絶縁トロリー線集電装置
【課題】集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子への衝撃を緩和することができ、装置の寿命を延ばすと共に集電子の走行速度を速めることができる絶縁トロリー線集電装置を提供する。
【解決手段】移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。
【解決手段】移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ホイストや搬送機等の移動機器に移動しながら電気を供給する絶縁トロリー線集電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実公平7−22965号公報(特許文献1)に示されるように、ホイストや搬送機等の移動する負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置が知られている。この絶縁トロリー線集電装置は、天井等の造営材に取付けられる絶縁トロリー線と、移動する負荷に取付けられる集電子とで主体が構成され、集電子が絶縁トロリー線の導体に摺接して、導体から集電子を介して移動する負荷に電気を供給するものである。集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片と、集電子片に設けられる軸を受ける集電子側の回転座と、負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備えている。
【0003】
この集電子は、移動する付加に追従しながら絶縁トロリー線に摺接するのであるが、負荷の移動経路と絶縁トロリー線の配置経路とは一致しないため、集電子が絶縁トロリー線から外れることがないように、移動する負荷に対して位置および向きが可動となるように上記のような構成とするものである。
【0004】
絶縁トロリー線は、移動する負荷の移動経路に沿って配置されるが、種々の制約から、連続した一つの絶縁トロリー線ではなく、所々で分断された複数の絶縁トロリー線で構成されることが一般的に良く行われている。この場合、集電子は、分断された複数の絶縁トロリー線間を移って摺接する必要がある。
【0005】
絶縁トロリー線は、絶縁枠体に形成される溝の底部に導体を配置して構成してあり、前記溝の内壁が集電子片のガイドとなる。集電子が一絶縁トロリー線から、別の分断されている絶縁トロリー線へと乗り移る場合には、その集電子片が乗り移る先の絶縁トロリー線の溝内に収容される必要があるが、集電子は上述したように負荷に対して位置および角度が一定の範囲内で可動となっていて、集電子片が乗り移る先の絶縁トロリー線の溝内に確実に安定して収容され得ないものであった。
【0006】
そこで、実開平5−93962号公報(特許文献2)に示されるように、側方に広がるガイドを絶縁トロリー線の端部に設けたものが考案されている。
【特許文献1】実公平7−22965号公報
【特許文献2】実開平5−93962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の従来例では、集電子が一の絶縁トロリー線から別の分断されている絶縁トロリー線へと乗り移る際に、集電子片が絶縁トロリー線の溝の内壁に衝突することとなり、集電子への衝撃が発生し、特に回転座とアームの連結部分へ負荷がかかり、集電子片の先端部にあっては絶縁トロリー線との衝突による応力集中が生じる。このことより、装置の寿命を確保するためには、集電子の走行速度を抑制する必要があった。
【0008】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その目的は、集電子が絶縁トロリー線から別の絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子への衝撃を緩和することができ、装置の寿命を延ばすと共に集電子の走行速度を速めることができる絶縁トロリー線集電装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいことを特徴としている。
【0010】
本願請求項2記載の発明では、移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいことを特徴としている。
【0011】
本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の絶縁トロリー線集電装置において、絶縁トロリー線集電装置は、集電子片に設けられている軸を受ける集電子側の回転座と、移動する負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願請求項1記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、絶縁トロリー線の端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備えているので、集電子を絶縁トロリー線に安定して収容することができると共に、集電子片の水平面に対する傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいので、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際に、集電子片の後端部が初めにピックアップガイドの誘い込み溝へ当接し、その後に集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面全体で摺接することとなる。このことによって、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子への衝撃を緩和することができ、回転座とアームの連結部分への負荷を低減することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子の走行速度を速めることができる。
【0013】
本願請求項2記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、絶縁トロリー線の端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備えているので、集電子を絶縁トロリー線に安定して収容することができると共に、集電子片の水平面に対する傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいので、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際に、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面全体が同時にピックアップガイドの誘い込み溝へ当接することとなる。このことによって、集電子の絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子片への衝撃を絶縁トロリー線と摺接する面全体で受けることができ、集電子片の一部分への応力集中を回避することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子の走行速度を速めることができる。
【0014】
