絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法
【課題】リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法を提供すること。
【解決手段】絶縁スリーブ組付け装置は,まず,リード線把持ユニット5がステータS付近まで移動し,リード線Lの根元付近を板状チャック61で把持する。次に,板状チャック61がリード線Lを把持した状態で,リード線把持ユニット5がコイルエンド部Ceから離れる方向に直線移動する。次に,板状チャック61がリード線Lの先端部手前を把持した状態で,柱状チャック62がリード線Lの先端部近傍を把持する。次に,絶縁スリーブSlを把持した絶縁スリーブ把持部8がリード線把持部5に向けて移動する。次に,ローラ状チャック71がリード線Lを挟持し,さらに各ローラ材が回転し,リード線把持部5と絶縁スリーブ把持部8がコイルエンド部Ceに向けて移動する。
【解決手段】絶縁スリーブ組付け装置は,まず,リード線把持ユニット5がステータS付近まで移動し,リード線Lの根元付近を板状チャック61で把持する。次に,板状チャック61がリード線Lを把持した状態で,リード線把持ユニット5がコイルエンド部Ceから離れる方向に直線移動する。次に,板状チャック61がリード線Lの先端部手前を把持した状態で,柱状チャック62がリード線Lの先端部近傍を把持する。次に,絶縁スリーブSlを把持した絶縁スリーブ把持部8がリード線把持部5に向けて移動する。次に,ローラ状チャック71がリード線Lを挟持し,さらに各ローラ材が回転し,リード線把持部5と絶縁スリーブ把持部8がコイルエンド部Ceに向けて移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ステータコイル等のリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法に関する。さらに詳細には,絶縁スリーブをスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車等に搭載される車両駆動用モータでは,ステータのスロットにコイル(ステータコイル)が挿入され,ステータの両面から突き出したコイルエンド部が所定の形状に成形される。また,ステータコイルからは,電源に接続するためのリード線が引き出されている。リード線は,モータ全体のコンパクト化を図るため,結束糸によってコイルエンド部とともに束縛される。
【0003】
前述のようにリード線とコイルエンド部とを纏めて束縛すると,コイルエンド部とリード線とを電気的に絶縁する必要がある。絶縁方法としては,リード線に絶縁スリーブを挿入する方法が一般的である。従来,この絶縁スリーブの挿入作業は,手作業によって行われていた。
【0004】
また,自動的に絶縁スリーブを挿入する装置としては,例えば特許文献1に開示されている絶縁スリーブ挿入装置がある。この絶縁スリーブ挿入装置では,2本のハンド部が交互にリード線を把持することでリード線の引張状態を維持しつつ絶縁スリーブの挿入を行うことができる。
【特許文献1】特開2005−184975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,手作業によって絶縁スリーブをリード線に挿入する場合には,次のような問題があった。すなわち,車両駆動用モータのステータコイルには,複数の巻線(エナメル線)によってなる複合線が利用される。エナメル線は,互いに接着されていないことから,その先端部がそれぞれ異方向を向いている。そのため,絶縁スリーブを挿入する際,束ねるのに手間がかかる(問題点1)。
【0006】
また,絶縁スリーブは柔軟性を有している。そのため,絶縁スリーブを挿入する際,挿入口の位置が安定せず,一部のエナメル線が絶縁スリーブに入らないことがある。すなわち,エナメル線の部分的な逸れが生じることがある(問題点2)。
【0007】
また,リード線を構成するエナメル線も柔軟性を有している。そのため,絶縁スリーブの挿入途中にリード線が座屈を起こすことがある(問題点3)。リード線が座屈を起こすとスムーズな作業が困難になる。
【0008】
これらの問題点が絶縁スリーブのスムーズな組付け作業の阻害要因となり,手作業による組付け作業の生産性を悪化させる。また,これらの問題点は,絶縁スリーブの組付け作業の自動化を困難にする要因にもなっている。
【0009】
なお,特許文献1には,絶縁スリーブを挿入する装置が開示されているが,次のような問題点がある。すなわち,特許文献1に開示された装置では,ハンド部の持ち替えが必要となる。そのため,ぎくしゃくとした動作となり時間がかかる。従って,生産性の向上を十分に図ることができない。また,リード線を把持するハンド部のアクチュエータが少なくとも2台必要となるため,構造が複雑になるとともにコストアップを招く。
【0010】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題の解決を目的としてなされた絶縁スリーブ組付け装置は,複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置であって,少なくとも2つの第1把持部材を備え,第1把持部材を重ねて第1孔を形成し,第1孔内にリード線を収容し,第1孔の開口部を狭めてそのリード線を把持し,そのリード線を把持しつつそのリード線の先端部に向けて移動する第1リード線把持部と,一組の第2把持部材を備え,第2把持部材を組み合わせることにより,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部が第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とを形成し,第2孔内にリード線を把持するとともに第3孔内にそのリード線の先端部を収容する第2リード線把持部と,少なくとも2つのローラ材を備え,ローラ材にてリード線を挟持するとともにローラ材の回転によりそのリード線の軸方向に移動する第3リード線把持部と,絶縁スリーブを把持し,第2リード線把持部の第3孔内にその絶縁スリーブを挿入する絶縁スリーブ把持部とを備え,第1リード線把持部と,第2リード線把持部と,第3リード線把持部とは一体のユニットであり,絶縁スリーブ把持部は,ローラ材の回転による第3リード線把持部の移動に追従してリード線の軸方向に移動することを特徴としている。
【0012】
本発明の絶縁スリーブ組付け装置は,リード線に絶縁スリーブを組み付けるために次のような動作を行う。まず,第1リード線把持部にて,第1把持部材によって形成された第1孔内にリード線を収容する。例えば,ステータコイルから引き出されたリード線であれば,リード線の根元付近を把持する。第1孔は,少なくとも2つの第1把持部材を重ねることによって形成され,その重ね代を調節することで開口部のサイズを変えることができる。そして,リード線を収容した状態で第1孔の開口部を狭くする(リード線把持ステップ)。これにより,第1リード線把持部がリード線を把持することとなり,リード線が束ねられる。
【0013】
そして,リード線を把持した状態の第1リード線把持部をリード線の先端部(自由端)に向けて移動させる(リード線束縛ステップ)。言い換えると,第1リード線把持部をリード線の固定端から離れるように移動させる。これにより,異方向を向いていた巻線(エナメル線)が軸方向にわたって束ねられる。
【0014】
なお,第1把持部材は,板状の部材であるとよりよい。すなわち,板状の部材とすることでエナメル線との摺動抵抗を低減することができ,第1リード線把持部の移動がよりスムーズになる。
【0015】
第1リード線把持部は,リード線の先端部の手前まで移動させる。そして次に,第1リード線把持部がリード線を束ねた状態で,第2リード線把持部が第2把持部材によって形成された第2孔によってリード線を把持する(リード線先端部束縛ステップ)。第2孔は円筒形状であり,リード線を把持する部分の肉厚が厚い。そのため,エナメル線をしっかりと把持し,先端部のばらつきを抑制することができる。このとき,リード線の先端部は第3孔内に収容される。
【0016】
