、マイクロコンピュータ等により構成されたヒートポンプコントローラ80に、往きサーミスタ66による温度検出信号が入力される。また、ヒートポンプコントローラ80から出力される制御信号によって、ヒートポンプ70と循環ポンプ65の作動が制御される。
【0022】
ヒートポンプコントローラ80は、タンクコントローラ50と通信可能に接続され、タンクコントローラ50からの貯湯加熱指示信号を受信したときに、沸き上げ運転を行う。即ち、タンクコントローラ50から送信される沸き上げ設定温度を用い、往きサーミスタ66の検出温度及び戻りサーミスタ41の検出温度とに基づいて、循環ポンプ65とヒートポンプ70を作動させて貯湯タンク31内の湯水を設定された沸き上げ温度まで加熱する。
【0023】
タンクユニット30は、貯湯タンク31と、貯湯タンク31の上部に始端が接続された出湯管2と、貯湯タンク31の下部及び出湯管2に接続された給水管1と、燃焼給湯器10をバイパスして出湯管2を燃焼給湯器10の上流側と下流側で連通する出湯バイパス管37とを備えている。また、出湯管2の終端にはカラン3が設けられている。
【0024】
タンクユニット30は、貯湯タンク31からヒートポンプユニット60に供給される湯水の温度を検出する戻りサーミスタ41と、貯湯タンク31に貯められた湯水の上層部分の温度を検出する貯湯サーミスタ32と、出湯管2における給水管1との接続箇所Xの上流側に設けられた入湯サーミスタ33と、貯湯タンク31からの出湯量を検出するタンク流量センサ46と、給水管1の通水流量を検出する入水流量センサ43と、給水管1に設けられた入水サーミスタ44と、貯湯タンク31から出湯管2への出湯量を変更する湯量可変弁34と、給水管1から出湯管2に向かう水量を変更する水量可変弁35と、給水管1に設けられた逆止弁付きの減圧弁40と、出湯管2と給水管1との接続箇所Xと出湯バイパス管37との間に設けられた混合サーミスタ36と、出湯バイパス管37を開閉するバイパス弁38と、出湯バイパス管37と出湯管2との接続箇所Yの下流側に供給される湯水の温度を検出する給湯出口サーミスタ39とを備えている。
【0025】
なお、湯量可変弁34と水量可変弁35とは本発明の混合比変更手段を構成しており、混合サーミスタ36と給湯出口サーミスタ39とは本発明の混合温度センサを構成している。
【0026】
そして、マイクロコンピュータ等により構成されたタンクコントローラ50に、貯湯サーミスタ32、入湯サーミスタ33、入水サーミスタ44、混合サーミスタ36、給湯出口サーミスタ39、及び戻りサーミスタ41による温度検出信号と、入水流量センサ43による給水管1の通水流量の検出信号が入力される。また、タンクコントローラ50から出力される制御信号によって、湯量可変弁34と、水量可変弁35と、バイパス弁38の作動が制御される。
【0027】
タンクコントローラ50は、戻りサーミスタ41及び貯湯サーミスタ32の検出温度を監視し、各検出温度に基づいて、ヒートポンプコントローラ80に対して、上述した貯湯加熱指示信号を送信する。そして、これにより、貯湯タンク31内の湯水が、ヒートポンプユニット60によって設定された沸き上げ温度まで加熱される。
【0028】
タンクコントローラ50には、使用者の操作に応じて、所望の給湯温度(カラン3から供給される湯の温度)と風呂温度(後述の湯張り管18を経由して浴槽に供給される湯の温度)を設定するための温度スイッチ(図示しない)や、一般給湯モード(後述の湯張り弁19を閉弁してカラン3から湯を供給するモード)と、湯張りモード(湯張り弁19を開弁して湯張り管18から浴槽に湯を供給するモード)とを切換えるためのモード切換スイッチ(図示しない)等を備えたリモコン51が接続されている。
【0029】
出湯管2は貯湯タンク31の上部に接続され、給水管1は貯湯タンク31の下部に接続されている。そのため、貯湯タンク31内では、上部に高温の湯の層ができると共に下部に水の層ができる(温度成層)。貯湯タンク31から出湯すると、それに伴って上部の高温の湯の層が減少する。
【0030】
