説明

給湯装置および給湯装置用制御装置

【課題】貯湯タンクを小型化し、かつヒートポンプ装置のCOPを向上することが可能な給湯装置および給湯装置用制御装置を提供すること。
【解決手段】浴槽60内への湯張りは2段階で行ない、貯湯タンク1内の湯を用いることなくヒートポンプ装置2で比較的低温に沸き上げた湯を直接第1給湯配管30を介して供給する。特に1段階目の湯張りは、ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度にかかわらず湯張りを行ない、極めて低温の湯も湯張りに用いる。また、2段階目の湯張り条件を算出している間もヒートポンプ装置2の運転を継続して、湯張り後のシャワー等の端末での出湯に備えて貯湯タンク1内に高温貯湯を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ装置で沸き上げた湯を浴槽内に湯張りする給湯装置および給湯装置用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下記特許文献1に開示されたヒートポンプ式の給湯装置がある。この給湯装置では、貯湯タンクとヒートポンプ装置とを循環するループに水を循環させて貯湯タンク内に湯を貯留しておく。そして、給湯端末から出湯する際にはヒートポンプ装置で沸き上げた湯を直接出湯し、ヒートポンプ装置による加熱だけでは出湯温度が目標温度に到達しない場合には、貯湯タンク内の湯を適宜混合して目標温度の出湯をするようになっている。
【特許文献1】特許第3743375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の給湯装置では、給湯端末はシャワーやカラン等からなることが開示されているのみであり、出湯端末の種別により出湯制御を変更する等の開示はされていない。
【0004】
したがって、上記従来技術の給湯装置において、浴槽内への湯張りや湯張り以外の給湯に常時目標温度の出湯を行った場合には、ヒートポンプ装置の加熱能力が充分でない場合には貯湯タンク内から大量の出湯が行われることになり、貯湯タンクが大型化するという問題がある。また、貯湯タンクの大型化を極力抑制しようとすれば、ヒートポンプ装置による沸き上げ温度を速やかに給湯の目標温度に到達させる必要があり、低温の沸き上げを行うことができないので、ヒートポンプ装置の成績係数COPが低下してしまうという問題がある。
【0005】
これらの問題点に対し、本発明者らは鋭意検討を行い、湯張り完了時に浴槽内に目標温度の湯を必要とする給湯と湯張り以外の目標温度の湯を速やかに必要とする給湯とでは異なる出湯制御を行うとともに、浴槽内への湯張り出湯時におけるヒートポンプ装置の低温沸き上げ時間を確保することで、貯湯タンクを小型化しつつヒートポンプ装置のCOPを向上することが可能であることを見出した。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、貯湯タンクを小型化し、かつヒートポンプ装置のCOPを向上することが可能な給湯装置および給湯装置用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク(1)と、
貯湯タンク(1)の外部に設けられ、貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環する循環回路(16)と、
循環回路(16)中に設けられ、貯湯タンク(1)内の上部に送る水を沸き上げるヒートポンプ装置(2)と、
ヒートポンプ装置(2)に対し、貯湯タンク(1)をバイパスして水を供給するバイパス給水配管(26)と、
ヒートポンプ装置(2)より下流側で循環回路(16)から分岐するように設けられ、バイパス給水配管(26)を介して供給されヒートポンプ装置(2)で沸き上げられた湯を、貯湯タンク(1)を迂回して浴槽(60)内に湯張りするために供給する第1給湯配管(30)と、
貯湯タンク(1)内の湯を浴槽(60)内への湯張り以外のために供給する第2給湯配管(40)と、
ヒートポンプ装置(2)が加熱した湯の流路を、循環回路(18)側と第1給湯配管(30)側とに選択的に切り替える流路切替手段(17)と、
ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ運転制御および流路切替手段(17)の切り替え作動制御を行う制御手段(100)とを備え、
制御手段(100)は、浴槽(60)内に湯張りをする際には、
流路切替手段(17)を第1給湯配管(30)側として、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度にかかわらず、第1給湯配管(30)を介して浴槽(60)内に所定水位まで湯を供給する第1湯張り制御ステップ(110)と、
第1湯張り制御ステップ(110)の後で、浴槽(60)内に目標温度の湯が目標量湯張りされるように、流路切替手段(17)を第1給湯配管(30)側として、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を制御しつつ、第1給湯配管(30)を介して浴槽(60)内に湯を供給する第2湯張り制御ステップ(140)と、
