説明

給袋自動包装機

【課題】袋を充填位置からシール位置へ移送する新たな機構を採用して小型化・省スペース化を図る給袋自動包装機を提供すること。
【解決手段】袋(h)を充填位置(a)に待機する第1アーム31に備えた第1グリップ(g)又は第2アーム45に備えた第2グリップ(g′)に供給する給袋手段10と、開口部(i)を上にして袋を吊り下げ状に支持する第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)を充填位置(a)とシール位置(b)との間で移動自在に設けた移送手段30と、第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)により支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段55と、被包装物が充填された袋の底部を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けた底上げ装置60と、被包装物が充填された袋の開口部をヒートシールするシール手段65と、袋詰めされた製品を機外へ排出するベルトコンベア70とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉等の粉体、豆類等の粒体若しくは固形物を袋詰めする給袋自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動包装装置として、マガジン内の袋又は同じ装置内で製作した袋を充填位置に供給する給袋手段と、袋口を上にして袋を支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、グリップに支持された袋に計量機から放出される所定量の被包装物を充填する充填手段と、被包装物が充填された袋の開口部をヒートシールやミシン縫いを施すシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出するコンベアを備えたものなどが知られている。
【0003】
また、特許文献1に記載された「粉粒体包装装置」は、充填機とミシンの下方に設けたガイドフレームに可動台を移動可能に設け、可動台に上下方向に移動自在とした昇降板に受け板と当該受け板を傾斜させる傾斜手段を設け、受け板の上方に移動自在とされた押圧体の両端に挟持体を設け、ガイドフレームに沿って可動台を充填位置からミシン縫い位置まで往復移動させる移動手段を設けた概要構造とされている。
【0004】
本件出願人に係る「粉粒体及び固形物の包装装置」が特許文献2に記載されている。その包装装置は、フィルムから所定サイズの袋を製作する製袋機構と、製作された袋を解放可能に支持する第1グリップと第2グリップと配置すると共に第1グリップを開口位置と充填位置との間、第2グリップを充填位置とシール位置の間を進退させるように設けた移送機構と、袋に被包装物を充填する充填手段と、その充填時に第1グリップ若しくは第2グリップと共に袋を掴む副グリップ手段と、被包装物が充填された袋の開口部をシールするヒートシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する搬出手段を備えた概要構造とされている。
【0005】
特許文献3に記載された「袋詰め包装装置」には、袋の開口部を挟持しつつシールを施すシール手段に、その挟持を解放させる動作を行なう上方の駆動手段を設け、シール時に袋の底側を支持すると共にシール終了後に被包装物が袋詰めされた製品を搬出のために傾動させる受け台機構に下方の駆動手段を設け、上方の駆動手段、下方の駆動手段をタイミングを異ならせて作動させることにより、製品を底側から搬出するか、前記シールを施した側から搬出するかを任意に切換えることができるようにした概要構造とされている。
【0006】
特許文献1の包装装置では、袋の側縁を挟持するクランプと袋の底部を乗せる受け板を備えた可動台を充填位置からミシン縫い位置まで移動させ、粉粒体が充填された袋の開口部をミシン縫いしてから受け片を傾斜させることによって当該袋が自重により機外に滑り落ちるようにされている。しかし、次の袋詰め作業は、先の袋が機外へ排出されて可動台がミシン縫い位置から元の充填位置に戻る一連の動作が終了するまで待機しなければならないことから、包装能力はさほど高くないと言えよう。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3の包装装置では、ロール状に巻かれたフィルムから所定サイズの袋を製作する製袋部、製袋部から水平姿勢で供給される袋を垂直姿勢とする反転機構を備えた形式の包装装置であり、特許文献1に開示されるように、別途製作された既製の袋を使用する給袋手段を備える形式の包装装置とは異なる構造とされている。また、特許文献2では、第1グリップによって挟持される袋が副グリップを介して第2グリップに受け渡すように設けられ、特許文献3においても、受け渡し部から計量・充填部へ移動するグリップ(受け渡し爪)によって挟持される袋を、計量・充填部からシール部との間を移動する別のグリップに受け渡すように設けられている。何れの装置においても袋を一方のグリップから他方のグリップへ受け渡し・掴み直すように構成されているため、グリップ同士の挟持や解放動作のタイミングがずれると袋の受け渡し動作に安定性を欠く。さらには、受け渡し動作が正常でなく袋が傾いた状態で挟持されている場合には、開口部に施されるシール位置がずれるなどの不具合が生ずる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−40901号公報
