説明

絶縁性ガスの水分濃度測定装置及び方法

【課題】サンプリングガスの放出量を抑制し測定時間の短縮を図ることができる絶縁性ガスの水分濃度測定装置及び方法を提供すること。
【解決手段】水分濃度測定装置16は、ガス絶縁開閉装置1から取り込まれた絶縁性ガスのサンプリングガスの圧力を測定する圧力センサ8と、サンプリングガスの温度を測定する温度センサ9と、サンプリングガスの温度を調整可能な温度制御部を有し、前記温度制御部を用いてサンプリングガスを冷却又は加熱することにより、サンプリングガスに含まれる水分の結露の発生又は消失を検出可能な結露検出部10と、前記温度制御部によるサンプリングガスの冷却又は加熱を制御し、結露検出部10による結露の検出データと温度センサ9からの温度情報とに基づいて露点を推定し、この推定された露点と圧力センサ8の圧力情報とに基づいて水分濃度を算出する制御処理部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス絶縁開閉装置に封入される例えば六フッ化硫黄(SF)ガス等の絶縁性ガスに含まれる水分濃度を測定する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置の絶縁機能を発揮するためにその内部に封入されている六フッ化硫黄ガスは二酸化炭素の約23,900倍の温室効果係数をもつ絶縁性ガスであり、環境破壊を防ぐため、大気中への放出防止が課題となっている。
【0003】
ところで、絶縁ガス中に水分が含まれると絶縁性能の劣化の要因となる。そのため、六フッ化硫黄ガス中に含まれる水分濃度は電流開閉部の設けられた部位では150ppm以下、それ以外では500ppm以下と電気協同研究第33巻第4号「SFガス機器の保守基準」(以下、「電協研」という。)で規定されている。六フッ化硫黄ガス中に含まれる水分の濃度を測定するときは、ガス絶縁開閉装置のガスバルブを開き、サンプリングガスを測定装置内に取り込み、その水分濃度を測定している。
【0004】
また、特許文献1では、ガス絶縁変電機器の劣化判断を、サンプリングガス中の二酸化炭素濃度の測定に基づいて行う構成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−11008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
六フッ化硫黄ガスの水分濃度測定作業においては、ガス絶縁開閉装置のガスバルブを開き、サンプリングガスをガス絶縁開閉装置から放出させて水分濃度を測定するため、たとえ六フッ化硫黄ガスの回収装置を備えていたとしても、サンプリングガスの使用量をできる限り低減し、環境への影響を未然に防ぐために、常に傍で人が監視しながら測定しなければならない。
【0007】
また、水分濃度測定中に、六フッ化硫黄ガス中の水分濃度が電協研で定められた規定値を満たすことが確実となった場合でも、ガス絶縁開閉装置の絶縁性能の指標として正確な水分濃度を知りたいときには、水分濃度の測定値が収束するまで測定装置内にサンプリングガスを取りこみ測定を継続する必要があるため、測定時間を要するとともに、ガス絶縁開閉装置から六フッ化硫黄ガスを放出し続けなければならなかった。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、サンプリングガスの放出量を抑制し、測定時間の短縮を図ることができる絶縁性ガスの水分濃度測定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る水分濃度測定装置は、ガス絶縁開閉装置内に封入された絶縁性ガスに含まれる水分濃度を測定する絶縁性ガスの水分濃度測定装置であって、前記ガス絶縁開閉装置から取り込まれた前記絶縁性ガスのサンプリングガスの圧力を測定する圧力センサと、前記サンプリングガスの温度を測定する温度センサと、前記サンプリングガスの温度を調整可能な温度制御部を有し、前記温度制御部を用いて前記サンプリングガスを冷却又は加熱することにより、前記サンプリングガスに含まれる水分の結露の発生又は消失を検出可能な結露検出部と、前記温度制御部による前記サンプリングガスの冷却又は加熱を制御し、前記結露検出部による前記結露の検出データと前記温度センサからの温度情報とに基づいて露点を推定し、この推定された露点と前記圧力センサの圧力情報とに基づいて水分濃度を算出する制御処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、サンプリングガスの放出量を抑制し、測定時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態に係る絶縁性ガスの水分濃度測定装置を含む全体構成図である。