次に,第2リード線把持部がリード線をしっかりと把持した状態で,絶縁スリーブ把持部によって絶縁スリーブを第2リード線把持部の第3孔内に挿入する(第1絶縁スリーブ挿入ステップ)。絶縁スリーブは,第3孔の開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きいため,第3孔内に挿入することができ,テーパ状の第3孔の側壁に沿ってガイドされる。このとき,第2リード線把持部の第2孔によってリード線の先端部が揃えられている。また,第2孔の端部を頂上部とするテーパ状の第3孔により,リード線の中心と絶縁スリーブの中心とが一致するように絶縁スリーブがガイドされる。そのため,エナメル線の逸れなく,スムーズかつ確実に絶縁スリーブを挿入することができる。
【0017】
次に,第3リード線把持部がローラ材によってリード線を挟持する。そして,そのローラ材を回転させることにより,第3リード線把持部をリード線の軸方向に移動させる。このとき,第1リード線把持部および第2リード線把持部は,第3リード線把持部と一体のユニットであり,第3リード線把持部の移動に連動する。また,絶縁スリーブ把持部は,ローラ材による第3リード線把持部の移動に追従する。そのため,絶縁スリーブの挿入が続行される(第2絶縁スリーブ挿入ステップ)。このとき,第3リード線把持部のローラ材がリード線に張力を与えながら移動することになる。そのため,リード線は,引張状態が維持され,絶縁スリーブ挿入途中のリード線の座屈が抑制される。
【0018】
なお,第3リード線把持部が移動している際に,第1リード線把持部および第2リード線把持部の少なくとも一方がリード線を把持したままの状態であるとよりよい。すなわち,第3リード線把持部と絶縁スリーブ把持部との間でリード線を把持することにより,絶縁スリーブをガイドするとともに絶縁スリーブのローラへの巻き込みを抑制することができる。
【0019】
なお,リード線としては,例えば車両駆動用モータのステータコイルから引き出されたものが該当するが,これに限るものではない。例えば,家電用モータのステータコイル、その他絶縁を要するリード線等であってもよい。
【0020】
また,本発明の絶縁スリーブ組付け装置では,ローラによってリード線に張力を付与しつつ絶縁スリーブの挿入を続けるため,絶縁スリーブの挿入が迅速である。すなわち,動作を止めることがないため,リード線を2つの把持部材によって交互に把持し続けるものと比較して,スムーズに絶縁スリーブの挿入を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば,リード線を構成する各エナメル線を束ね,エナメル線の先端部を揃えるとともに絶縁スリーブの挿入口をガイドし,リード線に張力を与えつつ絶縁スリーブを挿入することができる。そのため,絶縁スリーブ挿入作業を自動化することができ,生産性が向上する。また,挿入動作を止めることなくスムーズな動作によって絶縁スリーブを挿入するすることができる。よって,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法が実現されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施例は,車両駆動用モータのステータコイルのリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置に本発明を適用したものである。
【0023】
本形態の絶縁スリーブ組付け装置100は,図1に示すように,ステータSを支持する基台3と,リード線を把持するハンド部10を備えたロボットアーム1と,絶縁スリーブを把持するハンド部20を備えたロボットアーム2と,それらのロボットアーム1,2を支持する支持枠体4とを有している。ロボットアーム1,2は,複数の関節部を備え,支持枠体4内の任意の位置に移動制御される。基台3に支持されるステータSは,ステータコイルが巻装された状態であり,そのコイルエンド部からリード線が引き出されている。また,リード線は,複数本の巻線(エナメル線)を束ねた複合線である。
【0024】
ロボットアーム1のハンド部10は,図2に示すように,リード線を把持するリード線把持部5とを有している。また,リード線把持部5は,リード線をチャックする2種類のチャックユニット(第1チャックユニット6,第2チャックユニット7)を備え,両ユニットが一体になっている。
【0025】
また,第1チャックユニット6は,リード線を把持する板状チャック61と柱状チャック62とを備えている。板状チャック61は,図2に示したように,3枚のボード材611,612,613を図2の横方向に重ねて配置している。図3および図4は,板状チャック61を図2の絶縁スリーブ把持部8側から見た状態を示している。各ボードは,図3および図4に示すように,横方向(図2の奥行き方向)にスライド可能になっている。また,各ボード材の側面には切欠き61Aが設けられており,その切欠き61Aが隣り合うボード材の切欠き61Aと向き合うように配置されている。例えば,図2に示した状態では,ボード材611,613が奥行き方向の奥側に切欠きを配置し,ボード材612が手前側に切欠き61Aを配置している。
【0026】
板状チャック61では,図3に示したようにボード材611,613とボード材612とが互いに離れる向きに移動すると開状態となる。開状態においては,ボード材611,613とボード材612との間にスペースが生じる。そのため,そのスペース内にリード線Lを挿入することができる。一方,図4に示したようにボード材611,613とボード材612とが互いに近づく向きに移動し,隣り合うボード材の切欠き61Aが重なり合うことで孔610が形成される。これにより,板状チャック61は閉状態となる。この孔610内にリード線Lが収容されることで,板状チャック61はリード線Lを把持することになる。
【0027】
板状チャック61は,図3および図4に示すように,ボード材を移動させることにより,すなわちボード材の切欠き61Aの重ね代を調節することにより,孔610のサイズを調節することができる。具体的には,重ね代を多くするほど孔610のサイズが小さくなり,リード線Lを束縛するようになる。
【0028】
また,柱状チャック62は,図2に示したように,絶縁スリーブ把持部8と対峙する位置に配置されている。図5および図6は,柱状チャック62を図2の絶縁スリーブ把持部8側から見た状態を示している。柱状チャック62は,リード線Lを把持するための一組のブロック材622,623を備えている。ブロック材622,623は,図5に示したように,図5の矢印方向に接離可能に設けられており,離間している状態が開状態で,接合している状態が閉状態である。
【0029】
また,柱状チャック62のブロック材622,623には,その接合面に2種類の溝62A,62Bが設けられている。溝62Aは,断面半円形の溝である。この溝62Aの位置を合わせて接合することで,径の大きさが5mmである円筒状の孔620が形成される。一方,溝62Bは,溝62Aと同一中心でその径が溝62Aから離れるほど大きい断面半円形の溝である。この溝62Bの位置を合わせて接合することで,図7に示すように孔620の端部を頂上部とするテーパ形状の孔621が形成される。なお,図7ではリード線Lを省略している。これにより,柱状チャック62は閉状態となる。そして,この孔620内にリード線Lが収容されることで,柱状チャック62はリード線Lを把持することになる。
【0030】
柱状チャック62は,図5および図6に示したように,円筒状の孔620にて挟持することにより,リード線Lの外周を囲むことができる。そのため,エナメル線の先端部のばらつきを板状チャック61よりも確実に抑制することができる。また,溝62Bによる孔621は,開口部の径の大きさが約18mmであり,絶縁スリーブの挿入口の径(およそ8mm)よりも大きい。そのため,孔621は,リード線Lとともに絶縁スリーブの収容も可能である。
【0031】
第2チャックユニット7は,図2に示したように,リード線を把持するローラ状チャック71を備えている。図8および図9は,ローラ状チャック71を図2の下側から見た状態を示している。ローラ状チャック71は,3個のローラ材711,712,713を有し,それらを図2の横方向に互い違いに配置している。各ローラ材は,図8および図9に示すように,縦方向(図2の奥行き方向)にスライド可能になっている。
【0032】
ローラ状チャック71では,図8に示したようにローラ材711,713とローラ材712とが互いに離れる向きに移動すると開状態となる。開状態においては,ローラ材711,713とローラ材712との間にスペースが生じる。そのため,そのスペース内にリード線Lを挿入することができる。一方,ローラ状チャック71では,図9に示したようにローラ材711,713とローラ材712とが互いに近づく向きに移動すると閉状態となる。このとき,リード線Lがローラ材711,713とローラ材712との間に挟まれることで,ローラ状チャック71はリード線Lを把持することになる。
