説明

線維症性の状態の処置のためのコネキシン43の阻害剤の使用

線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療ならびに関連する方法、組成物、製剤、および物品。一態様によれば、本発明は、対象の組織における線維症を軽減する方法であって、線維症の軽減を必要とする対象を同定する工程と、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドを対象に投与し、それによって、対象の組織における線維症を軽減する工程とを含む方法に関する。一態様によれば、本発明は、対象の組織における線維症を軽減する方法であって、線維症の軽減を必要とする対象を同定する工程と、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドを対象に投与し、それによって、対象の組織における線維症を軽減する工程とを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、コネキシンおよびギャップ結合に関し、線維症、線維症性の状態、およびこれらの治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
以下は、本発明の理解に有用でありうる情報を含む。このことは、本明細書に提供される情報が、本明細書に記載または特許請求されている発明に対する先行技術であるか、もしくはこれに関連していることを認めるものでも、明示的にもしくは暗黙に言及される刊行物もしくは文書が先行技術であることを認めるものでもない。
【0003】
ヒトおよび他の哺乳動物において、創傷は、細胞イベントおよび生化学的イベントの組織化された複雑なカスケードを誘発し、この結果、大半の場合において創傷の治癒がもたらされる。理想的に治癒した創傷とは、細胞レベル、組織レベル、器官レベル、および生物レベルにおける正常な解剖学的構造、機能、および外見が回復しているものである。手術、疾患、外傷、微生物、または外来物質のいずれにより誘発されたものでも、創傷の治癒は、炎症、上皮形成、新脈管形成、およびマトリックス沈着を含めたいくつものオーバーラップした段階を包含する複雑な過程により進行する。通常、これらの過程により、創傷の完成(mature wound)およびある程度の瘢痕形成がもたらされる。
【0004】
肺線維症、全身性硬化症、肝硬変、心血管疾患、進行性腎疾患、および黄斑変性を含めた線維増殖性疾患は、罹患率および死亡率の主要原因であり、すべての組織系および臓器系に影響を及ぼしうる。線維症性組織のリモデリングはまた、癌転移にも影響する可能性があり、また、移植受容者における慢性移植片拒絶も促進する可能性がある。ヒトの健康に対するその多大な影響にもかかわらず、線維症の(1つまたは複数の)機構を直接に標的とする承認済みの治療は、現在ない。
【0005】
線維症とは、損傷した組織における創傷治癒過程の一部として生じうる線維症性組織の異常な蓄積である。線維症の例は、肝線維症、肺線維症(例えば、珪肺症、石綿肺症、特発性肺線維症)、口腔線維症、心内膜心筋線維症、後腹膜線維症、三角筋線維症、腎線維症(糖尿病性腎症を含む)、および糸球体硬化症を含む。例えば、肝線維症は、慢性肝外傷に対する創傷治癒反応の一部として生じる。線維症は、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、アルコール症、住血吸虫症、ウイルス性肝炎、胆管閉塞、毒素への曝露、および代謝性障害の合併症として生じうる。このような線維症性組織の形成は、傷害組織を被包しようとする身体による試みを表すと考えられる。肝線維症は、正常な肝臓における場合とは質的に区別されうる細胞外マトリックスの蓄積を特徴とする。管理しないでいると、肝線維症は、肝硬変(被包された小結節の存在により特徴付けられる)、肝不全、および死へと進行する。心内膜心筋線維症とは、拘束型心筋症の発生を特徴とする特発性障害である。心内膜心筋線維症では、根底にある過程により、心臓の心内膜表面の巣状線維症がもたらされ、これによりコンプライアンスが低下し、最終的には、心内膜表面がより全般的に罹患する(involved)ために、生理機能の拘束がもたらされる。心内膜線維症では、主に右室および左室の流入路が罹患し、房室弁に影響が及ぶ場合もあり、これにより、三尖弁逆流および僧帽弁逆流が生じる。口腔粘膜下線維症は、粘膜下組織(固有層およびより深部の結合組織)の炎症および進行性線維症を特徴とする、口腔の慢性で消耗性の疾患である。この結果、顕著な硬直がもたらされ、最終的には口を開けることができなくなる。頬粘膜が最も一般的な罹患部位であるが、口腔の任意の部分で罹患する可能性があり、咽頭の場合もある。後腹膜線維症は、後腹膜全体にわたる広範な線維症の発生を特徴とし、典型的には第4腰椎および第5腰椎の前面全体を中心とする。この線維症により、後腹膜構造、特に、尿管の封入および閉塞がもたらされる。大半の場合において、病因は未知である。しかし、その自己免疫疾患との時折の関連、およびそのコルチコステロイドならびに免疫抑制療法に対する応答は、それが免疫を介しうることを示唆する。三角筋線維症とは、三角筋の物質中における筋肉内線維症性バンドを特徴とする筋肉障害である。これらのバンドにより、肩関節の機能に影響を及ぼす続発性拘縮が生じる。翼状肩甲骨症および続発性脊柱側彎症もまた、この状態と関連する。三角筋線維症は、臀部筋肉および大腿四頭筋の線維症性拘縮と関連しており、同様の過程である可能性が高い。
【0006】
近年、肝線維症の根底となる細胞機構および生化学機構の理解が進んでいる(LiおよびFriedman、J. Gastroenterol. Hepatol.、第14巻、618〜633頁、1999年により総説されている)。星細胞は、肝臓における細胞外マトリックスの主要な供給源であると考えられる。星細胞は、肝臓内に存在する各種のサイトカインに対して反応し、また、それらの一部を産生するのも星細胞である(Friedman、Seminars in Liver Disease、第19巻、129〜140頁、1999年)。LiおよびFriedmanによりまとめられた通り、肝線維症に対する実際的な治療戦略およびこれについて提起される治療戦略は、根底にある原因(例えば、毒素または感染物質)の除去、炎症の抑制(例えば、コルチコステロイド、IL−1受容体アンタゴニスト、または炎症を抑制しうる他の薬剤を用いる)、星細胞活性化の下方調節(例えば、ガンマインターフェロンまたは抗酸化剤を用いる)、マトリックス分解の促進、または星細胞アポトーシスの促進を含む。近年の進歩にもかかわらず、これらの戦略の多くがなお実験段階にあり、既存の療法は、根底にある生化学的な過程に対する対処ではなく、炎症の抑制を目的としている。したがって、当技術分野では、肝線維症を含む、線維症を治療する物質および方法が依然として必要とされている。
【0007】
ギャップジャンクションは、直接的な細胞間情報伝達(cell−cell communication)を促進する細胞膜構造である。ギャップジャンクションチャネルは、各々が6つずつのコネキシンサブユニットからなる2つのコネクソン(ヘミチャネル)から形成される。6量体の各コネクソンは、向い側の膜にあるコネクソンとドッキングして、単一のギャップジャンクションを形成する。ギャップジャンクションチャネルは、全身において見出されることが報告されている。例えば、角膜上皮などの組織は、6〜8層の細胞層を有するが、異なる層では異なるギャップジャンクションチャネルを発現することが報告されており、基底層ではコネキシン43を有し、基底層から中翼状細胞層ではコネキシン26を有する。一般に、コネキシンは1つのタンパク質ファミリーであり、通常、それらの分子量により命名されるか、または系統発生に基づき、アルファ、ベータ、およびガンマのサブクラスに分類されている。ヒトで少なくとも20種のアイソフォームが、また、マウスで少なくとも19種のアイソフォームが同定されている。特徴的なパターンのコネキシンタンパク質発現を有する様々な組織および細胞型が報告されており、角膜などの組織は、傷害または移植後において、コネキシンタンパク質の発現パターンを変化させることが報告されている(Qui, C.ら(2003年)、Current Biology、第13巻、1967〜1703頁; Brander ら(2004年)、J. Invest Dermatol.、第122巻、1310〜20頁)。
【0008】
異常なコネキシン機能は、特定の疾患状態(例えば、心疾患)と関連し得ることが報告されている(A. C. de Carvalhoら、J Cardiovasc Electrophysiol、1994年、第5巻、686頁)。ある種のコネキシンタンパク質では、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達レベルに影響を及ぼしうる外因性因子の追加により、代謝回転特性および輸送特性の変化が誘導されうる(Darrow, B.、J. ら(1995年)、Circ Res、第76巻、381頁; Lin Rら(2001年)、J Cell Biol、第154巻、第4号、815頁)。ウイルス性疾患、真菌性疾患、および代謝性疾患に関係する遺伝子の発現調節について、アンチセンス技術が報告されている。例えば、特許文献1(HIVに対するオリゴヌクレオチド阻害剤)、特許文献2(単純ヘルペスウイルスのVmw65 mRNAにハイブリダイズし、複製を阻害するオリゴマー)を参照されたい。また、Beckerらに対する特許文献3(コネキシンに対するアンチセンスヌクレオチドを含む製剤)も参照されたい。ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに対するペプチド阻害剤(模倣性ペプチドを含む)が報告されている。例えば、Berthoud, V.M. ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年); Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、第29巻、606〜612頁;ならびにDe Vriese A.S. ら、Kidney Int.、第61巻、177〜185頁(2001年)を参照されたい。また、BeckerおよびGreen、PCT/US06/04131(「Anti−connexin compounds and uses thereof」)も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,166,195号明細書
【特許文献2】米国特許第5,004,810号明細書
【特許文献3】米国特許第7,098,190号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
線維症および線維化の過程の基礎をなす原理に対する理解の進展にもかかわらず、線維症および線維症性の状態の治療に適する治療選択肢に対する必要は、たいして満たされていない。本明細書では、このような治療組成物および治療が記載および特許請求される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡単な要旨
本明細書で記載および特許請求される発明は、この「簡単な要旨」において説明または記載または言及される属性および実施形態を含むがこれらに限定されない多くの属性および実施形態を有する。それは包括的であることが意図されるものでなく、本明細書で記載および特許請求される発明は、限定ではなくて例示だけを目的として組み入れられているこの「簡単な要旨」に限定されるものでも、「簡単な要旨」において特定される特徴または実施形態により限定されるものでもない。
【0012】
一態様によれば、本発明は、対象の組織における線維症を軽減する方法であって、線維症の軽減を必要とする対象を同定する工程と、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドを対象に投与し、それによって、対象の組織における線維症を軽減する工程とを含む方法に関する。特定の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、抗コネキシン26、30、31.1、32、36、37、40、または45ポリヌクレオチドである。他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、抗コネキシン30.3、31、40.1、または46.6ポリヌクレオチドである。
【0013】
一実施形態によれば、対象は、哺乳動物である。他の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。他の実施形態において、対象は、動物または鳥類である。鳥類は、ペットおよび家禽を含む。動物は、ブタ、ウシ、ならびにウマ、イヌ、およびネコなどの競技動物およびペットを含む。
【0014】
一実施形態によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、標的コネキシン、例えばコネキシン43のタンパク質発現を低減する。
【0015】
一実施形態によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、抗コネキシンオリゴヌクレオチド、例えば抗コネキシン43オリゴヌクレオチドである。
【0016】
一実施形態によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばコネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0017】
代替の実施形態によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、siRNAオリゴヌクレオチドである。他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである。
【0018】
本発明の方法の一実施形態によれば、組織は、皮膚組織、網膜組織、脳組織、神経組織、肺組織、心臓組織、腎臓組織、または肝臓組織である。線維症が身体において起こる他の組織もまた、本発明の範囲内である。
【0019】
本方法の他の実施形態によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、線維症を、全体的にまたは部分的に予防するまたは遅延させるために投与される。
【0020】
本方法の一実施形態によれば、対象は、強皮症、腎線維症(糖尿病性腎症を含む)、心線維症(例えば心筋線維症)、肺線維症(例えば糸球体硬化症肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿肺症、間質性肺疾患および線維症性肺疾患、ならびに化学療法/放射線照射誘発性肺線維症)、口腔線維症、心内膜心筋線維症、三角筋線維症、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、結節性筋膜炎、好酸球性筋膜炎、多様な程度で正常な筋組織が線維組織により置換されていることを特徴とする一般的な線維症症候群、後腹膜線維症、肝線維症、肝硬変、慢性腎不全;骨髄線維症(骨髄の線維症)、薬剤誘導性エルゴチン中毒、リー−フラウメニ症候群における神経膠芽腫、散発性神経膠芽腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性症候群、婦人科の癌、カポジ肉腫、ハンセン病、コラーゲン蓄積大腸炎、および急性線維症からなる群から選択される疾患、障害、または状態を有する。この実施形態によれば、強皮症は、限局性強皮症、汎発性モルフェニア、または線状強皮症でありうる。この実施形態によればまた、腎線維症は、糸球体硬化症、腎臓尿細管間質性線維症、または進行性腎疾患でありうる。さらにこの実施形態によれば、肺線維症は、びまん性間質性肺線維症でありうる。
【0021】
本方法の別の実施形態によれば、線維症は急性線維症である。急性線維症は、偶発性傷害、感染症、放射線照射療法または化学療法による治療を含む各形態の外傷に対して反応しうる。
【0022】
本方法の別の実施形態によれば、線維症は慢性線維症である。
【0023】
本発明はまた、例えば、被膜抱縮、デュピュイトラン拘縮、フォルクマン拘縮、レダーホース拘縮、ペイロニー拘縮、またはこれらの再発を含む各種の疾患、障害、および状態を全体的または部分的に治療および/または予防する方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチドを含む有効量の組成物を投与する工程を含む方法をも包含する。一実施形態において、本組成物は、瘢痕組織および異常組織ならびに/またはさらなる拘縮の再発を防止するリリース手順(例えば、緊急処置、オープンリリース、関節鏡リリース、または瘢痕減量)の前に、同時に、および/または後に、傷害部位に投与される。
【0024】
他の実施形態によれば、コネキシン43は、ヒトコネキシン43である。
【0025】
一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、ギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルの形成を低減することによって、細胞間情報伝達を阻害する。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、それを必要とするまたはその危険性がある対象における線維症を軽減または予防するための方法であって、治療有効量、例えば抗線維化量の抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドを前記対象に投与する工程を含む方法に関する。本態様の一実施形態によれば、本方法は、治療有効量の抗コネキシンオリゴヌクレオチドを前記対象に投与する工程を含む。代替の実施形態によれば、本方法は、治療有効量の抗コネキシン43オリゴヌクレオチドを前記対象に投与する工程を含む。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、コネキシン発現、好ましくはコネキシン43発現を下方調節するのに有効である。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、アンチセンスポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスコネキシン43ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドである。さらに別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチド、またはアンチセンスポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスコネキシン43ポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシヌクレオチドである。
【0027】
本発明によれば、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴデオキシヌクレオチド、およびアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、非修飾または修飾骨格構造を有しうる。
【0028】
一態様によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、非経口投与されうる。あるいは、本態様によれば、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは局所投与されうる。さらに、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、移植、滴下注入、または注射されうる。抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドは、持続放出性または徐放性製剤で投与されうる。
【0029】
適した抗コネキシン43オリゴヌクレオチドは、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC(配列番号1)、GTA ATT GCG GGA GGA ATT GTT TCT GTC(配列番号2)、およびGGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT(配列番号3)からなる群から選択されうる。
【0030】
代替の態様によれば、本発明は、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドの抗線維症性活性を決定する方法であって、線維症を有する危険性があるまたはそれを有する細胞を、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドと接触させる工程と、前記抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドの抗線維症効果を決定する工程とを含む方法に関する。一実施形態によれば、本方法は、インビトロで行われる。代替の実施形態によれば、本方法は、インビボで行われる。
【0031】
コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを含めた、抗コネキシンポリヌクレオチドを用いる、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性状態、および線維症性障害の治療または予防に有用な本発明の組成物ならびに製剤が記載および特許請求される。
