説明

絶縁性黒色ポリイミドフィルム、カバーレイフィルム及びフレキシブルプリント配線板

【課題】 本発明の課題は、遮光性、絶縁性に優れ、且つ優れた意匠性も有する絶縁性ポリイミドフィルム、及びそれを用いて得られるカバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【解決手段】 (A)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料および(B)シリカを含み、ポリイミドフィルム全体に対する顔料(A)及び(B)の合計総重量が1〜20%かつ、(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.1〜5.0の範囲に含まれることを特徴とするポリイミドフィルムにより、上記課題を解決し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリイミドフィルム、カバーレイフィルム及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受け、フレキシブルプリント配線板は、可撓性を有し、繰り返し屈曲に耐えるため、狭い空間に立体的高密度の実装が可能であり、電子機器への配線、ケーブル、あるいはコネクター機能を付与した複合部品としてのその用途が拡大している。特に最近では、カメラ、ビデオカメラ、CD−ROMドライブの光ピックアップ部等の電子・光学機器に使用されることが多くなり、それに伴ってフレキシブルプリント配線板に対する遮光性が重要となっている。この遮光性とは光学機器の嫌光部に用いられるフレキシブルプリント配線板に必要な特性で、外部から嫌光部に侵入しようとする光を配線板で遮り、かつ配線板によって遮られた光の反射光が再び嫌光部に侵入しないよう拡散させる必要がある。
【0003】
また、フレキシブルプリント配線板は、携帯電話やパソコンにも欠かすことのできない電子部品であり、その需要は年々増加している。携帯電話やパソコンにおいては、機能とともにデザイン性も重要となってきており、筐体を透明にする等の試みがなされている。このような意匠性の観点から、低光沢な、いわゆるマットな質感を有するフレキシブルプリント配線板も求められている。
【0004】
さらに、電子機器の小型軽量化に伴い、フレキシブルプリント配線板の厚みも薄くなってきており、それに伴いフレキシブルプリント配線板に用いられるカバーレイフィルムの厚みも薄くなってきている。
【0005】
遮光性を付与させるために、従来はフレキシブルプリント配線板のカバーレイフィルム側の電気絶縁性フィルムに直接スクリーン印刷法等により黒色インクを印刷して対応していた。しかしながらこの方法では凹凸のあるフレキシブルプリント配線板にスクリーン印刷を行うため作業性が悪く、かつ回路加工工程中に印刷工程が増えることから、作業効率も悪くなってしまう。また、回路の外形加工時及び折り曲げ時に、黒色インクが折れたり剥れたりして遮光性が失われたり、黒色インクにより機器内部が汚染されてしまうという欠点があった。
【0006】
この課題を解決するために、カバーレイフィルムを黒色化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、着色力と絶縁性の観点からベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料を用いる技術も公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9―135067号公報
【特許文献2】特許第4709326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたように黒色顔料としてカーボンブラックを用いた場合、本来のポリイミドフィルムが持つ絶縁性を低下させる傾向にあるという問題があった。また、特許文献2にあるようにペリレンブラック顔料を用いた場合は、絶縁性を損ねる可能性は低くなるが、表面性や色相を調整するなど意匠性についての設計には限界があった。本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであってその目的は、遮光性、絶縁性に優れ、且つ優れた意匠性も有するポリイミドフィルム、及びそれを用いて得られるカバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料と、もう1種類の顔料であるシリカを含有するポリイミドフィルムを用いることにより、優れた遮光性とマットな質感を両立し、また高い絶縁信頼性をも併せ持つカバーレイフィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、(A)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料および(B)シリカを含み、ポリイミドフィルム全体に対する顔料(A)及び(B)の合計総重量が1〜20部かつ、(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.1〜5.0の範囲に含まれることを特徴とするポリイミドフィルムに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るポリイミドフィルム、ならびに該ポリイミドフィルムを用いて得られるカバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板は、優れた遮光性と絶縁信頼性を両立し、さらには低光沢度であり、意匠性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
【0013】
((A)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料)
ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料は特に限定されないが、BASF社製ルモゲンブラックFK4280等が挙げられる。ペリレンブラック顔料は紫色を呈する黒色顔料であり、一般的にポリイミドフィルムのように黄色の樹脂を着色した場合に効果的に黒色に見せることができる。
【0014】
((B)シリカ)
シリカとしては、溶融シリカ、フュームドシリカ、合成シリカ等、いずれを用いてもよい。シーマ電子社製各種HPSシリーズ、林化成株式会社製SQシリーズ等を例示できる。
【0015】
(ポリイミドフィルム)
本発明に係るポリイミドフィルムについて説明する。
【0016】
ポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸重溶液から得られる。このポリアミド酸重合体溶液は、当業者が通常用いる方法で製造することができる。すなわち、1種または2種以上のテトラカルボン酸二無水物成分と1種または2種以上のジアミン成分を実質等モル使用し、有機極性溶媒中で重合してポリアミド酸重合体溶液が得られる。
【0017】