本願請求項3記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、特に、絶縁トロリー線集電装置は、集電子側の回転座と、負荷側の回転座と、集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えているので、集電子が絶縁トロリー線を乗り移る際に、集電子片の傾斜角を所定の角度に維持することができ、空中での集電子の姿勢を安定させることができる。このことによって集電子の走行速度を速めることができる。また、弾性力の異なる弾性部材に取り替えることが可能であり、弾性力を変更することによって、集電子片の絶縁トロリー線に対する傾斜角度を自由に変更することができるので、ピックアップガイドの形状に応じた適切な集電子片の傾斜角度の設定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図11は、本願発明の第1の実施形態である絶縁トロリー線集電装置を示している。図1に示すように、移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。また、絶縁トロリー線集電装置は、集電子片11に設けられている軸30を受ける集電子1側の回転座3と、移動する負荷Fに設けられる軸40を受ける負荷側の回転座4と、両端部が前記集電子1側の回転座3と負荷F側の回転座4とにそれぞれ回転可能に連結されるアーム5とを備え、負荷F側の回転座4と、集電子片11を収容する集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを連結する弾性部材であるセンタリング部材8を備えている。
【0016】
以下、この実施形態の絶縁トロリー線集電装置をより具体的詳細に説明する。図1〜図3に示すように、絶縁トロリー線集電装置は、ホイストや搬送機等の移動する負荷Fに電気を供給するための装置であって、天井等の造営材Zに固定される絶縁トロリー線2と、移動する負荷Fに取付けられる集電子1とで主体が構成されている。
【0017】
図4に示すように、絶縁トロリー線2は、断面コ字状をした長尺の絶縁枠体20内の溝22の底部に長手方向の全長に亘って長尺の給電体としての導体21を内装して構成してあり、天井等の造営材ZにハンガーH等を介して吊り下げ固定され、負荷Fの移動経路に沿って配置される。なお、絶縁トロリー線2を造営材Zに固定するにあたっては、ハンガーHを介して吊り下げ固定するものに限定されず、図5(b)に示すように絶縁トロリー線2を壁面に横向きに固定したりするが、本実施形態では便宜上、図5(a)に示すように配置するものとする。この絶縁トロリー線2は、通常は複数本(本実施形態では4本)平行に並設されており、各絶縁トロリー線に対応した集電子11がそれぞれ設けられている。
【0018】
また、絶縁トロリー線2は、負荷Fの移動経路や配置される部屋等の種々の制約から、長手方向に複数に分断してあって、分断した複数の絶縁トロリー線2間を集電子1が乗り移って移動するように設けられることが一般的に良く行われている。そして本発明においては、絶縁トロリー線2の端部には、集電子1が乗り入れやすいように、ピックアップガイド27が設けられている。
【0019】
ピックアップガイド27は、絶縁トロリー線2の端部に接続されるピックアップ本体28で主体が構成されるもので、ピックアップ本体28は天井等の造営材Zに取付けられるピックアップ取付ベース25にピックアップガイド取付ねじ26によって取り付けて支持される。ピックアップ取付ベース25は、図6と図7に示すように、造営材Zの表面に取付けられる取付片25aと、取付片25aの一端部から造営材Zの表面から離れる方向に突出するように連設される突出片25bと、突出片25bの突出端部から前記取付片25aから離れる方向に連設される被着片25cとからなるクランク状をしたもので、例えば金属板を屈曲して形成されるが、特に限定はされない。取付片25aには、造営材Zにビスからなるピックアップガイド取付ねじ26により固定するための固着具挿通穴25dが穿設してある。そして、取付片25aを造営材Zの表面に当接させると共に、被着片25cを、前記取付片25aを取付けた造営材Zの表面から離した状態として、取付片25aに穿設した固着具挿通穴25dにピックアップガイド取付ねじ26を挿通して造営材Zの表面に取付片25aを固定して、ピックアップ取付ベース25を造営材Zに取付ける。造営材Zに取付けられるピックアップ取付ベース25には、ピックアップ本体28が取付けられる。
【0020】
ピックアップ本体28は、図8と図9に示すように、絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22に集電子片11を収容させるためのガイド溝28aが形成してある。なお、本実施形態ではピックアップ本体28は、並設している複数本(4本)の絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22に対応するガイド溝28aを並設してある。ガイド溝28aは、絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22内に集電子片11を収容させるべく、溝22の乗り移り側の端部へ行く程、幅が狭くなっており、また、絶縁トロリー線2の溝22から離れる方向へ行く程、幅が広くなって、各ガイド溝28aが連続した幅広の一つの誘い込み溝28bとなっている。このピックアップ本体28は、後述するが上記ピックアップ取付ベース25に絶縁トロリー線2に対して負荷Fと反対側に傾斜した状態で取付けられる。取付けについて説明すると、ピックアップ取付ベース25の取付片25aの両側端縁から取付リブ25eが垂下してあって該取付リブ25eに貫通孔25fが穿設してあり、ピックアップ取付ベース25の被着片25cの両側端縁から取付リブ25gが垂下してあって、該取付リブ25gに貫通孔25hが穿設してあり、また、ピックアップ本体28の上側となる端部の近傍の側面と、ピックアップ本体28の下側の端部の近傍の側面に、それぞれ前記貫通孔25fと貫通孔25hとに対応する固定孔28cが形成してあり、両取付リブ25e間および両取付リブ25g間にピックアップ本体28の両端部付近をそれぞれ挿入し、前記貫通孔25f、25hにピックアップ本体28の固定孔28cを連通させて、ビス等の固着具28dを貫通孔25f、25hに挿通して固定孔28cに螺着するものである。
【0021】
このピックアップ本体28は、図1に示すように、上記ピックアップ取付ベース25に傾斜した状態で取付けられ、ピックアップ本体の水平面に対する傾斜角θ2は、10〜20°(好ましくは17°)としてある。
【0022】
次に、集電子1について説明する。集電子1は、絶縁トロリー線2の導体21と摺接する集電子片11を備え、集電子片11に接続されるリード線12を介して導体21からの電気を負荷Fに供給するものである。集電子1は負荷Fに対して位置(上下位置、左右位置、前後位置)および角度が一定の範囲内で可動となっていて、移動する負荷Fに追従しながら集電子片11が絶縁トロリー線2の導体21から外れないように摺接させることを可能とするもので、本実施形態では集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接しない側の端部を集電子片ケーシング10に収容すると共に、集電子片ケーシング10を移動する負荷Fに対して可動としてある。集電子片ケーシング10には、集電子片11が露出する側と反対側の端部に、後述する回転座3に挿通される軸30の端部が枢支される枢支部13が形成してあり、この枢支部13に軸30の端部が枢支されて集電子片ケーシング10に対して回転可能となっている。そして、前記軸30を受ける回転座(これを集電子1側の回転座3とする)と、一端が前記集電子1側の回転座3に回転自在に軸支されると共に他端が別の回転座(これを負荷F側の回転座4とする)に回転自在に軸支されるアーム5と、前記負荷F側の回転座4が固定さえると共に負荷Fに取付けられる後述する取付ベース7と、集電子片ケーシング10および軸30とで集電子1の主体が構成される。
