説明

緑化ブロック

【課題】ブロック単位に制限されることなく連続した長尺の植栽溝を形成することができる緑化ブロックを提供する。
【解決手段】基本ブロック部1と植栽溝部2からなる緑化ブロックであって、植栽溝部2は底板2aと側壁2bからなるL字型であり、基本ブロック部1の前面に底板2aが接合され、植栽溝部2が基本ブロック部1の前面の一端から他端にかけて水平に設けられ、植栽溝部2の底板2aが基本ブロック部1の前面の下端に設けられており、基本ブロック部1の前面の上端に突出した支持面3が設けられている緑化ブロックである。緑化ブロックを横並びに施工すると、隣り合う植栽溝部2同士が連結し、連続した長尺の植栽溝部2を形成することができる。連続した長尺の植栽溝部2が形成されることにより、土11を連続的に敷き詰めることが可能となり、植栽の自由度が増す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化ブロックに関する。さらに詳しくは、ブロック塀として施工でき、かつ植栽が可能な緑化ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、意匠効果を持たせるなどの目的でブロック塀への植栽が行われている。その一例として植栽ポットをフックでブロック塀へ引っ掛ける方法があり、これにより簡便に植栽を施すことができる。しかしこの方法では、フックでの固定が不安定であり、植栽ポットが斜めになるなどの問題がある。
【0003】
そこでこの問題を解決するために、塀用ブロックと植栽ポットを一体とした緑化ブロックが提案されている。その一例である特許文献1の緑化ブロックは、塀用ブロック部の前面に突出させた鉢受部を設け、鉢受部に専用の植栽ポットを落とし込んだものである。これにより植栽ポットを安定して保持することが可能となっている。
【0004】
ところが、特許文献1の緑化ブロックは、鉢受部がブロック単位で設けられているので、鉢受部に適合した専用の植栽ポットを用いる必要があり、植栽ポットの大きさが制限されてしまうという問題がある。
また、特許文献1には、大型の植栽ポットを使用するため、植栽ポットの両端のみを保持する緑化ブロックも提示されているが、両端しか保持されないので、一般的な植栽ポットの剛性から鑑みると使用可能な植栽ポットの長さには限界があり、植栽ポットの大きさが制限されるという問題を完全に解決できるものではない。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3101057号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、ブロック単位に制限されることなく連続した長尺の植栽溝を形成することができる緑化ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の緑化ブロックは、基本ブロック部と植栽溝部からなる緑化ブロックであって、前記基本ブロック部は直方体であり、前記植栽溝部は底板と該底板の前面に設けられた側壁とで側面視L字型に形成されており、前記基本ブロック部の前面に前記植栽溝部の底板の後面が接合され、前記植栽溝部が前記基本ブロック部の前面の一端から他端にかけて水平に設けられていることを特徴とする。
第2発明の緑化ブロックは、第1発明において、前記基本ブロック部の前面と後面に、それぞれ前記植栽溝部の底板の後面が接合され、前記植栽溝部が前記基本ブロック部の前面と後面のそれぞれの一端から他端にかけて水平に設けられていることを特徴とする。
第3発明の緑化ブロックは、第1発明において、前記基本ブロック部の前面の上端に突出した支持面が設けられており、前記植栽溝部の前記底板が前記基本ブロック部の前面の下端に設けられていることを特徴とする。
第4発明の緑化ブロックは、第2発明において、前記基本ブロック部の前面と後面の上端に、それぞれ突出した支持面が設けられており、前記植栽溝部の前記底板が前記基本ブロック部の前面と後面のそれぞれの下端に設けられていることを特徴とする。
第5発明の緑化ブロックは、第1、第2、第3または第4発明において、前記植栽溝部の前記底板に植栽溝水抜き穴が設けられていることを特徴とする。
