説明

絶縁体介装型プラズマ処理装置

【課題】プラズマに混入する帯電ドロップレット及び中性ドロップレットをより効率的に除去でき、高純度プラズマによる成膜等の表面処理精度の向上を図る。
【解決手段】プラズマ発生部Aとプラズマ輸送管Bとプラズマ処理部Cを含むプラズマ処理装置において、プラズマ輸送管の始端側と終端側に絶縁体IS及び絶縁体IFを介し、プラズマ輸送管Bをプラズマ発生部Aとプラズマ処理部Cから電気的に独立させた絶縁体介装型プラズマ処理装置を構成する。プラズマ輸送管Bを中間絶縁体II1を介して複数の小輸送管B01、B23に分割し、各小輸送管を電気的に独立させる。プラズマ輸送管又は複数の小輸送管を電気的浮動状態にし、又は輸送管用バイアス電源EB01、EB23を接続して、プラズマ輸送管又は小輸送管の電位をGND、可変正電位又は可変負電位に設定可能にする。又、小輸送管を屈曲状に連接して幾何学的構造でドロップレットを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空雰囲気下に設定されたアーク放電部で真空アーク放電を行ってターゲット表面からプラズマを発生させ、前記プラズマに混入するドロップレットを除去しながら、前記プラズマをプラズマ輸送管を介してプラズマ処理部に輸送してプラズマ処理部内の被処理物に成膜等のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマ中で固体材料の表面に薄膜を形成したり、イオンを注入することにより、固体の表面特性が改善されることが知られている。金属イオンや非金属イオンを含むプラズマを利用して形成した膜は、固体表面の耐磨耗性・耐食性を強化し、保護膜、光学薄膜、透明導電性膜などとして有用なものである。特に、カーボンプラズマを利用した炭素膜はダイヤモンド構造とグラファイト構造のアモルファス混晶からなるダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜という)として利用価値が高い。
【0003】
金属イオンや非金属イオンを含むプラズマを発生する方法として、真空アークプラズマ法がある。真空アークプラズマは、陰極と陽極の間に生起するアーク放電で形成され、陰極表面上に存在する陰極点から陰極材料が蒸発し、この陰極蒸発物質により形成されるプラズマである。また、雰囲気ガスとして反応性ガスを導入した場合には、反応性ガスも同時にイオン化される。前記反応性ガスと共に不活性ガス(希ガスという)を導入しても良いし、また前記反応性ガスに代えて前記不活性ガスを導入することもできる。このようなプラズマを用いて、固体表面への薄膜形成やイオンの注入を行って表面処理を行うことができる。
【0004】
一般に、真空アーク放電では、陰極点から陰極材料イオン、電子、陰極材料中性原子団(原子及び分子)といった真空アークプラズマ構成粒子が放出されると同時に、サブミクロン以下から数百ミクロン(0.01〜1000μm)の大きさのドロップレットと称される陰極材料微粒子も放出される。しかし、成膜等の表面処理において問題となるのはドロップレットの発生である。このドロップレットが被処理物表面に付着すると、被処理物表面に形成される薄膜の均一性が失われ、薄膜の欠陥品となる。
【0005】
ドロップレットの問題を解決する一方法として、磁気フィルタ法がある。この磁気フィルタ法の一例として、真空アークプラズマを湾曲したドロップレット捕集ダクトを通してプラズマ処理部に輸送するものがある。この方法によれば、発生したドロップレットは、ダクト内周壁に付着捕獲(捕集)され、ダクト出口ではドロップレットをほとんど含まないプラズマ流が得られる。また、ダクトに沿って配置された磁石により湾曲磁場を形成し、この湾曲磁場によりプラズマ流を屈曲させ、プラズマを効率的にプラズマ加工部に誘導するように構成されている。
【0006】
特開2002−8893号公報(特許文献1)にはドロップレット捕集部を有するプラズマ加工装置が開示されている。図15は、従来のプラズマ加工装置の構成概略図である。プラズマ発生部102では、陰極104とトリガ電極106の間に電気スパークを生起し、陰極104と陽極108の間に真空アークを発生させてプラズマ109が生成される。プラズマ発生部102には、電気スパーク及び真空アーク放電を発生するための電源110が接続され、プラズマ109を安定化させるプラズマ安定化磁場発生器116a、116bが配設されている。プラズマ109はプラズマ発生部102からプラズマ処理部112に誘導され、プラズマ処理部112に配置された被処理物114が前記プラズマ109により表面処理される。また、プラズマ処理部112に接続されるガス導入システムGtにより必要に応じて反応性ガスが導入され、ガス排気システムGhにより反応ガスやプラズマ流が排気される。
【0007】
プラズマ発生部102から放出されるプラズマ109は、磁場によりプラズマ発生部102と対面しない方向にT字状に屈曲され、プラズマ処理部112に流入される。プラズマ発生部102と対面する位置には、プラズマ109の発生時に陰極から副生される陰極材料微粒子(ドロップレット)118が捕集されるドロップレット捕集部120が配設されている。従って、磁場の影響を受けないドロップレット118がドロップレット捕集部120に進行して捕集され、ドロップレット118がプラズマ処理部112内に進入することが防止される。具体的なドロップレット捕集手段として、例えば、特開2002−105628号公報(特許文献2)には、プラズマダクト内壁に設けたバッフルにより、プラズマ処理部に到達しないドロップレットを付着、捕集することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−8893号公報
【特許文献2】特開2002−105628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図15に示した、従来のプラズマ処理装置では、前記磁場の影響を受けない中性ドロップレット118がドロップレット捕集部120に捕集されるが、プラズマ109との相互作用などにより電荷が付与された帯電ドロップレットが磁場によりプラズマ処理部112に誘導される場合があった。更に、ドロップレット捕集部120に捕集されない、粒径の小さなドロップレットが壁面を反射しながらプラズマ処理部112に誘導される場合があった。このように、ドロップレットがプラズマ処理部112に入射すると、ドロップレットが被処理物表面に付着するため、被処理物表面に対する薄膜形成や表面改質の均一性が失われ、被処理物の表面特性を低下させるといった問題を生じていた。
【0010】
また、前記磁気フィルタ法においても、前述のように、湾曲磁場によりプラズマ流を屈曲させ、プラズマを効率的にプラズマ処理部に移動させるものであるから、プラズマ流に混入する帯電ドロップレットや微小なドロップレットが除去されずにプラズマ処理部に誘導され、被処理物表面に衝突又は付着することを防止できなかった。
【0011】
最近のプラズマ成膜技術においては、種々の材料を用いた成膜が行われているが、成膜装置による平滑性等の成膜精度の向上が求められている。上述のように、ドロップレット付着が成膜精度に強く影響することから、プラズマ生成装置におけるドロップレット除去効率の向上が必要とされている。
【0012】
従って、本発明の目的は、プラズマ処理装置において、プラズマに混入する中性ドロップレット及び帯電ドロップレットをより効率的に除去でき、高純度プラズマによる成膜等の表面処理精度の向上を図ることのできるプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ターゲットから発生するドロップレットには、正電気及び/又は負電気を帯びた帯電ドロップレット(正ドロップレット及び負ドロップレット)と、帯電していない中性ドロップレットが存在する。これら2種のドロップレットを除去するために鋭意研究した結果、本発明者は前記ドロップレットを除去する有効な三種の方法を発見した。
【0014】
第1に、帯電ドロップレットの除去方法から説明する。プラズマ輸送管の中に電位差が存在すれば、帯電ドロップレットは前記電位差に基づく電気力により強制的に駆動され、その方向がプラズマ進行方向であればプラズマに強制混入されることになる。従って、プラズマ輸送管をプラズマ発生部及びプラズマ処理部から絶縁分離してプラズマ輸送管全体を電気的に同電位にすれば、プラズマ輸送管内では、帯電ドロップレットに対する電気力は作用せず、帯電ドロップレットを中性ドロップレットと同様に後述する方法で除去することが可能になる。プラズマ輸送管を同電位にするために、プラズマ輸送管に外部から電位を全く付与せず、電気的に浮かせた状態(電気的浮動状態)にする場合と、バイアス電源によってプラズマ輸送管を一定電位に強制保持する場合が含まれる。
【0015】
第2に、前記プラズマ輸送管を中間絶縁体によって複数段の小輸送管に分割すれば、中間絶縁体の絶縁作用により、個々の小輸送管を外部に対し電気絶縁でき、その結果、プラズマ輸送管全体の電気絶縁性を向上できる。個々の小輸送管を一定電位にする方法として、個々の小輸送管に外部から電位を全く付与せず、電気的に浮かせた状態(電気的浮動状態)にする場合と、個々の小輸送管にバイアス電源を接続して、個々の小輸送管を強制的に一定電位に保持する場合がある。この同電位状態の場合に、小輸送管内では、帯電ドロップレットに対する電気力は作用せず、帯電ドロップレットを中性ドロップレットと同様に後述する方法で除去することが可能になる。
【0016】
個々の小輸送管にバイアス電源を付設した場合には、前記バイアス電源により個々の小輸送管の電位を任意の正電位・負電位及びGND(接地電位)に設定できる。特に、隣接する小輸送管の電位を、正負及びGND(接地電位)を含めた範囲内で高電位と低電位に夫々設定すれば、隣接する高電位から低電位への電気力で正ドロップレットが小輸送管の壁面に電気吸着され、逆に低電位から高電位への電気力では負ドロップレットが小輸送管の壁面に電気吸着されることになる。従って、帯電ドロップレットを壁面に電気吸着して除去することができる。
【0017】
第3に、中性ドロップレットに対する除去方法が提案される。中性ドロップレットは電気作用や磁気作用を受けないから、プラズマ輸送管を壁面反射しながら直進する。プラズマ輸送管を折れ曲がった屈曲構造にすれば、屈曲部で中性ドロップレットは屈曲しないで直進するから、壁面に衝突して除去される。具体的には、プラズマ輸送管として、プラズマ直進管と、このプラズマ直進管に対しT字状に略90度屈曲した第1プラズマ進行管と、第1プラズマ進行管に対し所定屈曲角で傾斜配置された第2プラズマ進行管と、前記第2プラズマ進行管の終端に屈曲状に連接された第3プラズマ進行管を設ければ、3回の屈曲部で中性ドロップレットは直進して壁面と衝突して除去される。つまり、プラズマ輸送管を、T字屈曲、傾斜屈曲及び逆傾斜屈曲の3段屈曲させた幾何学的形状にして中性ドロップレットを除去する方法も提案される。
【0018】
本発明者は、上記第3の中性ドロップレットの除去方法を確立するために、以下の研究を行なった。この研究では、前述した様に、分割されないプラズマ輸送管を電気的浮動状態に設定した。ドロップレット除去部をプラズマ輸送管に配置するうえで、プラズマ輸送管の形態とプラズマ処理条件(成膜レート)の関係を検証した。この検証実験では1枚の基板に対してプラズマ照射を4秒間行った成膜処理における成膜レート(nm/sec)を求めた。幅d1が2.5in(インチ)、長さD2が2.5in(インチ)、任意厚さtのサイズの基板を使用した。図14は、成膜レートに対するプラズマ輸送距離の関係を示す。この明細書を通じて、プラズマ輸送距離とは、プラズマ発生部(ターゲット面)から放出されるプラズマがプラズマ処理部内の被処理物(基板)に到達するまでの合計距離で定義される。
【0019】
図14のA1、A2はそれぞれ、図15により示したT字状に屈曲させたプラズマ輸送管による場合、前記磁気フィルタ法で説明した湾曲させたプラズマ輸送管を用いた場合を示し、各プラズマ輸送距離は1440mm、1380mmである。A1のT字型プラズマ輸送管における成膜レートは約0.3nm/secであり、A2のおける湾曲プラズマ輸送管における成膜レートは約0.6nm/secである。上記の検証からプラズマ輸送距離が成膜レートに影響していることがわかる。ここで、1nm/sec=10A/secの換算式を用いて図14は理解される。
