説明

給紙装置およびこれを備えた画像形成システム

【課題】給紙トレイ内部の除湿を速やかに行えて、給紙サイクルを短縮可能な給紙装置の提供を図る。
【解決手段】除湿乾燥機構61により除湿乾燥した空気を予め貯留タンク60に溜めておき、給紙トレイ100が筺体101にセットされた直後、あるいは、制御部40から給紙動作開始の指令信号を受けた時に、送風機構70により貯留タンク60から筺体101内に除湿乾燥空気を送風するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した用紙の除湿機能を有する給紙装置、およびこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムにおける給紙装置では、PPC用紙や上質紙だけでなく、表面に樹脂等を被膜した塗工紙などへの対応が求められている。
【0003】
塗工紙はPPC用紙に較べて表面の吸湿性が高いため塗工紙間の密着性が高く、特に高湿環境下ではこの傾向が強まって給紙時に、不送りや重送などの不具合が生じ易くなってしまう。
【0004】
この対応策として、用紙間に空気を送風して用紙間の密着力を解除する給紙機構が用いられているが、送風される空気が湿っていると用紙の吸湿を助長することになり、上述の不具合は解消しない。
【0005】
そこで、送風される空気を乾燥させるために、ヒーターなどを用いた除湿乾燥機構を備えて、密閉された給紙トレイの内部の送風する空気を除湿するようにした給紙装置が知られている。
【0006】
しかし、密閉された給紙トレイ内の空気を除湿するための待機時間が必要となることから、特に大容量給紙装置ではその内容積が大きいため、待機時間を長くとらなければならない。この待機時間を短くするためには、除湿乾燥機構の能力を上げればよいのであるが、これでは装置の最大消費電力が増大する。また、コスト的に不利となってしまうことは否めない。
【0007】
このような事情から、本出願人は、先に特許文献1に示されているように、複数の給紙トレイにそれぞれ備えられた除湿ヒーターからの乾燥空気を、1つの給紙トレイに集中して送風可能とした除湿乾燥機構を備えた給紙装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−91122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の開示技術では、除湿のための待機時間はある程度短縮されるが、それでも、除湿ヒーターによって空気が昇温するまでの待機時間は依然として残り、待機時間の短縮には限界がある。
【0010】
また、除湿ヒーターによって空気の温度を上げることで湿度を低減させる方式の除湿乾燥機構では、その能力を上げることは除湿ヒーターの加熱温度を上げることを意味しており、ユーザーが直接触れる給紙トレイ内部の温度を著しく上昇させることは、安全性の上で回避しなければならない。
【0011】
従って、ユーザーが触れても問題のない程度の温度以下に保つように、比較的低温の温風で給紙トレイ内の空気温度を上昇させる必要があって、このため、待機時間の短縮化にも自ずと限界が生じていた。
【0012】
そこで、本発明は給紙トレイ内部の除湿を速やかに行えて、待機時間を短縮することが可能な給紙装置、およびこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の給紙装置にあっては、給紙するための用紙を収容する給紙トレイと、この給紙トレイをセットし、収容された用紙を外気から遮蔽する筺体と、前記給紙トレイに収容された用紙を給紙する給紙機構部と、空気の湿度を低減するための除湿乾燥機構と、この除湿乾燥機構によって除湿乾燥された空気を貯留しておく貯留タンクと、この貯留タンクから前記筺体内に空気を送風する送風機構と、を備えたことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給紙装置および画像形成システムによれば、予め除湿乾燥機構によって除湿乾燥した空気を貯留タンクに溜めておき、必要時には給紙トレイをセットした筺体内に、この貯留タンク内の除湿乾燥空気を送風機構によって送風して、該筺体内の空気を瞬時に入れ替え可能とする。
【0015】
この結果、筺体内に供給される空気が昇温するまでの待機時間が必要となることはなく、給紙トレイ内部の除湿を可及的に速やかに行えて、待機時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムを概念的に示す全体構成図。
【図2】図1に示した画像形成システムにおける給紙装置Bを模式的に示す説明図。
【図3】給紙機構部の拡大断面図。
【図4】給紙トレイの斜視図。
【図5】給紙装置Bの除湿乾燥運転モードの制御動作を示すフローチャート図(その1)。
【図6】給紙装置Bの除湿乾燥運転モードの制御動作を示すフローチャート図(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0018】
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置Aと、給紙装置Bとを備えている。
