緑化用地盤軽量化部材及び屋上緑化工法
【課題】芝等の植物を屋上緑化するに際し、植栽地盤重の軽量化及び植物の順調な生育の両立を図ることが可能な手段の提供。
【解決手段】相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴101a(1)を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材。
【解決手段】相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴101a(1)を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽地盤重の軽量化が求められる屋上緑化、特に芝等の植物(例えばマット植物)の屋上緑化のために使用される緑化用地盤軽量化部材及び植物の屋上緑化工法に関し、特に、根系育成空間を十分に確保した緑化用地盤軽量化部材(例えば地盤軽量化トレイ)及びこれを用いた屋上緑化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上緑化においては、軽量化の観点から、植栽地盤重をできるだけ少なくすること、具体的には、芝を張る場合を想定すると、40kg/m2以下にすることが望まれている。即ち、張り芝用の切り芝の湿潤状態での重量は約15kg/m2であるので、地盤重を25kg/m2以下にする必要がある。
【0003】
ここで、通常の土壌を用いて前述の地盤重以下とする場合、土壌層の厚さは約1.6cm(通常の土壌の比重が湿潤状態で1.6であることから算出)となる。しかしながら、当該厚さは薄すぎ、芝の育成地盤としては適していない。
【0004】
このように、屋上緑化に際しては、軽量化と植物育成(例えば芝育成)という両面を考慮する必要がある。その一つの解決手法として、土壌中に嵩上げ部分を設けることと、用いる土壌の比重を低くすることとが提案されている。
【0005】
まず、前者に関しては、特許文献1に、トレイ内に充填土量を減らす嵩上げ部分を有する屋上緑化施工用パネルが提案されている。しかしながら、植物の根は充填土内でのみ伸長するため、このような嵩上げ部分を設けると根の伸長可能空間が少なくなる結果、植物の生育可能量が少なくなってしまうという問題がある。具体的には、充填土量を30〜60%とすることができるため軽量化は可能であるが、残りの40〜70%は植物生育に対して無駄な空間となってしまう。
【0006】
また、後者に関しては、本発明者は、スーパーリソール(登録商標)という商品名で、湿潤比重が0.43という極めて軽量な屋上緑化用土壌を提案している。しかしながら、このような超軽量な植栽地盤を用いた場合であっても、植栽地盤重を25kg/m2以下にするには、嵩上げ部分を設ける必要がある。具体的には、重量が3kgで厚さが8cmのトレイを用いる場合、嵩上げ部分の容積割合を46%以上にする必要があり、このことは、植栽地盤内での根の生育空間が46%以上少なくなることを意味する。当該数値は芝の長期に亘る順調な生育のためには少なすぎる。
【特許文献1】特開2006−204291
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、嵩上げ部を有する緑化用地盤軽量化部材において、嵩上げをした場合であっても植物が順調に生育可能な手段を提供することを第一の目的とする。
【0008】
緑化用地盤軽量化部材は、基本的に平面上に地盤を形成することを前提としている。従来の緑化用地盤軽量化部材を用いて折板屋根のような凹凸面上に地盤を形成すると、人が歩行することにより、地盤が崩れてしまう等、強度の面で問題があった。そこで、本発明は、凹凸面上であっても人が歩行可能な程度の強度を有する地盤を形成するための手段を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、これまで無駄な空間であった嵩上げ部分の裏面に存在する空間の湿度が植物の生育に最適な100%近くに保たれ得ることに着目し、当該空間に土壌中に存在する根を誘導し当該空間内で根を生育させることを検討し、本発明(1)〜(17)を完成させたものである。
【0010】
本発明(1)は、相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材である。尚、本緑化用地盤軽量化部材は、好適には地中潅水用であるが、散水潅水用としても使用可能である。
【0011】
本発明(2)は、前記嵩上げ部の裏面には親水加工が施されている、前記発明(1)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0012】
本発明(3)は、前記溝部が、貯水部となっている、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0013】
本発明(4)は、前記溝部が、開口部を有している、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0014】
本発明(5)は、前記部材が、前記溝部より上に排水口を有しており、前記排水口から排出された水が前記嵩上げ用空間に供給されるよう構成されている、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0015】
本発明(6)は、前記嵩上げ部と溝部が交互に位置しそれらが直線状に延在している、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0016】
本発明(7)は、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部を有する、前記発明(6)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0017】
本発明(8)は、前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部を更に有する、前記発明(6)又は(7)記載の緑化用地盤軽量化部材である。
【0018】
本発明(9)は、前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部を更に有する、前記発明(6)〜(8)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0019】
本発明(10)は、マット植物用である、前記発明(1)〜(9)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0020】
本発明(11)は、屋上に土壌を略平坦に敷き均す工程と、前記土壌上に植物を搭載する工程とを含む、植物の屋上緑化工法において、屋上に土壌を敷き均す際、屋上平面の複数箇所を凸状に嵩上げした状況下、当該嵩上げ部間と当該嵩上げ部上に土壌を充填することにより、土壌深度の大きい領域と土壌深度の小さい領域を形成することとし、かつ、前記嵩上げ部が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上であることを特徴とする工法である。
【0021】
本発明(12)は、屋上に保水性部材を敷き、その上に前記嵩上げ部を配する、前記発明(11)の植物の屋上緑化工法である。
【0022】
本発明(13)は、前記嵩上げに際し、前記発明(1)〜(10)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材を用いる、前記発明(11)又は(12)の植物の屋上緑化工法である。
【0023】
本発明(14)は、前記植物がマット植物である、請求項(11)〜(13)のいずれか一つの植物の屋上緑化工法である。
【0024】
本発明(15)は、前記屋上が、凹部と凸部が交互に位置しそれらが直線状に延在している凹凸面であり、
前記嵩上げに際し、直線状に延在している複数の嵩上げ部を用い、
隣接する前記凸部に対して、当該嵩上げ部の延在方向を垂直に配する、
前記発明(11)〜(14)のいずれか一項記載の屋上緑化工法である。
【0025】
本発明(16)は、前記嵩上げに際し、前記発明(6)〜(9)のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、前記発明(15)の屋上緑化工法である。
【0026】
本発明(17)は、前記発明(1)〜(10)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材と、前記緑化用地盤軽量化部材の下に配置する保水性部材と、を含む植物の屋上緑化システムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、嵩上げをすることにより軽量な屋上緑化にも対応できる程に充填土壌の軽減を図ることが可能となることに加え、これまで無駄な空間であった嵩上げ部の裏面を根生育空間として利用するため、植物の順調な生育も達成できるという効果を奏する。また、嵩上げ部の高さが3cm以上(好適には5cm以上)であるので、余りに低すぎることによる、根による水の過剰吸収も防止でき、植物の良好な生育が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の最良形態を説明する。尚、本発明の技術的範囲は本最良形態に限定されるものではない。また、一つの例について具体的に説明した事項に関しては、そうでないとの特記がある場合を除き、他の例にもそのまま適用されるものと理解すべきである。例えば、第一の最良形態についての根系誘導穴に関する記述は、他の例にも適用される。また、以下の最良形態は、芝等のマット植物用として構成したが、本発明は、これに限定されず、ポット植物や低・中木用も包含される。更に、以下の最良形態は、地下潅水用として構成したが、本発明は、これに限定されず、散水潅水用も包含される。
【0029】
第一の最良形態