【特許文献2】特開平8−133212号公報
【特許文献3】特開2008−56255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、袋を充填位置からシール位置へ移送する新たな機構を採用して小型化・省スペース化を図る給袋自動包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、袋を充填位置に供給する給袋手段と、開口部を上にして袋を吊り下げ状に支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、そのグリップに支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段と、その被包装物が充填された袋の開口部をシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出するように設けられた自動包装機において、
前記移送手段は、機台に立設されたスタンドに支持された縦向きの回転軸を水平方向に揺動自在に設け、その回転軸に横向きに固定された第1アームの先端部に、第1アクチュエータによって進退自在とされるスライダを設け、そのスライダに備えられた第1グリップが、第1アームと当該スライダの連係動作によって前記充填位置から左又は右方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から所定距離だけ後方へ移動した退避位置と、その退避位置から右又は左方向へ移動した待機位置と、その待機位置から前方の元の充填位置に戻るループ軌跡運動を行なうように設けられ、
前記スタンドに遊嵌されて内方の前記回転軸と同心に配置された中間軸を水平方向に揺動自在及び上下方向に移動自在に設け、その中間軸に第1アームよりも下方位置で横向きに固定された第2アームの先端部に、第2アクチュエータによって進退自在とされるスライダを設け、そのスライダに備えられた第2グリップが、第2アームと当該スライダの連係動作によって前記退避位置から右又は左方向へ移動した前記待機位置と、その待機位置から所定距離だけ前方へ移動した前記充填位置と、その充填位置から左又は右方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から後方の元の退避位置に戻るループ軌跡運動を行なうように設けられ、かつ、充填位置とシール位置においてのみ前記中間軸を上方へ移動させることによって第2グリップを第1グリップと同じ高さとするように設け、
第1グリップのループ軌跡運動と第2グリップのループ軌跡運動による一連の動作を同期制御するように構成したことを特徴とする。
【0011】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の給袋自動包装機において、前記被包装物が充填された袋の底部を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられた底上げ装置が、充填工程及び/又はシール工程に設置されていることを特徴とするものである。
【0012】
被包装物が充填されるときに袋の底部を底上げ装置によって押し上げて支持することにより、袋内に被包装物を円滑に充填することができる。また、充填作業時に袋の底部に底上げ装置によって振動を付与することにより、被包装物が袋内で落ち着いて嵩が小さくなる。他方、袋の開口部をシール(ヒートシール)処理する場合に、袋の底部を底上げ装置によって押し上げて支持することにより、シールの熱作用による袋の伸びが抑制されて良好な品質のシールを施すことができる。
【0013】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の給袋自動包装機において、前記被包装物が、粉体、粒体若しくは固形物であることを特徴とするものである。
【0014】
この給袋自動包装機における被包装物の対象としては、小麦粉、パン粉等の粉体、豆類等の粒体若しくは固形物であり、内容量として2kg程度までの小袋から中袋に対する袋詰めに適する。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1の発明)
