緑化装置
【課題】建物における緑化対象範囲をつる性植物で覆う緑化装置において、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易にし、かつ、建物の緑化対象範囲を十分に覆えるようにする。
【解決手段】
培地34につる性植物PLが植えられた複数のポット23が収容される収容室20を区画するとともに、つる性植物が通り抜ける開口31を備え、建物Hに設置される栽培槽1を備え、開口から栽培槽外へと繁茂したつる性植物によって、建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、栽培槽は、収容室の高さが前記ポットの高さの2倍以上の高さに定められ、収容室において、下側ポット23Dを互いに隣り合う状態に並べ、隣り合う下側ポット同士の上に上側ポット23Uを配置した。
【解決手段】
培地34につる性植物PLが植えられた複数のポット23が収容される収容室20を区画するとともに、つる性植物が通り抜ける開口31を備え、建物Hに設置される栽培槽1を備え、開口から栽培槽外へと繁茂したつる性植物によって、建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、栽培槽は、収容室の高さが前記ポットの高さの2倍以上の高さに定められ、収容室において、下側ポット23Dを互いに隣り合う状態に並べ、隣り合う下側ポット同士の上に上側ポット23Uを配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における緑化対象範囲をつる性植物で覆う緑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生育に必要な栄養を含んだ培養水によって植物を水耕栽培し、建物における緑化対象範囲をつる性植物で覆う緑化装置が知られている。この栽培装置では、例えば栽培槽内に敷き詰められた培地につる性植物が植え込まれ、この培地に対して培養水が供給される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した栽培装置では、栽培槽内に敷き詰められた培地につる性植物を植えているため、植え込みに手間が掛かるという問題があった。また、枯れてしまったつる性植物の植え替えが困難であるという問題もあった。
【0005】
これらの問題を解決すべく、培地を入れたポットにつる性植物を植え込み、このポットを栽培槽内に収容することが考えられる。しかし、つる性植物の根を張らせる必要があることから、ポットを小さくすることには限界があり、ポットにはある程度の大きさが必要となる。このため、単にポットを並べて収容しただけでは、単位面積当たりのつる性植物の数が不足し、建物の緑化対象範囲を十分に覆えない虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易にし、かつ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、培地が収容され、前記培地につる性植物が植えられた複数のポットと、前記複数のポットが収容される収容室を区画するとともに、前記つる性植物が通り抜ける開口を備え、建物に設置される栽培槽と、を有し、前記開口から前記栽培槽の外へと繁茂した前記つる性植物によって、前記建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、前記収容室において、前記複数のポットは横並びであって多段に配置され、かつ、下段の隣り合うポットに跨るように上段の各ポットが配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、培地が収容されたポットにつる性植物が植えられているので、栽培槽の収容室にポットを収容するだけで、つる性植物の植え込みができる。また、つる性植物が枯れてしまった場合、そのつる性植物のポットを収容室から取り出した後、新しいつる性植物のポットを収容室に収容することで、つる性植物の植え替えができる。このように、本発明では、つる性植物の植え込みや植え替え作業を容易にすることができる。さらに、隣り合う下段のポットに跨る状態で、上段のポットが配置されるので、下段のポットと上段のポットとが上下方向に対して千鳥状に位置付けられる。このため、限られた大きさの収容室内であっても、植え込むつる性植物の数を増やすことができ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことが可能になる。
【0009】
前述の緑化装置において、前記栽培槽が、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成され、一対の長手側板の上部に前記開口が設けられた栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とが備えられ、前記複数のポットを、一方の長手側板に沿って列状に並べて第1ポット群とするとともに、他方の長手側板に沿って列状に並べて第2ポット群とすることが好ましい。この構成では、第1ポット群のつる性植物を、一方の長手側板の開口から栽培槽の外へ繁茂させることができ、第2ポット群のつる性植物を、他方の長手側板の開口から栽培槽の外へ繁茂させることができる。すなわち、つる性植物を2方向へ向けて繁茂させることができる。その結果、建物の緑化対象範囲を少ない数の栽培槽によって効率よく覆うことができる。
【0010】
前述の緑化装置において、上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの一方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第1排水部を設けるともに、上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの他方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第2排水部を設けることが好ましい。この構成では、上段のポットを流下した水が、隣り合う下段のポットの一方と他方とに振り分けられるので、下段の各ポットに対する給水の確実性を高めることができる。
【0011】
前述の緑化装置において、前記収容室内における前記隣り合うポット同士と前記他のポットの間の高さ位置に配置され、隣り合う一方のポットに臨む位置と他方のポットに臨む位置のそれぞれに上面側の水を流下させる流水孔が開設された仕切り板を備えた場合には、仕切り板によって、上側に配置される他のポットを安定させることができる。また、流水孔によって、下側の各ポットに対する給水の確実性を高めることができる。
【0012】
前述の緑化装置において、前記栽培槽を、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成された栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備える構成とし、前記栽培槽本体には、一対の短手側板の上縁から下側に向けて灌水管を保持するための保持溝が形成されていることが好ましい。この構成では、収容室内へのポットの収容時や収容室からのポットの取り外し時において、灌水管を容易に着脱できる。これにより、灌水管が邪魔になり難く、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易に行え、かつ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】緑化装置の設置状態を説明する図である。