まず、図1を参照しながら、第一の最良形態に係る緑化システム(植栽地盤)の概要を説明する。はじめに、当該緑化システムは、コンクリート等の屋上やベランダの床面素材C上に配された保水性シート200と、当該保水性シート200上に搭載された地盤軽量化トレイ100(1)と、当該地盤軽量化トレイ100(1)の土壌充填用空間αに充填される土壌Sと、から構成される。以下、地盤軽量化トレイ100(1)及び保水性シート200について詳述する。
【0030】
はじめに、地盤軽量化トレイ100(1)は、少なくとも、土壌が収容される土壌充填用空間αと、当該トレイ100(1)の裏面に形成された、前記土壌の重量を軽減しつつ必要な土壌の厚さを確保する嵩上げ用空間βと、当該土壌充填用空間αで生育した根系が、当該嵩上げ用空間βへと伸張可能な根系誘導穴101a(1)と、土壌充填用空間α内部に過剰に存在する水を排水するための排水口104(1)と、を有する。尚、排水口104(1)の設置高さは、トレイ内に貯水される水量を少なくして植栽地盤を軽量化するという観点から、地盤軽量化トレイ101(1)の土壌充填空間αの最下部から0.5〜1.5cmとすることが好ましい。
【0031】
ここで、図1及び図2を参照しながら、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)の特徴部分をより詳細に説明する。尚、図2は、図1中のA−A’断面図である。当該地盤軽量化トレイ100(1)は、充填された土壌が外部にこぼれないようにするためにその外延に形成された枠体部102(1)と、当該枠体部102(1)よりも内側に複数設けられた、嵩上げ用凸部103(1)と、を有する。更に、図1から分かるように、当該地盤軽量化トレイ100(1)は、隣り合う嵩上げ用凸部103(1)との間に、嵩上げ用凸部103(1)の高さよりも低い中段部101(1)を有している。このように、枠体部102(1)、嵩上げ用凸部103(1)及び中段部101(1)の上部空間が、土壌や芝を収納可能な土壌充填用空間αに相当する。そして、これら枠体部102(1)、嵩上げ用凸部103(1)及び中段部101(1)は、好適には、プラスチック材料等で一体形成されている。以下、嵩上げ用凸部103(1)と中段部101(1)を更に詳述する。
【0032】
まず、嵩上げ用凸部103(1)は、前述した条件を充足する限り、大きさ、高さ、形状、数及び間隔等は何ら限定されず、当業者により適宜設定される。更に、嵩上げ用凸部103(1)の裏面に親水加工を施すとか使用するプラスチック材料として親水性プラスチックを用いる等して、当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面を親水性にすることが好適である。このような性質を嵩上げ用凸部103(1)の裏面に付与することにより、根系誘導穴101a(1)を介して下部から土壌充填用空間α内に侵入した根が当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面をつたって四方に伸長する結果、土壌充填用空間α内での当該根の効率的な生長が可能となる。
【0033】
次に、図1に示すように、中段部101(1)は、嵩上げ用凸部103(1)の高さより低く底部よりも高い位置で二つの嵩上げ用凸部103(1)間を水平方向から架橋する、略平坦で方形状の上部面101b(1)と、二つの嵩上げ用凸部103(1)間を鉛直方向から架橋する、当該上部面101b(1)の両端から垂下した側面101c(1)及び側面101d(1)と、から構成される。そして、これら上部面101b(1)、側面101c(1)及び側面101d(1)で囲まれた嵩上げ用凸部103(1)は、その囲まれた部分で開口している。その結果、上部面101b(1)、側面101c(1)及び側面101d(1)から形成される空間、即ち、中段部101(1)の裏側に形成された根系誘導用空間γは、二つの嵩上げ用凸部103(1)と空間導通している。
【0034】
ここで、中段部101(1)の上部面101b(1)には、複数の根系誘導穴101a(1)が形成されている。ここで、根系誘導穴101a(1)の形状及び大きさは、根系が当該穴を侵入可能であれば特に限定されず、植物の種類によって当業者により適宜設定されるが、多くの植物に対応可能とする場合には、直径1〜3mmの円形とすることが好ましい。1mm以下であれば、根系の生長後、根が細くくびれ、その地点より先の根の生育を阻害する場合があり、3mm以上とすると、土壌を流下する水が嵩上げ用空間βに漏出し貯水部に溜まる水量が少なくなったり土壌がこぼれ落ちやすくなってしまうからである。また、根系誘導穴の総面積は、地盤軽量化トレイ101の全表面積の1%以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、例えば15%以下である。その他、穴の個数には、特に限定されない。
【0035】
また、中段部101(1)の上部面101b(1)の高さは、以下の二点を考慮し、当業者により適宜設定される。まず、一点目が、上部面101b(1)の高さが排水口104(1)位置(水位面)よりも高い位置である必要があるという点である。これにより、排水口104(1)以外からの、中段部101(1)に形成された根系誘導穴101a(1)による過剰な排水を防止することができる。ここで、上部面101b(1)の高さが排水口104(1)位置よりも0.5cm以上高くすることが好適である。0.5cm以上高くすることにより、根の絡まりを通した毛細管サイフォン現象による根系誘導穴101a(1)からの排水が防止できる。二点目が、上部面101b(1)の高さ(或いは根系誘導用空間γの高さ)が、地盤軽量化トレイ101(1)の最下部から1cm以上とすることが好ましく、2cm以上とすることがより好ましい。1cm以上の高さがないと、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が嵩上げ用空間βの方に向けて効果的に伸長しないからである。
【0036】
次に、地盤軽量化トレイ100(1)における中段部101(1)の位置及び間隔に関して詳述する。まず、中段部101(1)の位置について説明すると、中段部101(1)は、前述のように、二つの嵩上げ用凸部103(1)間に存在する。ここで、図1から理解できるように、一つの嵩上げ用凸部103(1)は、2個〜5個の嵩上げ用凸部103(1)と隣接している。しかしながら、これら隣接するすべての嵩上げ用凸部103(1)との間に中段部101(1)が形成されている必要は無く、少なくとも一つの隣接する嵩上げ用凸部103(1)との間に一つの中段部101(1)が形成されていればよい。少なくとも一つの中段部101(1)が存在していれば、当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面に形成された嵩上げ用空間β内に根が入り込み、当該空間が根の生育空間として利用されるからである。しかも、図1に示すように、中段部101(1)は、嵩上げ用凸部103間の谷部の一つ置きに形成することが好適である。このように構成することにより、中段部101(1)が形成されていない嵩上げ用凸部103(1)間の谷部が存在することとなる結果、トレイ上のいずれの位置の土壌に注水しても、当該土壌に染みこんだ水は当該谷部をつたってトレイ全体に行き渡ることが可能となるからである。
【0037】
以上で地盤軽量化トレイ100(1)を説明したので、次に当該地盤軽量化トレイ100(1)とアスファルトCとの間に配される保水性シート200と充填される土壌Sを詳述する。まず、当該保水性シート200は、不織布等の布状物から構成される。このような素材の保水性シート200を配置することにより、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が、当該保水性シート200中の養水分を吸収し生育しつつ、これをつたって嵩上げ用空間β内に向かって伸長し易くなると共に、適度な湿度に保つことが可能となる。他方、当該保水性シート200を配置しないと、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が、嵩上げ用空間βに向けて伸長することなく、根系誘導用空間γ内でのみ生育する事態を招く場合もある。また、必要に応じて、保水性シート200とアスファルトCの間又は地盤軽量化トレイ100(1)と保水性シート200の間にパーライト等の保水性高い素材を薄く敷くことが好ましい。更に、溝部に穴が設けられている態様に関しては、保水シートは、当該穴を介して内部に水を供給する源として機能し得る(これについては後で詳述する)。次に、土壌Sとしては、人工軽量土壌を使用することが好適である。ここで、「人工軽量土壌」とは、当業界で認識されているものと同義であり、パーライトや軽石等を主原料とする粗粒の多孔質土壌を指す。
【0038】
次に、図3を参照しながら、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)を用いて植栽地盤を形成して芝を生育させた場合の様子を説明する。まず、図3に示すように、土壌充填用空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、伸長に伴い、根の先端は、根系誘導穴101(1)を介して根系誘導用空間γに侵入し、更なる伸長により、嵩上げ用空間β内へと侵入する。ここで、地盤軽量化トレイ100(1)の下に不織布で構成された保水性シート200を敷くと、当該保水性シートの保水により芝に水分を提供するだけでなく、根が伸長しやすい環境とすることができる。更に、嵩上げ用空間β内まで到達した根はここで更に成長し、嵩上げ用空間内でその体積を増大させる。尚、嵩上げ用空間βの表面が親水性素材で構成されている場合、根は当該素材表面をつたって嵩上げ用空間β上部に伸長する等、嵩上げ用空間β内での効率的な伸長が達成される。
【0039】
