説明

締結構造、切り粉受けカバー

【課題】ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止する。
【解決手段】締結構造10は、第1面部11から第2面部12へ貫通する雌ネジ孔13が形成された第1部材1と、第1部材1の第1面部11に接し、雌ネジ孔13に対応する貫通孔21が形成された第2部材2と、第2部材2の貫通孔21を通じて雌ネジ孔13に螺合する雄ネジ3と、第1部材1の第2面部12に面接触して雌ネジ孔13の第2面部12側の開口を覆う接面部41、接面部41の雌ネジ孔13に対応する部分に形成された凹部42を含む切り粉受けカバー4と、第2面部12と接面部41との接触面で切り粉受けカバー4を第1部材1に接着する接着材5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1面部から第2面部へ貫通する雌ネジ孔が形成された第1部材と、第1部材の第1面部に接し、第1部材の雌ネジ孔に対応する貫通孔が形成された第2部材と、第2部材の貫通孔を通じて第1部材の雌ネジ孔に螺合する雄ネジとを備えた締結構造、この締結構造において雌ネジ孔から生ずる切り粉を受ける切り粉受けカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような締結構造においては、第1部材の雌ネジ孔に螺合させた雄ネジを回転させて第1部材と第2部材とを締結するときに、雌ネジ孔の一部が雄ネジに削られて切り粉が発生し、その切り粉が雌ネジ孔の開口から落下して飛散する。この切り粉は、例えば銅板等の比較的柔らかい金属で第1部材が形成されている場合に特に生じやすくなる。そして例えば電子機器においては、雌ネジ孔の開口から機器内部に切り粉が落下して飛散すると、機器内部の回路基板等に切り粉が付着し、回路がショートして電子機器の故障等の原因となる虞が生ずる。
【0003】
このような切り粉に起因した電子機器の故障等を防止することを目的とした従来技術としては、例えばネジ締結部と回路基板との間に板材を配設することによって、切り粉が落下して飛散する虞がある空間と回路基板が設置される空間とに機器の内部空間を区画した空気調和装置が公知である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−343083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来技術は、機器の内部空間を区画する板材を、電子機器に多数設けられる締結構造の各々に対応させて設ける必要がある。そのため電子機器の内部構造が複雑化するとともに、部品点数が増加し、それによって電子機器の大幅なコスト増が生ずる虞がある。
【0006】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、第1面部から第2面部へ貫通する雌ネジ孔が形成された第1部材と、前記第1面部に接し、前記雌ネジ孔に対応する貫通孔が形成された第2部材と、前記貫通孔を通じて前記雌ネジ孔に螺合する雄ネジと、前記第2面部に面接触して前記雌ネジ孔の前記第2面部側の開口を覆う接面部、前記接面部の前記雌ネジ孔に対応する部分に形成された凹部を含む切り粉受けカバーと、前記第2面部と前記接面部との接触面で前記切り粉受けカバーを前記第1部材に接着する接着材と、を備える締結構造である。
【0008】
雄ネジを回転させるときに雌ネジ孔から生ずる切り粉は、雌ネジ孔の第2面部側の開口が切り粉受けカバーの接面部で覆われているため、その切り粉受けカバーの接面部に設けられた凹部に蓄積されることになる。それによって、雌ネジ孔から生ずる切り粉が外部に落下したり飛散したりすることを防止することができるので、その切り粉に起因した電子機器の故障等を防止することができる。また切り粉受けカバーを接着して雌ネジ孔の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、従来よりも大幅に低コストで切り粉の落下及び飛散を防止することができる。
【0009】
これにより本発明の第1の態様によれば、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止できるという作用効果が得られる。
さらに本発明の第1の態様によれば、切り粉受けカバーを接着して雌ネジ孔の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、切り粉の落下及び飛散の防止を省スペースで実現できる。したがって、切り粉に起因した電子機器の故障等を防止する上で、電子機器の大型化が生ずる虞を低減させることができる。
さらに本発明の第1の態様によれば、切り粉受けカバーを接着して雌ネジ孔の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、多種多様なネジ締結部の構造や配置、電子機器内部の回路基板等の配置に柔軟に対応することができる。
【0010】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記切り粉受けカバーの凹部は、開口から底部までの長さが、前記第2面部から突出した前記雄ネジの先端部の突出長以上の長さに設定されている、ことを特徴とした締結構造である。
このような特徴によれば、第1部材の第2面部から突出する雄ネジの先端部と切り粉受けカバーとが干渉することを防止することができるので、その雄ネジの先端部による切り粉受けカバーの破損や脱落等を防止することができる。
【0011】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記切り粉受けカバーは、前記凹部の内側面を構成する貫通孔が形成されたカバー本体と、前記凹部の底部を構成する板状部材とで構成される、ことを特徴とした締結構造である。