この給袋自動包装機は、第1アームに備えたループ軌跡運動を行なう第1グリップによって支持される袋と、第2アームに備えたループ軌跡運動を行なう第2グリップによって支持される袋を充填位置からシール位置まで交互に移送するように構成しており、従来の包装機に見られる一方のグリップから他方のグリップへ同じ袋を受け渡し・掴み直す動作が存在しなく、給袋手段から間欠的に送り込まれる袋を専用グリップによってシール工程まで安定移送することができると共に袋の姿勢が充填工程にてグリップにより挟持されてからシール工程でシール処理されるまで変わらないため、良好なシールを施すことができる。加えて、被包装物の充填作業とシール処理作業を僅か2つの工程で施すことができることから、小型化・省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る給袋自動包装機の側面図
【図2】同、平面図
【図3】充填工程とシール工程を備えた機台の平面図
【図4】同、一部を省略した側面図
【図5】移送手段の要部の側面図
【図6】第1グリップ及び第2グリップのループ軌跡運動を示す模式図
【図7】第1アームの高さ方向の軌跡を説明する模式図
【図8】第2アームの高さ方向の軌跡を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明に係る給袋自動包装機Pの概要は、袋(h)を充填位置(a)に待機する第1アーム31に備えた第1グリップ(g)又は第2アーム45に備えた第2グリップ(g′)に供給する給袋手段10と、開口部(i)を上にして袋(h)を吊り下げ状に支持する第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)を充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段30と、第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)により支持された袋(h)に所定量の被包装物を充填する充填手段55と、被包装物が充填された袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けた底上げ装置60と、被包装物が充填された袋(h)の開口部(i)をヒートシールするシール手段65と、袋詰めされた製品を機外へ排出する排出手段とから構成されている。以下に、上記各手段について詳しく述べる。
【0019】
なお、この給袋自動包装機Pでは、被包装物として粉体、粒体若しくは固形物を対象とし、内容量として2kg程度までの小袋から中袋に対する袋詰め作業を行なうことができる。
【0020】
(給袋手段)
給袋手段10は、図2に示すように、包装機Pの機台1の正面側に平面から見て所定の角度をもって右斜め方向に付設された架台11に設置されている。この給袋手段10は、本件出願人に係る特開2011−25974号などに開示された公知の包装袋供給装置に準ずる構造とされているので詳しくは述べないが、ストッカー13上に多数の袋(h)が開口部(i)を前にして倒し重ねられて載置されるベルトコンベア12と、そのコンベア12の上方に配置された繰り出し部15と、繰り出し部15の図示しない繰り出しベルトをベルトコンベア12の搬送ベルト(図示せず)よりも早送りして所定位置まで送り込まれた袋を、充填位置(a)に待機する移送手段30の第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)に供給する袋供給部18とから構成されている。
【0021】
袋供給部18については、所定位置まで送り込まれた袋を袋メクリレバー(図示せず)により受け渡し位置まで持ち上げ、これを図示しない供給アームの吸盤により吸着して充填位置(a)に待機する第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)に直接供給し又は進退可能な挟着片(図示せず)を介して第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)に間接的に供給する公知構造と同じ構成とされている。
【0022】
充填位置(a)には、袋供給部18の供給アームにより供給される袋(h)を、図示しない真空ポンプによる真空吸引作用によって前側(正面側)の吸盤26と後側(背面側)の吸盤27によって吸着・支持すると共に当該袋(h)が第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)により側縁(j)を挟持された後に開口部(i)を開放する公知の袋ツカミ・開口手段25が設けられている。
【0023】
(移送手段)
移送手段30は、図3〜図6に示すように、充填位置(a)とシール位置(b)との間を同一の回転中心(o)を支点として揺動制御される第1アーム31と第2アーム45を設け、第1アーム31の先端部に備えた第1グリップ(g)を、充填位置(a)から左(又は右)方向へ移動したシール位置(b)と、シール位置(b)から所定距離だけ後方へ移動した退避位置(c)と、退避位置(c)から右(又は左)方向へ移動した待機位置(d)と、待機位置(d)から前方の元の充填位置(a)に戻るループ軌跡運動を行なうように設け、
第1アーム31よりも下方位置にある第2アーム45の先端部に備えた第2グリップ(g′)を、退避位置(c)から右(又は左)方向へ移動した待機位置(d)と、待機位置(d)から所定距離だけ前方へ移動した充填位置(a)と、充填位置(a)から左(又は右)方向へ移動したシール位置(b)と、シール位置(b)から後方の元の退避位置(c)に戻るループ軌跡運動を行なうように設け、第1グリップ(g)のループ軌跡運動と第2グリップ(g′)のループ軌跡運動による一連の動作を同期制御するように構成されている。