第6発明の緑化ブロックは、第3または第4発明において、前記植栽溝部の前記底板に前記植栽溝水抜き穴が設けられており、前記支持面に支持面水抜き穴が設けられており、前記植栽溝水抜き穴と前記支持面水抜き穴が平面視同位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、基本ブロック部の前面に植栽溝部が設けられているので、ブロック塀もしくは擁壁として施工でき、かつ植栽溝部に草花を植栽することができる。植栽溝部の側面には壁がないため軽量であり、多段積みすることも可能である。また、植栽溝部は基本ブロック部の前面の一端から他端にかけて水平に設けられているので、緑化ブロックを横並びに施工すると、隣り合う植栽溝部同士が連結し、連続した長尺の植栽溝部を形成することができる。このように、連続した長尺の植栽溝部が形成されることにより、土を連続的に敷き詰めることが可能となり、草花の根が横に張ることができ、植栽の自由度が増す。植栽ポットを植栽溝部に設置する場合にも、植栽ポットの長さが制限されることが無い。さらに、支持面には庇と同様に強い日差しを避ける効果があるので、草花を育てやすい。
第2発明によれば、植栽溝部が基本ブロック部の前後両面に設けられているので、ブロック塀として施工すれば、その両面に草花を植栽することで両面緑化が可能である。
第3発明によれば、支持面が設けられているので、緑化ブロックを縦に施工する際に、下段の支持面で上段の植栽溝部の底板を支えることができる。基本ブロック部のみでブロック塀もしくは擁壁の重さを支える場合よりも、地震時などでも倒壊しにくい強固なブロック塀もしくは擁壁を施工することができる。
第4発明によれば、支持面が基本ブロック部の前後両面に設けられているので、植栽溝部を基本ブロック部の前後両面に設けた場合においても、緑化ブロックを縦に施工する際に、下段の支持面で上段の両面の植栽溝部の底板を支えることができる。基本ブロック部のみでブロック塀の重さを支える場合よりも、地震時などでも倒壊しにくい強固なブロック塀を施工することができる。
第5発明によれば、植栽溝部の底板に植栽溝水抜き穴が設けられているので、雨などで溜まる余分な水を排水することができる。植栽溝水抜き穴にフィルターを設置すると植栽溝部に敷き詰めた土を流出させることなく、余分な水のみを排水することができる。
第6発明によれば、植栽溝水抜き穴と支持面水抜き穴が平面視同位置に設けられているので、支持面が植栽溝水抜き穴を塞いでしまうことがなく、雨などで溜まる余分な水を排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における緑化ブロックAの斜視図である。図2は同緑化ブロックAの左側面図である。図3は同緑化ブロックAの平面図である。図4は同緑化ブロックAの正面図である。本発明の緑化ブロックAは立体的形状に特徴があるので、以下各図面に基づき説明する。
【0011】
図1に示すように、緑化ブロックAは主に基本ブロック部1と植栽溝部2と支持面3からなる。基本ブロック部1は外形的には直方体である。特許請求の範囲に記載の「基本ブロック」には、塀用ブロックや擁壁用ブロックなど、積み上げて固定する種々のブロックが含まれるが、本実施形態では塀用ブロックを用いている。本実施形態の基本ブロック部1は縦方向および横方向に断面楕円形の孔が開いている(図2、図3参照)。この穴は、緑化ブロックAをブロック塀として施工する際に、鉄筋を通す、モルタルやコンクリートを充填するなどの方法でブロック塀を強固にするためのものである。請求項1記載の「直方体」には、矩形もしくは円形の穴が開いたものなど、基本ブロックとして必要な構造を有するものが含まれる。
植栽溝部2は底板2aとその底板2aの前面に設けられた側壁2bとで側面視L字型に形成されている(図1参照)。基本ブロック部1の前面に植栽溝部2の底板2aの後面が接合され、基本ブロック部1と植栽溝部2が一体となっている。なお、底板2aの後面側には側面視で三角形の接合部2cを形成しておき、基本ブロック部1の前面に対し広い面積で接合しておくことが、強度確保に好ましい。
植栽溝部2は、基本ブロック部1の前面の一端から他端にかけて水平に設けられており(図4参照)、かつ底板2aが基本ブロック部1の前面の下端に位置するように設けられている(図2参照)。
支持面3は基本ブロック部1の前面の上端に突出して設けられている(図1参照)。本実施形態では、支持面3は、基本ブロック部1の前面の一端から他端にかけて水平に設けられており(図4参照)、かつ平面視で植栽溝部2と同程度の大きさとなる長方形をしている(図3参照)。
【0012】