【0019】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称されるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、ベルト状の中間転写体6,給紙装置20、および定着装置35等を備えている。
【0020】
画像形成装置Aは、その上部に画像読取部A4を有し、原稿台上に載置された原稿は画像読取部A4の原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施し、制御部40の記憶部に画像データとして変換する。記憶部に格納された画像データは、ユーザーにより設定されている条件により適宜な画像処理が施された後、露光手段3に入力される。
【0021】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンダ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、および黒(BK)色の画像を形成する画像形成部10Kは、それぞれ感光体ドラム1、帯電手段2、露光手段3、現像装置4、クリーニング手段5、および一次転写手段7を有する。図では、画像形成部10Yを代表して感光体ドラム等に符号を付している。
【0022】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、循環移動する。
【0023】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kにより形成された各色の画像は、循環移動する中間転写体6上に各画像形成部の一次転写手段7により逐次転写されて、カラー画像が合成される。
【0024】
給紙装置20の給紙カセット21内に収容された用紙Sは、給紙手段22により給紙され、給紙ローラ23,24,25,26、およびレジストローラ27等を経て二次転写手段9に搬送され、二次転写手段9により該用紙S上にカラー画像が転写される。
【0025】
なお、図では給紙手段22を備えた給紙カセット21は、3段の縦列配置としてある。
【0026】
カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置35において加熱ローラ35Aと加圧ローラ35Bとのニップ部を通過して加熱,加圧される。これにより、用紙S上のトナー像が定着されて用紙S上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0027】
一方、二次転写手段9により用紙S上にカラー画像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8によりクリーニングされる。
【0028】
定着処理された用紙Sを反転給紙する場合には、用紙Sは定着装置35と排紙ローラ28の中間に配置された切換ゲート28Aの図示下側の搬送路を通過し、下方の搬送路rに搬送された後、逆転搬送されて切換ゲート28Aの図示左側の搬送路rを通過し、排紙ローラ28により装置外に排出される。
【0029】
用紙Sの両面に複写する場合には、用紙Sの第1面に形成した画像を定着処理した後、用紙Sを搬送路r、更に搬送路rに導入した後、逆転搬送し、搬送路rに搬送した後、上方に迂回し給紙ローラ26により搬送する。用紙Sは前述と同様に第1面の裏面である第2面に各色の画像が形成され、定着装置35により定着処理されて、排紙ローラ28により装置外に排出される。
【0030】
なお、上述の画像形成装置Aは、カラー画像を形成する画像形成装置であるが、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0031】
画像形成装置Aの図示右側には、例えば総枚数5000枚以上の大量の用紙を給紙するための給紙装置Bが連結されている。
【0032】
給紙装置Bは、給紙するための用紙Sを収容する給紙トレイ100を備えている。図では、給紙トレイ100A、100B、100Cを3段縦列配置とした例を示している。
【0033】
給紙トレイ100A、100B、100Cは、それぞれ筺体101によって、収容された用紙Sを外気から遮蔽するようにしている。
【0034】
また、給紙トレイ100A、100B、100Cは、それぞれ給紙機構部50を備え、収容している用紙Sを上面側から1枚ずつ分離して、給紙ローラ105から画像形成装置Aに送り込むようにしている。
【0035】
筺体101には、給紙トレイ100のセット状態、即ち、挿,脱状態を検知するトレイ検知センサSWを備え、その出力信号が画像形成装置Aの制御部40に入力するようにしている。
【0036】
図3に、給紙機構部50を拡大して示す。この給紙機構部50は、ピックアップローラ51と、ピックアップローラ51により送り出される用紙Sの重送を回避するために1枚ずつに分離する分離ローラ52と、分離した用紙Sを送り出す給紙ローラ53と、を備えている。
【0037】
分離ローラ52は、搬送ローラ521と、トルクリミッタを有する重送防止ローラ(リバースローラ)522と、を備えている。
【0038】