第1湯張り制御ステップ(110)を終了した後第2制御ステップ(120)を開始する前に、流路切替手段(17)を循環回路(18)側として浴槽(60)内への湯の供給を中止し、浴槽(60)内の湯温および水位の検出結果から第2湯張り制御ステップ(140)で浴槽(60)内に供給する湯の沸き上げ温度および湯量を算出する湯張り条件算出ステップ(130)と、
第1湯張り制御ステップ(110)と第2湯張り制御ステップ(140)との間、流路切替手段(17)を循環回路(18)側として貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環しつつヒートポンプ装置(2)の運転を継続し、第2湯張り制御ステップ(140)で浴槽(60)内に供給する湯の温度以上の高温の湯を貯湯タンク(1)内に貯湯する高温貯湯制御ステップ(120)とを実行することを特徴としている。
【0008】
これによると、第1湯張り制御ステップ(110)および第2湯張り制御ステップ(140)では、貯湯タンク(1)内の湯を用いることなく、ヒートポンプ装置(2)で比較的低温に沸き上げた湯が、第1給湯配管30を介して浴槽(60)内へ2段階で湯張りされる。特に、第1湯張り制御ステップ(110)では、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度にかかわらず湯張りが行われるので、極めて低温の湯も湯張りに用いることができる。また、第2湯張り制御ステップ(140)での湯張り条件を算出するために湯張りを中止している間もヒートポンプ装置(2)の運転は継続され、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げた高温の湯は貯湯タンク(1)内に貯湯される。そして貯湯タンク(1)内の高温の湯を、浴槽(60)内湯張り以外の給湯時には第2給湯配管(40)を介して出湯することができる。
【0009】
このように、浴槽(60)への湯張り完了時に目標温度の湯を必要とする給湯では、ヒートポンプ装置(2)の低温沸き上げ時間を確保することができ、湯張りを一端中止する際にもヒートポンプ装置(2)は停止されない。したがって、ヒートポンプ装置(2)の成績係数COPを向上することができる。また、湯張り以外の給湯用の湯は貯湯タンク(1)内に高温の湯として貯湯されるので貯湯タンク(1)を小型化することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明のように、バイパス給水配管(26)を介して供給されヒートポンプ装置(2)で沸き上げられ第1給湯配管(30)から浴槽(60)内に供給される湯の流量を調節する湯張り流量調節手段(12a)を設ければ、制御手段(100)は、第2湯張り制御ステップ(140)を実行する際には、湯張り流量調節手段(12a)の流量調節動作を制御して、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を容易に調節することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明のように、循環回路(16)を介して貯湯タンク(1)内の下部から上部に循環する水の流量を調節する循環流量調節手段(16a)を設ければ、制御手段(100)は、高温貯湯制御ステップ(120)を実行する際には、循環流量調節手段(16a)の流量調節動作を制御して、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を容易に調節することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明のように、制御手段(100)が高温貯湯制御ステップ(120)を実行する際には、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度が65℃以上となるように循環流量調節手段(16a)の流量調節動作を制御することが、貯湯タンク(1)小型化のために好ましい。
【0013】
また、請求項5に記載の発明の給湯装置用制御装置によれば、請求項1に記載の発明と同様に、第1湯張り制御ステップ(110)および第2湯張り制御ステップ(140)では、貯湯タンク(1)内の湯を用いることなく、ヒートポンプ装置(2)で比較的低温に沸き上げた湯が、第1給湯配管30を介して浴槽(60)内へ2段階で湯張りされる。特に、第1湯張り制御ステップ(110)では、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度にかかわらず湯張りが行われるので、極めて低温の湯も湯張りに用いることができる。また、第2湯張り制御ステップ(140)での湯張り条件を算出するために湯張りを中止している間もヒートポンプ装置(2)の運転は継続され、ヒートポンプ装置(2)の沸き上げた高温の湯は貯湯タンク(1)内に貯湯される。そして貯湯タンク(1)内の高温の湯を、浴槽(60)内湯張り以外の給湯時には第2給湯配管(40)を介して出湯することができる。
【0014】
このように、浴槽(60)への湯張り完了時に目標温度の湯を必要とする給湯では、ヒートポンプ装置(2)の低温沸き上げ時間を確保することができ、湯張りを一端中止する際にもヒートポンプ装置(2)は停止されない。したがって、ヒートポンプ装置(2)の成績係数COPを向上することができる。また、湯張り以外の給湯用の湯は貯湯タンク(1)内に高温の湯として貯湯されるので貯湯タンク(1)を小型化することができる。