【0023】
集電子1側の回転座3は、集電子片ケーシング10に枢支される軸30が挿入される略筒状をしたもので、内部に挿入された前記軸30および集電子片ケーシング10が該集電子1側の回転座3内で軸30回りに回転自在となっている。軸30は抜け止め手段(図示せず)を備えており、集電子1側の回転座3から抜け落ちるのが防止されている。また集電子1側の回転座3および後述する負荷F側の回転座4には、外側面にアーム5の端部を枢支する枢支部31が突設してある。枢支部31は、各回転座3、4の筒状の側面から互いに相手の回転座4、3を向く方に向けて突出しており、この枢支部31には該枢支部31の突出方向と直交し且つ回転座3、4の筒方向(内部に挿入される軸30方向)と直交する方向に貫通する枢支穴(図示せず)が形成してあり、この枢支穴(図示せず)にアーム5の長手方向の端部に形成される支軸50が挿通される。アーム5に形成される前記支軸50は、アーム5の長手方向の両端部に該長手方向と直交する方向を向くように且つ両端部の支軸50が平行となるように形成してある。そして、アーム5の集電子1側の端部の支軸50を前記集電子1側の回転座3の枢支部31の枢支穴(図示せず)に挿通すると共に、アーム5の負荷F側の端部の支軸50を前記負荷F側の回転座4の枢支部31の枢支穴(図示せず)に挿通してあり、これにより、アーム5は両側の回転座3、4に対して回動自在に枢支されている。さらに本実施形態では、両回転座に枢支部31およびその枢支穴(図示せず)が筒方向に並ぶように二個並設してあると共に、両回転座3、4の枢支部31間にそれぞれアーム5を上述したように設けることで計二本の同じ長さのアーム5を設けてあり、これにより両回転座3、4は互いに平行を保ったままアーム5と回転座3、4の為す角度が変化自在となって両回転座3、4が互いに筒方向に平行移動することができる。
【0024】
負荷F側の回転座4は、負荷Fに取付られる取付ベース7に固定される軸40が内部に挿通される略筒状をしたもので、上述した集電子1側の回転座3と略同様の形状をしている。集電子1すなわち、負荷F側の回転座4、アーム5、集電子1側の回転座3、集電子片ケーシング10が負荷F側に固定される軸40回りに回転自在となっている。負荷F側に固定される軸40は抜け止め手段(図示せず)を備えており、負荷F側の回転座4から抜け落ちるのが防止されている。
【0025】
負荷Fに取付けられる取付ベース7は、負荷Fの表面に取付けられる取付片71と、取付片71から負荷Fの表面から離れる方向に突出する少なくとも二つの突出片72と、少なくとも二つの突出片72の突出端部間に架設される被着片73とからなるもので、本実施形態では、間隔を隔てて負荷Fの表面に取付けられる二つの取付片71と、二つの取付片71の対向する端部からそれぞれ負荷Fの表面から離れる方向に連設される二つの突出片72と、両突出片72の突出端部間に架設される被着片73とからなる。長手方向と直交する断面における形状がハット状にしたものである。取付片71には、負荷Fにビス等の固着具により固定するための固着具挿通穴(図示せず)が穿設してある。このような取付ベース7の構成により、取付ベース7を負荷Fの表面に固定した状態で、取付ベース7の被着片73を負荷Fの表面から空間をあけて位置させることができる。
【0026】
そして、取付ベース7の被着片73には、負荷F側に取付けられる軸40を挿通して固定するための固着穴(図示せず)が穿設してある。また、負荷f側に取付けられる軸40には、負荷F側の回転座4から突出する部分に雄ねじ部41が形成してあり、前記取付ベース7の被着片73の固着穴(図示せず)に前記軸40に形成した雄ねじ部41を挿通すると共に、雄ねじ部41にナット42を螺着して前記軸40を取付ベース7に締結固定する。
【0027】
次に集電子1が一の絶縁トロリー線2より別の絶縁トロリー線2へ乗り移る場合の動作について説明する。図10に示すように、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際において水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。本実施形態では、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1を18°とし、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2を17°としたものを例示しているが、これに限定されるものではない。
【0028】
また、図1に示すように、負荷F側の回転座4と、集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを、自在に伸長して復元力が生じるセンタリング部材8で連結してある。センタリング部材8は、本実施形態で示したようにコイルばねやその他ゴムのようなものでもよく、特に限定されない。
【0029】
集電子片ケーシング10は、図11(a)に示すように、集電子1側の回転座3の軸30回りに左右方向の回転自在となると共に、図11(b)に示すように、集電子片ケーシング10は、枢支部13において上下方向に回転自在となっており、センタリング部材8を設けなければ特に復元力が生じないため、集電子片11の向きが任意に変化するものの変化したままとなってしまう。そこで本実施形態のようにセンタリング部材8を設けたことで、センタリング部材8の復元力によって集電子片11の向きが維持されることとなる。集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際、すなわち、集電子1が絶縁トロリー線2に収容されていない状態において、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1が所定の角度となるように、センタリング部材8を選定すればよい。
【0030】
図10に示すように、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際の集電子片11の状態として、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1が、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものであるので、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際、集電子片11の後端部11aが最初に誘い込み溝28bへ当接する。その後、集電子1は進行方向へ走行しながら集電子片ケーシング10が枢支部13を中心に時計回り(矢印の方向)に回転して、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が誘い込み溝28bに摺接し、さらに、集電子片11がガイド溝28aによって絶縁トロリー線2の溝22へとガイドされて、集電子が絶縁トロリー線2へ収容される。
【0031】