【0033】
また,ローラ状チャック71の各ローラ材は不図示のアクチュエータによって回転駆動される。そして,各ローラ材は,リード線Lを把持した状態で回転することにより,リード線把持部5をスライドさせる駆動ローラとして作用する。
【0034】
また,ローラ状チャック71は不図示のアクチュエータによって,図2の縦方向に移動可能に設けられている。すなわち,ローラ状チャック71は,必要に応じて第2チャックユニット7内に退避可能に配設されている。
【0035】
ロボットアーム2のハンド部20は,図10に示すように,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部8を有している。絶縁スリーブ把持部8は,絶縁スリーブを把持するスリーブハンド81を備えている。
【0036】
続いて,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100(特にハンド部10およびハンド部20)の動作について説明する。まず,図1に示したように,ステータSを基台3の所定の位置にセットする。ステータSの各スロットには,ステータコイルが巻装されている。また,図11に示すように,ステータコイルのコイルエンド部Ceからは,リード線LがステータSの外側に引き出されている。リード線Lを構成する各エナメル線は,コイルエンド部Ceからの引き出し部(リード線の根元)から先端部までの長さが所定の長さとなるようにあらかじめ切り揃えられている。
【0037】
次に,図12に示すように,リード線把持ユニット5がステータS付近まで移動し,板状チャック61でリード線Lの根元付近を把持する。リード線Lの根元付近では,エナメル線の散らばりが小さい。そこで,リード線Lの根元付近にてエナメル線を把持することで,すべてのエナメル線を確実に収集することができる。
【0038】
具体的には,板状チャック61を開状態とし,リード線Lを構成するすべてのエナメル線をボード材611,613とボード材612との間に収容する(図3参照)。その後に閉状態とし,孔610を形成するとともに,孔610のサイズを小さくしてエナメル線を束縛する(図4参照)。このとき,孔610のサイズを収容したリード線Lを締め付けない程度に調節する。本形態では,孔610の径が柱状チャック62の孔620の径よりも僅かに大きくなるように孔610のサイズを調節する。
【0039】
なお,図12の状態では,柱状チャック62は開状態となっており,リード線Lに接触していない。また,ローラ状チャック71は第2チャックユニット7内に退避しており,リード線Lおよびコイルエンド部Ceに接触していない。
【0040】
次に,図13に示すように,板状チャック61がリード線Lを把持した状態で,リード線把持ユニット5がコイルエンド部Ceから離れる方向に直線移動する。このとき,板状チャック61は,リード線Lを締め付けていない。また,リード線Lと接触するボード材の肉厚は薄い。そのため,移動の際のエナメル線との摺動抵抗は低い。そのため,板状チャック61は,リード線Lを把持した状態であってもスムーズに移動することができる。そして,板状チャック61がリード線Lを把持したままリード線Lの先端部手前まで移動することにより,異方向を向いていた各エナメル線が板状チャック61の孔610内で束ねられる。
【0041】
次に,図14に示すように,板状チャック61がリード線Lの先端部手前を把持した状態で,柱状チャック62がリード線Lの先端部近傍を把持する。すなわち,板状チャック61によってエナメル線を束ねたとしても,ボード材が重なり合ってリード線Lを把持しているため,その先端部には僅かにばらつきがある。そのため,柱状チャック62が有する小径で円筒状の孔620によってリード線Lの先端部近傍をしっかりと把持する。これにより,リード線Lの先端部がより高密度に束ねられ,先端部のばらつきが極めて小さくなる。なお,リード線Lの先端部は,柱状チャック62の孔621内に収容される。
【0042】
次に,図15に示すように,第2チャックユニット7内に退避していたローラ状チャックユニット71が下方に移動する。そして,ローラ状チャック71がリード線Lを挟むように把持する。
【0043】
次に,図16に示すように,絶縁スリーブSlを把持した絶縁スリーブ把持部8がリード線把持部5に向けて移動する。なお,絶縁スリーブ把持部8は,リード線把持部5がリード線を束ねるまでに,スリーブハンド81にてあらかじめ絶縁スリーブSlを把持しておく。そして,絶縁スリーブSlの挿入口を柱状チャック62の孔621内に挿入する。これにより,孔621内に収容されたリード線Lの先端部が絶縁スリーブSlに覆われる。
【0044】
絶縁スリーブSlの挿入の際,テーパ状に形成された孔621によって絶縁スリーブSlの挿入口がガイドされる。これにより,柔軟性を有する絶縁スリーブSlの中心をリード線Lの中心に揃えることができる。また,リード線Lの先端は孔620によってしっかりと揃えられている。よって,エナメル線が逸れることなく確実に絶縁スリーブSlの挿入が行われる。
【0045】
次に,図17に示すように,ローラ状チャック71の各ローラ材が回転し,リード線把持部5がコイルエンド部Ceに向けて移動する。すなわち,図17の矢印T1方向に移動する。このとき,絶縁スリーブ把持部8もリード線把持部5に追従して同方向に同速度で移動する。そして,リード線把持部5がコイルエンド部Ce付近の所定の位置に達することにより,絶縁スリーブSlの組付け作業が終了する。
【0046】
この絶縁スリーブSlの挿入の際,ローラ状チャック71がリード線Lに図17の矢印T2方向の張力を与えながらリード線把持部5を駆動する。そのため,リード線Lが常に引張状態となったまま絶縁スリーブSlが挿入される。よって,リード線Lの座屈が抑制される。
【0047】
また,絶縁スリーブS1の挿入の際,板状チャック61および柱状チャック62が追従して移動することにより,絶縁スリーブの挿入が安定するとともに絶縁スリーブS1のローラ状チャック71への巻き込みが抑制される。なお,移動時におけるエナメル線との摺動抵抗を低減するため,板状チャック61および柱状チャック62のいずれか一方を開状態としてもよい。
【0048】
以上詳細に説明したように本形態の絶縁スリーブ組付け装置100は,板状チャック61によってリード線Lの根元を把持し,その状態で板状チャック61をリード線Lの先端部付近まで移動させることとしている。これにより,エナメル線が束ねられる。よって,異方向に散らばるエナメル線を容易に束ねることができる。
【0049】
また,柱状チャック62によってリード線Lの先端部をしっかり把持することとしている。すなわち,リード線Lを把持する柱状チャック62の孔620は,径が小さく,円筒状であることから肉厚が厚い。そのため,リード線Lをしっかり把持することができ,リード線Lの先端部が高精度に揃えられる。また,柱状チャック62には,テーパ形状の孔621が設けられている。その孔621に絶縁スリーブSlを挿入することにより,リード線Lの中心と絶縁スリーブSlの中心とが揃えられる。よって,絶縁スリーブSlの挿入を確実に行うことができ,エナメル線の逸れが抑制される。
【0050】
また,絶縁スリーブSlを挿入する際,ローラ状チャック71によってリード線Lに張力を付与することとしている。すなわち,リード線Lが引っ張り続けられることによって,リード線の座屈を防止しつつリード線Lの挿入を行うことができる。よって,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100では,エナメル線の束ね(問題点1),エナメル線の逸れ防止(問題点2),リード線の座屈防止(問題点3)が解決できている。従って,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法が実現している。
【0051】
また,本発明の絶縁スリーブ組付け装置100では,ローラ状チャック71によってリード線の引張状態を維持し続けるため,絶縁スリーブの挿入を止めることなく連続動作によって行うことができる。よって,従来のようにリード線Lを2つの把持部材によって交互に把持し続けるものと比較して,スムーズに絶縁スリーブの挿入を行うことができ,絶縁スリーブの挿入が迅速である。