第二の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(2)は、第一の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)と基本的に同様の構成を採るが、根系誘導穴の形成態様が相違する。具体的には、第一の最良形態では、中段部101(1)が存在し、当該中段部に根系誘導穴が形成されているが、第二の最良形態では、中段部は存在せず、嵩上げ用の凸部103(2)の側面部分に根系誘導穴101(2)が直接形成されている。したがって、第一の最良形態のような根系誘導用空間γを介することなく、伸長した根は土壌充填用空間αから嵩上げ用空間βに直接侵入する。図4は、このような、伸長した根が土壌充填用空間αから嵩上げ用空間βに直接侵入する様子を示した図である。
【0040】
第三の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(3)は、第一の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)と基本的に同様の構成を採るが、根系誘導穴の形状が相違する。具体的には、図5に示すように、第三の最良形態に係る根系誘導穴101a(3)は、中段部101(3)の上部面101b(3)に形成された、丸状に開口したものの上下左右に、十字状の土壌落下防止手段101a―1(3)を有する。このような構成を採ることにより、根系誘導穴を大きくすることによる土壌の落下を有効に防止できると共に、根系が太くなると当該土壌落下防止手段101a−1が破壊されるので根系の生長にも対応できる。
【0041】
第四の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、図6に示されるように、地盤軽量化メッシュ部材100(4)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110とから構成される。このように、当該最良形態は、第一の最良形態乃至第三の最良形態と異なり、嵩上げ用凸部とトレイとが別体であることが一特徴である。更に、図7に示されるように、地盤軽量化メッシュ部材100(4)は、メッシュ状の部材により構成されていると共に、嵩上げ用凸部103(4)が多数形成されている。ここで、当該メッシュ状の部材の有する穴が、根系誘導穴103a(4)となる。溝底部を有孔にするとそこを通してトレイの水が土壌の毛細管力により上方移動するので好ましい。
【0042】
図8は、本最良形態に係る地盤形成システムを用いて、植栽地盤を形成して芝を生育させた場合の様子を示した図である。当該図に示されるように、土壌充填空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、当該伸長した根は、根系誘導穴103a(4)を通って嵩上げ空間βへと更に伸長する。その後、当該嵩上げ空間β内で根は更に生長することとなる。
【0043】
第五の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(5)は、第二の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(2)と基本的に同様の構成を採るが、嵩上げ用凸部103(5)の形状が半円柱状である点で相違する。具体的には、図9〜図11に示すように、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(5)は、複数(図では8個)の半円柱状の嵩上げ用凸部103(5)が内部に形成された、樹脂等で一体成形(射出成形)されたトレイである。ここで、図10から分かるように、半円柱状(直径約10cm、立ち上がり部1.5cm)の嵩上げ用凸部103(5)間には、深さ約6.5cmの土壌充填空間が形成されており、半円柱状の嵩上げ用凸部103(5)上には、深さ約1.5cmの土壌充填空間が形成されている。嵩上げ用凸部の上部には、根系誘導穴103a(5)が設けられており、嵩上げ用空間βに根系を誘導できるように構成されている。また、図9に示されるように、当該トレイの略中央部には、底面部よりやや高い位置(例えば13mm)に排水口104(5)が備えられている。この位置に排水口を設置することで、トレイ100(5)内の土壌に給水された際、13mm以上の水は排出される一方、13mm以下の水は、嵩上げ用凸部103(5)間に形成された溝部である貯水部108(5)内に留まることになる。更には、図9から分かるように、当該排水口104(5)は、周囲に存在する嵩上げ用凸部103(5)の裏面の嵩上げ用空間βと連絡している。そのため、当該排水口104(5)から排出された水は、周囲(図では4個)の嵩上げ用空間β内に導入されることとなる。更には、図9及び図10に示されるように、嵩上げ用空間β内に導入された水を、隣接する嵩上げ用空間βや、当該トレイ外に排出するための外部排水口109(5)が設けられている(嵩上げ用空間βとそれに隣接する嵩上げ用空間βとを連絡する、又は、嵩上げ用空間βと当該トレイ外とを連絡するように、トンネル状の穴が形成されている。)。これにより、トレイからの排水を利用して、すべての嵩上げ用空間βに水を供給できると共に、植物の生育に不要な余剰水分をトレイ外に排出することが可能となる。具体的には、図9に示すように、トレイ100(5)に水が供給された場合、余分な水分は、まず、排水口104(5)を介して隣接する4個の嵩上げ用凸部103(5)(図中、上段の左から2番目と3番目、下段の左から2番目と3番目)に供給される。そして、当該水分は、当該トレイ100(5)の下に設置された図示しない保水性シートに吸水される(ここに吸水された水が、当該嵩上げ用空間β内における根の生育の源となる)。また、当該保水シートで吸水しきれない余剰水分は、前述の外部排出口109(5)を介して、隣接する4個の嵩上げ用凸部103(5)(図中、上段の左から1番目と4番目、下段の左から1番目と4番目)に供給される。そして、当該水分も、前記同様、当該トレイ100(5)の下に設置された図示しない保水性シートに吸水される(ここに吸水された水が、当該嵩上げ用空間β内における根の生育の源となる)。更に、当該保水シートで吸水しきれない余剰水分は、前述の外部排出口109(5)を介して、外部に排出されることとなる。
【0044】
尚、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材は、嵩上げ部及び溝部を必須的に有する。そして、当該部材がトレイ状になっているかは任意である。したがって、第一の最良形態のように、嵩上げ部及び溝部が一体化したトレイであってもよいし(この場合、この「トレイ」が緑化用地盤軽量化部材に該当)、第四の最良形態のように、嵩上げ部と溝部が一体化したもの(この場合、この「一体化したもの」が緑化用地盤軽量化部材に該当)とトレイが別体であってもよい。更には、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材の使用に際しては、トレイを使用しなくともよい。更には、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材の使用に際しては、保水シートを使用してもしなくともよい。そして、保水シートを使用する場合、嵩上げ部及び溝部が一体化したトレイを使用するときには当該トレイの下に配し、また、嵩上げ部と溝部が一体化したものとトレイが別体であるものを使用するときには当該一体化したものと当該トレイとの間に配して使用する。
【0045】
更に、第一の最良形態等では、嵩上げ用凸部間に形成された溝部は、外部と液体導通不能であるため、貯水部として機能している。しかしながら、当該溝部はこれに限定されず、当該溝部は、外部と液体導通可能な開口部を有していてもよい。このような構成とすることで、部材内部に貯水しておかなくても、部材の外部に存在する水を内部に導入することが可能となる。加えて、当該態様(開口部を有する態様)に関しては、緑化用地盤軽量化部材の下に保水シートを使用することが好適である。保水シート中の水が当該開口部を介して当該部材の内部に侵入し、給水しなくとも長期に亘って水を当該部材内の土壌に供給できるからである。
【0046】
第六の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(6)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110(6)とから構成される。このように、当該最良形態は、第四の最良形態と同様に、嵩上げ用凸部(地盤軽量化部材)とトレイとが別体であってもよい。本最良形態に係る地盤形成システムにより、折板屋根の凹凸面上に地盤形成することが可能となる。更に、十分な強度を確保できるため、人が歩行可能な程度の強固な地盤を形成することが可能となる。以下、本形態について詳細に説明する。
【0047】
図12は、本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)の平面図である。図13(a)は、地盤軽量化部材100(6)のA−A断面図であり、図13(b)は、地盤軽量化部材100(6)のB−B断面図であり、図13(c)は、地盤軽量化部材100を水分保持用トレイ110(6)に搭載した際の正面図である。地盤軽量化部材100(6)は、根系誘導穴102(6)を有し、高さが3cm以上の嵩上げ部103(6)と、溝部104(6)とが交互に位置し、それらが直線状に延在している構成を有する。当該構成を有することにより、地盤軽量化部材に強度を持たせることが可能となる。ここで、図13の上面に土壌充填空間αが形成され、下面に嵩上げ空間βが形成される。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部105(6)を有することが好適である。尚、当該第一梁部105(6)は、全ての嵩上げ部の裏面に形成されていることがより好適である。このような構成を有することにより、地盤軽量化部材の強度が更に高くなる。また、本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部106(6)を更に有することが好適である。また、第二梁部106(6)も全ての嵩上げ部の間に架設されていることが好適である。このような構成を有することにより、更に、地盤軽量化部材の強度が増す。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部107(6)を更に有することが好適である。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、通水口108(6)や、潅水口109(6)を有していてもよい。ここで、通水口108(6)は、溝部で画された区画間の通水が円滑に進むようにしたものである。潅水口109(6)は、貯水部の水位が低くなった時でも潅水口にできる水面に充填した土壌が接し、充填土壌に水が毛細管力により円滑に供給されるようにしたものである。