【図2】図2は、結露検出部の構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、制御処理部による露点Td(℃)の測定方法を説明するための図である。
【図4】図4は、実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る絶縁性ガスの水分濃度測定装置及び方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係る絶縁性ガスの水分濃度測定装置を含む全体構成図である。図1に示すように、水分濃度測定装置16は、配管を介してガス絶縁開閉装置1と接続され、ガス絶縁開閉装置1にはガスバルブ2と給排口3が設けられている。ガス絶縁開閉装置1内に封入された絶縁性ガスである例えば六フッ化硫黄ガスのサンプリングガスは、ガスバルブ2を開くことにより給排口3を通して放出され、水分濃度測定装置16内に取り込まれる。また、水分濃度測定装置16はガス回収装置15に配管を介して接続され、ガス回収装置15は測定に使用したサンプリングガスを回収することができる。
【0014】
水分濃度測定装置16は、給排口3につながる電磁弁5(第1の電磁弁)と、サンプリングガスの圧力を測定する圧力センサ8と、サンプリングガスの温度を測定する温度センサ9と、サンプリングガスを冷却又は加熱することによりサンプリングガスに含まれる水分の結露の発生又は消失を検出可能な結露検出部10と、この結露検出部10によるサンプリングガスの冷却又は加熱を制御するとともに、結露検出部10から出力される結露発生及び消失に関するデータと温度センサ9からの温度情報とに基づいて露点Tdを算出し、算出した露点Tdと圧力センサ8からの圧力情報とに基づいて水分濃度を検出する制御処理部11と、この制御処理部11に接続され、水分濃度の測定結果等を表示する出力表示モニタ12と、結露検出部10とガス回収装置15との間に介在する電磁弁14(第2の電磁弁)と、制御処理部11の指示により電磁弁5,14の開閉を制御する電磁弁制御回路13と、を備えて構成される。また、結露検出部10及び温度センサ9は露点計測部6を構成し、後述するように、露点計測部6によりサンプリングガス中の水分の露点Tdを計測することができる。
【0015】
制御処理部11は、演算処理機能と記録機能とを備えている。具体的には、制御処理部11は、CPUと記憶装置とを備え、所定のソフトウェアに従って動作するマイクロコンピュータ等により構成される。また、制御処理部11は、露点(温度)Tdから飽和水蒸気圧を算出するための露点温度−飽和水蒸気圧換算情報を備えている。露点温度−飽和水蒸気圧換算情報としては、公知の換算式、例えばSONNTAGの式を用いることができる。なお、換算式を与える代わりに、テーブル化されたデータを与えてもよい。更に、制御処理部11は、飽和水蒸気圧から水分濃度を算出するための飽和水蒸気圧−水分濃度換算情報を備えている。例えば水分濃度をppmvで与える場合は、飽和水蒸気圧−水分濃度換算情報として、水分濃度(ppmv) =e(水蒸気圧)/ [(圧力センサ8で計測値) − e(水蒸気圧) ) × 10]等の換算式を用いることができる。
【0016】
次に、結露検出部10の構成例について説明する。図2は、結露検出部10の構成の一例を示す図である。結露検出部10は、六フッ化硫黄ガスが流れる流路内に配置された鏡面部20と、この鏡面部20の例えば背面に配置され、制御処理部11の制御のもとで鏡面部20を冷却又は加熱することができる温度制御装置21(温度制御部)と、鏡面部20に対してレーザー光Lを照射する光源22と、光源22から出射されたレーザー光Lが鏡面部20で反射されたその反射光を検出する受光部としてのフォトダイオード23と、を備えている。また、図2では、サンプリングガスの流れる方向をFで示している。
【0017】
温度制御装置21及びフォトダイオード23は、それぞれ制御処理部11に接続されている。制御処理部11は、温度制御装置21を制御して、鏡面部20を冷却し又は加熱することができる。これにより、鏡面部20を介してサンプリングガスの温度を下降させ又は上昇させることができる。なお、図2では図示はしていないが、図1で示した温度センサ9が温度制御装置21の近傍に配置されており、温度制御装置21により温度調整されたサンプリングガスの温度を検出できるように構成されている。
【0018】