図5は緑化ブロックAにより施工された緑化ブロック塀Xの外観図である。緑化ブロックAは基本ブロック部1も植栽溝部2も正面視長方形であり、側面は垂直で凹凸がないため、縦横に並べると隙間なく密着し、緑化ブロック塀Xとして施工できる。また、緑化ブロック塀Xの植栽溝部2には、草花10を植栽することができる。植栽溝部2の側面には壁がないためその分軽量となっている、そのため緑化ブロックAを多段積みにし、緑化ブロック塀Xとすることも可能である。緑化ブロック塀Xとして施工する際に、基本ブロック部1に設けられた穴に鉄筋を通す、モルタルやコンクリートを充填する方法で緑化ブロック塀Xを強固にするが、このモルタルやコンクリートの充填などは基本ブロック部1のみで行い、植栽溝部2では行わないので、花壇としての見栄えがよく、草花10の成長の邪魔にもならない。
【0013】
緑化ブロックAを横並びに施工すると、隣り合う植栽溝部2同士が連結し、連続した長尺の植栽溝部2を形成することができる。連続した長尺の植栽溝部2が形成されることにより、土11を連続的に敷き詰めることが可能となり、草花10の根が横に張ることができ、植栽の自由度が増す。大型の草花10を植栽することもできるし、ブロック単位に制限されることなく自由な配置で植栽することもできる。植栽ポット12を植栽溝部2に設置する場合にも、植栽ポット12の長さが制限されることが無く、小型の植栽ポット12から大型の植栽ポット12まで自由な配置で設置することができる。また、最上段の植栽溝部2であっても、支持面3には庇と同様に強い日差しを避ける効果があるので、草花10を育てやすい。
【0014】
図6は緑化ブロック塀Xの左側面図である。緑化ブロックAを縦に施工すると、上段の緑化ブロックAの植栽溝部2の底板2aは、下段の緑化ブロックAの支持面3で支えられる。基本ブロック部1のみで緑化ブロック塀Xの重さを支える場合よりも、接触する前後の寸法が大きくなるので、地震時などでも倒壊しにくい強固なブロック塀を施工することができる。
【0015】
前記緑化ブロックAは、図1に示すように、植栽溝部2の底板2aの左右両端中央に植栽溝水抜き穴4が設けられており、かつ支持面3の左右両端中央に支持面水抜き穴5が設けられている。また図3に示すように、植栽溝水抜き穴4と支持面水抜き穴5は平面視同位置に設けられている。このため図6に示すように、緑化ブロックAを縦に施工すると、下段の緑化ブロックAの支持面水抜き穴5と上段の緑化ブロックAの植栽溝水抜き穴4が接続するので、支持面3が植栽溝水抜き穴4を塞いでしまうことがない。さらに図5に示すように、緑化ブロックAを横並びに施工すると隣り合う緑化ブロックAの植栽溝水抜き穴4同士および支持面水抜き穴5同士が接続し、一体となって水抜き穴8を形成する。
【0016】
上記のとおり、水抜き穴8が形成されるので雨などで植栽溝部2に溜まる余分な水を排水することができる。水抜き穴8にフィルター9を設置すると植栽溝部2に敷き詰めた土11を流出させることなく、余分な水のみを排水することができる。
【0017】
本実施形態では、植栽溝水抜き穴4および支持面水抜き穴5を左右両端に設けたが、この位置に限る必要はない。底板2aおよび支持面3の中央付近に設けてもよいし、その数も1つでも、複数でもよい。ただし、本実施形態のように端部に穴を設けた方が、緑化ブロックAの形成が容易となり、さらに中央付近に設ける場合に比べ、強度低下が少ないので好ましい。
【0018】
また、支持面3の上面に支持面水抜き穴4に向かって下がる勾配を形成すれば、最上段の支持面3に降った雨水を集めやすくなり、その雨水を植栽溝部2に植栽した草花10に供給することができる。
【0019】
図2に示すように、緑化ブロックAの基本ブロック部1の上面には位置決め凸部6が、底面には位置決め凹部7が設けられている。このため図6に示すように、緑化ブロックAを縦に積み上げ施工すると、下段の緑化ブロックAの位置決め凸部6と上段の緑化ブロックAの位置決め凹部7がかみ合う。これにより、緑化ブロックAの施工時の位置決めが容易となり、また施工後の緑化ブロック塀Xの水平方向の外力に対する強度を増加される。
【0020】
上述のとおり、緑化ブロックAを用いて施工した緑化ブロック塀Xは、植栽が可能なブロック塀となる(図5参照)。また、連続した長尺の植栽溝部2には土11を敷き詰めて草花10を植栽できるほか、植栽ポット12を設置することもできる。
さらに、植栽溝部2と支持面3は人が住むマンションのベランダと庇に見た目に相似形であるので、都市景観とマッチしやすい。