【0048】
続いて、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)について詳細に説明する。
図14は、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)の平面図である。また、図15(a)は、水分保持用トレイ110(6)のC−C断面図であり、図15(b)は、水分保持用トレイ110(6)の正面図である。水分保持用トレイ110(6)は、底面部材111(6)と、当該底面部材の外周に形成されている枠体部112(6)と、折板屋根のように凹凸面が交互に形成されている面において、隣合う凹部の間に当該トレイを架設するための架設部113(6)と、排水口114(6)とを有する。当該構成に加えて、二枚のトレイを前記架設方向に対して垂直方向に重ね合わせるための、連結板115(6)を有していることが好適である。また、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)は、底面部に平行に延在する、複数の上梁116(6)を有することが好適である。当該上梁116(6)は、傾斜面で等高線方向に設置されるので上梁に囲まれた区画内の水は上から下の区画へ貯水しながら移行するので傾斜面でもほぼ全面に均一に貯水することができるため有効である。
【0049】
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(6)の嵩上げ部103(6)の延在方向と、水分保持用トレイ110(6)の上梁116(6)が平行になるように重ね合わせて使用する。本最良形態に係る地盤形成システムを用いて、植栽地盤を形成して芝を生育させた場合、土壌充填空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、当該伸長した根は、根系誘導穴102(6)を通って嵩上げ空間βへと更に伸長する。その後、当該嵩上げ空間β内で根は更に生長することとなる。
【0050】
第七の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(7)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110(7)とから構成され、基本的な構成は第六の最良形態と共通するが、架設部及び連結板が、水分保持用トレイでなく、地盤軽量化部材100(7)に形成されている点で異なる。ここで、図16は、地盤軽量化部材100(7)の平面図であり、図17(a)はA−A断面図であり、図17(b)はB−B断面図であり、図17(c)は側面図である。地盤軽量化部材100(7)は、第六の形態に係る地盤軽量化部材の構成に加えて、架設部121(7)及び連結板122(7)を有する。また、地盤軽量化部材100(7)は、水分保持用トレイ110(7)を地盤軽量化部材100(7)に固定するための固定部123a(7)を有する。次に、水分保持用トレイ110(7)について説明する。図18は本最良形態に係る水分保持用トレイ110(7)の平面図であり、図19(a)はA−A断面図であり、図19(b)はB−B断面図である。ここで、水分保持用トレイ110(7)は、前記地盤軽量化部材100(7)に固定するための固定部123b(7)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの概観図である。
【図2】図2は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図3】図3は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図4】図4は、第二の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図5】図5は、第三の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図6】図6は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの概観図である。
【図7】図7は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図8】図8は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図9】図9は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの上面図である。
【図10】図10は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面である(短軸方向)。
【図11】図11は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面である(長軸方向)。
【図12】図12は、第六の最良形態に係る地盤軽量化部材の平面図である。
【図13】図13は、第六の最良形態に係る地盤軽量化部材の断面図及び正面図である。
【図14】図14は、第六の最良形態に係る水分保持用トレイの平面図である。
【図15】図15は、第六の最良形態に係る水分保持用トレイの断面図及び正面図である。
【図16】図16は、第七の最良形態に係る地盤軽量化部材の平面図である。
【図17】図17は、第七の最良形態に係る地盤軽量化部材の断面図及び側面図である。
【図18】図18は、第七の最良形態に係る水分保持用トレイの平面図である。
【図19】図19は、第七の最良形態に係る水分保持用トレイの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽地盤重の軽量化が求められる屋上緑化、特に芝等の植物(例えばマット植物)の屋上緑化のために使用される緑化用地盤軽量化部材及び植物の屋上緑化工法に関し、特に、根系育成空間を十分に確保した緑化用地盤軽量化部材(例えば地盤軽量化トレイ)及びこれを用いた屋上緑化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上緑化においては、軽量化の観点から、植栽地盤重をできるだけ少なくすること、具体的には、芝を張る場合を想定すると、40kg/m2以下にすることが望まれている。即ち、張り芝用の切り芝の湿潤状態での重量は約15kg/m2であるので、地盤重を25kg/m2以下にする必要がある。
【0003】
ここで、通常の土壌を用いて前述の地盤重以下とする場合、土壌層の厚さは約1.6cm(通常の土壌の比重が湿潤状態で1.6であることから算出)となる。しかしながら、当該厚さは薄すぎ、芝の育成地盤としては適していない。
【0004】
このように、屋上緑化に際しては、軽量化と植物育成(例えば芝育成)という両面を考慮する必要がある。その一つの解決手法として、土壌中に嵩上げ部分を設けることと、用いる土壌の比重を低くすることとが提案されている。
【0005】
まず、前者に関しては、特許文献1に、トレイ内に充填土量を減らす嵩上げ部分を有する屋上緑化施工用パネルが提案されている。しかしながら、植物の根は充填土内でのみ伸長するため、このような嵩上げ部分を設けると根の伸長可能空間が少なくなる結果、植物の生育可能量が少なくなってしまうという問題がある。具体的には、充填土量を30〜60%とすることができるため軽量化は可能であるが、残りの40〜70%は植物生育に対して無駄な空間となってしまう。
【0006】
また、後者に関しては、本発明者は、スーパーリソール(登録商標)という商品名で、湿潤比重が0.43という極めて軽量な屋上緑化用土壌を提案している。しかしながら、このような超軽量な植栽地盤を用いた場合であっても、植栽地盤重を25kg/m2以下にするには、嵩上げ部分を設ける必要がある。具体的には、重量が3kgで厚さが8cmのトレイを用いる場合、嵩上げ部分の容積割合を46%以上にする必要があり、このことは、植栽地盤内での根の生育空間が46%以上少なくなることを意味する。当該数値は芝の長期に亘る順調な生育のためには少なすぎる。
【特許文献1】特開2006−204291
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、嵩上げ部を有する緑化用地盤軽量化部材において、嵩上げをした場合であっても植物が順調に生育可能な手段を提供することを第一の目的とする。
【0008】
緑化用地盤軽量化部材は、基本的に平面上に地盤を形成することを前提としている。従来の緑化用地盤軽量化部材を用いて折板屋根のような凹凸面上に地盤を形成すると、人が歩行することにより、地盤が崩れてしまう等、強度の面で問題があった。そこで、本発明は、凹凸面上であっても人が歩行可能な程度の強度を有する地盤を形成するための手段を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、これまで無駄な空間であった嵩上げ部分の裏面に存在する空間の湿度が植物の生育に最適な100%近くに保たれ得ることに着目し、当該空間に土壌中に存在する根を誘導し当該空間内で根を生育させることを検討し、本発明(1)〜(17)を完成させたものである。
【0010】
本発明(1)は、相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材である。尚、本緑化用地盤軽量化部材は、好適には地中潅水用であるが、散水潅水用としても使用可能である。