給紙トレイ100の昇降底板56上に積載された用紙Sは、図外のモータにより昇降する昇降部材によって上昇し、用紙Sの上面がピックアップローラ51の外周面に当接する所定位置に到達すると、図外のセンサにより用紙Sの上面が検知され、昇降底板56の上昇が停止される。昇降底板56には、用紙Sの有無を検知する用紙有無検知センサPS1が配置されており、昇降底板56上の用紙切れを検知するようにしている。
【0039】
この給紙機構部50は、例えば画像形成装置Aの制御部40によって作動制御され、給紙信号によりピックアップローラ51と搬送ローラ521が回転を開始する。所定圧力で用紙Sの上面に圧接させたピックアップローラ51は、用紙Sを搬送ローラ521と重送防止ローラ522とのニップ位置に送り込んだ後、用紙S面から離間する。
【0040】
重送防止ローラ522は、図外のトルクリミッタを介して用紙Sの搬送方向(図示Y方向)と逆方向に駆動されていて、図外のばねによる所定圧力で搬送ローラ521に圧接されている。
【0041】
そして、重送防止ローラ522は、ニップ位置に用紙Sが存在せず、搬送ローラ521に直接接触したとき、または、一枚の用紙Sがニップ位置に送り込まれたとき、トルクリミッタがリミットトルクを超えて滑り、搬送ローラ521に従動回転して一枚の用紙Sを搬送する。
【0042】
一方、2枚以上の用紙Sが分離ローラ52に送り込まれた場合、リミットトルクが用紙間の摩擦力に打ち勝って、重送防止ローラ522を逆回転させて下側の用紙Sを押し戻し、多数枚送りを防止する。
【0043】
ここで、本実施形態にあっては、図2に示すように前記給紙装置Bは、その機外もしくは機内に予め除湿乾燥した空気を貯留しておく貯留タンク60を備えていて、給紙トレイ100に収容した用紙Sの除湿が必要な時には、貯留タンク60内の除湿乾燥空気を筺体101内に送り込んで、用紙Sの除湿を速やかに行えるようにしている。
【0044】
この貯留タンク60は、筺体101の内容積の1/2以上の貯留空気量が得られる大きさの容積としてあり、周壁を適宜の断熱材層を有する断熱構造としてある。
【0045】
図2に示す例では、貯留タンク60は、内部に空気を加熱して除湿乾燥させるヒーター61を備えて、除湿乾燥機構としての機能を併有している。
【0046】
また、この貯留タンク60は、送風機構70を介して給紙トレイ100A,100B,100Cの各筺体101内と連通している。
【0047】
送風機構70は、貯留タンク60と筺体101の上部とを連通する送気ダクト71と、貯留タンク60と筺体101の下部とを連通する吸気ダクト72と、送気ダクト71に配設したファン73と、を備えている。
【0048】
これにより、筺体101内の空気を貯留タンク60内に取り入れてヒーター61により加熱して除湿乾燥させ、これを筺体101内に送風して該筺体101内の空気を速やかに入れ替え可能としている。
【0049】
送気ダクト71と、各筺体101との接続部には送気制御用のシャッター74を配設してあり、該シャッター74の作動制御によって、給紙動作対象の給紙トレイ100に対応した筺体101への除湿乾燥空気の送風を可能としている。
【0050】
一方、画像形成装置Aの制御部40には、図1に示すように室内環境の温湿度、例えば、室内の温湿度を検出する温湿度センサ80(湿度センサ)の出力信号、および筺体101内の温湿度を検出する温湿度センサ81の出力信号を入力するようにしている。
【0051】
これにより、室内環境が、例えば気温30℃、湿度60%以上の高湿環境下にあるときは、前記ヒーター61による除湿乾燥動作を開始可能としている。
【0052】
図4は給紙トレイ100の概略構成を示している。図4において、積層された用紙Sは、昇降底板56上に載置され、図外の昇降機構により、昇降可能に支持されている。用紙端部規制部材である一対の側部規制部材111,112は、用紙Sの幅方向(図示X方向)に移動自在になっており、積載された用紙Sの両側に当接して用紙Sの両側位置を規制している。後端規制部材118は、用紙Sの搬送方向(図示Y方向)に移動自在で、用紙Sの送り方向後端の位置を規制している。側部規制部材111、112および後端規制部材118は、用紙サイズに応じて変位される。
【0053】
各筺体101内には、貯留タンク60側の除湿乾燥機構(ヒーター61)とは別に、補助除湿乾燥機構30を備え、貯留タンク60から筺体101内に送風された空気の湿度を維持、あるいは低減可能としている。この補助除湿乾燥機構30は、ヒーター・ファンユニット301、およびヒーター・ファンユニット301と筺体101内とで空気を循環させるダクト302で構成している。
【0054】
ここで、前記用紙Sの側部規制部材111、112は縦長の箱状に形成され、その上部に送気口111A、112Aが、その下部に吸気口111B、112BとファンF2がそれぞれ設けられて、給紙トレイ100に収容された用紙Sの端面に風を吹き付けて、用紙Sを分離する用紙分離手段90としての機能を併有している。
【0055】
即ち、ファンF2が作動することにより、図2の矢印で示すように空気が循環し、貯留タンク60から送風された乾燥した空気が昇降底板56上に積載された用紙Sの端面に吹き付けられる。
【0056】