そして、貯湯タンク31の上層部の温度を貯湯サーミスタ32が検出し、この検出温度がリモコン51により設定された目標給湯温度(一般給湯モードではリモコン51により設定された給湯設定温度、湯張りモードではリモコン51により設定された風呂設定温度)以下となった場合、湯切れ状態となる。
【0031】
タンクコントローラ50は、湯切れが生じていない状態で、入水流量センサ43により所定の下限流量以上の通水が検出されたときには、混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39の検出温度が目標温度となるように、湯量可変弁34と水量可変弁35の開度を制御する混合温調制御を行う。このとき、タンクコントローラ50は、一般給湯モードではバイパス弁38を開弁し、湯張りモードではバイパス弁38を閉弁する。
【0032】
一方、湯切れが生じている状態で、入水流量センサ43により下限水量以上の通水が検出されたときには、タンクコントローラ50は、バイパス弁38を閉弁して、貯湯タンク31及び給水管1からの湯水を全て燃焼給湯器10に供給する。この場合には、燃焼給湯器10において加熱温調制御が実行される。
【0033】
更に、タンクコントローラ50は、前記混合温調制御を行うための負荷部品である湯量可変弁34、水量可変弁35、混合サーミスタ36、給湯出口サーミスタ39、及び貯湯サーミスタ32の夫々の異常動作を電気的に検出して故障とみなす機能(負荷部品故障検出手段)を備えている。また、タンクコントローラ50はヒートポンプユニット60も負荷部品の一つとしてその故障の有無を把握できるようになっている。即ち、ヒートポンプコントローラ80は、ヒートポンプ70等の異常(各構成部品の故障等により正常な沸き上げ動作が行われない状態)を検出する機能を有しており、ヒートポンプ70等の異常が検出されたとき、エラー信号をタンクコントローラ50に送信する。タンクコントローラ50は、ヒートポンプコントローラ80からエラー信号を受信することにより、ヒートポンプユニット60の故障を把握する。なお、タンクコントローラ50が上記故障を検出したときの本発明にかかる給湯システムの動作は後述する。
【0034】
燃焼給湯器10は、出湯管2の途中に設けられた熱交換器11と、熱交換器11を加熱するバーナ12と、熱交換器11をバイパスして、出湯管2を熱交換器11の上流側と下流側で連通する給湯バイパス管13と、出湯管2と給湯バイパス管13の接続箇所Zの下流側で、浴槽(図示しない)と出湯管2を接続した湯張り管18とを備えている。
【0035】
出湯管2には、熱交換器11側に供給される湯水の流量と給湯バイパス管13側に供給される湯水の流量との分配比を変更するバイパスサーボ14と、燃焼給湯器10に供給される湯水の流量を調節する水量サーボ15と、熱交換器11及び給湯バイパス管13に供給される湯水の流量を検出する給湯器流量センサ21と、出湯管2と給湯バイパス管13の接続箇所Zの下流側に供給される湯の温度を検出する給湯器サーミスタ16と、逆止弁17とが設けられている。また、湯張り管18には、湯張り管18の通水流量を検出する湯張り流量センサ22と、湯張り管18を開閉する湯張り弁19とが備えられている。
【0036】
そして、マイクロコンピュータ等により構成された給湯コントローラ20に、給湯器サーミスタ16による温度検出信号と、給湯器流量センサ21による通水流量の検出信号と、湯張り流量センサ22による通水流量の検出信号とが入力される。また、給湯コントローラ20から出力される制御信号によって、バイパスサーボ14と、水量サーボ15と、バーナ12と、湯張り弁19の作動が制御される。
【0037】
給湯コントローラ20は、タンクコントローラ50と通信可能に接続され、タンクコントローラ50から加熱許可を指示する信号を受信したときに加熱許可状態となる。そして、給湯器流量センサ21により所定の下限流量以上の通水が検出されているときに、給湯器サーミスタ16の検出温度が目標給湯温度となるように、バーナ12の燃焼量を制御する加熱温調制御を実行する。また、タンクコントローラ50から加熱禁止を指示する信号を受信したときに加熱禁止状態となり、加熱温調制御の実行が禁止される。