【0011】
本発明(2)は、前記嵩上げ部の裏面には親水加工が施されている、前記発明(1)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0012】
本発明(3)は、前記溝部が、貯水部となっている、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0013】
本発明(4)は、前記溝部が、開口部を有している、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0014】
本発明(5)は、前記部材が、前記溝部より上に排水口を有しており、前記排水口から排出された水が前記嵩上げ用空間に供給されるよう構成されている、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0015】
本発明(6)は、前記嵩上げ部と溝部が交互に位置しそれらが直線状に延在している、前記発明(1)又は(2)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0016】
本発明(7)は、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部を有する、前記発明(6)の緑化用地盤軽量化部材である。
【0017】
本発明(8)は、前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部を更に有する、前記発明(6)又は(7)記載の緑化用地盤軽量化部材である。
【0018】
本発明(9)は、前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部を更に有する、前記発明(6)〜(8)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0019】
本発明(10)は、マット植物用である、前記発明(1)〜(9)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材である。
【0020】
本発明(11)は、屋上に土壌を略平坦に敷き均す工程と、前記土壌上に植物を搭載する工程とを含む、植物の屋上緑化工法において、屋上に土壌を敷き均す際、屋上平面の複数箇所を凸状に嵩上げした状況下、当該嵩上げ部間と当該嵩上げ部上に土壌を充填することにより、土壌深度の大きい領域と土壌深度の小さい領域を形成することとし、かつ、前記嵩上げ部が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上であることを特徴とする工法である。
【0021】
本発明(12)は、屋上に保水性部材を敷き、その上に前記嵩上げ部を配する、前記発明(11)の植物の屋上緑化工法である。
【0022】
本発明(13)は、前記嵩上げに際し、前記発明(1)〜(10)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材を用いる、前記発明(11)又は(12)の植物の屋上緑化工法である。
【0023】
本発明(14)は、前記植物がマット植物である、請求項(11)〜(13)のいずれか一つの植物の屋上緑化工法である。
【0024】
本発明(15)は、前記屋上が、凹部と凸部が交互に位置しそれらが直線状に延在している凹凸面であり、
前記嵩上げに際し、直線状に延在している複数の嵩上げ部を用い、
隣接する前記凸部に対して、当該嵩上げ部の延在方向を垂直に配する、
前記発明(11)〜(14)のいずれか一項記載の屋上緑化工法である。
【0025】
本発明(16)は、前記嵩上げに際し、前記発明(6)〜(9)のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、前記発明(15)の屋上緑化工法である。
【0026】
本発明(17)は、前記発明(1)〜(10)のいずれか一つの緑化用地盤軽量化部材と、前記緑化用地盤軽量化部材の下に配置する保水性部材と、を含む植物の屋上緑化システムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、嵩上げをすることにより軽量な屋上緑化にも対応できる程に充填土壌の軽減を図ることが可能となることに加え、これまで無駄な空間であった嵩上げ部の裏面を根生育空間として利用するため、植物の順調な生育も達成できるという効果を奏する。また、嵩上げ部の高さが3cm以上(好適には5cm以上)であるので、余りに低すぎることによる、根による水の過剰吸収も防止でき、植物の良好な生育が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の最良形態を説明する。尚、本発明の技術的範囲は本最良形態に限定されるものではない。また、一つの例について具体的に説明した事項に関しては、そうでないとの特記がある場合を除き、他の例にもそのまま適用されるものと理解すべきである。例えば、第一の最良形態についての根系誘導穴に関する記述は、他の例にも適用される。また、以下の最良形態は、芝等のマット植物用として構成したが、本発明は、これに限定されず、ポット植物や低・中木用も包含される。更に、以下の最良形態は、地下潅水用として構成したが、本発明は、これに限定されず、散水潅水用も包含される。
【0029】
第一の最良形態
まず、図1を参照しながら、第一の最良形態に係る緑化システム(植栽地盤)の概要を説明する。はじめに、当該緑化システムは、コンクリート等の屋上やベランダの床面素材C上に配された保水性シート200と、当該保水性シート200上に搭載された地盤軽量化トレイ100(1)と、当該地盤軽量化トレイ100(1)の土壌充填用空間αに充填される土壌Sと、から構成される。以下、地盤軽量化トレイ100(1)及び保水性シート200について詳述する。
【0030】
はじめに、地盤軽量化トレイ100(1)は、少なくとも、土壌が収容される土壌充填用空間αと、当該トレイ100(1)の裏面に形成された、前記土壌の重量を軽減しつつ必要な土壌の厚さを確保する嵩上げ用空間βと、当該土壌充填用空間αで生育した根系が、当該嵩上げ用空間βへと伸張可能な根系誘導穴101a(1)と、土壌充填用空間α内部に過剰に存在する水を排水するための排水口104(1)と、を有する。尚、排水口104(1)の設置高さは、トレイ内に貯水される水量を少なくして植栽地盤を軽量化するという観点から、地盤軽量化トレイ101(1)の土壌充填空間αの最下部から0.5〜1.5cmとすることが好ましい。
【0031】
ここで、図1及び図2を参照しながら、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)の特徴部分をより詳細に説明する。尚、図2は、図1中のA−A’断面図である。当該地盤軽量化トレイ100(1)は、充填された土壌が外部にこぼれないようにするためにその外延に形成された枠体部102(1)と、当該枠体部102(1)よりも内側に複数設けられた、嵩上げ用凸部103(1)と、を有する。更に、図1から分かるように、当該地盤軽量化トレイ100(1)は、隣り合う嵩上げ用凸部103(1)との間に、嵩上げ用凸部103(1)の高さよりも低い中段部101(1)を有している。このように、枠体部102(1)、嵩上げ用凸部103(1)及び中段部101(1)の上部空間が、土壌や芝を収納可能な土壌充填用空間αに相当する。そして、これら枠体部102(1)、嵩上げ用凸部103(1)及び中段部101(1)は、好適には、プラスチック材料等で一体形成されている。以下、嵩上げ用凸部103(1)と中段部101(1)を更に詳述する。
【0032】
まず、嵩上げ用凸部103(1)は、前述した条件を充足する限り、大きさ、高さ、形状、数及び間隔等は何ら限定されず、当業者により適宜設定される。更に、嵩上げ用凸部103(1)の裏面に親水加工を施すとか使用するプラスチック材料として親水性プラスチックを用いる等して、当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面を親水性にすることが好適である。このような性質を嵩上げ用凸部103(1)の裏面に付与することにより、根系誘導穴101a(1)を介して下部から土壌充填用空間α内に侵入した根が当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面をつたって四方に伸長する結果、土壌充填用空間α内での当該根の効率的な生長が可能となる。
【0033】
次に、図1に示すように、中段部101(1)は、嵩上げ用凸部103(1)の高さより低く底部よりも高い位置で二つの嵩上げ用凸部103(1)間を水平方向から架橋する、略平坦で方形状の上部面101b(1)と、二つの嵩上げ用凸部103(1)間を鉛直方向から架橋する、当該上部面101b(1)の両端から垂下した側面101c(1)及び側面101d(1)と、から構成される。そして、これら上部面101b(1)、側面101c(1)及び側面101d(1)で囲まれた嵩上げ用凸部103(1)は、その囲まれた部分で開口している。その結果、上部面101b(1)、側面101c(1)及び側面101d(1)から形成される空間、即ち、中段部101(1)の裏側に形成された根系誘導用空間γは、二つの嵩上げ用凸部103(1)と空間導通している。
【0034】
ここで、中段部101(1)の上部面101b(1)には、複数の根系誘導穴101a(1)が形成されている。ここで、根系誘導穴101a(1)の形状及び大きさは、根系が当該穴を侵入可能であれば特に限定されず、植物の種類によって当業者により適宜設定されるが、多くの植物に対応可能とする場合には、直径1〜3mmの円形とすることが好ましい。1mm以下であれば、根系の生長後、根が細くくびれ、その地点より先の根の生育を阻害する場合があり、3mm以上とすると、土壌を流下する水が嵩上げ用空間βに漏出し貯水部に溜まる水量が少なくなったり土壌がこぼれ落ちやすくなってしまうからである。また、根系誘導穴の総面積は、地盤軽量化トレイ101の全表面積の1%以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、例えば15%以下である。その他、穴の個数には、特に限定されない。
