説明

給紙装置、画像形成装置

【課題】比較的な簡単な構成で分離圧の調整および解除が可能で、経時の加圧力の劣化が少なく、他の部品への影響の少ない給紙装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シートPを繰り出す給紙ローラ11で分離パッド16に押圧させ、シートPを1枚ずつ分離させる。分離パッド16を空気圧を用いて給紙ローラ11に押圧する空気袋31等からなる付勢手段と、分離されたシートPを搬送する搬送ローラ対18と、シートPを検出する搬送センサ19と、給紙されるシートPの種類を判別するシート種類検出手段と、シート部材検出手段がシートが規定の時間内に検出するか否かによってシート搬送異常を判別するシート搬送異常検出手段とを有し、比較的簡単な構成で給紙ローラ11への分離パッド16の押圧を変更/解除でき、かつ経時の加圧力の変化も少なくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材積載部材に積載されたシート材を最上位のシート材から1枚ずつ分離して給送するシート材の給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積載されたシートを一番上に位置する最上位のシート材から1枚ずつ分離して画像形成部へ給送するシートの給送方法にあっては、シートを給送するための給紙ローラに分離部材(摩擦パッド、フリクションローラ)を押し当てて、紙とローラと摩擦部材との間での摩擦係数差により、シート束を1枚ずつ摩擦分離する方式が広く用いられている。
【0003】
しかしながら、このような分離方式には、以下に示すような問題がある。
まず、シート束を1枚ずつ分離するためには、給送ローラへの分離部材の押圧(分離圧)が重要な要素であり、多様な種類のシートを一定の押圧で適切に分離するのは困難である。また、シートを給紙ローラと分離部材とに挾持することで1枚ずつ分離しているため、搬送時にスティッキングスリップに起因する異音が発生しやすい。
【0004】
上記の問題を解決するために、例えば、特許文献1〜4のような技術がある。それぞれの文献の技術内容の要約を下記に記す。
【0005】
<特許文献1>
電磁石と磁性体を用いて、給紙ローラと分離部材のニップ圧を電磁力で調整する。
<特許文献2>
シート容器内に積載したシートに圧接手段により給紙ローラを圧接させ該シートを送り出し、シートに摩擦抵抗を与える摩擦部材とシートを分離する分離ローラとが他の圧接手段により圧接される圧接部に前記シートを通して一枚ずつ分離して給送し、該シート上に画像を形成する画像形成装置の給紙装置において、前記シートの大きさを検出するシートサイズ検出手段と、前記シートの厚さを検出するシート厚検出手段と、前記給紙ローラをシートへ圧接させる前記圧接手段の圧接力を可変にする給紙ローラ圧可変手段と、前記摩擦部材と前記分離ローラとを圧接させる他の圧接手段の圧接力を可変にする分離圧可変手段と、前記シートサイズ検出手段と前記シート厚検出手段との検出信号に対応して前記給紙ローラ圧可変手段と前記分離圧可変手段とを制御する制御手段とを設け、該制御手段は、前記給紙ローラのシートへの圧接力を前記給紙ローラ圧可変手段が可変する圧力のうち任意の圧力と、前記摩擦部材と前記分離ローラとの圧接力を分離圧可変手段が可変する圧力のうち任意の圧力とに、別々に制御することを特徴とする給紙装置。
<特許文献3>
積載された用紙を挟持構成によって1枚ずつ分離して給紙するための用紙分離手段を有する給紙装置において、上記用紙分離手段の挟持状態を任意に解除できる挟持解除手段を有すること、を特徴とする画像形成装置における給紙装置。なお、給紙装置において、分離圧を調整する分離圧調整手段を有し、該分離圧調整手段が上記挟持解除手段を兼ねることも可能とする。
<特許文献4>
上下に対向して設けられた2本の給紙ローラ軸を中空円筒状に形成するとともに、上のローラ軸には下向きの、下のローラ軸には上向きに夫々吸着用の開口を設ける。その開口を覆うように全周に吸着用の孔を設けた給紙ローラを設ける。負圧発生器によって給紙ローラの対向部に負圧を発生させる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−124044号公報
【特許文献2】特開平08−5163号公報
【特許文献3】特開2001−130768号公報
【特許文献4】特開平05−286597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に開示されている発明には夫々以下に示す問題点がある。
特許文献1の発明では、ニップ圧を上記の発明では電磁力を用いて発生させているが、電磁力を用いるため、他の電子部品等への悪影響が懸念される。
特許文献2の発明では、分離圧可変手段の実施例として、スプリングとソレノイドとリンク部材を用いたものを提示しているが、その方法では装置として複雑な機構を用いるため給紙装置の小型化が困難であり、またスプリングの経時変化におる加圧力の変化が起きやすいという問題がある。
