説明

緊急放送装置

【課題】情報の発信元から放送局等への情報伝達手段にFAX等を使用しており,放送局員は情報の発信元から送付される情報処理のために,常時放送局に待機しておく必要があり,放送局員の負担が大きい。
【解決手段】情報提供拠点の情報提供者が緊急・一般情報を記述した情報伝達手段で,放送拠点のメールサーバー兼コントローラPCに送信しメールサーバー兼コントローラPCが緊急情報を受信するとアラームが鳴り,同時に放送拠点の担当者の携帯電話にメール転送し,担当者が緊急情報の内容を確認後,手動またはE−Mailでオンエア指示を実施し,放送拠点であらかじめ用意された緊急情報画面テンプレートのレイアウトで情報提供拠点からの緊急・一般情報等をオンエアし,オンエア開始通知を情報提供者及び各担当者の携帯電話にオンエア開始通知E−Mailを自動送信することが可能な緊急放送装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は地域に密着した放送局・CATV局を活用して,地域エリアで発生している災害情報を「緊急情報(お知らせ)」として,放送局やCATV局のニュース番組やコミュニティチャンネルに提供するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン放送とインターネット等の通信網を連動させたテレビジョン放送システムに関しての従来例は「テレビジョン放送システム:特開2002−112229」等に記載されている。概要は,放送局はテレビジョン放送を行うと共に,そのテレビジョン放送の電波の一部に文字信号を多重させる文字放送を行う。また,この放送局の番組担当者またはコマーシャルスポンサーは、テレビジョン番組またはコマーシャルに対応したWebサイトをISPのサーバに作成し,放送局はテレビジョン番組に対応して用意したサイトのURLをその番組のテロップ等により放送すると同時に,文字放送においてそのURLを流し,その情報はテレビジョン放送を受信できると共に,インターネットにも接続可能な受信端末で表示できるシステムである。
【0003】
これらのシステムにおいては,情報提供者からの緊急情報を,緊急時に放送局から緊急情報の送出(テロップ送出)する等の考慮はなされていなかった。また,緊急時に放送局から緊急情報の送出(テロップ送出)システムの従来例としては以下に示す事例がある。その一例として,(1)情報の発信元から放送局にFAXを送付する。(2)放送局員はFAXを確認し,送付されたFAXを基にテロップを作成する。(3)放送局員が手動でテロップを送出する。以上の手順で情報の発信源からの情報が放送局からテロップで送出される。この手順では放送局員は情報の発信元から送付される情報処理のために,常時放送局に待機しておく必要があり,放送局員の負担が多く,その他の事例としては,(1)情報の発信元でテロップを作成し,(2)投稿者は作成したテロップを放送局に送る,(3)放送局はテロップを確認し,スケジュールを組む。(4)緊急時には一般情報の送出を停止し,緊急用のテロップを送出する。 などの手順で行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた従来例では,情報の発信元から放送局等への情報伝達手段にFAX等を使用しており,放送局員は情報の発信元から送付される情報処理のために,常時放送局に待機しておく必要があり,放送局員の負担が大きい。また,緊急情報のテロップを送出する時に一般情報の送出を停止するために,視聴者へのサービス低下の要因が生じていた。
【0005】
さらに,情報提供システムの充実のために,▲1▼情報提供側から常に最新の情報提供が出来る環境に有ること。▲2▼手間を掛けずにニュース速報・コミュニティチャンネルの充実が図れること。▲3▼ニーズに合わせて柔軟なシステム構築が可能なシステムであること。▲4▼局内設備に適応できる多彩なオプションが充実していること。などが出来るシステム構築を行い,速報性を重視し,情報発信者からは専用のテロップ端末を必要としないWeb画面およびE−Mailを活用した携帯電話から簡単に記事を入力する事が可能で,かつ,放送局やCATV局では,人員の手間を省く要素として記事の電子化・送出スケジュールの自動化・自動放送運転などを可能とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明では情報提供拠点と放送拠点と放送拠点の担当者が,それぞれ通信網で互いに接続された環境において,情報提供拠点の情報提供者が緊急・一般情報を記述した情報伝達手段で,放送拠点(放送局・ケーブルテレビ等)のメールサーバー兼コントローラPCに送信しメールサーバー兼コントローラPCが緊急情報を受信するとアラームが鳴り,同時に放送拠点の担当者の携帯電話(複数登録可能)にメール転送し,担当者が緊急情報の内容を確認後,手動またはE−Mailでオンエア指示を実施し,放送拠点であらかじめ用意された緊急情報画面テンプレートのレイアウトで情報提供拠点からの緊急・一般情報等をオンエアし,前記オンエア開始通知を情報提供者及び各担当者の携帯電話にオンエア開始通知E−Mailを自動送信することが可能な緊急放送装置を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は地域に密着した放送局・CATV局を活用して,地域エリアで発生している災害情報を「緊急情報(お知らせ)」として,放送局やCATV局のニュース番組やコミュニティチャンネルに提供出来る緊急放送装置で,本装置を用いた緊急・情報告知テロップシステムの概略図を図1に示す。1は緊急放送装置を,2は放送局又はCATV局を,3は情報提供拠点を,4はWebサーバ又はメールサーバを,5及び6はインターネットやイントラ等の通信網を示し,7は自動運転制御端末を,8は登録/ファイリング端末を,9は編集システムを,10は時計装置を,11はコントローラを,12はDVCPROサーバを,13はモニタを,14は分配器を,15はビデオルータを,16はTV変調器を,17はプレビュー画面をそれぞれ示す。
【0008】
図2は図1に示した緊急・情報告知テロップシステムおいて,緊急情報(災害など)が発生した第一報が自治体等に入った際の運用フローを示した一例である。図中18が情報提供側の自治体等を,19が放送局又はCATV局をそれぞれ示す。災害が発生すると,緊急情報を自治体から放送局・CATV局にE−Mail又はWeb経由でその情報を送信する。Web対応であれば画像も同時に局内のWebサーバへ登録できる。局内の緊急放送装置1が緊急情報を受信すると,局内の担当者へE−Mail(携帯電話対応可能)等で報知する同時に,放送スケジュールが自動的に編成される。この時点で緊急情報の送信者に情報が伝達されたことをE−Mailなどで通知。局側は手動による割り込み放送及びスケジュールによる自動放送が可能となる。
【0009】
本緊急放送装置の特長として,本緊急放送装置では静止画放送とL字放送を兼用可能で,本緊急放送装置で静止画放送を行っている時でも緊急放送を受信した場合には,静止画像をデジタル映像効果装置DVE(Digital Video Effect)による圧縮をし,L字緊急スーパーと合成し余白の部分に情報発信源の緊急・一般情報を送出することが出来る。
【0010】
更に上記以外の特長として,▲1▼全自動化可能となるスケジューリング機能:全自動スケジューリング機能によって,自動運転制御端末7からのコマンドで,時計装置10の時刻に合わせて静止画,L字放送のON Airが可能となり,番組毎のスケジュールに関しても,放送アプリケーション内にて,スケジュールを管理することが可能である。
【0011】
▲2▼急成長しているインフラの有効活用:Webブラウザ上での稼動及びE−mailによって,局社屋内外のネットワークを利用し幅広い情報収集が可能になる。これら汎用のインフラ上で稼動させることは,議事入力等に,特別なアプリケーションを準備すること無く,情報提供者側の環境を生成することが出来る。
【0012】
▲3▼作業時間を短縮する作成サポート機能:既存のテンプレート(放送画の雛型)を利用することにより,初心者でも容易に情報を作成・編集することが可能となる。また,新規作成した情報をテンプレートとして再登録することも可能である。
【0013】
本緊急放送装置では,気象情報,自治体等からの情報及びニュース記事などの情報入力は一般にブラウザソフト又はメール配信ソフトを利用するために,インターネットが使用できる環境であれば情報の投稿が可能となる。図3は本緊急放送装置の編集端末のメイン画面を示し,各処理ボタン「ユーザ設定」「送出スケジュール」「静止画放送」及び「L字放送」が画面左にメニューボタンとして登録されている。図3では「ユーザ設定」の「ユーザ管理」が選択された画面を示し,以下「送出スケジュール」には「曜日テンプレート」「スケジュール編成」及び「ブランク放送設定」が,「静止画放送」には「静止画番組登録」と「静止画番組確認」が,「L字放送」には「L字番組登録」と「L字番組確認」がそれぞれサブメニューアイコンボタンとして登録されている。
【0014】