結露検出部10による結露の検出は以下のようにしてなされる。光源22から鏡面部20に対しては連続してレーザー光Lが照射されている。フォトダイオード23は、このレーザー光Lの鏡面部20による反射光を受光しているが、鏡面部20に結露24が発生すると、レーザー光Lは結露24により散乱されるので、フォトダイオード23の受光量は結露24がない場合に比べて減少する。そこで、結露が発生していない状態から温度制御装置21により鏡面部20を冷却し、サンプリングガスの温度を低下させつつ、フォトダイオード23の受光量を制御処理部11で監視することにより、受光量が減少した時に結露24が発生したと判定することができる。また、結露24が発生した状態から温度制御装置21により鏡面部20を加熱し、サンプリングガスの温度を上昇させつつ、フォトダイオード23の受光量を制御処理部11で監視することにより、受光量が増加した時に結露24が消失したと判定することができる。このように、制御処理部11は、フォトダイオード23の受光量の変化を監視することにより、結露24の発生又は消失を検出することができる。
【0019】
図3は、制御処理部11による露点Td(℃)の測定方法を説明するための図である。図3では、横軸は測定時間(秒)を表し、縦軸は測定装置内温度(℃)、即ち、温度センサ9により測定されるサンプリングガスの温度を表す。また、図3では、測定で求めるべき露点Td(℃)も合わせて示してある。
【0020】
図3の詳細について説明する。まず、サンプリングガスの温度の初期値はA0での温度である。この初期温度は露点Td(℃)よりも高いので、フォトダイオード23の受光量は結露24がない場合の値(以下、「定常値」という。)を示している。次に、制御処理部11は、温度制御装置21に指示をして鏡面部20を冷却させ、これにより測定装置内温度は減少する。制御処理部11は、フォトダイオード23の受光量を逐次監視しており、その受光量が定常値よりも低下した時に結露24が発生したと判定し、温度制御装置21に指示をして鏡面部20の冷却を中止し次に加熱させる。この加熱に転じた点がA1である。制御処理部11は、しばらくは定常値よりも低い受光量を検出しているが、測定装置内温度が上昇し、露点Tdに達すると、受光量が定常値に復帰する。これにより、制御処理部11は、結露24が消失したと判定し、温度制御装置21に指示をして鏡面部20の加熱を中止し次に冷却させる。この冷却に転じた点がA2である。このような制御処理を繰り返し行うことにより、A0→A1→A2→A3→A4→A5→A6→A7→A8→・・・のような減衰振動を示す温度時間変化のデータを得ることができる。図3から明らかなように、上記温度制御を繰り返し行えば、振動の振幅は減衰するので、その収束温度として露点Tdを検出することができる。
【0021】
本実施の形態では、振動の振幅が予め設定した閾値ΔTth以下になった時に、温度制御装置21による加熱又は冷却の温度制御を中止し、それまで得られた温度時間変化に基づいて露点Tdを推定することとする。即ち、制御処理部11は、図3にて「露点検出可能期間」として示した期間のデータに基づき、露点Tdを推定する。振動の振幅は、例えば、温度上昇に転じた点から温度下降に転じた点まで又は温度下降に転じた点から温度上昇に転じた点までの温度差として定義することができる。なお、露点Tdは、図3の振動減衰曲線の収束温度として直接検出することもできるが、この場合、温度センサ9の出力そのものを露点Tdとして検出することになるので、振動が十分に減衰した後に検出する必要があり、測定時間を要する。また、図3では、かかる方法により露点Tdを検出する場合の収束判定基準となる閾値ΔTconを示しているが、このΔTconは上記のΔTthよりも小さい。つまり、本実施の形態では、減衰曲線が収束する前に、それまでに得られたデータを演算して露点Tdを推定する方法を採用し、検出時間の削減を図っている。
【0022】
また、露点Tdの推定方法としては種々の方法が考えられるが、そのいずれを採用してもよい。例えば、A0,A2,A4、A6を補間した曲線を「露点検出可能期間」後に外挿したものと、A1,A3,A4を補間した曲線を「露点検出可能期間」後に外挿したものとの交点における温度として露点Tdを推定することができる。また、例えば、A5での温度とA6での温度の平均値として露点Tdを推定することができる。一般に、振動の回数及び振幅の変化等の振動特性から露点Tdを推定することが可能である。
【0023】
なお、図3のような減衰振動のグラフは、詳細には次のようにして得られる。例えば、A0からA1まで温度を下降させた後は、A0−A1間に露点Tdが存在することが既知となっているので、続いてA1から温度上昇をさせる場合にはA0の温度まで上昇させる必要はなく、図示例のようにA0よりも温度の低いA2までの範囲で結露24の消失を検出することができる。また、A1からA2まで温度を上昇させた後は、A1−A2間に露点Tdが存在することが既知となっているので、続いてA2から温度下降をさせる場合にはA1の温度まで下げる必要はなく、図示例のようにA1よりも温度の高いA3までの範囲で結露24の消失を検出することができる。以降も同様であり、よって振幅は順次減衰する。