ポリイミドフィルムの製造に用いられる代表的なテトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、p−フェニレンジフタル酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を上げることができる。
【0018】
一方、ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4、4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3、3’−ジアミノジフェニルスルフォン、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビスアミノフェノキシケトン、4、4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4、4’−(1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノベンズアニリド、3、3’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル、3、3’−ジメトキシ−4、4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、あるいはその他の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0019】
本発明のポリイミドフィルムは、その前駆体であるポリアミド酸重合体の重量平均分子量が10,000〜1,000,000であることが望ましい。重量平均分子量が10,000未満ではできあがったフィルムが脆くなる場合がある。他方、重量平均分子量が1,000,000を越えるとポリイミド前駆体であるポリアミド酸ワニスの粘度が高くなりすぎ取扱いが難しくなるおそれがある。
【0020】
ポリアミド酸重合体の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。これらは単独または混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を前記溶媒に一部混合して使用してもよい。また、このポリアミド酸重合体は前記の有機極性溶媒中に5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%溶解されているのが取扱いの面から望ましい。
【0021】
本発明におけるポリイミドフィルムへの、(A)及び(B)の添加方法は上記ポリアミド酸を重合する際にあらかじめ溶剤中へ添加しておく方法、(A)及び(B)の分散液をあらかじめ作製し、これをポリアミド酸溶液重合後に添加する方法等が挙げられるが特には限定されない。(A)及び(B)をあらかじめ溶剤に分散し、更にポリアミド酸を加えて高濃度の分散液を作製し、これをポリアミド酸溶液で薄めながら使用する方法は取り扱いの観点から好ましい。
【0022】
分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、三本ロール、ホモジナイザー、超音波、撹拌翼を用いた撹拌、等公知の分散技術を適用可能である。尚、(A)と(B)とは別々に分散液を作製してもよいし、1つの分散液としてもよい。
【0023】
この(A)および(B)のポリアミド酸重合体分散液から、ポリイミドフィルムを得るためには熱的に脱水する熱的方法、脱水剤とイミド化触媒を用いる化学的方法のいずれを用いてもよいが、化学的方法によると生成するポリイミドフィルムの伸び率や引張強度等の機械特性がすぐれたものになるので好ましい。
【0024】
上記(A)および(B)のポリアミド酸重合体分散液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液をドラム或はエンドレスベルト上に流延または塗布して膜状とし、その膜を200℃以下の温度で約10〜10000秒乾燥し、自己支持性のポリアミド酸重合体の膜を得る。ついで、これを支持体より引き剥し端部を固定する。その後所定の温度で加熱することによりイミド化し、冷却後端部の固定を解放し絶縁性ポリイミドフィルムを得る。
【0025】
ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。またイミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0026】
また、ポリイミドフィルムは、接着剤等の異種材料との密着性を向上させる目的で、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機モノマー、カップリング剤等の各種有機物をプライマーとして塗布する方法、金属水酸化物、有機アルカリ等で表面処理する方法、プラズマ処理、コロナ処理する方法、表面をグラフト化させる方法、等の各種表面処理を行うことができる。
【0027】
(フィルム中に含まれる顔料の重量)
フィルム中に含まれる顔料の重量については次のようにして測定することができる。すなわち、黒色のポリイミドフィルムをヒドラジン溶液を用いて溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行った後重量を測定し、処理前のフィルムの重量と比較することで測定できる。(A)と(B)のフィルムに対する総重量は1%〜20%の範囲にある必要があり、5%〜15%の範囲にあることが好ましく、5%〜10%の範囲にあることがさらに好ましい。顔料の総重量がこれらの範囲を下回ると添加した顔料の効果が小さくなり、これらの範囲を上回ると絶縁性、フィルム強度が下がる傾向にある。
【0028】
(A)と(B)の重量比(A)/(B)は0.1〜5.0の範囲にある必要があり、0.5〜3.0の範囲にあることが好ましく、0.8〜2.0の範囲にあることがさらに好ましい。(A)/(B)の値がこれらの範囲を下回ると、フィルムを着色することができず、これらの範囲を上回ると、フィルム強度が下がる傾向にある。
【0029】
(カバーレイフィルム)
本発明に係るポリイミドフィルムは、プリント板の外側表面の導体パターンを全面的又は部分的にカバーするために使用される絶縁フィルムであるカバーレイフィルムに好適に用いることができる。 カバーレイフィルムは、該ポリイミドフィルムの片面に接着剤を塗布・乾燥して形成するか、若しくは接着フィルムを貼り合せる事で形成し、必要に応じて接着剤面保護のためにセパレーターを貼り合わせることで得ることができる。
【0030】
本発明のポリイミドフィルムは、そのもののみで十分な遮光性、及びマットな質感を有することから、接着剤に黒色顔料を添加する必要がなく、従って絶縁不良を生じる恐れもない。
【0031】
また本発明のポリイミドフィルムは十分な絶縁性も確保していることから、外部との接触による絶縁不良を生じる恐れもなく、絶縁機能、保護機能に優れたカバーレイフィルムを得ることができる。
【0032】
(フレキシブルプリント配線板)
上述のように、本発明に係るポリイミドフィルムからカバーレイフィルムを得た後、そのカバーレイフィルムを用いて得られるフレキシブルプリント配線板は、遮光性及び絶縁信頼性に優れるため、カメラ、ビデオカメラ、CD−ROMドライブの光ピックアップ部等の電子・光学機器に好適に用いられる。また、マットな質感を有するため、デザイン性、意匠性が要求される用途にも好適に用いられる。
