説明

緑化工法および在来多年生草本類による緑化構造

【課題】 法面や平坦地等の施工対象地に容易にかつ確実に在来多年生草本類、特に地下茎繁殖型在来多年生草本類の群落を造成することができる緑化工法および在来多年生草本類による緑化構造を提供すること。
【解決手段】 在来多年生草本類の根茎又は株又は苗2を植生基材3と共に収容した袋体4を施工対象地6に設置し、かつ前記袋体4を在来多年生草本類の通芽が可能となるように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、チガヤ、ススキ、ヤハズソウ等の在来多年生草本類を用いて緑化を図る緑化工法およびこの工法を用いて得られる在来多年生草本類による緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
河川堤防等の法面の侵食防止対策の一つとして、野芝、高麗芝、ティフトン等の洋芝をロール状に巻いて運搬することが可能な植生マットとして作製しておき、これらの植生マットを法面に張り付ける工法が、従来より広く知られている。また、芝の根を引張強度の高い可撓性ネットに絡み付けることによって、マット形状を崩れ難くし、河川堤防の冠水域にも強固に張り付けることができるようにした植生マットとその製造方法も、特許文献1により提案されている。
【0003】
これらの植生マットを法面に張り付ける工法は、施工直後から法面が緑化されるため、景観的に非常に優れた工法である。しかしながら、植生マットには、芝の栽培中に外部から飛散した多くの帰化植物(セイタカアワダチソウ等)の種子や元々圃場にあった帰化植物の根茎等が混入している。このような植生マットでは、施工後、大型の帰化植物が繁茂するようになり、次第に芝地から帰化植物よりなる雑草地に変わってしまうことがある。従って、繁茂した大型帰化植物を定期的に刈り取るといった維持管理が必要とされることになり、毎年、多大の維持管理費が必要とされているのが実情である。
【0004】
そのため、維持管理を軽減できる法面の緑化工法が求められている。この緑化工法として、近年、チガヤなどの在来多年生草本類の群落の造成をめざした試みがなされている。例えば、チガヤは、これまで雑草として扱われ、この種の用途に殆ど使用されていないが、太い地下茎を有し、根茎による無性繁殖と種子による有性繁殖とが可能で、旺盛な繁殖力を有する上、他の植物の発芽を抑制する他感作用が強く、しかも、非特許文献1に記載されている通り、長い根茎は1mあまりまで伸長し、個体当たりの根茎の総延長は約12mにも達するので、強い土壌緊縛力が得られる。
【特許文献1】特開2001−8547号公報(図1〜図3)
【特許文献2】特開2002−309581号公報
【非特許文献1】山口裕文編著「雑草の自然史」北海道大学図書館刊行会出版、1997年6月10日発行(第142頁〜第149頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、法面にチガヤ等の在来多年生草本類の群落を造成する工法として、種子を肥料や保水材等の植物生育基盤材とともに法面に吹き付ける工法や、適当な長さに切断した根茎を法面に播き出して覆土する工法等が試みられているものの、これらの工法では次のような問題があった。すなわち、在来多年生草本類の中には、その種子や根茎が、施工現場の厳しい環境(特に、乾燥)の影響を受けやすいものや、高温でなければ発芽しないものなど、法面等の施工対象地における群落の造成が困難視されているものがあり、そのような在来多年生草本類の群落を上記工法により造成することができなかった。
【0006】
そこで、図8に示すように、在来多年生草本類を予め好適な環境で苗14になるまで生育させた後、その苗14を施工対象地6に設けた鉢穴Hに移植することも考えられるが、この場合は、施工対象地6の厳しい環境によって前記苗14が植栽後に良好に生育しないことが多く、また、施工対象地6の状態等によっては前記鉢穴Hの形成に非常に労力がかかるという問題があった。さらに、施工対象地6の土壌硬度が高すぎる(土が固すぎる)と、地盤内に根が伸長できず、苗14が生長しにくいという問題があった。
【0007】
この発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、法面や平坦地等の施工対象地に容易にかつ確実に在来多年生草本類、特に地下茎繁殖型在来多年生草本類の群落を造成することができる緑化工法および在来多年生草本類による緑化構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の緑化工法は、在来多年生草本類の根茎又は株又は苗を植生基材と共に収容した袋体を施工対象地に設置し、かつ前記袋体を在来多年生草本類の通芽が可能となるように構成してあることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