【0020】
半導体基板等に使用される、通常の成膜条件としては約0.8nm/secを超える成膜レートが必要である。ドロップレットの付着量も、上記の2.5in(インチ)×2.5in(インチ)サイズの基板においては50個以下が好ましいが、上記の検証の場合には約1000個のドロップレットが付着していた。プラズマ輸送距離が成膜レートに影響していることを考慮すると、プラズマ輸送管によるプラズマ輸送距離を短縮すれば成膜レートを改善できることになるが、単に輸送経路を短縮化するだけでは、それに伴ってドロップレットの侵入量が増加してしまうことがわかった。
【0021】
上記検証結果を鋭意検討して、本発明者は、プラズマ輸送管の途中に傾斜型プラズマ進行管形成して、プラズマ進行路を3段階に屈曲形成することにより、プラズマ輸送管全体を短縮しても、ドロップレットの侵入をより効率的に防いで、好適な成膜レートによるプラズマ処理を行えることの知見を得るに至った。
【0022】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、真空雰囲気下で真空アーク放電を行ってターゲット表面からプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマ発生部により発生されたプラズマを輸送するプラズマ輸送管と、前記プラズマ輸送管から供給されるプラズマにより被処理物を処理するプラズマ処理部を含むプラズマ処理装置において、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管の間に始端側絶縁体を介装し、前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部の間に終端側絶縁体を介装して、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部を相互に電気的に独立させ、プラズマ輸送管に対する前記プラズマ発生部と前記プラズマ処理部からの電気的影響を遮断したことを特徴とする絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0023】
本発明の第2の形態は、前記第1形態において、前記プラズマ輸送管を複数の小輸送管に分割し、隣接する小輸送管の間に中間絶縁体を介装して、前記小輸送管同士を電気的に独立させ、任意の前記小輸送管に対する他の前記小輸送管からの電気的影響を遮断した請求項1に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0024】
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2形態において、プラズマ輸送管又は前記複数の小輸送管は、電位が強制的に付与されない電気的浮動状態にある絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0025】
本発明の第4の形態は、前記第1又は第2形態において、前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管の各々に輸送路用バイアス電源を接続し、前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0026】
本発明の第5の形態は、前記第1〜第4形態のいずれかにおいて、プラズマを発生させるターゲットを収容して前記ターゲットと電気的に絶縁されたプラズマ発生部容器の下方に、予備ターゲットを収容するターゲット交換部容器を配置し、前記プラズマ発生部容器と前記ターゲット交換部容器の間に容器間絶縁体を介装して前記プラズマ発生部容器と前記ターゲット交換部容器を電気的に独立させ、前記プラズマ発生部容器は電位が強制的に付与されない電気的浮動状態に設定され、前記ターゲット交換部容器に容器用バイアス電源を付設し、前記ターゲット交換部容器に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0027】
本発明の第6の形態は、前記第1〜第5形態のいずれかにおいて、前記被処理物を収容したプラズマ処理部容器に処理部用バイアス電源を付設して、前記プラズマ処理部容器に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0028】
本発明の第7の形態は、前記第1〜第6形態のいずれかにおいて、前記プラズマ処理部内の前記被処理物は、電位が強制的に付与されない電気的浮動状態に設定されるか、被処理物用バイアス電源を付設して前記被処理物に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0029】
本発明の第8の形態は、前記第1〜第7形態のいずれかにおいて、前記プラズマ輸送路は、前記プラズマ発生部に連接されたプラズマ直進管と、前記プラズマ直進管に屈曲状に連接された第1プラズマ進行管と、前記第1プラズマ進行管の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管と、前記第2プラズマ進行管の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管とから構成され、前記プラズマが前記ターゲット表面から被処理物に到達するまでの合計長さLが、900mm≦L≦1350mmを満たすように設定される絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0030】
本発明の第9の形態は、前記第8形態において、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側を直線状に透視させない位置に、前記第2プラズマ進行管が幾何学的に配置された絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0031】
本発明の第10の形態は、前記第9形態において、前記第3プラズマ進行管のプラズマ入口側の管断面上端から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端に対する仰角をθとし、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端から前記第2プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面上端に対する仰角をθとしたとき、θ≧θが満足される絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0032】
本発明の第11の形態は、前記第8、9又は10形態において、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれに、プラズマ搬送用磁場を発生するプラズマ搬送用磁場発生手段を設け、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管に、前記プラズマ搬送用磁場を偏向させる偏向磁場発生手段を付設し、前記偏向磁場発生手段により発生される偏向磁場によりプラズマ流を管中心側に偏向させる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0033】
本発明の第12の形態は、前記第11形態において、前記偏向磁場発生手段は、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管の外周に配置されたヨークと、そのヨークに巻回された磁場コイルとからなり、前記ヨークは、管軸方向にスライド調整、周方向に回動調整、及び/又は管軸方向に揺動調整される絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0034】
本発明の第13の形態は、前記第11形態において、前記プラズマ搬送用磁場発生手段は、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管外周に巻回された磁場コイルからなる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0035】
本発明の第14の形態は、前記第13形態において、前記第2プラズマ進行管の管外周に巻回された磁場コイルは、その管外周に対して傾斜軸に沿って楕円状に巻回された磁場コイルからなる絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0036】
本発明の第15の形態は、前記第8〜14形態のいずれかにおいて、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管内壁面にドロップレット捕集板が植設され、前記植設領域が管内壁面積の70%以上である絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0037】
本発明の第16の形態は、前記第8〜15形態のいずれかにおいて、前記第2プラズマ進行管を拡径管とし、前記第1プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管とし、前記第3プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管とする絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0038】
本発明の第17の形態は、前記第8〜16形態のいずれかにおいて、前記第2プラズマ進行管と前記第3プラズマ進行管の連接部に、前記第2プラズマ進行管から前記第3プラズマ進行管に供給されるプラズマ流を進行方向に集束整流する整流磁場発生手段、及び/又は前記プラズマ流をその断面方向に偏向振動させる偏向振動磁場発生手段が設けられた絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0039】
本発明の第18の形態は、前記第15形態において、前記第2プラズマ進行管内に植設されたドロップレット捕集板は前記第2プラズマ進行管の管壁と電気的に遮断されており、前記ドロップレット捕集板にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段が設けられた絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【0040】
本発明の第19の形態は、前記第8〜18形態において、前記第2プラズマ進行管内に、管軸方向に沿って設置位置が変更可能な1個以上のアパーチャーを配設し、前記アパーチャーは所定面積の開口部を有する絶縁体介装型プラズマ処理装置である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の第1の形態によれば、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管の間に始端側絶縁体を介装し、前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部の間に終端側絶縁体を介装することにより、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部が完全な電気的独立状態になる。その結果、プラズマ輸送管に対する前記プラズマ発生部と前記プラズマ処理部からの電気的影響が完全に遮断され、一般に金属で形成されるプラズマ輸送管は全体として同電位となり、プラズマ輸送管には電位差は存在しない。電位差が無いから、電位差に基づく荷電粒子に対する電気力は発生しない。帯電ドロップレットは荷電粒子の一種であるから、同電位状態にあるプラズマ輸送管内では、帯電ドロップレットに電気力が作用せず、帯電ドロップレットは中性ドロップレットと同様に取り扱うことができる。従って、後述する中性ドロップレットの幾何学的除去方法によって、帯電ドロップレットも中性ドロップレットと一緒に、プラズマ輸送管を進行する途中で除去することができるようになる。故に、プラズマ輸送管から供給されるプラズマは、中性ドロップレット除去構造により中性ドロップレットと帯電ドロップレットが除去された高純度プラズマになり、この高純度プラズマによりプラズマ処理部内の被処理物に対し高純度プラズマ処理を可能にすることができる。