【0032】
一態様において、本発明は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチド)を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤をさらに含む。例えば、本発明は、(a)治療有効量の薬学的に許容されるコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドおよび(b)薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を包含する。
【0033】
本発明はまた、(a)治療有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび(b)治療有効量の1または複数の治療剤を含む、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な医薬組成物も包含する。本発明は、(a)治療有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに(b)治療有効量の1または複数の創傷治癒に有用な薬剤および/または複数の創傷治癒に有用な薬剤を含む、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な医薬組成物を包含する。本発明は、(a)治療有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに(b)治療有効量の1または複数の抗線維症剤および/または複数の抗線維症剤を含む、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な医薬組成物を包含する。好ましくは、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤をさらに含む。
【0034】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを単独で有する医薬組成物または線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療もしくは予防に有用な、1もしくは複数の他の抗線維症剤と共に有する医薬組成物は、併用投与、同時投与、個別投与、逐次投与、または持続投与用に提供される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1または複数の治療剤ならびに/または創傷治癒に有用な薬剤および/もしくは抗線維症剤と同時にまたはほぼ同時に投与される。
【0035】
コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドの例は、例えば、アンチセンスポリヌクレオチド(修飾および非修飾骨格アンチセンスポリヌクレオチド、例えば、コネキシンmRNAに結合するDNAアンチセンスポリヌクレオチドを含む)、RNAiポリヌクレオチド、ならびにsiRNAポリヌクレオチドを含めた抗コネキシンオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)が含まれる。
【0036】
適したコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドには、例えば、コネキシン43(Cx43)、コネキシン26(Cx26)、コネキシン37(Cx37)、コネキシン30(Cx30)、コネキシン31.1(Cx31.1)、およびコネキシン32(Cx32)に対するアンチセンスODNが含まれる。特定の実施形態において、適した組成物は、例えば、Cx43、26、30、および31.1を標的とするポリヌクレオチドを含めた、複数のコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを組み合わせて含む。好ましいコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシン43を標的とする。
【0037】
好都合には、コネキシン43に対するオリゴデオキシヌクレオチドは、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC(配列番号1)、GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC(配列番号2)、GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT(配列番号3)、配列番号1、2、もしくは3と少なくとも約70パーセントの相同性を有するポリヌクレオチド、または中から高ストリンジェンシーの条件下でコネキシン43mRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドから選択される。
【0038】
線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な医薬組成物はまた、併用調製物の形態で、例えば1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに創傷治癒に有用な1または複数の他の薬剤、例えば、血小板由来成長因子、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子(例えばFGF2)、血管内皮成長因子、および形質転換成長因子β3などの、創傷治癒の促進もしくは改善に有効な成長因子ならびに/またはIL−7およびIL−10などの、創傷治癒の促進もしくは改善に有効なサイトカインならびに/またはIGF(例えばIGF−1)およびIGFBP(例えばIGFBP−2)などの、創傷治癒の促進もしくは改善に有効な他の薬剤の混合物としても提供される。
【0039】
「組合せ調製物」という用語は、上記で定義した組合せパートナーを個別に投与することもでき、異なる量の組合せパートナー(a)および(b)による異なる固定の組合せを用いて投与することもできる、すなわち、同時投与、個別投与、または逐次投与しうるという意味における「要素キット(kit of parts)」を含む。したがって、キットの要素を、例えば、同時に投与することもでき、時間的にずらして投与する、すなわち、要素キットの任意の要素について、異なる時点および等しいかまたは異なる時間間隔で投与することもできる。
【0040】
好ましい実施形態において、併用調製物の投与は、そのような併用使用の結果として、より少数の投与時点および/または投与の間の時間間隔の増加を有することになる。
【0041】
他の態様において、本発明は、遅延放出性調製物、徐放性調製物、持続放出性調製物、制御放出性調製物で、および/または複効(repeat action)調製物で調合された、治療有効量の1または複数の薬学的に許容されるコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを、線維症または線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態を有する対象に投与する方法を包含する。
【0042】
さらなる態様において、本発明は、対象の皮膚または他の組織と接着させるまたは他の方法で付着させることができる経皮的なパッチ、包帯材、パッド、ラップ、マトリックス、および包帯を包含し、前記物品は、治療有効量の1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを、線維症または線維症性疾患、線維症性障害、もしくは線維症性状態を有する患者に送達することができる。
【0043】
本発明は、治療有効量の1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを含有する、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用なデバイス、例えば、薬物リザーバを封入した速度制御膜およびモノリシックマトリックスデバイスを包含する。これらのデバイスは、本明細書において開示されるように、それを必要とする対象の治療のために用いられうる。適切には、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを単独で有するかまたは固体基質上もしくは固体基質の中に分散している1もしくは複数の治療剤および/もしくは創傷治癒に有用な薬剤と組み合わせて有する固体基質の形態を含む、包帯材またはマトリックスが提供される。一実施形態において、本発明の医薬製品は、包帯材またはマトリックスと組み合わせて提供される。好ましい抗コネキシンポリヌクレオチドおよびコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよびコネキシン43アンチセンスポリヌクレオチドである。
【0044】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドおよび使用のための指示書を含有する容器を含む、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な製品を包含する。そのような指示書には、線維症または線維症性疾患、線維症性障害、もしくは線維症性状態を有する対象の治療のための使用に関する指示書が含まれうる。好ましい抗コネキシンポリヌクレオチドおよびコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよびコネキシン43アンチセンスポリヌクレオチドである。一実施形態において、容器は、治療有効量の、1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤をさらに含む。一実施形態において、製品は、治療有効量の、1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤を含有する容器をさらに含む。
【0045】
本発明は、1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを含有する1または複数の投薬形態を含有するパッケージング材料を含む、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な製品であって、パッケージング材料は、投薬形態が、線維症または線維症性疾患、線維症性障害、もしくは線維症性状態を含めた、本明細書に記載または言及されている疾患、障害、および/または状態のうちのいずれかを有するか、または有することが疑われるか、またはこれらに対し罹患しやすい対象に使用できることを示すラベルを有する製品を包含する。そのような剤形には、例えば、局所送達形態および局所送達製剤が含まれる。好ましい抗コネキシンポリヌクレオチドおよびコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよびコネキシン43アンチセンスポリヌクレオチドである。一実施形態において、上記剤形は、治療有効量の、1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤をさらに含む。一実施形態において、上記剤形は、治療有効量の、1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤を含有する容器をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
定義
本明細書で用いられる「障害」とは、線維症を軽減または抑制する薬剤から利益を得る任意の障害、疾患、または状態である。例えば、細胞外マトリックス内における線維症性物質の過剰生成を含む、線維症性物質の過剰生成を特徴とする、疾患、障害、および状態が含まれる。また、マトリックス会合成分の異常で、非機能的で、かつ/または過剰な蓄積による正常な組織エレメントの置換を特徴とする疾患、障害、および状態も含まれる。
【0047】
本明細書で用いられる「対象」とは、ヒト、家畜動物、農場動物、動物園動物、競技動物、およびペット動物(イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシなど)を含む任意の哺乳動物を指す。本明細書で好ましい哺乳動物は、成人、小児、および老齢者を含めたヒトである。対象はまた、動物園鳥類、競技鳥類、およびペット鳥類を含む鳥類でもありうる。
【0048】
本明細書で用いられる「予防する(preventing)」とは、予防されるものまたはイベントの生成または発生を全体的もしくは部分的に予防するか、またはこれらを改善するかもしくは制御するか、またはこれらを軽減するか、抑制するか、もしくは停止させることを意味する。
【0049】
本発明の化合物または組成物に関して本明細書で用いられる「治療有効量」または「有効量」とは、所望の生物学的結果、薬学的結果、または治療結果を誘導するのに十分な量を指す。その結果は、疾患もしくは障害もしくは状態の徴候、症状、もしくは原因の緩和、または生物学的系の他の任意の望ましい変化でありうる。本発明において、結果は、線維症を予防することを含む。
【0050】
本明細書で用いられる「治療する(treating)」という用語は、治療的処置および予防(prophylactic)措置または予防(preventative)措置の両方を指す。治療を必要とするものは、すでに障害を有するもののほか、障害を有する傾向があるかもしくは障害を有すると診断されたもの、または障害が予防されるべきものを含む。したがって、線維症の形成前または線維症性組織の形成前に投与される本発明の化合物および組成物および製剤の抗線維症性適用は、本発明の範囲内である。
【0051】
本明細書で使用される場合、「同時に」は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドが、単独でまたは1もしくは複数の治療剤および/もしくは創傷治癒に有用な薬剤と組み合わせて同時に投与されることを意味するように使用され、一方、用語「組み合わせて」は、ポリヌクレオチドおよび/または薬剤が、同時にまたは物理的に組み合わせて投与されるのではない場合、それらが共に治療的に作用するのに有効である時間枠内で「逐次」投与されることを意味するように使用される。したがって、「逐次」投与は、一方のポリヌクレオチドまたは薬剤が、他方のポリヌクレオチドまたは薬剤の後、数分(例えば1、2、3、4、5、10、15、20、25、30分)または数時間、数日、数週、もしくは数カ月以内に投与されることを、両者が治療有効量で同時に存在することを条件に、許容しうる。複数成分の投与間の時間遅延は、それらの成分の厳密な性質、それらの間の相互作用、およびそれらのそれぞれの半減期に依存して変動する。
【0052】
本明細書において使用される場合、「抗コネキシンポリヌクレオチド」は、コネキシンmRNAおよび/またはコネキシンタンパク質の発現を低減するまたは阻害する。抗コネキシンポリヌクレオチドは、限定を伴うことなく、アンチセンスポリヌクレオチド、他のポリヌクレオチド(siRNAまたはリボザイムの機能を有するポリヌクレオチドなど)などのアンチセンス化合物を含む。抗コネキシンポリヌクレオチドの適した例は、コネキシンに対するアンチセンスポリヌクレオチドを含む。したがって、適した抗コネキシンポリヌクレオチドは、例えば、選択される組織、細胞、および対象におけるコネキシンおよびギャップジャンクションの発現または活性を調整するアンチセンスポリヌクレオチド(例えばコネキシン43アンチセンスポリヌクレオチド)を含む。例示的な抗コネキシンポリヌクレオチドは、本明細書においてさらに記載される。
【0053】
本明細書で用いられる「線維症性」疾患、障害、または状態は、本明細書で言及されるそれらを含み、線維原性に関連する生物学または病理学が明らかである急性症状および慢性症状、臨床症状または無症状をさらに含む。線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態は、細胞外マトリックス内における線維症性物質の過剰生成、またはマトリックス会合成分の異常で、非機能的で、かつ/または過剰な蓄積による正常組織エレメントの置換を含む、線維状物質の過剰生成を全体的または部分的に特徴とする疾患、障害、または状態を含む。線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態は、例えば、線維症を特徴とする、線維原性に関連する生物学または病理学を含む。
【0054】
例示的な線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態は、例えば、強皮症(限局性強皮症、汎発性モルフェア、または線状強皮症を含む)、腎線維症(糸球体硬化症、腎尿細管間質性線維症、進行性腎疾患、または糖尿病性腎症を含む)、心線維症(例えば、心筋線維症)、肺線維症(例えば、糸球体硬化症肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿肺症、間質性肺疾患、間質性線維症性肺疾患、および化学療法/放射線照射により誘導される肺線維症)、口腔線維症、心内膜心筋線維症、三角筋線維症、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、結節性筋膜炎、好酸球性筋膜炎、様々な程度で正常な筋肉組織が線維症性組織により置換されることを特徴とする一般的な線維症症候群、後腹膜線維症、肝線維症、肝硬変、慢性腎不全;骨髄線維症(myelofibrosis(骨髄線維症(bone marrow fibrosis))、薬剤誘導性麦角中毒、リー−フラウメニ症候群における神経膠芽腫、散発性神経膠芽腫、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性症候群、婦人科の癌、カポジ肉腫、ハンセン病、コラーゲン蓄積大腸炎、および急性線維症を含む。
【0055】
線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態はまた、拘縮を含みうる。術後拘縮を含む拘縮とは、緊張性痙攣もしくは線維症によるか、または正常な組織のコンプライアンス、運動、もしくは平衡(例えば、筋肉、腱、靭帯、筋膜、滑膜、関節包、他の結合組織、または脂肪)の喪失による、運動範囲の永久的または長期的な低下を指す。一般に、拘縮状態は、急性および慢性の炎症成分による線維症性反応を伴いうる。その一部は、リリース手順を含む手術と関連しうる。デュピュイトラン拘縮、ペイロニー病、およびレダーホース病などの遺伝性拘縮もまた含まれる。
【0056】
線維症は、慢性の場合も急性の場合もある。線維症性状態は、組織内における過剰量の細胞外マトリックスの蓄積を含み、機能不全および潜在的には臓器不全を引き起こす組織を形成する、過剰量の線維状組織を含む。慢性線維症は、主要臓器、最も一般的には、肺、肝臓、腎臓、および/または心臓の線維症を含む。急性線維症(通常、突発的で重度の発症を伴い、短期間にわたり持続する)は、傷害、虚血性疾患(例えば、心臓発作後における心臓の瘢痕化)、環境汚染物質、アルコール、および他の種類の毒素、急性呼吸窮迫症候群、放射線照射および化学療法による治療を含む種々の形態の外傷に対する一般的な反応として生じることが典型的である。外傷により損傷したすべての組織は、特に、損傷が反復される場合、線維症性となりうる。
【0057】
傷害に対する反応は、傷害に後続する、協調して一時的に調節されたメディエーターのパターンと、組織内における細胞イベントの連鎖とを伴うことが報告されている。最初の傷害は、凝固カスケードおよび急性の局所性炎症反応を誘発し、間葉細胞の動員、増殖、およびマトリックスの合成がそれに続くことが報告されている。異常なサイトカイン経路を伴うことが多い制御されないマトリックス蓄積により、線維症性状態または線維症性障害が生じうる。肺、腎臓、肝臓、心臓、脳、および骨髄などの生体の臓器における進行性線維症は、疾患および死亡両方の主要な原因である。
【0058】
抗コネキシンポリヌクレオチド
抗コネキシンポリヌクレオチドには、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドおよびそれらが、コネキシン発現を下方調節するかまたは他の方法で阻害する(例えばmRNAの転写または翻訳の下方調節または阻害によって)ことを可能にする機能性を有するポリヌクレオチドが含まれる。下方調節の場合には、これは、コネキシン発現が下方調節される部位で、ギャップジャンクションによる直接的な細胞間情報伝達またはヘミチャネルを通しての細胞外空間へのアクセスを低下させる効果を有する。
【0059】
適した抗コネキシンポリヌクレオチドには、アンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを含む)、RNAiポリヌクレオチド、およびsiRNAポリヌクレオチドが含まれる。
【0060】
RNAi、siRNA、およびリボザイムポリヌクレオチドのほか、骨格が改変および混合されたポリヌクレオチドなどの、アンチセンスポリヌクレオチドおよび他の抗コネキシンポリヌクレオチドの合成は、当業者に公知である。例えば、Stein C.A.およびKrieg A.M.(編)、「Applied Antisense Oligonucleotide Technology」、1998年、(Wiley−Liss)を参照されたい。
【0061】