【0033】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、フレキシブル銅張積層板をパターニング加工したプリント配線板に、本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムから得たカバーレイフィルムを打ち抜き加工したものをプレス加工、ラミネート加工により貼り合せ、端子めっきを行い、必要に応じて補強板を貼り合せることで得ることができる。
【0034】
また、本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは絶縁信頼性が高いため、カバーレイフィルムに限らず、フレキシブルプリント銅張積層板のベースフィルムとしても用いることが可能である。
【0035】
もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、本発明の絶縁樹脂材料であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0036】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例におけるフィルムの特性は、次のようにして評価した。
【0037】
〔全光線透過率〕
50mm角のポリイミドフィルムを用い、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター、NDH 5000を用いて、ASTM D 1003に従って全光線透過率(%)を測定することにより求めた。
【0038】
〔光沢度〕
100mm角のポリイミドフィルムを用い、日本電色工業株式会社製の光沢度計、V−7000を用いて、入射角20°、60°、85°での光沢度(%)測定することにより求めた。
【0039】
〔絶縁破壊電圧〕
100mm角のポリイミドフィルムを用い、JIS C 2110−7.1にしたがって測定し、絶縁破壊した電圧の値を測定サンプルの厚みで除した値V/μmを採用した。
【0040】
〔フィルム化時のフィルムの機械的強度〕
フィルム化の際に、問題なくフィルム化できたものを○、フィルムが破断したものを×と判定した。
【0041】
(合成例1;ポリアミド酸重合体の合成1)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)620.4gにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1g、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA)を56.2g添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2g添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45g/DMF31.6g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約18.5重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸重合体溶液(a)を得た。
【0042】
(実施例1)
DMF69gに、(A)としてBASF社製ルモゲンブラックFK4280を5.0g、(B)として球状シリカHPS−2000を5.0gを加え、ホモジェナイザーで10分間攪拌した。この分散液にポリアミド酸重合体溶液(a)を11g加え、80gのマスターバッチを得た。このマスターバッチ22.9gにポリアミド酸溶液(a)87.12を加え更に、無水酢酸/3,5―ジエチルピリジン/DMF(重量比12.90/2.96/13.14)からなる硬化剤を80g添加し、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。また、得られたフィルムをヒドラジン溶液を用いて溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行った後重量を測定したところ、フィルム重量に対して14%の重量の顔料を得た。
【0043】
(比較例1)
(B)成分として球状シリカHPS−2000を用いない以外は全て実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。また、得られたフィルムをヒドラジン溶液を用いて溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行った後重量を測定したところ、フィルム重量に対して7%の重量の顔料を得た。
【0044】
(比較例2)
DMF69gに、(A)としてBASF社製ルモゲンブラックFK4280を10g、(B)として球状シリカHPS−2000を10gを加え、ホモジェナイザーで10分間攪拌した。この分散液にポリアミド酸重合体溶液(a)を11g加え、100gのマスターバッチを得た。このマスターバッチ22.9gにポリアミド酸溶液(a)87.12を加え更に、無水酢酸/3,5―ジエチルピリジン/DMF(重量比12.90/2.96/13.14)からなる硬化剤を80g添加し、0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させようとしたが、途中でフィルムが破談し、評価に足るフィルムを得ることはできなかった。また、破断した樹脂フィルムの断片をヒドラジン溶液を用いて溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行った後重量を測定したところ、フィルム断片重量に対して28%の重量の顔料を得た。
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベンゾイミダゾール骨格を有するペリレンブラック顔料および(B)シリカを含み、ポリイミドフィルム全体に対する顔料(A)及び(B)の合計総重量が1〜20%かつ、(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.1〜5.0の範囲に含まれることを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のポリイミドフィルムを用いてなるカバーレイフィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリイミドフィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板。

【公開番号】特開2013−28767(P2013−28767A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167414(P2011−167414)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】