【0042】
本発明の第2の形態によれば、前記プラズマ輸送管を中間絶縁体によって複数段の小輸送管に分割するから、小輸送管同士が電気的に独立状態となり、一つの小輸送管に対する残り全ての小輸送管からの電気的影響が遮断できる。勿論、始端側絶縁体と終端側絶縁体により小輸送管群の全体は、プラズマ発生部とプラズマ処理部から絶縁されており、小輸送管の電気的絶縁状態が第1形態よりも一層向上する。その結果、個々の小輸送管は同電位に保持されており、各小輸送管内で帯電ドロップレットに対する電気力は全く作用せず、帯電ドロップレットは中性ドロップレットと同様に、幾何学的除去構造だけで除去することが可能になった。
【0043】
本発明の第3の形態によれば、前記プラズマ輸送管又は前記複数の小輸送管には、バイアス電源は全く接続されず、電位が強制的に付与されない電気的浮動状態となる。プラズマ輸送管及び分割された小輸送管は金属管であり、バイアス電源が接続されなければ、金属管の全体が同電位になる。絶縁体により外部から電荷は注入されず、プラズマ輸送管や小輸送管には電荷は存在しないので、プラズマ輸送管や小輸送管といった金属管は同電位に保持される。空中から電荷が注入されることは無いが、空中からの金属管への電荷注入を仮定した場合を考えてみる。そのとき、金属管中に電荷が注入されるが、電荷同士の反発力により電荷は金属管表面に分布するだけで金属管中には残留せず、その結果、電磁気のガウスの定理を持ち出すまでもなく、金属管表面は同電位になることが明らかである。従って、第1形態では、前記プラズマ輸送管の全体が同電位になり、また第2形態では前記複数の小輸送管の全体が同電位になるから、これらの金属管の中を進行する帯電ドロップレットには電気力が全く作用せず、帯電ドロップレットを中性ドロップレットと同様に、プラズマ輸送管又は小輸送管の幾何学的構造により除去することが可能になる。
【0044】
本発明の第4の形態によれば、前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管の各々に輸送路用バイアス電源が接続されるから、前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管は、バイアス電源により強制付与された所定の電位を有することになる。前記バイアス電源は、可変な正電位、可変な負電位、又はGND(接地電位)を付与することができる。正電位の可変範囲は0〜50(V)、負電位の可変範囲は0〜−50(V)が望ましい。正電位、負電位、又はGNDのいずれを選択するかは、プラズマ処理部に供給されるプラズマの密度、及び帯電ドロップレットの除去効率から選択される。また、正電位の大きさ及び負電位の大きさの調整も、前記プラズマ密度と帯電ドロップレットの除去効率により行なわれる。前記プラズマ輸送管を分割しない場合には、前記プラズマ輸送管を電気的浮動状態(バイアス電位を付与しない)に設定することが、実験的に良好であることを本発明者は見出した。前記プラズマ輸送管を2分割する場合には、プラズマ発生部に近い小輸送管を−5〜−10(V)、プラズマ処理部に近い小輸送管をGNDに設定することが良好な結果を与えることが、現在行なっている実験系では良好であることを本発明者は見出した。これらの良好形態は実験装置と実験環境に依存するから、他のバイアス電位設計も有り得る。
【0045】
尚、バイアス電源により正電位を輸送管に付与した場合には、正電気のプラズマを反発してプラズマ輸送効率が増大し、プラズマ処理部における成膜速度は増大するが、帯電ドロップレットの除去効率が低下し、成膜中のドロップレット個数が増加する傾向にある。逆に、バイアス電源により負電位を輸送管に付与した場合には、正電気のプラズマを吸引してプラズマ輸送効率が低下し、プラズマ処理部における成膜速度は低下するが、帯電ドロップレットの除去効率が増大し成膜中のドロップレット個数が減少する傾向にある。従って、成膜速度と成膜中ドロップレット堆積個数とは逆関係にある。ドロップレットを減少させても、成膜速度が低下して、所定膜厚を得るための成膜時間が増加すると、結果的にドロップレット個数が増加してしまう場合も存在する。従って、成膜速度とドロップレット個数密度の両者を満足させるために、バイアス電源による付与電位を微妙に調整することが必要である。このため、プラズマ輸送管を複数の小輸送管に分割して、各小輸送管のバイアス電位を相互に調整することにより、成膜速度とドロップレット個数密度の両者を満足させることが可能になる。分割数が増加するほど、前記調整は容易になる。
【0046】
本発明の第5の形態によれば、プラズマ発生部容器とターゲット交換部容器を容器間絶縁体により電気絶縁し、前記プラズマ発生部容器を電気的浮動状態に設定し、前記ターゲット交換部容器に容器用バイアス電源を付設するして任意のバイアス電位を付与できる。前記プラズマ発生部容器が電気的浮動状態に設定されると、前記プラズマ発生部容器は生成されたプラズマに対し電気的影響を与えず、プラズマのプラズマ輸送管への進行を円滑に行なえる。また、前記ターゲット交換部容器には、可変な正電位、可変な負電位又はGNDが付与でき、プラズマ処理装置を最適調整することが可能になる。現在行なっている実験系では、GNDの選択が安全上から考えて良好であるが、実験装置と実験環境に依存するから、他のバイアス電位設計も有り得る。
【0047】
本発明の第6の形態によれば、前記被処理物を収容したプラズマ処理部容器に処理部用バイアス電源を付設するから、前記プラズマ処理部容器に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を自在に可変できる。前記プラズマ処理部容器には、可変な正電位、可変な負電位又はGNDが付与でき、プラズマ処理装置を最適調整することが可能になる。現在行なっている実験系では、GNDの選択が安全上から考えて良好であるが、実験装置と実験環境に依存するから、他のバイアス電位設計も有り得る。
【0048】
本発明の第7の形態によれば、前記プラズマ処理部内の前記被処理物は、電気的浮動状態に設定されても良いし、又は被処理物用バイアス電源を付設して前記被処理物に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を自在に可変できる。前記被処理物にバイアス電位を付与する場合には、可変な正電位、可変な負電位又はGNDが選択され、プラズマ処理を最適調整することが可能になる。現在行なっている実験系では電気的浮動状態に設定されことが良好であるが、実験装置と実験環境に依存するから、他のバイアス電位設計も有り得る。
【0049】
本発明の第8の形態によれば、前記プラズマ輸送管は、前記プラズマ発生部に連接されたプラズマ直進管と、前記プラズマ直進管に屈曲状に連接された第1プラズマ進行管と、前記第1プラズマ進行管の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管と、前記第2プラズマ進行管の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管とから3段階に屈曲構成され、ターゲット面から被処理物までの合計長さLが、900mm≦L≦1350mmを満たすように設定されたプラズマ生成装置が提供される。更に詳細には、前記合計長さLは、ターゲット面から前記プラズマ直進管の出口までの長さL0、前記第1プラズマ進行管の長さL1、前記第2プラズマ進行管の長さL2、前記第3プラズマ進行管の長さL3、及び前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口からプラズマが被処理物に到達するまでの有効距離L4を加えた合計長さ、即ちL=L0+L1+L2+L3+L4により定義され、図1にその詳細が示されている。このように、前記合計長さLが、900mm≦L≦1350mmを満たすように設定されるので、図14に示すように、プラズマ進行路によるプラズマ輸送距離を、従来のT型プラズマ進行路や湾曲プラズマ進行路よりも短縮して成膜レートを向上させることができ、しかも、単に直進経路を短縮化するのではなく、前記3段階の屈曲経路化の幾何学的構造により高効率に中性ドロップレットを除去し、しかも第1形態から第7形態までの構成により帯電ドロップレットも前記幾何学的構造により高効率に除去でき、成膜等の表面処理精度の向上に実現できる高純度プラズマを生成することができる。
前記第2プラズマ進行管は前記屈曲角(傾斜角)で傾斜しており、傾斜角が大きい場合はドロップレットは遮断できるが、プラズマ密度が低下するため被処理物表面への成膜速度は低下する。逆に、傾斜角が小さい場合にはドロップレットは処理室内に進入するが、プラズマ密度の低下が小さいため被処理物表面への成膜速度は低下しない。従って、成膜速度とドロップレットの許容度との関係で前記傾斜角を適宜選択することができる。
【0050】
本発明における前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管による前記3段階の屈曲経路は、各管を同一平面上に連結して構成されたり、あるいは空間的に3次元配置して構成される。
【0051】
本発明の第9の形態によれば、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側を直線状に透視させない位置に、前記第2プラズマ進行管が幾何学的に配置されているので、前記第1プラズマ進行管から導出されるドロップレットが直接的に前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から排出されずに、前記前記3段階の屈曲経路過程において経路内壁に衝突して付着除去されてしまうので、被処理物に付着するドロップレットを大幅に低減でき、高効率にドロップレットが除去された高純度プラズマによるプラズマ処理が可能になる。
前記第3プラズマ進行管の出口は、後述するプラズマ処理部の外壁面に直接連結されても良いし、前記外壁面の内部まで没入させて配置しても良い。更には、前記第3プラズマ進行管の出口と前記外壁面の位置関係を保持しながら、後述する第17形態のように、第2プラズマ進行管と第3プラズマ進行管の間に整流管や偏向振動管を介在させることもできる。
【0052】
本発明の第10の形態によれば、前記第3プラズマ進行管のプラズマ入口側の管断面上端から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端に対する仰角をθとし、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端から前記第2プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面上端に対する仰角をθとしたとき、θ≧θが満足されるので、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側を直線状に透視させない位置に、前記第2プラズマ進行管を配置することができる。従って、例えば、前記3段階の屈曲経路を同一平面上に連結して構成する場合などにおいては、前記第1プラズマ進行管から導出されるドロップレットが直接的に前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から排出されない管路構成を実現でき、高効率にドロップレットが除去された高純度プラズマを用いたプラズマ処理を行うことができる。
前述したように、前記第3プラズマ進行管の出口は、後述するプラズマ処理部の外壁面に直接連結されても良いし、前記外壁面の内部まで没入させて配置しても良いことは云うまでもない。また、第2プラズマ進行管と第3プラズマ進行管の間に整流管や偏向振動管を介在させても良いことは云うまでもない。
【0053】