一態様によれば、コネキシン発現の下方調節は一般に、アンチセンスポリヌクレオチド(DNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドなど)を用いるアンチセンス法に基づき、またより具体的に、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の使用に基づきうる。これらのポリヌクレオチド(例えば、ODN)は、(1または複数の)コネキシンタンパク質を標的としてこれらを下方調節する。ポリヌクレオチドは、一本鎖であることが典型的であるが、二本鎖の場合もある。
【0062】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンの転写および/または翻訳を阻害しうる。ポリヌクレオチドは、コネキシン遺伝子またはコネキシンmRNAからの転写および/または翻訳の特異的な阻害剤であり、他の遺伝子またはmRNAからの転写および/または翻訳を阻害しないことが好ましい。生成物は、(i)コード配列に対する5’側、および/または(ii)コード配列に対する、および/または(iii)コード配列に対する3’側にあるコネキシン遺伝子またはコネキシンmRNAに結合しうる。
【0063】
アンチセンスポリヌクレオチドは一般に、コネキシンmRNAに対してアンチセンスである。このようなポリヌクレオチドはコネキシンmRNAにハイブリダイズすることが可能であり、したがって、転写、mRNAのプロセッシング、核からのmRNAの輸送、翻訳、またはmRNAの分解を含む、コネキシンmRNA代謝の1つまたは複数の側面に干渉することにより、コネキシン発現を阻害しうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAにハイブリダイズして、mRNA翻訳の直接的な阻害および/またはmRNAの不安定化を引き起こしうる二重鎖を形成することが典型的である。このような二重鎖は、ヌクレアーゼによる分解に対して感受性でありうる。
【0064】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部にハイブリダイズしうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAのリボソーム結合領域またはコード領域にハイブリダイズすることが典型的である。ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部の領域に対して相補的でありうる。例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部の正確な相補体でありうる。しかし、絶対的な相補性は必要とされず、生理学的条件下において約20℃、30℃、または40℃を超える融解温度を有する二重鎖を形成するのに十分な相補性を有するポリヌクレオチドが、本発明における使用に特に適する。
【0065】
したがって、ポリヌクレオチドは、mRNAに対して相補的な配列の相同体であることが典型的である。ポリヌクレオチドは、約50℃〜約60℃における0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウムなどの中程度〜高度に厳密な条件下においてコネキシンmRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドでありうる。
【0066】
一部の態様について述べると、適切なポリヌクレオチドは、約6〜40ヌクレオチドの長さであることが典型的である。ヌクレオチドは、好ましくは約12〜約35ヌクレオチドの長さでもあり、代替的には、約12〜約20ヌクレオチドの長さでもあり、より好ましくは、約18〜約32ヌクレオチドの長さでもありうる。代替的な態様によれば、ポリヌクレオチドは、少なくとも約40ヌクレオチド、例えば、少なくとも約60ヌクレオチドまたは少なくとも約80ヌクレオチドの長さでありえ、最長約100、約200、約300、約400、約500、約1000、約2000、または約3000ヌクレオチド以上の長さでありうる。
【0067】
ポリヌクレオチドにより標的とされる1または複数のコネキシンタンパク質は、下方調節が行われる部位に依存する。これは、コネキシンサブユニットの組成に関して、全身の異なる部位において(1または複数の)ギャップジャンクションの構成が一様でないことを反映する。コネキシンは、一態様における、ヒトもしくは動物の天然に存在するコネキシンであるか、またはコネキシンの発現または活性を低下させる予定の組織内の天然に存在するコネキシンである。コネキシン遺伝子(コード配列を含む)は一般に、表2に示すコネキシン43コード配列との相同性など、本明細書で言及される1または複数の特異的なコネキシンのコード配列との相同性を有する。コネキシンは、αコネキシンまたはβコネキシンであることが典型的である。コネキシンはαコネキシンであり、治療される組織において発現することが好ましい。
【0068】
しかし、組織内における分布に関して、一部のコネキシンタンパク質は、他のコネキシンタンパク質よりも遍在性である。最も広範に存在するコネキシンタンパク質の1つが、コネキシン43である。コネキシン43を標的とするポリヌクレオチドが、本発明における使用に特に適する。他の態様では、他のコネキシンが標的とされる。
【0069】
好ましい一態様において、アンチセンスポリヌクレオチドは、1種のコネキシンタンパク質のmRNAだけを標的とする。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。別の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン26、30、31.1、32、36、37、40、または45である。他の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン30.3、31、40.1、または46.6である。
【0070】
別個のコネキシンタンパク質を標的とするポリヌクレオチドを組み合わせて用いることもまた意図される(例えば、1種、2種、3種、4種以上の異なるコネキシンを標的とすることができる)。例えば、コネキシン43を標的とするポリヌクレオチドと、コネキシンファミリーの1つまたは複数の他のメンバー(コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6など)とを標的とするポリヌクレオチドを、組み合わせて用いることができる。
【0071】
代替的に、アンチセンスポリヌクレオチドは、複数種のコネキシンタンパク質に対するポリヌクレオチドを含みうる組成物の一部でもありうる。ポリヌクレオチドが対象とするコネキシンタンパク質の1つは、コネキシン43であることが好ましい。オリゴデオキシヌクレオチドが対象とする他のコネキシンタンパク質は、例えば、コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6を含みうる。各種のコネキシンを対象とするのに適する例示的なポリヌクレオチド(およびODN)を、表1に示す。
【0072】
個々のアンチセンスポリヌクレオチドは、特定のコネキシンに特異的な場合もあり、1種、2種、3種以上の異なるコネキシンを標的とする場合もある。特異的なポリヌクレオチドが一般に、コネキシン間において保存されないコネキシン遺伝子またはコネキシンmRNA内の配列を標的とする一方、非特異的なポリヌクレオチドは、各種コネキシンの保存的配列を標的とする。
【0073】
本発明で用いられるポリヌクレオチドは、非改変のホスホジエステルオリゴマーでありうるのが好都合である。このようなオリゴデオキシヌクレオチドは、長さが変わりうる。30マーのポリヌクレオチドが特に適することが分かっている。
【0074】
本発明の多くの態様は、オリゴデオキシヌクレオチドに関して説明される。しかし、これらの態様では、他の適切なポリヌクレオチド(RNAポリヌクレオチドなど)も用いうることが理解される。
【0075】
アンチセンスポリヌクレオチドは、化学修飾することができる。これにより、ヌクレアーゼに対するこれらの耐性を増強することができ、これらが細胞内に入る能力を増強することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを用いることができる。他のデオキシヌクレオチド類似体は、メチルホスホネート、ホスホラミデート、ホスホロジチオエート、N3’P5’−ホスホラミデート、ならびにオリゴリボヌクレオチドホスホロチオエートおよびそれらの2’−O−アルキル類似体、ならびに2’−O−メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートを含む。代替的に、混合骨格オリゴヌクレオチド(「MBO」)も用いることができる。MBOは、ホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチドのセグメントと、改変されたオリゴデオキシヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドの適切に配置されたセグメントとを含有する。MBOは、ホスホロチオエート結合のセグメントと、非イオン性で、ヌクレアーゼまたは2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチドに対して極めて耐性なメチルホスホネートなどの、他の改変オリゴヌクレオチドの他のセグメントとを有する。改変骨格オリゴヌクレオチドおよび混合骨格オリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野において公知である。
【0076】
本発明で用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存する。一実施形態において、適切なコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、表1に記載される以下の配列から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドなどのポリヌクレオチドを含みうる。
【0077】
【表1−1】

【0078】
【表1−2】

本明細書に記載の、ポリヌクレオチドの組合せ組成物の調製に適するポリヌクレオチドは、例えば、上記の表1に記載したコネキシン43に対するポリヌクレオチドと、コネキシン26、30、31.1、32、および37に対するポリヌクレオチドとを含む。
【0079】
本発明において用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存するが、コネキシン43の場合、以下の配列:
GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC(配列番号1);
GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC(配列番号2);および
GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT(配列番号3)
を有するアンチセンスポリヌクレオチドが特に適することが分かっている。
【0080】
例えば、コネキシン26、31.1、および32に適するアンチセンスポリヌクレオチドは、以下の配列:
5’ TCC TGA GCA ATA CCT AAC GAA CAA ATA(コネキシン26)(配列番号4);
5’ CGT CCG AGC CCA GAA AGA TGA GGT C(コネキシン31.1)(配列番号9);および
5’ TTT CTT TTC TAT GTG CTG TTG GTG A(コネキシン32)(配列番号12)
を有する。
【0081】
本発明の方法により有用な他のコネキシンアンチセンスポリヌクレオチド配列は、
5’ CAT CTC CTT GGT GCT CAA CC 3’(コネキシン37)(配列番号5);
5’ CTG AAG TCG ACT TGG CTT GG 3’(コネキシン37)(配列番号6);
5’ CTC AGA TAG TGG CCA GAA TGC 3’(コネキシン30)(配列番号7);
5’ TTG TCC AGG TGA CTC CAA GG 3’(コネキシン30)(配列番号8);
5’ AGA GGC GCA CGT GAG ACA C 3’(コネキシン31.1)(配列番号10);および
5’ TGA AGA CAA TGA AGA TGT T 3’(コネキシン31.1)(配列番号11)
を含む。
【0082】
コネキシンタンパク質を対象とする、ODNを含むポリヌクレオチドは、任意の簡便な従来の手法により、それらのヌクレオチド配列に関して選択することができる。例えば、コンピュータプログラムであるMacVectorおよびOligoTech(Oligosなど、Eugene、Oregon、USA製)を用いることができる。選択されると、DNA合成器を用いてODNを合成することができる。
【0083】
ポリヌクレオチドの相同体
抗コネコシンポリヌクレオチドはまた、ポリヌクレオチドの相同体を含む。本明細書では、相同性および相同体(例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNA中の配列に対する相補体の相同体でありうる)について論じる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、(相同配列の)少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約100以上の連続ヌクレオチドの領域にわたって、対象配列(relevant sequence)と少なくとも約70%の相同性、好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の相同性を有することが典型的である。
【0084】
相同性は、当技術分野における任意の方法に基づいて計算することができる。例えば、UWGCGパッケージでは、相同性を計算するのに用いうるBESTFITプログラム(例えば、そのデフォルト設定で用いられる)が提供される(Devereuxら(1984年)、Nucleic Acids Research、第12巻、387〜395頁)。PILEUPアルゴリズムおよびBLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul S. F.(1993年)、J Mol Evol、第36巻、290〜300頁; Altschul, S, Fら(1990年)、J Mol Biol、第215巻、403〜10頁において説明される通り、相同性を計算するか、または配列を整列するのに用いることができる(それらのデフォルト設定における場合が典型的である)。
【0085】
BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中における同じ長さのワードにより整列する場合、ある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはこれを満たすクエリー配列中における長さWの短いワードを同定することによる、高スコアリング配列対(HSP)の同定を伴う。Tを、近傍ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称する。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含有するHSPを見出す検索を開始するためのシード(seed)として作用する。ワードヒットは、累積のアライメントスコアが増大しうる限りにおいて、各配列に沿って両方向に延長される。各方向におけるワードヒットの延長は、累積アライメントスコアが、達成されたその最大値から量Xだけ低下する場合;累積スコアが、1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントの累積により、ゼロ以下に低下する場合;またはいずれかの配列の端部に到達する場合に停止される。
【0086】
BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXにより、アラインメントの感度および速度が決定される。BLASTプログラムでは、ワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、10915〜10919頁を参照されたい)によるアライメント(B=50)、期待値(E=10)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較が、デフォルトとして用いられる。
【0087】
BLASTアルゴリズムでは、2つの配列間における類似性に対する統計学的解析が実施される。例えば、KarlinおよびAltschul(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、5873〜5787頁を参照されたい。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間におけるマッチが偶然に生じる確率を示す、最小合計確率(P(N))である。例えば、第2の配列に対して第1の配列を比較した場合の最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、また最も好ましくは約0.001未満である場合、ある配列は別の配列に対して類似するとみなす。
【0088】
相同配列は、少なくとも約2、5、10、15、20以上(または約2、5、10、15、20以下)の変異(置換、欠失、または挿入でありうる)により対象配列と異なることが典型的である。これらの変異は、相同性の計算との関連で、上述の領域のいずれかにわたって測定することができる。
【0089】
相同配列は、バックグラウンドを有意に上回るレベルで、元の配列に選択的にハイブリダイズすることが典型的である。選択的なハイブリダイゼーションは、中程度〜高度に厳密な条件(例えば、約50℃〜約60℃における0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)を用いて達成することが典型的である。しかし、このようなハイブリダイゼーションは、当技術分野において公知の任意の適切な条件下で実施することができる(Sambrookら(1989年)、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」を参照されたい)。例えば、高い厳密性(stringency)が必要とされる場合、適切な条件は60℃における0.2×SSCを含む。より低い厳密性が必要とされる場合、適切な条件は60℃における2×SSCを含む。
【0090】
治療剤
治療剤には、現在既存である、公知である、または後に開発されるかどうかにかかわらず、創傷の治療または創傷治癒の促進に有用な薬学的に許容される薬剤が含まれる。治療剤には、例えば、抗感染症薬、麻酔薬、鎮痛薬、抗生物質、麻酔剤、ならびにステロイド性抗炎症剤および非ステロイド性抗炎症剤が含まれる。好ましい治療剤には、局所ステロイド抗炎症剤、抗菌剤、局部および局所麻酔薬、ならびに局所オピオイドが含まれる。特定の実施形態において、1、2、3、4、5、または6つの治療剤は、組み合わせて使用されうる。他の実施形態において、治療剤は、抗コネキシンペプチド、例えば抗コネキシンペプチド模倣剤ではない。
【0091】
創傷治癒に有用な薬剤
本明細書において使用される場合、創傷治癒に有用な薬剤には、1)自然の創傷治癒プロセスを促進するもしくは速めるまたは2)不適当なもしくは遅延性の創傷治癒と関連する影響を低下させる創傷治癒カスケードの刺激薬、賦活薬、または正のメディエータが含まれ、これらの影響には、例えば、有害な炎症、上皮形成、新脈管形成、およびマトリックス沈着ならびに瘢痕および線維症が含まれる。特定の実施形態において、治療剤は、抗コネキシンペプチド、例えば抗コネキシンペプチド模倣剤ではない。
【0092】
正のメディエータ、賦活薬、および刺激薬には、例えば、創傷治癒の量、質、もしくは有効性または活性な創傷治癒過程または創傷部位の創傷治癒関連成長因子もしくは創傷治癒関連サイトカイン、または創傷治癒関連成長因子受容体もしくは創傷治癒関連サイトカイン受容体の活性化を刺激、増強、促進、または加速しうる(つまりアゴナイズする)薬剤が含まれる。そのような薬剤には、例えば、創傷治癒関連成長因子もしくは創傷治癒関連サイトカインまたは創傷治癒関連成長因子もしくは創傷治癒関連サイトカインの部分改変形態が含まれうる。創傷治癒関連成長因子または創傷治癒関連サイトカインの部分改変形態は、例えば、天然の創傷治癒関連成長因子または創傷治癒関連サイトカインよりも長い半減期を有するものでありうる。あるいは、それは、創傷治癒関連成長因子または創傷治癒関連サイトカインの代謝の阻害剤でありうる。
【0093】
創傷治癒に有用な薬剤には、抗線維症剤も含まれ、これには、例えば、線維形成性の病態を予防および/もしくは抑制、軽減または改善できる任意の薬剤が含まれる。例示的な抗線維症剤には、例えば、創傷関連炎症反応、傷害の部位への好中球の動員;マクロファージおよび内皮細胞の活性化および動員;いくつものサイトカイン/ケモカインの分泌を介してのリンパ球および/または好酸球の動員および活性化;細胞傷害性メディエータおよび線維形成性サイトカインの放出;細胞増殖、ECM合成、および新脈管形成の強化(recruiting)および活性化と関連する直接的または間接的調節物質が含まれる。
【0094】
