説明

絶縁油組成物

A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及びB)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含む絶縁油組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのタイプの電気装置は、通電した(energized)要素によって発生する熱を放散するための、通電した要素を装置筐体並びに他の内部部品及び機器から遮断するための、及びそれらの組合せのための絶縁油組成物を含む。電気装置の例には、限定されることなく、変圧器、コンデンサー、スイッチ、レギュレーター、回路遮断器、ケーブル、リクローザ、整流器、リアクトル、X線装置、及びそれらの組合せが含まれる。
【0003】
変圧器は、一般に、電力を回路間で電磁的に伝達する。変圧器は、一般に電力の伝達に用いられる。
【0004】
大きな変圧器は、変圧器を、標準的な運転電圧で、温度過電圧、過渡過電圧、及びそれらの組合せの際に保護するために、一般に、コイル、導線、及びそれらの組合せを絶縁することを必要とする。過渡過電圧は、落雷、スイッチ操作、及びそれらの組合せに起因する。絶縁不良の場合には、内部の漏電又は短絡が生じる。これらの発生により、装置が故障し、典型的には、システムが停止し、場合により装置の近くにいる人が危険に曝される。
【0005】
変圧器のコア及びコイルアセンブリから熱を効果的に移し去り、許容可能な運転温度を維持するためには、従来の変圧器は、比較的大容量の絶縁油組成物を絶縁材として用いる。
【0006】
絶縁油組成物として、特に変圧器油又はスイッチギヤ油として、好ましくは、酸化安定性以外の他の特性への悪影響に起因する高い添加剤処理比率なしに用いるための、高い耐酸化性油生成物に対する要求が知られる。
【0007】
良好な酸化安定性は、低い酸形成及び/又は低いスラッジ形成、並びに低い温度粘度値によって表してよい。
【0008】
国際公開第01/54138A号パンフレットには、酸化及び電気耐性を向上したといわれる絶縁油組成物が記載される。前記絶縁油組成物は、(A)実質的に窒素及び硫黄を含まない、絶縁油沸点範囲の沸点を有するパラフィン質又はナフテン質の基油、及び(B)約200℃〜約400℃の沸点を有し、100超:1の硫黄/塩基性窒素比(S/BN)を有する水素精製軽質ガス油(LGO)のブレンドを含む。ここで、水素精製LGOは、硫黄約0.03wt%超を有するブレンドを提供するのに十分な量で存在する。
【0009】
しかし、多くの絶縁油組成物は、ナフテン質又はパラフィン質基油と、留出油芳香族エキストラクト(DAE)とのブレンドから作製されている。
【0010】
留出油芳香族エキストラクトは、非常に高い芳香族含有量、典型的には少なくとも70wt%を有する。
【0011】
用語「芳香族」とは、ベンゼン種、多核芳香族、又はポリ芳香族化合物などの、主に炭素及び水素からなり、共役不飽和炭素結合からなる少なくとも一個の環を含む分子を意味する。すなわち、縮合された二個以上の芳香族環を含む化合物(アントラセンベースの種など)はまた、芳香族のこの定義に含まれる。これらの分子は、硫黄をヘテロ原子として含んでよい。
【0012】
留出油芳香族エキストラクトは、潤滑油基油を製造するための原材料として用いられる減圧留出油を、溶剤抽出法の副生物として得られる。これらの留出油芳香族エキストラクトは、一般に、IP346法によって測定して、典型的には10〜25wt%といった高濃度の多核芳香族を含む。
【0013】
高級な芳香族環、多環芳香族(PCA)、又はポリ芳香族炭化水素(PAH)としても知られる或る種の多核芳香族(PNA)は、公知の発ガン性物質である。
【0014】
留出油芳香族エキストラクトは、ヨーロッパ法制の「発ガン性」(EU物質指令67/548/EEC)として分類され、ヨーロッパでは、危険度表示「R45」(発ガン性かも知れない)及びラベル「T」(毒性、どくろマーク)で、ラベル付けされなければならない。
【0015】
したがって、留出油芳香族エキストラクト0.1wt%以上を含む絶縁油組成物はまた、含まれる多核芳香族、特にポリ芳香族炭化水素のレベルにより、ヨーロッパでは、危険度表示「R45」(発ガン性であるかも知れない)及びラベル「T」(毒性、どくろマーク)で、ラベル付けしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
健康、安全、及び環境影響の観点から、留出油芳香族エキストラクトの代替物を、絶縁油組成物のブレンド成分として用いることが、極めて望ましい。この絶縁油組成物は、低い多核芳香族の含有量を有し、ひいては低い発がん性も有するが、これらが有し得る、酸化安定性以外の他の特性に対する悪影響に起因する高い添加剤処理比率を好ましくは伴わずに依然として良好な酸化安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本特許出願は、(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及び(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含む絶縁油組成物を提供する。