【0015】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を適用した実施の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した一実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【0018】
符号1を付した構成は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯タンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、給湯用の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。本実施形態の貯湯タンク1は縦長形状であり、その底面には導入口11が設けられ、この導入口11には貯湯タンク1内に水道水を導入する給水経路である導入管12が接続されている。
【0019】
導入管12には、全量流量調節弁である減圧弁12aが設けられており、貯湯タンク1内に流入する水道水を所定圧力にまで減圧するようになっている。
【0020】
貯湯タンク1の下部には、貯湯タンク1内の水を吸入するための吸入口13が設けられ、貯湯タンク1の上部には、貯湯タンク1内に高温の湯を吐出するための吐出口14が設けられている。
【0021】
吸入口13と吐出口14とは循環回路16で接続されており、循環回路16の一部は、循環回路16を流れる水の加熱手段であるヒートポンプ装置2内に配置されている。
【0022】
循環回路16のヒートポンプ装置2内に配置された部分には、給湯用熱交換器3が設けられており、吸入口13から吸入した貯湯タンク1内の下部の水を高温冷媒との熱交換により加熱して沸き上げて湯とし、吐出口14から貯湯タンク1内に戻すことができるようになっている。
【0023】
ヒートポンプ装置2は、圧縮機(図示略)、給湯用熱交換器3、可変式の減圧装置(図示略)、蒸発器(図示略)、アキュムレータ(図示略)が順次環状に冷媒配管(図示略)により接続されて形成されたものである。冷媒配管内を循環する冷媒として二酸化炭素(CO)を使用している。
【0024】
循環回路16の給湯用熱交換器3より上流側には、循環回路16内に水を循環するためのポンプ16aと、ポンプ16a停止時の水の逆流を防止するための逆止弁16bが設けられている。
【0025】
導入管12の減圧弁12aより下流側には、配管26の上流端が接続し、その下流端は、循環回路16のポンプ16aより下流側かつ給湯用熱交換器3の水流路より上流側に接続している。
【0026】
この配管26には逆止弁27が設けられており、ヒートポンプ装置2が沸き上げた湯を後述する第1給湯配管30から直接出湯するときに、導入管12から給湯用熱交換器3に直接水道水を供給できるようになっている。配管26は、本発明で言うところの、ヒートポンプ装置2に対し、貯湯タンク1をバイパスして冷媒と熱交換する水を供給するバイパス給水配管に相当する。
【0027】
循環回路16のヒートポンプ装置2より下流側には、循環回路16から分岐するよう接続し、配管26を介して供給されヒートポンプ装置2で沸き上げられた湯を、貯湯タンク1を迂回して浴槽60内に湯張りするために供給する第1給湯配管30が設けられている。
【0028】
循環回路16から第1給湯配管30が分岐する分岐点には、流路切替手段である切替バルブ17が設けられており、ヒートポンプ装置2で沸き上げた湯の流通経路を循環回路16の下流側部をなす第1供給配管18方向、もしくは、第1給湯配管の上流側部をなす第2供給配管31方向に切り替えることができるようになっている。
【0029】
第1給湯配管30は、第1供給配管31と、第1供給配管31の下流側に順次接続する配管43、配管44の上流側部、配管32、配管33からなり、配管33の下流端が、浴槽60内の浴水を循環するための浴水循環回路80に接続している。
【0030】
第1給湯配管30の配管32と配管33との間には、導入管12から分岐した給水配管28の下流端が接続しており、この接続点には、配管32側から供給される湯の量と給水配管28を介して供給される水の量の比率を制御し、配管33側に送る湯の温度を調節可能とするための混合バルブ34が設けられている。
【0031】
配管33には、上流側から順に、湯張り用開閉バルブ35、湯張り用流量カウンタ36、逆止弁(図示略)が設けられている。
【0032】
開閉バルブ35は、後述する制御装置100により制御され、第1給湯配管30の経路を開閉する電磁弁である。また、流量カウンタ36は配管33内を流れる湯流量を検出するものであり、流量カウンタ36は検出した流量情報を後述する制御装置100に出力するようになっている。
【0033】
浴槽60には、浴槽60内の浴水を循環するための浴水循環回路80が接続している。浴水循環回路80は、貯湯タンク1内の高温の湯を循環する追炊き回路70との間で熱交換するための追炊き用熱交換器71に浴水を循環するためのものであって、浴槽60内の浴水を熱交換器71の上流端に導く往き管81と、熱交換器71で熱交換された浴水を浴槽60内に導く戻り管82とから構成されている。
【0034】
その往き管81には、上流側から順に、水圧スイッチ(水位センサ)(図示略)、開閉弁83、浴水循環手段としての浴水循環ポンプ84、浴水温サーミスタ(風呂循環温サーミスタ)85、流水スイッチ(フロースイッチ)(図示略)等が設けられている。また、戻り管63には、下流側部に追い焚き検知サーミスタ86が設けられている。