そのような薬剤の部分的改変は、アミノ酸残基の付加、欠失、または置換によるものでありうる。置換は、例えば、保存的置換でありうる。したがって、部分的改変分子は、それが由来する分子の相同体でありうる。それは、それが由来する分子と、少なくとも約40%、例えば約50、60、70、80、90、または95%の相同性を有しうる。
【0095】
本明細書において使用される場合、創傷治癒に有用な薬剤は、例えば、当技術分野において現在公知であるかまたは後に開発される、創傷治療形態のための創傷治癒促進剤または瘢痕低下剤;創傷治癒を促進するための天然もしくは合成の成長因子、サイトカイン、またはそのモジュレータ、創傷治癒を促進する生体工学でつくられたマトリックス、包帯材、包帯、およびその他同種のものを含めた、例示的な因子、薬剤、または形態が含まれうる。適した例には、1)局所療法もしくは包帯材による療法および関連療法ならびに排膿促進剤(debriding agent)(例えばSantyl(登録商標)コラゲナーゼなど)およびIodosorb(登録商標)(カデキソマーヨウ素);2)SAG(銀抗菌ゲル)、(CollaGUARD(商標)、Innocoll,Inc)(精製I型コラーゲンタンパク質ベースの包帯材)、CollaGUARD Ag(感染創傷もしくは感染の危険性がある創傷のための、銀を浸透させたコラーゲンベースの生物活性包帯材)、DermaSIL(商標)(深く、ひどく滲出性の創傷のためのコラーゲン合成気泡複合包帯材)などの、例えば銀含有薬剤を含む、全身もしくは局所クリームもしくはゲルを含む抗菌剤;3)例えば、Dermograft(サイトカインおよび成長因子を分泌するヒト線維芽細胞の3次元マトリックス培養物)、Apligraf(登録商標)(ヒトケラチノサイトおよびヒト線維芽細胞)、Graftskin(登録商標)(正常な皮膚に組織学的に類似し、正常な皮膚によって生産されるものに類似する成長因子を生産する上皮細胞および線維芽細胞の二重層)、TransCyte(ヒト線維芽細胞由来の一時的な皮膚代用物)、ならびにOasis(登録商標)(成長因子ならびにコラーゲン、プロテオグリカン、およびグリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックス成分を共に含む活性な生体材料)を含む細胞療法もしくは生体工学でつくられた皮膚、皮膚代用物、および皮膚等価物;4)例えば、NGF、NT3、BDGF、インテグリン、プラスミン、セマフォリン(semaphoring)、血液由来成長因子、ケラチノサイト成長因子、組織成長因子、TGFアルファ、TGFベータ、PDGF(3つのサブタイプのうちの1もしくは複数が使用されうる:AA、AB、およびB)、PDGF−BB、TGFベータ3、TGFβ3、TGFβ1、およびTGFβ2の相対的なレベルを調整する因子(例えばマンノース−6−リン酸)、例えばエストロゲン、エストラジオール、もしくはエチニルエストラジオール、ジエノエストロール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、結合型エストロゲン、ピペラジンエストロンスルフェート、スチルベストロール、ホスフェストロール四ナトリウム、リン酸ポリエストラジオール、チボロン、フィトエストロゲン、17−ベータ−エストラジオールからなる群から選択される、エストロゲン受容体アゴニストを含む性ステロイド;チモシン−ベータ−4などの胸腺ホルモン、EGF、HB−EGF、線維芽細胞成長因子(例えばFGF1、FGF2、FGF7)、ケラチノサイト成長因子、TNF、例えばIL−10、IL−1、IL−2、IL−6、IL−8、およびIL−10ならびにそのモジュレータなどの炎症応答モジュレータのインターロイキンファミリー;INF(INFアルファ、ベータ、およびデルタ);アクチビンもしくはインヒビンの刺激薬ならびにインターフェロンガンマ プロスタグランジンE2(PGE2)の阻害剤およびアデノシン3’,5’環状一リン酸(cAMP)経路のメディエータの阻害剤;アデノシンA1アゴニスト、アデノシンA2アゴニストを含む、創傷治癒を促進するために創傷に導入されるサイトカイン、成長因子、もしくはホルモン(天然および合成の両方)、または5)例えば、VEGF、VEGFA、IGF;IGF−1、炎症誘発性サイトカイン、GM−CSF、およびレプチンの天然もしくは合成の両方の相同体、アゴニスト、およびアンタゴニストを含む、創傷治癒に有用な他の薬剤、ならびに6)IGF−1およびKGF cDNA、自己由来血小板ゲル、次亜塩素酸(Sterilox(登録商標)、リポ酸、一酸化窒素シンターゼ3、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP−9)、CCT−ETA、アルファvベータ6インテグリン、成長因子プライム化線維芽細胞、およびデコリン、銀含有創傷包帯材、Xenaderm(商標)、パパイン創傷排膿促進剤、ラクトフェリン、サブスタンスP、コラーゲン、および銀−ORC、胎盤アルカリホスファターゼもしくは胎盤成長因子、ヘッジホッグシグナル伝達のモジュレータ、コレステロール合成経路のモジュレータ、およびAPC(活性化プロテインC)、ケラチノサイト成長因子、TNF、トロンボキサンA2、NGF、BMP骨形成タンパク質、CTGF(結合組織成長因子)、創傷治癒ケモカイン、デコリン、乳酸誘発性血管新生のモジュレータ、肝油、胎盤アルカリホスファターゼもしくは胎盤成長因子、およびチモシンベータ4が含まれうるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、創傷治癒に有用な1、2、3、4、5、または6つの薬剤は、組み合わせて使用されうる。
【0096】
上記の創傷治癒に有用な薬剤(例えば成長因子およびサイトカインを含む)は、天然で存在する多型(例えば成長因子またはサイトカインの多型)をすべて包含することを理解されたい。さらに、機能的断片、創傷治癒に有用な前記薬剤のうちの1つを含むキメラタンパク質またはその機能的断片、創傷治癒に有用な薬剤の1または複数のアミノ酸の類似性の置換によって得られる相同体、および種相同体が包含される。創傷治癒に有用な1または複数の薬剤は、組換えDNA技術の産物であってもよく、創傷治癒に有用な1または複数の薬剤は、トランスジェニック技術の産物でありうることが企図される。例えば、血小板由来成長因子は、組換えPDGFまたはPDGFのコード配列を含む遺伝子治療ベクターの形態で提供されうる。
【0097】
断片またはその部分改変形態は、追加の機能性をもちろん有していてもよいが、因子の生物学的または創傷治癒の機能性を保持する、創傷治癒に有用な薬剤の断片または部分改変形態を指す。部分改変は、例えば、アミノ酸残基の付加、欠失、または置換によるものでありうる。例えば、置換は、保存的置換でありうる。したがって、部分改変分子は、創傷治癒に有用な薬剤の相同体でありうる。それらは、例えば、前記因子と少なくとも約40%の相同性を有していてもよい。それらは、例えば、前記因子と少なくとも約50、60、70、80、90、または95%の相同性を有する。例えば、特定の実施形態において、IL−10またはその断片もしくは部分改変形態は、約1μMおよび約10μMの間の濃度で投与されうる。それは、約2.5μMおよび約5μMの間の濃度で投与されうる。ある他の実施形態において、IL−10またはその断片もしくは部分改変形態は、創傷治癒の直前に投与されうるが、損傷の約7日間以内に投与される場合、有効であり得る。それは、少なくとも2度投与することができる。
【0098】
投薬形態および製剤および投与
本発明の薬剤は、本明細書で言及される疾患、障害または状態のいずれかを有するか、またはそれらの危険性がある対象など、治療を必要とする対象に投与することができる。こうして、対象の状態を改善することができる。したがって、抗コネキシンポリヌクレオチドは、治療による対象の身体の処置に用いることができる。これらは、本明細書で言及される疾患、障害、または状態のいずれかを治療する薬剤の製造において用いることができる
抗コネキシンポリヌクレオチドは、実質的に単離形態で存在しうる。生成物は、生成物の意図される目的に干渉しない担体または希釈剤と混合することができ、これをなおも実質的に単離状態にあるとみなしうることが理解される。本発明の生成物はまた、実質的に精製形態の場合もあり、この場合、生成物は一般に、ポリヌクレオチドの、または調製物の乾燥質量の、約80%、85%、または90%(例えば、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が挙げられる)を含む。
【0099】
意図される投与の経路に応じて、本発明の医薬品、医薬組成物、組合せ調製物、および薬剤は、例えば、溶液、懸濁液、点滴、スプレー、軟膏(salve)、クリーム、ゲル、泡沫、軟膏(ointment)、エマルジョン、ローション、ペイント、持続放出製剤、または粉末の形態をとることができ、(1または複数の)有効成分の約0.01%〜約1%、(1または複数の)有効成分の約1%〜約50%、(1または複数の)有効成分の約2%〜約60%、(1または複数の)有効成分の約2%〜約70%、または(1または複数の)有効成分の約90%までを含有することが典型的である。他の適切な製剤は、プロニックゲルベースの製剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)ベースの製剤、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(hyroxypropylmethylcellulose)(HPMC)ベースの製剤を含む。他の有用な製剤は、徐放調製物または遅延放出調製物を含む。
【0100】
ゲルまたはゼリーは、ゼラチン、トラガカント、またはセルロース誘導体を含むがこれらに限定されない適切なゲル化剤を用いて作製することができ、保湿剤、皮膚軟化剤、および防腐剤としてグリセロールを含みうる。軟膏は、脂肪基剤、蝋基剤、または合成基剤中に組み込まれた有効成分からなる半固体調製物である。適切なクリームの例は、油中水エマルジョンおよび水中油エマルジョンを含むがこれらに限定されない。油中水クリームは、セチルアルコールまたはセトステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールの特性に類似した特性を有するがこれに限定されない適切な乳化剤および乳化蝋と類似する特性を有するがこれに限定されない適切な乳化剤を用いて調合することができる。水中油クリームは、セトマクロゴール乳化蝋などの乳化剤を用いて調合することができる。適切な特性は、エマルジョンの粘稠度を変化させる能力、および広範なpHにわたる物理および化学の両面における安定性を含む。水溶性または混和性のクリーム基剤は、防腐剤系を含有する場合があり、また、許容される生理学的なpHを維持するように緩衝化することもできる。
【0101】
泡沫調製物は、不活性の噴霧剤を用いる適切なアプリケーターにより、加圧エアゾールキャニスターから送達するように調合することができる。泡沫基剤の製剤に適する賦形剤は、プロピレングリコール、乳化蝋、セチルアルコール、およびステアリン酸グリセリルを含むがこれらに限定されない。潜在的な防腐剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベンを含む。
【0102】
本発明の薬剤を薬学的に許容される担体または希釈剤と組合せて、医薬組成物を作製することが好ましい。適切な担体および希釈剤は、等張性の食塩液、例えば、リン酸塩緩衝化食塩液を含む。適切な希釈剤および賦形剤はまた、例えば、水、食塩液、デキストロース、グリセロールなど、およびこれらの組合せ物も含む。加えて、所望の場合、保湿剤または乳化剤、安定化剤またはph緩衝剤などの物質もまた存在しうる。
【0103】
「薬学的に許容される担体」という用語は、組成物を投与される個体に有害な抗体の生成をそれ自体では誘導せず、不適切な毒性なしに投与しうる任意の薬学的な担体を指す。適切な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、およびアミノ酸コポリマーなどの大型でゆっくりと代謝される高分子でありうる。
【0104】
例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸塩など、薬学的に許容される塩もまた存在しうる。
【0105】
適切な担体物質は、局所投与用のクリーム、ローション、スプレー、泡沫、ゲル、エマルジョン、ローション、またはペイントのための基剤として一般に用いられる任意の担体またはビークルを含む。例は、乳化剤、炭化水素の基剤を含む不活性担体、乳化基剤、無毒性溶媒、または水溶性の基剤を含む。特に適切な例は、プルロニック、HPMC、CMC、および他のセルロース基剤の成分、ラノリン、硬質パラフィン、液体パラフィン、軟質黄色パラフィン、または軟質白色パラフィン、白色蜜蝋、黄色蜜蝋、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ジメチコーン、乳化蝋、ミリスチン酸イソプロピル、微晶質蝋、オレイルアルコール、およびステアリルアルコールを含む。
【0106】
薬学的に許容される担体またはビークルは、ゲルであることが好ましく、非イオン性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーゲル、例えば、プルロニックゲル、好ましくはPluronic F−127(BASF Corp.)であることが適切である。このゲルは、低温では液体であるが、生理学的温度では急速に固まり、これにより、薬剤の放出が適応部位またはその部位にすぐの近接部位に限定されるので特に好ましい。
【0107】
カゼイン、ゼラチン、アルブミン、膠、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはポリビニルアルコールなどの補助剤もまた、本発明の製剤中に組み入れることができる。
【0108】
他の適切な製剤は、プロニックゲル基剤の製剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)基剤の製剤、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)基剤の製剤を含む。組成物は、局所投与、点滴投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、または経皮投与を含む、任意の所望の送達形態に応じて調合することができる。他の有用な製剤は、徐放調製物または遅延放出調製物を含む。
【0109】
投与される製剤は、トランスフェクション剤を含有しうる。このような薬剤の例は、陽イオン剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAEデキストラン)およびリポフェクション剤(例えば、lipofectam(商標)およびtransfectam(商標))、ならびに界面活性剤を含む。
【0110】
一つの実施形態において、製剤がポリヌクレオチドの細胞透過を補助する界面活性剤をさらに含むか、または製剤が任意の適切な充填剤を含有すると好都合である。DMSOなど、任意の適切な無毒性界面活性剤を組み入れることができる。代替的に、尿素などの経皮透過剤も組み入れることができる。
【0111】
任意選択で、抗コネキシンポリヌクレオチドは、1または複数の治療剤、創傷治癒に有用な薬剤、および/または抗線維症剤と共に製剤されうる。特定の実施形態において、1、2、3、4、5、または6つの治療剤は、組み合わせて使用されうる。特定の実施形態において、創傷治癒に有用な1、2、3、4、5、または6つの薬剤は、組み合わせて使用されうる。
【0112】
一態様において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドは、単独でまたは1もしくは複数の治療剤および/もしくは創傷治癒に有用な薬剤と組み合わせて、創傷包帯材またはマトリックスの形態で提供される。特定の実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(1または複数の治療剤または創傷治癒に有用な薬剤を有するかまたは有していない)は、直接適用するために液体、半固体、もしくは固体の組成物の形態で提供されるかまたは組成物は、包帯材ガーゼまたはマトリックスなどの固体接触層の表面に適用されるかもしくはその中に組み込まれる。創傷包帯材組成物は、例えば、液またはゲルの形態で提供されうる。1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(1または複数の治療剤または創傷治癒に有用な薬剤を有するかまたは有していない)は、局所適用のための従来の医薬賦形剤と組み合わせて提供されうる。適した担体は、プルロニックゲル、ポロキサマーゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびその混合を含むセルロース誘導体を含有するヒドロゲル;ならびにポリアクリル酸を含有するヒドロゲル(Carbopol)を含む。適した担体はまた、局所医薬調製物に使用されるクリーム/軟膏、例えば、セトマクロゴール乳化軟膏に基づくクリームを含む。上記の担体は、アルギン酸塩(増粘剤または刺激薬として)、ベンジルアルコールなどの防腐剤、リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムなどのpHを制御するための緩衝剤、塩化ナトリウムなどの浸透圧を調節するための薬剤、およびEDTAなどの安定剤を含んでいてもよい。
【0113】
所与の対象に対する有効量は、集団の少なくとも50%に対して治療的に有効な用量内にあり、このレベルにおいてほとんどまたはまったく毒性を示さないことが好ましい。
【0114】
本発明の方法および組成物において用いられる各抗コネキシンポリヌクレオチドの有効用量は、用いられる特定の抗コネキシンポリヌクレオチド、投与方式、投与頻度、治療される創傷、治療される創傷の重症度、投与経路、治療される患者部分集団の必要、またはその患者の異なる必要がその患者に特異的な年齢、性別、体重、関連する創傷に起因しうる個々の患者の必要を含むいくつかの因子に応じて異なりうる。
【0115】
適した用量は、約0.01〜約0.4mg/Kg体重などの、約0.001〜約1mg/Kg体重でありうる。しかしながら、適した用量は、約0.01〜約0.050mg/Kg体重などの、約0.001〜約0.1mg/Kg体重でありうる。約1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、および400〜500マイクログラムまたはそれ以上ならびに約500〜1000マイクログラムまでの用量が、適切である。本明細書において述べられるように、繰り返しの適用が企図される。繰り返しの適用は、典型的に1週間当たりに1回または治癒が、失速しているかもしくは減速しているようにみえる場合に適用される。
【0116】
薬剤のそれぞれの1日当たりの、約1ナノグラム(ng)/kgおよび約1mg/Kg体重の間の他の投薬レベルが、本明細書において記載される。特定の実施形態において、本発明の化合物のそれぞれの投薬量は、一般に、体重1kg当たり約1ng〜約1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng〜約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng〜約10ng、体重1kg当たり約10ng〜約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約0.1マイクログラム〜約1マイクログラム、体重1kg当たり約20ng〜約100ng、体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、体重1kg当たり約0.01mg〜約10mg、または体重1kg当たり約0.1mg〜約1mgの範囲内である。特定の実施形態において、本発明の化合物のそれぞれの投薬量は、一般に、体重1kg当たり約0.001mg〜約0.01mg、体重1kg当たり約0.01mg〜約0.1mg、体重1kg当たり約0.1mg〜約1mg、または体重1kg当たり約1mgの範囲内である。1つを超える抗コネキシンポリヌクレオチドが使用される場合、各抗コネキシンポリヌクレオチドの投薬量は、他方と同じ範囲にある必要がない。例えば、一方の抗コネキシンポリヌクレオチドの投薬量は、体重1kg当たり約0.01mg〜約1mgの間にあってもよく、もう一方の抗コネキシンポリヌクレオチドの投薬量は、体重1kg当たり約0.1mg〜約1mgの間にありうる。本明細書において述べられるように、繰り返しの適用が企図される。繰り返しの適用は、典型的に1週間当たりに1回または創傷治癒が、失速しているもしくは減速しているようにみえる場合に適用される。
【0117】