【図2】栽培槽及び収容状態のポットをその長手方向に切断して示す断面図である。
【図3】栽培槽及び収容状態のポットをその短手方向に切断して示す断面図である。
【図4】栽培槽の長手側板に形成された開口及びこの開口から伸びるつる性植物を説明する図である。
【図5】栽培槽本体に収納された複数のポットを説明する平面図である。
【図6】変形例のポットを説明する図である。
【図7】変形例のポットにおける水の流れを説明する図である。
【図8】第2実施形態の栽培槽を説明する断面図である。
【図9】(a)は仕切り板と複数のポットの関係を説明する平面図である。(b)は(a)におけるB矢視図である。
【図10】第2実施形態における水の流れを説明する図である。
【図11】(a)及び(b)は、灌水管の取り外しを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。まず、緑化装置の全体構成について説明する。
【0016】
図1に例示した緑化装置は、家屋等の建物Hにおいて屋根表面を緑化する屋根緑化装置である。この屋根緑化装置は、例えば、栽培槽1と、培養水循環ユニット2と、金属網3とを備えている。
【0017】
図1に示す建物Hは切妻造りをしている。このため、建物Hの屋根4は、頂部である大棟部5を境に、両側に向けて下り傾斜した状態で設けられる。この屋根4には波板が用いられており、凹凸状の筋が大棟部5から軒部6に向かうように波板が葺かれている。
【0018】
栽培槽1は、つる性植物PLを水耕栽培するためのものであり、屋根4の大棟部5に設置されている。この栽培槽1で栽培されるつる性植物PLとしては、多年生のものが用いられる。耐寒性及び耐暑性に優れ、また垂下性を有するという観点からウコギ科のつる性植物PLが好適に用いられる。ウコギ科のつる性植物PLとしては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0019】
栽培槽1は、直方体状の外観形状をしており、内部に空洞を有する箱体によって構成されている。例えば図2に示すように、栽培槽1は、ポリ塩化ビニル等の遮光性を有する樹脂性材料によって作製され、上面が開放された栽培槽本体21と栽培槽本体21の上面開口を上方から覆う蓋体22とを有している。これらの栽培槽本体21と蓋体22とにより、つる性植物PLの根元部分が植えられた複数のポット23を横並びにかつ多段に収容する収容室20が、栽培槽1の内部に区画される。なお、栽培槽1については、後で詳しく説明する。
【0020】
培養水循環ユニット2は、栽培槽1との間で培養水を循環させるための部分である。培養水とは、つる性植物PLの生育に必要な栄養素が添加された水である。図1に示すように、培養水循環ユニット2は、培養水タンク11と、給水ポンプ12と、培養水生成部13とを有している。
【0021】
培養水タンク11は、培養水を貯留する部分であり、藻の発生を抑制するため遮光性の樹脂製容器が用いられている。この培養水タンク11には供給管14の下端部分及び回収管15の下端部分が挿入されている。供給管14は、培養水循環ユニット2から送出される培養水を栽培槽1へと導くためのパイプ材であり、栽培槽1と同様に遮光性を有する樹脂性材料によって作製される。回収管15は、栽培槽1から排出された培養水を培養水循環ユニット2へと導くためのパイプ材であり、やはり遮光性を有する樹脂性材料によって作製される。なお、供給管14の下端開口は培養水タンク11の底面付近に位置し、回収管15の下端開口は培養水タンク11の上部に位置している。
【0022】
給水ポンプ12は、供給管14の途中に設けられており、培養水タンク11に貯められた培養水を栽培槽1へ向けて送出する。送出された培養水は、栽培槽1の内部でポット23に灌水される。そして、ポット23から流出した培養水やポット23に灌水されずに流下した培養水が回収管15を通じて培養水タンク11に回収される。
【0023】
培養水生成部13は、つる性植物PLの生育に必要な栄養素が濃縮された濃縮液を水道水で希釈することにより、培養水を生成する。この培養水生成部13は濃縮液タンク16と混合器(図示せず)とを有する。濃縮液タンク16は濃縮液を貯留する。混合器は水道水と濃縮液とを適当な割合で混ぜて培養水を生成する。混合器で生成された培養水は、培養水タンク11に送られる。なお、混合器は、培養水タンク11に貯留された培養水の量が規定量未満の場合に動作し、規定量に達するまで培養水を補充する。
【0024】
次に、金属網3について説明する。この金属網3は、栽培槽1から伸長したつる性植物PLを支持するための支持部材であり、屋根4の表面から多少浮かせた状態で取り付けられている。本実施形態における金属網3は、長期間に亘って外気にさらされても腐食され難いように、ステンレス製の網が使用されている。この金属網3の網目は、つる性植物PLが絡んで固定され易いような大きさに設けられている。また、網目の形状は、亀甲形や菱形等、種々の形状が採られる。
【0025】
次に、栽培槽1について詳細に説明する。
【0026】
図2に示す栽培槽1は、前述したように直方体の箱状をしており、栽培槽本体21と蓋体22とを有している。図2〜図4に示すように、栽培槽本体21は、長方形状の底板24と底板24の各辺から上方に設けられた側板25,26とを有しており、底板24と側板25,26との間、及び、隣り合う側板25,26同士の間は、液密な状態で接合されている。便宜上、以下の説明では、底板24の各長辺から立ち上がっている一対の側板のことを長手側板25といい、底板24の各短辺から立ち上がっている一対の側板のことを短手側板26という。蓋体22は、長方形状の天板27とこの天板27の各辺から下方に設けられた側縁部28とを有し、下面が開放された底の浅い箱状をしている。蓋体22における内周面の大きさは、栽培槽本体21の外周面とほぼ同じであり、蓋体22を栽培槽本体21の上部に被せた際に丁度嵌るように構成されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、栽培槽本体21における長手側板25の上縁部には複数の切り欠き29が設けられている。この切り欠き29は、栽培槽1の長手方向に所定間隔で設けられている。同様に、蓋体22の側縁部28にも切り欠き30が設けられている。これらの切り欠き29,30は、栽培槽1に収容されたつる性植物PLが通り抜けるための開口31を、栽培槽1の長手側板25における上部に形成する。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、栽培槽1内の上部には灌水管32が栽培槽1の長手方向に沿って配置されている。この灌水管32は、栽培槽1内に収容された各ポット23に灌水するためのものであり、一端が短手側板26から外側に突出されている。そして、灌水管32の突出部分には、供給管14の上端部が接続されている。また、灌水管32における栽培槽1内の部分には、その周面に複数の噴射孔32aが灌水管32の長手方向に沿って複数開設されている。このため、供給管14から灌水管32に流れ込んだ培養水は各噴射孔32aからポット23に向けて噴射される。
【0029】
本実施形態では、後述するように、横並びに並べた複数のポット23を上下段に重ねた状態で収容室20内に収容している。このため、灌水管32は、収容室20内において上段に位置する上側ポット23Uの上縁よりも高い位置に配置され、各噴射孔32aは上側ポット23Uに向けて培養水を噴射する角度に開設されている。本実施形態において、各噴射孔32aは、時計の位置で4時及び8時の角度に開設されている。
【0030】