【0038】
また、給湯コントローラ20は、浴槽(図示しない)に所定量の湯を供給する湯張り運転を行なうとき(湯張りモード)には、湯張り弁19を開弁して、湯張り流量センサ22により検出される浴槽への湯の供給量を累積する。そして、浴槽への湯の供給量の累積値が前記所定量に達したときに、湯張り弁19を閉弁して湯張り運転を終了する。
【0039】
なお、前記タンクコントローラ50及び給湯コントローラ20は、本発明における温調制御手段を構成するものである。
【0040】
また、本実施形態においては、温水暖房機能及び風呂追焚き機能について省略したが、温水暖房機能を備える給湯システムを構築する場合には、例えば、図示しないが、燃焼給湯器10に暖房用熱交換器とこれを加熱する暖房用バーナを追加して設け、暖房用熱交換器の出口管と入り口管との夫々に暖房端末の往き管と戻り管とを接続すればよい。更に、貯湯タンク31に暖房熱交換用循環路を設け、液液熱交換器を介して暖房戻り管と熱交換を行えば、貯湯タンク31の湯水に熱供給できて有利である。更に、暖房往き管に、液液熱交換器を介して風呂循環路と熱交換を行えば、風呂追焚き機能も得ることができる。
【0041】
次に、本発明の要旨に対応するタンクコントローラ50の作動について説明する。図2のSTEP1でタンクユニット30の電源がONされるとSTEP2に進み、タンクコントローラ50は、湯量可変弁34を全閉にすると共に、水量可変弁35を全開にする。そして、タンクコントローラ50は、続くSTEP3でバイパス弁38を開弁する。
【0042】
次のSTEP4で、タンクコントローラ50は、入水流量センサ43により下限流量以上の通水が検出されるのを待つ。そして、通水状態となったときにSTEP4からSTEP5に進む。
【0043】
STEP5では、タンクコントローラ50が前記混合温調制御用の負荷部品の故障を検出していた場合はSTEP11に分岐し、前記負荷部品の故障を検出していない場合はSTEP6へ進む。
【0044】
タンクコントローラ50は、STEP1において電源が投入されると、負荷部品の動作監視を開始し、負荷部品のうち一つでも故障が検出されるとSTEP5からSTEP11へ進む。タンクコントローラ50が動作を監視する負荷部品は、混合温調制御を行うためのものであり、本実施形態では、湯量可変弁34、水量可変弁35、混合サーミスタ36、給湯出口サーミスタ39、及び貯湯サーミスタ32である。タンクコントローラ50は、例えば、混合サーミスタ36、給湯出口サーミスタ39、及び貯湯サーミスタ32に対しては、検出電流(又は電圧)が異常値(温度検出正常時に比べて過大或いは過小)であるとき故障を検出し、湯量可変弁34及び水量可変弁35に対しては、制御電流(又は電圧)が異常値(正常作動時に比べて過大或いは過小)であるとき故障を検出する。
【0045】
更に、前述したようにタンクコントローラ50はヒートポンプユニット60も負荷部品として監視を行う。この場合、タンクコントローラ50はヒートポンプコントローラ80からエラー信号を受信したときにヒートポンプユニット60が故障しているとみなす。
【0046】
STEP6で、タンクコントローラ50は、貯湯サーミスタ32の検出温度が目標給湯温度以下である湯切れ状態であるか否かを判断する。そして、湯切れ状態であるときはSTEP13に分岐し、湯切れ状態でないときにはSTEP7へ進む。
【0047】
STEP7〜STEP9は、混合温調制御を実行するときの処理である。即ち、タンクコントローラ50は、STEP7でバイパス弁38を開弁し、STEP8で給湯コントローラ20に対して加熱禁止を指示する信号を送信する。そして、続くSTEP9で、タンクコントローラ50は、湯量可変弁34と水量可変弁35の開度を調節して、基本的にはカラン3から供給される湯の温度が目標給湯温度になるように制御する(混合温調制御)。
【0048】
そして、タンクコントローラ50は、STEP10で、入水流量センサ43により下限流量以上の通水が検出されていない止水状態となるまで、STEP5〜STEP10からなるループを繰り返し実行する。