【0035】
また、中段部101(1)の上部面101b(1)の高さは、以下の二点を考慮し、当業者により適宜設定される。まず、一点目が、上部面101b(1)の高さが排水口104(1)位置(水位面)よりも高い位置である必要があるという点である。これにより、排水口104(1)以外からの、中段部101(1)に形成された根系誘導穴101a(1)による過剰な排水を防止することができる。ここで、上部面101b(1)の高さが排水口104(1)位置よりも0.5cm以上高くすることが好適である。0.5cm以上高くすることにより、根の絡まりを通した毛細管サイフォン現象による根系誘導穴101a(1)からの排水が防止できる。二点目が、上部面101b(1)の高さ(或いは根系誘導用空間γの高さ)が、地盤軽量化トレイ101(1)の最下部から1cm以上とすることが好ましく、2cm以上とすることがより好ましい。1cm以上の高さがないと、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が嵩上げ用空間βの方に向けて効果的に伸長しないからである。
【0036】
次に、地盤軽量化トレイ100(1)における中段部101(1)の位置及び間隔に関して詳述する。まず、中段部101(1)の位置について説明すると、中段部101(1)は、前述のように、二つの嵩上げ用凸部103(1)間に存在する。ここで、図1から理解できるように、一つの嵩上げ用凸部103(1)は、2個〜5個の嵩上げ用凸部103(1)と隣接している。しかしながら、これら隣接するすべての嵩上げ用凸部103(1)との間に中段部101(1)が形成されている必要は無く、少なくとも一つの隣接する嵩上げ用凸部103(1)との間に一つの中段部101(1)が形成されていればよい。少なくとも一つの中段部101(1)が存在していれば、当該嵩上げ用凸部103(1)の裏面に形成された嵩上げ用空間β内に根が入り込み、当該空間が根の生育空間として利用されるからである。しかも、図1に示すように、中段部101(1)は、嵩上げ用凸部103間の谷部の一つ置きに形成することが好適である。このように構成することにより、中段部101(1)が形成されていない嵩上げ用凸部103(1)間の谷部が存在することとなる結果、トレイ上のいずれの位置の土壌に注水しても、当該土壌に染みこんだ水は当該谷部をつたってトレイ全体に行き渡ることが可能となるからである。
【0037】
以上で地盤軽量化トレイ100(1)を説明したので、次に当該地盤軽量化トレイ100(1)とアスファルトCとの間に配される保水性シート200と充填される土壌Sを詳述する。まず、当該保水性シート200は、不織布等の布状物から構成される。このような素材の保水性シート200を配置することにより、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が、当該保水性シート200中の養水分を吸収し生育しつつ、これをつたって嵩上げ用空間β内に向かって伸長し易くなると共に、適度な湿度に保つことが可能となる。他方、当該保水性シート200を配置しないと、根系誘導穴101a(1)から根系誘導用空間γに侵入した根が、嵩上げ用空間βに向けて伸長することなく、根系誘導用空間γ内でのみ生育する事態を招く場合もある。また、必要に応じて、保水性シート200とアスファルトCの間又は地盤軽量化トレイ100(1)と保水性シート200の間にパーライト等の保水性高い素材を薄く敷くことが好ましい。更に、溝部に穴が設けられている態様に関しては、保水シートは、当該穴を介して内部に水を供給する源として機能し得る(これについては後で詳述する)。次に、土壌Sとしては、人工軽量土壌を使用することが好適である。ここで、「人工軽量土壌」とは、当業界で認識されているものと同義であり、パーライトや軽石等を主原料とする粗粒の多孔質土壌を指す。
【0038】
次に、図3を参照しながら、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)を用いて植栽地盤を形成して芝を生育させた場合の様子を説明する。まず、図3に示すように、土壌充填用空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、伸長に伴い、根の先端は、根系誘導穴101(1)を介して根系誘導用空間γに侵入し、更なる伸長により、嵩上げ用空間β内へと侵入する。ここで、地盤軽量化トレイ100(1)の下に不織布で構成された保水性シート200を敷くと、当該保水性シートの保水により芝に水分を提供するだけでなく、根が伸長しやすい環境とすることができる。更に、嵩上げ用空間β内まで到達した根はここで更に成長し、嵩上げ用空間内でその体積を増大させる。尚、嵩上げ用空間βの表面が親水性素材で構成されている場合、根は当該素材表面をつたって嵩上げ用空間β上部に伸長する等、嵩上げ用空間β内での効率的な伸長が達成される。
【0039】
第二の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(2)は、第一の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)と基本的に同様の構成を採るが、根系誘導穴の形成態様が相違する。具体的には、第一の最良形態では、中段部101(1)が存在し、当該中段部に根系誘導穴が形成されているが、第二の最良形態では、中段部は存在せず、嵩上げ用の凸部103(2)の側面部分に根系誘導穴101(2)が直接形成されている。したがって、第一の最良形態のような根系誘導用空間γを介することなく、伸長した根は土壌充填用空間αから嵩上げ用空間βに直接侵入する。図4は、このような、伸長した根が土壌充填用空間αから嵩上げ用空間βに直接侵入する様子を示した図である。
【0040】
第三の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(3)は、第一の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(1)と基本的に同様の構成を採るが、根系誘導穴の形状が相違する。具体的には、図5に示すように、第三の最良形態に係る根系誘導穴101a(3)は、中段部101(3)の上部面101b(3)に形成された、丸状に開口したものの上下左右に、十字状の土壌落下防止手段101a―1(3)を有する。このような構成を採ることにより、根系誘導穴を大きくすることによる土壌の落下を有効に防止できると共に、根系が太くなると当該土壌落下防止手段101a−1が破壊されるので根系の生長にも対応できる。
【0041】
第四の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、図6に示されるように、地盤軽量化メッシュ部材100(4)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110とから構成される。このように、当該最良形態は、第一の最良形態乃至第三の最良形態と異なり、嵩上げ用凸部とトレイとが別体であることが一特徴である。更に、図7に示されるように、地盤軽量化メッシュ部材100(4)は、メッシュ状の部材により構成されていると共に、嵩上げ用凸部103(4)が多数形成されている。ここで、当該メッシュ状の部材の有する穴が、根系誘導穴103a(4)となる。溝底部を有孔にするとそこを通してトレイの水が土壌の毛細管力により上方移動するので好ましい。
【0042】
図8は、本最良形態に係る地盤形成システムを用いて、植栽地盤を形成して芝を生育させた場合の様子を示した図である。当該図に示されるように、土壌充填空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、当該伸長した根は、根系誘導穴103a(4)を通って嵩上げ空間βへと更に伸長する。その後、当該嵩上げ空間β内で根は更に生長することとなる。
【0043】
第五の最良形態
本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(5)は、第二の最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(2)と基本的に同様の構成を採るが、嵩上げ用凸部103(5)の形状が半円柱状である点で相違する。具体的には、図9〜図11に示すように、本最良形態に係る地盤軽量化トレイ100(5)は、複数(図では8個)の半円柱状の嵩上げ用凸部103(5)が内部に形成された、樹脂等で一体成形(射出成形)されたトレイである。ここで、図10から分かるように、半円柱状(直径約10cm、立ち上がり部1.5cm)の嵩上げ用凸部103(5)間には、深さ約6.5cmの土壌充填空間が形成されており、半円柱状の嵩上げ用凸部103(5)上には、深さ約1.5cmの土壌充填空間が形成されている。嵩上げ用凸部の上部には、根系誘導穴103a(5)が設けられており、嵩上げ用空間βに根系を誘導できるように構成されている。また、図9に示されるように、当該トレイの略中央部には、底面部よりやや高い位置(例えば13mm)に排水口104(5)が備えられている。この位置に排水口を設置することで、トレイ100(5)内の土壌に給水された際、13mm以上の水は排出される一方、13mm以下の水は、嵩上げ用凸部103(5)間に形成された溝部である貯水部108(5)内に留まることになる。更には、図9から分かるように、当該排水口104(5)は、周囲に存在する嵩上げ用凸部103(5)の裏面の嵩上げ用空間βと連絡している。そのため、当該排水口104(5)から排出された水は、周囲(図では4個)の嵩上げ用空間β内に導入されることとなる。更には、図9及び図10に示されるように、嵩上げ用空間β内に導入された水を、隣接する嵩上げ用空間βや、当該トレイ外に排出するための外部排水口109(5)が設けられている(嵩上げ用空間βとそれに隣接する嵩上げ用空間βとを連絡する、又は、嵩上げ用空間βと当該トレイ外とを連絡するように、トンネル状の穴が形成されている。)。これにより、トレイからの排水を利用して、すべての嵩上げ用空間βに水を供給できると共に、植物の生育に不要な余剰水分をトレイ外に排出することが可能となる。具体的には、図9に示すように、トレイ100(5)に水が供給された場合、余分な水分は、まず、排水口104(5)を介して隣接する4個の嵩上げ用凸部103(5)(図中、上段の左から2番目と3番目、下段の左から2番目と3番目)に供給される。そして、当該水分は、当該トレイ100(5)の下に設置された図示しない保水性シートに吸水される(ここに吸水された水が、当該嵩上げ用空間β内における根の生育の源となる)。また、当該保水シートで吸水しきれない余剰水分は、前述の外部排出口109(5)を介して、隣接する4個の嵩上げ用凸部103(5)(図中、上段の左から1番目と4番目、下段の左から1番目と4番目)に供給される。そして、当該水分も、前記同様、当該トレイ100(5)の下に設置された図示しない保水性シートに吸水される(ここに吸水された水が、当該嵩上げ用空間β内における根の生育の源となる)。更に、当該保水シートで吸水しきれない余剰水分は、前述の外部排出口109(5)を介して、外部に排出されることとなる。