【0052】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,車両駆動用モータのステータコイルから引き出されたリード線に絶縁スリーブを挿入しているが,これに限るものではない。すなわち,絶縁スリーブを挿入する必要があるリード線であればよく,例えば家電用モータのステータコイル、その他絶縁を要するリード線等であってもよい。
【0053】
また,実施の形態では,リード線把持ユニットと絶縁スリーブ把持ユニットとが別々のハンド部内に設けられているが,これに限るものではない。すなわち,図18に示すように,両ユニットが1つのロボットアームのハンド部11に支持されていてもよい。この場合のハンド部11は,例えば図19に示すように,リード線を把持するリード線把持部5と,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部8と,両把持部を支持するシャフト部材12とを有し,両把持部は,シャフト部材12に摺動可能に支持される。そして,各把持部は,異なるアクチュエータによってそれぞれ独立してシャフト部材12の軸方向に移動可能になっている。
【0054】
このように構成された絶縁スリーブ組付け装置では,リード線を把持する前にあらかじめ絶縁スリーブを把持しておく。そして,板状チャック61によってリード線を束ね,柱状チャック62によってその先端部を揃えた後,絶縁スリーブ把持部8をリード線把持部5に向かってスライドさせることによって絶縁スリーブを挿入することができる。
【0055】
このように構成することにより,リード線把持部5と絶縁スリーブ把持部8との間の位置決めが容易になり,両把持部が別体の実施の形態と比較して絶縁スリーブの挿入を確実に行うことができる。また,ロボットアームが1本で足り,装置の構成がシンプルになる。
【0056】
なお,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100では,図18に示した絶縁スリーブ組付け装置と比較して,あらかじめ絶縁スリーブを把持しておく必要がない。すなわち,絶縁スリーブの挿入時までに絶縁スリーブを把持していればよい。そのため,絶縁スリーブの把持作業をリード線の束縛作業と同時に行うことができる。よって,作業効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態にかかる絶縁スリーブ組付け装置の概要を示す図である。
【図2】ロボットアームのハンド部(リード線把持部)の構成を示す図である。
【図3】板状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図4】板状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図5】柱状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図6】柱状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図7】図6のX−X断面を示す図である。
【図8】ローラ状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図9】ローラ状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図10】ロボットアームのハンド部(絶縁スリーブ把持部)の構成を示す図である。
【図11】ステータコイルのリード線の構成を示す図である。
【図12】絶縁スリーブの組み付け手順(その1:板状チャックがリード線の根元を把持)を示す図である。
【図13】絶縁スリーブの組み付け手順(その2:板状チャックがリード線の先端部付近に移動)を示す図である。
【図14】絶縁スリーブの組み付け手順(その3:柱状チャックがリード線の先端部を把持)を示す図である。
【図15】絶縁スリーブの組み付け手順(その4:ローラ状チャックがリード線を把持)を示す図である。
【図16】絶縁スリーブの組み付け手順(その5:柱状チャック内に絶縁スリーブを移動)を示す図である。
【図17】絶縁スリーブの組み付け手順(その6:絶縁スリーブをリード線上の所定の位置まで移動)を示す図である。
【図18】応用例にかかる絶縁スリーブ組付け装置の概要を示す図である。
【図19】応用例にかかるロボットアームのハンド部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
5 リード線把持部
6 第1チャックユニット
7 第2チャックユニット
8 絶縁スリーブ把持部
10 ハンド部
61 板状チャック部(第1リード線把持部)
62 柱状チャック部(第2リード線把持部)
71 ローラ状チャック(第3リード線把持部)
81 スリーブハンド(絶縁スリーブ把持部)
100 絶縁スリーブ組付け装置
610 孔(第1孔)
611,612,613 ボード材(第1把持部材)
620 孔(第2孔)
622,623 ブロック材(第2把持部材)
621 孔(第3孔)
711,712,713 ローラ材(ローラ材)
S ステータ
L リード線
Sl 絶縁スリーブ
【技術分野】
【0001】
本発明は,ステータコイル等のリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法に関する。さらに詳細には,絶縁スリーブをスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車等に搭載される車両駆動用モータでは,ステータのスロットにコイル(ステータコイル)が挿入され,ステータの両面から突き出したコイルエンド部が所定の形状に成形される。また,ステータコイルからは,電源に接続するためのリード線が引き出されている。リード線は,モータ全体のコンパクト化を図るため,結束糸によってコイルエンド部とともに束縛される。
【0003】
前述のようにリード線とコイルエンド部とを纏めて束縛すると,コイルエンド部とリード線とを電気的に絶縁する必要がある。絶縁方法としては,リード線に絶縁スリーブを挿入する方法が一般的である。従来,この絶縁スリーブの挿入作業は,手作業によって行われていた。
【0004】
また,自動的に絶縁スリーブを挿入する装置としては,例えば特許文献1に開示されている絶縁スリーブ挿入装置がある。この絶縁スリーブ挿入装置では,2本のハンド部が交互にリード線を把持することでリード線の引張状態を維持しつつ絶縁スリーブの挿入を行うことができる。
【特許文献1】特開2005−184975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,手作業によって絶縁スリーブをリード線に挿入する場合には,次のような問題があった。すなわち,車両駆動用モータのステータコイルには,複数の巻線(エナメル線)によってなる複合線が利用される。エナメル線は,互いに接着されていないことから,その先端部がそれぞれ異方向を向いている。そのため,絶縁スリーブを挿入する際,束ねるのに手間がかかる(問題点1)。
【0006】
また,絶縁スリーブは柔軟性を有している。そのため,絶縁スリーブを挿入する際,挿入口の位置が安定せず,一部のエナメル線が絶縁スリーブに入らないことがある。すなわち,エナメル線の部分的な逸れが生じることがある(問題点2)。
【0007】
また,リード線を構成するエナメル線も柔軟性を有している。そのため,絶縁スリーブの挿入途中にリード線が座屈を起こすことがある(問題点3)。リード線が座屈を起こすとスムーズな作業が困難になる。
【0008】
これらの問題点が絶縁スリーブのスムーズな組付け作業の阻害要因となり,手作業による組付け作業の生産性を悪化させる。また,これらの問題点は,絶縁スリーブの組付け作業の自動化を困難にする要因にもなっている。
【0009】
なお,特許文献1には,絶縁スリーブを挿入する装置が開示されているが,次のような問題点がある。すなわち,特許文献1に開示された装置では,ハンド部の持ち替えが必要となる。そのため,ぎくしゃくとした動作となり時間がかかる。従って,生産性の向上を十分に図ることができない。また,リード線を把持するハンド部のアクチュエータが少なくとも2台必要となるため,構造が複雑になるとともにコストアップを招く。