したがって、絶縁トロリー線2の端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備えているので、集電子1を絶縁トロリー線2に安定して収容することができると共に、集電子片11の水平面に対する傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいので、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の後端部11aが初めにピックアップガイド27の誘い込み溝28bへ当接し、その後に集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体で摺接することとなる。このことによって、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際の集電子1への衝撃を緩和することができ、回転座3、4とアーム5の連結部分への負荷を低減することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子1の走行速度を速めることができる。
【0032】
さらに、絶縁トロリー線集電装置は、集電子1側の回転座3と、負荷F側の回転座4と、集電子1側の回転座3と負荷F側の回転座4とにそれぞれ回転可能に連結されるアーム5とを備え、負荷F側の回転座4と、集電子片11を収容する集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを連結する弾性部材であるセンタリング部材8を備えているので、集電子1が絶縁トロリー線2を乗り移る際に、集電子片11の傾斜角度θ1を所定の角度に維持することができ、空中での集電子1の姿勢の安定性を向上させることができる。このことによって集電子1の走行速度を速めることができる。また、弾性力の異なるセンタリング部材8に取り替えることが可能であり、弾性力を変更することによって、集電子片11の絶縁トロリー線2に対する傾斜角度を自由に変更することができるので、ピックアップガイド27の形状に応じた適切な集電子片11の傾斜角度θ1の設定が可能となる。
【0033】
次に、本願発明の第2の実施形態である絶縁トロリー線集電装置を説明する。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0034】
図12に示すように、移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2と等しいものである。このことより、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が同時に誘い込み溝28bに当接し、さらに、集電子片11がガイド溝28aによって絶縁トロリー線2の溝22へとガイドされて、集電子が絶縁トロリー線2へ収容される。
【0035】
したがって、集電子片11の水平面に対する傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2と等しいので、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が同時にピックアップガイド27の誘い込み溝28bへ当接することとなる。このことによって、集電子1の絶縁トロリー線2へ乗り移る際の集電子片11への衝撃を絶縁トロリー線2と摺接する面全体で受けることができ、集電子片11の一部分への応力集中を回避することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子1の走行速度を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の第1の実施形態である絶縁トロリー線集電装置の要部側面図である。
【図2】同絶縁トロリー線集電装置の要部斜視図である。
【図3】同絶縁トロリー線集電装置の下面図(ただし集電子は便宜上上面を示している)である。
【図4】同絶縁トロリー線集電装置における絶縁トロリー線の断面図である。
【図5】同絶縁トロリー線集電装置を示し、(a)は絶縁トロリー線を天井から下向きに固定する場合の絶縁トロリー線集電装置の正面図であり、(b)は絶縁トロリー線を壁面に横向きに固定する場合の絶縁トロリー線集電装置の正面図である。
【図6】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップ取付ベースを示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図である。
【図7】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップ取付ベースを示し、(a)は斜め上方から見た斜視図であり、(b)は斜め下方から見た斜視図である。
【図8】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップガイド本体を示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図であり、(d)は背面図であり、(e)は(b)のA−A断面図である。
【図9】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップガイド本体の斜視図である。
【図10】同絶縁トロリー線集電装置における集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際の状態を示した要部側面図である。
【図11】同絶縁トロリー線集電装置における集電子を示し、(a)は集電子片ケーシングの集電子側の回転座の軸回りの回転を示す上面図であり、(b)は集電子片ケーシングの枢支部における回転を示す側面図である。
【図12】本願発明の第2の実施形態である絶縁トロリー線集電装置における集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際の状態を示した要部側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 集電子
10 集電子片ケーシング
11 集電子片
2 絶縁トロリー線
22 溝
25 ピックアップ取付ベース
27 ピックアップガイド
28 ピックアップガイド本体
28b 誘い込み溝
3 集電子側の回転座
30 集電子側の軸
4 負荷側の回転座
40 負荷側の軸
5 アーム
8 センタリング部材(弾性部材)
F 負荷
Z 造営材
θ1 集電子片の水平面に対する傾斜角
θ2 誘い込み溝の水平面に対する傾斜角
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ホイストや搬送機等の移動機器に移動しながら電気を供給する絶縁トロリー線集電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実公平7−22965号公報(特許文献1)に示されるように、ホイストや搬送機等の移動する負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置が知られている。この絶縁トロリー線集電装置は、天井等の造営材に取付けられる絶縁トロリー線と、移動する負荷に取付けられる集電子とで主体が構成され、集電子が絶縁トロリー線の導体に摺接して、導体から集電子を介して移動する負荷に電気を供給するものである。集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片と、集電子片に設けられる軸を受ける集電子側の回転座と、負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備えている。