特許文献3の発明では、分離圧調整手段および分離圧解除手段(挟持解除手段)の実施例として、スプリングとソレノイドを用いた用紙分離手段および挟持手段を提示しているが、その方法では装置として複雑な機構を用いる必要があり、またスプリングの経時変化におる加圧力の変化が起きやすいという問題がある。
特許文献4の発明では、給紙ローラと分離部材を負圧によって吸着させて加圧している点が、上記の方法では、ローラ部に開口部があり、そこから空気を吸い込む構成になっているため、シートがローラ対に進入する際にシート先端部がばたつき、シート先端の折れ/めくれが発生する恐れがある。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、比較的な簡単な構成で分離圧の調整および解除が可能で、経時の加圧力の劣化が少なく、他の部品への影響の少ない給紙装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給紙装置のうち請求項1に係るものは、シートを繰り出す給紙ローラと、該給紙ローラに押圧され、シートを1枚ずつ分離させる分離手段と、該分離部材を空気圧を用いて、該給紙ローラに押圧する付勢手段と、シートの搬送方向における該給紙ローラより下流側に配置され、分離されたシートを搬送する搬送ローラ対と、シートの搬送方向における該搬送ローラより下流側に配設され、シートを検出するシート部材検出手段と、給紙されるシートの種類を検出もしくは入力するシート種類判別手段と、該シート部材検出手段がシートが規定の時間内に検出するか否かによってシート搬送異常を判別するシート搬送異常検出手段とを有することを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、請求項1に記載の給紙装置において、前記付勢手段は、エアーを通さずかつ可撓性の部材からなる空気袋と、該空気袋にエアーを充填/排出するエアー充填手段とからなることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、請求項2に記載の給紙装置において、前記空気袋が、弾性を備えたゴム部材からなることを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、請求項2に記載の給紙装置において、前記空気袋が、前記分離手段の前記給紙ローラとの押圧面の下面全面を覆うことを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係るものは、請求項2に記載の給紙装置において、前記空気袋に供給するエアーを制御するエアー制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係るものは、請求項5に記載の給紙装置において、前記エアー制御手段が、少なくともエアー充填量制御を行えるものであることを特徴とする。
【0015】
同請求項7に係るものは、請求項6に記載の給紙装置において、前記エアー充填量制御は、前記シート種類判別手段によるシート種類の判別結果に応じてエアー充填量を変化させることを特徴とする。
【0016】
同請求項8に係るものは、請求項6または7に記載の給紙装置において、前記エアー制御手段は、少なくともエアー充填タイミング制御行えるものであることを特徴とする。
【0017】
同請求項9に係るものは、請求項8に記載の給紙装置において、前記エアー充填タイミング制御は、給紙開始前にエアーを充填するものであることを特徴とする。
【0018】
同請求項10にものは、請求項8に記載の給紙装置において、前記エアー充填タイミング制御は、前記シート部材検出手段が給紙開始後にシートを検出した場合に、エアーを排出するものであることを特徴とする。
【0019】
同請求項11に係る画像形成装置は、請求項8に記載の給紙装置において、前記エアー充填タイミング制御は、前記シート搬送異常検出手段がシート搬送異常を検出した場合に、エアーを排出するものであることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項12に係る画像形成装置は、前記請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、比較的簡単な構成で押圧を変更/解除でき、かつ経時の加圧力の変化も少なくさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図5により、本発明に用いた給紙装置の実施例1について詳細に説明する。
【0024】