【0010】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題の解決を目的としてなされた絶縁スリーブ組付け装置は,複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置であって,少なくとも2つの第1把持部材を備え,第1把持部材を重ねて第1孔を形成し,第1孔内にリード線を収容し,第1孔の開口部を狭めてそのリード線を把持し,そのリード線を把持しつつそのリード線の先端部に向けて移動する第1リード線把持部と,一組の第2把持部材を備え,第2把持部材を組み合わせることにより,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部が第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とを形成し,第2孔内にリード線を把持するとともに第3孔内にそのリード線の先端部を収容する第2リード線把持部と,少なくとも2つのローラ材を備え,ローラ材にてリード線を挟持するとともにローラ材の回転によりそのリード線の軸方向に移動する第3リード線把持部と,絶縁スリーブを把持し,第2リード線把持部の第3孔内にその絶縁スリーブを挿入する絶縁スリーブ把持部とを備え,第1リード線把持部と,第2リード線把持部と,第3リード線把持部とは一体のユニットであり,絶縁スリーブ把持部は,ローラ材の回転による第3リード線把持部の移動に追従してリード線の軸方向に移動することを特徴としている。
【0012】
本発明の絶縁スリーブ組付け装置は,リード線に絶縁スリーブを組み付けるために次のような動作を行う。まず,第1リード線把持部にて,第1把持部材によって形成された第1孔内にリード線を収容する。例えば,ステータコイルから引き出されたリード線であれば,リード線の根元付近を把持する。第1孔は,少なくとも2つの第1把持部材を重ねることによって形成され,その重ね代を調節することで開口部のサイズを変えることができる。そして,リード線を収容した状態で第1孔の開口部を狭くする(リード線把持ステップ)。これにより,第1リード線把持部がリード線を把持することとなり,リード線が束ねられる。
【0013】
そして,リード線を把持した状態の第1リード線把持部をリード線の先端部(自由端)に向けて移動させる(リード線束縛ステップ)。言い換えると,第1リード線把持部をリード線の固定端から離れるように移動させる。これにより,異方向を向いていた巻線(エナメル線)が軸方向にわたって束ねられる。
【0014】
なお,第1把持部材は,板状の部材であるとよりよい。すなわち,板状の部材とすることでエナメル線との摺動抵抗を低減することができ,第1リード線把持部の移動がよりスムーズになる。
【0015】
第1リード線把持部は,リード線の先端部の手前まで移動させる。そして次に,第1リード線把持部がリード線を束ねた状態で,第2リード線把持部が第2把持部材によって形成された第2孔によってリード線を把持する(リード線先端部束縛ステップ)。第2孔は円筒形状であり,リード線を把持する部分の肉厚が厚い。そのため,エナメル線をしっかりと把持し,先端部のばらつきを抑制することができる。このとき,リード線の先端部は第3孔内に収容される。
【0016】
次に,第2リード線把持部がリード線をしっかりと把持した状態で,絶縁スリーブ把持部によって絶縁スリーブを第2リード線把持部の第3孔内に挿入する(第1絶縁スリーブ挿入ステップ)。絶縁スリーブは,第3孔の開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きいため,第3孔内に挿入することができ,テーパ状の第3孔の側壁に沿ってガイドされる。このとき,第2リード線把持部の第2孔によってリード線の先端部が揃えられている。また,第2孔の端部を頂上部とするテーパ状の第3孔により,リード線の中心と絶縁スリーブの中心とが一致するように絶縁スリーブがガイドされる。そのため,エナメル線の逸れなく,スムーズかつ確実に絶縁スリーブを挿入することができる。
【0017】
次に,第3リード線把持部がローラ材によってリード線を挟持する。そして,そのローラ材を回転させることにより,第3リード線把持部をリード線の軸方向に移動させる。このとき,第1リード線把持部および第2リード線把持部は,第3リード線把持部と一体のユニットであり,第3リード線把持部の移動に連動する。また,絶縁スリーブ把持部は,ローラ材による第3リード線把持部の移動に追従する。そのため,絶縁スリーブの挿入が続行される(第2絶縁スリーブ挿入ステップ)。このとき,第3リード線把持部のローラ材がリード線に張力を与えながら移動することになる。そのため,リード線は,引張状態が維持され,絶縁スリーブ挿入途中のリード線の座屈が抑制される。
【0018】
なお,第3リード線把持部が移動している際に,第1リード線把持部および第2リード線把持部の少なくとも一方がリード線を把持したままの状態であるとよりよい。すなわち,第3リード線把持部と絶縁スリーブ把持部との間でリード線を把持することにより,絶縁スリーブをガイドするとともに絶縁スリーブのローラへの巻き込みを抑制することができる。
【0019】
なお,リード線としては,例えば車両駆動用モータのステータコイルから引き出されたものが該当するが,これに限るものではない。例えば,家電用モータのステータコイル、その他絶縁を要するリード線等であってもよい。
【0020】
また,本発明の絶縁スリーブ組付け装置では,ローラによってリード線に張力を付与しつつ絶縁スリーブの挿入を続けるため,絶縁スリーブの挿入が迅速である。すなわち,動作を止めることがないため,リード線を2つの把持部材によって交互に把持し続けるものと比較して,スムーズに絶縁スリーブの挿入を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば,リード線を構成する各エナメル線を束ね,エナメル線の先端部を揃えるとともに絶縁スリーブの挿入口をガイドし,リード線に張力を与えつつ絶縁スリーブを挿入することができる。そのため,絶縁スリーブ挿入作業を自動化することができ,生産性が向上する。また,挿入動作を止めることなくスムーズな動作によって絶縁スリーブを挿入するすることができる。よって,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法が実現されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施例は,車両駆動用モータのステータコイルのリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置に本発明を適用したものである。
【0023】
本形態の絶縁スリーブ組付け装置100は,図1に示すように,ステータSを支持する基台3と,リード線を把持するハンド部10を備えたロボットアーム1と,絶縁スリーブを把持するハンド部20を備えたロボットアーム2と,それらのロボットアーム1,2を支持する支持枠体4とを有している。ロボットアーム1,2は,複数の関節部を備え,支持枠体4内の任意の位置に移動制御される。基台3に支持されるステータSは,ステータコイルが巻装された状態であり,そのコイルエンド部からリード線が引き出されている。また,リード線は,複数本の巻線(エナメル線)を束ねた複合線である。
【0024】
ロボットアーム1のハンド部10は,図2に示すように,リード線を把持するリード線把持部5とを有している。また,リード線把持部5は,リード線をチャックする2種類のチャックユニット(第1チャックユニット6,第2チャックユニット7)を備え,両ユニットが一体になっている。
【0025】
また,第1チャックユニット6は,リード線を把持する板状チャック61と柱状チャック62とを備えている。板状チャック61は,図2に示したように,3枚のボード材611,612,613を図2の横方向に重ねて配置している。図3および図4は,板状チャック61を図2の絶縁スリーブ把持部8側から見た状態を示している。各ボードは,図3および図4に示すように,横方向(図2の奥行き方向)にスライド可能になっている。また,各ボード材の側面には切欠き61Aが設けられており,その切欠き61Aが隣り合うボード材の切欠き61Aと向き合うように配置されている。例えば,図2に示した状態では,ボード材611,613が奥行き方向の奥側に切欠きを配置し,ボード材612が手前側に切欠き61Aを配置している。
【0026】