他の有用な用量は、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約1〜約10マイクログラムに及ぶ。ある用量は、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約1〜2、約1〜5、約2〜4、約5〜7、および約8〜10マイクログラムとなる。他の有用な用量は、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約10マイクログラムよりも大きく、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約15マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約20マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約25マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約30マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約35マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約40マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約50マイクログラム、および創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約100マイクログラムを含む。他の有用な用量は、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約150マイクログラム、創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約200マイクログラム、創傷サイズの1平方センチメートル当たり約250マイクログラム、または創傷または治療される領域のサイズの1平方センチメートル当たり約500マイクログラムである。本明細書において述べられるように、繰り返しの適用が企図される。繰り返しの適用は、典型的に1週間当たりに1回または創傷治癒が、失速しているもしくは減速しているようにみえる場合に適用される。
【0118】
例えば、特定の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、治療部位および/または治療部位に隣接する部位に、約0.01マイクロモル濃度(μM)または0.05μM〜約200μMの最終濃度で適用されうる。好ましくは、アンチセンスポリヌクレオチド組成物は、約0.05μM〜約100μMの最終濃度で適用され、より好ましくは、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約1.0μM〜約50μMの最終濃度で適用され、より好ましくは、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約5〜10μMから約30〜50μMの最終濃度で適用される。さらに、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約8μM〜約20μMの最終濃度で適用され、あるいは、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約10μM〜約20μMの最終濃度でまたは約10〜約15μMの最終濃度で適用される。ある他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、約10μMの最終濃度で適用される。さらに他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約1〜15μMの最終濃度で適用される。患者に抗コネキシン剤が投与される場合の用量は、患者の年齢、体重、および全般的な状態、治療される状態、ならびに投与される特定の抗コネキシン剤などの、各種の因子に依存する。
【0119】
抗コネキシン剤の適切な治療有効用量は、約0.01〜約0.4mg/kg体重など、約0.001〜約1mg/kg体重でありうる。しかし、適切な用量は、約0.01〜約0.050mg/kg体重など、約0.001〜約0.1mg/kg体重でありうる。
【0120】
約1〜100、100〜200、100〜300または200〜300、100〜400または200〜400または300〜400、および100〜500または200〜500または300〜500または400〜500マイクログラムの治療有効用量の抗コネキシン剤が適切である。約1〜1000マイクログラムの用量もまた適切である。最大2ミリグラムの用量もまた用いることができる。1または複数の抗コネキシン剤が包帯材の形態で提供される場合、用量は適切に調整され、所望の総用量投与を維持するよう上方に調整されることが典型的である。
【0121】
代替的に、抗コネキシンオリゴヌクレオチドの場合、組成物中における各薬剤の用量は、それが適用される領域のサイズ、長さ、深さ、面積、または容積に対する組成物の濃度を基準として決定することができる。例えば、一部の局所適用において、医薬組成物の用量は、医薬組成物の質量(例えば、グラム)または適用領域の長さ、深さ、面積、もしくは容積当たりの医薬組成物の濃度(例えば、μg/ul)に基づいて計算することができる。有用な用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約1〜約10マイクログラムの範囲にある。一部の用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約1〜2、約1〜5、約2〜4、約5〜7、および約8〜10マイクログラムである。他の有用な用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約10マイクログラムを超え、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約15マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約20マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約25マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり約30マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約35マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約40マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約50マイクログラム、および創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約100〜少なくとも約150マイクログラムを含む。他の用量は、平方センチメートル当たり約150〜200マイクログラム、平方センチメートル当たり約200〜250マイクログラム、平方センチメートル当たり約250〜300マイクログラム、平方センチメートル当たり約300〜350マイクログラム、平方センチメートル当たり約350〜400マイクログラム、および平方センチメートル当たり約400〜500マイクログラムを含む。
【0122】
一部の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、治療部位および/または治療部位に隣接して、約0.01マイクロモル濃度(μM)または0.05μM〜約200μM、または最大300μM、または最大1000μM、または最大2000μM、または最大3200μM以上の最終濃度、およびこれらの用量数値内にある任意の用量および任意の用量範囲で適用することができる。アンチセンスポリヌクレオチド組成物は約0.05μM〜約100μMの最終濃度で適用されることが好ましく、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は約1.0μM〜約50μMの最終濃度で適用されることがより好ましく、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は約5〜10μMから約30〜50μMの最終濃度で適用されることがより好ましい。加えて、組合わされた抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は約8μM〜約20μMの最終濃度で適用され、また代替的に、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は約10μM〜約20μMの最終濃度、または約10〜約15μMの最終濃度で適用される。他の一部の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、約10μMの最終濃度で適用される。さらに別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド組成物は、約1〜15μMの最終濃度で適用される。他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、10〜200μM、200〜300μM、300〜400μM、400〜500μM、500〜600μM、600〜700μM、700〜800μM、800〜900μM、900〜1000、または1000〜1500μM、または1500μM〜2000μM、または2000μM〜3000μM以上で適用される。
【0123】
抗コネキシンポリヌクレオチドの投与量は、例えば、約0.1〜1、1〜2、2〜3、3〜4、または4〜5マイクログラム(μg)、約5〜約10μg、約10〜約15μg、約15〜約20μg、約20〜約30μg、約30〜約40μg、約40〜約50μg、約50〜約75μg、約75〜約100μg、約100μg〜約250μg、および250μg〜約500μgを含む。上記で言及した通り、0.5〜約1.0ミリグラム以上の投与量もまた提供される。投与容量は治療される部位のサイズに依存し、例えば、約25〜100μLから約100〜200μL、約200〜500μLから約500〜1000μLの範囲でありうる。より大きな治療部位には、ミリリットル用量もまた適切である。本明細書において述べられるように、繰り返しの適用が企図される。繰り返しの適用は、典型的に1週間当たりに1回または創傷治癒が、失速しているかもしくは減速しているようにみえる場合に適用される。
【0124】
抗コネキシンポリヌクレオチドは、投与後少なくとも約0.5〜1時間、少なくとも約1〜2時間、少なくとも約2〜4時間、少なくとも約4〜6時間、少なくとも約6〜8時間、少なくとも約8〜10時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間にわたってコネキシンタンパク質の発現を下方調節するか、またはギャップジャンクションの形成を調節するのに十分な量で投与されると好都合である。
【0125】
本発明の組成物および方法における各抗コネキシンポリヌクレオチドの用量はまた、それが適用される領域のサイズ、長さ、深さ、面積、または容積に対する組成物の濃度を基準として決定することもできる。例えば、一部の局所適用および他の適用、例えば、点滴において、医薬組成物の用量は、医薬組成物の質量(例えば、マイクログラム)または適用領域の長さ、深さ、面積、もしくは容積当たりの医薬組成物の濃度(例えば、μg/ul)に基づいて計算することができる。
【0126】
投与される最初のまたは任意の続く投薬量は、本明細書において述べられる因子に依存する。オリゴヌクレオチドに依存して、投与のための投薬量およびプロトコールは、変動し、また、投薬量はまた、選択される投与の方法、例えば局部または局所投与にも依存する。
【0127】
用量は、単一のまたは分割した適用において投与されうる。用量は、1回投与されうるかまたは適用は、繰り返されうる。典型的に、適用は、治癒が促進されるまで、毎週繰り返されるかまたは繰り返しの適用は、治癒が減速するかもしくは失速する場合になされうる。用量は、3〜7日間またはそれ以上の間隔で適用されうる。繰り返しの適用は、例えば、毎週もしくは隔週もしくは毎月なされうるかまたは例えば、もし、創傷治癒が減速するかもしくは失速する場合は他の頻度でなされうる。ある種の眼使用など、一部の適応については、最多では毎時の、より頻繁な投薬が用いられうる。
【0128】
本明細書において記載される医薬組成物の調製に適した、創傷治癒に有用な薬剤は、当技術分野において公知の方法を使用して調製され、投与されうる(例えば、米国特許第7,098,190号、第6,319,907号、第6,331,298号、第6,387,364号、第6,455,569号、第6,566,339号、第6,696,433号、第6,855,505号、第6,900,181号、第7,052,684号、およびEP1100529 B1を参照されたい)。各抗コネキシンポリヌクレオチドおよび創傷治癒に有用な薬剤の濃度は、他方と同じ範囲にある必要がない。他の量は、当業者に公知であり、容易に決定される。例えば、本明細書において記載される様々な態様および実施形態に従う、適した組み合わせの投薬量および製剤は、「Combination PDGF, KGF, IGF, and IGFBP for wound healing」と題する、Lewisに対するUS6903078において記載される投薬レジメンに従って、投与されうる。
【0129】
投与される最初のおよび任意の続く投薬量は、患者の年齢、体重、状態、および治療されている状態および疾患、創傷、障害、または生物学的状態に依存する。創傷治癒に有用な薬剤に依存して、投与のための投薬量およびプロトコールは、変動し、また、投薬量はまた、選択される投与の方法、例えば局部または全身投与にも依存する。
【0130】
創傷治癒に有用な薬剤は、内部にまたは外部に適用されてもよく、線維症性の病変もしくは領域を示すまたはその危険性がある任意の組織に向けられ得る。IGFの局所投与については、例えば、酸化亜鉛製剤を適用することができ、これは、Tarnowら、Scand J. Plast Reconstr Hand Surg. 28巻:255〜259頁(1994年)において記載されるように、IGFの局部生産を誘導する。PDGFの有効な用量は、米国特許第4,861,757号において記載されるように、局所適用された場合、5ng/mmまたはそれ以上であり、PDGF(例えばPDGF−AA、PDGF−BB、またはPDGF−AB)のアイソフォームについて少なくとも1ng/mlの局部濃度であり、Lepistoら、Biochem Biophys Res. Comm 209巻:393〜399頁(1995年)において記載されるように、線維芽細胞の集団に適用される約30ng/mlまでの局部濃度であることが報告されている。PDGFは、約10μg/gm〜約500μg/gmのゲル、約20μg/gm〜約200μg/gm、および約30μg/gm〜約100μg/gmのゲル、最適には約100μg/gmのゲルの濃度のカルボキシメチルセルロースゲル製剤で投与することができる。PDGFの有効性は、投与される約3μg/ml溶液〜約300μg/mlの溶液の範囲内で達成された。
【0131】
約5μg/mlの濃度の約50μlのKGFは、Sotozonoら、Invest. Opthal. Vis. Science 36巻:1524〜29頁(1995年)において記載されるように、上皮組織への局所適用による創傷治癒に有効である可能性がある。米国特許第4,861,757号において記載されるように、PDGFと共に同時投与される場合の、IGFの有効量は、少なくとも2.5ng/mm〜約5ng/mmの範囲にあり、IGFに対するPDGFの比は、約1:10〜約25:1の重量対重量の範囲にあり、最も有効な比は、約1:1〜約2:1の重量対重量のIGFに対するPDGFである。IGFと組み合わせて投与されるIGFBPは、Jyungら、Surgery 115巻:233〜239頁(1994年)において記載されるように、約11:1のIGF:IGFBPのモル比の、約1.5μgのリン酸化IGFBPと約5μgのIGFの用量レベルで、創傷治癒を増加させることが示された。
【0132】
ポリペプチド治療薬、例えばPDGF、KGF、IGF、およびIGFBPポリペプチドの投与については、投薬量は、適用が対象とする組織の約5μg〜約50μg/kg、さらに約50μg〜約5mg/kg、さらに組織の約100μg〜約500μg/kg、および約200〜約250μg/kgの範囲とすることができる。ポリヌクレオチド治療薬については、例えば遺伝子治療投与プロトコールにおいて、組織標的投与についての、患者におけるポリヌクレオチドの発現強度に依存して、PDGF、KGF、IGF、およびIGFBPコード配列を含む、発現可能な構築物を含有するベクターは、注射または投与当たり、遺伝子治療プロトコールにおける局部投与について約100ng〜約200mgのDNA、遺伝子治療プロトコールにおける局部投与の間、さらに約500ng〜約50mg、さらに約1μg〜約2mgのDNA、約5μgのDNA〜約500μgのDNA、および約20μg〜約100μgならびに約250μgの範囲で投与することができる。そのため、形質転換および発現の作用の方法および有効性などの因子は、DNA治療薬の投与についての基本的な有効性に必要な投薬量をもたらす、考慮すべき事項である。より高い発現が所望される場合、組織のより大きな領域にわたって、より多い量もしくは同じ量のDNAが、投与の連続的なプロトコールにおいて再投与されるまたは異なる隣接するもしくは近い組織部分、例えば創傷部位への数回の投与が、正の治療結果をもたらすために必要とされうる。
【0133】
本明細書において記載される医薬組成物の調製に適した、治療剤は、当技術分野において公知の方法を使用して製剤化され、投与されうる。投与される最初のおよび任意の続く投薬量は、患者の年齢、体重、状態、および治療されている疾患、創傷、障害、または生物学的状態に依存する。治療薬に依存して、投与のための投薬量およびプロトコールは、変動し、また、投薬量はまた、選択される投与の方法、例えば局部または全身投与にも依存する。
【0134】
本明細書において述べられるように、抗コネキシンポリヌクレオチドまたは組み合わせて投与されるもう一方の薬剤の用量は、単独で与えられる場合に投与される用量から下方調節することができる。
【0135】
数種の薬剤の併用使用は、異なる薬剤の効果の開始および期間が相補的である可能性があるので、あらゆる個々の薬剤に必要とされる投薬量を低下させる可能性がある。好ましい実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤、創傷治癒に有用な薬剤、および/またはギャップジャンクション調整剤の併用使用は、付加的な、相乗的な、または高度に付加的な効果を有する。
【0136】
一部の場合では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な1または複数の薬剤の組み合わせは、相加効果を有する。他の場合において、組み合わせは、相加効果よりも高い効果を有しうる。本明細書では、そのような効果を「超相加」効果と称し、相乗的なまたは強化した相互作用によるものでありうる。
【0137】
用語「創傷治癒の超相加的な促進」は、抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤の組み合わせの投与によってもたらされた創傷治癒が、薬剤のうちの任意のいずれかの単独の個々の投与によってもたらされる創傷治癒の総量よりも統計的に有意に高いという意味を指す。抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤の併用投与によってもたらされるものが、個々の化合物について予想される相加的な値よりも「統計的に有意に高い」かどうかは、本明細書において記載されるおよび/または当業者に公知である様々な統計的方法によって決定されうる。用語「相乗的な」は、抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤、創傷治癒に有用な薬剤、および/またはギャップジャンクション調整剤の両方が、創傷治癒を促進するまたは線維化および瘢痕を低下させるための能力を個々に有する一種の超相加的な阻害を指す。用語「強化した」は、抗コネキシンポリヌクレオチドまたは1もしくは複数の治療剤および/もしくは創傷治癒に有用な薬剤のうちの1つが、創傷治癒を促進するための能力の増加を個々に有する一種の超相加的な効果を指す。
【0138】
一般に、それらの治療群それぞれにおいて個々の治療によりもたらされる平均創傷治癒増加の合計と比較した場合、組合せ治療が、治療群において統計学的に有意に超相加的な(supra−additive)平均創傷治癒の増大をもたらすかどうかを判定することにより強化を評価することができる。平均創傷治癒の増大は、対照群の平均創傷治癒と、治療群の平均創傷治癒との間の差として計算することができる。創傷治癒の増加率である「作用率(fraction affected)」(Fa)は、治療群における平均創傷治癒の増加を、対照群における平均創傷治癒で除することにより計算することができる。統計学的に有意な強化に対する検定は、各治療群に対するFaの計算を必要とする。組合せ治療に対して予測される相加Faは、組合せのいずれかのエレメントを投与される群に由来する平均Faの合計であると理解することができる。例えば、1試料による両側T検定を用いて、実験により得られる結果が偶然だけに起因する可能性はどの程度であるかを、p値による測定の形で評価することができる。0.05未満のp値は統計学的に有意である、すなわち、偶然だけに起因する可能性は低いとみなす。したがって、組合せの結果として強化された超相加効果がもたらされるとみなすために、組合せ治療群に対するFaは、単一エレメントによる治療群に対して予測される相加Faよりも統計学的に有意に高度でなければならない。
【0139】