【0035】
なお、水圧スイッチ、流水スイッチ、浴水温サーミスタ85および追い焚き検知サーミスタ86は、それぞれ検出した容積情報(圧力情報)、流水情報および温度情報を後述する制御装置100に出力するようになっている。また、開閉弁83、浴水循環ポンプ84は制御装置100により制御されるようになっている。
【0036】
前述の第1給湯配管30の配管33の下流端は、浴水循環回路80の往き管81に浴水温サーミスタ85配設部位において接続している。
【0037】
一方、貯湯タンク1の上部には上部導出口20が設けられ、貯湯タンク1の中間部には中間部導出口21が設けられおり、両導出口20、21には貯湯タンク1内の湯をシャワーやカラン等の端末に導出するための給湯経路である第2給湯配管40が接続されている。すなわち、第2給湯配管40は、貯湯タンク1内の湯を浴槽60内への湯張り以外のために供給するための給湯配管である。
【0038】
第2給湯配管40は、上部導出口20に接続する高温水導出管41と中間部導出口21に接続する中温水導出管である配管42、43とが経路途中で合流する構成をなしており、両配管41、43の合流点には、上部導出口20から導出される高温の湯の量(出湯量)と中間部導出口21から導出される中温の湯の量(出湯量)との比率を制御するための混合バルブ46が設けられている。
【0039】
第2供給配管40の混合バルブ46より下流側の配管44とさらに下流側の配管45との間には、給水配管28から分岐した給水配管29が接続しており、この接続点には、配管44側から供給される湯の量と給水配管29を介して供給される水の量の比率を制御し、下流側にあるカラン、シャワー等の使用側端末に送る湯の温度を設定温度とするための混合バルブ48が設けられている。
【0040】
なお、図1から明らかなように、第1給湯配管30と第2給湯配管40とは、配管43および配管44の上流側部を共用している。第2供給配管31と配管42との合流点には、配管43側に流れ込む湯の流路を第2供給配管31と配管42との間で切替可能な切替バルブ50が配設されている。
【0041】
前述の追炊き回路70は、上流端を貯湯タンク1の上部に接続し、下流端は循環回路16の逆止弁16bより上流側に接続している。そして、この接続点には切替バルブ72が配設されており、循環ポンプ16aが作動したときに、ヒートポンプ装置2側に送られる水もしくは湯の上流側流路を、貯湯タンク1下部側と追炊き回路70側とで切り替えられるようになっている。
【0042】
貯湯タンク1の外壁面には、図示しない複数のサーミスタが縦方向に間隔をあけて配置されて水位サーミスタ(サーミスタ群)を構成し、貯湯タンク1内の各水位レベルにおける温度情報を後述する制御装置100に出力するようになっている。
【0043】
また、各配管経路には、サーミスタ28a、47、49等が適宜配設され、各配管を流れる湯もしくは水の温度情報を後述する制御装置100に出力するようになっている。
【0044】
図1中の符号100を付した構成は制御手段である制御装置であり、貯湯タンク1ユニットを制御する貯湯タンク制御部やヒートポンプ装置2を制御するヒートポンプ制御部等から構成されている。
【0045】
図1中の符号90を付した構成は操作手段をなす操作盤であり、操作盤100には各操作スイッチや表示部が設けられている。
【0046】
制御装置100は、サーミスタ28a、47、49、85、86および図示しない他のサーミスタからの温度情報、流量カウンタ36等からの流量情報、および操作盤90に設けられた操作スイッチからの信号等に基づいて、ヒートポンプ装置2、各ポンプ16a、84、各バルブ12a、17、34、35、46、48、50、72、83等を制御するように構成されている。
【0047】
次に、上記構成に基づき給湯装置の浴槽60内への湯張り時の作動について説明する。
【0048】
図2は、制御装置100の湯張り時の概略制御動作を示すフローチャートである。
【0049】
操作盤90が操作され風呂自動スイッチがオンされると、制御装置100は、まず、循環ポンプ84の駆動に備えポンプ内部を水で満たすように呼び水を所定量供給した(ステップ101)後、循環ポンプ84をオンし(ステップ102)、図示しないフロースイッチがオン状態となったか否かにより浴槽60内に残湯があるか否かを判断する(ステップ103)。
【0050】
ステップ103においてフロースイッチがオン状態となり残湯があると判断した場合には、残湯有りの場合の制御に進む(ステップ104)。一方、ステップ103においてフロースイッチがオン状態とならず残湯がないと判断した場合には、ステップ群110へ進む。
【0051】
ステップ群110では、まず、ヒートポンプ装置2を作動し(ステップ111)、湯張り開閉バルブ(風呂電磁弁)35を開き(ステップ112)、流量カウンタ(風呂カウンタ)36の検出する流量が最低流量α以上であるか否か判断する(ステップ113)。流量が最低流量α以上であると判断した場合には、切替バルブ17により第2供給配管31側を流路とし(ステップ114)、切替バルブ50を第2供給配管31側(配管31と配管43とを連通、配管42側を閉)として(ステップ115)、基準水位(例えば、浴槽内の浴水が90L)となるまで(ステップ116)、図3に示す経路で浴槽60内に湯張りをする。
