説明

継ぎ手を備える角度測定装置

【課題】走査ユニットとステータとの間の半径方向補償運動によって測定誤差が生じない角度測定装置を提供する。
【解決手段】角度測定装置は走査ユニット20に回転自在に支承された軸と二つの構成部材の軸方向弾性並びに半径方向弾性で回転しない結合する継手とを備え、継手は一部材で形成された薄板から成り、ベース2とベースに形成された複数の継目板3,5,6と、継目板が二つの構成部材の他方に頑強に固定でき各継目板が三個の周辺方向に互いに間隔を置いた支点を有し、支点それぞれ一個が周辺方向において両他支点間の中心に位置し、中心支点は両構成部材の一方に頑強に固定でき且つ両他支点が継目板のベースに対する結合部を形成し、すべての継目板のすべての支点が一つの共通平面において位置し、走査装置がこの継手によってステータ10に回転しないけれども、軸方向弾性と半径方向弾性に連結できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走査ユニットに連結された継手を使用した角度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ実用新案第8915109号明細書(特許文献1)と欧州特許出願公開第0762081号明細書(特許文献2)と欧州特許出願公開第0762082号明細書(特許文献3)に引用されるように、角度測定装置における継手は回転しないが、しかし走査ユニットが角度測定装置のステータに半径方向と軸方向に従順に連結される。この場合に、ステータに対する反対の回転が角度測定装置の測定誤差をまねく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ実用新案第8915109号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0762081号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0762082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、この発明の課題は、走査ユニットが特に回転しないけれども、角度測定装置のステータに半径方向に従順に連結されて、走査ユニットとステータとの間の半径方向補償運動によって測定誤差が生じない角度測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、特許請求項1の特徴部分を備える角度測定装置によって解決される。
【発明の効果】
【0006】
この発明の特別な利点は、実施例の次の詳細な説明に記載されている。この発明の好ましい構成は従属請求項から読みとれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】軸方向に見て継手の第一実施例を示す。
【図2】図1による継手の側面図II−IIを示す。
【図3】図1と図2による継手の立体図を示す。
【図4】第一実施例による継手の軸アダプタを示す。
【図5】図4による軸アダプタの部分断面V−Vを示す。
【図6】第一実施例による継手を備える角度測定装置を示す。
【図7】継手の第二実施例を示す。
【図8】継手の第三実施例を立体図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施例は図面に図示されていて、以下に詳細に説明される。
【実施例】
【0009】
図1から図3までには、継手1の第一実施例が図示されている。継手1は一部材でスタンプ曲げ部材として形成されて高い変動剛度をもつ材料、特にばね鋼から製造される。継手はベース2として平らな中心領域並びに四個のベースに形成されて直角に湾曲された継目板3,4,5,6から成る。継目板3,4,5,6は少なくとも軸線Dに対してかなり平行に整列されており、継目板はさらに対状に対角線に向かい合っていて互いに平行に配置されている。継目板3は継目板5に対して対角線に向かい合っていて平行に配置されている。継目板4は同様に継目板6に対して対角線に向かい合っていて平行に配置されており、継目板3と5は継目板4と6に対して直角に延びている。
【0010】
各継目板3,4,5,6は中心に一個の支点3.1,4.1,5.1,6.1を介してベース2に固定されていて、各継目板3,4,5,6はこの支点3.1,4.1,5.1,6.1の両側にそれぞれに一個の他の支点3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3を有する。対角線に向かい合っている支点3.2,3.3,と5.2,5.3,は両構成部材の一方に継目板3,5を頑強に固定するのに役立ち、対角線に向かい合っている支点4.2,4.3と6.2,6.3は両構成部材の他方に継目板4,6を頑強に固定するのに役立つ。総ての支点3.1から6.3までは好ましくは共通の平面に位置する。支点3.1,4.1,5.1,6.1はベース2と継目板3,4,5,6との間の屈曲線によって形成される。支点3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3はボルトによって固定する孔として形成されていて、孔の中心点は共通にベース2の中心平面に位置する。しかし、例えば溶接のような他の頑強な固定手段が設けられ得る。各継目板3,4,5,6の三個の支点3.1,3.2,3.3;4.1,4.2,4.3;5.1,5.2,5.3;6.1,6.2,6.3は、好ましくは共通直線上に位置して、直線の延長部が直角方形を形成する。
【0011】
ベース2は好ましくは四本の支柱から成り、それら支柱は支点3.1,4.1と4.1,5.1と5.1,6.1並び6.1,3.1を一平面で結び、方形を形成する。支柱の中心線が、支点3.1,4.1,5.1,6.1に案内される力の作用線の方向に少なくともほぼ直線に延びている。
【0012】