【0044】
尚、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材は、嵩上げ部及び溝部を必須的に有する。そして、当該部材がトレイ状になっているかは任意である。したがって、第一の最良形態のように、嵩上げ部及び溝部が一体化したトレイであってもよいし(この場合、この「トレイ」が緑化用地盤軽量化部材に該当)、第四の最良形態のように、嵩上げ部と溝部が一体化したもの(この場合、この「一体化したもの」が緑化用地盤軽量化部材に該当)とトレイが別体であってもよい。更には、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材の使用に際しては、トレイを使用しなくともよい。更には、本発明に係る緑化用地盤軽量化部材の使用に際しては、保水シートを使用してもしなくともよい。そして、保水シートを使用する場合、嵩上げ部及び溝部が一体化したトレイを使用するときには当該トレイの下に配し、また、嵩上げ部と溝部が一体化したものとトレイが別体であるものを使用するときには当該一体化したものと当該トレイとの間に配して使用する。
【0045】
更に、第一の最良形態等では、嵩上げ用凸部間に形成された溝部は、外部と液体導通不能であるため、貯水部として機能している。しかしながら、当該溝部はこれに限定されず、当該溝部は、外部と液体導通可能な開口部を有していてもよい。このような構成とすることで、部材内部に貯水しておかなくても、部材の外部に存在する水を内部に導入することが可能となる。加えて、当該態様(開口部を有する態様)に関しては、緑化用地盤軽量化部材の下に保水シートを使用することが好適である。保水シート中の水が当該開口部を介して当該部材の内部に侵入し、給水しなくとも長期に亘って水を当該部材内の土壌に供給できるからである。
【0046】
第六の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(6)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110(6)とから構成される。このように、当該最良形態は、第四の最良形態と同様に、嵩上げ用凸部(地盤軽量化部材)とトレイとが別体であってもよい。本最良形態に係る地盤形成システムにより、折板屋根の凹凸面上に地盤形成することが可能となる。更に、十分な強度を確保できるため、人が歩行可能な程度の強固な地盤を形成することが可能となる。以下、本形態について詳細に説明する。
【0047】
図12は、本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)の平面図である。図13(a)は、地盤軽量化部材100(6)のA−A断面図であり、図13(b)は、地盤軽量化部材100(6)のB−B断面図であり、図13(c)は、地盤軽量化部材100を水分保持用トレイ110(6)に搭載した際の正面図である。地盤軽量化部材100(6)は、根系誘導穴102(6)を有し、高さが3cm以上の嵩上げ部103(6)と、溝部104(6)とが交互に位置し、それらが直線状に延在している構成を有する。当該構成を有することにより、地盤軽量化部材に強度を持たせることが可能となる。ここで、図13の上面に土壌充填空間αが形成され、下面に嵩上げ空間βが形成される。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部105(6)を有することが好適である。尚、当該第一梁部105(6)は、全ての嵩上げ部の裏面に形成されていることがより好適である。このような構成を有することにより、地盤軽量化部材の強度が更に高くなる。また、本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部106(6)を更に有することが好適である。また、第二梁部106(6)も全ての嵩上げ部の間に架設されていることが好適である。このような構成を有することにより、更に、地盤軽量化部材の強度が増す。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部107(6)を更に有することが好適である。本最良形態に係る地盤軽量化部材100(6)は、通水口108(6)や、潅水口109(6)を有していてもよい。ここで、通水口108(6)は、溝部で画された区画間の通水が円滑に進むようにしたものである。潅水口109(6)は、貯水部の水位が低くなった時でも潅水口にできる水面に充填した土壌が接し、充填土壌に水が毛細管力により円滑に供給されるようにしたものである。
【0048】
続いて、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)について詳細に説明する。
図14は、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)の平面図である。また、図15(a)は、水分保持用トレイ110(6)のC−C断面図であり、図15(b)は、水分保持用トレイ110(6)の正面図である。水分保持用トレイ110(6)は、底面部材111(6)と、当該底面部材の外周に形成されている枠体部112(6)と、折板屋根のように凹凸面が交互に形成されている面において、隣合う凹部の間に当該トレイを架設するための架設部113(6)と、排水口114(6)とを有する。当該構成に加えて、二枚のトレイを前記架設方向に対して垂直方向に重ね合わせるための、連結板115(6)を有していることが好適である。また、本最良形態に係る水分保持用トレイ110(6)は、底面部に平行に延在する、複数の上梁116(6)を有することが好適である。当該上梁116(6)は、傾斜面で等高線方向に設置されるので上梁に囲まれた区画内の水は上から下の区画へ貯水しながら移行するので傾斜面でもほぼ全面に均一に貯水することができるため有効である。
【0049】
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(6)の嵩上げ部103(6)の延在方向と、水分保持用トレイ110(6)の上梁116(6)が平行になるように重ね合わせて使用する。本最良形態に係る地盤形成システムを用いて、植栽地盤を形成して芝を生育させた場合、土壌充填空間αに充填された土壌で芝が生育すると根が伸長する。そして、当該伸長した根は、根系誘導穴102(6)を通って嵩上げ空間βへと更に伸長する。その後、当該嵩上げ空間β内で根は更に生長することとなる。
【0050】
第七の最良形態
本最良形態に係る地盤形成システムは、地盤軽量化部材100(7)と、当該部材を収納するための水分保持用トレイ110(7)とから構成され、基本的な構成は第六の最良形態と共通するが、架設部及び連結板が、水分保持用トレイでなく、地盤軽量化部材100(7)に形成されている点で異なる。ここで、図16は、地盤軽量化部材100(7)の平面図であり、図17(a)はA−A断面図であり、図17(b)はB−B断面図であり、図17(c)は側面図である。地盤軽量化部材100(7)は、第六の形態に係る地盤軽量化部材の構成に加えて、架設部121(7)及び連結板122(7)を有する。また、地盤軽量化部材100(7)は、水分保持用トレイ110(7)を地盤軽量化部材100(7)に固定するための固定部123a(7)を有する。次に、水分保持用トレイ110(7)について説明する。図18は本最良形態に係る水分保持用トレイ110(7)の平面図であり、図19(a)はA−A断面図であり、図19(b)はB−B断面図である。ここで、水分保持用トレイ110(7)は、前記地盤軽量化部材100(7)に固定するための固定部123b(7)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの概観図である。
【図2】図2は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図3】図3は、第一の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図4】図4は、第二の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図5】図5は、第三の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図6】図6は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの概観図である。
【図7】図7は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である。
【図8】図8は、第四の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面図である(使用時)。