【0024】
また、振幅が小さくなるにつれて、より正確に結露24の発生又は消失を検出するためには、例えば温度の上昇率又は下降率を小さくすれば良い。即ち、制御処理部11は、振幅が小さくなるにつれて、温度制御装置21にゆっくり加熱させまたは冷却させるよう制御することにより、その振幅値を確実に縮小させつつ精度良く露点を検出することができる。
【0025】
次に、本実施の形態の動作について図4を参照して説明する。図4は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【0026】
圧力センサ8は、サンプリングガスの圧力を常時又は定期的に測定し(S1)、その測定値を制御処理部11に送信している。また、温度センサ9は、サンプリングガスの温度を常時又は定期的に測定し(S1)、その測定値を制御処理部11に送信している。
【0027】
まず、制御処理部11は、温度制御装置21に指示をして鏡面部20を冷却させる(S2)。制御処理部11は、フォトダイオード23の受光量を常時監視し、受光量が定常値であるか否かを判定することにより、鏡面部20が結露したか否かを判定する(S3)。その詳細は、図3で説明した通りである。
【0028】
鏡面部20が結露していないと判定した場合は(S3,No)、S2に移行し更に鏡面部20を冷却する。鏡面部20が結露したと判定した場合は(S3,Yes)、制御処理部11は、図3で説明した温度変化の振幅が閾値ΔTth以下であるか否かを判定する(S4)。その結果、振幅が閾値ΔTth以下であれば(S4,Yes)、S8に移行する。振幅が閾値ΔTthよりも大きい場合は(S4,No)、S5に移行し、鏡面部20の冷却を中止して逆に加熱する。
【0029】
続いて、制御処理部11は、フォトダイオード23の受光量が定常値であるか否かを判定することにより、鏡面部20から結露が消失したか否かを判定する(S6)。その詳細は、図3で説明した通りである。鏡面部20が結露していると判定した場合は(S6,No)、S5に移行し更に鏡面部20を加熱する。鏡面部20から結露が消失したと判定した場合は(S6,Yes)、制御処理部11は、温度変化の振幅が閾値ΔTth以下であるか否かを判定する(S7)。その結果、振幅が閾値ΔTth以下であれば(S7,Yes)、S8に移行する。また、振幅が閾値ΔTthよりも大きい場合は(S7,No)、S2に移行し、上記操作を繰り返す。
【0030】
次に、S8では、制御処理部11は、それまで得られた温度時間変化のデータに基づいて露点Tdを算出する。その詳細は、図3で説明した通りである。
【0031】
続いて、制御処理部11は、上記の露点温度−飽和水蒸気圧換算情報を用いて、露点Tdから飽和水蒸気圧を算出する(S9)。更に、制御処理部11は、上記の飽和水蒸気圧−水分濃度換算情報を用いて、飽和水蒸気圧から水分濃度(ppmv)を算出する(S10)。
【0032】
次に、制御処理部11は、出力表示モニタ12に水分濃度(ppmv)の測定値を表示させるとともに、電磁弁制御回路13に対して水分濃度の測定終了を通知する信号(水分濃度測定終了信号)を送信する。電磁弁制御回路13は、水分濃度測定終了信号を受信すると、まず、ガス絶縁開閉装置1側の電磁弁5の閉操作を指示する閉信号を電磁弁5に送信し、更に装置中のサンプリングガスがガス回収装置15に抜けきる時間であるΔt秒後に、ガス回収装置15と接続された電磁弁14の閉操作を指示する閉信号を電磁弁14に送信する(S11)。これにより、電磁弁5,14はいずれも自動で閉じる(S12)。また、電磁弁5と電磁弁14の閉時刻に遅延を設けることにより、サンプリングガスの回収率を向上させることができる。なお、Δtは、装置構成に応じて、例えば予め設定した値を用いることができる。
【0033】
なお、図4のフローチャートでは、鏡面部20を冷却する処理(S2)から開始したが、測定開始時に鏡面部20が結露している場合は、最初に鏡面部20を加熱する処理を行う。その動作は、図3で、A1から処理を開始すればよいので、上記の説明から明らかである。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、サンプリングガスに含まれる水分の露点Tdを検出する際に、露点Tdの測定値の収束前に露点Tdを推定し、その推定値に基づいて水分濃度を算出するようにしたので、従来のように水分濃度の値が収束するまでサンプリングガスを放出させて測定を継続する必要がなくなり、サンプリングガスの放出量を削減し、測定時間の短縮を図ることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、水分濃度の測定終了後、電磁弁制御回路13から電磁弁5,14に閉信号を送信して電磁弁5,14を自動で閉じるようにしている。