【0021】
そして、図9に示すように、一般的な塀用ブロックZと組み合わせて、一部に緑化ブロックAを用いて緑化ブロック塀Xを施工してもよい。一段おきに緑化ブロックを施工する場合には、支持面3で上段の緑化ブロックを支えることはできないので支持面3が不要となる。その場合には後述する緑化ブロックBを用いて施工してもよい。
【0022】
緑化ブロックAの材質には特に限定はないが、例えばコンクリートで形成される。緑化ブロックAを用いて緑化ブロック塀Xを施工するには同じ形の緑化ブロックAを多数用意する必要がある。そのため生産性から考えると、大量生産に適したコンクリートで製造する事が好ましい。
【0023】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態における緑化ブロックBについて説明する。
図7は本発明の緑化ブロックBの一例を示す斜視図である。図8は本発明の緑化ブロックBの他の例を示す側面図である。緑化ブロックBには支持面3が設けられていない。また、植栽溝部2は基本ブロック部1の前面において下端よりやや上に固定されている。図8では植栽溝部2は基本ブロック部1の中段付近に設けられている。この緑化ブロックBでは、植栽溝部2が基本ブロック部1の前面の下端に位置する必要がないので、上下方向の何れの位置に植栽溝部2が設けられてもよい。その余の構成は第1実施形態とほぼ同じであるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
前記緑化ブロックBには支持面3がないので、緑化ブロックBを縦に施工すると、基本ブロック部1のみでブロック塀の重さを支えることになる。しかし、基本ブロック部1に対して植栽溝部2が小さい場合や、植栽溝部2に軽量の草花10を植栽する場合には本実施形態の形状でも問題ない。また、図9に示すように、緑化ブロック塀Xの最上段に緑化ブロックBを施工した場合や、最上段でなくても緑化ブロックBの上段に一般的な塀用ブロックを施工した場合には、高さ方向に遮るものがないので、緑化ブロックBの高さを超える背の高い草花10を植栽することができる。本実施形態においても緑化ブロックBを横並びに施工すると連続した長尺の植栽溝部2を形成することができ、その効果は第1実施形態の緑化ブロックAと同様である。
【0025】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態における緑化ブロックCについて説明する。
図10は本発明の緑化ブロックCの上段に一般的な塀用ブロックZを積み上げた際の側面図である。緑化ブロックCは、第2実施形態の緑化ブロックBと似た形状をしているが、植栽溝部2が基本ブロック部1の前面の上端に位置している。その余の構成は第1実施形態とほぼ同じであるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
図10に示すように、緑化ブロックCはその上段に一般的な塀用ブロックZ、あるいは別の緑化ブロックCを積み上げることにより、下段の植栽溝部2と上段の塀用ブロックとで溝を形成することができ、その溝に植栽を施すことができる。本実施形態においても緑化ブロックCを横並びに施工すると連続した長尺の植栽溝部2を形成することができ、その効果は第1実施形態の緑化ブロックAと同様である。
【0027】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態における緑化ブロックDについて説明する。
図11は本発明の緑化ブロックDの斜視図である。緑化ブロックDの支持面3は、基本ブロック部1の前面の上端から突出して設けられており、平面視で植栽溝部2よりも小さい形状をしている。また、支持面3には支持面水抜き穴5が設けられていない。その余の構成は第1実施形態とほぼ同じであるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
第1実施形態の場合と同じく、緑化ブロックDを縦に施工すると、上段の緑化ブロックDの植栽溝部2の底板2aは、下段の緑化ブロックFの支持面3で支えられる。基本ブロック部1のみで緑化ブロック塀Xの重さを支える場合よりも強固なブロック塀を施工することができる。支持面3は、基本ブロック部1の前面の一端から他端にかけて設けられてはいないが、上段の緑化ブロックDを支えることのできる大きさを有する。支持面3の大きさを必要最小限にすることで緑化ブロックD自体の重さを軽くすることができる。また、本実施形態の場合、植栽溝水抜き穴4は底板2aの左右両端に設けられており、支持面3が植栽溝水抜き穴4を塞いでしまうことがないので、支持面3に支持面水抜き穴5を設ける必要がない。