具体的には、前記施工対象地における前記袋体の周辺を、抑草効果および/または侵食抑制効果のあるネットで覆うことが好ましい(請求項2)。
【0010】
また、上記目的を達成するために、この発明の在来多年生草本類による緑化構造は、請求項1または2に記載の工法を用いて形成されたことを特徴としている(請求項3)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、施工対象地の自然環境が厳しくても、袋体およびこの袋体内に収容される植生基材によって在来多年生草本類の生育に良好な環境を作り上げることができ、従って、施工対象地に容易にかつ確実に在来多年生草本類の群落を造成することができる緑化工法が得られる。そして、本発明は、特に地下茎繁殖型在来多年生草本類の群落の造成に好適である。これは、本発明では、袋体内で在来多年生草本類を十分に成長させるのでその根茎の発達が強化され、施工対象地の土壌硬度が高くても、前記根茎が袋体から施工対象地へと伸長していき、やがて在来多年生草本類が施工対象地にしっかりと根づくこととなるためである。
【0012】
また、請求項2に係る発明では、抑草効果および/または侵食抑制効果を発揮するネットを用いるので、施工対象地に早期にかつ確実に在来多年生草本類の群落を造成することができる緑化工法を得ることができる。
【0013】
さらに、請求項3に係る発明では、上記請求項1または2に係る発明によって形成されるので、上述した効果を得ることができる在来多年生草本類の緑化構造が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態に係る緑化工法およびこの工法に用いられる緑化構造体1の製造方法を概略的に示す説明図、図2は緑化構造体1の構成を概略的に示す斜視図である。前記緑化構造体1は、図1の下部に示すように、在来多年生草本類であるチガヤの苗2を植生基材3と共に収容した袋体4を備えたものである。
【0015】
まず、前記チガヤ苗2を得るまでの過程について説明する。最初に、チガヤの種子を発芽させるのであるが、この実施の形態では、図1に示すように、採取したチガヤの穂aから種子を取り分けて置床し、温度及び湿度を人為的に管理して、25〜35℃の湿潤条件下で発芽させる。
【0016】
そして、チガヤの幼芽・幼根bがそれぞれ5〜30mm程度(好ましくは10mm程度)に伸長すれば、セルトレイ5に複数設けられた鉢部5aに移植して生育させる。前記鉢部5aの幅と深さは1〜6cm(好ましくは3〜5cm程度)であり、肥料、保水材等を一定割合で配合した植物生育基盤材(例えば、堆肥、ピートモス等の短繊維、バーミキュライト等を一定割合で配合した植物生育基盤材)が詰め込まれている。
【0017】
その後、チガヤの草丈が5cm以上(好ましくは15cm程度)になれば、これを前記セルトレイ5の鉢部5aから抜き取り、その地上部を数cm程度のみ残して切除し、前記チガヤ苗2を得る。
【0018】
尚、前記チガヤ苗2を得るにあたっては、切断したチガヤの根茎の1〜10節(好ましくは2〜3節)を植物生育基盤材が詰め込まれた鉢部5aの幅と深さが1〜10cm(好ましくは幅1.5〜2.5cm、深さ2.5〜3.5cm程度)のセルトレイ5に植え込んで萌芽させ、セルトレイ5で葉が展開するまで生育させてもよい。
【0019】
上記のようにして得られたチガヤ苗2は、前記植生基材3と共に袋体4内に収容され、これにより、図2に示すように、前記緑化構造体1が完成する。
【0020】
ここで、前記植生基材3は、保水性、保肥性、保温性等を有するものであり、例えば、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、赤玉土、堆肥、リサイクル材、化成肥料等を含んでいてもよい。
【0021】
一方、袋体4は、前記チガヤ苗2および植生基材3を保持し、かつチガヤ苗2の通芽(貫通)を可能とするように構成されており、例えば、レーヨン、ラクトロン、ポリエステル等によって形成されている。また、一つの袋体4にチガヤ苗2は1〜3個程度収容され、チガヤ苗2および植生基材3を収容した状態で幅が5〜10cm、長さが20cm程度となるように構成されている。ここで、上述したチガヤ苗2の通芽とは、チガヤの芽や根茎が伸長時に袋体4を貫通することを意味する。また、袋体4の裏側(地に接する側)と表側(天を仰ぐ側)とで素材を変え、裏側には容易に透水する素材を、表側には難透水性の素材を採用すれば、袋体4内部の乾燥を防ぐことができ、より好適である。
【0022】
さらに、袋体4の生地は、夏期には太陽光線からの熱を吸収しにくい白色などの明色(明度の高い色)とすれば袋体4内が乾燥することを防止でき、また、冬期には太陽光線からの熱の吸収性に優れた黒色、ダークグレー、濃紺色、こげ茶色、深緑色等の暗色(明度の低い色)とすれば、袋体4内の保温性を有する植生基材3が保温剤としての機能を発揮することとの相乗効果により、寒い時期の施工であっても袋体4内の温度が高く維持されるため在来多年生草本類が成長しやすいという効果が得られる。
【0023】
そして、この実施の形態の緑化工法は、例えば、図1に示すように、前記緑化構造体1を施工対象地6にL字形状のアンカーピン7等の適宜の固定具により固定することで行われ、これにより、在来多年生草本類によって緑化する緑化構造が施工対象地6に形成されることとなる。すなわち、前記緑化構造は、施工対象地6に緑化構造体1を設置してなるものである。なお、施工対象地6に溝を設け、この溝内に緑化構造体1を挿入(収容)して固定してもよい。
【0024】
上記の構成からなる緑化工法およびこの工法を用いて形成される在来多年生草本類による緑化構造では、前記植生基材3を適宜に選択することで、チガヤの生長を促進することができ、施工対象地6にチガヤを比較的短時間で根づかせることができる。しかも、袋体4で植生基材3をチガヤ苗2の周囲に良好な状態で保持することができるので、植生基材3の必要量は、施工対象地6に吹付緑化工法を用いてチガヤを生育させる場合に比べて少なくてすみ、且つ、袋体4内でチガヤ苗2が十分に成長するため根茎の発達が強化され、土壌硬度が20mm以上、更にはチガヤが成長し難いと言われる土壌硬度25mm以上の硬質土壌であっても、根茎が袋体から施工対象地6へと伸長していきチガヤを根づかせることができるのである。また、このことによりチガヤがその地下茎を伸ばして繁殖していく為、チガヤ苗2の初期導入本数が少なくとも早期にチガヤ群落を施工対象地6の広範囲に形成させることができる。また、上記のように、緑化構造体1を施工対象地6に固定具により設置する場合には、施工対象地6に鉢穴などを形成する必要がないので、緑化構造体1の設置を容易に行うことができる。
【0025】
また、上述のように、施工対象地6に溝を設け、この溝内に緑化構造体1を挿入(収容)して固定した場合には、袋体4が部分的に地中に埋設されることによりその保水性が高まり、袋体4内部が乾燥すること無く好適な状態に保たれる。
【0026】
図3〜図6は、この発明の第2の実施の形態を示す。まず、図3および図4は、第2の実施の形態に係る緑化工法およびこの工法に用いられる緑化構造体8の構成を概略的に示す斜視図および縦断面図である。そして、図3および図4に示すように、この実施の形態の緑化構造体8は、図1および図2に示した前記緑化構造体1と、施工対象地6に敷設された状態で抑草効果および侵食抑制効果を発揮するように網目が小さく形成されたネット9とを備えている。なお、前記緑化構造体1についての説明は上述している通りであるので、ネット9の構成について以下に説明する。
【0027】
図5は、前記ネット9の構成を概略的に示す斜視図である。そして、図4および図5に示すように、前記ネット9は、フロントネット10とバックネット11とを一体化してなる二重構造の網状体であり、その長手方向に適宜の間隔おきに設けられた筒状のポケット部12を備えている。ここで、前記両ネット10,11はそれぞれ経糸(縦糸)および緯糸(横糸)を編織してなり、両ネット10,11の一体化は、両ネット10,11を重ね合わせ、この重ね合わせ部位の編み込みまたは融着により行われ、その一部を編み込みおよび融着しないことにより前記ポケット部12が形成されている。
【0028】
また、前記ポケット部12は、緑化構造体1を収容できる大きさに構成されているとともに、緑化構造体1を収容する際の挿入口となる縦長または横長の開口12aがポケット部12に適宜の間隔で形成されている。なお、この実施の形態では、一つのポケット部12に2〜3の緑化構造物1が収容され、また、各ポケット部12に計五つの縦長の開口12aが形成されている。さらに、各ポケット部12の両端の開口は編み込みまたは融着により閉じられている。
【0029】
次に、上記緑化構造体8を用いた緑化工法について説明する。
まず、図6(A)に示すように、施工対象地6にネット9を敷設する。このネット9の敷設は、例えば、アンカーピン13(図4参照)等の適宜の固定具によりネット9を施工対象地6に固定することにより行われる。