そのため、測定開始時に所定の設定を行うだけで、その後は、無人で測定を完了することができるので、測定作業を省力化することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、露点Tdの推定処理は、図3のような温度制御に基づいて行ったが、これに限定されず、他の温度制御グラフに基づいて推定するものであってもよく、露点Tdが収束する前に、それまでに得られた温度変化データを用いて露点Tdを推定するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ガス絶縁開閉装置に封入された絶縁性ガスに含まれる水分濃度を測定する装置及び方法として有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 ガス絶縁開閉装置
2 ガスバルブ
3 給排口
5,14 電磁弁
6 露点計測部
8 圧力センサ
9 温度センサ
10 結露検出部
11 制御処理部
12 出力表示モニタ
13 電磁弁制御回路
15 ガス回収装置
16 水分濃度測定装置
20 鏡面部
21 温度制御装置
22 光源
23 フォトダイオード
24 結露

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス絶縁開閉装置内に封入された絶縁性ガスに含まれる水分濃度を測定する絶縁性ガスの水分濃度測定装置であって、
前記ガス絶縁開閉装置から取り込まれた前記絶縁性ガスのサンプリングガスの圧力を測定する圧力センサと、
前記サンプリングガスの温度を測定する温度センサと、
前記サンプリングガスの温度を調整可能な温度制御部を有し、前記温度制御部を用いて前記サンプリングガスを冷却又は加熱することにより、前記サンプリングガスに含まれる水分の結露の発生又は消失を検出可能な結露検出部と、
前記温度制御部による前記サンプリングガスの冷却又は加熱を制御し、前記結露検出部による前記結露の検出データと前記温度センサからの温度情報とに基づいて露点を推定し、この推定された露点と前記圧力センサの圧力情報とに基づいて水分濃度を算出する制御処理部と、
を備えることを特徴とする絶縁性ガスの水分濃度測定装置。
【請求項2】
前記制御処理部は、前記結露検出部が前記結露の発生を検出するまで前記温度制御部による前記サンプリングガスの冷却を継続させる処理と前記結露検出部が前記結露の消失を検出するまで前記温度制御部による前記サンプリングガスの加熱を継続する処理を交互に行うよう制御し、かつ、前記サンプリングガスの温度時間変化の振幅が時間経過とともに減少するように制御し、更に、前記振幅が予め設定した閾値以下になった時に、それまでに得られた前記温度時間変化のデータを用いて前記露点を推定することを特徴とする請求項1に記載の絶縁性ガスの水分濃度測定装置。
【請求項3】
前記ガス絶縁開閉装置との間に設けられた第1の電磁弁と、
前記サンプリングガスを回収するガス回収装置との間に設けられた第2の電磁弁と、
前記第1及び第2の電磁弁の開閉制御を行う電磁弁制御回路と、
を備え、
前記制御処理部は、前記水分濃度を検出した後、前記電磁弁制御回路に指示して前記第1及び第2の電磁弁にそれぞれ閉信号を送信させることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁性ガスの水分濃度測定装置。
【請求項4】
前記電磁弁制御回路は、前記第1の電磁弁に前記閉信号を送信した後、当該水分濃度測定装置内の前記サンプリングガスが前記ガス回収装置へ抜けきる時間として予め設定された時間が経過した後に、前記第2の電磁弁に前記閉信号を送信することを特徴とする請求項3に記載の絶縁性ガスの水分濃度測定装置。
【請求項5】
ガス絶縁開閉装置内に封入された絶縁性ガスに含まれる水分濃度を測定する絶縁性ガスの水分濃度測定方法であって、
前記ガス絶縁開閉装置から取り込まれた前記絶縁性ガスのサンプリングガスを温度制御部により冷却又は加熱し、結露検出部により前記サンプリングガスに含まれる水分の結露の発生又は消失を検出するとともに、前記結露検出部による前記結露の検出データと温度センサからの温度情報とに基づいて露点を推定するステップと、
前記推定された露点と圧力センサの圧力情報とに基づいて水分濃度を算出するステップと、
を含むことを特徴とする絶縁性ガスの水分濃度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−170224(P2012−170224A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29033(P2011−29033)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】