まず、図1にて、一般的な画像形成装置全体の構成・動作について説明する。図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は画像形成装置へと送られた画像情報に基いた露光光を感光体ドラム4上に照射する露光部、3は感光体ドラム4上にトナー像(画像)を形成し、感光体ドラム4上に形成されたトナー像をシートPに転写する作像部、5は感光体ドラム4上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部、6および7は転写紙等のシートPが収納された給紙装置、8はシートP上の未定着画像を定着する定着部、9は画像が転写されたシートPを排出する排紙部を示す。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。まず、画像形成装置に送られた電気信号が、露光部2(書込部)に送信される。そして、露光部2からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光が、作像部3の感光体ドラム4上に向けて発せられる。
【0026】
一方、作像部3において、感光体ドラム4は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム4上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。その後、感光体ドラム4上に形成された画像は、転写部5で、レジストローラにより搬送されたシートP上に転写される。
【0027】
一方、転写部5に搬送されるシートPは、次のように動作する。まず、画像形成装置本体1の複数の給紙装置6、7のうち、1つの給紙装置が自動又は手動で選択される(例えば、給紙装置6が選択されたものとする。)。そして、給紙装置6に収納されたシートPの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
【0028】
その後、シートPは、搬送経路Kを通過してレジストローラの位置に達する。そして、レジストローラの位置に達したシートPは、感光体ドラム4上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部5に向けて搬送される。
【0029】
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着部8に達する。定着部8に達したシートPは、定着ローラからの熱とニップ圧とによって画像が定着される。画像が定着されたシートPは、定着部8から送出された後に、排紙部9によって画像形成装置本体1から排出される。
【0030】
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2〜図5にて、画像形成装置本体1に設けた本発明の実施例に係る給紙装置6の構成、動作について詳述する。
【0031】
図2は給紙装置6の断面図である。図2において、A1はシートPを繰り出すシート給紙部、A2はシートPを1枚ずつ分離させるシート分離部、A3はシート給紙部A1によって繰り出されたシートPを更に搬送する搬送ローラ給紙部である。
【0032】
シート給紙部A1は、繰出部材としての給紙ローラ11、該給紙ローラ11を回転させる繰出し用の駆動部としての図示されない給紙用モータ、シートPがセットされるシート収容部としての給紙トレイ12、及び該給紙トレイ12の下部に配設され、シートPを受けるとともに、給紙トレイ12からシートPを繰り出す際、該給紙ローラへとシートPを押圧する底板13を備える。
【0033】
給紙ローラ11の外周部はEPDM等のゴム材から成り、シートPと接する表面は、平滑な形状、又は給紙能力を向上させるために象肌、ローレット形状等の形状を有する。また、給紙ローラ11と給紙用モータとの間には不図示の給紙電磁クラッチが配設され、給紙用モータが回転駆動を該電磁クラッチによってON/OFF制御することが可能である。
【0034】
シート分離部A2は、給紙トレイ12に対して図中矢印方向に摺動自在に配設された支持フレームとしての分離パッドフレーム17と、この分離パッドフレーム17の先端に両面テープ又は接着によって固定され、給紙ローラ11に所定の押圧力で押圧させて配設された分離パッド16と、からなる分離手段と、一端が該分離パッドフレーム17の所定の箇所に当接させられ、該分離パッド16を空気圧を用いて所定の押圧力(付勢力)で給紙ローラ11に押圧する付勢手段を備える。付勢手段は、エアーを通さずかつ可撓性の部材からなる空気袋31、該空気袋31にエアーを吸排するための配管32、該空気袋31へエアーを充填/排出する不図示のエアー充填手段からなる。なお該配管32は、一方の端部が該空気袋31に接続されており、もう一方の端部がエアー充填手段へと接続されている。
【0035】
このように空気圧を用いて押圧力を発生させることで、シンプルな構成で押圧力の変更/解除が可能にし、かつ押圧力の経時的が変化することを低減することができる。
【0036】