【0003】
この集電子は、移動する付加に追従しながら絶縁トロリー線に摺接するのであるが、負荷の移動経路と絶縁トロリー線の配置経路とは一致しないため、集電子が絶縁トロリー線から外れることがないように、移動する負荷に対して位置および向きが可動となるように上記のような構成とするものである。
【0004】
絶縁トロリー線は、移動する負荷の移動経路に沿って配置されるが、種々の制約から、連続した一つの絶縁トロリー線ではなく、所々で分断された複数の絶縁トロリー線で構成されることが一般的に良く行われている。この場合、集電子は、分断された複数の絶縁トロリー線間を移って摺接する必要がある。
【0005】
絶縁トロリー線は、絶縁枠体に形成される溝の底部に導体を配置して構成してあり、前記溝の内壁が集電子片のガイドとなる。集電子が一絶縁トロリー線から、別の分断されている絶縁トロリー線へと乗り移る場合には、その集電子片が乗り移る先の絶縁トロリー線の溝内に収容される必要があるが、集電子は上述したように負荷に対して位置および角度が一定の範囲内で可動となっていて、集電子片が乗り移る先の絶縁トロリー線の溝内に確実に安定して収容され得ないものであった。
【0006】
そこで、実開平5−93962号公報(特許文献2)に示されるように、側方に広がるガイドを絶縁トロリー線の端部に設けたものが考案されている。
【特許文献1】実公平7−22965号公報
【特許文献2】実開平5−93962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の従来例では、集電子が一の絶縁トロリー線から別の分断されている絶縁トロリー線へと乗り移る際に、集電子片が絶縁トロリー線の溝の内壁に衝突することとなり、集電子への衝撃が発生し、特に回転座とアームの連結部分へ負荷がかかり、集電子片の先端部にあっては絶縁トロリー線との衝突による応力集中が生じる。このことより、装置の寿命を確保するためには、集電子の走行速度を抑制する必要があった。
【0008】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その目的は、集電子が絶縁トロリー線から別の絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子への衝撃を緩和することができ、装置の寿命を延ばすと共に集電子の走行速度を速めることができる絶縁トロリー線集電装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいことを特徴としている。
【0010】
本願請求項2記載の発明では、移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいことを特徴としている。
【0011】
本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の絶縁トロリー線集電装置において、絶縁トロリー線集電装置は、集電子片に設けられている軸を受ける集電子側の回転座と、移動する負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願請求項1記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、絶縁トロリー線の端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備えているので、集電子を絶縁トロリー線に安定して収容することができると共に、集電子片の水平面に対する傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいので、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際に、集電子片の後端部が初めにピックアップガイドの誘い込み溝へ当接し、その後に集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面全体で摺接することとなる。このことによって、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子への衝撃を緩和することができ、回転座とアームの連結部分への負荷を低減することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子の走行速度を速めることができる。
【0013】
本願請求項2記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、絶縁トロリー線の端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備えているので、集電子を絶縁トロリー線に安定して収容することができると共に、集電子片の水平面に対する傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいので、集電子が絶縁トロリー線へ乗り移る際に、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面全体が同時にピックアップガイドの誘い込み溝へ当接することとなる。このことによって、集電子の絶縁トロリー線へ乗り移る際の集電子片への衝撃を絶縁トロリー線と摺接する面全体で受けることができ、集電子片の一部分への応力集中を回避することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子の走行速度を速めることができる。
【0014】
本願請求項3記載の発明の絶縁トロリー線集電装置においては、特に、絶縁トロリー線集電装置は、集電子側の回転座と、負荷側の回転座と、集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えているので、集電子が絶縁トロリー線を乗り移る際に、集電子片の傾斜角を所定の角度に維持することができ、空中での集電子の姿勢を安定させることができる。このことによって集電子の走行速度を速めることができる。また、弾性力の異なる弾性部材に取り替えることが可能であり、弾性力を変更することによって、集電子片の絶縁トロリー線に対する傾斜角度を自由に変更することができるので、ピックアップガイドの形状に応じた適切な集電子片の傾斜角度の設定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図11は、本願発明の第1の実施形態である絶縁トロリー線集電装置を示している。図1に示すように、移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。また、絶縁トロリー線集電装置は、集電子片11に設けられている軸30を受ける集電子1側の回転座3と、移動する負荷Fに設けられる軸40を受ける負荷側の回転座4と、両端部が前記集電子1側の回転座3と負荷F側の回転座4とにそれぞれ回転可能に連結されるアーム5とを備え、負荷F側の回転座4と、集電子片11を収容する集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを連結する弾性部材であるセンタリング部材8を備えている。
【0016】
以下、この実施形態の絶縁トロリー線集電装置をより具体的詳細に説明する。図1〜図3に示すように、絶縁トロリー線集電装置は、ホイストや搬送機等の移動する負荷Fに電気を供給するための装置であって、天井等の造営材Zに固定される絶縁トロリー線2と、移動する負荷Fに取付けられる集電子1とで主体が構成されている。