また、栽培槽本体21の底面(底板24の上面)は、供給管14側から僅かに下り傾斜した状態で設けられる。そして、供給管14側とは反対に位置する短手側板26において、その下端には挿入口33が開設され、この挿入口33には回収管15の上端部が挿入されている。このため、灌水管32の各噴射孔32aから噴射された培養水のうち、栽培槽本体21の底面に流下したものは、この底面を回収管15側に向かって流れ、回収管15に流れ込む。前述したように、回収管15に流れ込んだ培養水は、この回収管15内を流下して培養水タンク11に回収される。
【0031】
図2〜図4に示すように、栽培槽本体21の上部に蓋体22が嵌められることで、栽培槽1内には横方向に細長い直方体状の空間が区画される。この空間は、つる性植物PLの根の部分が植えられたポット23を収容するための収容室20となる。本実施形態のポット23は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材によって作製され、円錐台状の外観を呈している。そして、上側に位置する大径部が開口され、下側に位置する小径部には排水用の孔が開設されている。図5に示すように各ポット23には培地34が充填され、つる性植物PLの根元部分が植えられている。
【0032】
本実施形態では、収容室20の高さがポット23の高さの2倍以上に定められており、ポット23を上下方向に二段重ねの状態で収容できるようにしている。また、収容室20における長手方向の長さをポット23の直径のn個分(nは2以上の整数)以上に定め、n個のポット23を長手方向に沿って横並びに置けるようにしている。さらに、収容室20における長手方向の長さをポット23の直径の2個分+α(αはクリアランス分)に定め、長手方向に並ぶポット群を短手方向に2列置けるようにしている。
【0033】
具体的には、栽培槽本体21が有する底板24の上に、下段の下側ポット23Dを載置するための載置台35を2つ短手方向に並べて設置し、一方の長手側板25(本実施形態では図3の左側)に近い側の載置台35に、つる性植物PLが植えられた複数個の下側ポット23Dを、この長手側板25に沿って(栽培槽1の長手方向に沿って)互いに隣り合う状態に並べている。さらに、図2や図5に示すように、これらのポット群における隣り合う下側ポット23Dの上に、下側ポット23U同士を跨ぐ状態で各上側ポット23Uを載置している。そして、各ポット23(23D,23U)に植えられたつる性植物PLを、この長手側板25における上部に形成された開口31を通じて栽培槽1の外側へと導いている。また、他方の長手側板25(本実施形態では図3の右側)に近い側の載置台35についても同様に、複数のポット23(23D,23U)を並べた状態で収容している。
【0034】
このように、複数のポット23を収容室20内に収容することで、隣り合う下側ポット23Dに跨るよう状態に上側ポット23Uが配置されるため、下側ポット23Dと上側ポット23Uとが上下方向に対して千鳥状に位置付けられる。その結果、限られた大きさの収容室20内であっても、植え込むつる性植物PLの数を増やすことができる。これにより、開口31を通じて栽培槽1の外へ伸びるつる性植物PLの密度を増やすことができ、建物Hの緑化対象範囲をつる性植物PLによって十分に覆うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、一方の長手側板25に近い側のポット群(第1ポット群)と、他方の長手側板25に近い側のポット群(第2ポット群)とを1つの栽培槽1に収容している。このように構成することで、1つの栽培槽1であっても、一方の長手側板25側と他方の長手側板25側の2方向へ向けてつる性植物PLを繁茂させることができる。その結果、建物Hの緑化対象範囲を少ない数の栽培槽1によって効率よく覆うことができる。
【0036】
具体的には、本実施形態の栽培槽1は、図1に示すように、切妻造りをした建物Hの大棟部5に設置されている。すなわち、一対の軒部6のそれぞれに長手側板25を向けた状態で複数の栽培槽1を設置している。このため、一方の長手側板25から繁茂したつる性植物PLによって屋根4の片半部分を、他方の長手側板25から繁茂したつる性植物PLによって残りの部分を覆うことができる。その結果、栽培槽1から繁茂したつる性植物PLによって、屋根4を効率よく覆うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、培地34が収容されたポット23につる性植物PLが植えられているので、栽培槽1の収容室20にポット23を収容するだけで、つる性植物PLの植え込みができる。また、つる性植物PLが枯れてしまった場合、そのつる性植物PLのポット23を収容室20から取り出した後、新しいつる性植物PLのポット23を収容室20に収容することで、つる性植物PLの植え替えができる。このように、本発明では、つる性植物PLの植え込みや植え替え作業を容易にすることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の緑化装置を用いることにより、つる性植物PLの植え込み作業や植え替え作業を容易に行え、かつ、建物Hの緑化対象範囲を十分に覆うことができる。
【0039】
ところで、上述の第1実施形態では、収容室20内に複数のポット23が2段重ねの状態で配置されていた。この構成では、下側ポット23Dに対して培養水が十分に供給されないこともあり得る。そこで、上段に配置される上側ポット23Uについては、その底面に、下段に配置される下側ポット23Dのそれぞれに培養水が排出されるように、複数の排水孔を設けておくことが好ましい。
【0040】
例えば、図6に示す変形例のように、上側ポット23Uの底面における、一方の下側ポット23Dに臨む位置には、上側ポット23U内の水を排出するための排水孔23a(第1排水部)を設け、他方の下側ポット23Dに臨む位置にも同様な排水孔23b(第2排水部)を設ける。
【0041】
この構成により、上側ポット23U内を流下した培養水は各排水孔23a,23bを通じて下側ポット23Dのそれぞれへと排出される。すなわち、図7に矢印で示すように、一方の排水孔23aから排出された培養水は、一方の下側ポット23Dに灌水され、他方の排水孔23bから排出された培養水は他方の下側ポット23Dに灌水される。このように、上側ポット23Uから排出された培養水について振り分けが行われるので、各下側ポット23Dに対する給水の確実性を高めることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0043】
図8から図11は、第2実施形態の栽培槽1を説明する図である。以下、これらの図面を参照して第2実施形態について説明する。なお、栽培槽1以外の各部については、前述の第1実施形態と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
図8は第2実施形態の栽培槽1の内部構成を説明する断面図であり、第1実施形態の図2に対応している。第2実施形態の栽培槽1でも第1実施形態の栽培槽1と同様に、複数のポット23は、上下方向に千鳥状となるように多段に配置され、かつ、短手方向に並ぶ第1ポット群及び第2ポット群が構成されている。
【0045】
そして、第2実施形態では、上側ポット23Uと下側ポット23Dの間の高さ位置に仕切り板41が配置されている点で、第1実施形態と相違している。また、第1実施形態で設けられていた載置台35が設けられていない点でも第1実施形態と相違している。
【0046】