【0018】
この点で、GB第716979号明細書(1954年に公開)、米国特許第2725345号明細書(1955年に公開)、及びGB第1237291号明細書(1971年に公開)は、脱瀝油(任意に、溶剤抽出処理が施される)及び基油を含む潤滑油組成物を開示することが特記される。しかし、上記文献に記載される潤滑油組成物は、「発がん性」及び「毒性」として分類される必要があろう。これは、その時点で用いられた調製方法(比較的高い多核芳香族の含有量をもたらす)の点で、上記に概説される。
【0019】
更に上記三つの文献は、本発明にしたがって要求される低いベンゾ[a]ピレン含有量を教示又は示唆しない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の脱瀝シリンダー油(DACO)は、鉱物誘導の減圧残油を脱瀝して、脱瀝油(DAO)が得られ、脱瀝油を溶剤抽出し、及び脱瀝シリンダー油(DACO)エキストラクトを得ることによって調製してよい。
【0021】
用いられる脱瀝油(DAO)は、脱瀝プロセス工程の生成物として定義される。その際、アスファルトは、常圧蒸留残油(reduced crude)石油原料から、又は原油石油原料の減圧蒸留残油(塔底留分)(以下、鉱物誘導減圧残油という)から除去される。
【0022】
脱瀝プロセスは、アスファルト化合物用の軽質炭化水素液体溶剤(例えばプロパン)を用いる。
【0023】
脱瀝プロセスは、周知であり、例えば、“潤滑基油及びワックス処理(Lubricant base oil and wax processing)”,Avilino Sequeira Jr.、Marcel Dekker Inc.、New York、1994年;ISBN第0−8247−9256−4号、第53〜80頁に記載される。
【0024】
脱瀝油は、溶剤抽出され、その際、脱瀝シリンダー油(DACO)として知られる残留する芳香族エキストラクトが、そこから除去される。
【0025】
好都合に用いてよい溶剤抽出法の例には、フルフラール又はNMP溶剤抽出法、もしくは他の溶剤抽出法が含まれる。例えば、“潤滑油基油及びワックス処理(Lubricant base oil and wax processing)”,Avilino Sequeira Jr.、Marcel Dekker Inc.、New York、1994年;ISBN第0−8247−9256−4号の第5章に記載されるものである。
【0026】
ベンゾ[a]ピレン含有量、及び8個のPAH含有量は、脱瀝シリンダー油について、GC/MS分析によって測定できる。例えば、この技術は、環境発ガン性物質のための生化学協会(Biochemisches Institut fur Umweltcarcinogene)(Dr.Gernot Grimmer−Stiftung教授)(Lurup 4、D−22927 Grosshansdorf,Germany)で商業的に入手可能である。
【0027】
脱瀝シリンダー油中に、引続いて存在するポリ芳香族炭化水素の量は、鉱物誘導減圧残油を、最も高い沸点の留出油留分のカット幅を適切に選択することによって、分離する際に制御してよい。
【0028】
脱瀝シリンダー油は、ISO 14596によって測定して、脱瀝シリンダー油の全重量を基準として、好ましくは硫黄含有量0.5〜5wt%、更に好ましくは3〜4.5wt%を有する。
【0029】
脱瀝シリンダー油の動粘度(100℃)は、好ましくは100mm/秒未満、更に好ましくは35〜90mm/秒の範囲である。
【0030】
本明細書に記載される動粘度(100℃)は、好都合には、ISO 3104にしたがって測定してよい。
【0031】
脱瀝シリンダー油の引火点は、クリーブランドオープンカップ(Cleveland Open Cap)(COC)法(ISO 2592)によって測定して、好ましくは250℃超、更に好ましくは280℃超、最も好ましくは290℃超である。
【0032】
脱瀝シリンダー油(A)は、好ましくは、本発明の絶縁油組成物中に、絶縁油組成物の全重量を基準として、0.05〜5wt%の範囲、更に好ましくは0.1〜2wt%の範囲、最も好ましくは0.1〜0.8wt%の範囲の量で存在する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態においては、一種以上の基油(B)は、3.5mm/秒以下、更に好ましくは0.8〜3mm/秒の範囲の動粘度(100℃)を有する基油である。
【0034】
本発明の一種以上の基油(B)は、ISO 14596によって測定して、一種以上の基油(B)の全重量を基準として、好ましくは硫黄含有量2wt%未満、更に好ましくは0.5wt%未満、最も好ましくは0.1wt%未満を有する。