【0049】
ここで、STEP6において貯湯サーミスタ32の検出温度が目標給湯温度以下である湯切れ状態であるためにSTEP13へ進んだ場合の処理を先に説明する。STEP13〜STEP15は、加熱温調制御を実行するときの処理である。タンクコントローラ50は、STEP13でバイパス弁38を閉弁し、STEP14で給湯コントローラ20に対して加熱許可を指示する信号を送信する。そして、続くSTEP15では、タンクコントローラ50から加熱許可信号を受けた給湯コントローラ20が、燃焼給湯器10側で給湯器サーミスタ16の検出温度が目標給湯温度となるように、バーナ12の燃焼量を制御する(加熱温調制御)。
【0050】
その後、STEP10で、タンクコントローラ50は、入水流量センサ43により下限流量以上の通水が検出されていない止水状態となったときに湯量可変弁34と水量可変弁35の動作を停止して現時点での開度に維持し、STEP5に戻る。
【0051】
次に、STEP5でタンクコントローラ50が前記負荷部品の故障を検出しているためにSTEP11へ進んだ場合の処理を説明する。STEP11で、タンクコントローラ50は、故障を検出した負荷部品が、混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39であるか否かを判断する。そして、混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39以外の故障であれば、前述のSTEP13へ進む。
【0052】
一方、STEP11で混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39の故障が検出されていた場合には、タンクコントローラ50は、STEP12で、湯量可変弁34を全閉にすると共に、水量可変弁35を全開にしてから前述のSTEP13へ進む。
【0053】
STEP12で、湯量可変弁34を全閉にし水量可変弁35を全開にしたことにより、貯湯タンク31に湯切れが生じていなくても、貯湯タンク31からの湯の供給は停止され、給水管1から水のみが出湯管2に供給された状態となる。そしてSTEP13でバイパス弁38が閉弁されることにより、給水管1から水のみが燃焼給湯器10に供給されて続くSTEP14及びSTEP15により加熱温調制御が実行される。
【0054】
これによれば、湯量可変弁34と水量可変弁35との開度調節が、混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39の故障により不正確となって、例えば、貯湯タンク31からの高温の湯が、給水管1からの水と混合されることなく供給される事態を回避することができる。
【0055】
また、混合サーミスタ36又は給湯出口サーミスタ39以外の故障であっても、STEP13へ進んで、STEP14及びSTEP15により加熱温調制御が実行されるので、湯量可変弁34と水量可変弁35との開度調節が不正確になっても、燃焼給湯器10の加熱により目標給湯温度の湯を得ることができる。
【0056】
そして、STEP5でタンクコントローラ50による負荷部品の故障が検出されてSTEP11〜STEP15の処理が繰り返し実行されていても、その繰り返し実行中に、タンクコントローラ50による負荷部品の故障が検出されなくなった場合には、STEP5からSTEP6へ進み、STEP6〜STEP10の処理が行われる。
【0057】
なお、図示しないが、STEP11及びSTEP12を設けずに、STEP5でタンクコントローラ50が前記負荷部品の故障を検出していた場合はSTEP13へ進むように構成してもよい。この場合にも、混合温調制御が正常に行えない状態であるので、STEP13によりバイパス弁38を開弁し、STEP14及びSTEP15により燃焼給湯器10側で加熱温調制御を実行するので、目標給湯温度の湯を得ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、前記貯湯タンク31内の湯水を加熱する手段としてヒートポンプ70を使用する給湯システムを示したが、ソーラーシステム等の他のタンク用加熱手段を採用してもよい。この場合には、ソーラーシステム等の他のタンク用加熱手段の故障が通信によりタンクコントローラ50が把握できるように構成すればよい。