この記載された継手1は、継手が駆動装置の軸と角度測定装置の軸との間に設置されるから、角度測定装置に設置され得る。図4と図5では、図1乃至図3による継手1を備える軸アダプタ9が図示されている。この軸アダプタ9によって継手1は特に簡単な形式に駆動装置の測定すべき軸と角度測定装置の軸との間に設置され得る。軸アダプタ9は、駆動装置の軸が頑強に固定できる一個の第一フランジ9.1と角度測定装置の軸が頑強に固定できる一個の第二フランジ9.2とから成る。第一フランジ9.1は図示された例では孔9.11をもつ板であるので、この板は駆動装置の軸とボルト締めによって固定できる。第二フランジ9.2は、角度測定装置の軸が半径方向クランプによって固定できる中心孔9.21をもつ第二板から成る。
【0013】
両対角線に向かい合っている継目板6と4の両外部支点6.2,6.3と4.2,4.3はボルト8のよって第一フランジ9.1と頑強に固定されて、継目板6と4と直角に延びる継目板3と5の両外部支点3.2,3.3と5.2,5.3はボルト7のよって第二フランジ9.2と頑強に固定されている。両フランジ9.1と9.2は継手1を介して回転軸線Dに関連して半径方向且つ軸方向に従順であるけれども、互いに回転しなく連結されている。明瞭性の理由から、継目板3から6までの支点は符号を備えていなく、このために図3を参照するように指示されている。同様に、明瞭性の理由から、駆動装置と角度測定装置の軸が図示されていない。
【0014】
特に好ましくは継手1の使用は回転しないけれども、角度測定装置の走査ユニット20を角度測定装置のステータ10に軸方向且つ半径方向に従順に連結する。この使用は図6において部分断面で図示されている。
【0015】
公知の形式では、角度測定装置は、角度測定装置の組立てフランジ或いは一般にはステータ10と呼ばれる静止部材、走査ユニット20とロータ30と呼ばれる回転部材とから成る。ステータ10に対するロータ30の回転位置が測定される。ロータ30はさらに走査ユニット20内に支承されてコード円板32が固定されている軸31から成る。走査ユニット20は光源22、走査板23と受領ユニット24がコード円板32を光電的に走査するように配置されている支持体21から成る。ステータ10は走査ユニット20が据え付けられる駆動装置の静止部材、例えばモータの組立てフランジである。
【0016】
基準誤差が角度測定装置に一体化された継手1によって補償されるから、この角度測定装置の軸31は、測定すべき軸に頑強に据え付けられる。このために、継目板4と6は支点4.2,4.3と6.2,6.3を介して角度測定装置のステータ10に頑強に固定されている。このために使用されたボルト7により単に図示されている。継手1の継目板3と5は支点3.2,3.3と5.2,5.3を介して走査ユニット20にボルト8により頑強に固定されている。図示されていない測定すべき軸と軸31との間の基準誤差に基づいて走査ユニット20はステータ10に対して揺動運動を実施し、その揺動運動は継手1によって補償され、その際に走査ユニット20が回転軸線Dを中心に旋回をできない。走査ユニット20は基準誤差に基づいて軸31の回転の際に半径方向Rに移動するならば、継目板3と5の支点3.2,3.3と5.2,5.3は支点3.1と5.1に対してこの半径方向Rに移動される。中心支点3.1に対する支点3.2,3.3並びに中心支点5.1に対する支点5.2,5.3の対称的配置によってこの移動が継手1への回転運動を伝達しない。実際に発生した移動は、継目板3と5の対称的回転によって周辺方向に補償されるように僅かである。Rに対して垂直な半径方向における走査ユニット20の移動の際に支点6.2,6.3に対する支点6.1が半径方向に移動され、並びに支点4.2,4.3に対する支点4.1が半径方向に移動される。継目板6の支点6.1,6.2,6.3と継目板4の支点4.1,4.2,4.3との間の移動の際に発生する間隔変更はさらに継目板6,4における対称的回転によって補償される。走査ユニット20が軸31の揺動運動に基づいて軸方向にも移動するならば、この運動はベース2によって補償される。
【0017】
角度測定装置は増大式ロータリー型発信機(特に光電手段)、絶対値式角度測定器或いはレゾルバーである。
【0018】
この継手1の伝達特性は公知の継手に比べて改良され、製造価格も適切で、場所を節約した据え付け性もあることが示されている。継手1は僅かな質量に基づく高い耐振動性、極めて良い角度伝達精度や良い熱特性を有する。継手はスタンプ曲げ部材として安価に製造できて据え付けでき、この継手は継手の半径方向偏向の際にいつも平らのままであるから、四本の中間結合支柱の領域において材料厚さや剛性の変動に関する不感度を有する。半径方向と軸方向の剛性は、互いに無関係であるから、金属薄板の変動によって或いは補強曲げ部の取り付けによって例えば波形加工或いは折り曲げの形態でベース2に容易に最善の状態とされる。
【0019】
図7では、継手1の第二実施例が図示されている。この実施例は実質的に第一実施例に一致するから、同じ符号が使用され、記述は相違点に限定されている。特に高い軸方向剛性が必要とされるから、ベース2は波形2.1の取り付けにより機械的に強化され得る。ベースに対して直角に曲げられた金属薄板継目板3,4,5,6の軸方向固定が必要とされるならば、支点3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3を有する端部がベース2の平面に湾曲され得る。総ての支点3.1から6.3まで(固定箇所の中心点)はさらに共通の平面に位置する。
【0020】