例えば,「L字放送」のサブメニューにある「L字番組登録」では各ユーザーごとにL字番組の番組時間枠,番組名称,レイアウトなどを登録出来る。図4はL字番組登録画面の一例を示しており,本例では3件の登録例を示しているが,1ユーザで最大50組まで登録可能である。
【0015】
図5は静止画情報告知入力画面を示している。図中20で示した領域が画面表示領域を示し,画面右側には画面表示階層設定部が表示されている。画面表示階層設定部では画面表示領域に表示された各オブジェクトの表示階層を自由に設定できる。表示例では3つのオブジェクト(テキスト1,2,3)が表示されているが,更にオブジェクトの追加をするには「文字追加」の操作で可能となる。本画面で各操作を確定後「登録」ボタンを操作することで更新が完了する。 図6は静止画放送用テロップの管理画面の一例を示す。
【0016】
図7はL字放送用番組編成画面を示す。図中,割り当て時間は番組に割り当てられている時間を,時間は番組に追加した作品の表示時間の合計を,[先頭へ]・[上へ]・[下へ]及び[末尾へ]のボタンは作品の表示順を入替えを,表示選択は全作品:登録されている作品全ての表示を,未登録作品:現在の番組に登録されていない作品の表示を,[→]・[←]は番組に作品を追加,削除を,[番組を保存]はサーバーに保存をそれぞれ示す。本機能によりL字番組の編成が可能です。これらはWeb上から静止画ファイルを登録及び文字入力が可能で画各サイズや文字の属性についてもWeb上で編集可能である。更に作成された画像毎及びテキスト(文字行)毎にレイヤー管理される。Web上で登録した静止画は局内のWebサーバに転送される。
【0017】
また,受信した静止画及びL字放送テロップをWeb上で管理が可能である。主に放送時間枠の設定・番組編成・静止画像演出効果の設定,画像のプレビューが可能である。ここで設定された各種情報は局内のサーバを介して,送出機を制御する制御端末に転送され,局の担当者が静止画像とL字放送の番組編成を行う。
【0018】
WebおよびE−Mailなどで送信されたテキストデータは放送局内のサーバに受信され,L字・静止画送出機に転送される。その間,情報投稿者へ情報が局側に送信されたことや,実際に放送することを通知する情報の認証がE−Mailなどで通達される。局側で認証者の設定や変更・更新は随時可能である。
【0019】
図8はL字レイアウト編集画面の一例を示す。L字レイアウト編集画面は,緊急に備えL字放送画面のレイアウトを編集することが可能である。図中,21はL字静止画の領域を,22は背景映像及びDVE率,23はクロール文字領域をそれぞれ示す。また,レイアウト編集画面はセーフ領域の設定,背景映像及びDVE率,L字静止画の領域,L字静止画の演出効果,クロールのスピード調整,L字の背景画を選択できるように用意されている。図中下部に示した「セーフ領域」タグは画面表示のセーフエリアのサイズと位置の設定を,「DVE領域」タグはDVE領域のサイズと位置の設定を,「L字静止画領域」タグはL字静止画のサイズと位置の設定を,「L字静止画効果」タグはL字静止画の表示効果と効果のスピードの設定を,「クロール文字領域」タグはクロール文字の表示位置と表示属性の設定を,「ファイル選択」タグは背景・音声ファイルの選択がそれぞれ可能である。なお,本図ではファイル選択画面が表示された状態を,図9はDVE領域の設定画面が表示された事例を示す。
【0020】
次に本緊急放送装置の放送スケジュール編成の一例について説明する。図10は一日の放送スケジュールを編成するスケジュール編成画面を示している。図示したように放送年月日及び放送の種類をファイルの単位として,開始時刻,終了時刻,静止画放送番組名,作品数及び登録者名の一覧が表示され,本画面で一日の放送スケジュールを編集できる。更に,編集されたスケジュール保存され,曜日スケジュール作成の曜日テンプレートして利用することが可能である。本緊急放送装置は一日の放送スケジュールを編集画面のほかに,曜日スケジュール編成画面及び割り込み放送画面(図示せず)も備えている。
【0021】