図9(a)に一部分を示すように、仕切り板41は、つる性植物PLのつるを通すための切り込み42が形成された板状部材であり、収容室20に丁度収まる形状とされている。すなわち、この仕切り板41は、底板24の平面形状と同じ大きさの矩形状板材に対して、板材の長辺部分から短辺側の中央側に向けて矩形状の切り込み42を複数形成した形状とされている。本実施形態における仕切り板41は、ポリカーボネイトやポリ塩化ビニル等の樹脂素材によって一体成型されている。
【0047】
同図に点線で示すように、下側ポット23Dは、収容室20における下半部分に横並びの状態で配置されている。仕切り板41の切り込み42は、平面方向から見て下側ポット23Dの中心部分を少し越える位置まで形成されている。このため、下側ポット23Dの平面中心部に植え込まれたつるが、この切り込み42を通って上方に伸びる。そして、切り込み42同士の間の領域は、図中一点鎖線で示す上側ポット23Uの載置部分になる。
【0048】
上側ポット23Uの載置部分における各下側ポット23Dを臨む位置には、板厚方向を貫通する流水孔43が形成されている。この流水孔43は、仕切り板41における上面側の培養水を流下させるためのものである。本実施形態の流水孔43は、図9(b)に示すように漏斗状をしている。すなわち、上半部分が下方向に向けて縮径されたテーパー部になっており、下半部分が一定内径のストレート部になっている。
【0049】
図10に示すように、各流水孔43は、各下側ポット23Dを臨む位置に設けられている。この構成によって、仕切り板41における上面側の培養水を下側ポット23Dへと確実に導くようにしている。すなわち、各下側ポット23Dに対する給水の確実性を高めることができる。
【0050】
図9(a)及び図10に示すように、仕切り板41の外周縁には、上方に向けてリブ44が形成されている。このリブ44によって、切り込み42を形成したことによる強度不足を補っている。また、仕切り板41の板厚を薄くしつつも必要な剛性を確保している。さらに、リブ44を上方に向けることで、外周縁からの培養水の流出を減らしている。これにより、流水孔43へ流れ込む培養水の量を増やし、下側ポット23Dへ灌水される培養水の量を増やしている。
【0051】
図9(b)に示すように、仕切り板41は、各側板25,26の内面から内側に張り出した支持突条45の上に載置されている。すなわち、仕切り板41や各上側ポット23Uの荷重を各側板で受けている。このように、仕切り板41を支持突条45で支持することにより、仕切り板41を安定した状態で配置することができ、ひいては仕切り板41に載置される複数の上側ポット23Uを安定した状態で配置できる。また、上側ポット23U及び仕切り板41の荷重を各側板で受けているので、下側ポット23Dが変形する不具合を防止することもできる。
【0052】
第2実施形態の栽培槽1では、灌水管32の長さが栽培槽1の長手方向の長さよりも長く定められている。そして、図11に示すように、栽培槽本体21の両短手側板26には、その上縁から下側に向けて灌水管32を保持するための保持溝46が形成されている。すなわち、栽培槽1の使用時においては、図11(a)に示すように、両短手側板26の保持溝46内に灌水管32を保持させた状態で、栽培槽本体21の上から蓋体22を被せる。また、収容室20にポット23を収容したり、収容されたポット23を取り外したりする場合には、図11(b)に示すように、蓋体22と灌水管32とを栽培槽本体21から取り外す。このように構成することで、ポット23の収容時や取り外し時において灌水管32が邪魔になり難くなる。その結果、つる性植物PLの植え込み作業や植え替え作業を容易に行うことができる。
【0053】
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
例えば、緑化装置に関し、前述の各実施形態では、屋根4を緑化する屋根緑化装置を例示したがこれに限定されるものではない。屋根緑化装置の他、建物Hの壁面を緑化する壁面緑化装置であってもよい。壁面緑化装置の場合、壁面が緑化対象範囲に相当する。
【0055】
また、前述の各実施形態では、栄養素を含んだ培養水を循環使用していたが、栄養素を含まない水を循環使用してもよい。また、培養水や水は循環使用するものに限られない。例えば、栽培槽本体21の底面に流下した培養水等を下水に直接排出させてもよい。
【0056】
栽培槽1に関し、直方体状のものを例示したが、ポット23U,23Dを重ねた状態で収納できれば、直方体状に限られない。例えば、円筒状や多角形筒状であってもよい。また、ポット23U,23Dを重ねる段数は2段に限られない。すなわち、3段以上に重ねてもよい。
【0057】
ポット23の形状に関し、逆円錐台形状に限られない。直方体状であってもよいし、逆角錐台形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…栽培槽,2…培養水循環ユニット,3…金属網,4…屋根,5…大棟部,6…軒部,11…培養水タンク,12…給水ポンプ,13…培養水生成部,14…供給管,15…回収管,16…濃縮液タンク,20…収容室,21…栽培槽本体,22…蓋体,23…ポット,23U…上側ポット,23D…下側ポット,24…底板,25…長手側板,26…短手側板,27…天板,28…側縁部,29…長手側板の切り欠き,30…側縁部の切り欠き,31…開口,32…灌水管,32a…噴射孔,33…挿入口,34…培地,35…載置台,41…仕切り板,42…切り込み,43…流水孔,44…リブ,45…支持突条,46…保持溝,H…建物,PL…つる性植物
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における緑化対象範囲をつる性植物で覆う緑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生育に必要な栄養を含んだ培養水によって植物を水耕栽培し、建物における緑化対象範囲をつる性植物で覆う緑化装置が知られている。この栽培装置では、例えば栽培槽内に敷き詰められた培地につる性植物が植え込まれ、この培地に対して培養水が供給される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した栽培装置では、栽培槽内に敷き詰められた培地につる性植物を植えているため、植え込みに手間が掛かるという問題があった。また、枯れてしまったつる性植物の植え替えが困難であるという問題もあった。
【0005】
これらの問題を解決すべく、培地を入れたポットにつる性植物を植え込み、このポットを栽培槽内に収容することが考えられる。しかし、つる性植物の根を張らせる必要があることから、ポットを小さくすることには限界があり、ポットにはある程度の大きさが必要となる。このため、単にポットを並べて収容しただけでは、単位面積当たりのつる性植物の数が不足し、建物の緑化対象範囲を十分に覆えない虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易にし、かつ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、培地が収容され、前記培地につる性植物が植えられた複数のポットと、前記複数のポットが収容される収容室を区画するとともに、前記つる性植物が通り抜ける開口を備え、建物に設置される栽培槽と、を有し、前記開口から前記栽培槽の外へと繁茂した前記つる性植物によって、前記建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、前記収容室において、前記複数のポットは横並びであって多段に配置され、かつ、下段の隣り合うポットに跨るように上段の各ポットが配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、培地が収容されたポットにつる性植物が植えられているので、栽培槽の収容室にポットを収容するだけで、つる性植物の植え込みができる。また、つる性植物が枯れてしまった場合、そのつる性植物のポットを収容室から取り出した後、新しいつる性植物のポットを収容室に収容することで、つる性植物の植え替えができる。このように、本発明では、つる性植物の植え込みや植え替え作業を容易にすることができる。さらに、隣り合う下段のポットに跨る状態で、上段のポットが配置されるので、下段のポットと上段のポットとが上下方向に対して千鳥状に位置付けられる。このため、限られた大きさの収容室内であっても、植え込むつる性植物の数を増やすことができ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことが可能になる。