本発明の第11の形態によれば、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれに、プラズマ搬送用磁場を発生するプラズマ搬送用磁場発生手段を設け、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管に、前記プラズマ搬送用磁場を偏向させる偏向磁場発生手段を付設し、前記偏向磁場発生手段により発生される偏向磁場によりプラズマ流を管中心側に偏向させるので、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管の連接部分における前記プラズマ搬送用磁場の不均一、つまり前記プラズマ搬送用磁場発生用磁場コイルの構成に起因して屈曲部の内側に付加磁場が強くなってしまう不都合を前記偏向磁場により偏向調整して、管路中心にプラズマ流を誘導して、プラズマ密度を高密度に維持して、高密度かつ高純度プラズマを用いたプラズマ処理を行うことができる。
【0054】
本発明の第12の形態によれば、前記偏向磁場発生手段は、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管の外周に配置されたヨークと、そのヨークに巻回された磁場コイルとからなり、前記ヨークは、管軸方向にスライド調整、周方向に回動調整、及び/又は管軸方向に揺動調整されるので、前記ヨークの可動によって前記偏向磁場による微調整を行って前記プラズマ搬送用磁場の不均一の解消を図ることができ、前記3段階の屈曲経路の幾何学的配置からなる、最適なプラズマ進行路を実現することができる。
【0055】
本発明の第13の形態によれば、前記プラズマ搬送用磁場発生手段は、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管外周に巻回された磁場コイルからなるので、前記3段階の屈曲経路全体に前記プラズマ搬送用磁場を発生させて、プラズマ輸送効率を向上させ、高密度かつ高純度プラズマを用いたプラズマ処理を行うことができる。
【0056】
前記プラズマ搬送用磁場発生用磁場コイルを、傾斜配置された前記第2プラズマ進行管に傾斜軸に沿って円形状に巻回して設けると、他の管との連接部付近においてコイルが巻回されない空隙を生じ、不均一磁場を生じてプラズマ輸送効率が低下してしまう。そこで、本発明の第14の形態によれば、前記第2プラズマ進行管の管外周に巻回された磁場コイルは、その管外周に対して傾斜軸に沿って楕円状に巻回された磁場コイルからなるので、かかる空隙を生ずることなく、前記第2プラズマ進行管の傾斜面に密に磁場コイルを巻回して、不均一磁場を生じずにプラズマ輸送効率を向上させ、高密度かつ高純度プラズマを用いたプラズマ処理を行うことができる。
【0057】
本発明の第15の形態によれば、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管内壁面にドロップレット捕集板が植設され、前記植設領域が管内壁面積の70%以上であるので、プラズマ進行路用管内でのドロップレット付着表面積を多くして、飛散ドロップレットを大量かつ確実に付着、回収でき、プラズマ流の高純度化を実現することができる。
【0058】
本発明の第16の形態によれば、前記第2プラズマ進行管を拡径管とし、前記第1プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管とし、前記第3プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管とするので、前記導入側縮径管より前記拡径管内に導入されたプラズマ流が前記拡径管による前記プラズマ進行路の拡径作用により拡散される。そのプラズマ流の拡散により、プラズマに混入しているドロップレットも前記拡径管内に拡散するため、前記拡径管の内側壁に衝突して付着、回収される。また、前記拡径管内のプラズマ流が排出されるときには、前記拡径管から前記排出側縮径管への縮径作用により、前記拡径管内壁面側に飛散したドロップレットが段差部に衝突して付着・回収され、プラズマ流に合流することが無くドロップレットの再混入を防ぐことができる。従って、前記拡径管の内側壁にドロップレットを付着させて、十分に回収でき、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管の管路においてドロップレットを効率的に除去することができる。また、拡径管と導入側縮径管及び/又は排出側縮径管の中心軸を合致させずに偏心させておけば、プラズマ流からドロップレットが分離しやすくなり、ドロップレットの捕集効果が一層高まる。しかも、前記プラズマ進行路に前記拡径管を形成するだけで、簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成でき、更にドロップレット除去効率の向上により得られる高純度プラズマを用いて成膜等の表面処理精度を向上させ、被処理物表面の表面改質や形成膜の均一性を格段に向上させることができる。
【0059】
本発明の第17の形態によれば、傾斜配置された前記第2プラズマ進行管の終端における前記第3プラズマ進行管との連接部においてはプラズマ流が蛇行したり拡散する場合があるので、前記第2プラズマ進行管の出口にプラズマ整流管を配置し、このプラズマ整流管の外周にプラズマ流を強制的に進行方向に集束整流させる整流磁場発生手段を設けても良い。プラズマ進行方向に集束磁場を印加すると、蛇行したり拡散していたプラズマ流を強制的に集束しながら前進させることができる。また、前記プラズマ整流管の出口にラッパ管状の偏向振動管を配置し、前記偏向振動管の外周に偏向振動磁場発生装置(即ち、ヨークコイル)を配置して、偏向振動管の内部にその断面方向にプラズマ流を左右(又は上下)に振る偏向振動磁場を形成することができる。左右方向(断面X軸方向)と上下方向(断面Y軸方向)の両方向に偏向振動させれば、プラズマ流を広範囲に走査することが可能になる。このように、プラズマ流を偏向走査することにより、非処理物への照射面積がプラズマ流断面積より大きい場合に、プラズマ照射面積を自在に増減することが可能になる。前記プラズマ整流管と前記偏向振動管を組み合わせて配置しても良いし、単独で配置してもよいことは云うまでもない。
【0060】
本発明の第18の形態によれば、前記第2プラズマ進行管内に植設されたドロップレット捕集板は前記第2プラズマ進行管の管壁と電気的に遮断されており、前記ドロップレット捕集板にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段が設けられているので、前記ドロップレット捕集板に前記バイアス電圧が印加されるから、そのバイアス電位を調整することにより、プラズマの減衰を抑制でき、プラズマ搬送効率を増加させることが可能になる。印加電圧は+の場合と−の場合がある。印加形態は好適に選択される。+電位の場合には、+イオンは反発して搬送方向に押し出され、−電位の場合には電子が反発して搬送方向に押し出される。+−いずれの電位を印加するかは、プラズマ搬送効率を増加させるように選択される。また電位の大きさも種々に調節され、プラズマ搬送効率を増加させる電位強度が選択される。
【0061】
本発明の第19の形態によれば、前記第2プラズマ進行管内に、管軸方向に沿って可動するアパーチャーを配設し、前記アパーチャーは所定面積の開口部を有するので、前記アパーチャーにより前記第2プラズマ進行管内を縮径してドロップレットを捕集し、しかもその設置位置を変更して捕集量を最適に調整することができ、ドロップレット除去効率の向上に寄与する。なお、前記開口部は前記アパーチャーの中心に設けるだけでなく、偏心させて管内プラズマ流を蛇行させる機能を付与することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態(始端側絶縁体と終端側絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態(第1中間絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態(第1中間絶縁体と第2中間絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図4】本発明に用いるバイアス電源の構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態(更に詳細な第2実施形態)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図6】第4実施形態に係る可動ヨーク29の配置状態を示す配置図である。
【図7】可動ヨーク29の回動調整機構を示す構成図である。
【図8】可動ヨーク29のスライド調整及び揺動調整機構を示す構成図である。
【図9】第4実施形態に係るプラズマ搬送用磁場発生用磁場コイルの模式的構成図である。
【図10】第4実施形態に係る内周管61の部分拡大断面図である。
【図11】第4実施形態に係る可動アパーチャー70の平面図とアパーチャー70の取り付け状態図である。
【図12】第5実施形態であるプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図13】第5実施形態に係る円錐台形管(偏向振動管)1108に形成される走査用磁場の説明図である。
【図14】成膜レートに対するプラズマ輸送距離の関係を示す関係図である。
【図15】従来のプラズマ加工装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0064】
図1は、本発明の第1実施形態(始端側絶縁体と終端側絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。図に示すプラズマ処理装置は、プラズマ処理部(チャンバー)Cに供給するプラズマを発生させるプラズマ発生部A及びプラズマ輸送管Bから構成される。プラズマ処理部Cには、ワーク(プラズマ被処理物)Wが設置され、チャンバー内に接続されるガス導入システムにより必要に応じて反応性ガスがガス流入口24aから導入され、ガス排気システムにより反応ガスやプラズマ流が排気口25から排気される。プラズマ発生部Aは真空雰囲気下で真空アーク放電を行ってプラズマを発生させる陰極(ターゲット)を有する。プラズマ輸送路Bは、プラズマを流通させる管路からなり、プラズマ輸送路Bは、陰極から副生するドロップレットを幾何学的構造により除去するドロップレット除去部の構造も有している。このプラズマ輸送路Bは、プラズマ流通管路でもあり、プラズマ発生部Aに連接されたプラズマ直進管P0と、プラズマ直進管P0に屈曲状に連接された第1プラズマ進行管P1と、第1プラズマ進行管P1の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管P2と、第2プラズマ進行管P2の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管P3とから構成されている。
前記第3プラズマ進行管P3の出口S3は、前記プラズマ処理部Cの外壁面の内部に没入させて延設されているが、後述する図5に示されるように、前記出口S3を前記外壁面にフランジ(図示せず)を介して直結しても良いなど、接続形式は自在に調整できる。
【0065】
プラズマ直進管P0はプラズマ発生部Aから直進するドロップレットを、プラズマ発生部Aに対向する終端部Eあるいは管内壁に衝突させて付着、除去する。プラズマ発生部Aの前記ターゲット位置C2からプラズマ直進管P0の出口、即ち、プラズマ直進管P0と第1プラズマ進行管P1との連接点までのプラズマ進行長さをL0とする。第1プラズマ進行管P1はプラズマ直進管P0の終端側側壁にて直交する向きに連通して連接されている。第1プラズマ進行管P1のプラズマ進行長さをL1とする。第2プラズマ進行管P2は第1プラズマ進行管P1及び第3プラズマ進行管P3の間に傾斜配置されており、そのプラズマ進行長さをL2とする。第3プラズマ進行管P3は第1プラズマ進行管P1と平行する向きに配置され、そのプラズマ進行長さをL3とする。第3プラズマ進行管P3のプラズマ出口はプラズマ処理部C内部まで延設されている。第3プラズマ進行管P3のプラズマ出口より排出されるプラズマがプラズマ処理部C内の被処理物の設置位置C1まで到達するプラズマ有効距離をL4とする。プラズマ直進管P0、第1プラズマ進行管P1、第2プラズマ進行管P2及び第3プラズマ進行管P3により3段階に屈曲形成されたプラズマ進行路を形成している。
【0066】
各プラズマ進行管の外周には、プラズマ流Pを管路に沿って搬送するためのプラズマ搬送用磁場を発生させる磁場コイル(図示せず)が巻回されている。磁場コイルからなるプラズマ搬送用磁場発生手段により、前記3段階の屈曲経路全体にプラズマ搬送用磁場を発生させて、プラズマ輸送効率を向上させている。また、管内壁にはドロップレット除去用バッフル(図示せず)が設置されている。