【0052】
なお、図3および後の説明で用いる図4〜6では、水や湯が流通する経路を実線で、水や湯が流通していない経路を破線で示している。
【0053】
ステップ群110を実行するとき、循環ポンプ84は停止しており、導入管12、配管26を介してヒートポンプ装置2に供給された水は、第1給湯配管30から浴水循環回路80の往き管81、戻り管82の両管を介して速やかに浴槽60内に湯張りされる。このとき、ヒートポンプ装置2は一定の沸き上げ能力(例えば、12kW一定)で運転されるものとしているが、始動直後等の出力が安定していない状態であっても、換言すれば給湯用熱交換器3で沸き上げる温度が低い場合であっても、浴槽60内の湯張りが行われる。
【0054】
ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度にかかわらず、所謂成り行きで所定水位まで湯張りを行うものであり、ステップ群110は、本実施形態における第1湯張り制御ステップである。
【0055】
ステップ113において流量が最低流量α未満であると判断した場合には、操作盤90において警告表示を行う等の警告処理を行う(ステップ151)。
【0056】
ステップ群110を実行したら、ステップ群120へ進む。
【0057】
ステップ群120では、まず、循環ポンプ16aをオンし(ステップ121)、開閉バルブ35を閉じる(ステップ122)。そして、流量カウンタ36の検出流量が最低流量α未満であることを確認したら(ステップ123)、切替バルブ17により第1供給配管18側を流路とし(ステップ124)、切替バルブ50を配管42側(配管42と配管43とを連通、配管18側を閉)として(ステップ125)、図4に示す経路で貯湯タンク1内の下部の水をヒートポンプ装置2で沸き上げ貯湯タンク1内の上部に貯湯していく。
【0058】
ステップ群120を実行するとき、ヒートポンプ装置2は一定の沸き上げ能力(例えば、12kW一定)で運転されており、循環ポンプ16aによる循環流量の調整により、後述する第2湯張り制御ステップにおける湯張り温度以上の高温の湯、好ましくは65℃以上の湯が貯湯タンク1内に貯湯される。
【0059】
ステップ群120の実行と並行して、浴水温サーミスタ85の検出温度および図示しない水位センサの検出圧力に基づいて、浴槽60内の浴水の温度および水位の検知を行い、この後のステップ群140で浴槽60内に供給する湯の沸き上げ温度および湯量を算出する(ステップ130)。
【0060】
ステップ群120は、本実施形態における高温貯湯制御ステップであり、ステップ130は、本実施形態における湯張り条件算出ステップである。また、循環ポンプ16aは、高温貯湯制御ステップを実行する際の循環流量調節手段である。なお、ステップ123において流量カウンタ36の検出流量が最低流量α以上であると判断した場合には、ステップ151へ進む。
【0061】
ステップ群120およびステップ130を実行したら、ステップ群140へ進む。
【0062】
ステップ群140では、まず、湯張り開閉バルブ35を開き(ステップ141)、循環ポンプ16aをオフし(ステップ142)、流量カウンタ36の検出する流量が最低流量α以上であるか否か判断する(ステップ143)。流量が最低流量α以上であると判断した場合には、切替バルブ17により第2供給配管31側を流路とし(ステップ144)、切替バルブ50を第2供給配管31側(配管31と配管43とを連通、配管42側を閉)として(ステップ145)、設定水位(例えば、浴槽内の浴水が200L)となるまで(ステップ146)、図3に示す経路で浴槽60内に湯張りをする。
【0063】
ステップ群140を実行するときも、循環ポンプ84は停止しており、導入管12、配管26を介してヒートポンプ装置2に供給された水は、第1給湯配管30から浴水循環回路80の往き管81、戻り管82の両管を介して浴槽60内に湯張りされる。このとき、ヒートポンプ装置2は一定の沸き上げ能力(例えば、12kW一定)で運転され、浴槽60内にステップ130で算出した温度の湯が供給されるように、ヒートポンプ装置2での沸き上げ温度が減圧弁12aの絞り状態で調節される。
【0064】
ステップ群140は、本実施形態における第2湯張り制御ステップであり、減圧弁12aは、第2湯張り制御ステップを実行する際の湯張り流量調節手段である。なお、ステップ143において流量が最低流量α未満であると判断した場合には、ステップ151へ進む。
【0065】
ステップ群140を実行したら、例えば過去の所定期間におけるカランやシャワー等の使用側端末での湯の使用実績に基づいて算出した所定量の熱量が貯湯タンク1内に貯湯されているか否か判断する(ステップ161)。
【0066】
ステップ161において所定貯湯量(所定熱量)が確保されていないと判断したら、循環ポンプ16aをオンし(ステップ162)、切替バルブ17により第1供給配管18側を流路とし(ステップ163)、開閉バルブ35を閉じ(ステップ164)、図4に示す経路で貯湯タンク1内の下部の水をヒートポンプ装置2で沸き上げ貯湯タンク1内の上部に貯湯していく。
【0067】
そして、貯湯タンク1内に所定貯湯量(所定熱量)βが確保されるまで貯湯を継続し(ステップ165)、所定貯湯量βが確保されたら、ヒートポンプ装置2を停止して(ステップ166)、終了する。ステップ161において所定貯湯量が確保されていると判断した場合には、開閉バルブ35を閉じ(ステップ167)、ステップ166を実行して、終了する。