以下に、この移送手段30の構成についてさらに詳しく説明する。
【0024】
図1、図4において、3は機台1に立設したスタンド2に支持された縦向きの回転軸である。回転軸3は、充填位置(a)とシール位置(b)との間を、具体的には所定の角度間隔を図示しないサーボモータ機構により水平方向に揺動自在に設けられている。31は回転軸3に横向きに固定された第1アームである。4は前記スタンド2の内部に遊嵌されて内方の回転軸3と同心に配置された中間軸である。中間軸4は、シール位置(b)と充填位置(a)との間を図示しないサーボモータ機構により水平方向に揺動自在及び上下方向に移動自在に設けられている。45は中間軸4に第1アーム31よりも下方位置で横向きに固定された第2アームである。
【0025】
図4、図5において、第1アーム31の先端部31aの下面には、回転中心(o)を通る長手方向に移送ガイド32を取付け、その移送ガイド32に摺動可能に装着されたスライダ33に平板状のベース34を固定している。スライダ33の後端には、第1アーム31にヘッド側を取り付けられた第1アクチュエータたる空圧シリンダ35のロッド35a側が連結されている。しかして、スライダ33は、空圧シリンダ35の作動により充填位置(a)と待機位置(d)との間に相当するストロークを進退自在に設けられる。
【0026】
図3、図4において、第1グリップ(g)は、公知のグリップの構造と同様に、ベース34の前端部に適宜間隔を置いてほぼV字形の左右一対のレバー38を水平方向で回動可能に設け、一方の内方に延びるレバー片(図示せず)の先端部同士をリンクにより連結している。そして、外側のレバー片(図示せず)同士は図示しない引張りバネにより連結されていて、互いに内方へ回動する向きに常に付勢されるように設けられている。また、各レバー片には前方に延びる支持杆40の一端を固定し、その支持杆40の他端である先端に取り付けられたグリップ片41を当該支持杆40に設けた小型空圧シリンダ(図示せず)によって開閉作動させることにより袋(h)を解放可能に支持するように設けている。
【0027】
なお、第1グリップ(g)のグリップ片41同士の間隔については、本件出願人に係る自動包装機に採用されている公知のグリップの構造と同様に、袋(h)の開口部(i)を開けるときには狭くし、袋(h)の開口部(i)をシールするときには広くして開口部(i)を適度に緊張させるように図示しない固定カムとレバー機構によって制御されるように設けられている。
【0028】
図7に示すように、第1アーム31は、サーボモータ機構により水平方向に揺動することから、第1グリップ(g)の高さは常に一定である。
【0029】
図4、図5において、第2アーム45の先端部45aの上面には、回転中心(o)を通る長手方向に移送ガイド46を取付け、その移送ガイド46に摺動可能に装着されたスライダ47に平板状のベース48を固定している。スライダ47の後端には、第2アーム45にヘッド側を取り付けられた第2アクチュエータたる空圧シリンダ49のロッド49a側が連結されている。しかして、スライダ47は、空圧シリンダ49の作動により充填位置(a)と待機位置(d)との間に相当するストロークを進退自在に設けられる。
【0030】
なお、第1グリップ(g)と第2グリップ(g′)とは同一構成とされていることから、第2グリップ(g′)については、便宜上、第1グリップ(g)と同じ符号を図面に付して説明を省く。
【0031】
図8に示すように、第2アーム45及び第2グリップ(g′)は、サーボモータ機構により水平方向に揺動するが、充填位置(a)とシール位置(b)では第1グリップ(g)と同じ高さまで上方へ移動するように設けられている。これにより、第1グリップ(g)と第2グリップ(g′)とは、袋(h)を挟持する位置から袋(h)の底部(k)までの高さが同じとなることから、被包装物を収容する容積を同一とすることができる。
【0032】
因みに、第2グリップ(g′)が常に第1グリップ(g)よりも低い位置で袋(h)を挟持する自動包装機の場合には、第2グリップ(g′)に合わせた内容量としなければならないため、袋の高さが必然的に大きくなって包材コストが高くなるという欠点がある。
これに対して、本発明に係る給袋自動包装機Pでは、第1グリップ(g)と第2グリップ(g′)とにおいて被包装物を収容する容積を同一とすることができるため、包材コストの低減化を図ることができる。
【0033】