板状チャック61では,図3に示したようにボード材611,613とボード材612とが互いに離れる向きに移動すると開状態となる。開状態においては,ボード材611,613とボード材612との間にスペースが生じる。そのため,そのスペース内にリード線Lを挿入することができる。一方,図4に示したようにボード材611,613とボード材612とが互いに近づく向きに移動し,隣り合うボード材の切欠き61Aが重なり合うことで孔610が形成される。これにより,板状チャック61は閉状態となる。この孔610内にリード線Lが収容されることで,板状チャック61はリード線Lを把持することになる。
【0027】
板状チャック61は,図3および図4に示すように,ボード材を移動させることにより,すなわちボード材の切欠き61Aの重ね代を調節することにより,孔610のサイズを調節することができる。具体的には,重ね代を多くするほど孔610のサイズが小さくなり,リード線Lを束縛するようになる。
【0028】
また,柱状チャック62は,図2に示したように,絶縁スリーブ把持部8と対峙する位置に配置されている。図5および図6は,柱状チャック62を図2の絶縁スリーブ把持部8側から見た状態を示している。柱状チャック62は,リード線Lを把持するための一組のブロック材622,623を備えている。ブロック材622,623は,図5に示したように,図5の矢印方向に接離可能に設けられており,離間している状態が開状態で,接合している状態が閉状態である。
【0029】
また,柱状チャック62のブロック材622,623には,その接合面に2種類の溝62A,62Bが設けられている。溝62Aは,断面半円形の溝である。この溝62Aの位置を合わせて接合することで,径の大きさが5mmである円筒状の孔620が形成される。一方,溝62Bは,溝62Aと同一中心でその径が溝62Aから離れるほど大きい断面半円形の溝である。この溝62Bの位置を合わせて接合することで,図7に示すように孔620の端部を頂上部とするテーパ形状の孔621が形成される。なお,図7ではリード線Lを省略している。これにより,柱状チャック62は閉状態となる。そして,この孔620内にリード線Lが収容されることで,柱状チャック62はリード線Lを把持することになる。
【0030】
柱状チャック62は,図5および図6に示したように,円筒状の孔620にて挟持することにより,リード線Lの外周を囲むことができる。そのため,エナメル線の先端部のばらつきを板状チャック61よりも確実に抑制することができる。また,溝62Bによる孔621は,開口部の径の大きさが約18mmであり,絶縁スリーブの挿入口の径(およそ8mm)よりも大きい。そのため,孔621は,リード線Lとともに絶縁スリーブの収容も可能である。
【0031】
第2チャックユニット7は,図2に示したように,リード線を把持するローラ状チャック71を備えている。図8および図9は,ローラ状チャック71を図2の下側から見た状態を示している。ローラ状チャック71は,3個のローラ材711,712,713を有し,それらを図2の横方向に互い違いに配置している。各ローラ材は,図8および図9に示すように,縦方向(図2の奥行き方向)にスライド可能になっている。
【0032】
ローラ状チャック71では,図8に示したようにローラ材711,713とローラ材712とが互いに離れる向きに移動すると開状態となる。開状態においては,ローラ材711,713とローラ材712との間にスペースが生じる。そのため,そのスペース内にリード線Lを挿入することができる。一方,ローラ状チャック71では,図9に示したようにローラ材711,713とローラ材712とが互いに近づく向きに移動すると閉状態となる。このとき,リード線Lがローラ材711,713とローラ材712との間に挟まれることで,ローラ状チャック71はリード線Lを把持することになる。
【0033】
また,ローラ状チャック71の各ローラ材は不図示のアクチュエータによって回転駆動される。そして,各ローラ材は,リード線Lを把持した状態で回転することにより,リード線把持部5をスライドさせる駆動ローラとして作用する。
【0034】
また,ローラ状チャック71は不図示のアクチュエータによって,図2の縦方向に移動可能に設けられている。すなわち,ローラ状チャック71は,必要に応じて第2チャックユニット7内に退避可能に配設されている。
【0035】
ロボットアーム2のハンド部20は,図10に示すように,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部8を有している。絶縁スリーブ把持部8は,絶縁スリーブを把持するスリーブハンド81を備えている。
【0036】
続いて,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100(特にハンド部10およびハンド部20)の動作について説明する。まず,図1に示したように,ステータSを基台3の所定の位置にセットする。ステータSの各スロットには,ステータコイルが巻装されている。また,図11に示すように,ステータコイルのコイルエンド部Ceからは,リード線LがステータSの外側に引き出されている。リード線Lを構成する各エナメル線は,コイルエンド部Ceからの引き出し部(リード線の根元)から先端部までの長さが所定の長さとなるようにあらかじめ切り揃えられている。
【0037】
次に,図12に示すように,リード線把持ユニット5がステータS付近まで移動し,板状チャック61でリード線Lの根元付近を把持する。リード線Lの根元付近では,エナメル線の散らばりが小さい。そこで,リード線Lの根元付近にてエナメル線を把持することで,すべてのエナメル線を確実に収集することができる。
【0038】
具体的には,板状チャック61を開状態とし,リード線Lを構成するすべてのエナメル線をボード材611,613とボード材612との間に収容する(図3参照)。その後に閉状態とし,孔610を形成するとともに,孔610のサイズを小さくしてエナメル線を束縛する(図4参照)。このとき,孔610のサイズを収容したリード線Lを締め付けない程度に調節する。本形態では,孔610の径が柱状チャック62の孔620の径よりも僅かに大きくなるように孔610のサイズを調節する。
【0039】
なお,図12の状態では,柱状チャック62は開状態となっており,リード線Lに接触していない。また,ローラ状チャック71は第2チャックユニット7内に退避しており,リード線Lおよびコイルエンド部Ceに接触していない。
【0040】
次に,図13に示すように,板状チャック61がリード線Lを把持した状態で,リード線把持ユニット5がコイルエンド部Ceから離れる方向に直線移動する。このとき,板状チャック61は,リード線Lを締め付けていない。また,リード線Lと接触するボード材の肉厚は薄い。そのため,移動の際のエナメル線との摺動抵抗は低い。そのため,板状チャック61は,リード線Lを把持した状態であってもスムーズに移動することができる。そして,板状チャック61がリード線Lを把持したままリード線Lの先端部手前まで移動することにより,異方向を向いていた各エナメル線が板状チャック61の孔610内で束ねられる。
【0041】
次に,図14に示すように,板状チャック61がリード線Lの先端部手前を把持した状態で,柱状チャック62がリード線Lの先端部近傍を把持する。すなわち,板状チャック61によってエナメル線を束ねたとしても,ボード材が重なり合ってリード線Lを把持しているため,その先端部には僅かにばらつきがある。そのため,柱状チャック62が有する小径で円筒状の孔620によってリード線Lの先端部近傍をしっかりと把持する。これにより,リード線Lの先端部がより高密度に束ねられ,先端部のばらつきが極めて小さくなる。なお,リード線Lの先端部は,柱状チャック62の孔621内に収容される。
【0042】
次に,図15に示すように,第2チャックユニット7内に退避していたローラ状チャックユニット71が下方に移動する。そして,ローラ状チャック71がリード線Lを挟むように把持する。
【0043】
次に,図16に示すように,絶縁スリーブSlを把持した絶縁スリーブ把持部8がリード線把持部5に向けて移動する。なお,絶縁スリーブ把持部8は,リード線把持部5がリード線を束ねるまでに,スリーブハンド81にてあらかじめ絶縁スリーブSlを把持しておく。そして,絶縁スリーブSlの挿入口を柱状チャック62の孔621内に挿入する。これにより,孔621内に収容されたリード線Lの先端部が絶縁スリーブSlに覆われる。
【0044】