【0067】
上記構成に係るプラズマ進行路において、ターゲット面からプラズマ直進管P0の出口面の間、第1プラズマ進行管P1、第2プラズマ進行管P2及び第3プラズマ進行管P3のそれぞれのプラズマ進行長さL0〜L3にプラズマ有効距離L4を加えた合計長さ(プラズマ輸送距離)L(=L0+L1+L2+L3+L4)は、900mm≦L≦1350mmを満たすように設定されている。本実施形態では、図14のA3に示すように、Lを1190mmにしている。このプラズマ輸送距離の設定下において、A1及びA2の上記検証実験と同様に、1枚の基板に対してプラズマ照射を行い、3nmの厚みの成膜を実施したとき、約1.5nm/secの成膜レートが得られた。
【0068】
本実施形態によれば、上記プラズマ進行路によるプラズマ輸送距離を、従来のT字プラズマ進行路や湾曲プラズマ進行路よりも短縮して成膜レートを向上させることができ、しかも、単に直進経路を短縮化するのではなく、前記3段階の屈曲経路化により高効率にドロップレットを除去して、成膜等の表面処理精度の向上に実現できる高純度プラズマを生成することができる。即ち、T字状に屈曲させたプラズマ進行路による場合(A1)、湾曲させたプラズマ進行路を用いた場合(A2)と比較して、プラズマ輸送距離が短縮され、しかも、半導体基板等に使用される、良好な成膜条件として高い成膜レート(約1.5nm/sec)を得ることができる。
【0069】
本実施形態では、プラズマ進行路が前記3段階の屈曲経路で構成され、更に図1に示す管路配置により、極めて良好なドロップレット除去効果を奏する。このドロップレット除去効果により、幅d1が2.5in(インチ)、長さD2が2.5in(インチ)、任意厚さtのサイズの基板(ワークW)に対してプラズマを4秒間照射したときのドロップレットの付着量は、10個〜100個未満となった。
【0070】
第3プラズマ進行管P3のプラズマ出口S3から第1プラズマ進行管P1のプラズマ出口S1側を直線状に透視させない位置に、第2プラズマ進行管P2が幾何学的に配置されている。即ち、第3プラズマ進行管P3のプラズマ入口S2側の管断面上端から第1プラズマ進行管P1のプラズマ出口S1側の管断面下端に対する仰角をθとし、第3プラズマ進行管P3のプラズマ出口S3側の管断面下端から第2プラズマ進行管P2のプラズマ出口S2側の管断面上端に対する仰角をθとしたとき、θ≧θが満足される。
【0071】
上記の幾何学的管路配置により、第1プラズマ進行管P1から導出される直進ドロップレットが直接的に第3プラズマ進行管P3に侵入するのを回避して、第3プラズマ進行管P3のプラズマ出口S3から排出されないようにすることができる。従って、前記前記3段階の屈曲経路過程において経路内壁にドロップレットを衝突させて付着除去することが可能となり、被処理物に対するドロップレットの付着量を上記のように大幅に低減することができ、高効率にドロップレットが除去された高純度プラズマによるプラズマ処理を行うことができる。
【0072】
本実施形態においては、前記3段階の屈曲経路を同一平面上に連結して構成しているが、空間的に3段階に屈曲した管路構成とした場合にも、上記同様の幾何学的配置により、直進プラズマが直接的に第3プラズマ進行管のプラズマ出口から排出されない管路構成を実現することができる。
【0073】
第2プラズマ進行管P2は破線で示すように、第1プラズマ進行管P1及び第3プラズマ進行管P3より内径の大きい拡径管P4としてもよい。即ち、第2プラズマ進行管P2を拡径管P4とし、第1プラズマ進行管P1を拡径管P4のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管とし、第3プラズマ進行管P3を拡径管P4のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管とする。拡径管P4を中間に配置すれば、導入側縮径管より拡径管内に導入されたプラズマ流が拡径管P4によるプラズマ進行路の拡径作用により拡散される。そのプラズマ流の拡散により、プラズマに混入しているドロップレットも拡径管P4内に拡散して、拡径管P4の内側壁に衝突して付着、回収される。また、拡径管P4内のプラズマ流が排出されるときには、拡径管P4から排出側縮径管への縮径作用により、拡径管内壁面側に飛散したドロップレットが段差部に衝突して付着・回収され、プラズマ流に合流することが無くドロップレットの再混入を防ぐことができる。従って、拡径管P4の内側壁にドロップレットを付着させて、十分に回収でき、第1プラズマ進行管P1、第2プラズマ進行管P2及び第3プラズマ進行管P3の管路においてドロップレットを効率的に除去することができる。また、拡径管P4と導入側縮径管及び/又は排出側縮径管の中心軸を合致させずに偏心させておけば、プラズマ流からドロップレットが分離しやすくなり、ドロップレットの捕集効果が一層高まる。しかも、プラズマ進行路に拡径管P4を形成するだけで、簡易かつ安価にドロップレット除去部を構成することができる。
【0074】
上述した3段屈曲構造及び角度関係θ≧θは、主として中性ドロップレットのように直進するドロップレットを除去するために設けられたプラズマ輸送路Bの幾何学的構造を与えるものである。帯電ドロップレットは環境からの電気作用と磁気作用により影響を受けるから、電磁場中では電場・磁場によって直進から外れることがある。従って、帯電ドロップレットを除去するためには、プラズマ輸送路から、特に電位差を意識的に除去する機構を装備する必要がある。プラズマ輸送用の磁場は必ず必要になるから磁場を除去するのはプラズマ装置としては困難だからである。電位差を除去すると、帯電ドロップレットに対する電気力を消去できるから、この場合には帯電ドロップレットも中性ドロップレットと同様に直進する性質を有し、前述した幾何学的構造により帯電ドロップレットも除去することが可能になる。
【0075】
前記第1実施形態は、帯電ドロップレットの除去構造を有している。プラズマ発生部Aとプラズマ輸送管Bは始端側絶縁体ISにより相互に電気絶縁されており、しかもプラズマ輸送管Bとプラズマ処理部Cとは終端側絶縁体IFにより相互に電気絶縁されている。その結果、プラズマ輸送管Bは、プラズマ発生部Aとプラズマ処理部Cからの電気的影響を全く受けず、プラズマ輸送管Bは全体として同電位に設定されることになる。前述したとおり、プラズマ輸送管Bは、プラズマ直進管P0と第1プラズマ進行管P1と第2プラズマ進行管P2と第3プラズマ進行管P3からなり、これらの配管の全てが同電位になるため、プラズマ輸送管Bの中には電位差が全く無く、帯電ドロップレットはプラズマ輸送管Bの中で電位差に基づく電気力を全く受けることが無い。従って、帯電ドロップレットも、プラズマ輸送管Bの中では中性ドロップレットと同様に、前述した3段屈曲構造及び角度関係θ≧θにより確実に除去されることになる。
【0076】
前記プラズマ処理装置の各構成部分にバイアス電源を付設することもできる。図1では、プラズマ発生部容器A1に容器用バイアス電源EA1が付設され、プラズマ輸送管Bには輸送管用バイアス電源EBが付設され、プラズマ処理部Cの筐体である処理部容器C3には処理部用バイアス電源EC、及びワークWには被処理部用バイアス電源EWが付設されている。
【0077】
各バイアス電源EA1、EB、EC、EWはは同一の構造を有しており、その構造を図4を用いて説明する。図4は、本発明に用いるバイアス電源の構成図である。接続端子CTが前記した各構成部分と接続される端子である。前記接続端子CTに連結された可動端子VTは4段階に可動可能である。4段階の受側端子は、浮動端子FT、可変正電位端子PVT、可変負電位端子NVT及び接地端子GNDTからなる。前記可動端子VTが前記浮動端子FTに接続されると、浮動端子FTは電気的に浮動状態にあり、どの部分にも接続されないことになる。前記可動端子VTが前記可変正電位端子PVTに接続されると、GND(接地側)に対し正の電位が前記構成部分に大小可変(0〜+50V)できるように印加される。前記可動端子VTが前記可変負電位端子NVTに接続されると、GND(接地側)に対し負の電位が前記構成部分に大小可変(0〜−50V)できるように印加される。前記可動端子VTが前記接地端子GNDTに接続されると、前記構成部分はGNDへと接地されることになる。
【0078】
図1は好適な電位配置を示しており、プラズマ発生部容器A1は前記容器用バイアス電源EA1によりGNDに設置され、プラズマ輸送管Bは輸送管用バイアス電源EBにより電気的浮動状態に設定され、処理部容器C3は処理部用バイアス電源ECによりGNDに設置され、並びにワークWは被処理部用バイアス電源EWにより電気的浮動状態に設定されている。プラズマ発生部容器A1は、プラズマ発生用のアーク電源とは絶縁されているから、GNDに接地されたプラズマ発生部容器A1は、作業者が接触しても安全設計が為されている。処理部容器C3もGNDに接地されているから、作業者が接触しても安全である。プラズマ輸送管Bは電気的浮動状態にあり、全体として同電位であるから、前述した様にプラズマ輸送管B内で電位差は無く、帯電ドロップレットもドロップレット除去の幾何学的構造により、中性ドロップレットと同様に確実に除去できる。電気的浮動状態に設定されたワークWも全体が同電位にあり、プラズマに対する電気的作用が偏らず、プラズマを全表面で均一に受けることができる。
【0079】
図2は、本発明の第2実施形態(第1中間絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。図1との第1の相違点は、プラズマ発生部容器A1の下側に容器間絶縁体IAを介してターゲット交換部容器A2を設け、ターゲット交換部容器A2に交換部容器用バイアス電源EA2を付設したことである。ターゲット交換部容器A2の中には、プラズマ発生部Aのターゲットが消耗した際に、補充するための予備ターゲット(図示せず)が内装されており、同時に交換機構(図示せず)が内蔵されている。第2の相違点は、第1中間絶縁体II1により、プラズマ輸送管BをT輸送管B01と屈曲輸送管B23に分割し、屈曲輸送管B23に屈曲輸送管用バイアス電源EB23を付設し、T輸送管B01にはT輸送管用バイアス電源EB01を付設したことである。他は図1と全く同様であり、以下では特に相違点の作用効果について説明する。
【0080】
交換部容器用バイアス電源EA2はGNDに接地され、作業者が接触しても安全に設計されている。プラズマ発生部Aの容器用バイアス電源EA1は電気的浮動状態に設定され、プラズマに対する電気的作用を消去し、安定なプラズマ発生を促進する。T輸送管用バイアス電源は図4の可変負電位端子NVTに接続されており、T輸送管B01を負電位に落としている。この負電位は−5〜−10Vの範囲で調整されると、帯電ドロップレットの除去効率が増大することが実験から分かった。屈曲輸送管用バイアス電源EB23はGNDに接続される。この第2形態では、バイアス電源の配置がEA2→EA1→EB01→EB23となるに従って、その配管の電位がGND→浮動→(−5〜−10V)→GNDと変化しており、この電位変化が帯電ドロップレットの除去に有効であることが、現在の実験例から明らかになった。その理由は明確ではないが、GND→負電位→GNDと電位が変化すると、最初のGND→負電位では正ドロップレットが輸送管に電気吸着され、次の負電位→GNDでは負ドロップレットが輸送管に電気吸着されると考えることも可能である。
【0081】
図3は、本発明の第3実施形態(第1中間絶縁体と第2中間絶縁体)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。図2との相違点は、第2中間絶縁体II2により屈曲輸送管B23を第2輸送管B2と第3輸送管B3に分割したことである。その結果、第2輸送管B2に第2輸送管用バイアス電源EB2を付設し、第3輸送管B3に第3輸送管用バイアス電源EB3を付設したことである。他は図2と全く同様であり、以下では特に相違点の作用効果について説明する。
【0082】