【0017】
図4に示すように、絶縁トロリー線2は、断面コ字状をした長尺の絶縁枠体20内の溝22の底部に長手方向の全長に亘って長尺の給電体としての導体21を内装して構成してあり、天井等の造営材ZにハンガーH等を介して吊り下げ固定され、負荷Fの移動経路に沿って配置される。なお、絶縁トロリー線2を造営材Zに固定するにあたっては、ハンガーHを介して吊り下げ固定するものに限定されず、図5(b)に示すように絶縁トロリー線2を壁面に横向きに固定したりするが、本実施形態では便宜上、図5(a)に示すように配置するものとする。この絶縁トロリー線2は、通常は複数本(本実施形態では4本)平行に並設されており、各絶縁トロリー線に対応した集電子11がそれぞれ設けられている。
【0018】
また、絶縁トロリー線2は、負荷Fの移動経路や配置される部屋等の種々の制約から、長手方向に複数に分断してあって、分断した複数の絶縁トロリー線2間を集電子1が乗り移って移動するように設けられることが一般的に良く行われている。そして本発明においては、絶縁トロリー線2の端部には、集電子1が乗り入れやすいように、ピックアップガイド27が設けられている。
【0019】
ピックアップガイド27は、絶縁トロリー線2の端部に接続されるピックアップ本体28で主体が構成されるもので、ピックアップ本体28は天井等の造営材Zに取付けられるピックアップ取付ベース25にピックアップガイド取付ねじ26によって取り付けて支持される。ピックアップ取付ベース25は、図6と図7に示すように、造営材Zの表面に取付けられる取付片25aと、取付片25aの一端部から造営材Zの表面から離れる方向に突出するように連設される突出片25bと、突出片25bの突出端部から前記取付片25aから離れる方向に連設される被着片25cとからなるクランク状をしたもので、例えば金属板を屈曲して形成されるが、特に限定はされない。取付片25aには、造営材Zにビスからなるピックアップガイド取付ねじ26により固定するための固着具挿通穴25dが穿設してある。そして、取付片25aを造営材Zの表面に当接させると共に、被着片25cを、前記取付片25aを取付けた造営材Zの表面から離した状態として、取付片25aに穿設した固着具挿通穴25dにピックアップガイド取付ねじ26を挿通して造営材Zの表面に取付片25aを固定して、ピックアップ取付ベース25を造営材Zに取付ける。造営材Zに取付けられるピックアップ取付ベース25には、ピックアップ本体28が取付けられる。
【0020】
ピックアップ本体28は、図8と図9に示すように、絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22に集電子片11を収容させるためのガイド溝28aが形成してある。なお、本実施形態ではピックアップ本体28は、並設している複数本(4本)の絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22に対応するガイド溝28aを並設してある。ガイド溝28aは、絶縁トロリー線2の絶縁枠体20の溝22内に集電子片11を収容させるべく、溝22の乗り移り側の端部へ行く程、幅が狭くなっており、また、絶縁トロリー線2の溝22から離れる方向へ行く程、幅が広くなって、各ガイド溝28aが連続した幅広の一つの誘い込み溝28bとなっている。このピックアップ本体28は、後述するが上記ピックアップ取付ベース25に絶縁トロリー線2に対して負荷Fと反対側に傾斜した状態で取付けられる。取付けについて説明すると、ピックアップ取付ベース25の取付片25aの両側端縁から取付リブ25eが垂下してあって該取付リブ25eに貫通孔25fが穿設してあり、ピックアップ取付ベース25の被着片25cの両側端縁から取付リブ25gが垂下してあって、該取付リブ25gに貫通孔25hが穿設してあり、また、ピックアップ本体28の上側となる端部の近傍の側面と、ピックアップ本体28の下側の端部の近傍の側面に、それぞれ前記貫通孔25fと貫通孔25hとに対応する固定孔28cが形成してあり、両取付リブ25e間および両取付リブ25g間にピックアップ本体28の両端部付近をそれぞれ挿入し、前記貫通孔25f、25hにピックアップ本体28の固定孔28cを連通させて、ビス等の固着具28dを貫通孔25f、25hに挿通して固定孔28cに螺着するものである。
【0021】
このピックアップ本体28は、図1に示すように、上記ピックアップ取付ベース25に傾斜した状態で取付けられ、ピックアップ本体の水平面に対する傾斜角θ2は、10〜20°(好ましくは17°)としてある。
【0022】
次に、集電子1について説明する。集電子1は、絶縁トロリー線2の導体21と摺接する集電子片11を備え、集電子片11に接続されるリード線12を介して導体21からの電気を負荷Fに供給するものである。集電子1は負荷Fに対して位置(上下位置、左右位置、前後位置)および角度が一定の範囲内で可動となっていて、移動する負荷Fに追従しながら集電子片11が絶縁トロリー線2の導体21から外れないように摺接させることを可能とするもので、本実施形態では集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接しない側の端部を集電子片ケーシング10に収容すると共に、集電子片ケーシング10を移動する負荷Fに対して可動としてある。集電子片ケーシング10には、集電子片11が露出する側と反対側の端部に、後述する回転座3に挿通される軸30の端部が枢支される枢支部13が形成してあり、この枢支部13に軸30の端部が枢支されて集電子片ケーシング10に対して回転可能となっている。そして、前記軸30を受ける回転座(これを集電子1側の回転座3とする)と、一端が前記集電子1側の回転座3に回転自在に軸支されると共に他端が別の回転座(これを負荷F側の回転座4とする)に回転自在に軸支されるアーム5と、前記負荷F側の回転座4が固定さえると共に負荷Fに取付けられる後述する取付ベース7と、集電子片ケーシング10および軸30とで集電子1の主体が構成される。
【0023】
集電子1側の回転座3は、集電子片ケーシング10に枢支される軸30が挿入される略筒状をしたもので、内部に挿入された前記軸30および集電子片ケーシング10が該集電子1側の回転座3内で軸30回りに回転自在となっている。軸30は抜け止め手段(図示せず)を備えており、集電子1側の回転座3から抜け落ちるのが防止されている。また集電子1側の回転座3および後述する負荷F側の回転座4には、外側面にアーム5の端部を枢支する枢支部31が突設してある。枢支部31は、各回転座3、4の筒状の側面から互いに相手の回転座4、3を向く方に向けて突出しており、この枢支部31には該枢支部31の突出方向と直交し且つ回転座3、4の筒方向(内部に挿入される軸30方向)と直交する方向に貫通する枢支穴(図示せず)が形成してあり、この枢支穴(図示せず)にアーム5の長手方向の端部に形成される支軸50が挿通される。アーム5に形成される前記支軸50は、アーム5の長手方向の両端部に該長手方向と直交する方向を向くように且つ両端部の支軸50が平行となるように形成してある。そして、アーム5の集電子1側の端部の支軸50を前記集電子1側の回転座3の枢支部31の枢支穴(図示せず)に挿通すると共に、アーム5の負荷F側の端部の支軸50を前記負荷F側の回転座4の枢支部31の枢支穴(図示せず)に挿通してあり、これにより、アーム5は両側の回転座3、4に対して回動自在に枢支されている。さらに本実施形態では、両回転座に枢支部31およびその枢支穴(図示せず)が筒方向に並ぶように二個並設してあると共に、両回転座3、4の枢支部31間にそれぞれアーム5を上述したように設けることで計二本の同じ長さのアーム5を設けてあり、これにより両回転座3、4は互いに平行を保ったままアーム5と回転座3、4の為す角度が変化自在となって両回転座3、4が互いに筒方向に平行移動することができる。