組合せ治療から相乗効果がもたらされるかどうかは、中央値効果/組合せ指標によるアイソボログラム法(Chou, T.およびTalalay, P.(1984年)、Ad. Enzyme Reg.、第22巻、27〜55頁)により評価することができる。この方法では、抗コネキシンポリヌクレオチド単独に対する、創傷治癒に有用な1または複数の薬剤単独に対する、および固定したモル比での2者の組合せに対する中央値効果プロットに由来するパラメータに基づき、異なる用量効果レベルに対する組合せ指数(CI)値を計算する。CI値が&1t;1は相乗効果を示し、CI−1は相加効果を示し、CP1はアンタゴニスト効果を示す。この解析は、CalcuSyn,Windows(登録商標) Software for Dose Effect Analysis(Biosoft(D,Cambridge UK)などのコンピュータソフトウェアツールを用いて実施することができる。
【0140】
組合せ療法について、超相加効果が存在するかどうかを解析するための、当技術分野において公知であるかまたは将来的に開発される任意の方法は、一つもしくは複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤と組み合わせて用いるのに適する抗コネキシンポリヌクレオチドのスクリーニングにおける使用が意図される。
【0141】
別の好ましい実施形態では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドと、一つもしくは複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤とを組み合わせて用いることにより、前記薬剤が単独で投与される場合の有効用量と比較して、任意のこのような薬剤の有効用量が低下する。一部の実施形態において、一つもしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドと組み合わせて用いられる場合の薬剤の有効用量は、単独で用いられる場合の薬剤用量の約1/15〜約1/2、約1/10〜約1/3、約1/8〜約1/6、約1/5、約1/4、約1/3、または約1/2である。
【0142】
別の好ましい実施形態では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の治療剤、および/または創傷治癒に有用な薬剤を組み合わせて用いることにより、前記薬剤が単独で投与される場合の頻度と比較して、前記薬剤が投与される頻度が低下する。したがって、これらの組合せにより、所望の治療目標を達成するのにかつて必要とされた場合よりもより低くかつ/またはより少ない用量の投与で、各薬剤を用いることができる。
【0143】
上記用量は、単一の適用で投与することもでき、適用を分割して投与することもできる。上記用量は、一度に投与することもでき、適用を反復することもできる。
【0144】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドは、単独で、または1もしくは複数の治療剤および/もしくは創傷治癒に有用な1もしくは複数の薬剤と組み合わせて、同じ経路を介して投与することもでき、異なる経路を介して投与することもできる。本発明の各種の薬剤は、治療経過における異なる時点において個別に投与することもでき、組合せ形態を分割して投与することもでき、単一の組合せ形態で同時に投与することもできる。
【0145】
線維症の治療に有用な1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドは、固体支持体(包帯材および他のマトリックスなど)および医薬製剤(ゲル、混合物、懸濁液、および軟膏など)を用いる局所投与を含むがこれらに限定されない局所投与(末梢投与または部位への直接投与)により送達されることが好ましい。一実施形態において、固体支持体は、生体適合膜または治療部位内への挿入を含む。別の実施形態において、固体支持体は、包帯材またはマトリックスを含む。本発明の一実施形態において、固体支持体組成物は、創傷治癒に有用な1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドが、アルギン酸塩、コラーゲン、または合成の生体吸収性ポリマーのマトリックスなどの徐放固体マトリックス中に分散される、徐放の固体支持体組成物でありうる。固体支持体組成物は、無菌であるかまたは低バイオバーデンであることが好ましい。一実施形態では、1つ以上の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む洗浄液を用いることができる。
【0146】
他の実施形態において、約1〜約100μg/cm(好ましくは約10〜約50μg/cm)の抗コネキシン剤を含有する洗浄溶液は、傷害または手術のときにまたは直後に使用されるであろう。実施形態のすべてにおいて、他の抗コネキシンポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの効力および耐容性について調節された等価用量で投与されるであろう。
【0147】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(1または複数の治療剤または創傷治癒に有用な薬剤を有するまたは有していない)の送達は、ある期間にわたって起こってもよく、いくつかの例において、約0.5時間、1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8、もしくは約24時間またはそれ以上が、より重症の創傷において特に有利であり得る。いくつかの例において、細胞消失は、処置の部位を越えて周囲の細胞まで十分に及び得る。そのような消失は、もとの処置の24時間以内に起こり得、ギャップジャンクション細胞間情報伝達によって媒介される。(1または複数の)抗コネキシンポリヌクレオチドの投与は、細胞の間の情報伝達を調整し、追加の細胞消失もしくは傷害または傷害の影響を最小限にする。
【0148】
送達期間は、下方調節が誘導される部位および所望される治療効果の両方に依存するが、約0.5時間、約1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8、もしくは約24時間またはそれ以上の継続的または徐放性送達が提供される。本発明に従って、これは、特に継続的または徐放性投与のための製剤の形態で、薬学的に許容される担体またはビークルと共に、製剤における、抗コネキシンポリヌクレオチド(1または複数の治療剤または創傷治癒に有用な薬剤を有するまたは有していない)の包含によって達成されうる。
【0149】
熟練の医師により、任意の特定の患者に対して最適な投与経路および用量が決定されるので、本明細書に記載の投与経路および用量は、指針だけのものとして意図される。
【0150】
本明細書で言及または説明される疾患、障害/または状態を有するか、その疑いのある対象を治療する方法のいずれかでは、本明細書に記載の用量、剤形、製剤、および/または組成物のいずれかが投与されうる。
【0151】
包帯材およびマトリックス
一態様において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドは、それ単独の包帯材またはマトリックスの形態で提供されるか、あるいは創傷治癒に有用な1または複数の治療剤と組み合わせるかした包帯材またはマトリックスの形態で提供される。一部の実施形態では、本発明の1または複数の薬剤が直接的な適用のための液体組成物、半固体組成物、もしくは固体組成物の形態で提供されるか、あるいは組成物が包帯材ガーゼもしくはマトリックスなどの固体接触層の表面へと適用されるか、またはこの中へと組み込まれる。包帯材組成物は、例えば、流体またはゲルの形態で提供することができる。1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤は、局所適用のための従来の医薬賦形剤と組合せて提供することができる。適切な担体は、プルロニックゲル、ポロキサマーゲル、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物を含む)を含有するヒドロゲル;ならびにポリアクリル酸を含有するヒドロゲル(Carbopols)を含む。適切な担体はまた、局所医薬調製物に用いられるクリーム/軟膏、例えば、セトマクロゴール乳化軟膏に基づくクリームも含む。上記の担体は、アルギン酸塩(増粘剤または刺激剤として)、ベンジルアルコールなどの防腐剤、リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整のための緩衝液、塩化ナトリウムなどの浸透圧を調整するための薬剤、およびEDTAなどの安定化剤を含みうる。
【0152】
既に言及した生物学的マトリックスに加え、適切な包帯材またはマトリックスは、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の治療剤を伴う以下のものを含みうる。
【0153】
1)吸収材:適切な吸収材は、例えば、セルロース、木綿、またはレーヨンなどの高度に吸収性の繊維層と組み合わせた、例えば、半接着質または非接着層をもたらしうる、例えば、吸収性包帯材を含みうる。代替的に、吸収材は、主要な(primary)包帯材または補助的な(secondary)包帯材として用いることができる。
【0154】
2)アルギン酸塩:適切なアルギン酸塩は、例えば、天然の多糖繊維または海藻に由来するキセロゲルからなる不織パッド、非接着パッド、およびリボンである包帯材を含む。適切なアルギン酸塩包帯材は、例えば、滲出物との接触の場合イオン交換過程を介して湿潤ゲルを形成しうる。一部の実施形態において、アルギン酸塩包帯材は、やわらかく快適であり、不規則的な形状をした領域上での填塞、陥入、または適合が容易であるように設計される。一部の実施形態において、アルギン酸塩包帯材は、第2の包帯材と共に用いることができる。
【0155】
3)抗菌包帯材:適切な抗菌包帯材は、例えば、例えば銀およびポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)などの生体活性薬剤の送達を促進して、これが必要であるかまたは望ましい場所で、感染に対する効力を維持しうる包帯材を含みうる。一部の実施形態において、適切な抗菌包帯材は、例えば、スポンジ、浸透化織りガーゼ、フィルム包帯材、吸収性製品、アイランド包帯材、ナイロン繊維、非接着バリア、または材料の組合せとして入手可能でありうる。
【0156】
4)生体物質および生合成物質:適した生体物質包帯材または生合成物質包帯材は、例えば、天然供給源(例えば、ブタまたはウシ)に由来するゲル、溶液、または半透性シートを含みうる。一部の実施形態において、ゲルまたは溶液は、治療部位に適用され、バリア保護のための包帯材により被覆される。別の実施形態では、膜として作用する可能性があり、単回の適用後においてその場に残存する生体物質基剤(例えば、ブタの腸粘膜または膀胱組織)もしくは生合成物質基剤のシートをin situで配置するか、または1もしくは複数、好ましくは2つの抗コネキシン剤を組み入れるように、生体物質包帯材もしくは生合成物質包帯材をあらかじめ調製することができる。
【0157】
5)コラーゲン:適切なコラーゲン包帯材は、例えば、ウシ、ブタ、もしくは鳥類の供給源、または他の天然の供給源もしくはドナーに由来する、例えば、ゲル、パッド、粒子、ペースト、粉末、シート、または溶液を含みうる。一部の実施形態において、コラーゲン包帯材は、治療部位における滲出物と相互作用してゲルを形成しうる。一部の実施形態において、コラーゲン包帯材は、補助的な包帯材と組み合わせて用いることができる。
【0158】
6)複合材料:適切な複合材料包帯材は、例えば、物理的に異なる成分を単一の生成物へと混合して、例えば、細菌バリア、吸収、および接着など複数の機能を提供する包帯材を含みうる。一部の実施形態において、複合材料包帯材は、例えば、複数の層からなり、半接着パッドまたは非接着パッドを組み込む。一部の実施形態において、複合材料はまた、例えば、接着性の輪郭を有する不織布製テープまたは透明フィルムも含む。他の一部の実施形態において、複合材料包帯材は、例えば、主要な包帯材としても補助的な包帯材としても機能することが可能であり、さらに別の実施形態において、包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0159】
7)接触層:適切な接触層包帯材は、例えば、ある領域上に配置されて、例えば、治療部位に適用された他の薬剤または包帯材との直接的な接触から組織を保護する、薄型の非接着シートを含みうる。一部の実施形態において、接触層は、治療部位領域の形状に調和するように配置することができ、また多孔性であるため、透過する滲出物を、上部の補助的な包帯材に吸収させることができる。さらに別の実施形態において、接触層包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0160】
8)弾性包帯:適切な弾性包帯は、例えば、伸縮して身体の外形に調和する包帯材を含みうる。一部の実施形態において、繊維成分は、例えば、木綿、ポリエステル、レーヨン、またはナイロンを含みうる。他の一部の実施形態において、弾性包帯は、例えば、第2層としてのまたは補助的包帯材としての吸収をもたらし、被覆をその場に保持するか、圧力を加えるか、または治療部位にクッションを与えることができる。さらに別の実施形態において、接触層包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0161】
9)発泡体:適切な発泡体包帯材は、例えば、流体の保持が可能な小さな開放セルを有する、発泡ポリマー溶液(ポリウレタンを含む)のシートおよび他の形状を含みうる。例示的な発泡体は、例えば、他の材料と組み合わせて浸透化または層状化することができる。一部の実施形態では、発泡体の厚さおよび組成に基づいて吸収能を調製することができる。他の一部の実施形態において、治療部位と接触する領域は、取り外しを容易とするために非接着性でありうる。さらに別の実施形態において、発泡体は、接着性の輪郭および/または抗感染性バリアとして働きうる透明のフィルムコーティングと組み合わせて用いることができる。
【0162】
10)ガーゼおよび不織包帯材:適切なガーゼ包帯材および織地包帯材は、例えば、吸収性の程度が多様な乾燥織地スポンジまたは吸収性の程度が多様な乾燥不織スポンジおよび吸収性の程度が多様な乾燥織地ラップまたは吸収性の程度が多様な乾燥不織ラップを含みうる。例示的な繊維組成物は、例えば、木綿、ポリエステル、レーヨンを含みうる。一部の実施形態において、ガーゼおよび不織包帯材は、バルクにおいて滅菌の場合であれ非滅菌の場合であれ、また、接着性の輪郭を伴う場合であれ伴わない場合であれ入手可能でありうる。例示的なガーゼ包帯材および不織包帯材は、各種の治療部位を消毒、パッキング、被覆に用いることができる。
【0163】
11)親水コロイド:適切な親水コロイド包帯材は、例えば、ゼラチン、ペクチン、またはカルボキシメチルセルロースからなるウェハー、粉末、またはペーストを含みうる。一部の実施形態において、ウェハーは自己接着性であり、接着性の輪郭を伴う場合であれ伴わない場合であれ入手可能であり、また多種多様な形状およびサイズで入手可能である。例示的なハイドロコロイドは、外形合わせを必要とする領域において有用である。一部の実施形態において、粉末およびペーストの親水コロイドは、第2の包帯材と組み合わせて用いることができる。
【0164】
12)ヒドロゲル(アモルファス):適切なアモルファスヒドロゲル包帯材は、例えば、水分を与え、湿潤性の治癒環境を維持し、治療部位に水分を補給するように設計された、水、ポリマー、および不定形の他の成分による製剤を含みうる。一部の実施形態において、ヒドロゲルは、補助的な包帯材カバーと組み合わせて用いることができる。
【0165】
13)ヒドロゲル:浸透化包帯材:適切な浸透化ヒドロゲル包帯材は、例えば、アモルファスヒドロゲルに浸したガーゼおよび不織スポンジ、ロープ、ならびにストリップを含みうる。アモルファスヒドロゲルは、例えば、乾燥治療部位に水分を与え、湿潤性の治癒環境を維持するように設計された、水、ポリマー、および不定形の他の成分による製剤を含みうる。
【0166】
14)ヒドロゲルシート:適切なヒドロゲルシートは、例えば、水中において不溶性であり、膨潤により水溶液と相互作用する、架橋された親水性ポリマーの三次元ネットワークを含みうる。例示的なヒドロゲルは、高度に適合性でありそして透過性であり、それらの組成に応じて、広範な量のドレナージを吸収できる。一部の実施形態において、ヒドロゲルは、治療部位に対して非接着性であるか、または取り外しが容易であるように処置される。
【0167】
15)浸透化包帯材:適切な浸透化包帯材は、例えば、溶液、エマルジョン、油、ゲル、または例えば、食塩液、油、亜鉛塩、ワセリン、ゼロフォーム(xeroform)、およびスカーレットレッド(scarlet red)のほか、本明細書に記載の化合物を含む、他の一部の薬学的に活性な化合物もしくは担体薬剤に浸したガーゼおよび不織スポンジ、ロープ、ならびにストリップを含みうる。
【0168】
16)シリコンゲルシート:適切なシリコンゲルシート包帯材は、例えば、メッシュまたは布により補強されるかまたはこれに結合した架橋ポリマーからなる軟質カバーを含みうる。
【0169】
17)溶液:適切な液体包帯材は、例えば、細胞外マトリックス中に見出される多タンパク質物質および他のエレメントの混合物を含みうる。一部の実施形態では、デブリドマンおよび洗浄の後において例示的な溶液を治療部位に適用し、次いで、吸収性包帯材または非接着性パッドにより被覆することができる。
【0170】
18)透明フィルム:適切な透明フィルム包帯材は、片面が接着剤によりコーティングされる、多様な厚さのポリマー膜を含みうる。一部の実施形態において、透明フィルムは液体、水、および細菌に対しては不透過性であるが、水蒸気および大気中の気体に対しては透過性である。一部の実施形態では、透明性により、治療部位が視覚化される。
【0171】
19)充填剤:適切な充填剤包帯材は、例えば、ビーズ、クリーム、発泡体、ゲル、軟膏、パッド、ペースト、クッション(pillow)、粉末、ストランド、または他の調合物を含みうる。一部の実施形態において、充填剤は非接着性であり、経時放出型抗菌剤を含みうる。例示的な充填剤は、湿潤環境の維持、滲出物の管理、また、例えば、部分層創傷および全層創傷、感染創傷、排液性創傷、およびパッキングを要する深部創傷の治療に有用でありうる。
【0172】
治療
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防するための方法、例えば、線維症ならびに(1)線維物質、(2)細胞外マトリックス内の線維物質の過剰生産、ならびに/または(3)異常な非機能性組織エレメントによる正常組織エレメントの置換および/もしくはマトリックス関連成分の過剰な蓄積によって全体的にまたは部分的に特徴づけられる様々な線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。好ましい抗コネキシンポリヌクレオチドは、抗コネキシン43ポリヌクレオチドである。
【0173】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0174】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0175】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、肺線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。一実施形態において、肺線維症は、びまん性間質性肺線維症である。他の実施形態において、肺線維症は、糸球体硬化肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿肺症、および化学療法/放射線照射誘発性肺線維症である。
【0176】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、腎線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。一実施形態において、腎線維症は、糸球体硬化症、腎臓尿細管間質性線維症、または進行性腎疾患と関連する。一実施形態において、腎線維症は、糖尿病性ニューロパシーと関連する。
【0177】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、肝線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。一実施形態において、肝線維症は、慢性肝傷害から生じる。一実施形態において、肝線維症は、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、アルコール依存症、住血吸虫症、ウイルス性肝炎、胆管閉塞症、毒素に対する曝露、および代謝障害と関連する。
【0178】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、肝硬変症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0179】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、心線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。一実施形態において、心線維症は、心内膜線維症である。他の実施形態において、心線維症は、心内膜心筋線維症である。