【0068】
浴槽60内への湯張りを行っていないときに、使用側端末において出湯操作がなされた場合には、図5に示す経路で出湯される。貯湯タンク1内の湯が第2給湯配管40を介して出湯され、給水配管28、29を介して供給される水が適宜混合されて設定温度の湯が使用側端末から出湯される。このとき、貯湯タンク1内からの出湯は、設定温度を満足する範囲で、上部導出口20からの高温の湯よりも中間部導出口21からの中温の湯を優先して出湯することが好ましい。
【0069】
また、浴槽60内への湯張りを行っているときに、使用側端末において出湯操作がなされた場合には、図6に示す経路で出湯される。使用側端末への出湯経路は湯張りを行っていない場合と同様であるが、循環回路16により貯湯タンク1内の下部の水をヒートポンプ装置2で沸き上げて貯湯タンク1内の上部に送りつつ、浴槽60内への湯張りには貯湯タンク1内の湯を用いる。これにより、使用側端末での大量出湯に対応しつつ、湯張りを継続することができる。
【0070】
上述の構成および作動によれば、図2に示すステップ群110およびステップ群140を実行する際には、貯湯タンク1内の湯を用いることなく、ヒートポンプ装置2で比較的低温に沸き上げた湯が、直接第1給湯配管30を介して浴槽60内へ2段階で湯張りされる。特に、ステップ群110を実行する際には、ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度にかかわらず湯張りが行われるので、沸き上げ温度が低い、極めて低温の湯も湯張りに用いることができる。
【0071】
また、ステップ群140での湯張り条件を算出するためにステップ130を実行している間も、ステップ群120を実行してヒートポンプ装置2の運転は継続され、ヒートポンプ装置2の沸き上げた高温の湯は貯湯タンク1内に貯湯されている。この貯湯タンク1内に貯湯された高温の湯は、使用側端末で出湯操作が行われたときには第2給湯配管40を介して出湯することができる。
【0072】
このように、浴槽60への湯張り完了時に目標温度の湯を必要とする給湯(最終的に目標とする湯温と湯量が確保可能であればよい給湯)では、ヒートポンプ装置2の低温沸き上げ時間を確保することができ、2段階湯張りの間の湯張りを一端中止する際にもヒートポンプ装置2は停止されない。したがって、ヒートポンプ装置2の成績係数COPを向上することができる。また、湯張り以外の使用側端末への給湯(出湯直後から目標とする温度の湯が求められる給湯)用の湯は貯湯タンク1内に高温の湯として貯湯されるので貯湯タンク1を小型化することができる。
【0073】
図7は、本実施形態の湯張り制御を行ったときの積算流量(湯張り量)とヒートポンプ装置2の沸き上げ温度の変化の一例を示すタイムチャートである。
【0074】
図7に示すように、第1、第2湯張り制御を行ない、浴槽60内にヒートポンプ装置2で沸き上げた湯を直接湯張りしているときには、ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度を低温化することにより、ヒートポンプ装置2のCOPを向上することができる。特に、第1湯張り制御を開始した直後の沸き上げ温度が極めて低い湯も有効利用することができるので、ヒートポンプ装置2のCOPをより向上することが可能である。
【0075】
また、第1湯張り制御の開始時に、ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度を速やかに立ち上げる必要がない。ヒートポンプ装置2の沸き上げ温度を速やかに上昇させるためには冷媒圧縮機の起動を早くする必要があるが、潤滑などの面より耐久寿命の低下を招きやすい。ところが、本実施形態によれば、ヒートポンプ装置2の寿命低下も抑止することが可能である。
【0076】
また、湯張りを行う際には、ヒートポンプ装置2が沸き上げた湯のみを直接浴槽60内に供給するので、貯湯タンク1内の貯湯熱量の有無にかかわらず、湯張りを行なうことができる。
【0077】
さらに、浴水の湯温検知および水位検知を行う際、ヒートポンプ装置2を停止することなく、湯張り中もしくは湯張り後の給湯熱量として貯湯タンク1内に高温貯湯を行うことができる。
【0078】
図7に示す例は、第2湯張り制御が完了した後も、ヒートポンプ装置2を停止することなく、貯湯を継続している場合を示している。
【0079】
また、ヒートポンプ装置2は、常時一定の沸き上げ能力で運転され、ステップ群120を実行する高温貯湯制御ステップでは、循環ポンプ16aの循環流量を調節して高温沸き上げを行い、ステップ群140を実行する第2湯張り制御ステップでは、減圧弁12aの開度を調節して低温沸き上げを行っている。したがって、ヒートポンプ装置2の能力変更をする必要がないので、制御が極めて容易である。
【0080】
(他の実施形態)
上記一実施形態では、ステップ群120を実行する高温貯湯制御ステップでは、循環ポンプ16aの循環流量を調節して高温沸き上げを行い、ステップ群140を実行する第2湯張り制御ステップでは、減圧弁12aの開度を調節して低温沸き上げを行っていたが、高温貯湯制御時の循環流量の調節手段および第2湯張り制御時の湯張り流量の調節手段は、これらに限定されるものではない。
【0081】