【0024】
負荷F側の回転座4は、負荷Fに取付られる取付ベース7に固定される軸40が内部に挿通される略筒状をしたもので、上述した集電子1側の回転座3と略同様の形状をしている。集電子1すなわち、負荷F側の回転座4、アーム5、集電子1側の回転座3、集電子片ケーシング10が負荷F側に固定される軸40回りに回転自在となっている。負荷F側に固定される軸40は抜け止め手段(図示せず)を備えており、負荷F側の回転座4から抜け落ちるのが防止されている。
【0025】
負荷Fに取付けられる取付ベース7は、負荷Fの表面に取付けられる取付片71と、取付片71から負荷Fの表面から離れる方向に突出する少なくとも二つの突出片72と、少なくとも二つの突出片72の突出端部間に架設される被着片73とからなるもので、本実施形態では、間隔を隔てて負荷Fの表面に取付けられる二つの取付片71と、二つの取付片71の対向する端部からそれぞれ負荷Fの表面から離れる方向に連設される二つの突出片72と、両突出片72の突出端部間に架設される被着片73とからなる。長手方向と直交する断面における形状がハット状にしたものである。取付片71には、負荷Fにビス等の固着具により固定するための固着具挿通穴(図示せず)が穿設してある。このような取付ベース7の構成により、取付ベース7を負荷Fの表面に固定した状態で、取付ベース7の被着片73を負荷Fの表面から空間をあけて位置させることができる。
【0026】
そして、取付ベース7の被着片73には、負荷F側に取付けられる軸40を挿通して固定するための固着穴(図示せず)が穿設してある。また、負荷f側に取付けられる軸40には、負荷F側の回転座4から突出する部分に雄ねじ部41が形成してあり、前記取付ベース7の被着片73の固着穴(図示せず)に前記軸40に形成した雄ねじ部41を挿通すると共に、雄ねじ部41にナット42を螺着して前記軸40を取付ベース7に締結固定する。
【0027】
次に集電子1が一の絶縁トロリー線2より別の絶縁トロリー線2へ乗り移る場合の動作について説明する。図10に示すように、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際において水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものである。本実施形態では、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1を18°とし、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2を17°としたものを例示しているが、これに限定されるものではない。
【0028】
また、図1に示すように、負荷F側の回転座4と、集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを、自在に伸長して復元力が生じるセンタリング部材8で連結してある。センタリング部材8は、本実施形態で示したようにコイルばねやその他ゴムのようなものでもよく、特に限定されない。
【0029】
集電子片ケーシング10は、図11(a)に示すように、集電子1側の回転座3の軸30回りに左右方向の回転自在となると共に、図11(b)に示すように、集電子片ケーシング10は、枢支部13において上下方向に回転自在となっており、センタリング部材8を設けなければ特に復元力が生じないため、集電子片11の向きが任意に変化するものの変化したままとなってしまう。そこで本実施形態のようにセンタリング部材8を設けたことで、センタリング部材8の復元力によって集電子片11の向きが維持されることとなる。集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際、すなわち、集電子1が絶縁トロリー線2に収容されていない状態において、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1が所定の角度となるように、センタリング部材8を選定すればよい。
【0030】
図10に示すように、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際の集電子片11の状態として、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面の水平面に対する傾斜角θ1が、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいものであるので、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際、集電子片11の後端部11aが最初に誘い込み溝28bへ当接する。その後、集電子1は進行方向へ走行しながら集電子片ケーシング10が枢支部13を中心に時計回り(矢印の方向)に回転して、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が誘い込み溝28bに摺接し、さらに、集電子片11がガイド溝28aによって絶縁トロリー線2の溝22へとガイドされて、集電子が絶縁トロリー線2へ収容される。
【0031】
したがって、絶縁トロリー線2の端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備えているので、集電子1を絶縁トロリー線2に安定して収容することができると共に、集電子片11の水平面に対する傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2より大きいので、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の後端部11aが初めにピックアップガイド27の誘い込み溝28bへ当接し、その後に集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体で摺接することとなる。このことによって、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際の集電子1への衝撃を緩和することができ、回転座3、4とアーム5の連結部分への負荷を低減することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子1の走行速度を速めることができる。
【0032】
さらに、絶縁トロリー線集電装置は、集電子1側の回転座3と、負荷F側の回転座4と、集電子1側の回転座3と負荷F側の回転座4とにそれぞれ回転可能に連結されるアーム5とを備え、負荷F側の回転座4と、集電子片11を収容する集電子片ケーシング10の前記負荷F側の回転座4側の端部とを連結する弾性部材であるセンタリング部材8を備えているので、集電子1が絶縁トロリー線2を乗り移る際に、集電子片11の傾斜角度θ1を所定の角度に維持することができ、空中での集電子1の姿勢の安定性を向上させることができる。このことによって集電子1の走行速度を速めることができる。また、弾性力の異なるセンタリング部材8に取り替えることが可能であり、弾性力を変更することによって、集電子片11の絶縁トロリー線2に対する傾斜角度を自由に変更することができるので、ピックアップガイド27の形状に応じた適切な集電子片11の傾斜角度θ1の設定が可能となる。