【0009】
前述の緑化装置において、前記栽培槽が、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成され、一対の長手側板の上部に前記開口が設けられた栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とが備えられ、前記複数のポットを、一方の長手側板に沿って列状に並べて第1ポット群とするとともに、他方の長手側板に沿って列状に並べて第2ポット群とすることが好ましい。この構成では、第1ポット群のつる性植物を、一方の長手側板の開口から栽培槽の外へ繁茂させることができ、第2ポット群のつる性植物を、他方の長手側板の開口から栽培槽の外へ繁茂させることができる。すなわち、つる性植物を2方向へ向けて繁茂させることができる。その結果、建物の緑化対象範囲を少ない数の栽培槽によって効率よく覆うことができる。
【0010】
前述の緑化装置において、上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの一方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第1排水部を設けるともに、上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの他方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第2排水部を設けることが好ましい。この構成では、上段のポットを流下した水が、隣り合う下段のポットの一方と他方とに振り分けられるので、下段の各ポットに対する給水の確実性を高めることができる。
【0011】
前述の緑化装置において、前記収容室内における前記隣り合うポット同士と前記他のポットの間の高さ位置に配置され、隣り合う一方のポットに臨む位置と他方のポットに臨む位置のそれぞれに上面側の水を流下させる流水孔が開設された仕切り板を備えた場合には、仕切り板によって、上側に配置される他のポットを安定させることができる。また、流水孔によって、下側の各ポットに対する給水の確実性を高めることができる。
【0012】
前述の緑化装置において、前記栽培槽を、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成された栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備える構成とし、前記栽培槽本体には、一対の短手側板の上縁から下側に向けて灌水管を保持するための保持溝が形成されていることが好ましい。この構成では、収容室内へのポットの収容時や収容室からのポットの取り外し時において、灌水管を容易に着脱できる。これにより、灌水管が邪魔になり難く、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、つる性植物の植え込み作業や植え替え作業を容易に行え、かつ、建物の緑化対象範囲を十分に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】緑化装置の設置状態を説明する図である。
【図2】栽培槽及び収容状態のポットをその長手方向に切断して示す断面図である。
【図3】栽培槽及び収容状態のポットをその短手方向に切断して示す断面図である。
【図4】栽培槽の長手側板に形成された開口及びこの開口から伸びるつる性植物を説明する図である。
【図5】栽培槽本体に収納された複数のポットを説明する平面図である。
【図6】変形例のポットを説明する図である。
【図7】変形例のポットにおける水の流れを説明する図である。
【図8】第2実施形態の栽培槽を説明する断面図である。
【図9】(a)は仕切り板と複数のポットの関係を説明する平面図である。(b)は(a)におけるB矢視図である。
【図10】第2実施形態における水の流れを説明する図である。
【図11】(a)及び(b)は、灌水管の取り外しを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。まず、緑化装置の全体構成について説明する。
【0016】
図1に例示した緑化装置は、家屋等の建物Hにおいて屋根表面を緑化する屋根緑化装置である。この屋根緑化装置は、例えば、栽培槽1と、培養水循環ユニット2と、金属網3とを備えている。
【0017】
図1に示す建物Hは切妻造りをしている。このため、建物Hの屋根4は、頂部である大棟部5を境に、両側に向けて下り傾斜した状態で設けられる。この屋根4には波板が用いられており、凹凸状の筋が大棟部5から軒部6に向かうように波板が葺かれている。
【0018】
栽培槽1は、つる性植物PLを水耕栽培するためのものであり、屋根4の大棟部5に設置されている。この栽培槽1で栽培されるつる性植物PLとしては、多年生のものが用いられる。耐寒性及び耐暑性に優れ、また垂下性を有するという観点からウコギ科のつる性植物PLが好適に用いられる。ウコギ科のつる性植物PLとしては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0019】
栽培槽1は、直方体状の外観形状をしており、内部に空洞を有する箱体によって構成されている。例えば図2に示すように、栽培槽1は、ポリ塩化ビニル等の遮光性を有する樹脂性材料によって作製され、上面が開放された栽培槽本体21と栽培槽本体21の上面開口を上方から覆う蓋体22とを有している。これらの栽培槽本体21と蓋体22とにより、つる性植物PLの根元部分が植えられた複数のポット23を横並びにかつ多段に収容する収容室20が、栽培槽1の内部に区画される。なお、栽培槽1については、後で詳しく説明する。
【0020】
培養水循環ユニット2は、栽培槽1との間で培養水を循環させるための部分である。培養水とは、つる性植物PLの生育に必要な栄養素が添加された水である。図1に示すように、培養水循環ユニット2は、培養水タンク11と、給水ポンプ12と、培養水生成部13とを有している。
【0021】
培養水タンク11は、培養水を貯留する部分であり、藻の発生を抑制するため遮光性の樹脂製容器が用いられている。この培養水タンク11には供給管14の下端部分及び回収管15の下端部分が挿入されている。供給管14は、培養水循環ユニット2から送出される培養水を栽培槽1へと導くためのパイプ材であり、栽培槽1と同様に遮光性を有する樹脂性材料によって作製される。回収管15は、栽培槽1から排出された培養水を培養水循環ユニット2へと導くためのパイプ材であり、やはり遮光性を有する樹脂性材料によって作製される。なお、供給管14の下端開口は培養水タンク11の底面付近に位置し、回収管15の下端開口は培養水タンク11の上部に位置している。
【0022】