【0035】
上記の一種以上の基油(B)は、好都合には、減圧蒸留、引続く溶剤抽出、水素精製、水素添加、及び水素化分解によって調製してよい。パラフィン質油は、脱ロウ又は水素異性化して、流動点を向上できる。
【0036】
前記一種以上の基油(B)はまた、好都合には、フィッシャー−トロプシュ合成によって調製してよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態においては、前記一種以上の基油(B)は、一種以上の鉱物誘導パラフィン質油、一種以上の鉱物誘導ナフテン質油、一種以上のフィッシャー−トロプシュ誘導基油、及びそれらの混合物から選択される。
【0038】
使用可能の特に好ましいパラフィン質基油(B)には、グループI、グループII、及びグループIII基油が含まれる。
【0039】
本発明における「グループI」基油、「グループII」基油、及び「グループIII」とは、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)(API)の分類I及びIIの定義による基油を意味する。これらのAPI分類は、API刊行物(Publication)1509、第15版、補遣E、2002年4月に定義される。
【0040】
グループI基油は、飽和分90%未満(ASTM D2007による)、及び/又は硫黄0.03%超(ASTM D2622、D4294、D4927、又はD3120による)を含み、粘度指数80以上120未満(ASTM D2270による)を有する。
【0041】
グループII基油は、前述のASTM法にしたがって、飽和分90%以上、及び硫黄0.03%以下を含み、粘度指数80以上120未満を有する。
【0042】
グループIII基油は、前述のASTM法にしたがって、飽和分90%以上、及び硫黄0.03%以下を含み、粘度指数120超を有する。
【0043】
ナフテン質基油は、APIにしたがって、グループV基油として定義される。
【0044】
基油組成物は、したがって、いわゆるパラフィン質タイプ又はナフテン質タイプの鉱物誘導基油を含む。これらの基油は、パラフィン質及びナフテン質原油原料から出発して、製油所プロセスによって得られる。
【0045】
鉱物誘導パラフィン質基油は、粘度指数70超、好ましくは90超によって定義される。前記基油は、パラフィンリッチの原料材から製造される。
【0046】
本発明の目的のための鉱物誘導ナフテン質基油は、流動点−20℃未満及び粘度指数70未満を有するものとして定義される。これらの基油は、ナフテンに富む、ワックス含有量が低い原料材から製造され、主に、色相及び色相安定性が重要であり、かつVI及び酸化安定性が第二に重要である潤滑油に用いられる。
【0047】
鉱物誘導ナフテン質及びパラフィン質基油は、周知であり、更に詳細には、“潤滑基油及びワックス処理(Lubricant base oil and wax processing)”,Avilino Sequeira Jr.、Marcel Dekker Inc.、New York、1994年;ISBN第0−8247−9256−4号、第28〜35頁に記載される。
【0048】
フィッシャー−トロプシュ誘導基油は、好都合には、本発明の潤滑油組成物の基油として用いてよい。例えば、EP第776959A号明細書、EP第668342A号明細書、国際公開第97/21788A号パンフレット、国際公開第00/15736A号パンフレット、国際公開第00/14188A号パンフレット、国際公開第00/14187A号パンフレット、国際公開第00/14183A号パンフレット、国際公開第00/14179A号パンフレット、国際公開第00/08115A号パンフレット、国際公開第99/41332A号パンフレット、EP第1029029A号明細書、国際公開第01/18156A号パンフレット、及び国際公開第01/57166A号パンフレットに開示されるフィッシャー−トロプシュ誘導基油である。
【0049】
一種以上の基油(B)は、本発明の絶縁油組成物中に、絶縁油組成物の全重量を基準として、好ましくは少なくとも80wt%、更に好ましくは90〜99.95wt%の範囲の全量で存在する。
【0050】
更に別の基油及び他の合成基油成分が、絶縁油配合物中に存在してもよい。これには、一種以上の基油(B)のそれぞれの動粘度(100℃)より大きな動粘度(100℃)を有する基油が含まれる。これらの基油には、限定されることなく、エステル、ポリα−オレフィン(好ましくは、オレフィン化合物のオリゴマー化によって得られる)、及びポリアルキレングリコールが含まれてもよい。
【0051】
本発明の絶縁油組成物は、好ましくは、ISO 14596によって測定して、絶縁油組成物の全重量に関して、硫黄含有量0.3wt%未満、更に好ましくは0.15wt%未満を有する。
【0052】