図11は前述した緊急・情報告知テロップシステムの運用フロー図の一例を示し,情報伝達にメールを使用した一例を示している。図12は図11に示した運用フローにおいて,メールでの登録・認証の一例を示したもので,情報提供者からの情報が本緊急放送装置を介して,放送局の担当者に情報が発信され,更に本緊急放送装置を介して,放送局から情報が放送されると同時に,情報提供者に情報が放送されことを通報するまでの流れを示している。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,気象庁,地方自治体,取材現場等から送られ収集された災害情報をテキスト情報として放送局やCATV局のニュース番組やコミュニティチャンネルにL字表示して放送することにより,視聴者(住民)に対する迅速な防災情報提供サービスの向上が図られる。また,情報提供側から常に最新の情報提供が出来,手間を掛けずにニュース速報・コミュニティチャンネルの充実が図れ,更に情報発信者からは専用のテロップ端末を必要としないWeb画面およびE−Mailを活用した携帯電話から簡単に記事を入力する事が可能で,かつ,放送局やCATV局では,人員の手間を省く要素として記事の電子化・送出スケジュールの自動化・自動放送運転などが可能で,また,既存のテンプレート(放送画の雛型)を利用することにより,初心者でも容易に情報を作成・編集することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緊急放送装置を用いた緊急・情報告知テロップシステムの概要図である。
【図2】緊急・情報告知テロップシステムの運用フロー図の一例を示す。
【図3】本緊急放送装置の編集端末のメイン画面である。
【図4】本発明のL字番組登録画面の一例を示す。
【図5】本発明の静止画情報告知入力画面の概要図である。
【図6】本発明の静止画放送用テロップの管理画面である。
【図7】本発明の1日のスケジュール編成画面の一例を示す。
【図8】本発明のL字放送用番組編成画面である。
【図9】本発明のL字放送用番組編成画面である。
【図10】本発明の1日のスケジュール編成画面の一例を示す。
【図11】緊急・情報告知テロップシステムの運用フロー図の一例を示す。
【図12】本発明のメールでの登録・認証の一例を示す。
【符号の説明】
1・・・緊急放送装置
2・・・放送局又はCATV局
3・・・情報提供拠点
4・・・Webサーバ又はメールサーバ
5・・・インターネット通信網
6・・・イントラ通信網
7・・・自動制御端末
8・・・登録/ファイリング端末
9・・・編集システム
10・・・時計装置
11・・・コントローラ
12・・・ビデオサーバ
13・・・モニタ
14・・・分配器
15・・・ビデオルータ
16・・・TV変調器
17・・・プレビュー画面
18・・・情報提供側の自治体等
19・・・放送局又はCATV局
20・・・画面表示領域
21・・・L字静止画の領域
22・・・背景映像及びDVE率表示部
23・・・クロール表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供拠点と放送拠点と前記放送拠点の担当者が,それぞれ通信網で互いに接続された環境において,前記情報提供拠点(区役所・消防署等)の情報提供者が緊急・一般情報を記述した情報伝達手段(E−Mail,Web等)で,前記放送拠点(放送局・ケーブルテレビ等)のメールサーバー兼コントローラPCに送信し,前記メールサーバー兼コントローラPCが緊急情報(E−Mail,Web等)を受信するとアラームが鳴り,同時に前記放送拠点の担当者の携帯電話(複数登録可能)にメール転送し,前記担当者が緊急情報の内容を確認後,手動またはE−Mailでオンエア指示を実施し,前記放送拠点であらかじめ用意された緊急情報画面テンプレートのレイアウトで前記情報提供拠点からの緊急・一般情報等をオンエアし,前記オンエア開始通知を情報提供者及び各担当者の携帯電話にオンエア開始通知E−Mailを自動送信することを可能とする緊急放送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急情報画面テンプレートのレイアウトとして,通常放送の映像をデジタル映像効果装置DVE(Digital Video Effect)による圧縮を行い,表示画面の余白部分に各種情報提供者(市役所・消防署)等の緊急・一般情報を送出を可能とする緊急放送装置。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate



【図9】
image rotate



【図10】
image rotate



【図11】
image rotate



【図12】
image rotate


【公開番号】特開2005−39310(P2005−39310A)
【公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−196841(P2003−196841)
【出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願人】(300050367)日立計測器サービス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】