給水ポンプ12は、供給管14の途中に設けられており、培養水タンク11に貯められた培養水を栽培槽1へ向けて送出する。送出された培養水は、栽培槽1の内部でポット23に灌水される。そして、ポット23から流出した培養水やポット23に灌水されずに流下した培養水が回収管15を通じて培養水タンク11に回収される。
【0023】
培養水生成部13は、つる性植物PLの生育に必要な栄養素が濃縮された濃縮液を水道水で希釈することにより、培養水を生成する。この培養水生成部13は濃縮液タンク16と混合器(図示せず)とを有する。濃縮液タンク16は濃縮液を貯留する。混合器は水道水と濃縮液とを適当な割合で混ぜて培養水を生成する。混合器で生成された培養水は、培養水タンク11に送られる。なお、混合器は、培養水タンク11に貯留された培養水の量が規定量未満の場合に動作し、規定量に達するまで培養水を補充する。
【0024】
次に、金属網3について説明する。この金属網3は、栽培槽1から伸長したつる性植物PLを支持するための支持部材であり、屋根4の表面から多少浮かせた状態で取り付けられている。本実施形態における金属網3は、長期間に亘って外気にさらされても腐食され難いように、ステンレス製の網が使用されている。この金属網3の網目は、つる性植物PLが絡んで固定され易いような大きさに設けられている。また、網目の形状は、亀甲形や菱形等、種々の形状が採られる。
【0025】
次に、栽培槽1について詳細に説明する。
【0026】
図2に示す栽培槽1は、前述したように直方体の箱状をしており、栽培槽本体21と蓋体22とを有している。図2〜図4に示すように、栽培槽本体21は、長方形状の底板24と底板24の各辺から上方に設けられた側板25,26とを有しており、底板24と側板25,26との間、及び、隣り合う側板25,26同士の間は、液密な状態で接合されている。便宜上、以下の説明では、底板24の各長辺から立ち上がっている一対の側板のことを長手側板25といい、底板24の各短辺から立ち上がっている一対の側板のことを短手側板26という。蓋体22は、長方形状の天板27とこの天板27の各辺から下方に設けられた側縁部28とを有し、下面が開放された底の浅い箱状をしている。蓋体22における内周面の大きさは、栽培槽本体21の外周面とほぼ同じであり、蓋体22を栽培槽本体21の上部に被せた際に丁度嵌るように構成されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、栽培槽本体21における長手側板25の上縁部には複数の切り欠き29が設けられている。この切り欠き29は、栽培槽1の長手方向に所定間隔で設けられている。同様に、蓋体22の側縁部28にも切り欠き30が設けられている。これらの切り欠き29,30は、栽培槽1に収容されたつる性植物PLが通り抜けるための開口31を、栽培槽1の長手側板25における上部に形成する。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、栽培槽1内の上部には灌水管32が栽培槽1の長手方向に沿って配置されている。この灌水管32は、栽培槽1内に収容された各ポット23に灌水するためのものであり、一端が短手側板26から外側に突出されている。そして、灌水管32の突出部分には、供給管14の上端部が接続されている。また、灌水管32における栽培槽1内の部分には、その周面に複数の噴射孔32aが灌水管32の長手方向に沿って複数開設されている。このため、供給管14から灌水管32に流れ込んだ培養水は各噴射孔32aからポット23に向けて噴射される。
【0029】
本実施形態では、後述するように、横並びに並べた複数のポット23を上下段に重ねた状態で収容室20内に収容している。このため、灌水管32は、収容室20内において上段に位置する上側ポット23Uの上縁よりも高い位置に配置され、各噴射孔32aは上側ポット23Uに向けて培養水を噴射する角度に開設されている。本実施形態において、各噴射孔32aは、時計の位置で4時及び8時の角度に開設されている。
【0030】
また、栽培槽本体21の底面(底板24の上面)は、供給管14側から僅かに下り傾斜した状態で設けられる。そして、供給管14側とは反対に位置する短手側板26において、その下端には挿入口33が開設され、この挿入口33には回収管15の上端部が挿入されている。このため、灌水管32の各噴射孔32aから噴射された培養水のうち、栽培槽本体21の底面に流下したものは、この底面を回収管15側に向かって流れ、回収管15に流れ込む。前述したように、回収管15に流れ込んだ培養水は、この回収管15内を流下して培養水タンク11に回収される。
【0031】
図2〜図4に示すように、栽培槽本体21の上部に蓋体22が嵌められることで、栽培槽1内には横方向に細長い直方体状の空間が区画される。この空間は、つる性植物PLの根の部分が植えられたポット23を収容するための収容室20となる。本実施形態のポット23は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材によって作製され、円錐台状の外観を呈している。そして、上側に位置する大径部が開口され、下側に位置する小径部には排水用の孔が開設されている。図5に示すように各ポット23には培地34が充填され、つる性植物PLの根元部分が植えられている。
【0032】
本実施形態では、収容室20の高さがポット23の高さの2倍以上に定められており、ポット23を上下方向に二段重ねの状態で収容できるようにしている。また、収容室20における長手方向の長さをポット23の直径のn個分(nは2以上の整数)以上に定め、n個のポット23を長手方向に沿って横並びに置けるようにしている。さらに、収容室20における長手方向の長さをポット23の直径の2個分+α(αはクリアランス分)に定め、長手方向に並ぶポット群を短手方向に2列置けるようにしている。
【0033】
具体的には、栽培槽本体21が有する底板24の上に、下段の下側ポット23Dを載置するための載置台35を2つ短手方向に並べて設置し、一方の長手側板25(本実施形態では図3の左側)に近い側の載置台35に、つる性植物PLが植えられた複数個の下側ポット23Dを、この長手側板25に沿って(栽培槽1の長手方向に沿って)互いに隣り合う状態に並べている。さらに、図2や図5に示すように、これらのポット群における隣り合う下側ポット23Dの上に、下側ポット23U同士を跨ぐ状態で各上側ポット23Uを載置している。そして、各ポット23(23D,23U)に植えられたつる性植物PLを、この長手側板25における上部に形成された開口31を通じて栽培槽1の外側へと導いている。また、他方の長手側板25(本実施形態では図3の右側)に近い側の載置台35についても同様に、複数のポット23(23D,23U)を並べた状態で収容している。
【0034】
このように、複数のポット23を収容室20内に収容することで、隣り合う下側ポット23Dに跨るよう状態に上側ポット23Uが配置されるため、下側ポット23Dと上側ポット23Uとが上下方向に対して千鳥状に位置付けられる。その結果、限られた大きさの収容室20内であっても、植え込むつる性植物PLの数を増やすことができる。これにより、開口31を通じて栽培槽1の外へ伸びるつる性植物PLの密度を増やすことができ、建物Hの緑化対象範囲をつる性植物PLによって十分に覆うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、一方の長手側板25に近い側のポット群(第1ポット群)と、他方の長手側板25に近い側のポット群(第2ポット群)とを1つの栽培槽1に収容している。このように構成することで、1つの栽培槽1であっても、一方の長手側板25側と他方の長手側板25側の2方向へ向けてつる性植物PLを繁茂させることができる。その結果、建物Hの緑化対象範囲を少ない数の栽培槽1によって効率よく覆うことができる。