【0180】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、口腔粘膜下線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0181】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、後腹膜線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0182】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、三角筋線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。
【0183】
本発明は、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法、例えば、急性線維症を有するもしくは有していると疑われるもしくはそれに罹患しやすいまたはその危険性がある対象を治療するための方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を投与する工程を含む方法を包含する。特定の実施形態において、急性線維症は、例えば偶発性の傷害、感染症、放射線治療、または化学療法治療を含む外傷を含む様々な形態と関連する。
【0184】
本発明は、例えば拘縮またはその再発を含む、様々な疾患、障害、および状態を全体的にまたは部分的に治療するおよび/または予防する方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物の有効量を投与する工程を含む方法を包含する。一実施形態において、拘縮は、被膜抱縮、デュピュイトラン拘縮、フォルクマン拘縮、レダーホース拘縮、ペイロニー拘縮である。一実施形態において、組成物は、瘢痕組織および異常組織ならびに/またはさらなる拘縮の再発を予防するために、リリース手順(例えば緊急処置、オープンリリース、関節鏡検査リリース、または瘢痕の減量)の前に、その時に、および/またはその後に、傷害の部位に投与される。
【0185】
一実施形態において、本明細書において記載される治療の方法のうちのいずれか1つは、線維症または線維症性組織の予防および/または軽減に有効である1または複数の医薬品を有する第2の組成物の投与をさらに包含する。一態様において、第2の組成物は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば1または複数の抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含む。一態様において、第2の組成物は、1または複数の治療剤を含む。本発明の他の態様において、第2の組成物は、創傷治癒に有用な1または複数の薬剤を含む。本発明の他の態様において、第2の組成物は、1または複数の1または複数の治療剤を含む。
【0186】
固定された組み合わせとして投与されない場合、好ましい方法は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤の逐次投与を包含する。好ましくは、ポリヌクレオチドおよび薬剤は、互いから少なくとも約30分以内に逐次投与される。ポリヌクレオチドおよび薬剤はまた、互いから約1時間で、互いから約1〜2もしくは3日〜約1週間で、またはそうでなければ適切であると考えられるように投与されうる。好ましくは、抗コネキシンポリヌクレオチドは、最初に投与される。
【0187】
線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療のための他の実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドならびに1または複数の治療剤および/または創傷治癒に有用な薬剤のいずれかまたは両方は、ポリヌクレオチドまたは薬剤が単独で投与される場合に、つまり、それらが組み合わせて投与されない場合に使用される量または用量未満の量または用量で提供される。投与される薬剤のそのような、より少ない量は、典型的に、単独で投与される場合の薬剤の量の約20分の1〜約10分の1であり、単独で投与される場合の量の約8分の1、その量の約6分の1、その量の約5分の1、その量の約4分の1、その量の約3分の1、およびその量の約2分の1でありうる。
組成物
本発明は、線維症ならびに線維症性疾患、線維症性障害、および線維症性状態の治療または予防に有用な医薬組成物および製剤であって、組成物または製剤は、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドなどの抗コネキシンポリヌクレオチドの治療有効量を含む、医薬組成物および製剤に関する。
【0188】
等しく、他の組織損傷の例において、本発明の方法、組成物、および製剤は、線維症の治療または予防に有効である。組成物および製剤は、そのため、線維症および線維症性状態の治療において明確な利点を有する。
【0189】
好ましい一形態において、組成物は、1つのコネキシンタンパク質のみのmRNAに対する1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、例えばコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドを含有する。最も好ましくは、このコネキシンタンパク質は、コネキシン43である。
【0190】
あるいは、組成物は、1つを超えるコネキシンタンパク質に対するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、ポリヌクレオチドが対象とするコネキシンタンパク質のうちの1つは、コネキシン43である。オリゴデオキシヌクレオチドが対象とする他のコネキシンタンパク質は、例えば、コネキシン26、30、31.1、32、および37を含んでいてもよい。様々なコネキシンに対して向けられる適した例示的なポリヌクレオチド(およびODN)は、表1において記載される。
【0191】
本発明の多くの態様は、オリゴデオキシヌクレオチドに関して記載される。しかしながら、他の適したポリヌクレオチド(RNAポリヌクレオチドなど)は、これらの態様において使用されうることが理解される。他の抗コネキシンオリゴヌクレオチドは、RNAiおよびsiRNAオリゴヌクレオチドである。
【0192】
したがって、一態様において、本発明は、治療処置における使用のための組成物を提供し、これは、少なくとも1つの抗コネキシンポリヌクレオチド、好ましくは抗コネキシン43ポリヌクレオチドを包含する。好ましい実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体またはビークルをさらに含む。
メーカーのキット、医薬、および製造
一態様において、本発明は、線維症の予防または治療のためのキットを提供する。
【0193】
キットは、本明細書において記載される1または複数の組成物を含んでいてもよい。例えば、キットは、線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態を有する、その危険性がある、またはそれに罹患しやすい対象の治療に有効な、有効量の1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば、抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含む組成物を含んでいてもよい。一実施形態において、キットは、線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態を有する、その危険性がある、またはそれに罹患しやすい対象の治療に有効な、有効量の1または複数のポリヌクレオチド相同体を含む組成物を含む。
【0194】
任意選択で、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドはまた、線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態を有する、その危険性がある、またはそれに罹患しやすい対象の治療に有用な医薬の製造において使用されうる。一実施形態において、医薬は、治療有効量の抗コネキシンポリヌクレオチド、好ましくは抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む。
【0195】
他の態様において、本発明は、有効量の1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含有する容器および線維症性疾患、線維症性障害、または線維症性状態を有する、その危険性がある、またはそれに罹患しやすい対象の治療のための使用を含む使用のための指示書を含む製品を包含する。
【0196】
したがって、本発明に従って、細胞間情報伝達を、一時的におよび部位特異的に調節するまたは下方調節することができる化合物、組成物、製剤が提供される。そのため、製剤は、治療の方法および他の処置における適用を有する。
【0197】
組織損傷または線維症の例において、本発明の化合物、組成物、および製剤は、必要とされる場合、線維症の予防および治癒プロセスの促進の両方に有効である。そのため、製剤は、例えば外部の外傷または疾患の状態の結果にかかわらず、線維症の予防において利点を有する。
【0198】
本発明のよりよい理解は、以下の実験の部に対する参照によって得られるであろう。以下の実験は、例示であり、本発明または特許請求の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【実施例】
【0199】
(実施例1)
この実施例は、抗コネキシン剤およびそれらの線維症を阻害する能力の定性的ならびに定量的評価、のための方法を示す。ラットに、糸球体腎炎を誘発するための抗胸腺細胞血清(ATS)(S. Okudaら、J. Clin. Invest.、86巻、(1990年、453〜462頁)を参照されたい)または対照として役立てるためのリン酸塩緩衝化食塩水(PBS)のいずれかを注入する。6日後、腎臓を取り出し、糸球体を単離して72時間培養下に置く。培養条件は、2ml容量の無血清RPMI1640(インスリン添加)(Gibco;Gaithersburg、Md.)中2000糸球体/ウェルからなる。試験抗コネキシンポリヌクレオチドを培養時に加える。培養物から上清を回収し、線維症の活性のマーカーとしてI型コラーゲン、トランスフォーミング増殖因子β−1(TGFβ−1)、エキストラドメインA含有フィブロネクチン(フィブロネクチンEDA+)、およびプラスミノゲンアクチベーターインヒビターI(PAI−I)の濃度を決定するためにアッセイするまで−70℃で保存する。加えて、個々の糸球体を免疫蛍光染色によって検査し、相当するマトリックスタンパク質に関してスコアを付ける。線維症の過程が抗コネキシンポリヌクレオチドによって阻害される程度を決定するために、PBS処置した、陰性線維症の対照糸球体;ATS処置し、薬剤処置していない、陽性線維症の対照糸球体;およびATS処置し、薬剤処置した、線維症の糸球体間で値を比較する。
【0200】
(実施例2)
この実施例は、抗コネキシン剤およびこれらの線維症を阻害する能力を試験するための方法を示す。ラットに、糸球体腎炎を誘発するための抗胸腺細胞血清(ATS)または対照としてのリン酸塩緩衝化食塩水(PBS)のいずれかを注入する。1時間後、抗コネキシンポリヌクレオチドを用いて処置を開始する。抗コネキシンポリヌクレオチドを、皮下に1日2回、5日間、逐次投与する。5日目にラットを代謝ケージに入れ、24時間尿を採取してタンパク質含量を測定する。6日目に、腎臓を取り出し、組織学的評価のために、組織試料をホルマリン中に置くかまたは凍結する。残りの組織から糸球体を単離し、72時間培養下に置く。培養条件は、1ml容量の無血清RPMI1640(インスリン添加)中2000糸球体/ウェルからなる。培養物から上清を回収し、線維症の活性のマーカーとしてI型コラーゲン、トランスフォーミング増殖因子β−1(TGFβ−1)、エキストラドメインA含有フィブロネクチン(フィブロネクチンEDA+)、およびプラスミノゲンアクチベーターインヒビター1(PAI1)の濃度を決定するためにアッセイするまで−70℃で保存する。マトリックスタンパク質の存在は、フィブロネクチンEDA+、I型コラーゲン、PAI1、およびテネイシン(tenasin)などのTGFβ−1により誘導されるマトリックスタンパク質に対する抗体を用いて凍結腎臓切片の免疫蛍光染色によって測定する。培養して単離した糸球体から、培養上清中に分泌されたTGFβ−1、PAI1、およびフィブロネクチンの直接測定を、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)によって決定することができる。各群における試料からの糸球体を使用してmRNAを抽出し、TGFβ−1、GADPH、I型コラーゲン、III型コラーゲン、フィブロネクチン、およびPAI1のメッセージレベルをノーザン解析によって決定することができる。肉眼的な組織学的変化の指標として、PAS(過ヨウ素酸シッフ)染色パラフィン切片を、これらのマトリックス病理スコアに基づいて等級付けする。線維症の過程が抗コネキシンポリヌクレオチドの逐次投与によって阻害される程度を決定するために、PBS処置した、陰性線維症の対照動物;ATS処置し、薬剤処置していない動物、ATS処置し、薬剤処置した動物間で値を比較する。
【0201】
(実施例3)
C57BL6/KsJ db/dbマウスに、4mm生検パンチによって創傷を作製する。マウスはJackson Laboratoriesより入手され得、それらは創傷プロトコールの開始前、代表的に3〜7カ月齢である。創傷作製前にすべてのマウスに麻酔をかける。下層構造から皮膚を引き離し、分離させた皮膚をパンチで打ち抜くことによって、各動物の上背部に2つの創傷を導入する。典型的には、1.3〜2.2mmの範囲で平均1.7mmの深さまで創傷を作製する。創傷作製中、いかなる筋肉の巻き込みも生じなかった。創傷作製後ただちに、創傷を生理食塩水(非処置対照群として役立てるため)で、または適当な試験抗コネキシンポリヌクレオチドで処置する。
【0202】
毎日、創傷をデジタル撮影し、写真のコンピュータ積分によって創傷面積を決定する。すべての創傷処置およびその後のデータ解析は、ブラインド方式で行う。創傷作製時(0日目)の創傷面積はすべての創傷について相対値1に設定し、その後の創傷面積を、「n」日目の創傷面積を0日目の創傷面積で割ることによって相対損傷面積に変換する。
【0203】
マウスモデルにおける完全な創傷閉鎖までの時間によって決定される、抗コネキシンポリヌクレオチドの単一用量の適用(損傷時、0日目)に基づく抗線維症の有効性を決定する。
【0204】
線維症、創傷閉鎖、創傷収縮、および炎症などのエンドポイントを、損傷後の1日目から開始して評価し、所定の期間、継続する(例えば数時間、数日間、数週間、数カ月間、または数年間)。
【0205】
(実施例4)
抗コネキシンポリヌクレオチドの抗線維症効果を、線維症処置のマウスモデルにおいて評価する。適当数の成体マウスを、統計的に意味のある試料サイズの群(例えば、8匹ずつ6つの群):4匹は処置および4匹は対照、に分ける。AvertineのIP注入を使用してマウスに麻酔をかけ、背中の毛を剃り、皮膚に2箇所、特定の解剖学的位置で皮筋まで含めて1cmの切開を行う。創傷を縫合しないまま、動物を個々のケージに戻す。動物群を、創傷作製後1日(d)、3日、5日、7日、14日および70日後に屠殺し、創傷を採取する。各採取した創傷の半分をホルマリン食塩水(formal saline)中で固定し、残り半分をOCT培地に包埋し液体窒素で凍結する。顕微鏡および肉眼の結果を比較できるように、各時点での創傷の写真記録を続ける。
【0206】
組織学的評価:ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色ならびにMasson’s Trichrome染色を使用して創傷の細胞充実性およびコラーゲン含量をそれぞれ決定する。
【0207】
線維症のスコアリング:創傷作製後70日目に、0が正常な皮膚を表し、10が極端な場合の線維症を表す10cmの線からなるVisual Analogue Scale(VAS)を使用して、組織学スライドをスコア付けする。0が正常な皮膚を表し、5が極端な線維症の皮膚を表す等級付け尺度もまた使用される。3の等級付けは対照線維症のスコアに使用される。
【0208】
免疫組織化学:1、3、5および7日目の創傷の試料を、1)抗マウスフィブロネクチンまたは2)TRITC標識ファロイジンを含むいくつかの抗体を使用して染色する。ファロイジンは、キノコのamanita phalloidesから抽出され、繊維状アクチン(F−アクチン)に結合するため、細胞外F−アクチンおよび細胞内F−アクチンの位置を特定およびこれらを区別するのに有用である。
【0209】
画像解析:PCベース画像キャプチャーシステム(「PC Image」)を使用して画像解析を行い、試験創傷および対照創傷間の試験薬剤の抗線維症の効力の差異を定量するために以下のパラメータを測定する:1)創傷幅(創傷縁間の直線および実際の周囲長の両方);2)皮筋の収縮;3)中間創傷幅;4)再上皮化;5)底部、中部、および上部3点の線維症の幅;および6)新生上皮の厚さ。
【0210】
すべての創傷を創傷幅および皮筋の収縮について測定し、適切な時点で他の測定値をとる。周知の、当技術分野において広く利用できる適当な統計ソフトウェアを使用して測定値の統計分析を行う。例示的な統計的検定は、対照動物および試験動物の結果を比較するためのMann−Whitney U検定およびKolgomorov−Smirnov検定を含みうる。
【0211】
組織学:線維症の組織学的評価およびエンドポイントは、例えば、創傷部における新新脈管形成およびコラーゲン形成の証拠;炎症、コラーゲン新形成のレベル;線維症組織に直接隣接するおよびその周囲の毛包の局所的蓄積;線維症の質の改善、を含みうる。
【0212】
(実施例5)
この実施例は、エチレンビニルアセテートフィルムおよびポリカプロラクトンペースト中の抗コネキシンポリヌクレオチドのカプセル化を含む、内用創傷治癒包帯材/フィルムの調製を記載する。
【0213】
適当量の例示的な抗コネキシンポリヌクレオチド、ならびに45mgのエチレンビニルアセテート(EVA、分子量約50k、Polysciences)を、1mlのジクロロメタン中に溶解/懸濁する。200μlの溶液を1cm径のテフロン(登録商標)ディスク上にピペットで取り、一晩乾燥(溶媒蒸発)させて弾性薄膜を形成させ、約100μmの厚さの約10mgのフィルムを得る。
【0214】
これらのフィルムからの薬剤放出速度は、フィルムの5mg切片を、10mlのリン酸塩緩衝化食塩水(PBS)pH7.4が入った20ml蓋付きガラス管中に置くことによって測定する。管に蓋をし、37℃でオービタルシェーカー中に置く。所定の時間で管を取り出し、放出された薬剤量を吸光度分光法によって分析する。抗コネキシンポリヌクレオチドのこのおよび/または別の例示的な剤形は、制御された形で薬剤を放出する薬剤の生体適合性の、生物分解性の注射製剤を表す。
【0215】
PCLペースト:例示的な抗コネキシンポリヌクレオチドを、60℃でポリカプロラクトン(PCL、Birmingham polymers、分子量54K)中にスパーテルで粉砕して10%w/wの濃度で混合する。次いでこの混合物を、1mlプラスチック製シリンジ中にピペットで移し、冷却させる。この製剤は、56℃で18ゲージ針によって注入可能であった。
【0216】
PCLペーストからの薬剤放出を測定するために、溶けたペーストの10mgアリコートを15mlガラス管の底面に注入し、冷却しそして凝固させる。15mlのPBSを各管に加え、管に蓋をして、37℃のオーブン中で回転させて混転する。所定の時間で管を取り出し、放出された薬剤量を吸光度分光法によって分析する。抗コネキシンポリヌクレオチドの放出プロファイルを得る。抗コネキシンポリヌクレオチドのこのおよび/または別の例示的な剤形は、制御された形で薬剤を放出する薬剤の生体適合性の、生物分解性の注射製剤を表す。
【0217】
(実施例6)
この実施例は、抗コネキシンポリヌクレオチドを導入した膜を記載する。
【0218】
医薬グレードのヒアルロン酸ナトリウムはLifecore Scientificから入手する。すべての溶媒はHPLCグレードであり、Fisherから入手する。プラスチック製ペトリ皿はFisher Scientificから入手する。エチル−3−(ジメチルアミノ)カルボジイミド(EDAC)および抗コネキシンポリヌクレオチドは、本開示全体の他の部分に記載されている通り調製する。
【0219】
フィルムの調製。抗コネキシンポリヌクレオチドを導入したフィルムを、水中0.6%w/v抗コネキシンポリヌクレオチド、0.4%w/vヒアルロン酸ナトリウムおよび0.15%w/vグリセロールの例示的な溶液を調製することによって作製する。対照フィルム(抗コネキシンポリヌクレオチドを含まない)を、水中0.4%w/vヒアルロン酸ナトリウムおよび0.15%w/vグリセロールの溶液または混合物を調製することによって作製する。抗コネキシンポリヌクレオチドを導入したフィルムおよび対照フィルムを、4gの各溶液を別個の2.5cm径プラスチック製ペトリ皿中にピペットで移し、60℃で24時間乾燥させることによって、これらの溶液から成形する。架橋剤EDACは、4mM(最終濃度)含む。次いで各乾燥したフィルムを、外科用メスを使用してペトリ皿から慎重に取り出す。
【0220】