絶縁スリーブSlの挿入の際,テーパ状に形成された孔621によって絶縁スリーブSlの挿入口がガイドされる。これにより,柔軟性を有する絶縁スリーブSlの中心をリード線Lの中心に揃えることができる。また,リード線Lの先端は孔620によってしっかりと揃えられている。よって,エナメル線が逸れることなく確実に絶縁スリーブSlの挿入が行われる。
【0045】
次に,図17に示すように,ローラ状チャック71の各ローラ材が回転し,リード線把持部5がコイルエンド部Ceに向けて移動する。すなわち,図17の矢印T1方向に移動する。このとき,絶縁スリーブ把持部8もリード線把持部5に追従して同方向に同速度で移動する。そして,リード線把持部5がコイルエンド部Ce付近の所定の位置に達することにより,絶縁スリーブSlの組付け作業が終了する。
【0046】
この絶縁スリーブSlの挿入の際,ローラ状チャック71がリード線Lに図17の矢印T2方向の張力を与えながらリード線把持部5を駆動する。そのため,リード線Lが常に引張状態となったまま絶縁スリーブSlが挿入される。よって,リード線Lの座屈が抑制される。
【0047】
また,絶縁スリーブS1の挿入の際,板状チャック61および柱状チャック62が追従して移動することにより,絶縁スリーブの挿入が安定するとともに絶縁スリーブS1のローラ状チャック71への巻き込みが抑制される。なお,移動時におけるエナメル線との摺動抵抗を低減するため,板状チャック61および柱状チャック62のいずれか一方を開状態としてもよい。
【0048】
以上詳細に説明したように本形態の絶縁スリーブ組付け装置100は,板状チャック61によってリード線Lの根元を把持し,その状態で板状チャック61をリード線Lの先端部付近まで移動させることとしている。これにより,エナメル線が束ねられる。よって,異方向に散らばるエナメル線を容易に束ねることができる。
【0049】
また,柱状チャック62によってリード線Lの先端部をしっかり把持することとしている。すなわち,リード線Lを把持する柱状チャック62の孔620は,径が小さく,円筒状であることから肉厚が厚い。そのため,リード線Lをしっかり把持することができ,リード線Lの先端部が高精度に揃えられる。また,柱状チャック62には,テーパ形状の孔621が設けられている。その孔621に絶縁スリーブSlを挿入することにより,リード線Lの中心と絶縁スリーブSlの中心とが揃えられる。よって,絶縁スリーブSlの挿入を確実に行うことができ,エナメル線の逸れが抑制される。
【0050】
また,絶縁スリーブSlを挿入する際,ローラ状チャック71によってリード線Lに張力を付与することとしている。すなわち,リード線Lが引っ張り続けられることによって,リード線の座屈を防止しつつリード線Lの挿入を行うことができる。よって,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100では,エナメル線の束ね(問題点1),エナメル線の逸れ防止(問題点2),リード線の座屈防止(問題点3)が解決できている。従って,リード線に絶縁スリーブを迅速かつスムーズに組み付けることができる絶縁スリーブ組付け装置および絶縁スリーブ組付け方法が実現している。
【0051】
また,本発明の絶縁スリーブ組付け装置100では,ローラ状チャック71によってリード線の引張状態を維持し続けるため,絶縁スリーブの挿入を止めることなく連続動作によって行うことができる。よって,従来のようにリード線Lを2つの把持部材によって交互に把持し続けるものと比較して,スムーズに絶縁スリーブの挿入を行うことができ,絶縁スリーブの挿入が迅速である。
【0052】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,車両駆動用モータのステータコイルから引き出されたリード線に絶縁スリーブを挿入しているが,これに限るものではない。すなわち,絶縁スリーブを挿入する必要があるリード線であればよく,例えば家電用モータのステータコイル、その他絶縁を要するリード線等であってもよい。
【0053】
また,実施の形態では,リード線把持ユニットと絶縁スリーブ把持ユニットとが別々のハンド部内に設けられているが,これに限るものではない。すなわち,図18に示すように,両ユニットが1つのロボットアームのハンド部11に支持されていてもよい。この場合のハンド部11は,例えば図19に示すように,リード線を把持するリード線把持部5と,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部8と,両把持部を支持するシャフト部材12とを有し,両把持部は,シャフト部材12に摺動可能に支持される。そして,各把持部は,異なるアクチュエータによってそれぞれ独立してシャフト部材12の軸方向に移動可能になっている。
【0054】
このように構成された絶縁スリーブ組付け装置では,リード線を把持する前にあらかじめ絶縁スリーブを把持しておく。そして,板状チャック61によってリード線を束ね,柱状チャック62によってその先端部を揃えた後,絶縁スリーブ把持部8をリード線把持部5に向かってスライドさせることによって絶縁スリーブを挿入することができる。
【0055】
このように構成することにより,リード線把持部5と絶縁スリーブ把持部8との間の位置決めが容易になり,両把持部が別体の実施の形態と比較して絶縁スリーブの挿入を確実に行うことができる。また,ロボットアームが1本で足り,装置の構成がシンプルになる。
【0056】
なお,本形態の絶縁スリーブ組付け装置100では,図18に示した絶縁スリーブ組付け装置と比較して,あらかじめ絶縁スリーブを把持しておく必要がない。すなわち,絶縁スリーブの挿入時までに絶縁スリーブを把持していればよい。そのため,絶縁スリーブの把持作業をリード線の束縛作業と同時に行うことができる。よって,作業効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態にかかる絶縁スリーブ組付け装置の概要を示す図である。
【図2】ロボットアームのハンド部(リード線把持部)の構成を示す図である。
【図3】板状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図4】板状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図5】柱状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図6】柱状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図7】図6のX−X断面を示す図である。
【図8】ローラ状チャックの構成を示す図(開状態)である。
【図9】ローラ状チャックの構成を示す図(閉状態)である。
【図10】ロボットアームのハンド部(絶縁スリーブ把持部)の構成を示す図である。
【図11】ステータコイルのリード線の構成を示す図である。
【図12】絶縁スリーブの組み付け手順(その1:板状チャックがリード線の根元を把持)を示す図である。
【図13】絶縁スリーブの組み付け手順(その2:板状チャックがリード線の先端部付近に移動)を示す図である。
【図14】絶縁スリーブの組み付け手順(その3:柱状チャックがリード線の先端部を把持)を示す図である。
【図15】絶縁スリーブの組み付け手順(その4:ローラ状チャックがリード線を把持)を示す図である。
【図16】絶縁スリーブの組み付け手順(その5:柱状チャック内に絶縁スリーブを移動)を示す図である。
【図17】絶縁スリーブの組み付け手順(その6:絶縁スリーブをリード線上の所定の位置まで移動)を示す図である。
【図18】応用例にかかる絶縁スリーブ組付け装置の概要を示す図である。
【図19】応用例にかかるロボットアームのハンド部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
5 リード線把持部
6 第1チャックユニット
7 第2チャックユニット
8 絶縁スリーブ把持部
10 ハンド部
61 板状チャック部(第1リード線把持部)
62 柱状チャック部(第2リード線把持部)
71 ローラ状チャック(第3リード線把持部)
81 スリーブハンド(絶縁スリーブ把持部)
100 絶縁スリーブ組付け装置
610 孔(第1孔)
611,612,613 ボード材(第1把持部材)
620 孔(第2孔)
622,623 ブロック材(第2把持部材)
621 孔(第3孔)
711,712,713 ローラ材(ローラ材)
S ステータ
L リード線