また該空気袋31は弾性を備えるゴム部材からなることもできる。通常、一般的に用いられる押圧力は約2〜3Nと比較的小さいことが多いため、エアーによる空気圧だけでは、このような比較的小さい押圧力を発生させることがシビアになる。そこで、該空気袋31を弾性を備えるゴム部材にすることで、該空気袋31自身のゴム弾性力とエアーによる空気圧を用いて押圧を発生させることができるため、比較的小さい押圧力を発生させることができる。
【0037】
また、該給紙装置6は不図示のエアー制御手段を備えることもできる。ここで、エアー制御手段は少なくともエアー充填量制御手段、およびエアー充填タイミング制御手段のどちらか一方、もしくはその両方を備えることができる。該エアー充填量制御手段を備えることで、エアーの充填量を任意に変更可能になり、押圧力の調整が可能になる。また、該エアー充填タイミング制御手段を備えることで、任意のタイミングでエアーを充填することで、所望のタイミングで押圧力を発生/解除することができる。
【0038】
前記搬送ローラ給紙部A3は、搬送ローラ対18、該搬送ローラ対18を回転させる駆動部としての不図示の搬送用モータ、および該搬送ローラ対18と該搬送用モータとの間には不図示の搬送電磁クラッチが配設され、該搬送用モータからの回転駆動を該搬送電磁クラッチによってON/OFF制御することが可能である。また、シート給紙部A1から供給されたシートPを搬送ローラ対18間に入るようにガイドするガイド19を備える。さらに、前記シートPの搬送方向における該搬送ローラ対18より下流側には、シート部材検出手段としての搬送センサ19が配設され、該搬送センサ19によって該搬送ローラ対18をシートPが通過したかどうかが検出される。
【0039】
また、該給紙装置6はシートPの種類(例えば、普通紙、厚紙、OHP、封筒等)を判別する不図示のシート種類判別手段を備える。該シート種類判別手段は底板13上に積載されたシートPの種類を自動で検出するセンサからなるものでもよいし、操作者が積載したシートPの種類を入力する入力装置からなるものでもよい。
【0040】
前記給紙用モータ、搬送用モータの各モータは図示されない制御基板に配設された制御部と接続され、該制御部によって各モータの制御が行われる。また前記搬送センサ19からの各出力が前記制御部に入力される。あわせて、シート搬送異常検出手段として、給紙開始からシートPが予め定められた所定の時間内にシートPの先端が前記搬送センサ19によって検出されるか否か、シートPが前記搬送センサ19によって検出されてから所定の時間内にシートPの後端が搬送しきることが検出されるか否か、を制御部によって判別することで、シート搬送異常を検出する。また、該制御部には前記シート種類判別手段が接続されており、そこからシートPの種類が入力される。
【0041】
また図3は図2のB−B’断面図である。図2および図3に示すように、前記空気袋31が前記分離パッドフレーム17の押圧面の下面前面を覆うような形状にすることもできる。このようにすることで、前記空気袋31による押圧力の幅方向および搬送方向の圧偏差を低減させ、スキューを低減させることができる。
【0042】
次に、前記構成の給紙装置の動作について説明する。
図4は本発明の実施例における給紙時の動作を示すフローチャートである。まず、給紙装置がシート種類判別手段として、入力装置を備える場合、操作者が入力装置を操作することによって、使用するシートPの種類を入力する。なお、入力は入力装置を操作することなく、パソコン等を介して入力してもよい。なお、シート種類判別手段として、底板13上のシートを自動で検出するセンサからなる場合は、操作者がシートを装置にセットした際、自動でシートPの種類が判別される。
【0043】
続いて、操作者がパソコン等を介して印刷の命令を行なうと、印刷スタート信号が制御部に入力され、印刷スタートとなる。その後、空気袋31にエアー充填手段よりエアーが充填される(ステップS1:以下、単にステップnをSnと記す。)。このようにすることで、確実に給紙開始前にエアーが充填され、安定して給紙が行なわれるようになる。
【0044】
なお、この時、空気袋31に充填されるエアーの量は、シート種類の判別結果に応じて変化させることができる。例えば、シートPが長尺厚紙である場合、普通紙の押圧力に対して1.5〜1.7倍の押圧力に、シートPが薄紙である場合、普通紙の押圧力とほぼ同じ押圧力、又はわずかに小さい押圧力にする。このようにすることで、各シートに合わせた最適な押圧力が得られ、分離性能を安定させることができる。
【0045】
その後、給紙開始する(S2)。この時、具体的には給紙用モータおよび搬送用モータを駆動し、それぞれのモータと同時もしくは多少時間をおいてから、給紙電磁クラッチおよび搬送電磁クラッチをONする。すると、給紙ローラ11、および搬送ローラ対18が回転し、底板13上にあるシートが搬送される。そして、シート分離部A2において1枚ずつ分離され、最上紙のシートPのみが搬送される。
【0046】