【0030】
続いて、図6(B)に示すように、敷設されたネット9のポケット部12に緑化構造体1を収容する。以上で、この実施の形態の緑化工法が完了し、これにより、在来多年生草本類によって緑化する緑化構造が施工対象地6に形成されることとなる。すなわち、この実施の形態における前記緑化構造は、施工対象地6に緑化構造体8を設置してなるものである。
【0031】
そして、緑化構造体8を上記のように設置すると、緑化構造体1を構成する袋体4内のチガヤ苗2がその周囲にある植生基材3から養分を吸収して成長し、図6(C)に示すように、チガヤ苗2の芽および根茎が伸長してそれぞれ袋体4を貫通(通芽)し、根茎は施工対象地6の地中に進入する。また、隣り合うポケット部12,12間にはスペースSがあるが、このスペースSに一年生草本類が侵入してこのスペースSを占有することは、抑草効果を発揮するネット9によって防止される。さらに、前記スペースSが降雨等で侵食されることも、侵食抑制効果を発揮するネット9によって防止される。
【0032】
その後、図6(D)に示すように、施工対象地6の地中に伸長したチガヤ苗2の根茎は、前記スペースS内にあるネット9を貫通(通芽)し、やがてはスペースSもチガヤで被覆されることになる。なお、チガヤは1年に半径1mまで地下茎を伸ばし、また、その通芽力は一般的な植物に比べて非常に大きく、市販の殆どの防草マットの強度(耐久力)を上回ることが知られている。従って、ネット9として通常の防草マットを使用すれば、前記スペースS間に所謂雑草と呼ばれる植物(生育対象ではない植物)の種子が飛来した場合、その成長は前記ネット9によって阻まれるが、チガヤ苗2の芽はネット9を貫通可能であり、その成長が阻まれることはない。
【0033】
上記の構成からなる緑化工法およびこの工法を用いて形成される在来多年生草本類による緑化構造では、第1の実施の形態の緑化工法およびこの工法を用いて形成される在来多年生草本類による緑化構造によって得られる上述した効果に加えて、抑草効果および侵食抑制効果を発揮するネット9により袋体4の周辺が覆われた状態となっているので、チガヤによる緑化をより確実かつ早期に実現することができるという効果が得られる。
【0034】
なお、この発明は上記の実施の形態に限られず、種々に変形して実施することができる。例えば、上記いずれの実施の形態でも、袋体4にチガヤの苗2を収容しているが、苗に代えて、あるいは苗に加えて、チガヤの根茎や株、種子等を収容してもよい。また、チガヤの他に、在来多年生草本類として、ススキ、ヤハズソウ等の野草、牧草などを用いることもでき、これらの苗、株や種子等を前記袋体4内に収容してもよい。さらに、複数種の在来多年生草本類を別々に袋体4内に収容し、これらの袋体4を例えばモザイク状に配置して、緑化後の施工対象地6に複数種の在来多年生草本類がモザイク状に植生するように構成してもよい。
【0035】
また、第1の実施の形態では袋体4を、第2の実施の形態では袋体4およびネット9を、それぞれ分解性素材若しくは崩壊性素材で形成すると、チガヤ苗2の施工対象地6への活着後に袋体4およびネット9を施工対象地6から取り外す作業を省くことができるので、各実施の形態での緑化工法の実施が効率的となる。前記分解性素材若しくは崩壊性素材としては、地被植物をシート状あるいはネット状に形成してなるものや、例えば1〜10mm径のヤシ繊維の撚り紐を10×10cm当たり5〜15本になるように編織することで構成されたヤシマットあるいはヤシネット等を挙げることができる。
【0036】
さらに、各実施の形態においてチガヤ苗2を得る際に用いる前記セルトレイ5が、耐久性に富む材料で作製され(例えば合成樹脂製、金属製、木製等)、繰り返し使用することが可能となるように構成されているので、セルトレイ5で草丈が5〜15cm程度になるまで生育させたチガヤ苗2を袋体4に収容するにあたっては、セルトレイ5に形成されている各々の鉢部5aからチガヤ苗2を抜き取っているが、セルトレイ5の材質と構造によっては、セルトレイで生育させたチガヤ苗2を鉢部5aごと袋体4内に収容するようにしてもよい。
【0037】