例えば、循環流量調節手段は、循環回路16内に専用の流量調節バルブ等を配設するものであってもよいし、湯張り流量調節手段は、第2供給配管31側の開度調節を行うことが可能な切替バルブ17を採用するものであってもよい。また、湯張り流量調節手段として専用の流量調節バルブを採用するものであってもよい。
【0082】
また、沸き上げ温度の調節を流量調節で行うものではなく、ヒートポンプ装置2の沸き上げ能力を変更するものであってもよい。
【0083】
また、上記一実施形態では、浴槽60内への湯張り時にヒートポンプ装置2が沸き上げた湯のみを第1給湯配管30を介して湯張りするものであったが、給水配管28を介して供給される水を適宜混合して湯張りするものであってもよい。
【0084】
また、上記一実施形態では、貯湯タンク1は単缶式であったが、これに限定されるものではなく、多缶式であってもかまわない。また、貯湯タンク1とヒートポンプ装置2とは一体型であっても分離型であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を適用した一実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】制御装置100の湯張り時の概略制御動作を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態の給湯装置の作動例を説明するための模式図である。
【図4】一実施形態の給湯装置の作動例を説明するための模式図である。
【図5】一実施形態の給湯装置の作動例を説明するための模式図である。
【図6】一実施形態の給湯装置の作動例を説明するための模式図である。
【図7】一実施形態の給湯装置の作動例を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプ装置
12a 減圧弁(湯張り流量調節手段)
16 循環回路
16a 循環ポンプ(循環流量調節手段)
17 切替バルブ(流路切替手段)
26 配管(バイパス給水配管)
30 第1給湯配管
40 第2給湯配管
60 浴槽
100 制御装置(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク(1)と、
前記貯湯タンク(1)の外部に設けられ、前記貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環する循環回路(16)と、
前記循環回路(16)中に設けられ、前記貯湯タンク(1)内の上部に送る水を沸き上げるヒートポンプ装置(2)と、
前記ヒートポンプ装置(2)に対し、前記貯湯タンク(1)をバイパスして水を供給するバイパス給水配管(26)と、
前記ヒートポンプ装置(2)より下流側で前記循環回路(16)から分岐するように設けられ、前記バイパス給水配管(26)を介して供給され前記ヒートポンプ装置(2)で沸き上げられた湯を、前記貯湯タンク(1)を迂回して浴槽(60)内に湯張りするために供給する第1給湯配管(30)と、
前記貯湯タンク(1)内の湯を前記浴槽(60)内への湯張り以外のために供給する第2給湯配管(40)と、
前記ヒートポンプ装置(2)が加熱した湯の流路を、前記循環回路(18)側と前記第1給湯配管(30)側とに選択的に切り替える流路切替手段(17)と、
前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ運転制御および前記流路切替手段(17)の切り替え作動制御を行う制御手段(100)とを備え、
前記制御手段(100)は、前記浴槽(60)内に湯張りをする際には、
前記流路切替手段(17)を前記第1給湯配管(30)側として、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度にかかわらず、前記第1給湯配管(30)を介して前記浴槽(60)内に所定水位まで湯を供給する第1湯張り制御ステップ(110)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)の後で、前記浴槽(60)内に目標温度の湯が目標量湯張りされるように、前記流路切替手段(17)を前記第1給湯配管(30)側として、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を制御しつつ、前記第1給湯配管(30)を介して前記浴槽(60)内に湯を供給する第2湯張り制御ステップ(140)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)を終了した後前記第2制御ステップ(120)を開始する前に、前記流路切替手段(17)を前記循環回路(18)側として前記浴槽(60)内への湯の供給を中止し、前記浴槽(60)内の湯温および水位の検出結果から前記第2湯張り制御ステップ(140)で前記浴槽(60)内に供給する湯の沸き上げ温度および湯量を算出する湯張り条件算出ステップ(130)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)と前記第2湯張り制御ステップ(140)との間、前記流路切替手段(17)を前記循環回路(18)側として前記貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環しつつ前記ヒートポンプ装置(2)の運転を継続し、前記第2湯張り制御ステップ(140)で前記浴槽(60)内に供給する湯の温度以上の高温の湯を前記貯湯タンク(1)内に貯湯する高温貯湯制御ステップ(120)とを実行することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記バイパス給水配管(26)を介して供給され前記ヒートポンプ装置(2)で沸き上げられ前記第1給湯配管(30)から前記浴槽(60)内に供給される湯の流量を調節する湯張り流量調節手段(12a)を備え、