【0036】
具体的には、本実施形態の栽培槽1は、図1に示すように、切妻造りをした建物Hの大棟部5に設置されている。すなわち、一対の軒部6のそれぞれに長手側板25を向けた状態で複数の栽培槽1を設置している。このため、一方の長手側板25から繁茂したつる性植物PLによって屋根4の片半部分を、他方の長手側板25から繁茂したつる性植物PLによって残りの部分を覆うことができる。その結果、栽培槽1から繁茂したつる性植物PLによって、屋根4を効率よく覆うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、培地34が収容されたポット23につる性植物PLが植えられているので、栽培槽1の収容室20にポット23を収容するだけで、つる性植物PLの植え込みができる。また、つる性植物PLが枯れてしまった場合、そのつる性植物PLのポット23を収容室20から取り出した後、新しいつる性植物PLのポット23を収容室20に収容することで、つる性植物PLの植え替えができる。このように、本発明では、つる性植物PLの植え込みや植え替え作業を容易にすることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の緑化装置を用いることにより、つる性植物PLの植え込み作業や植え替え作業を容易に行え、かつ、建物Hの緑化対象範囲を十分に覆うことができる。
【0039】
ところで、上述の第1実施形態では、収容室20内に複数のポット23が2段重ねの状態で配置されていた。この構成では、下側ポット23Dに対して培養水が十分に供給されないこともあり得る。そこで、上段に配置される上側ポット23Uについては、その底面に、下段に配置される下側ポット23Dのそれぞれに培養水が排出されるように、複数の排水孔を設けておくことが好ましい。
【0040】
例えば、図6に示す変形例のように、上側ポット23Uの底面における、一方の下側ポット23Dに臨む位置には、上側ポット23U内の水を排出するための排水孔23a(第1排水部)を設け、他方の下側ポット23Dに臨む位置にも同様な排水孔23b(第2排水部)を設ける。
【0041】
この構成により、上側ポット23U内を流下した培養水は各排水孔23a,23bを通じて下側ポット23Dのそれぞれへと排出される。すなわち、図7に矢印で示すように、一方の排水孔23aから排出された培養水は、一方の下側ポット23Dに灌水され、他方の排水孔23bから排出された培養水は他方の下側ポット23Dに灌水される。このように、上側ポット23Uから排出された培養水について振り分けが行われるので、各下側ポット23Dに対する給水の確実性を高めることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0043】
図8から図11は、第2実施形態の栽培槽1を説明する図である。以下、これらの図面を参照して第2実施形態について説明する。なお、栽培槽1以外の各部については、前述の第1実施形態と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
図8は第2実施形態の栽培槽1の内部構成を説明する断面図であり、第1実施形態の図2に対応している。第2実施形態の栽培槽1でも第1実施形態の栽培槽1と同様に、複数のポット23は、上下方向に千鳥状となるように多段に配置され、かつ、短手方向に並ぶ第1ポット群及び第2ポット群が構成されている。
【0045】
そして、第2実施形態では、上側ポット23Uと下側ポット23Dの間の高さ位置に仕切り板41が配置されている点で、第1実施形態と相違している。また、第1実施形態で設けられていた載置台35が設けられていない点でも第1実施形態と相違している。
【0046】
図9(a)に一部分を示すように、仕切り板41は、つる性植物PLのつるを通すための切り込み42が形成された板状部材であり、収容室20に丁度収まる形状とされている。すなわち、この仕切り板41は、底板24の平面形状と同じ大きさの矩形状板材に対して、板材の長辺部分から短辺側の中央側に向けて矩形状の切り込み42を複数形成した形状とされている。本実施形態における仕切り板41は、ポリカーボネイトやポリ塩化ビニル等の樹脂素材によって一体成型されている。
【0047】
同図に点線で示すように、下側ポット23Dは、収容室20における下半部分に横並びの状態で配置されている。仕切り板41の切り込み42は、平面方向から見て下側ポット23Dの中心部分を少し越える位置まで形成されている。このため、下側ポット23Dの平面中心部に植え込まれたつるが、この切り込み42を通って上方に伸びる。そして、切り込み42同士の間の領域は、図中一点鎖線で示す上側ポット23Uの載置部分になる。
【0048】
上側ポット23Uの載置部分における各下側ポット23Dを臨む位置には、板厚方向を貫通する流水孔43が形成されている。この流水孔43は、仕切り板41における上面側の培養水を流下させるためのものである。本実施形態の流水孔43は、図9(b)に示すように漏斗状をしている。すなわち、上半部分が下方向に向けて縮径されたテーパー部になっており、下半部分が一定内径のストレート部になっている。
【0049】
図10に示すように、各流水孔43は、各下側ポット23Dを臨む位置に設けられている。この構成によって、仕切り板41における上面側の培養水を下側ポット23Dへと確実に導くようにしている。すなわち、各下側ポット23Dに対する給水の確実性を高めることができる。
【0050】
図9(a)及び図10に示すように、仕切り板41の外周縁には、上方に向けてリブ44が形成されている。このリブ44によって、切り込み42を形成したことによる強度不足を補っている。また、仕切り板41の板厚を薄くしつつも必要な剛性を確保している。さらに、リブ44を上方に向けることで、外周縁からの培養水の流出を減らしている。これにより、流水孔43へ流れ込む培養水の量を増やし、下側ポット23Dへ灌水される培養水の量を増やしている。
【0051】
図9(b)に示すように、仕切り板41は、各側板25,26の内面から内側に張り出した支持突条45の上に載置されている。すなわち、仕切り板41や各上側ポット23Uの荷重を各側板で受けている。このように、仕切り板41を支持突条45で支持することにより、仕切り板41を安定した状態で配置することができ、ひいては仕切り板41に載置される複数の上側ポット23Uを安定した状態で配置できる。また、上側ポット23U及び仕切り板41の荷重を各側板で受けているので、下側ポット23Dが変形する不具合を防止することもできる。
【0052】
第2実施形態の栽培槽1では、灌水管32の長さが栽培槽1の長手方向の長さよりも長く定められている。そして、図11に示すように、栽培槽本体21の両短手側板26には、その上縁から下側に向けて灌水管32を保持するための保持溝46が形成されている。すなわち、栽培槽1の使用時においては、図11(a)に示すように、両短手側板26の保持溝46内に灌水管32を保持させた状態で、栽培槽本体21の上から蓋体22を被せる。また、収容室20にポット23を収容したり、収容されたポット23を取り外したりする場合には、図11(b)に示すように、蓋体22と灌水管32とを栽培槽本体21から取り外す。このように構成することで、ポット23の収容時や取り外し時において灌水管32が邪魔になり難くなる。その結果、つる性植物PLの植え込み作業や植え替え作業を容易に行うことができる。
【0053】
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