絶縁油配合物中の硫黄の大部分の供給源は、その中の基油成分中に含まれる硫黄である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態においては、絶縁油組成物は、非腐食性絶縁油である。これは、CIGRE A2.32.01 Covered Conduct Deposition試験(腐食性硫黄)及び/又はASTM D1275B試験にしたがって測定される。換言すれば、本発明の好ましい実施形態においては、絶縁油組成物は、腐食性硫黄に対するCIGRE A2.32.01 Covered Conduct Deposition試験、及び/又は腐食性硫黄に対するASTM D1275B試験に合格する。
【0054】
本発明の絶縁油組成物は、好ましくは5mm/秒未満、更に好ましくは4mm/秒未満、最も好ましくは3mm/秒未満の動粘度(100℃)を有する。
【0055】
ASTM D92によって測定される絶縁油組成物の引火点は、120℃超、好ましくは135℃超であってよい。これより高い引火点は、ピーク温度が、平均油温度を超えることができる利用に望ましい。例えば、高温下の、及び/又は熱伝達能力が制限された利用である。例えば、電気変圧器及び電気エンジンである。
【0056】
基油の他、本発明の絶縁油組成物は、一種以上の添加剤を含んでよい。
【0057】
例えば、本発明の絶縁油組成物は、一種以上の金属不活性化剤、特に一種以上の銅不活性化剤を含んでよい。
【0058】
好都合に使用でき、時には金属失活剤とも呼ばれる金属不活性化剤又は静電気放電抑制剤には、N−サリチリデンエチルアミン、N,N’−ジサリチリデンエチルジアミン、トリエチレンジアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸、リン酸、クエン酸、及びグルコン酸が含まれる。更に好ましい化合物は、レシチン、チアジアゾール、イミダゾール、及びピラゾール、並びにそれらの誘導体である。なお更に好ましい化合物は、ベンゾトリアゾール、及びそれらの誘導体である。
【0059】
最も好ましくは、式(I)の化合物であるか、又は更に好ましくは、式(II)によって表わされる、任意に置換されたベンゾトリアゾール化合物である。
【化1】


(式中、Rは、水素であるか、もしくは式(III)、
【化2】


又は式(IV)によって表わされる基であってよい。
【化3】


ここで、cは、0、1、2、又は3であり、R及びRは、水素であるか、もしくは炭素原子1〜18個を有する同じか、又は異なる直鎖又は分枝アルキル基、好ましくは炭素原子1〜12個を有する分枝アルキル基であり、Rは、直鎖又は分枝C1〜4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル、及びCは1又は2であり、Rは、メチレン又はエチレン基であり、R及びRは、炭素原子3〜15個、好ましくは炭素原子4〜9個を有する同じか、又は異なるアルキル基である)
【0060】
好ましい化合物は、1−[ビス(2−エチルヘキシル)−アミノメチル]ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、エチルメチルベンゾトリアゾール、ジエチルベンゾトリアゾール、及びそれらの混合物である。他の好ましい化合物には、N−ビス(2−エチルヘキシル)−アミノメチル−トルトリアゾール、非置換ベンゾトリアゾール、及び5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが含まれる。上記銅不活性化剤の例は、米国特許第5912212A号明細書、EP第1054052A号明細書、及び米国特許出願公開第2002/0109127A号明細書に記載される。これらのベンゾトリアゾール化合物は、また静電気放電抑制剤としても機能することから好ましい。これは、油配合物が、絶縁油として用いられる場合に有益である。
【0061】
上記のような金属不活性化剤は、商品名「BTA」、「TTA」、「IRGAMET 39」、「IRGAMET 30」、及び「IRGAMET 38S」として、CIBA Ltd(Basel,Switzerland)から、商業的に入手可能である。これはまた、商品名「Reomet」として、CIBAによって販売されている。
【0062】
本発明の絶縁油組成物中の上記の金属不活性化剤の含有量は、好ましくは1mg/kg超、更に好ましくは5mg/kg超である。実用的な上限は、絶縁油組成物の特定の利用によって異なってもよい。例えば、油の誘電放電傾向の向上を望む場合には、高濃度の金属不活性化剤を添加することが望まれてよい。この濃度は、3wt%以下、好ましくは0.001〜1wt%の範囲であってよい。しかし、これらの化合物は、好都合には、濃度1000mg/kg未満、更に好ましくは300mg/kg未満で用いてよい。
【0063】
本発明の絶縁油組成物は、一種以上の抗酸化剤を含んでよい。
【0064】