【0033】
次に、本願発明の第2の実施形態である絶縁トロリー線集電装置を説明する。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0034】
図12に示すように、移動する負荷Fに取り付けられる集電子1を造営材Zに取り付けられる絶縁トロリー線2に摺接させて前記負荷Fに電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子1は、絶縁トロリー線2に摺接する集電子片11を備え、絶縁トロリー線2は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片11を絶縁トロリー線2にガイドする誘い込み溝28bを有するピックアップガイド27を備え、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面は、集電子1が絶縁トロリー線2に乗り移る際に水平面に対して傾斜角θ1を有しており、前記傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2と等しいものである。このことより、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が同時に誘い込み溝28bに当接し、さらに、集電子片11がガイド溝28aによって絶縁トロリー線2の溝22へとガイドされて、集電子が絶縁トロリー線2へ収容される。
【0035】
したがって、集電子片11の水平面に対する傾斜角θ1は、誘い込み溝28bの水平面に対する傾斜角θ2と等しいので、集電子1が絶縁トロリー線2へ乗り移る際に、集電子片11の絶縁トロリー線2と摺接する面全体が同時にピックアップガイド27の誘い込み溝28bへ当接することとなる。このことによって、集電子1の絶縁トロリー線2へ乗り移る際の集電子片11への衝撃を絶縁トロリー線2と摺接する面全体で受けることができ、集電子片11の一部分への応力集中を回避することができるので、装置の寿命を延ばすと共に、集電子1の走行速度を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の第1の実施形態である絶縁トロリー線集電装置の要部側面図である。
【図2】同絶縁トロリー線集電装置の要部斜視図である。
【図3】同絶縁トロリー線集電装置の下面図(ただし集電子は便宜上上面を示している)である。
【図4】同絶縁トロリー線集電装置における絶縁トロリー線の断面図である。
【図5】同絶縁トロリー線集電装置を示し、(a)は絶縁トロリー線を天井から下向きに固定する場合の絶縁トロリー線集電装置の正面図であり、(b)は絶縁トロリー線を壁面に横向きに固定する場合の絶縁トロリー線集電装置の正面図である。
【図6】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップ取付ベースを示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図である。
【図7】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップ取付ベースを示し、(a)は斜め上方から見た斜視図であり、(b)は斜め下方から見た斜視図である。
【図8】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップガイド本体を示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は正面図であり、(d)は背面図であり、(e)は(b)のA−A断面図である。
【図9】同絶縁トロリー線集電装置におけるピックアップガイド本体の斜視図である。
【図10】同絶縁トロリー線集電装置における集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際の状態を示した要部側面図である。
【図11】同絶縁トロリー線集電装置における集電子を示し、(a)は集電子片ケーシングの集電子側の回転座の軸回りの回転を示す上面図であり、(b)は集電子片ケーシングの枢支部における回転を示す側面図である。
【図12】本願発明の第2の実施形態である絶縁トロリー線集電装置における集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際の状態を示した要部側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 集電子
10 集電子片ケーシング
11 集電子片
2 絶縁トロリー線
22 溝
25 ピックアップ取付ベース
27 ピックアップガイド
28 ピックアップガイド本体
28b 誘い込み溝
3 集電子側の回転座
30 集電子側の軸
4 負荷側の回転座
40 負荷側の軸
5 アーム
8 センタリング部材(弾性部材)
F 負荷
Z 造営材
θ1 集電子片の水平面に対する傾斜角
θ2 誘い込み溝の水平面に対する傾斜角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいことを特徴とする絶縁トロリー線集電装置。
【請求項2】
移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいことを特徴とする絶縁トロリー線集電装置。
【請求項3】
絶縁トロリー線集電装置は、集電子片に設けられている軸を受ける集電子側の回転座と、移動する負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁トロリー線集電装置。
【請求項1】
移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角より大きいことを特徴とする絶縁トロリー線集電装置。
【請求項2】
移動する負荷に取り付けられる集電子を造営材に取り付けられる絶縁トロリー線に摺接させて前記負荷に電気を供給する絶縁トロリー線集電装置であって、集電子は、絶縁トロリー線に摺接する集電子片を備え、絶縁トロリー線は、長手方向に複数に分断されており、各端部に集電子片を絶縁トロリー線にガイドする誘い込み溝を有するピックアップガイドを備え、集電子片の絶縁トロリー線と摺接する面は、集電子が絶縁トロリー線に乗り移る際において水平面に対して傾斜角を有しており、前記傾斜角は、誘い込み溝の水平面に対する傾斜角と等しいことを特徴とする絶縁トロリー線集電装置。
【請求項3】
絶縁トロリー線集電装置は、集電子片に設けられている軸を受ける集電子側の回転座と、移動する負荷に設けられる軸を受ける負荷側の回転座と、両端部が前記集電子側の回転座と負荷側の回転座とにそれぞれ回転可能に連結されるアームとを備え、負荷側の回転座と、集電子片を収容する集電子片ケーシングの前記負荷側の回転座側の端部とを連結する弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁トロリー線集電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−301589(P2008−301589A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142930(P2007−142930)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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