図3では、第2輸送管用バイアス電源EB2はGNDに接地され、第3輸送管用バイアス電源EB3は図4の可変負電位端子NVTに接続されて負電位に設定される。第3輸送管用バイアス電源EB3の負電位は0〜−15Vの範囲で調整されると良好であることが実験から得られた。この第3形態では、バイアス電源の配置がEA2→EA1→EB01→EB2→EB3となるに従って、その配管の電位がGND→浮動→(−5〜−10V)→GND→負電位と変化しており、この電位変化が帯電ドロップレットの除去に有効であることが、現在の実験例から明らかになった。その理由は明確ではないが、GND→負電位→GND→負電位と電位が変化すると、最初のGND→負電位では正ドロップレットが輸送管に電気吸着され、次の負電位→GNDでは負ドロップレットが輸送管に電気吸着され、更に次のGND→負電位では残り正ドロップレットが輸送管に電気吸着されると考えることができる。
【0083】
前述したように、各バイアス電源EW、EC、EB3、EB2、EA1、EA2、EB01の可変正電位は0〜+50Vの範囲で調整でき、可変負電位は0〜−50Vの範囲で調整される。これらの電圧範囲で全体装置のドロップ除去効率が最大になるように、各バイアス電源の電位が個別に可変調整される。
【0084】
次に、本発明におけるプラズマ処理装置に好適な磁場コイルの設置例及びドロップレット除去用バッフル(捕集板)の設置例を説明する。
図5は、本発明の第4実施形態(更に詳細な第2実施形態)に係るプラズマ処理装置の概略構成図である。この図5の装置は、図2の装置にプラズマ搬送用磁場を発生させる磁場コイルを管外周に設置し、またドロップレット除去用バッフルを管内壁に配置したプラズマ処理装置を示している。この実施形態では、第3プラズマ進行管の出口をプラズマ処理部1の外壁面に直結した接続形式を採用している。図2と同様に、容器間絶縁体IA、始端側絶縁体IS、第1中間絶縁体II1及び終端側絶縁体IFが配置されて、全体装置の電気絶縁が構成されている。また、図2では部材符号がアルファベット記号で示されているが、図5では部材符号が数字で示されている点に相違点があるが、実質的相違は無い。また、同一のアルファベット符号は、図2と図5では同一部材を示し、その構成と作用効果は図2で既に説明しているから、図5では同一部分の説明を省略し、以下ではドロップレット除去の幾何学的構造を主として説明する。
【0085】
図5のプラズマ処理装置は、プラズマ処理部(チャンバー)1と、プラズマ処理部1に供給するプラズマを発生させるプラズマ発生部2及びプラズマ輸送管からなるプラズマ処理装置とから構成される。プラズマ輸送管は、図2の場合と同様に、ドロップレットを除去するドロップレット除去部を配置したプラズマ流通管路からなる。以下では、プラズマ輸送管Bの構造自体がドロップレット除去部を構成しているから、ドロップレット除去部とはドロップレット除去構造を有したプラズマ輸送管Bを意味する。本第4実施形態のドロップレット除去部は、プラズマ発生部2に連接されたプラズマ直進管3と、プラズマ直進管3に屈曲状に連接された第1プラズマ進行管4と、第1プラズマ進行管4の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管5と、第2プラズマ進行管5の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口7よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管6とから構成されている。
【0086】
プラズマ直進管3、第1プラズマ進行管4、第2プラズマ進行管5及び第3プラズマ進行管6からなるプラズマ輸送管は、図2のプラズマ輸送管と同様に、3段階に屈曲形成されている。第3プラズマ進行管6のプラズマ出口7はプラズマ処理部1のプラズマ導入口に接続されている。
また、第3プラズマ進行管6のプラズマ出口7から第1プラズマ進行管4のプラズマ出口側を直線状に透視させない位置に、第2プラズマ進行管5が図2と同様に幾何学的に配置されている。即ち、矢印9で示すように、第3プラズマ進行管6のプラズマ入口側の管断面上端から第1プラズマ進行管4のプラズマ出口側の管断面下端に対する仰角(θ)は、矢印8で示すように、第3プラズマ進行管6のプラズマ出口7側の管断面下端から第2プラズマ進行管5のプラズマ出口側の管断面上端に対する仰角(θ)としたとき、θ≧θが満足されている。図2と同様の幾何学的管路配置により、第1プラズマ進行管4から導出される直進ドロップレットが直接的に第3プラズマ進行管6に侵入するのを回避して、第3プラズマ進行管6のプラズマ出口7から排出されないようにすることができる。
【0087】
プラズマ発生部2は、陰極(カソード)10、トリガ電極11、陽極(アノード)12、アーク電源13、陰極プロテクタ14、プラズマ安定化磁界発生器(電磁コイル若しくは磁石)15を備えている。陰極10は、プラズマ構成物質の供給源であり、その形成材料は、導電性を有する固体なら特に限定されず、金属単体、合金、無機単体、無機化合物(金属酸化物・窒化物)等を単独又は2種以上混合して用いることができる。陰極プロテクタ14は、蒸発する陰極表面以外を電気絶縁し、陰極10と陽極12との間に発生するプラズマが後方に拡散することを防止するものである。陽極12の形成材料は、プラズマ温度でも蒸発せず、非磁性の材料で導電性を有する固体なら特に限定されない。また陽極12の形状はアークプラズマの全体の進行を遮るものでなければ、特に限定されない。更に、プラズマ安定化磁界発生器15は、プラズマ発生部2の外周に配置され、プラズマを安定化させる。プラズマに対する印加磁場が互いに逆方向(カスプ形)となるようにアーク安定化磁界発生器15が配置された場合、プラズマはより安定化する。また、プラズマに対する印加磁場が互いに同方向(ミラー形)となるようにアーク安定化磁界発生器15が配置された場合、プラズマによる成膜速度をより向上させることができる。更に、プラズマ発生部2と各プラズマ管路とはプラズマ発生部側絶縁プレート16で電気的に絶縁され、プラズマ発生部2に高電圧が印加されても、プラズマ直進管3から前方部は電気的に浮動状態にあり、プラズマがプラズマ進行路内で電気的な影響を受けないように構成されている。また、第3プラズマ進行管6とプラズマ処理部1の間にも処理部側絶縁プレート(終端側絶縁体IF)が介装されており、プラズマ直進管3から第3プラズマ進行管6までのプラズマ搬送用のダクト部の全体が、電気的に浮動状態に設定され、搬送されるプラズマに外部電源(高電圧やGND)の影響がない様に構成されている。
【0088】
プラズマ発生部2では、陰極10とトリガ電極11の間に電気スパークを生起し、陰極10と陽極12の間に真空アークを発生させてプラズマが生成される。このプラズマの構成粒子は、陰極10からの蒸発物質、蒸発物質と反応ガスを起源とする荷電粒子(イオン、電子)と共に、プラズマ前状態の分子、原子の中性粒子を含む。また、プラズマ構成粒子が放出されると同時に、サブミクロン以下から数百ミクロン(0.01〜1000μm)サイズのドロップレットが放出される。このドロップレットは、プラズマ流26との混合状態を形成し、ドロップレット混合プラズマとしてプラズマ進行路内を移動する。
【0089】
プラズマ直進管3、第1プラズマ進行管4、第2プラズマ進行管5及び第3プラズマ進行管6からなるプラズマ輸送管には、各管外周に巻回された磁場コイル17、18、19、20からなるプラズマ搬送用磁場発生手段が設けられている。前記3段階の屈曲経路全体にプラズマ搬送用磁場を発生させることにより、プラズマ輸送効率を向上させることができる。
【0090】
プラズマ進行路は3段階に屈曲形成されているので、第1プラズマ進行管4及び第2プラズマ進行管5の管連接部には屈曲磁場を発生させる磁場コイル21及び偏向磁場発生手段23が付設されており、屈曲磁場によりプラズマ流を屈曲誘導している。第1プラズマ進行管4及び第2プラズマ進行管5の連接部分においては、屈曲磁場用コイルが均等に巻回できないため、屈曲部の内側に屈曲磁場が強くなってしまう磁場の不均一を生ずる。この不均一磁場を解消するために、第1プラズマ進行管4及び第2プラズマ進行管5には、偏向磁場発生手段22、24が付設されている。
【0091】
偏向磁場発生手段22、24は偏向磁場発生コイル30と可動ヨーク29からなる。図6は可動ヨーク29を第2プラズマ進行管5外周に配置した状態を示す。可動ヨーク29は偏向磁場発生コイル30が巻回され、一対の磁極27、28を有する。磁極27、28間には偏向磁場が発生され、第2プラズマ進行管5内のプラズマに付与される。
【0092】
偏向磁場発生手段22、24は、可動ヨーク29を、管軸方向にスライド調整、周方向に回動調整及び管軸方向に揺動調整する調整機構を含む。
図7は第1プラズマ進行管4外周に配置した可動ヨーク29の回動調整機構を示す。回動調整機構は可動ヨーク29を周方向に回動調整する円弧状ガイド溝32が4箇所設けられたガイド体31からなる。ガイド溝32には可動ヨーク29に設けたピン33が挿入され、ピン33を管円周方向にスライドさせることにより90度以下の角度調整範囲θ1内で可動ヨーク29を回動調整することができる。調整後はピン33を締結ナット34でガイド体31に締め付けることにより、その調整角度を保持することができる。
【0093】
図8は第2プラズマ進行管5外周に配置した可動ヨーク29を管軸方向にスライド調整及び管軸方向に揺動調整する調整機構を示す。ガイド体31は可動ヨーク29をスペーサ36を介して固定保持した状態でスライド部材35に支持されている。スライド部材35は第2プラズマ進行管5の管軸方向に沿った直線状スライド溝38を有し、調整部本体37に固定されている。スライド溝38は第2プラズマ進行管5の傾斜中心線に平行に形成されている。第1プラズマ進行管4に設置されるスライド溝は第1プラズマ進行管4の中心線に沿って水平に形成されている。ガイド溝38にはガイド体31に設けたピン39が挿入され、ピン39を管軸方向にスライドさせることにより、第2プラズマ進行管のほぼ管長にわたってガイド体31の可動ヨーク29をスライド調整することができる。調整後はピン39を締結ナット40でスライド部材35に締め付けることにより、その調整位置を保持することができる。また、ガイド体31は可動ヨーク29を固定保持した状態でピン39の軸回りに回転自在にスライド部材35に支持されている。ピン39の軸回りに回転させることにより、可動ヨーク29を管軸方向に揺動調整(チルト角調整)することができる。調整後はピン39を締結ナット40でスライド部材35に締め付けることにより、その調整チルト角を保持することができる。調整可能なチルト角は第1プラズマ進行管4側に5°、その反対側に30°である。
【0094】
偏向磁場発生手段22、24は、可動ヨーク29を、管軸方向にスライド調整、周方向に回動調整、及び管軸方向に揺動調整可能にするので、可動ヨーク29の位置ないし角度の調整によって前記偏向磁場による微調整を行ってプラズマ搬送用磁場の不均一の解消を図ることができ、前記3段階の屈曲経路の幾何学的配置からなる、最適なプラズマ進行路を実現することができる。
【0095】
図9の(9A)はプラズマ搬送用磁場発生用磁場コイルを、傾斜配置された第2プラズマ進行管5に傾斜軸に沿って円形状M1に巻回した状態19Aを模式的に示す。この場合には、図中の斜線で示すように、他の管(4又は6)との連接部付近においてコイルが巻回されない空隙を生じ、不均一磁場を生じてプラズマ輸送効率が低下してしまう。
本実施形態においては、第2プラズマ進行管5の管外周に巻回された磁場コイル19は、その管外周に対して傾斜軸に沿って楕円状に巻回された磁場コイルからなる。図9の(9B)はプラズマ搬送用磁場発生用磁場コイル19を、傾斜配置された第2プラズマ進行管5に傾斜軸に沿って楕円形状M2に巻回した状態19Bを模式的に示す。楕円形状M2に巻回した磁場コイル19を第2プラズマ進行管5に設置することにより、(9A)の斜線領域のような空隙が生じないので、第2プラズマ進行管5の傾斜面に密に磁場コイルを巻回して、不均一磁場を発生させずにプラズマ輸送効率を向上させ、高密度かつ高純度プラズマを用いたプラズマ処理を可能にすることができる。
【0096】
プラズマ直進管3、第1プラズマ進行管4、第2プラズマ進行管5及び第3プラズマ進行管6からなるプラズマ輸送管には、それぞれの管内壁面にドロップレット捕集板(バッフル)41、42、43、44が植設されている。各捕集板の構造を以下に詳述する。
【0097】