好都合に用いてよい抗酸化剤は、いわゆるヒンダードフェノール又はアミン抗酸化剤である。例えば、ナフトール、立体障害一価、二価、及び三価フェノール、立体障害二核、三核、及び多核フェノール、アルキル化又はスチレン化ジフェニルアミン、もしくはイオノール誘導ヒンダードフェノールである。
【0065】
特に対象となる立体障害フェノール抗酸化剤は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(商品名「IRGANOX TM L140」として、CIBAから入手可能である)、ジ−t−ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、メチレン−4,4’−ビス−(2,6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサメチレン−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシヒドロシンナメート)(商品名「IRGANOX TM L109」として、CIBAから入手可能である)、((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチルチオ)酢酸、C10〜C14イソアルキルエステル(商品名「IRGANOX TM L118」として、CIBAから入手可能である)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイ皮酸、C〜Cアルキルエステル(商品名「IRGANOX TM L135」として、CIBAから入手可能である)、テトラキス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシメチル)メタン(商品名「IRGANOX TM 1010」として、CIBAから入手可能である)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(商品名「IRGANOX TM 1035」として、CIBAから入手可能である)、オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(商品名「IRGANOX TM 1076」として、CIBAから入手可能である)、及び2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンからなる群から選択してよい。
【0066】
特に好ましい抗酸化剤は、ジ−t−ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロケイ皮酸−C〜C−アルキルエステルである。
【0067】
好都合に用いてよいアミン抗酸化剤の例には、芳香族アミン抗酸化剤が含まれる。例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチル−ペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチル−ペンチル)−p−フェニレン−ジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−ヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレン−ジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ(ナフチル−2−)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N’−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエン−スルホアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシ−ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン(例えば、p,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミン)、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ジ(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチル−アミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ジ(フェニルアミノ)エタン、1,2−ジ[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,3−ジ−(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ジ[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化t−ブチル−/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、N−、t−オクチル化フェノチアジン、3,7−ジ−t−オクチルフェノチアジンである。加えて、EP第1054052A号明細書の式VIII及びIXのアミン抗酸化剤(これはまた、米国特許第4,824,601A号明細書に記載される)もまた、好都合に、用いてよい。