例えば、セルトレイ5を紙等の水により脆弱化する材料や有孔の生分解性プラスチック等の腐食性材料などによって作製すると共に、図7(A)に示すように、互いに独立した多数の鉢部5aを密集状態に接着していた水溶性糊剤が育苗時の水分で接着力を失うことにより、鉢部5aを分離することができるようにしたり、図7(B)に示すように、格子状に一体成形された鉢部5aどうしの連結部に形成された局部的脆弱部5bから折り取ることにより、鉢部5aを分離することができるように構成することが挙げられる。そして、上記のようにセルトレイ5を構成することにより、鉢部5aが時間経過とともに消失し、チガヤ苗2の根茎等の伸長の障害にならないので、チガヤ苗2が草丈5〜15cm程度育成された段階で、鉢部5aごとに分離し、チガヤ苗2を鉢部5aごと袋体4内に収容することができる。この場合、鉢部5aがチガヤ苗2の根茎等の一時的な保護膜となり、袋体4への収容作業中における根茎等の乾燥、根切れ等を防止することができる。
【0038】
また、第1および第2の実施の形態において、施工対象地6に設置した袋体4(緑化構造体1)の上側に覆土を行ってもよい。
【0039】
また、施工対象地6として、上述した実施の形態では法面を挙げているが、これに限定されるわけではなく、例えば河川敷や公園などの平地が施工対象地6であっても上記各実施の形態に係る緑化工法は施工可能である。
【0040】
また、第2の実施の形態において、前記ポケット部12の両端の開口を編み込みまたは融着によって閉じる構成に代えて、施工対象地6へのアンカーピン等の打ち込みによって閉じるようにしてもよい。
【0041】
また、第2の実施の形態において、前記ネット9は、抑草効果または侵食抑制効果のいずれか一方のみを発揮するものであってもよい。
【0042】
さらに、第2の実施の形態では、ポケット部12を有するネット9を用いているが、このネット9に代えて、ポケット部12を有していない通常の防草ネット(マット)等を用いてもよい。この場合には、前記防草ネット等を施工対象地6に設置すると共に、緑化構造体1を前記防草ネット等の上側あるいは下側に設置することが考えられ、このときの緑化構造体1の設置方法は、第1の実施の形態で示した緑化工法を利用することができる。また、この場合、防草ネット等に緑化構造体1を避けるための穴を設け、緑化構造体1の周辺のみを防草ネット等で覆うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る緑化工法およびこの工法に用いられる緑化構造体の製造方法を概略的に示す説明図である。
【図2】上記実施の形態における緑化構造体の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態に係る緑化工法およびこの工法に用いられる緑化構造体の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係る緑化工法およびこの工法に用いられる緑化構造体の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図5】上記実施の形態におけるネットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】(A)〜(D)は、上記実施の形態における緑化構造体を用いた緑化工法を概略的に示す説明図である。
【図7】(A)および(B)は、上記各実施の形態におけるセルトレイの変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【図8】従来の緑化工法の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 緑化構造体
2 チガヤ苗
3 植生基材
4 袋体
6 施工対象地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
在来多年生草本類の根茎又は株又は苗を植生基材と共に収容した袋体を施工対象地に設置し、かつ前記袋体を在来多年生草本類の通芽が可能となるように構成してあることを特徴とする緑化工法。
【請求項2】
前記施工対象地における前記袋体の周辺を、抑草効果および/または侵食抑制効果のあるネットで覆う請求項1に記載の緑化工法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の工法を用いて形成されたことを特徴とする在来多年生草本類による緑化構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−246757(P2006−246757A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66182(P2005−66182)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000231431)日本植生株式会社 (88)
【Fターム(参考)】