【0029】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態における緑化ブロックEについて説明する。
図12は本発明の緑化ブロックEの側面図である。緑化ブロックEは、第1実施形態の緑化ブロックAにおいて、さらに基本ブロック部1の裏面にも植栽溝部2が設けられた形状をしている。なお、支持面3は無いものでよく、有るものでもよいが、支持面3が有る方が、段積みする場合の強度は保ちやすくなる。その余の構成は第1実施形態とほぼ同じであるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
緑化ブロックEを緑化ブロック塀として施工した場合においても、第1実施形態の場合と同じく、隣り合う植栽溝部2同士が連結し、連続した長尺の植栽溝部2を形成することができ、上段の緑化ブロックEの植栽溝部2の底板2aは、下段の緑化ブロックEの支持面3で支えられる。その効果は第1実施形態の緑化ブロックAと同様である。
さらに、植栽溝部2が基本ブロック部1の前後両面に設けられているので、緑化ブロック塀の両面に草花を植栽することで両面緑化が可能である。
【0031】
上記実施形態は、植栽溝部2を基本ブロック部1の下端に設けたものであるが、植栽溝部2を中段に設けた図7,8の緑化ブロックBや植栽溝部2を上段に設けた図10の緑化ブロックC、さらに図11の緑化ブロックDを、基本ブロック部1の前後に設けたものも本発明に含まれる。
【0032】
(第6実施形態)
つぎに、本発明の第6実施形態における緑化ブロックFについて説明する。
図13は本発明の緑化ブロックFの斜視図である。図14は一般的な塀用ブロックZの上段に緑化ブロックFを積み上げた際の側面図である。緑化ブロックFは、第2実施形態の緑化ブロックBにおいて、底板2aが基本ブロック部1の前面の下端に位置するように設けられており、側壁2bが基本ブロック部1と同じ高さをした形状をしている。さらに、基本ブロック部1と側壁2bの側面に切欠溝13が設けられており、その切欠溝13に筋交14が渡されている。その余の構成は第2実施形態とほぼ同じであるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態の前記緑化ブロックFでは支持面3がないが、緑化ブロックFを縦に積上げると、基本ブロック部1と植栽溝部2でブロック塀の重さを支えることができる。したがって、植栽溝部2に多量の草花10を植栽することが可能である。また、図9に示すように、緑化ブロック塀Xの最上段に緑化ブロックFを施工した場合や、最上段でなくても緑化ブロックFの上段に一般的な塀用ブロックを施工した場合には、高さ方向に遮るものがないので、緑化ブロックFの高さを超える背の高い草花10を植栽することができる。さらに、本実施形態においても緑化ブロックFを横並びに施工すると連続した長尺の植栽溝部2を形成することができ、その効果は第1実施形態の緑化ブロックAと同様である。
【0034】
なお、一般的な塀用ブロックZの上段に緑化ブロックFを積み上げた場合、植栽溝部2を下から支えるものがないので、例えば子供が側壁2bにぶら下がったりすると、植栽溝部2が割れてしまう恐れがある。そのため、筋交14を基本ブロック部1と側壁2bとの間に渡すことにより植栽溝部2を補強して、植栽溝部2が割れないようにしている。
【0035】
(他の実施形態)
前記各実施形態では、植栽溝水抜き穴4も支持面水抜き穴5も、左右両面に設けたが、これを左右いずれか片面に設けてもよい。この場合でも、水抜きは可能である。
【0036】
前記各実施形態では、塀用ブロックを特許請求の範囲にいう基本ブロックとして用いたが、基本ブロック部1を擁壁用ブロック部に代えてもよい。
この場合、緑化ブロックはそのブロック部が大型、肉厚の擁壁ブロック部となっているので、切土、盛り土などの崖の側面に擁壁として施工することができる。
また、緑化ブロックを擁壁として施工した場合においても、第1実施形態の場合と同じく、隣り合う植栽溝部2同士が連結し、連続した長尺の植栽溝部2を形成することができる。その効果は第1実施形態の緑化ブロックAと同様である。
【0037】