【0068】
一種以上の抗酸化剤の含有量は、好ましくは、絶縁油組成物の全重量に関して、2wt%未満、更に好ましくは1wt%未満、なお更に好ましくは0.6wt%未満、最も好ましくは0.3wt%未満である。
【0069】
本発明の絶縁油組成物中に存在してよい別の添加剤は、絶縁油組成物の特定の利用に依存する。
【0070】
可能な別の添加剤の例は、清浄剤及び流動点降下剤である。これらの添加剤の特定の例は、例えば“カークオスマー化学技術百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)”,第3版、第14巻、第477〜526頁に記載される。
【0071】
清浄剤は、好都合には、一般の教本に引用される上記記載のような、例えば、ホスホネート、スルホネート、フェノレート、又はサリチレート類等の過塩基性金属清浄剤であってよい。
【0072】
好ましい流動点降下剤は、炭化水素、又は含酸素炭化水素タイプの流動点降下剤である。
【0073】
高い添加剤処理比率は、絶縁油組成物において、酸化安定性以外の他の特性に悪影響を及ぼすことがあることから、本発明の一実施形態においては、(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及び(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含み、但し、いかなる抗酸化剤も含まない絶縁油組成物が提供される。
【0074】
本発明の好ましい実施形態においては、(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及び(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含み、但し、いかなる添加剤も含まない絶縁油組成物が提供される。
【0075】
本発明の絶縁油組成物は、スイッチギヤ、変圧器、レギュレーター、回路遮断器、発電装置リアクトル、分路リアクトル、ケーブル、及び他の電気装置に、特定の利用が見出される可能性がある。
【0076】
本発明の絶縁油組成物のガス吸収傾向を高めるためには、芳香族化合物0.05〜10wt%、好ましくは0.1〜5wt%を添加することが好ましい。好ましい芳香族化合物は、例えば、テトラヒドロナフタレン、ジエチルベンゼン、ジ−イソプロピルベンゼン、アルキルベンゼンの混合物(「Shell Oil 4697」又は「Shellsol A 150」として商業的に入手可能であり、いずれの「Shell」製品も、Shell Deutschland GmbHから入手可能である)である。
【0077】
本発明の好ましい絶縁油組成物は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール及び2,6−ジ−t−ブチルクレゾールの混合物を含む。好ましくは、油配合物は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.1〜3wt%及び2,6−ジ−t−ブチルクレゾール0.1〜2wt%を、重量比1:1〜1:1.5で含む。
【0078】
本発明の絶縁油組成物は、好ましくはクレー処理が施される。
【0079】
クレー処理は、極性化合物を絶縁油組成物から除去するための周知の処理である。それは、これらの組成物の色相、化学的及び熱的安定性を更に向上するために行われる。これは、部分的に配合した絶縁油組成物に関して前記添加剤を添加する前に行ってよい。
【0080】
クレー処理法は、例えば、“潤滑油及びワックス処理(Lubricant base oil and wax processing)”,Avilino Sequeira Jr.、Marcel Dekker Inc.、New York、1994年;ISBN第0−8247−9256−4号、第229〜232頁に記載される。
【0081】
好ましくは、銅不活性化剤及び抗酸化剤などの添加剤成分は、クレー処理後に添加される。
【0082】
本発明の絶縁油組成物は、温度0℃未満、更に好ましくは−5℃未満で、規則的に、特に年に10回超始動しなければならない利用において使用が見出される可能性がある。その際、油の温度は、利用中は0℃超である。これらの適用の例は、同様に低温のスイッチギヤ油、変圧器、レギュレーター、回路遮断器、発電装置リアクトル、スイッチギヤ、ケーブル、電気装置である。これらの適用は、当業者に周知であり、例えば、“潤滑剤及び関連生成物(Lubricant and related products)”,Dieter Klamann、Verlag Chemie GmbH、Weinhem、1984年、第330〜339頁に記載される。
【0083】