【符号の説明】
【0059】
1…給水管、2…出湯管、10…燃焼給湯器、11…熱交換器、12…バーナ、16…給湯器サーミスタ(給湯器温度センサ)、31…貯湯タンク、32…貯湯サーミスタ(貯湯温度センサ)、34…湯量可変弁(混合比変更手段)、35…水量可変弁(混合比変更手段)、36…混合サーミスタ(混合温度センサ)、37…出湯バイパス管、38…バイパス弁、39…給湯出口サーミスタ(混合温度センサ)、50…タンクコントローラ(温調制御手段)、51…リモコン(給湯温度設定手段)、60…ヒートポンプユニット(タンク用加熱手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水を加熱するタンク用加熱手段と、
前記貯湯タンク内の湯水の温度を検出する貯湯温度センサと、
前記貯湯タンクに接続されて該貯湯タンク内の湯水を導出する出湯管と、
前記貯湯タンク及び前記出湯管に接続された給水管と、
前記貯湯タンクから前記出湯管に供給される湯水と、前記給水管から前記出湯管に供給される水との混合比を変更する混合比変更手段と、
前記出湯管と前記給水管との接続箇所の下流側で前記出湯管の途中に設けられ、前記出湯管を流通する湯水をバーナにより熱交換器を介して加熱する燃焼給湯器と、
前記出湯管を前記燃焼給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管と、
前記出湯バイパス管を開閉するバイパス弁と、
前記混合比変更手段により混合された湯水の温度を検出する混合温度センサと、
前記熱交換器により加熱された湯水の温度を検出する給湯器温度センサと、
目標給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、
給湯時に前記貯湯温度センサの検出温度が前記目標給湯温度に応じて設定された湯切れ判定温度よりも高いときは、前記バイパス弁を開弁状態として、前記混合温度センサの検出温度が前記目標給湯温度となるように、前記混合比変更手段により前記混合比を調節する混合温調制御を実行し、給湯時に前記貯湯温度センサの検出温度が前記湯切れ判定温度以下であるときには、前記バイパス弁を閉弁状態として、前記給湯器温度センサの検出温度が前記目標給湯温度となるように、前記燃焼給湯器による加熱を行う加熱温調制御を実行する温調制御手段とを備え、
前記温調制御手段は、前記混合比変更手段、前記混合温度センサ、前記貯湯温度センサ、及び前記タンク用加熱手段のうち、少なくとも何れか一つに故障が発生したとき、前記バイパス弁を閉弁状態として前記加熱温調制御を実行することを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記混合比変更手段は、前記出湯管における前記貯湯タンクとの接続部と前記給水管との接続部間に設けられて前記貯湯タンクからの出湯量を変更する湯量可変弁と、前記給水管における前記貯湯タンクとの接続部と前記出湯管との接続部間に設けられて前記給水管から前記出湯管に向かう水量を変更する水量可変弁とを備え、
前記温調制御手段は、前記混合温度センサに故障が発生したとき、前記バイパス弁を閉弁状態とし、前記湯量可変弁を閉弁状態とし、前記水量可変弁を開弁状態として、前記加熱温調制御を実行することを特徴とする請求項1記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−163660(P2011−163660A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26896(P2010−26896)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】