乾燥した空気は図示のように積載された用紙S上部の側面に吹き付けられて、用紙Sを一枚一枚に分離する作用を有し、搬送ローラ521と重送防止ローラ522からなる分離ローラ52による用紙分離を補助する。
【0057】
図5に、上述の給紙装置Bにおける給紙トレイ100の除湿運転モード実施の動作手順をフローチャートにして示す。このフローチャートに示す処理は、画像形成装置Aの電源ONによって制御部40で実行される。
【0058】
先ず、ステップS1では温湿度センサ80の出力信号にもとづいて、室内環境が予め設定した高湿の環境下(湿度60%以上)にあるかを判断する。
【0059】
ステップS1で肯定の場合ステップS2へ進み、否定の場合はステップS9へ進む。
【0060】
ステップS2では、貯留タンク60内のヒーター61により該貯留タンク60内の空気を加熱して除湿乾燥させる。
【0061】
次に、ステップS3では、貯留タンク60のウォームアップが完了したかを判断する。このウォームアップ判断は、温度センサ(例えば、目標温度50℃)によって行われる。
【0062】
ステップS3で肯定の場合、ステップS4へ進んで、ヒーター61による貯留タンク60内の空気の除湿乾燥動作を終了する。
【0063】
次に、ステップS5では、用紙有無検知センサPS1、およびトレイ検知センサSWの出力信号にもとづいて、用紙Sを収容した給紙トレイ100が筺体101にセットされたかを判断する。
【0064】
ステップS5で肯定の場合、ステップS6へ進んで、給紙可能状態にある除湿対象の給紙トレイ100に対応した送気ダクト71のシャッター74を開くと共に、ファン73を作動して、貯留タンク60内に溜めておいた除湿乾燥空気を対応する筺体101内に所定時間送風して、空気の入れ替えを行う。
【0065】
これと同時に、ステップS7で補助除湿乾燥機構30を作動開始する。
【0066】
そして、ステップS8で筺体101内の温湿度センサ81の検出信号にもとづいて、筺体101内の除湿環境が整ったか(例えば、湿度50%以下)を判断する。
【0067】
ステップS8で肯定の場合、ステップS9へ進んで画像形成装置Aの操作表示パネルに、「除湿が完了しました。給紙動作を開始して下さい。」のメッセージを表示する。
【0068】
ステップS3、S5、S8で否定の場合、何れもリターンする。
【0069】
なお、ステップS3で、本例では貯留タンク60のウォームアップを温度センサで判断しているが、これは、タイマーによる時間設定であってもよい。また、ステップS8で、本例では温湿度センサ81の出力信号にもとづいて除湿完了を判断しているが、これは温度センサで代用してもよい。例えば、温湿度センサ80による室内環境が気温30℃、湿度80%であった時、この空気を40℃まで温めれば、空気の飽和水蒸気量の上昇にともなって湿度は約50%まで低下する。このように、室内環境の温湿度とトレイ内の温度によって、トレイ内の湿度を算出することができる。
【0070】
このように、第1実施形態の構成によれば、予め除湿乾燥機構61によって除湿乾燥した空気を貯留タンク60に溜めておいて、必要時には給紙トレイ100をセットした筺体101内に、この貯留タンク60内の除湿乾燥空気を送風機構70によって送風して、該筺体内の空気を瞬時に入れ替え可能とすることができる。
【0071】
この結果、筺体101内に供給される空気が昇温するまでの待機時間が必要となることはなく、給紙トレイ100内の除湿を可及的に速やかに行えて、待機時間を短縮することが可能となる。
【0072】
特に、本実施形態では、用紙Sを収容した給紙トレイ100が筺体101にセットされた時点で、その給紙トレイ100で給紙動作が行われるものと予測して送風機構70を作動して用紙Sの除湿を行わせるようにしている。これにより、給紙開始時には用紙Sの除湿が完了しており、待機時間を0とすることができる。
【0073】
また、除湿乾燥機構61とは別に、補助除湿乾燥機構30を備えていて、筺体101内に送風された除湿乾燥空気の湿度を維持、あるいは低減させるようにしているので、給紙動作開始後も安定して用紙Sを分離,給紙することができる。
【0074】
一方、給紙トレイ100の給紙機構部50には、給紙トレイ100に収容された用紙Sの端面に、用紙分離手段90により筺体101内の除湿乾燥空気を吹き付けて、用紙Sを上のものから一枚一枚分離するようにしているので、給紙時における用紙Sの重送防止を徹底することができる。
【0075】
また、除湿乾燥機構61は、室内環境における温湿度を検出するセンサ80の検出作用にもとづいて、外気の湿度が所定値以上の時に動作するようにしているので、無駄な電力消費を回避することができる。しかも、この除湿乾燥機構61は、空気を加熱するヒーターを利用した簡易構成としているので、コンパクトに、かつ、コスト的に有利に得ることができる。
【0076】
更に、貯留タンク60は、その周壁を断熱構造としているので、除湿乾燥機構としてのヒーター61によって加熱された空気を保温して湿度が上昇するのを抑制でき、必要時には常に適正湿度の乾燥空気を送風させることができる。
【0077】
そして、この貯留タンク60は、その貯留空気量が筺体101の内容積の1/2以上となるようにその容積を設定しているので、送風機構70による除湿乾燥空気の筺体101内への送風時には、該筺体101内の空気の入れ替えを確実に行えて、用紙Sの除湿をより徹底することができる。