本明細書に先に記載した絶縁油組成物は、好都合には、(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)を、(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油、及び任意に、本明細書において先に記載した一種以上の添加剤と混合することによって、調製してよい。
【0084】
本発明においては、(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及び(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含む絶縁油組成物は、意外にも、良好な酸化安定性を有し、しかもR45ラベル付けの必要性を回避することが見出された。
【0085】
本発明の他の実施形態においては、上記絶縁油を用いることによって、絶縁油に対するR45毒性ラベル付けを回避する方法が提供される。
【0086】
本発明は、更に変圧器、レギュレーター、回路遮断器、発電設備リアクトル、分路リアクトル、スイッチギヤ、ケーブル、及び電気装置の一種以上に適用するための絶縁油として、上記される組成物の使用を提供する。
【0087】
本発明を、本発明の範囲を決して限定するものではない次の実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0088】
表1は、試験した配合物、及びそれらの実験結果を示す。表2は、表1の基油の特性を示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
酸化安定性は、いわゆるバーダーエージング(Baader ageing)試験(DIN 51554)及びIEC 61125 C酸化試験(164時間/120℃)によって、評価した。
【0092】
比較例1は、ナフテン質基油を示す。中和価及びけん化価はいずれも、バーダー試験後に、極めて高く、これは、前記油の過酷な酸化劣化(酸及びエステル構造が生じる)を表す。IEC 61125 C試験における全酸性度はまた、許容できないほど高い。
【0093】
比較例2は、ナフテン質基油及び留出油芳香族エキストラクトを含む典型的な絶縁油配合物を表す。前記配合物は、優れたエージング特性を有するものの、EU物質指令67/548/EECにしたがって、それは、DAE(発ガン性である)をブレンド成分として用いることから、R45及び「T」(どくろマーク)のラベル付けを必要とする。
【0094】
比較例3は、高硫黄及び低硫黄含有ナフテン質基油のブレンドである。前記配合物は、比較例2(高品質の抗酸化剤を含まない絶縁油に対する工業標準を示す)より高い中和価、及びより高いけん化価を有する。
【0095】
実施例1は、本発明の絶縁油組成物を表す。本組成物は、ナフテン質基油とDACOとのブレンドを含み、比較例2の硫黄含有量に一致する。実施例1の中和価及びけん化価は、良好であるばかりでなく、EU物質指令67/548/EECのラベル付けの必要性を回避する。
【0096】
実施例2は、本発明の他の絶縁油組成物を表す。本組成物は、ナフテン質基油とDACOとのブレンドを含む。バーダーエージング試験後の中和価及びけん化価に対して、良好な値を有する他、前記組成物はまた、EU物質指令67/548/EECのラベル付けの必要性を回避する。
【0097】
実施例3は、本発明の絶縁油組成物を表す。本組成物は、二つのナフテン質油とDACOとのブレンドを含む。この配合物は、比較例3と比較された際に、向上された中和価及びけん化価を示す。更に前記組成物はまた、EU物質指令67/548/EECのラベル付けの必要性を回避する。
【0098】
実施例4は、本発明の絶縁油組成物を表す。本組成物は、二つのナフテン質油とDACOとのブレンドを含み、金属不活性化剤も含む。比較例2と比較された際に、この配合物は、IEC 61125 C酸化安定性試験において、一層低い全酸性度を有することが明らかである。
【0099】
実施例4の組成物は、バーダーエージング試験後の中和価及びけん化価、並びにIEC 61125 C試験の酸性度値が比較例1に比較して顕著に向上するばかりでなく、EU物質指令67/548/EECのラベル付けの必要性を回避する。
【0100】
実施例5は、本発明の絶縁油組成物を表す。本組成物は、フィッシャー−トロプシュ誘導基油とDACOとのブレンドを含む。
【0101】
したがって、比較例と異なり、実施例1〜5の絶縁油組成物は、EU物質指令67/548/EECのラベル付けの必要性を回避するばかりでなく、良好な酸化安定性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】国際公開第01/54138A号パンフレット
【特許文献2】GB第716979号明細書
【特許文献3】米国特許第2725345号明細書
【特許文献4】GB第1237291号明細書
【特許文献5】EP第776959A号明細書
【特許文献6】EP第668342A号明細書
【特許文献7】国際公開第97/21788A号パンフレット
【特許文献8】国際公開第00/15736A号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/14188A号パンフレット
【特許文献10】国際公開第00/14187A号パンフレット
【特許文献11】国際公開第00/14183A号パンフレット
【特許文献12】国際公開第00/14179A号パンフレット
【特許文献13】国際公開第00/08115A号パンフレット
【特許文献14】国際公開第99/41332A号パンフレット
【特許文献15】EP第1029029A号明細書
【特許文献16】国際公開第01/18156A号パンフレット
【特許文献17】国際公開第01/57166A号パンフレット
【特許文献18】米国特許第5912212A号明細書
【特許文献19】EP第1054052A号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2002/0109127A号明細書
【特許文献21】EP第1054052A号明細書
【特許文献22】米国特許第4,824,601A号明細書
【非特許文献】
【0103】
【非特許文献1】“潤滑基油及びワックス処理(Lubricant base oil and wax processing)”,Avilino Sequeira Jr.、Marcel Dekker Inc.、New York、1994年;ISBN第0−8247−9256−4号、第5章、第53〜80頁、第28〜35頁、第229〜232頁
【非特許文献2】“潤滑剤及び関連生成物(Lubricant and related products)”,Dieter Klamann、Verlag Chemie GmbH、Weinhem、1984年、第330〜339頁
【非特許文献3】“カークオスマー化学技術百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)”,第3版、第14巻、第477〜526頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベンゾ[a]ピレン含有量1mg/kg以下、並びにベンズ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]ピレン、及びジベンズ[a,h]アントラセンの全含有量10mg/kg以下を有する脱瀝シリンダー油(DACO)、及び(B)4.0mm/秒以下の粘度(100℃)をそれぞれ有する一種以上の基油を含む絶縁油組成物。
【請求項2】
前記一種以上の基油(B)は、一種以上の鉱物誘導パラフィン質油、一種以上の鉱物誘導ナフテン質油、一種以上のフィッシャー−トロプシュ誘導基油、及びそれらの混合物から選択される請求項1に記載の絶縁油組成物。
【請求項3】
前記組成物は、クレー処理が施されている請求項1又は2に記載の絶縁油組成物。
【請求項4】
前記組成物は、一種以上の流動点降下剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁油組成物。
【請求項5】
前記組成物は、一種以上の金属不活性化剤を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の絶縁油組成物。
【請求項6】
前記一種以上の金属不活性化剤は、ベンゾトリアゾール誘導体である請求項5に記載の絶縁油組成物。
【請求項7】
前記組成物は、一種以上の抗酸化剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の絶縁油組成物。
【請求項8】
前記組成物は、抗酸化剤としてジ−t−ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む請求項7に記載の絶縁油組成物。
【請求項9】
前記組成物は、腐食性硫黄に対するCIGRE A2.32.01 Covered Conduct Deposition試験、及び/又は腐食性硫黄に対するASTM D1275B試験に合格する請求項1〜8のいずれか一項に記載の絶縁油組成物。
【請求項10】
変圧器、レギュレーター、回路遮断器、発電装置リアクトル、分路リアクトル、スイッチギヤ、ケーブル、及び電気装置の一種以上に適用する請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−507205(P2010−507205A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532813(P2009−532813)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061177
【国際公開番号】WO2008/046898
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】