しかして、給袋手段10の袋ツカミ・開口手段25により掴まれた袋(h)を第1アーム31の第1グリップ(g)によって支持し、第1アーム31をサーボモータ機構により水平方向に揺動させることにより、第1グリップ(g)を充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動させ(第1グリップのループ軌跡運動)、これらの動作と同期して第2アーム45をサーボモータ機構により水平方向に揺動させることにより、第2グリップ(g′)を退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動させ、袋ツカミ・開口手段25により掴まれた袋を第2グリップ(g′)により支持し、その第2グリップ(g′)を充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)へ移動させる(第2グリップのループ軌跡運動)、一連の動作をサーボモータ機構及び空圧シリンダ35,49を駆動制御して行なう移送手段30が構成される。
【0034】
上述したように、第2グリップ(g′)については、充填位置(a)とシール位置(b)において第1グリップ(g)と同じ高さまで上方へ移動するように制御される。
【0035】
(充填手段)
上記充填位置(a)には、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)により支持される袋(h)の開口部(i)に昇降制御される漏斗56の放出口を挿入して当該袋に所定量の被包装物を充填し、充填終了後に漏斗56を袋(h)から抜去する一連の充填動作を行なう公知構造の充填手段55が設けられている。
【0036】
充填手段55には、一般的な計量装置が付帯して設置される。その計量装置では、所定量の、ここでは2kg程度までの小麦粉などをホッパー(図示せず)から漏斗56内に適時に放出するように構成されている。
【0037】
(底上げ装置)
底上げ装置60は、充填位置(a)及びシール位置(b)に設置されており、空圧シリンダ或いは電動モータを駆動源とする昇降機構(図示せず)により上下方向に移動制御される受け板61によって被包装物が充填される袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられている。
【0038】
(シール手段)
シール位置(b)には、シール手段65が設置されている。シール手段65は、所定温度に加熱保持された一対のシールバー66,66によって被包装物が充填された袋(h)の開口部(i)より少し下方の部位にヒートシールを施す公知の構造とされている。
【0039】
なお、袋(h)のシール予定箇所に被包装物が付着した状態でヒートシールが施されると、シール不良を生じることがある。そこで、ヒートシールを施す前に、袋(h)の開口部(i)周辺をエアーブローすることにより内面に付着した被包装物を吹き飛ばす処理を必要に応じて採用することもできる。
【0040】
(搬出手段)
図1に示すように、シール位置(b)には、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)から解放される製品を機外へ排出するベルトコンベア70を設けている。
【0041】
つぎに、上述のように構成された本発明に係る給袋自動包装機Pの作用について述べる。
(1)給袋手段10において、ストッカー13上に収められた袋(h)はメクリレバ(図示せず)により持ち上げられ、その持ち上げられた袋(h)は供給アーム(図示せず)により受け取られて前方の充填位置(a)まで移送される。
(2)供給アームにより供給される袋(h)は、袋ツカミ・開口手段25の吸盤26,27によって前後方向から掴まれると共に第1アーム31に備えられた第1グリップ(g)又は第2アーム45に備えられた第2グリップ(g′)により側縁(j)を挟持され、ついで、吸盤26,27が互いに離れることにより開口部(i)が開放される。
(3)充填位置(a)において、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)により支持される袋(h)内に充填手段55の漏斗56の放出口が挿入され、当該袋に所定量の小麦粉等が充填される。ついで、充填終了後に漏斗56が袋(h)から抜去されて一連の充填動作が終了する。
(4)上記充填動作中には、底上げ装置60の作動により袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは底部(k)に振動が付与される。
(5)第1アーム31に備えられた第1グリップ(g)により支持される袋(h)はループ軌跡運動により、或いは第2アーム45に備えられた第2グリップ(g′)により支持される袋(h)もループ軌跡運動により充填位置(a)から左方向のシール位置(b)に移動する。
(6)シール位置(b)では、シール手段65によって袋(h)の開口部(i)より少し下方の部位にヒートシールが施される。
(7)なお、上記シール動作中には、底上げ装置60の作動により袋(h)の底部(k)を押し上げて当該袋(h)の重量の一部を支承させることができる。
(8)ヒートシール処理後、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)から解放される製品は、ベルトコンベア70上に落下して機外に排出される。