【0078】
図6は、給紙装置Bの除湿運転モードの第2実施形態を示すフローチャート図である。
【0079】
この第2実施形態では、前記第1実施形態におけるステップS5の処理に続いて、ステップS5Aで制御部40からの給紙動作開始指令信号(給紙ジョブ信号)の有無を判断している。即ち、この第2実施形態では、給紙トレイ100が筺体101にセットされただけでは、送風機構70の送風動作による除湿開始は行われず、給紙ジョブ信号を受けてから該当する給紙トレイ100の除湿を開始し、例えば表示パネルに「除湿中」の表示を出して、待機するようにしている。
【0080】
従って、この第2実施形態によれば、除湿動作と除湿時間を必要最低限に絞り込めるため、省エネルギー化に貢献することができる。
【0081】
但し、給紙ジョブ信号を受けてからの除湿開始となるため、筺体101内の除湿乾燥空気の入れ替えの最中は、多少、ユーザーを待たせることになるが、筺体101内の空気は40リットル程度で、送風機構70による掃気でも所用時間は1分にも満たないで済ませることが可能である。これは、前述の従来構造における除湿ヒーターの効率を上げても、除湿には少なくとも3分は要してしまうので、本実施形態でも十分に待ち時間短縮の効果が得られる。
【0082】
なお、前記実施形態では、貯留タンク60に除湿乾燥機構としてのヒーター61を組付けた構造を開示したが、これは、貯留タンク60と除湿乾燥機構61とが独立して分離した構成としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0083】
A…画像形成装置
B…給紙装置
40…制御部
60…貯留タンク
61…ヒーター(除湿乾燥機構)
70…送風機構
71…送気ダクト
72…吸気ダクト
73…ファン
74…シャッター
80…室内の温湿度センサ(湿度センサ)
81…筺体内の温湿度センサ
90…用紙分離手段
100…給紙トレイ
101…筺体
S…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙するための用紙を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイをセットし、該給紙トレイに収容された用紙を外気から遮蔽する筺体と、
前記給紙トレイに収容された用紙を給紙する給紙機構部と、
空気の湿度を低減するための除湿乾燥機構と、
前記除湿乾燥機構によって除湿乾燥された空気を貯留しておく貯留タンクと、
前記貯留タンクから前記筺体内に空気を送風する送風機構と、を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記送風機構による送風は、給紙トレイが筺体にセットされた直後に開始することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記送風機構による送風は、給紙動作開始の指令信号を受けた時点で開始することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記除湿乾燥機構とは別に、前記筺体内に送風された空気の湿度を維持、あるいは低減させるための補助除湿乾燥機構を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の給紙装置。
【請求項5】
前記給紙機構部は、前記給紙トレイに収容された用紙の端面に風を吹き付けて、用紙を分離する用紙分離手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の給紙装置。
【請求項6】
外気の湿度を検出する湿度センサを備え、該湿度センサの検出作用にもとづいて、外気の湿度が所定値以上の時に前記除湿乾燥機構を動作することを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の給紙装置。
【請求項7】
前記除湿乾燥機構は、空気を加熱するヒーターを備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の給紙装置。
【請求項8】
前記貯留タンクは、その周壁を断熱構造としたことを特徴とする請求項7に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記貯留タンクは、その貯留空気量が前記給紙トレイを収容する筺体の内容積の1/2以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1つに記載の給紙装置。
【請求項10】
画像形成装置と、請求項1〜9の何れか1つに記載の給紙装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150217(P2012−150217A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7956(P2011−7956)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】