例えば、緑化装置に関し、前述の各実施形態では、屋根4を緑化する屋根緑化装置を例示したがこれに限定されるものではない。屋根緑化装置の他、建物Hの壁面を緑化する壁面緑化装置であってもよい。壁面緑化装置の場合、壁面が緑化対象範囲に相当する。
【0055】
また、前述の各実施形態では、栄養素を含んだ培養水を循環使用していたが、栄養素を含まない水を循環使用してもよい。また、培養水や水は循環使用するものに限られない。例えば、栽培槽本体21の底面に流下した培養水等を下水に直接排出させてもよい。
【0056】
栽培槽1に関し、直方体状のものを例示したが、ポット23U,23Dを重ねた状態で収納できれば、直方体状に限られない。例えば、円筒状や多角形筒状であってもよい。また、ポット23U,23Dを重ねる段数は2段に限られない。すなわち、3段以上に重ねてもよい。
【0057】
ポット23の形状に関し、逆円錐台形状に限られない。直方体状であってもよいし、逆角錐台形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…栽培槽,2…培養水循環ユニット,3…金属網,4…屋根,5…大棟部,6…軒部,11…培養水タンク,12…給水ポンプ,13…培養水生成部,14…供給管,15…回収管,16…濃縮液タンク,20…収容室,21…栽培槽本体,22…蓋体,23…ポット,23U…上側ポット,23D…下側ポット,24…底板,25…長手側板,26…短手側板,27…天板,28…側縁部,29…長手側板の切り欠き,30…側縁部の切り欠き,31…開口,32…灌水管,32a…噴射孔,33…挿入口,34…培地,35…載置台,41…仕切り板,42…切り込み,43…流水孔,44…リブ,45…支持突条,46…保持溝,H…建物,PL…つる性植物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地が収容され、前記培地につる性植物が植えられた複数のポットと、
前記複数のポットが収容される収容室を区画するとともに、前記つる性植物が通り抜ける開口を備え、建物に設置される栽培槽と、
を有し、
前記開口から前記栽培槽の外へと繁茂した前記つる性植物によって、前記建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、
前記収容室において、前記複数のポットは横並びであって多段に配置され、かつ、下段の隣り合うポットに跨るように上段の各ポットが配置されていることを特徴とする緑化装置。
【請求項2】
前記栽培槽は、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成され、一対の長手側板の上部に前記開口が設けられた栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記複数のポットを、一方の長手側板に沿って列状に並べて第1ポット群とするとともに、他方の長手側板に沿って列状に並べて第2ポット群とすることを特徴とする請求項1に記載の緑化装置。
【請求項3】
上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの一方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第1排水部を設けるともに、
上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの他方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第2排水部を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化装置。
【請求項4】
前記収容室内における下段の前記ポットと上段の前記ポットの間の高さ位置に配置され、下段の前記ポットのそれぞれに臨む位置に上面側の水を流下させる流水孔が開設された仕切り板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化装置。
【請求項5】
前記栽培槽は、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成された栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記栽培槽本体には、一対の短手側板の上縁から下側に向けて灌水管を保持するための保持溝が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の緑化装置。
【請求項1】
培地が収容され、前記培地につる性植物が植えられた複数のポットと、
前記複数のポットが収容される収容室を区画するとともに、前記つる性植物が通り抜ける開口を備え、建物に設置される栽培槽と、
を有し、
前記開口から前記栽培槽の外へと繁茂した前記つる性植物によって、前記建物の緑化対象範囲を覆う緑化装置であって、
前記収容室において、前記複数のポットは横並びであって多段に配置され、かつ、下段の隣り合うポットに跨るように上段の各ポットが配置されていることを特徴とする緑化装置。
【請求項2】
前記栽培槽は、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成され、一対の長手側板の上部に前記開口が設けられた栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記複数のポットを、一方の長手側板に沿って列状に並べて第1ポット群とするとともに、他方の長手側板に沿って列状に並べて第2ポット群とすることを特徴とする請求項1に記載の緑化装置。
【請求項3】
上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの一方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第1排水部を設けるともに、
上段の前記ポットの底面における、下段の前記ポットの他方に臨む位置には、ポット内の水を排出する第2排水部を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化装置。
【請求項4】
前記収容室内における下段の前記ポットと上段の前記ポットの間の高さ位置に配置され、下段の前記ポットのそれぞれに臨む位置に上面側の水を流下させる流水孔が開設された仕切り板を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化装置。
【請求項5】
前記栽培槽は、前記ポットの並び方向に長い上面開放の直方体状に構成された栽培槽本体と、前記栽培槽本体の上面開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記栽培槽本体には、一対の短手側板の上縁から下側に向けて灌水管を保持するための保持溝が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の緑化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−157302(P2012−157302A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19947(P2011−19947)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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