(9)また、移送手段30においては、第1グリップ(g)が充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動し、これらの動作と同期して第2グリップ(g′)が退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動し、第2グリップ(g′)が充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)へ移動し、かかる一連の動作がサーボモータ機構及び空圧シリンダ35,49を駆動制御して連続的に行なわれる。
【0042】
以上の通り、この給袋自動包装機は、第1アームに備えられた第1グリップによって支持される袋と、第2アームに備えられた第2グリップによって支持される袋を充填位置からシール位置まで交互に移送するように構成しており、従来の包装機に見られる一方のグリップから他方のグリップへ同じ袋を受け渡し・掴み直す動作が存在しなく、給袋手段から間欠的に送り込まれる袋を専用グリップによってシール工程まで安定移送することができると共に袋の姿勢が充填工程にてグリップにより挟持されてからシール工程でシール処理されるまで変わらないため、良好なシールを施すことができる。
【符号の説明】
【0043】
P・・・本発明に係る給袋自動包装機
(h)・・・袋
(i)・・・開口部
(k)・・・底部
1・・・機台
2・・・スタンド
3・・・回転軸
4・・・中間軸
10・・・給袋手段
30・・・移送手段
31・・・第1アーム
33・・・スライダ
35・・・空圧シリンダ(第1アクチュエータ)
(g)・・・第1グリップ
(a)・・・充填位置
(b)・・・シール位置
(c)・・・退避位置
(d)・・・待機位置
45・・・第2アーム
47・・・スライダ
49・・・空圧シリンダ(第2アクチュエータ)
(g′)・・・第2グリップ
55・・・充填手段
60・・・底上げ装置
65・・・シール手段
70・・・ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を充填位置に供給する給袋手段と、開口部を上にして袋を吊り下げ状に支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、そのグリップに支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段と、その被包装物が充填された袋の開口部をシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出するように設けられた自動包装機において、
前記移送手段は、機台に立設されたスタンドに支持された縦向きの回転軸を水平方向に揺動自在に設け、その回転軸に横向きに固定された第1アームの先端部に、第1アクチュエータによって進退自在とされるスライダを設け、そのスライダに備えられた第1グリップが、第1アームと当該スライダの連係動作によって前記充填位置から左又は右方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から所定距離だけ後方へ移動した退避位置と、その退避位置から右又は左方向へ移動した待機位置と、その待機位置から前方の元の充填位置に戻るループ軌跡運動を行なうように設けられ、
前記スタンドに遊嵌されて内方の前記回転軸と同心に配置された中間軸を水平方向に揺動自在及び上下方向に移動自在に設け、その中間軸に第1アームよりも下方位置で横向きに固定された第2アームの先端部に、第2アクチュエータによって進退自在とされるスライダを設け、そのスライダに備えられた第2グリップが、第2アームと当該スライダの連係動作によって前記退避位置から右又は左方向へ移動した前記待機位置と、その待機位置から所定距離だけ前方へ移動した前記充填位置と、その充填位置から左又は右方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から後方の元の退避位置に戻るループ軌跡運動を行なうように設けられ、かつ、充填位置とシール位置においてのみ前記中間軸を上方へ移動させることによって第2グリップを第1グリップと同じ高さとするように設け、
第1グリップのループ軌跡運動と第2グリップのループ軌跡運動による一連の動作を同期制御するように構成したことを特徴とする給袋自動包装機。
【請求項2】
前記被包装物が充填された袋の底部を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられた底上げ装置が、前記充填工程及び/又はシール工程に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の給袋自動包装機。
【請求項3】
前記被包装物が、粉体、粒体若しくは固形物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の給袋自動包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28356(P2013−28356A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164949(P2011−164949)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】