以上のように、本発明の緑化ブロックにより、ブロック単位に制限されることなく連続した長尺の植栽溝を形成することができる緑化ブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態における緑化ブロックAの斜視図である。
【図2】同緑化ブロックAの左側面図である。
【図3】同緑化ブロックAの平面図である。
【図4】同緑化ブロックAの正面図である。
【図5】同緑化ブロックAにより施工された緑化ブロック塀Xの外観図である。
【図6】同緑化ブロック塀Xの左側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における緑化ブロックBの一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の緑化ブロックBの他の例を示す側面図である。
【図9】緑化ブロックA、緑化ブロックBおよび一般的な塀用ブロックZにより施工された緑化ブロック塀Xの外観図である。
【図10】本発明の第3実施形態における緑化ブロックCの上段に一般的な塀用ブロックZを積み上げた際の側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態における緑化ブロックDの斜視図である。
【図12】本発明の第5実施形態における緑化ブロックEの側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態における緑化ブロックFの斜視図である。
【図14】一般的な塀用ブロックZの上段に緑化ブロックFを積み上げた際の側面図である。
【符号の説明】
【0039】
A〜E 緑化ブロック
1 基本ブロック部
2 植栽溝部
2a 底板
2b 側壁
3 支持面
4 植栽溝水抜き穴
5 支持面水抜き穴
6 位置決め凸部
7 位置決め凹部
8 水抜き穴
9 フィルター
13 切欠溝
14 筋交

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ブロック部と植栽溝部からなる緑化ブロックであって、
前記基本ブロック部は直方体であり、
前記植栽溝部は底板と該底板の前面に設けられた側壁とで側面視L字型に形成されており、
前記基本ブロック部の前面に前記植栽溝部の底板の後面が接合され、
前記植栽溝部が前記基本ブロック部の前面の一端から他端にかけて水平に設けられている
ことを特徴とする緑化ブロック。
【請求項2】
前記基本ブロック部の前面と後面に、それぞれ前記植栽溝部の底板の後面が接合され、
前記植栽溝部が前記基本ブロック部の前面と後面のそれぞれの一端から他端にかけて水平に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の緑化ブロック。
【請求項3】
前記基本ブロック部の前面の上端に突出した支持面が設けられており、
前記植栽溝部の前記底板が前記基本ブロック部の前面の下端に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の緑化ブロック。
【請求項4】
前記基本ブロック部の前面と後面の上端に、それぞれ突出した支持面が設けられており、
前記植栽溝部の前記底板が前記基本ブロック部の前面と後面のそれぞれの下端に設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の緑化ブロック。
【請求項5】
前記植栽溝部の前記底板に植栽溝水抜き穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の緑化ブロック。
【請求項6】
前記植栽溝部の前記底板に前記植栽溝水抜き穴が設けられており、
前記支持面に支持面水抜き穴が設けられており、
前記植栽溝水抜き穴と前記支持面水抜き穴が平面視同位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3または4記載の緑化ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−148469(P2010−148469A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331745(P2008−331745)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】