【図9】図9は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの上面図である。
【図10】図10は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面である(短軸方向)。
【図11】図11は、第五の最良形態に係る植物用地盤軽量化トレイの断面である(長軸方向)。
【図12】図12は、第六の最良形態に係る地盤軽量化部材の平面図である。
【図13】図13は、第六の最良形態に係る地盤軽量化部材の断面図及び正面図である。
【図14】図14は、第六の最良形態に係る水分保持用トレイの平面図である。
【図15】図15は、第六の最良形態に係る水分保持用トレイの断面図及び正面図である。
【図16】図16は、第七の最良形態に係る地盤軽量化部材の平面図である。
【図17】図17は、第七の最良形態に係る地盤軽量化部材の断面図及び側面図である。
【図18】図18は、第七の最良形態に係る水分保持用トレイの平面図である。
【図19】図19は、第七の最良形態に係る水分保持用トレイの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材。
【請求項2】
前記嵩上げ部の裏面には親水加工が施されている、請求項1記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項3】
前記溝部が、貯水部となっている、請求項1又は2記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項4】
前記溝部が、開口部を有している、請求項1又は2記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項5】
前記部材が、前記溝部より上に排水口を有しており、前記排水口から排出された水が前記嵩上げ用空間に供給されるよう構成されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項6】
前記嵩上げ部と溝部が交互に位置しそれらが直線状に延在している、請求項1又は2の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項7】
前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部を有する、請求項6記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項8】
前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部を更に有する、請求項6又は7記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項9】
前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部を更に有する、請求項6〜8のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項10】
マット植物用である、請求項1〜9のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項11】
屋上に土壌を略平坦に敷き均す工程と、前記土壌上に植物を搭載する工程とを含む、植物の屋上緑化工法において、屋上に土壌を敷き均す際、屋上平面の複数箇所を凸状に嵩上げした状況下、当該嵩上げ部間と当該嵩上げ部上に土壌を充填することにより、土壌深度の大きい領域と土壌深度の小さい領域を形成することとし、かつ、前記嵩上げ部が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上であることを特徴とする工法。
【請求項12】
屋上に保水性部材を敷き、その上に前記嵩上げ部を配する、請求項11記載の植物の屋上緑化工法。
【請求項13】
前記嵩上げに際し、請求項1〜10のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、請求項11又は12記載の植物の屋上緑化工法。
【請求項14】
前記植物がマット植物である、請求項11〜13のいずれか一項記載の屋上緑化工法。
【請求項15】
前記屋上が、凹部と凸部が交互に位置しそれらが直線状に延在している凹凸面であり、
前記嵩上げに際し、直線状に延在している複数の嵩上げ部を用い、
隣接する前記凸部に対して、当該嵩上げ部の延在方向を垂直に配する、
請求項11〜14のいずれか一項記載の屋上緑化工法。
【請求項16】
前記嵩上げに際し、請求項6〜9のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、請求項15記載の屋上緑化工法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材と、前記緑化用地盤軽量化部材の下に配置する保水性部材と、を含む植物の屋上緑化システム。
【請求項1】
相互に離隔した複数の嵩上げ部と当該嵩上げ部の根元周囲に存在する溝部とが一体形成された緑化用地盤軽量化部材であって、前記部材が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上である、緑化用地盤軽量化部材。
【請求項2】
前記嵩上げ部の裏面には親水加工が施されている、請求項1記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項3】
前記溝部が、貯水部となっている、請求項1又は2記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項4】
前記溝部が、開口部を有している、請求項1又は2記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項5】
前記部材が、前記溝部より上に排水口を有しており、前記排水口から排出された水が前記嵩上げ用空間に供給されるよう構成されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項6】
前記嵩上げ部と溝部が交互に位置しそれらが直線状に延在している、請求項1又は2の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項7】
前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の裏面に架設されている第一梁部を有する、請求項6記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項8】
前記部材の表面に形成されている空間に位置し、前記嵩上げ部の延在方向と垂直に形成され、前記嵩上げ部の間に架設されている第二梁部を更に有する、請求項6又は7記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項9】
前記嵩上げ部の裏面に形成された空間に位置し、嵩上げ部の延在方向と平行に形成されている第三梁部を更に有する、請求項6〜8のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項10】
マット植物用である、請求項1〜9のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材。
【請求項11】
屋上に土壌を略平坦に敷き均す工程と、前記土壌上に植物を搭載する工程とを含む、植物の屋上緑化工法において、屋上に土壌を敷き均す際、屋上平面の複数箇所を凸状に嵩上げした状況下、当該嵩上げ部間と当該嵩上げ部上に土壌を充填することにより、土壌深度の大きい領域と土壌深度の小さい領域を形成することとし、かつ、前記嵩上げ部が、前記部材の表側に位置する土壌充填用空間から前記嵩上げ部の裏面に位置する嵩上げ用空間へと根系を導くための根系誘導穴を有し、前記嵩上げ部の高さが3cm以上であることを特徴とする工法。
【請求項12】
屋上に保水性部材を敷き、その上に前記嵩上げ部を配する、請求項11記載の植物の屋上緑化工法。
【請求項13】
前記嵩上げに際し、請求項1〜10のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、請求項11又は12記載の植物の屋上緑化工法。
【請求項14】
前記植物がマット植物である、請求項11〜13のいずれか一項記載の屋上緑化工法。
【請求項15】
前記屋上が、凹部と凸部が交互に位置しそれらが直線状に延在している凹凸面であり、
前記嵩上げに際し、直線状に延在している複数の嵩上げ部を用い、
隣接する前記凸部に対して、当該嵩上げ部の延在方向を垂直に配する、
請求項11〜14のいずれか一項記載の屋上緑化工法。
【請求項16】
前記嵩上げに際し、請求項6〜9のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材を用いる、請求項15記載の屋上緑化工法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか一項記載の緑化用地盤軽量化部材と、前記緑化用地盤軽量化部材の下に配置する保水性部材と、を含む植物の屋上緑化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−136278(P2009−136278A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285723(P2008−285723)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(390039907)株式会社クレアテラ (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(390039907)株式会社クレアテラ (16)
【Fターム(参考)】
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