滅菌。フィルムを5cm×5cm薬包紙(weighing paper)(Fisher scientific)の間にパッキングし、プラスチック製袋中にヒートシールする。次いでフィルムを、コバルト60線源からのガンマ線照射を使用し、シールした管を氷上で冷却しながら2.5Mradの放射線に曝露させて一定時間滅菌する。
【0221】
(実施例7)
この実施例は、抗コネキシンポリヌクレオチドを含む外創傷用包帯材を記載する。脂肪酸(例えば、魚油)中への薬物の導入によって包帯材用の膜が得られた。純粋な魚油を200°Fで加熱して、24℃で15000〜20000cpsの粘度を得、予備処理したかまたは予備糊稠化した魚油を形成させる。次いで3.1gの予備処理をしたかまたは予備糊稠化した魚油を、適切な量の例示的な抗コネキシンポリヌクレオチドと混合する。次いで混合物を穏やかに加熱して抗コネキシンポリヌクレオチドを魚油に溶解させる。この結果、重量による抗コネキシンポリヌクレオチドを含む魚油製剤をもたらした。加熱後、混合物をキャスティングナイフでテフロン(登録商標)マット上に成型して薄膜を形成させる。次いで薄膜を、15分間UVランプ下に置く。UV光への曝露後、薄膜をオーブンにおいて加熱して熱硬化させた後、薄膜をオーブンから取り出して1時間冷却させる。薄膜を冷却後、テフロン(登録商標)マットから剥ぎ取って独立型フィルム(stand−alone film)を形成する。得られたフィルムは、約0.005”の厚さを有していた。薬剤抽出および溶解は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってフィルム上で行う。抽出結果は、フィルム試料長当たりの薬剤導入量を示すことができる。一般に、抗コネキシンポリヌクレオチドの溶解は、時間の関数としてほぼ直線的様式で薬剤を放出するべきである。
【0222】
(実施例8)
この実施例は、線維症の治療または予防において使用するための、薬剤導入魚油の独立型フィルム上への重層を記載する。純粋な魚油を加熱して、24℃で100000cpsを超える粘度を得、予備硬化魚油フィルムを形成させる。3.33gの予備硬化魚油を適切な量の抗コネキシンポリヌクレオチドと混合して、混合物を形成させる。これにより魚油製剤をもたらした。抗コネキシンポリヌクレオチドを予備硬化魚油に可溶化した後、混合物を、1”×1.5片の独立型フィルム上に塗る。次いで薬剤コーティングしたフィルムを加熱する。薬剤抽出および溶解は、HPLCによってフィルム上で行う。抽出結果は、フィルム試料長当たりの薬剤導入量を示すことができる。一般に、抗コネキシンポリヌクレオチドの溶解は、時間の関数としてほぼ直線的様式で薬剤を放出するべきである。
【0223】
(実施例9)
この実施例は、独立した創傷被覆フィルムを、治療的抗コネキシン剤を含む溶液で膨張させることによる薬剤コーティングを記載する。適当量の抗コネキシンポリヌクレオチドを、適当量のEtOHと混合する。これにより重量%製剤をもたらした。1”×1.5”の独立型フィルムを、抗コネキシンポリヌクレオチド/抗コネキシンポリペプチド製剤に浸して膨張させる。次いで独立型フィルムを風乾させる。得られたフィルムは、厚さ約0.005”である。薬剤抽出および溶解は、HPLCによってフィルム上で行う。抽出結果は、フィルム試料長当たりの薬剤導入量を示すことができる。一般に、抗コネキシンポリヌクレオチドの溶解は、時間の関数としてほぼ直線的様式で薬剤を放出するべきである。
【0224】
(実施例10)
抗コネキシン剤は、好都合には、本発明の方法による投与に適する形態に調合される。
【0225】
適当な製剤は、以下の調合剤の混合物を含む。1つまたは複数の個々の抗コネキシン剤および調合剤の量は、予定される特定の用途に依存するはずである。
【0226】
【表2】

(実施例11)
本発明の方法による使用のための製剤を、下記の割合で化合物を混合することによって調製する。好ましい一実施形態において、抗コネキシン剤は、抗コネキシンポリヌクレオチドである。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0227】
製剤A
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中抗のコネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);および10mMリン酸緩衝液(96.33%)。製剤は、pH約6.74および浸透圧モル濃度244の透明なゲルである。
【0228】
製剤B
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);0.5%BAC(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(96.23%)。製剤は、pH約6.65および浸透圧モル濃度230の透明なゲルである。
【0229】
製剤C
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ポリクオタニウム10(0.5%);ポロキサマー188(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(95.73%)。製剤は、pH約6.59および浸透圧モル濃度233のやや濁ったゲルである。
【0230】
製剤D
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);SLES(0.5%);および10mMリン酸緩衝液(95.83%)。製剤は、pH約6.8および浸透圧モル濃度246の透明なゲルである。
【0231】
製剤E
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ポロキサマー188(0.1%);25Kポリエチレンイミン(0.075%);および10mMリン酸緩衝液(96.155%)。製剤は、pH約7.8および浸透圧モル濃度249の濁ったゲルである。
【0232】
製剤F
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ヒアルロン酸ナトリウム(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(96.23%)。製剤は、pH約6.88および浸透圧モル濃度289の透明なゲルである。
【0233】
製剤G
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);ヒアルロン酸ナトリウム(1.0%);および10mMリン酸緩衝液(96.83%)。製剤は、pH約6.81および浸透圧モル濃度248の透明なゲルである。
【0234】
本明細書において参照されたかまたは言及されたすべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイトならびに他の文書および資料は、本発明が属する技術分野の当業者の技術水準を示すものであり、これらの参照文書および資料はそれぞれ、個別にその全体が参照により組み込まれたか、またはその全体が本明細書に記載された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、任意の上記の特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、および別の参照資料または文書の、任意のおよびすべての資料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利を保有する。
【0235】
記載される、本特許の説明の部分は、すべての請求項を含む。さらに、当初の請求項をすべて含むすべての請求項ならびにあらゆるおよびすべての優先権書類からのすべての請求項は、記載される、本明細書の説明の部分の中にそれらの全体が参照によってこれによって組み込まれ、出願人は、記載される説明または本出願、あらゆるそのような請求項、およびすべてのそのような請求項の任意の他の部分の中に物理的に組み込むための権利を所有する。したがって、例えば、いかなる状況下でも、本特許は、特許請求の範囲の正確な表現が、本特許の、記載される説明の部分において、これらの言葉で記載されていないという主張に対して、特許請求の範囲について記載される説明を提供しないと主張されるように解釈されない。
【0236】
特許請求の範囲は、法律に従って解釈されるであろう。しかしながら、あらゆる請求項またはその部分を解釈する、主張されるまたはとらえられる容易さまたは困難さにもかかわらず、いかなる状況下でも、本特許に至る、1または複数の出願の遂行の間の請求項またはそのあらゆる部分のあらゆる修正または補正は、先行技術の一部を形成しない、そのあらゆるおよびすべての等価物に対するあらゆる権利を喪失したものとして解釈されない。
【0237】
本明細書において開示されるすべての特徴は、任意の組み合わせで、組み合わせられうる。したがって、明らかに述べられない限り、開示される各特徴は、等価なまたは類似する特徴の属のシリーズのほんの一例である。
【0238】
本発明が、その詳細な説明と共に記載されるが、先の説明は、例証することを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、これは、添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解されたい。したがって、先のものから、本発明の特定の実施形態が、例証の目的で本明細書において記載されたが、様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされうることが十分に理解されるであろう。他の態様、長所、および変更は、以下の請求項の範囲内にあり、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は限定されない。
【0239】
本明細書に記載されている具体的な方法および組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、それらは例示的であって本発明の範囲を限定するものではない。別の目的、態様、および実施形態が、本明細書を考慮すれば当業者には思いつくはずであり、本特許請求の範囲によって定義されている通り本発明の精神に包含される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な置換および変更を本明細書に開示されている本発明に対して行ってもよいことが、当業者には容易に明らかとなるはずである。例示的に本明細書に適当に記載されている本発明は、本明細書において不可欠であると特に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定の不在下で実施されてもよい。したがって、例えば、本発明の実施形態または実施例において、本明細書におけるそれぞれの場合において、「含む(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含有している」などの用語は、包括的であって限定ではないと読み取るべきである。例示的に本明細書に記載されている方法およびプロセスは、異なる順序の工程で適当に実施されてもよく、必ずしも本明細書または本特許請求の範囲に示された工程の順序に制限されない。
【0240】
用いられた用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、記載される特徴のあらゆる等価物またはその部分を除外する意図はないが、様々な変更が、主張される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明は、様々な実施形態および/または好ましい実施形態および任意の特徴によって特に開示されたが、当業者によって用いられうる、本明細書において開示される概念のあらゆるおよびすべての変更および変化は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲内であると考えられることが理解されるであろう。
【0241】
本発明は、本明細書において広く、属的に記載された。属の開示内にあるより狭い種および亜属の群のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、削除された物質が本明細書において具体的に記載されるかどうかにかかわらず、属からあらゆる主題を除く条件または負の限定を伴って、本発明の属の説明を含む。
【0242】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに指示しない限り、複数の指示語を含み、用語「Xおよび/またはY」は、「X」もしくは「Y」または「X」および「Y」の両方を意味し、名詞に続く文字「s」は、その名詞の複数形および単数形の両方を示すこともまた理解されたい。さらに、本発明の特徴または態様が、マーカッシュグループによって記載される場合、本発明は、マーカッシュグループのあらゆる個々のメンバーおよびそのメンバーのあらゆるサブグループを包含し、またそれによって、それによっても記載され、出願人は、マーカッシュグループのあらゆる個々のメンバーまたはそのメンバーのあらゆるサブグループを具体的に指すために、本出願または請求項を修正するための権利を所有することが意図され、当業者らは、そのように認識するであろう。
【0243】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。本特許は、本明細書に特に開示されている具体的な実施例または実施形態または方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる場合においても、本特許は、そのような陳述が、出願人による答弁書において明確に認められた限定または制限がなければ、特許商標庁のいかなる審査官またはいかなる別の当局者もしくは関係者によってなされたいかなる陳述によっても限定されると解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の組織における線維症を予防するまたは軽減する方法であって、対象の組織における線維症の予防または軽減を必要とする対象を同定する工程と、前記対象に抗コネキシン43ポリヌクレオチドを投与し、それによって、前記対象の組織における線維症を軽減する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがコネキシン43タンパク質発現を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがsiRNAオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがRNAiオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組織が、皮膚組織、網膜組織、脳組織、神経組織、肺組織、心臓組織、腎臓組織、または肝臓組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドが、線維症を予防するかまたは遅延させるために投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が肺線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記肺線維症が、びまん性間質性肺線維症、糸球体硬化症肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿肺症、および化学療法/放射線照射誘発性肺線維症からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が腎線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記腎線維症が、糸球体硬化症、腎臓尿細管間質性線維症、進行性腎疾患、糖尿病性ニューロパシーに関連する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が肝線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記肝線維症が慢性肝傷害から生じる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記肝線維症が、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、アルコール依存症、住血吸虫症、ウイルス性肝炎、胆管閉塞症、毒素への曝露、および代謝障害に関連する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が心線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記心線維症が心内膜線維症または心内膜心筋線維症である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、口腔粘膜下線維症、後腹膜線維症、または三角筋線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が急性線維症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記急性線維症が偶発性の傷害、感染症、または放射線照射治療もしくは化学療法治療に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、それを必要とする対象における、強皮症、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、結節性筋膜炎、および好酸球性筋膜炎からなる群から選択される疾患、障害、または状態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記強皮症が、限局性強皮症、汎発性モルフェニア、または線状強皮症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コネキシン43がヒトコネキシン43である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記コネキシン43ポリヌクレオチドが、望ましくない線維症を予防するために、インサイツ配置用の接触層包帯材中で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
抗コネキシン43ポリヌクレオチドの抗線維症性活性を決定するための方法であって、線維症を有する危険性があるかまたは線維症を有する細胞を、抗コネキシン43ポリヌクレオチドと接触させる工程と、前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドの抗線維症効果を決定する工程とを含む方法。
【請求項25】
前記方法がインビトロで行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記方法がインビボで行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
対象の組織における拘縮を予防するかまたは軽減する方法であって、対象の組織における拘縮の予防または軽減を必要とする対象を同定する工程と、前記対象に抗コネキシン43ポリヌクレオチドを投与し、それによって、前記対象の組織における線維症を軽減する工程とを含む方法。
【請求項28】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがコネキシン43タンパク質発現を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがsiRNAオリゴヌクレオチドである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドがRNAiオリゴヌクレオチドである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記抗コネキシン43ポリヌクレオチドが、瘢痕組織および異常組織ならびに/またはさらなる拘縮の再発を予防するために、リリース手順の前に、リリース手順のときに、および/またはリリース手順の後に、傷害の部位に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記リリース手順が、緊急処置、オープンリリース、関節鏡検査リリース、および瘢痕減量からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記拘縮が遺伝性拘縮である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記遺伝性拘縮が、デュピュイトラン拘縮、フォルクマン拘縮、レダーホース拘縮、またはペイロニー拘縮である、請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507857(P2011−507857A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539513(P2010−539513)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/014021
【国際公開番号】WO2009/085270
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509135588)コーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】