そして、シート搬送部A3に搬送されたシートPはガイド19に沿って搬送される。その後、搬送されるシートPが搬送センサ19によって検出されるか否かが判別される(S3)。
【0047】
まず、搬送センサ19によってシートPが検出された場合の動作について説明する。シートPが検出された場合、次に空気袋31内のエアーが排出される(S5)。この時、分離パッド16と給紙ローラ11は、図5に示すように離間する。このようにすることで、搬送ローラ対18にかかるシートPからのバックテンションを軽減させることができる。なお、その後、次の給紙スタートの有無が判別される(S7)。次の給紙スタートがある場合は、再び空気袋31エアーが充填され、再び給紙開始する。次の給紙スタートが無い場合は、これで給紙動作完了となる。
【0048】
次に、搬送センサ19によってシートPが検出されなかった場合の動作について説明する。シートPが検出されなかった場合、それがシート搬送異常かどうかをシート搬送異常検出手段によって判別する(S4)。シート搬送異常ではなかった場合、さらに搬送センサ19によって検出されるか否かを判別する。シート搬送異常であった場合、空気袋31のエアーが排出され(S6)、搬送ジャムとして給紙動作を終了する。このように、シート搬送異常時にエアーを排出することにより、操作者がジャム処理時のシート引き抜き負荷を軽減することができる。
【0049】
すなわち本発明に係る給紙装置では、シートを繰り出す給紙ローラと、該給紙ローラに押圧され、シートを1枚ずつ分離させる分離手段と、該分離部材を空気圧を用いて、該給紙ローラに押圧する付勢手段と、シートの搬送方向における該給紙ローラより下流側に配置され、分離されたシートを搬送する搬送ローラ対と、シートの搬送方向における該搬送ローラより下流側に配設され、シートを検出するシート部材検出手段と、給紙されるシートの種類を判別するシート種類検出手段と、該シート部材検出手段がシートが規定の時間内に検出するか否かによってシート搬送異常を判別する、シート搬送異常検出手段と、を有しているので、比較的簡単な構成で押圧を変更/解除でき、かつ経時の加圧力の変化も少なくさせることができる。
【0050】
また、本発明に係る給紙装置では、前記付勢手段をエアーを通さずかつ可撓性の部材からなる空気袋と、該空気袋にエアーを充填/排出するエアー充填手段によって実現しているため、比較的容易な構成で前記給紙ローラへの前記分離部材の押圧を可能にすることができる。
【0051】
また、本発明に係る給紙装置では、前記空気袋を弾性を備えたゴム部材にしているため、前記給紙ローラへの押圧を、前記空気袋自身の弾性力と充填するエアーの空気圧の両者を用いて発生させることで、比較的小さな押圧を発生させることができる。
【0052】
また、本発明に係る給紙装置では、前記空気袋が前記分離手段の前記給紙ローラとの押圧面の下面全面を覆うようにしているので、前記給紙ローラへの前記分離手段の片当りを防止し、押圧の圧偏差を低減させることができ、スキューの低減させることができる。
【0053】
また、本発明に係る給紙装置では、前記空気袋に供給するエアーを制御するエアー制御手段を備えているので、前記給紙ローラへの前記分離部材の押圧を変更もしくは解除することができる。
【0054】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー制御手段が、少なくともエアー充填量制御を有しているので、前記給紙ローラへの前記分離部材の押圧力を任意の値に変更することができる。
【0055】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー充填量制御が、前記シート種類判別手段によるシート種類の判別結果に応じてエアー充填量を変化させることで、予め設定した給送するシート種類に合わせた最適な押圧で分離を行い、シート分離性能を安定させることができる。
【0056】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー制御手段が、少なくともエアー充填タイミング制御を有しているので、前記給紙ローラへの前記分離部材の押圧を任意のタイミングで発生/解除させることができる。
【0057】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー充填タイミング制御が、前記給紙ローラがシートを繰り出す前に、エアーを充填しているので、シート給紙時に適切な押圧力を発生させて、給紙不良を無くすことができる。
【0058】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー充填タイミング制御が、前記シート部材検出部がシートを検出した場合に、エアーを排出することで、前記搬送ローラ対にかかるシートからのバックテンションを軽減することができる。
【0059】