図10はドロップレット捕集板60を有する内周管61の部分拡大断面図である。内周管61は各プラズマ管路(3〜6)に収設され、その内壁には、複数枚のドロップレット捕集板60が植設されている。ドロップレット捕集板60の中央にはプラズマ流通用開口部62が形成されている。プラズマは図の上方から流入し、開口部62を通過する。ドロップレット捕集板60の傾斜角αは15〜90°の範囲で設定されるが、経験的に30〜60°が好適であり、この実施例ではα=60°に設定されている。この傾斜角では、プラズマ流から分離されたドロップレットはドロップレット捕集板60を多重反射しながら確実に付着回収できる。
【0098】
複数枚のドロップレット捕集板60により内周管61内でのドロップレット付着表面積を多くしており、飛散ドロップレットを大量かつ確実に付着、回収することができる。プラズマ輸送管においては、内周管61の管長による制限によってドロップレット捕集板60の設置枚数が制約されるので、ドロップレット除去面積を増大するためには、ドロップレット捕集板60の表面に粗面加工を施して、無数の凹凸を有した粗面を形成するのが好ましい。即ち、ドロップレット捕集板60の表面を粗面化することにより、ドロップレット捕集板60の捕集面積が増大して、捕集効率が向上させることができる。また、凹部に衝突したドロップレットは凹部で確実に固着され、ドロップレット捕集効率が格段に増加する。粗面加工には、筋目加工や梨地加工を使用することができる。筋目加工方法としては、例えば、研磨紙による研磨処理を用いる。梨地加工方法には、例えば、アルミナ、ショット、グリッド、ガラスビーズ等によるブラスト処理を用い、特に、圧縮空気等により数ミクロン粒子を加速してノズル噴射させるマイクロブラスト加工が、ドロップレット捕集板60の狭い表面に微細凹凸加工を施すことができる。
【0099】
ドロップレット捕集板60の植設領域は、好ましくは管内壁面積の70%以上である。図2の場合には、植設領域を管内壁面積の約90%にしており、プラズマ進行路用管内でのドロップレット付着表面積を多くして、飛散ドロップレットを大量かつ確実に付着、回収でき、プラズマ流の高純度化を実現することができる。
【0100】
ドロップレット捕集板60は各プラズマ進行管の管壁と電気的に遮断されている。内周管61にはバイアス電圧印加手段としての内周管バイアス電源63が接続され、内周管61を+電位に設定したり、−電位に設定したり、GNDに接地したりすることができる。内周管61のバイアス電位が+電位の場合には、プラズマ中の+イオンを搬送方向に押し出す効果があり、−電位の場合にはプラズマ中の電子を搬送方向に押し出す効果がある。+−のいずれを選択するかはプラズマ搬送効率を低下させない方向に選択され、プラズマの状態で判断される。電位強度も可変であり、通常は内周管61を+15Vに設定することが搬送効率の観点から選ばれている。各ドロップレット捕集板に上記バイアス電圧を印加することにより、そのバイアス電位を調整して、プラズマの減衰を抑制でき、プラズマ搬送効率を増加させることができる。
【0101】
第2プラズマ進行管5内には、管軸方向に沿って可動するアパーチャー70を1個以上配設してもよい。前記アパーチャー70は、第2プラズマ進行管5内の
管軸方向に沿って設置位置が変更可能な構造を有しており、前後に移動できる構造でも良いし、一方向にのみ移動できる構造でも良い。移動可能であるから、アパーチャーの設置位置を調整でき、取り出して洗浄することも可能である。このアパーチャー70は中央に所定面積の開口部を有しており、この開口部の周囲壁面でドロップレットを衝突捕獲し、前記開口部を通過したプラズマが進行してゆく。前記開口部は中心に設けても良いし、偏心位置に設けても良いなど、種々に設計できる。従って、第2プラズマ進行管5内に複数のアパーチャー70を移動可能に設置すれば、ドロップレットの除去効率が増加し、プラズマ純度を向上することができる。以下では、板ばねを利用した一方向移動のアパーチャーが示される。
【0102】
図11の(11A)は可動アパーチャー70の平面図であり、同図(11B)はアパーチャー70の取り付け状態を示す。アパーチャー70は中央に所定面積の開口部71を有するリング形状を有する。このとき、前記開口部の形状は配置形態により円形、楕円形など種々に設計できる。アパーチャー70面の3箇所に、外側に突出した弾性片(例えば、板ばね)からなるストッパ72がビス73により固着されているが、溶接など固定方式は任意に採用できる。弾性片の突出部分74は下方に向けて屈曲されている。図11の(11B)に示すように、第2プラズマ進行管5の管75内壁には、あらかじめアパーチャー70保持用の係止凹部76を円状に刻設しておく。係止凹部76は管75の長手方向に沿って、複数個設けられている。弾性片の突出部分74を下方に向けた状態でアパーチャー70を矢印77の向きに管75内に挿入すると、ストッパ72が押し曲げながら管内周面に沿って移動する。プラズマ流の方向は矢印77の逆方向である。更に、アパーチャー70を矢印77の向きに押し込むと、係止凹部76にてストッパ72の突出部分74が弾性付勢力により広がって係止凹部76に嵌入し、係止する。この係止状態ではストッパ72を逆戻りさせることはできず、その係止位置でアパーチャー70をセットすることができる。セット位置を変更する場合、アパーチャー70を矢印77の向きに更に押し込むと、ストッパ72の係止が解除され、次の係止凹部76に突出部分74が再び嵌入して係止させることができる。
【0103】
アパーチャー70は第2プラズマ進行管5内の任意のセット位置まで可動する構造であるので、アパーチャー70により第2プラズマ進行管5内を縮径してドロップレットを捕集し、しかもそのセット位置を適宜変更して捕集量を最適に調整することができ、ドロップレット除去効率の向上に寄与する。アパーチャー70のセット数は1又は2以上である。なお、開口部71はアパーチャー70の中心に設けるだけでなく、偏心させて管内プラズマ流を蛇行させる機能を付与することも可能である。
【0104】
プラズマ直進管3、第1プラズマ進行管4、第2プラズマ進行管5及び第3プラズマ進行管6からなるプラズマ進行路における連接部には、リング形状のアパーチャーを配設してもよい。アパーチャー70と同様に、かかる連接部用アパーチャーの配設により、プラズマ進行路の管径を縮小あるいは偏心、もしくは縮小・偏心させて、プラズマ流に含まれるドロップレットをより多く捕集してドロップレット除去効率を向上させることができる。
【0105】
図1及び図5のプラズマ生成装置においては、最終段の第3プラズマ進行管6を一様な管径で構成しているが、屈曲経路を経て第2プラズマ進行管5より排出されるプラズマ流を第3プラズマ進行管6において、更に高密度化するのが好ましい。第3プラズマ進行管6において更に高密度化機能を付与した実施形態を以下に示す。
【0106】
図12は第5の実施形態であるプラズマ処理装置の概略構成を示す。図12のプラズマ処理装置は、図5と同様に、プラズマ処理部1に供給するプラズマを発生させるプラズマ発生部(図示せず)及びプラズマ輸送管からなるプラズマ生成装置を有する。プラズマ輸送管に設けたドロップレット除去部は、図2と同様に、プラズマ発生部に連接されたプラズマ直進管1100と、プラズマ直進管1100に屈曲状に連接口1104にて連接された第1プラズマ進行管1101と、第1プラズマ進行管1101の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管1102と、第2プラズマ進行管1102の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口1106よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管1103とから構成されている。なお、図示しないが、プラズマ輸送管にはドロップレット捕集板及びプラズマ搬送磁場形成用磁場コイルが配設されている。
【0107】
プラズマ直進管1100、第1プラズマ進行管1101、第2プラズマ進行管1102及び第3プラズマ進行管1103からなるプラズマ輸送管は、図1及び図5のプラズマ進行路と同様に、3段階に屈曲形成されている。第3プラズマ進行管1103は、第2プラズマ進行管1102の終端に連接された整流管1107、整流管1107に連接された偏向振動管となる円錐台形管1108及び出口管1109からなる。円錐台形管(偏向振動管)1108は出口管1109側に向けて拡径されている。出口管1109のプラズマ出口1110はプラズマ処理部1のプラズマ導入口に接続されている。出口管1109は一様な管径を有する。本実施形態に係るプラズマ輸送管において、第1プラズマ進行管1101、第2プラズマ進行管1102及び第3プラズマ進行管1103のそれぞれのプラズマ進行長さL1〜L3は、図1の各プラズマ進行管と同様に設定されている。また、出口管1109のプラズマ出口1110から第1プラズマ進行管1101のプラズマ出口1105側を直線状に透視させない位置に、第2プラズマ進行管1102が図1及び図5と同様に幾何学的に配置されている。即ち、矢印1111で示すように、整流管1107のプラズマ入口側の管断面上端から第1プラズマ進行管1101のプラズマ出口1105側の管断面下端に対する仰角(θ)は、矢印1112で示すように、出口管1109のプラズマ出口1110側の管断面下端から第2プラズマ進行管1102のプラズマ出口1106側の管断面上端に対する仰角(θ)としたとき、図1と同様に、θ≧θが満足されている。図1及び図5と同様の幾何学的管路配置により、第1プラズマ進行管1101から導出される直進ドロップレットが直接的に第3プラズマ進行管1103に侵入するのを回避して、第3プラズマ進行管1103のプラズマ出口1110から排出されないようにすることができる。
【0108】
傾斜配置された第2プラズマ進行管1102の終端における第3プラズマ進行管1103との連接部においてはプラズマ流が蛇行・拡散して、第3プラズマ進行管1103側へのプラズマ進行効率が低下するのを防止するために、第2プラズマ進行管と連接する整流管1107に整流磁場コイル1114を設けられ、第2プラズマ進行管1102から整流管1107に供給されるプラズマの流れを強制的に集束させながら整流する整流磁場を管内に発生させている。この整流磁場により第2プラズマ進行管1102に流れるプラズマを第3プラズマ進行管1103側に集束状に引き出すことができ、高密度かつ高純度のプラズマを生成することが可能となる。
【0109】
図13は、第5実施形態に係る円錐台形管(偏向振動管)1108(図12に図示)に形成される走査用磁場の説明図である。図12及び図13に示されるように、整流磁場作用により集束整流されたプラズマ流を左右・上下に振動させてCRTディスプレイの様にプラズマ流を走査するために、整流管1107に連接された円錐台形管(偏向振動管)1108には走査用磁場コイル1113が付設されている。走査用磁場コイル1113は一組のX方向振動磁場発生器108a、108aと、一組のY方向振動磁場発生器108b、108bとからなる。
【0110】
X方向振動磁場発生器108a、108aによる時刻tのX方向振動磁場B(t)、Y方向振動磁場発生器108b、108bによる時刻tのY方向振動磁場B(t)及び時刻tの走査磁場B(t)の関係が示されている。走査磁場B(t)はX方向振動磁場B(t)とY方向振動磁場B(t)の合成磁場である。詳細に説明すると、X方向振動磁場によりプラズマ流を左右に振りながら、Y方向振動磁場によりプラズマ流を上下に走査し、これを反復してプラズマ処理部1に大面積プラズマ照射を可能にする。プラズマ流の断面積がプラズマ処理室1内に配置された被処理物の断面積より小さい場合、プラズマ流を上下左右に走査して被処理物の全表面にプラズマ照射を可能にする。例えば、CRTディスプレイの電子ビームが左右に振動しながら上下に移動し、この動作を反復してディスプレイ画面の全面が発光するのと同様の原理を利用する。図10には、時刻t=tにおける振動磁場B(t)及びB(t)から走査用磁場B(t)が合成され、この走査用磁場B(t)が左右に振動しながら、時刻t=tには振動磁場B(t)及びB(t)から走査用磁場B(t)が形成され、管内のほぼ全面にプラズマ流が偏向振動できる。