図8による他の実施例は継手100を示し、継目板103から106までがそれら端部にベース102に直角曲げ部を形成しており、屈曲線によって形成された支点103.2,103.3,104.2,104.3,105.2,105.3,106.2,106.3が共通平面に位置し、これら支点 103.2から106.3までの間に対称に配置された他の支点103.1,104.1,105.1,106.1もこの共通平面に位置する。平行に向かい合っている継目板103,105の中間支点103.1,105.1は構成部材の一方(例えば図4による第一フランジ9.1或いは図6によるステータ10)に固定するのに役立ち、平行に向かい合っている他の継目板104,106の中間支点104.1,106.1は両構成部材の他方(例えば図4による第二フランジ9.2或いは図6による走査ユニット20)に固定するのに役立つ。
【0021】
図示されていない形式では、継手1,100の図3、7と8に図示された細部が任意に互いに組合わせられ得るので、継手は例えば図3による二つの向かい合っている継目板3,5と、図8による二つの継目板3,5と垂直に配置されて向かい合っている継目板104,106とを有する。
【0022】
総ての支点(3.1から6.3まで,103.1から106.3まで)が共通直線上に位置し、更に総ての継目板(3,4,5,6;103,104,105,106)の総ての支点(3.1から6.3まで,103.1から106.3まで)が共通平面に位置するならば、記載された継手1,100は最適な寸法に定められている。利用できる固定可能性の理由から、中心支点を僅かに軸方向に(軸線Dに対して平行に)ずれて他の支点に対して配置することが必要である。継目板3,4,5,6の撓み性がそれぞれに中心支点3.1,4.1,5.1,6.1と両他支点3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3(軸方向における継目板の進路、更に軸線Dに対して平行に)の結合線との間では中心支点3.1,4.1,5.1,6.1と両他支点3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3(軸方向における継目板の進路、更に軸線Dに対して平行に)の間の撓み性よりかなり大きいならば、継手のこの発明の作用が保持されたままであるので、他の支点の中心支点に対する半径方向の置換えの場合に継目板がそれぞれに両他(外部)支点間に曲って、それで延びる。
【符号の説明】
【0023】
1,100...継手
2.....ベース
2.1...波形
3,4,5,6...金属薄板継目板
10....ステータ
20....走査装置
21....支持体
22....光源
23....走査板
24....受領ユニット
30....ロータ
32....コード円板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査ユニット(20)に回転自在に支承された軸(31)と二つの構成部材(9.1,9.2;10,20)の軸方向弾性並びに半径方向弾性で、回転しない結合する継手(1,100)とを備える角度測定装置において、
この継手(1,100)は一部材で形成された薄板から成り、
・ベース(2,102)と、
・ベース(2,102)に形成された複数の継目板(3,4,5,6;103,104,105,106)と、
・継目板(4,6;104,106)の少なくとも一個の継目板が二つの構成部材(9.1;10)の一方に頑強に固定でき、継目板(3,5;103,106)の一個の少なくとも他の継目板が二つの構成部材(9.2;20)の他方に頑強に固定できること、
・各継目板(3から6まで,103から106まで)が三個の周辺方向に互いに間隔を置いた支点(3.1から6.3まで,103.1から106.3まで)を有し、両構成部材(9.1,9.2;10,20)に継目板(3から6まで,103から106まで)をしっかりと固定する支点が孔(3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,6.2,6.3,103.1,104.1,105.1,106.1)であること、
・支点(3.1,4.1,5.1,6.1,103.1,104.1,105.1,106.1)のそれぞれ一個が周辺方向において両他支点(3.2,3.3,4.2,4.3,5.2,5.3,103.2,103.3,104.2,104.3,105.2,105.3,106.2,106.3)間の中心に位置すること、
・中心支点(103.1,104.1,105.1,106.1)は両構成部材(9.1,9.2;10,20)の一方に頑強に固定でき且つ両他支点(103.2,103.3,104.2,104.3,105.2,105.3,106.2,106.3)が継目板(103,104,105,106)のベース(102)に対する結合部を形成することを備えて、
・すべての継目板(3から6まで,103から106まで)のすべての支点(3.1から6.3まで,103.1から106.3まで)が一つの共通平面において位置し、
走査装置(20)がこの継手(1,100)によってステータ(10)に回転しないけれども、軸方向弾性と半径方向弾性に連結できることを特徴とする角度測定装置。
【請求項2】
ベースが軸方向弾性に形成され、継目板(3から6まで,103から106まで)が半径方向弾性に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の角度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−216710(P2009−216710A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114472(P2009−114472)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2001−508005(P2001−508005)の分割
【原出願日】平成12年6月10日(2000.6.10)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】