Sl 絶縁スリーブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置において,
少なくとも2つの第1把持部材を備え,前記第1把持部材を重ねて第1孔を形成し,前記第1孔内にリード線を収容し,前記第1孔の開口部を狭めてそのリード線を把持し,そのリード線を把持しつつそのリード線の先端部に向けて移動する第1リード線把持部と,
一組の第2把持部材を備え,前記第2把持部材を組み合わせることにより,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部が前記第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とを形成し,前記第2孔内にリード線を把持するとともに前記第3孔内にそのリード線の先端部を収容する第2リード線把持部と,
少なくとも2つのローラ材を備え,前記ローラ材にてリード線を挟持するとともに前記ローラ材の回転によりそのリード線の軸方向に移動する第3リード線把持部と,
絶縁スリーブを把持し,前記第3孔内にその絶縁スリーブを挿入する絶縁スリーブ把持部とを備え,
前記第1リード線把持部と,前記第2リード線把持部と,前記第3リード線把持部とは一体のユニットであり,
前記絶縁スリーブ把持部は,前記ローラ材の回転による前記第3リード線把持部の移動に追従してリード線の軸方向に移動することを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載する絶縁スリーブ組付け装置において,
前記第3リード線把持部は,前記第1リード線把持部よりも絶縁スリーブの挿入方向の下流側に位置し,
前記第1リード線把持部と前記第2リード線把持部との少なくとも一方は,前記第3リード線把持部が移動する際にリード線を把持していることを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する絶縁スリーブ組付け装置において,
前記第1リード線把持部の第1把持部材は,板状の部材の側面に切欠きが形成されたものであることを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項4】
複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け方法において,
開口部のサイズが可変の第1孔が形成された第1リード線把持部により,その第1孔内にリード線を収容し,その第1孔の開口部を狭めてリード線を把持するリード線把持ステップと,
前記リード線把持ステップにてリード線を把持した状態で,前記第1リード線把持部をリード線の先端部に向けて移動させるリード線束縛ステップと,
前記リード線束縛ステップにてリード線を束ねた状態で,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部がその第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とが形成された第2リード線把持部により,その第2孔にてリード線を把持するとともにその第3孔内にリード線の先端部を収容するリード線先端部束縛ステップと,
前記リード線先端部束縛ステップにてリード線の先端部を束ねた状態で,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部により,前記第2リード線把持部の第3孔内に絶縁スリーブを挿入する第1絶縁スリーブ挿入ステップと,
前記第1絶縁スリーブ挿入ステップにて絶縁スリーブを挿入した後に,少なくとも2つのローラ材を備えた第3リード線把持部によってリード線を挟持し,その状態で絶縁スリーブ把持部とともに第3リード線把持部をリード線上の所定の位置まで移動させる第2絶縁スリーブ挿入ステップとを含むことを特徴とする絶縁スリーブ組付け方法。
【請求項1】
複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け装置において,
少なくとも2つの第1把持部材を備え,前記第1把持部材を重ねて第1孔を形成し,前記第1孔内にリード線を収容し,前記第1孔の開口部を狭めてそのリード線を把持し,そのリード線を把持しつつそのリード線の先端部に向けて移動する第1リード線把持部と,
一組の第2把持部材を備え,前記第2把持部材を組み合わせることにより,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部が前記第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とを形成し,前記第2孔内にリード線を把持するとともに前記第3孔内にそのリード線の先端部を収容する第2リード線把持部と,
少なくとも2つのローラ材を備え,前記ローラ材にてリード線を挟持するとともに前記ローラ材の回転によりそのリード線の軸方向に移動する第3リード線把持部と,
絶縁スリーブを把持し,前記第3孔内にその絶縁スリーブを挿入する絶縁スリーブ把持部とを備え,
前記第1リード線把持部と,前記第2リード線把持部と,前記第3リード線把持部とは一体のユニットであり,
前記絶縁スリーブ把持部は,前記ローラ材の回転による前記第3リード線把持部の移動に追従してリード線の軸方向に移動することを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載する絶縁スリーブ組付け装置において,
前記第3リード線把持部は,前記第1リード線把持部よりも絶縁スリーブの挿入方向の下流側に位置し,
前記第1リード線把持部と前記第2リード線把持部との少なくとも一方は,前記第3リード線把持部が移動する際にリード線を把持していることを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する絶縁スリーブ組付け装置において,
前記第1リード線把持部の第1把持部材は,板状の部材の側面に切欠きが形成されたものであることを特徴とする絶縁スリーブ組付け装置。
【請求項4】
複数の導線からなるリード線に絶縁スリーブを組み付ける絶縁スリーブ組付け方法において,
開口部のサイズが可変の第1孔が形成された第1リード線把持部により,その第1孔内にリード線を収容し,その第1孔の開口部を狭めてリード線を把持するリード線把持ステップと,
前記リード線把持ステップにてリード線を把持した状態で,前記第1リード線把持部をリード線の先端部に向けて移動させるリード線束縛ステップと,
前記リード線束縛ステップにてリード線を束ねた状態で,円筒状の第2孔と,開口部の径が絶縁スリーブの外径よりも大きく頂上部がその第2孔の長手方向の端部と繋がるテーパ状の第3孔とが形成された第2リード線把持部により,その第2孔にてリード線を把持するとともにその第3孔内にリード線の先端部を収容するリード線先端部束縛ステップと,
前記リード線先端部束縛ステップにてリード線の先端部を束ねた状態で,絶縁スリーブを把持する絶縁スリーブ把持部により,前記第2リード線把持部の第3孔内に絶縁スリーブを挿入する第1絶縁スリーブ挿入ステップと,
前記第1絶縁スリーブ挿入ステップにて絶縁スリーブを挿入した後に,少なくとも2つのローラ材を備えた第3リード線把持部によってリード線を挟持し,その状態で絶縁スリーブ把持部とともに第3リード線把持部をリード線上の所定の位置まで移動させる第2絶縁スリーブ挿入ステップとを含むことを特徴とする絶縁スリーブ組付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−97300(P2007−97300A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283071(P2005−283071)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(502126998)株式会社メカワールド (6)
【出願人】(390021669)椿本興業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(502126998)株式会社メカワールド (6)
【出願人】(390021669)椿本興業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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