また、本発明に係る給紙装置では、前記エアー充填タイミング制御が、前記シート搬送異常検出手段がシート搬送異常を検出した場合に、エアーを排出することで、ジャム処理時のシート引き抜き負荷を軽減することができる。
【0060】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る給紙装置の特徴を備え、上述した目的、効果を達成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】一般的な画像形成装置全体の構成を示す図
【図2】給紙装置の断面図
【図3】図2のB−B’断面図
【図4】本発明の実施例における給紙時の動作を示すフローチャート図
【図5】動作時の給紙装置の断面図
【符号の説明】
【0062】
1:画像形成装置本体
2:露光部
3:作像部
4:感光体ドラム
5:転写部
6、7:給紙装置
8:定着部
9:排紙部
11:給紙ローラ
12:給紙トレイ
13:底板
16:分離パッド
17:分離パッドフレーム
18:搬送ローラ対
19:搬送センサ
31:空気袋
32:配管
A1:シート給紙部
A2:シート分離部
A3:搬送ローラ給紙部
K:搬送経路
P:シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを繰り出す給紙ローラと、
該給紙ローラに押圧され、シートを1枚ずつ分離させる分離手段と、
該分離部材を空気圧を用いて、該給紙ローラに押圧する付勢手段と、
シートの搬送方向における該給紙ローラより下流側に配置され、分離されたシートを搬送する搬送ローラ対と、
シートの搬送方向における該搬送ローラより下流側に配設され、シートを検出するシート部材検出手段と、
給紙されるシートの種類を検出もしくは入力するシート種類判別手段と、
該シート部材検出手段がシートが規定の時間内に検出するか否かによってシート搬送異常を判別するシート搬送異常検出手段と、
を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置において、
前記付勢手段は、
エアーを通さずかつ可撓性の部材からなる空気袋と、
該空気袋にエアーを充填/排出するエアー充填手段
とからなることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置において、
前記空気袋が、弾性を備えたゴム部材からなることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項2に記載の給紙装置において、
前記空気袋が、前記分離手段の前記給紙ローラとの押圧面の下面全面を覆うことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項2に記載の給紙装置において、
前記空気袋に供給するエアーを制御するエアー制御手段を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給紙装置において、
前記エアー制御手段が、少なくともエアー充填量制御を行えるものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給紙装置において、
前記エアー充填量制御は、前記シート種類判別手段によるシート種類の判別結果に応じてエアー充填量を変化させることを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の給紙装置において、
前記エアー制御手段は、少なくともエアー充填タイミング制御行えるものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項8に記載の給紙装置において、
前記エアー充填タイミング制御は、給紙開始前にエアーを充填するものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
請求項8に記載の給紙装置において、
前記エアー充填タイミング制御は、前記シート部材検出手段が給紙開始後にシートを検出した場合に、エアーを排出するものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項11】
請求項8に記載の給紙装置において、
前記エアー充填タイミング制御は、前記シート搬送異常検出手段がシート搬送異常を検出した場合に、エアーを排出するものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項12】
前記請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−1130(P2010−1130A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161242(P2008−161242)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】