【0111】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係るプラズマ処理装置はプラズマ輸送管に、帯電ドロップレットを除去する電気的機構を設け、且つ帯電ドロップレットを含めて中性ドロップレットを除去する幾何学的構造のドロップレット除去部を設けて、高純度で均一なプラズマ流をプラズマ処理部に導入することができる。また、本発明に係るプラズマ処理装置により生成される高純度プラズマを用いれば、プラズマ中で固体材料の表面に欠陥や不純物が格段に少ない高純度の薄膜を形成したり、プラズマを照射することにより、固体の表面特性を欠陥や不純物を付与することなく、均一に改質することができ、例えば固体表面における耐磨耗性・耐食性強化膜、保護膜、光学薄膜、透明導電性膜などを高品質かつ高精度に形成することができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 プラズマ処理部
2 プラズマ発生部
3 プラズマ直進管
4 第1プラズマ進行管
5 第2プラズマ進行管
6 第3プラズマ進行管
7 プラズマ出口
8 矢印
9 矢印
10 陰極
11 トリガ電極
12 陽極
13 アーク電源
14 陰極プロテクタ
15 プラズマ安定化磁界発生器
16 絶縁プレート
17 磁場コイル
18 磁場コイル
19 磁場コイル
20 磁場コイル
21 磁場コイル
22 偏向磁場発生手段
23 偏向磁場発生手段
24 偏向磁場発生手段
24a ガス流入口
25 排気口
27 磁極
28 磁極
29 可動ヨーク
30 偏向磁場発生コイル
31 ガイド体
32 ガイド溝
33 ピン
34 締結ナット
35 スライド部材
36 スペーサ
37 調整部本体
38 スライド溝
39 ピン
40 締結ナット
41 ドロップレット捕集板(バッフル)
42 ドロップレット捕集板(バッフル)
43 ドロップレット捕集板(バッフル)
44 ドロップレット捕集板(バッフル)
60 ドロップレット捕集板(バッフルの一部)
61 内周管
62 開口部
63 バイアス電源
70 アパーチャー
71 開口部
72 ストッパ
73 ビス
74 突出部分
75 管
76 係止凹部
77 矢印
108a X方向振動磁場発生器
108b Y方向振動磁場発生器
1109 出口管
102 プラズマ発生部
104 陰極
106 トリガ電極
108 陽極
109 プラズマ1
110 電源
112 プラズマ加工部
114 被処理物
116a プラズマ安定化磁場発生器
116b プラズマ安定化磁場発生器
1100 プラズマ直進管
1101 第1プラズマ進行管
1102 第2プラズマ進行管
1103 第3プラズマ進行管
1104 連接口
1105 プラズマ出口
1106 プラズマ出口
1107 整流管
1108 円錐台形管
1110 プラズマ出口
1111 矢印
1112 矢印
1113 走査用磁場コイル
1114 整流磁場コイル
A プラズマ発生部
A1 プラズマ発生部容器
A2 ターゲット交換部
B プラズマ輸送管
B01 T輸送管
B2 第2輸送管
B23 屈曲輸送管
B3 第3輸送管
C プラズマ処理部
C1 設置位置
C2 ターゲット位置
C3 処理部容器
CT 接続端子
E バイアス電源
EA1 容器用バイアス電源
EA2 交換部容器用バイアス電源
EB 輸送管用バイアス電源
EB01 T輸送管用バイアス電源
EB2 第2輸送管用バイアス電源
EB23 屈曲輸送管用バイアス電源
EB3 第3輸送管用バイアス電源
EC 処理部用バイアス電源
EW 被処理物用バイアス電源
FT 浮動端子
GND 接地
GNDT 接地端子
IF 終端側絶縁体
II1 第1中間絶縁体
IS 始端側絶縁体
IA 容器間絶縁体
II2 第2中間絶縁体
NVT 可変負電位端子
P0 プラズマ直進管
P1 第1プラズマ進行管
P2 第2プラズマ進行管
P3 第3プラズマ進行管
P4 拡径管
PVT 可変正電位端子
S1 プラズマ出口
S2 プラズマ入口
S3 プラズマ出口
VT 可動端子
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空雰囲気下で真空アーク放電を行ってターゲット表面からプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマ発生部により発生されたプラズマを輸送するプラズマ輸送管と、前記プラズマ輸送管から供給されるプラズマにより被処理物を処理するプラズマ処理部を含むプラズマ処理装置において、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管の間に始端側絶縁体を介装し、前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部の間に終端側絶縁体を介装して、前記プラズマ発生部と前記プラズマ輸送管と前記プラズマ処理部を相互に電気的に独立させ、プラズマ輸送管に対する前記プラズマ発生部と前記プラズマ処理部からの電気的影響を遮断したことを特徴とする絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記プラズマ輸送管を複数の小輸送管に分割し、隣接する小輸送管の間に中間絶縁体を介装して、前記小輸送管同士を電気的に独立させ、任意の前記小輸送管に対する他の前記小輸送管からの電気的影響を遮断した請求項1に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ輸送管又は前記複数の小輸送管は、電位が強制的に付与されない電気的浮動状態にある請求項1又は2に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管の各々に輸送管用バイアス電源を接続し、前記プラズマ輸送管又は前記小輸送管に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる請求項1又は2に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項5】
プラズマを発生させるターゲットを収容して前記ターゲットと電気的に絶縁されたプラズマ発生部容器の下方に、予備ターゲットを収容するターゲット交換部容器を配置し、前記プラズマ発生部容器と前記ターゲット交換部容器の間に容器間絶縁体を介装して前記プラズマ発生部容器と前記ターゲット交換部容器を電気的に独立させ、前記プラズマ発生部容器は電位が強制的に付与されない電気的浮動状態に設定され、前記ターゲット交換部容器に容器用バイアス電源を付設し、前記ターゲット交換部容器に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記被処理物を収容したプラズマ処理部容器に処理部用バイアス電源を付設して、前記プラズマ処理部容器に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる請求項1〜5のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記プラズマ処理部内の前記被処理物は、電位が強制的に付与されない電気的浮動状態に設定されるか、被処理物用バイアス電源を付設して前記被処理物に付与される電位の大きさ(接地電位を含む)及び電位の極性を可変できる請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記プラズマ輸送管は、前記プラズマ発生部に連接されたプラズマ直進管と、前記プラズマ直進管に屈曲状に連接された第1プラズマ進行管と、前記第1プラズマ進行管の終端に、その管軸に対して所定屈曲角で傾斜配置させて連接された第2プラズマ進行管と、前記第2プラズマ進行管の終端に屈曲状に連接され、プラズマ出口よりプラズマを排出する第3プラズマ進行管とから構成され、前記プラズマが前記ターゲット表面から被処理物に到達するまでの合計長さLが、900mm≦L≦1350mmを満たすように設定される請求項1〜7のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側を直線状に透視させない位置に、前記第2プラズマ進行管が幾何学的に配置された請求項8に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第3プラズマ進行管のプラズマ入口側の管断面上端から前記第1プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端に対する仰角をθとし、前記第3プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面下端から前記第2プラズマ進行管のプラズマ出口側の管断面上端に対する仰角をθとしたとき、θ≧θが満足される請求項9に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれに、プラズマ搬送用磁場を発生するプラズマ搬送用磁場発生手段を設け、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管に、前記プラズマ搬送用磁場を偏向させる偏向磁場発生手段を付設し、前記偏向磁場発生手段により発生される偏向磁場によりプラズマ流を管中心側に偏向させる請求項8、9又は10に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記偏向磁場発生手段は、前記第1プラズマ進行管及び/又は前記第2プラズマ進行管の外周に配置されたヨークと、そのヨークに巻回された磁場コイルとからなり、前記ヨークは、管軸方向にスライド調整、周方向に回動調整、及び/又は管軸方向に揺動調整される請求項11に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記プラズマ搬送用磁場発生手段は、前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管外周に巻回された磁場コイルからなる請求項11に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記第2プラズマ進行管の管外周に巻回された磁場コイルは、その管外周に対して傾斜軸に沿って楕円状に巻回された磁場コイルからなる請求項13に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記プラズマ直進管、前記第1プラズマ進行管、前記第2プラズマ進行管及び前記第3プラズマ進行管のそれぞれの管内壁面にドロップレット捕集板が植設され、前記植設領域が管内壁面積の70%以上である請求項8〜14のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記第2プラズマ進行管を拡径管とし、前記第1プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ導入側始端に連接された導入側縮径管とし、前記第3プラズマ進行管を前記拡径管のプラズマ排出側終端に連接された排出側縮径管とする請求項8〜15のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項17】
前記第2プラズマ進行管と前記第3プラズマ進行管の連接部に、前記第2プラズマ進行管から前記第3プラズマ進行管に供給されるプラズマ流を進行方向に集束整流する整流磁場発生手段、及び/又は前記プラズマ流をその断面方向に偏向振動させる偏向振動磁場発生手段が設けられた請求項8〜16のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項18】
前記第2プラズマ進行管内に植設されたドロップレット捕集板は前記第2プラズマ進行管の管壁と電気的に遮断されており、前記ドロップレット捕集板にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段が設けられた請求項15に記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。
【請求項19】
前記第2プラズマ進行管内に、管軸方向に沿って設置位置が変更可能な1個以上のアパーチャーを配設し、前記アパーチャーは所定面積の開口部を有する請求項8〜18のいずれかに記載の絶縁体介装型プラズマ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate