説明

絶縁皮膜剥離装置、絶縁皮膜の剥離方法およびコイルの製造方法

【課題】断面が四角形形状の平角絶縁導線から絶縁皮膜を除去する絶縁皮膜剥離装置を提供する。
【解決手段】絶縁皮膜剥離装置10は、台座12と、台座12に固着された2つの側壁支持部18A、18Bと、側壁支持部18A、18Bに橋渡して固定された支持板20と、支持板20に対して上下方向(Z方向)に移動可能に支えられた可動支持部22と、可動支持部22の先端に固定された第2エッジ部16と、台座12に対して紙面上にてX方向に移動可能に備えられた第1エッジ部14A、14Bとを主要に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角導線を絶縁皮膜で被覆した絶縁導線から、当該絶縁皮膜を剥離する絶縁皮膜剥離装置に関する。更に、本発明はこの様な絶縁皮膜剥離装置を用いた絶縁皮膜の剥離方法およびコイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エナメル線と呼ばれる絶縁電線は、導線の周りに絶縁塗料からなる絶縁皮膜を設けてなる。このエナメル線を使用して電気機器、例えば、モータやトランスなどを作製する場合、一般的には連続的にエナメル線をコイル状に巻回して形成している。
【0003】
近年、例えば、自動車の発電機などに使用されている電気機器のコイルは、小型で且つ高密度の磁束が要求されていることから、従来の円形断面の丸エナメル線に替えて、断面が四角形形状の平角エナメル線(平角導線)が用いられている。
【0004】
平角導線は、コイル状に成型した場合、軸方向に対して隙間無く巻かれることから、コイルの軸方向の断面面積にコイルの断面面積が占める有効面積が大きくなる。従って、平角エナメル線でコイルを構成することにより、強力な磁力を発生させるコイルの小型化が達成される。
【0005】
上記したコイルの製造方法は概略的に次の通りである。先ず、断面が四角形形状の平角導線の表面が、エポキシ樹脂等を主材料とする絶縁性皮膜により被覆された、平角エナメル線を用意する。次に、この平角エナメル線を軸方向に巻くように湾曲加工する。このことにより、コイル状に巻かれた平角エナメル線の中間部分はコイル部となり、このコイル部分の両端から連続する残余部は、外部との接続に用いられる接続端子として用いられる端子部となる。
【0006】
この端子部は、半田等の導電性接合材を用いて他の電子部品(例えばモーター)と接続されるため、端子部を被覆する樹脂皮膜は除去する必要がある。
【0007】
エナメル線の絶縁皮膜を除去する方法の一つが下記特許文献1に記載されている。当該公報の段落番号〔0026〕を参照すると、先ず、エナメル線に誘導コイルを巻き付け、この誘導コイルに高周波電流を流すことにより、エナメル線を加熱して絶縁皮膜を軟化させている。そして、軟化した部分の絶縁皮膜は、後の工程にて機械的に除去されている。
【0008】
更に、エナメル線から絶縁皮膜を除去する他の方法が下記特許文献2に記載されている。当該文献の段落番号〔0005〕および〔0015〕には、溶剤剥離、半田付剥離、レーザー剥離、光ビーム剥離、砥石ローラーやブラシロールによる機械剥離により、エナメル線の絶縁皮膜を除去する方法が開示されている。また、当該文献の〔0023〕を参照すると、引き抜きによりエナメル線から絶縁皮膜を除去する方法も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−56609号公報
【特許文献2】特開平7−21892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した各文献に開示されたエナメル線から絶縁皮膜を除去する方法は、誘電コイルを用いた加熱による方法と、溶液剥離による化学的方法と、砥石ローラー等による機械的方法に大別される。しかしながら、これらの各方法は、次に述べるような問題を包含している。
【0011】
誘電コイルで加熱することで絶縁皮膜を剥離する方法は、剥離されるエナメル線をコイルに挿入する工程が煩雑であり、更に絶縁皮膜が適度に軟化される温度と成るように誘電コイルに供給される電力を調整するのが容易でない問題があった。
【0012】
化学的手法により絶縁皮膜を剥離する方法では、剥離のために使用される溶液が強アルカリまたは強酸である。従って、この様な溶液を使用すること自体が危険であり、使用した後の廃液処理が容易でない問題があった。
【0013】
また、機械的手法によると、上記した2つの方法よりも安全に且つ確実に絶縁皮膜を剥離することが可能となる。しかしながら、上記した各文献に記載された発明は、断面が円形の丸エナメル線を対象としたものであり、断面が四角形形状の平角エナメル線に対してこれらの剥離方法をそのまま適用させることは困難である。
【0014】
更にまた、エナメル線が円筒状に巻かれたコイルの端子部を被覆する絶縁皮膜を除去する場合、複雑な形状のコイルを保持する手段が必要となるが、上記文献はこの事項を開示していない。
【0015】
また、レーザーをエナメル線に照射することにより、絶縁皮膜を蒸発させて除去する方法もある。しかしながら、この方法であるとレーザー照射時の熱によりエナメル線の導体部分が酸化する恐れがあり、またレーザー照射器の価格が非常に高いのでコスト高を招く。
【0016】
本発明は、この様な問題を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、断面が四角形形状の平角絶縁導線から絶縁皮膜を確実に除去する絶縁皮膜剥離装置、絶縁皮膜の剥離方法およびコイルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、平角導線の表面が絶縁皮膜で被覆された絶縁導線から、前記絶縁皮膜を部分的に剥離する絶縁皮膜剥離装置であり、前記絶縁導線に食い込むことで前記絶縁導線を固定する第1エッジ部と、前記第1エッジ部とは異なる位置の前記絶縁導線に、前記第1エッジ部よりも少なく食い込む第2エッジ部と、を備え、前記第1エッジ部と前記第2エッジ部の何れか一方を、前記絶縁導線の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離することを特徴とする。
【0018】
本発明は、平角導線の表面が絶縁皮膜で被覆された絶縁導線から、前記絶縁皮膜を部分的に剥離する絶縁皮膜の剥離方法であり、第1エッジ部を前記絶縁導線に食い込ませることで前記絶縁導線の位置を固定する第1ステップと、第2エッジ部を、前記第1エッジ部とは異なる位置で、且つ前記第1エッジ部よりも少なく前記絶縁導線に食い込ませる第2ステップと、前記第1エッジ部で前記絶縁導線を固定した状態で、前記第1エッジ部または前記第2エッジ部を前記絶縁導線の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離する第3ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明のコイルの製造方法は、表面が絶縁皮膜により被覆された平角導線であって、円筒状に湾曲させたコイル部と、前記コイル部と連続する端子部とを構成する絶縁導線を用意する第1工程と、第1エッジ部を前記端子部に食い込ませることで、前記端子部の位置を固定する第2工程と、第2エッジ部を、前記第1エッジ部とは異なる位置の前記端子部に、前記第1エッジ部よりも少なく食い込ませる第3工程と、前記第1エッジ部で前記端子部を固定した状態で、前記第1エッジ部または前記第2エッジ部を前記端子部の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離する第4工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、平角導線である絶縁導線を被覆する絶縁皮膜を剥離する際に、先ず、深く食い込む第1エッジ部により絶縁導線を固定し、第2エッジ部を比較的浅く絶縁導線に食い込ませている。この状態で、第1エッジ部と第2エッジ部とを両者が離間する方向に相対的に移動させることで、絶縁導線が第1エッジ部と共に移動し、この結果として第2エッジ部により絶縁皮膜が絶縁導線から剥離される。従って、平角導線である絶縁導線の各主面毎に、第2エッジ部による絶縁皮膜の剥離を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の絶縁皮膜剥離装置を示す斜視図である。
【図2】本発明により絶縁皮膜が剥離される前の絶縁導線を示す斜視図である。
【図3】本発明の絶縁皮膜の剥離方法を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
【図4】本発明の絶縁皮膜の剥離方法を示す図であり、(A)は上方から見た平面図であり、(B)は(A)を部分的に拡大して示す図であり、(C)は側面から見た図であり、(D)は(C)を部分的に拡大して示す図である。
【図5】本発明の絶縁皮膜の剥離方法を示す図であり、(A)は上方から見た平面図であり、(B)は側面から見た図であり、(C)は(B)を部分的に拡大して示す図である。
【図6】本発明により絶縁皮膜が剥離された後の絶縁導線を示す斜視図である。
【図7】(A)は本発明により製造されるコイルを示す斜視図であり、(B)は(A)のB−B’線に於ける断面図である。
【図8】本発明のコイルの製造方法に於いて、端子部から絶縁皮膜を剥離する工程を示す平面図である。
【図9】本発明の他の形態の絶縁皮膜剥離装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は拡大された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の斜視図を参照して、本形態に係る絶縁皮膜剥離装置10の構成を説明する。
【0023】
先ず、本形態では、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を用いて以下の説明を行う。ここで、X軸−Z軸を含むX−Z平面は絶縁導線24の断面に対して平行な面である。一方、Y軸は絶縁導線24の長手方向に対して平行な軸である。
【0024】
絶縁皮膜剥離装置10は、台座12と、台座12に固着された2つの側壁支持部18A、18Bと、側壁支持部18A、18Bの上部に橋渡して固定された支持板20と、支持板20に対して上下方向(Z方向)に移動可能に支えられた可動支持部22と、可動支持部22の先端に固定された第2エッジ部16と、台座12に対してX方向に移動可能に備えられた第1エッジ部14A、14Bとを主要に備えている。
【0025】
絶縁皮膜剥離装置10の機能は、平角導線26の各面を被覆する絶縁皮膜を、部分的に剥離することにある。また、絶縁皮膜剥離装置10の各部材は、ステンレス等の金属から成り、特に、第1エッジ部14A、14Bおよび第2エッジ部16は、絶縁導線24の材料である銅よりも硬度が高い材料(例えば真鍮)から成る。この様に各エッジ部の材料として硬度が高い材料を用いることで、絶縁導線24を被覆する絶縁皮膜をより確実に剥離することが出来る。更には、剥離動作に伴う各エッジ部の摩耗が抑制され、エッジ部を長期間に渡り使用すること出来るのでランニングコストが低減される。
【0026】
また、図示をしていないが、上記各部位にて可動の部位(可動支持部22、台座12、第1エッジ部14A、14B)は、コンプレッサから供給される気体の圧力またはモーターにより駆動される。更にまた、これらの可動部の動作を制御する不図示の制御部も、台座12の背面に配置される。この制御部は、LSI等の所定の回路素子を実装基板上に配置して互いに接続することで構成される。更にまた、絶縁皮膜剥離装置10の動作を制御するフットスイッチ等のスイッチが設けられる。
【0027】
第1エッジ部14A、14Bは、上記したように台座12の+Y方向の端部側面に、X方向に対して移動可能に備えられている。これらは、絶縁導線24を左右両側から挟んでその位置を固定する働きを有する。第1エッジ部14Aは、絶縁導線24を保持する際には、−X方向に移動して絶縁導線24の+X側側面に食い込む。一方、もう一方の第1エッジ部14Bは同時に+X側に移動し、絶縁導線24の−X側側面に食い込む。第1エッジ部14A、14Bは、絶縁導線24の絶縁膜剥離が終了するまで連続して絶縁導線24を支持する。剥離が終了した後は、第1エッジ部14A、14Bは、絶縁導線24から離間する方向に移動し、絶縁導線24が解放される。更に第1エッジ部14A、14Bは、剥離動作が行われる際には、台座12と共に+Y方向に移動する。この事項に関しては図4を参照して後述する。
【0028】
第2エッジ部16は、可動支持部22の+Y方向の端部に固定されており、可動支持部22を介して支持板20に支持されている。第2エッジ部16は、絶縁導線24の上面を被覆する絶縁皮膜を剥離する働きを有する。また、第2エッジ部16は、可動支持部22と共に、Z方向に対して移動可能に支持板20に支持されている。更にまた、可動支持部22は、ネジ等の可動式締結手段を介して支持板20に支持されている。
【0029】
従って、このネジを回転させて、支持板20と可動支持部22とのZ方向に於ける相対的な位置関係を調整することにより、第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さを決定できる。具体的には、当該ネジの調整により可動支持部22の位置を上方に設定することで、可動支持部22に固定された第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さが浅くなる。一方、逆の設定を行い、可動支持部22の位置を下方に調整することにより、可動支持部22に固定された第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さが深くなる。
【0030】
絶縁導線24から絶縁皮膜を剥離するためには、第1エッジ部14A、14Bと第2エッジ部16とを、Y軸方向沿って離間させる必要がある。本形態では、Y軸方向に関して、第2エッジ部16の位置は固定したまま、第1エッジ部14A、14Bを台座12と共に移動させることで、両者を離間させている。この事項は、剥離方法として後述する。
【0031】
また、本形態では、剥離する際に第1エッジ部14A、14BのみをY軸方向に移動させているが、第1エッジ部14A、14Bの位置を固定した状態で第2エッジ部16をY軸方向に移動させることも可能であるし、両者が互いに離間するように移動させることも可能である。
【0032】
図2の斜視図を参照して、本形態の絶縁皮膜剥離装置10により絶縁膜が剥離される絶縁導線24の構成を説明する。
【0033】
絶縁導線24は、銅から成る平角導線26の周囲を絶縁皮膜28で被覆したものであり、一般的には平角エナメル線と称されるものである。絶縁導線24の断面形状は矩形形状であり、具体的には角部が丸められた所謂「丸め長方形」である。絶縁導線24の具体的な断面サイズの一例は、横の長さL11が5mm程度であり、縦の長さL12が2mm程度である。更に、絶縁導線24の表面は、第1主面24A、第2主面24B、第1側面24Cおよび第2側面24Dから構成されている。
【0034】
平角導線26の表面は絶縁皮膜28により被覆されている。この様に絶縁皮膜28の表面が全面的に絶縁皮膜28により覆われることで、絶縁導線24表面の絶縁性が確保される。絶縁皮膜28としては、厚みが30μm〜50μm程度の樹脂材料を主材料とする絶縁材料から成る。絶縁皮膜28の具体的な材料の一例としては、平角導線26の表面を被覆するポリエステルイミドと、このポリエステルイミドの表面を被覆するポリアミドイミドの2層の樹脂皮膜から絶縁皮膜28が構成される。耐圧性を高めるために、絶縁皮膜28は平角導線26の表面に強固に密着しているので、絶縁皮膜28を平角導線26から剥離することは容易ではない。本形態では、上記した第2エッジ部16にて、絶縁皮膜28と共に平角導線26の最表層を除去することで、絶縁皮膜28を確実に剥離している。
【0035】
次に、図3から図5を参照して、上記した構成の絶縁皮膜剥離装置10を用いて、絶縁導線24から絶縁皮膜を剥離する方法を説明する。
【0036】
図3を参照して、先ず、台座12に絶縁導線24をセットする。図3(A)は図1に示す絶縁皮膜剥離装置10を横方向から見た側面図であり、図3(B)は絶縁皮膜剥離装置10を上方から見た平面図である。
【0037】
第1エッジ部14A、14Bの間に絶縁導線24を挿入することにより、絶縁導線24の端部を台座12の上面に載置する。載置される絶縁導線24の位置により、絶縁皮膜が剥離される領域の長さが決定される。即ち、図3(A)を参照して、本形態では、絶縁導線24の上面を被覆する絶縁皮膜が剥離されるが、剥離が行われる領域は、第2エッジ部16の+Y方向の端部(刃先)よりも−Y方向側の部分である。
【0038】
また、本工程では、図3(A)に示す絶縁導線24の表面の中でも最大面(主面)である第2主面24Bが台座12の上面に当接され、第1主面24Aを被覆する絶縁皮膜が部分的に第2エッジ部16により剥離される。また、図3(B)を参照すると、絶縁導線24の第1側面24Cおよび第2側面24Dが、第1エッジ部14Aおよび第1エッジ部14Bに面するように配置されている。
【0039】
この様な絶縁導線24の表面の位置関係は適宜変更可能であり、例えば、絶縁導線の側面が台座12の上面に当接し、各主面が第1エッジ部14A、14Bと面するように配置されても良い。
【0040】
ここで、上記した絶縁導線24の配置は、絶縁導線24を輸送して配置する専用の装置により行われても良いし、作業員が手動で行っても良い。
【0041】
図4を参照して、次に、第1エッジ部14A、14Bを絶縁導線24に食い込ませることでその位置を固定すると共に、剥離を行う第2エッジ部16を絶縁導線24の上面に食い込ませる。
【0042】
図4(A)は本工程の絶縁皮膜剥離装置を上方から見た平面図であり、図4(B)は図4(A)を部分的に拡大して示す図であり、図4(C)は本工程に於ける絶縁皮膜剥離装置を側方から見た図であり、図4(D)は図4(C)を部分的に拡大して示す図である。
【0043】
図4(A)を参照して、第1エッジ部14Aを−X方向に向かって移動させると共に、第1エッジ部14Bを+X方向に向かって移動させる。第1エッジ部14Aと第2エッジ部16の変位量は同等である。上記したように、第1エッジ部14A、14Bは、台座12の+Y方向の端部側面に、X方向に移動可能に備えられている。
【0044】
図4(B)を参照すると、第1エッジ部14Aの刃先32は、絶縁導線24の第1側面24Cに食い込んでいる。また、第1エッジ部14Bの刃先34は、絶縁導線24の第2側面24Dに食い込んでいる。両エッジ部の刃先32、34は、絶縁皮膜28を貫通して平角導線26まで到っている。第1エッジ部14Aが第1側面24Cに食い込む深さL2は例えば0.3mm以上0.5mm以下であり、第1エッジ部14が第2側面24Dから食い込む深さL3もL2と同様である。第1エッジ部14A、14Bがこの様に食い込むことで、絶縁導線24が台座12に対して固定される。
【0045】
更に、図4(B)を参照して、第1エッジ部14Aの刃先32は所謂片刃の形状であり、刃先32の+Y方向の側面は平坦であり、刃先32の−Y方向の側面は傾斜する側面と成っている。この形状は、もう一つの第1エッジ部14Bも同様である。第1エッジ部14A、14Bの刃先32、34をこの様な形状とすることで、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24を+Y方向に対して強固に保持するようになる。従って、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24を保持する作用が、第2エッジ部16が絶縁導線24を保持する作用よりも大きくなり、結果的に本形態の剥離がより的確に行われることとなる。
【0046】
図4(C)を参照して、第1エッジ部14A、14Bによる固定が終了した後に、第2エッジ部16を下方(−Z方向)に移動させて、第1エッジ部の刃先を絶縁導線24の上面に食い込ませる。この移動は、図1を参照して、第2エッジ部16が固定された可動支持部22を、コンプレッサー等の駆動力により下方に移動することで行われる。絶縁導線24は台座12により安定して支持されているので、第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む量は精密に制御可能である。
【0047】
図4(D)を参照して、第2エッジ部16の刃先30は、絶縁導線24の上面を被覆する絶縁皮膜28を貫通して、平角導線26の最上部まで到っている。第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さL1は例えば、0.1mm以上0.2mm以下である。第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さL1は、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24の側面に食い込む深さよりも浅く設定される。好適には、第2エッジ部16が絶縁導線24の上面に食い込む深さL1(図4(D)参照)は、第1エッジ部14Aが食い込む深さL2と第1エッジ部14Bが食い込む深さL3を加算した長さ(図4(B)参照)よりも短く設定される。この様にすることで、第1エッジ部14A、14Bと第2エッジ部16で絶縁導線24の位置を固定し、第2エッジ部16にて絶縁皮膜28を剥離することが出来る。この事項の詳細は図5を参照して後述する。
【0048】
更に図4(D)を参照して、第2エッジ部16の刃先30の形状は片刃の形状であり、+Y方向の側面は平坦であり、−Y方向の側面は傾斜面となっている。この様にすることで、第2エッジ部16が−Y方向に絶縁導線24を保持する作用が小さくなり、結果的に第2エッジ部16の刃先30で、絶縁皮膜28がスムーズに剥離されることとなる。
【0049】
ここで、上記した各エッジ部の食い込みはコンプレッサによる圧力により制御される。即ち、第1エッジ部14A、14Bを絶縁導線24に食い込ませる際にはコンプレッサによる強い圧力を持ってこれらを移動させる。また、第2エッジ部16を絶縁導線24に食い込ませる際には、第1エッジ部14A、14Bと比較すると相対的に低い圧力を用いる。
【0050】
図5を参照して、次に、第2エッジ部16で絶縁導線24の上面を被覆する絶縁皮膜28を剥離して除去する。図5(A)は本工程の絶縁皮膜剥離装置を上方から見た図であり、図5(B)は本工程の絶縁皮膜剥離装置を側方から見た図であり、図5(C)は図5(B)を部分的に拡大して示す図である。
【0051】
本工程では、図5(A)を参照して、第2エッジ部16の位置を固定した状態で、第1エッジ部14A、14Bを台座12と共に+Y方向に移動させる。この図を参照して、台座12を+Y方向に移動させると、台座12に備え付けられた第1エッジ部14A、14Bも共に+Y方向に移動する。上記したように、第2エッジ部16はY方向には移動しないので、このように台座12を移動させることで、Y軸方向に関して、第1エッジ部14A、14Bと第2エッジ部16とが離間する。
【0052】
本工程では、第1エッジ部14A、14Bおよび第2エッジ部16を絶縁導線24に食い込ませた状態のまま上記移動を行っている。また、第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む深さは、第1エッジ部14A、14Bが食い込む深さよりも浅い。換言すると、第2エッジ部16が絶縁導線24を固定する力は、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24を固定する力よりも小さい。従って、両エッジ部が絶縁導線24を個別に固定した状態で、両者が離間する方向に移動すると、絶縁導線24は第1エッジ部14A、14Bと共に+Y方向に移動し、この移動に伴い第2エッジ部16に対して絶縁導線24が+Y方向に移動する。
【0053】
図5(C)を参照して、この際、第2エッジ部16が絶縁導線24の上面に食い込んだ状態で、絶縁導線24が第2エッジ部16に対して移動するので、この移動に伴い絶縁導線24を被覆する絶縁皮膜28が剥離されて除去される。更に本工程では、平角導線26の上面を被覆する絶縁皮膜28と共に、平角導線26の最上部(0.2mm程度)も剥離除去される。この移動による剥離は、絶縁導線24の端部に到るまで行われる。
【0054】
上記工程が終了した後は、図5(A)および図5(B)を参照して、第1エッジ部14A、14Bを絶縁導線24から離間する方向に移動させ、更に第2エッジ部16を+Z方向に引き上げる。この様にすることで、両エッジ部による絶縁導線24の固定が解除される。
【0055】
上記工程が終了した後は、図3を参照して、第1主面24Aが下面となるように、再び絶縁導線24を絶縁皮膜剥離装置にセットし、図3乃至図5を参照して説明した剥離方法を、上面となる第2主面24Bに対して施す。この際には、絶縁導線24の第2主面24Bを被覆する絶縁皮膜28が第2エッジ部16により剥離される。
【0056】
更に同様に、絶縁導線24の第1側面24Cおよび第2側面24Dを被覆する絶縁皮膜28を剥離して除去する。この際には、図3(B)に示す第1エッジ部14A、14Bが、絶縁導線24の第1主面24Aおよび第2主面24Bに食い込んで、絶縁導線24の位置を固定する。更に、第1側面24Cおよび第2側面24Dを被覆する絶縁皮膜28が、図3(A)に示す第2エッジ部16により剥離される。
【0057】
ここで、図5(C)を参照して、第2エッジ部16による1回の剥離作業で絶縁皮膜28を剥離しきれない場合は、この剥離作業を複数回行うことにより絶縁皮膜28の剥離を行っても良い。
【0058】
図6に、上記工程により端部の絶縁皮膜28が除去された絶縁導線を示す。ここでは、絶縁導線24の+Y方向に対する端部付近で、第1主面24A、第2主面24B、第1側面24Cおよび第2側面24Dを被覆する絶縁皮膜28が除去されている。この様な除去が行われることにより、絶縁導線24の+Y方向の端部が、平角導線26の金属材料が露出する端子部36となる。この端子部36は、例えば半田等の導電性接合材を経由して、実装基板の導電パターンに電気的に接続される。
【0059】
また、上記したように本形態では、第2エッジ部16により絶縁皮膜28と共に平角導線26の再表層も除去するので、露出する部分の平角導線26の表面は粗化された面となっている。このことにより、平角導線26の表面に設けられた微細な凹凸に、半田等の導電性接合材が嵌合し、両者の密着強度が向上する利点が期待される。
【0060】
図7を参照して、上記した剥離装置および剥離方法の適用例として、コイルの製造方法がある。図7(A)はコイル40を示す斜視図であり、図7(B)は図7(A)のB−B’線に於ける断面図である。
【0061】
図7(A)を参照して、コイル40は、絶縁導線がコイル状に巻かれたコイル部42を備えている。また、コイル部42の上端から上方に突出する第1端子部46が設けられており、コイル部42の下端から側方に導出する第2端子部48が設けられている。
【0062】
コイル40は、上記した平角形状の絶縁導線をコイル状に湾曲させているので、図7(B)に示す全体の断面積に対してコイル部が占める有効面積が大きくなり、その分小型で強力な磁界を発生させる。
【0063】
図7(B)を参照して、第1端子部46および第2端子部48では、表面を被覆する絶縁皮膜が除去されることで、外部との導通が確保される。コイル40が実装基板等に実装される際には、実装基板に設けた孔部に第1端子部46および第2端子部48を挿入する。そして、両端子部を半田付けすることで、コイル40は実装基板上の導電パターンに電気的に接続される。
【0064】
図8を参照して、コイル40の端子部にて絶縁皮膜を剥離する方法を説明する。絶縁皮膜を剥離する方法は、基本的には図3乃至図5を参照して説明した方法と同様である。
【0065】
コイルの製造方法としては、先ず、図7(A)に示したようなコイル部42、第1端子部46および第2端子部48を備えた絶縁導線を用意する。そして、コイル40の第1端子部46の先端部の側面が第1エッジ部14A、14Bにより固定され、更に上面から第2エッジ部16が食い込む。更にこの状態で、第2エッジ部16の位置は固定したまま、第1エッジ部14A、14Bに固定された第1端子部46を台座12と共に、+Y方向に移動させることで、第1端子部46を被覆する絶縁皮膜が剥離される。この剥離動作を、第1端子部46の4つの主面および側面に対して行う。更に、第1端子部46での絶縁皮膜の剥離が終了した後は、第2端子部48に対して同様に剥離作業を行う。このことにより、両端子部を被覆する絶縁皮膜が剥離され、導電材料が外部に露出して接続可能な状態となる。この様な作業を行うことで、コイル40が製造される。
【0066】
本工程では、第1エッジ部14A、14Bにより側方から第1端子部46を固定しているので、コイル40と第1端子部46との境界部分にて上記剥離作業を行うことが可能となる。
【0067】
以上のように説明した本形態は次のように変更することが可能である。
【0068】
図1を参照すると、上記説明では、絶縁導線24の位置を固定する第1エッジ部14A、14Bを絶縁導線24の側方に配置し、絶縁導線24から絶縁皮膜を剥離する第2エッジ部16を絶縁導線24の上方に配置したが、これらのエッジ部を異なる箇所に配置することも可能である。
【0069】
例えば、第1エッジ部14Aおよび第2エッジ部16の両方を、絶縁導線24の上方に配置しても良い。この場合は、第1エッジ部14Aが絶縁導線24に上面から深く食い込み、第2エッジ部16が比較的浅く絶縁導線24に上面から食い込む。更に、第1エッジ部14Aを第2エッジ部16から離間するように移動させることで、絶縁導線24は第1エッジ部14Aと共に移動し、この移動に伴い第2エッジ部16により絶縁導線の上面を被覆する絶縁皮膜が剥離される。
【0070】
更に本形態では、図4の各図を参照して、各エッジ部が絶縁導線24に食い込む深さを調整することにより、第1エッジ部14が絶縁導線24を保持する力を、第2エッジ部16が絶縁導線24を保持する力よりも大きくすることが出来る。具体的には、両エッジ部が食い込む深さを同様にして、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24に食い込む部分の断面積(Y方向から見た断面積)を、第2エッジ部16が絶縁導線24に食い込む断面積(Y方向から見た断面積)よりも大きくする。この様にすれば、第1エッジ部14A、14Bの保持力が、第2エッジ部16の保持力よりも大きくなり、結果的に第2エッジ部16による絶縁皮膜28の剥離が容易に行われる。更には、第1エッジ部14A等が絶縁導線24に食い込む深さが、第2エッジ部16よりも浅くなったとしても、この断面積の大小関係が保たれれば、第2エッジ部16による絶縁皮膜28の剥離が可能となる。
【0071】
図9を参照して、剥離装置に備えられる第1エッジ部14A、14Bの他の形態を説明する。図9(A)は他の形態の第1エッジ部を示す斜視図であり、図9(B)は第1エッジ部が絶縁導線24に食い込んでいる状態を示す断面図である。
【0072】
ここで説明する第1エッジ部14A、14Bは、厚みが0.2mm以上0.8mm以下程度の扁平な絶縁導線24から絶縁皮膜を剥離するためのものである。即ち、この様な薄い絶縁導線24を、図1に示した第1エッジ部14A、14Bを使用して側方から食い込み固定すると、第1エッジ部14A、14Bにより与えられる押圧力により薄い絶縁導線24が変形してしまう恐れがある。この様な問題を排除するためにここでは、第1エッジ部14A、14Bにて上方および下方から絶縁導線24を押圧固定している。また、固定する方式および形状は異なるが、この図に示す第1エッジ部14A、14Bは、図1に示す台座12に備えて上記と同様に使用することが出来る。
【0073】
具体的には、図9(A)を参照して、第1エッジ部14Aの右側上端に刃先32が設けられている。更に、第1エッジ部14Bの左側下端に刃先34が設けられている。そして、第1エッジ部14Aの刃先32は、第1エッジ部14Bの刃先34よりも下方に配置されている。また、両刃先32、34は片刃形状であり、この事項は図1を参照して説明した場合と同様である。
【0074】
第1エッジ部14A、14Bは、取付ネジ52を介して図1に示す台座12に固定されている。この取付ネジ52にて第1エッジ部14A、14Bが台座に取り付けられる位置を調整することにより、刃先32、34が絶縁導線24に食い込む深さが決定される。ここでも、第1エッジ部14A、14Bは絶縁導線24に深く食い込んで固定する働きを有し、第2エッジ部16は比較的浅く絶縁導線24に食い込んで絶縁皮膜28を剥離する働きを有する。更に、食い込む深さを入れ替えて、第2エッジ部16で絶縁導線24を固定し、第1エッジ部14A、14Bにて絶縁皮膜28を剥離するように調整しても良い。
【0075】
絶縁導線24から絶縁皮膜を剥離する際には、先ず、不図示の台座の上面に絶縁導線24を載置する。次に、第1エッジ部14Aを−X方向に移動させると共に、同時に第1エッジ部14Bを+X方向に移動させる。
【0076】
この様にすると、図9(B)を参照して、絶縁導線24の下面に第1エッジ部14Aの刃先32が食い込み、絶縁導線24の上面に第1エッジ部14Bの刃先34が食い込む。第1エッジ部14Aの刃先32が絶縁導線24に上面から食い込む深さL6および第1エッジ部14Bの刃先34が絶縁導線24に下面から食い込む深さL5は同様である。L5およびL6は、絶縁導線24の厚みが0.2mmであれば0.02mm以上0.04mm以下であり、絶縁導線24の厚みが0.8mmであれば0.05mm以上0.08mm以下となる。
【0077】
次に、図9(A)を参照して、第2エッジ部16の刃先を絶縁導線24に上面から食い込ませる。第2エッジ部16の刃先が絶縁導線24に食い込む深さは、第1エッジ部14Aよりも小さくなる。ここで、食い込みが小さくなるとは、食い込む深さが浅い、食い込む刃先部分の断面積が小さい、またはこれらの両方の状態となることである。このことにより、第1エッジ部14A、14Bが絶縁導線24を保持する保持力が、第2エッジ部16が絶縁導線24を保持する保持力よりも大きくなる。
【0078】
次に、図1に示したように、第1エッジ部14A、14Bが取り付けられた台座を+Y方向に移動させることにより、絶縁導線24は第1エッジ部14A、14Bと共に+Y方向に移動する。この結果、第2エッジ部16の刃先により、絶縁導線24の上面を被覆する絶縁皮膜28が剥離される。
【0079】
その他の事項に関しては上記の場合と同様であり、この様にすることで、絶縁導線24が極めて薄いものであっても、その形状を崩すことなく絶縁皮膜28を剥離することが出来る。
【0080】
更にこの形態では、図9(B)を参照して、第1エッジ部14Bの−Y側主面に支持部54を当接させ、第1エッジ部14Aの−Y側主面に支持部56を当接させている。支持部54、56はアルミニウム等の金属を所定形状に加工したものであり、両エッジ部よりもY方向に厚く形成される。
【0081】
この様にすることで、第1エッジ部14Bが支持部54により機械的にサポートされ、更に第1エッジ部14Bが支持部56により機械的に支持される。従って、上記剥離加工を行うことにより、第1エッジ部14A、14Bを−Y側に湾曲させる応力が作用しても、これらのエッジ部が両支持部54、56により機械的にサポートされることにより、剥離加工に伴う両エッジ部の湾曲や破壊が防止される。
【符号の説明】
【0082】
10 絶縁皮膜剥離装置
12 台座
14、14A、14B 第1エッジ部
16 第2エッジ部
18、18A、18B 側壁支持部
20 支持板
22 可動支持部
24 絶縁導線
24A 第1主面
24B 第2主面
24C 第1側面
24D 第2側面
26 平角導線
28 絶縁皮膜
30 刃先
32 刃先
34 刃先
36 端子部
40 コイル
42 コイル部
46 第1端子部
48 第2端子部
52 取付ネジ
54 支持部
56 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角導線の表面が絶縁皮膜で被覆された絶縁導線から、前記絶縁皮膜を部分的に剥離する絶縁皮膜剥離装置であり、
前記絶縁導線に食い込むことで前記絶縁導線を固定する第1エッジ部と、
前記第1エッジ部とは異なる位置の前記絶縁導線に、前記第1エッジ部よりも少なく食い込む第2エッジ部と、を備え、
前記第1エッジ部と前記第2エッジ部の何れか一方を、前記絶縁導線の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離することを特徴とする絶縁皮膜剥離装置。
【請求項2】
前記第2エッジ部は、前記第1エッジ部よりも端部側の前記絶縁導線に食い込み、
前記絶縁皮膜を剥離する際には、前記第2エッジ部は相対的に前記絶縁導線の端部側に向かって移動することを特徴とする請求項1に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項3】
第1主面、第2主面、第1側面および第2側面を備える前記絶縁導線は、前記第1主面が台座の上面に当接するように配置され、
前記第1エッジ部は、前記第1側面および前記第2側面から前記絶縁導線に食い込むことにより、前記絶縁導線の位置を固定し、
前記第2エッジ部は前記第2主面に食い込むと共に、前記第2主面を被覆する前記絶縁皮膜を剥離することを特徴とする請求項2に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項4】
前記第1エッジ部は、前記食い込む方向に対して移動可能な状態で前記台座に備えられ、
前記第2エッジ部が前記絶縁皮膜を剥離する際には、前記第2エッジ部は前記絶縁導線の長さ方向に対して位置が固定されたまま、前記台座と共に前記絶縁導線の長さ方向に対して移動する前記第1エッジ部で、前記絶縁導線を移動させることを特徴とする請求項3に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項5】
前記第2エッジ部は、前記第1エッジ部よりも断面積が狭く食い込むか、又は前記第1エッジ部よりも浅く食い込むことを特徴とする請求項4に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項6】
前記絶縁導線は、前記第1主面が平坦な台座の上面に当接するように配置され、
前記第1エッジ部は、前記第2主面に食い込みことにより、前記絶縁導線の位置を固定し、
前記第2エッジ部は、前記第1エッジ部よりも端部側の前記第2主面に食い込むと共に、前記第2主面を被覆する前記絶縁皮膜を剥離することを特徴とする請求項1に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項7】
第1主面、第2主面、第1側面および第2側面を備える前記絶縁導線は、前記第1主面が台座の上面に当接するように配置され、
前記第1エッジ部は、前記第1主面および前記第2主面に食い込むことにより、前記絶縁導線の位置を固定し、
前記第2エッジ部は前記第1エッジ部とは異なる部分の前記第2主面に食い込むと共に、前記第2主面を被覆する前記絶縁皮膜を剥離することを特徴とする請求項1に記載の絶縁皮膜剥離装置。
【請求項8】
平角導線の表面が絶縁皮膜で被覆された絶縁導線から、前記絶縁皮膜を部分的に剥離する絶縁皮膜の剥離方法であり、
第1エッジ部を前記絶縁導線に食い込ませることで前記絶縁導線の位置を固定する第1ステップと、
第2エッジ部を、前記第1エッジ部とは異なる位置で、且つ前記第1エッジ部よりも少なく前記絶縁導線に食い込ませる第2ステップと、
前記第1エッジ部で前記絶縁導線を固定した状態で、前記第1エッジ部または前記第2エッジ部を前記絶縁導線の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離する第3ステップと、
を備えることを特徴とする絶縁皮膜の剥離方法。
【請求項9】
表面が絶縁皮膜により被覆された平角導線であって、円筒状に湾曲させたコイル部と、前記コイル部と連続する端子部とを構成する絶縁導線を用意する第1工程と、
第1エッジ部を前記端子部に食い込ませることで、前記端子部の位置を固定する第2工程と、
第2エッジ部を、前記第1エッジ部とは異なる位置の前記端子部に、前記第1エッジ部よりも少なく食い込ませる第3工程と、
前記第1エッジ部で前記端子部を固定した状態で、前記第1エッジ部または前記第2エッジ部を前記端子部の長さ方向で両者が離間する様に移動させることにより、前記第2エッジ部で前記絶縁皮膜を剥離する第4工程と、
を備えることを特徴とするコイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−155724(P2011−155724A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13895(P2010−13895)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(508322060)
【Fターム(参考)】