前記制御手段(100)は、前記第2湯張り制御ステップ(140)を実行する際には、前記湯張り流量調節手段(12a)の流量調節動作を制御して、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記循環回路(16)を介して前記貯湯タンク(1)内の下部から上部に循環する水の流量を調節する循環流量調節手段(16a)を備え、
前記制御手段(100)は、前記高温貯湯制御ステップ(120)を実行する際には、前記循環流量調節手段(16a)の流量調節動作を制御して、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記制御手段(100)は、前記高温貯湯制御ステップ(120)を実行する際には、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度が65℃以上となるように、前記循環流量調節手段(16a)の流量調節動作を制御することを特徴とする請求項3に記載の給湯装置。
【請求項5】
内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク(1)と、前記貯湯タンク(1)の外部に設けられ前記貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環する循環回路(16)と、前記循環回路(16)中に設けられ前記貯湯タンク(1)内の上部に送る水を沸き上げるヒートポンプ装置(2)と、前記ヒートポンプ装置(2)に対し前記貯湯タンク(1)をバイパスして水を供給するバイパス給水配管(26)と、前記ヒートポンプ装置(2)より下流側で前記循環回路(16)から分岐するように設けられ前記バイパス給水配管(26)を介して供給され前記ヒートポンプ装置(2)で沸き上げられた湯を前記貯湯タンク(1)を迂回して浴槽(60)内に湯張りするために供給する第1給湯配管(30)と、前記貯湯タンク(1)内の湯を前記浴槽(60)内への湯張り以外のために供給する第2給湯配管(40)と、前記ヒートポンプ装置(2)が加熱した湯の流路を、前記循環回路(18)側と前記第1給湯配管(30)側とに選択的に切り替える流路切替手段(17)とを備える給湯装置において、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ運転制御および前記流路切替手段(17)の切り替え作動制御を行う給湯装置用制御装置であって、
前記浴槽(60)内に湯張りをする際には、
前記流路切替手段(17)を前記第1給湯配管(30)側として、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度にかかわらず、前記第1給湯配管(30)を介して前記浴槽(60)内に所定水位まで湯を供給する第1湯張り制御ステップ(110)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)の後で、前記浴槽(60)内に目標温度の湯が目標量湯張りされるように、前記流路切替手段(17)を前記第1給湯配管(30)側として、前記ヒートポンプ装置(2)の沸き上げ温度を制御しつつ、前記第1給湯配管(30)を介して前記浴槽(60)内に湯を供給する第2湯張り制御ステップ(140)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)を終了した後前記第2制御ステップ(120)を開始する前に、前記流路切替手段(17)を前記循環回路(18)側として前記浴槽(60)内への湯の供給を中止し、前記浴槽(60)内の湯温および水位の検出結果から前記第2湯張り制御ステップ(140)で前記浴槽(60)内に供給する湯の沸き上げ温度および湯量を算出する湯張り条件算出ステップ(130)と、
前記第1湯張り制御ステップ(110)と前記第2湯張り制御ステップ(140)との間、前記流路切替手段(17)を前記循環回路(18)側として前記貯湯タンク(1)内の下部の水を上部に循環しつつ前記ヒートポンプ装置(2)の運転を継続し、前記第2湯張り制御ステップ(140)で前記浴槽(60)内に供給する湯の温度以上の高温の湯を前記貯湯タンク(1)内に貯湯する高温貯湯制御ステップ(120)とを実行することを特徴とする給湯装置用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−304145(P2008−304145A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153282(P2007−153282)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/エジェクタ技術を用いたCO2ヒートポンプ給湯器の小型化開発に係る共同研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】