【0012】
このような特徴によれば、本発明に係る切り粉受けカバーを容易に製造することができる。より具体的には、例えば、まずカバー本体に対して第1部材の雌ネジ孔に対応する数及び配置で貫通孔を形成し、そのカバー本体の接面部の裏面に板状部材を接着して貫通孔の一方側を塞ぐ。それによって、接面部の雌ネジ孔に対応する部分に凹部が形成された切り粉受けカバーを容易に製造することができる。したがって本発明の第3の態様によれば、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等をより低コストで防止することができる。
【0013】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第3の態様において、前記カバー本体は、弾性体で形成されている、ことを特徴とした締結構造である。
【0014】
このような特徴によれば、第1部材の第2面部の面形状に応じて切り粉受けカバーの接面部を弾性変形させた状態で、第1部材に切り粉受けカバーを接着することができる。それによって、第1部材の第2面部に対する切り粉受けカバーの接面部の密着度をより高めた状態で切り粉受けカバーを接着することができる。したがって本発明の第4の態様によれば、第1部材の第2面部と切り粉受けカバーの接面部との間に隙間が生じる虞を低減することができるので、その隙間から切り粉が落下して飛散する虞を低減させることができる。また第1部材の第2面部に対する切り粉受けカバーの接着強度をより向上させることができるので、第1部材から切り粉受けカバーが外れて脱落する虞を低減させることができる。
【0015】
さらに本発明の第4の態様によれば、カバー本体が弾性体で形成されていることによって切断等の加工が容易になる。そのため例えば、まずカバー本体の材料で所望の厚みの部材を形成し、その部材に多数の貫通孔を所望の間隔で形成した後、板状部材の材料で形成した部材を一面側に接着し、それをネジ締結部の雌ネジ孔の数や配置に応じて切断することによって、複数の切り粉受けカバーを低コストで効率的に量産することができる。したがって本発明の第4の態様によれば、本発明に係る切り粉受けカバーをより低コストで量産することができる。
【0016】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記切り粉受けカバーは、絶縁性を有する材料で形成されている、ことを特徴とした締結構造である。
このような特徴によれば、例えば万一切り粉受けカバーが脱落して回路基板等に接触しても、それによって回路のショート等が生ずることを防止することができる。
【0017】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、第1面部から第2面部へ貫通する雌ネジ孔が形成された第1部材と、前記第1面部に接し、前記雌ネジ孔に対応する貫通孔が形成された第2部材と、前記貫通孔を通じて前記雌ネジ孔に螺合する雄ネジとを備えた締結構造に用いられ、前記雌ネジ孔から生ずる切り粉を受ける切り粉受けカバーであって、前記第2面部に面接触して前記雌ネジ孔の前記第2面部側の開口を覆う接面部と、前記接面部の前記雌ネジ孔に対応する部分に形成された凹部とを含む、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第6の態様によれば、この切り粉受けカバーを備えた締結構造において、前述した本発明の第1の態様と同様の作用効果が得られる。
【0018】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第6の態様において、前記凹部は、開口から底部までの長さが、前記第2面部から突出した前記雄ネジの先端部の突出長以上の長さに設定されている、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第7の態様によれば、この切り粉受けカバーを備えた締結構造において、前述した本発明の第2の態様と同様の作用効果が得られる。
【0019】
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、前述した本発明の第6の態様又は第7の態様において、前記凹部の内側面を構成する貫通孔が形成されたカバー本体と、前記凹部の底部を構成する板状部材とで構成される、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第8の態様によれば、この切り粉受けカバーを備えた締結構造において、前述した本発明の第3の態様と同様の作用効果が得られる。
【0020】
<本発明の第9の態様>
本発明の第9の態様は、前述した本発明の第8の態様において、前記カバー本体は、弾性体で形成されている、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第9の態様によれば、この切り粉受けカバーを備えた締結構造において、前述した本発明の第4の態様と同様の作用効果が得られる。
【0021】
<本発明の第10の態様>
本発明の第10の態様は、前述した本発明の第6〜第9の態様のいずれかにおいて、絶縁性を有する材料で形成されている、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第10の態様によれば、この切り粉受けカバーを備えた締結構造において、前述した本発明の第5の態様と同様の作用効果が得られる。
【0022】
<本発明の第11の態様>
本発明の第11の態様は、前述した本発明の第6〜第10の態様のいずれかにおいて、前記接面部に設けられた接着材をさらに含む、ことを特徴とした切り粉受けカバーである。
本発明の第11の態様によれば、予め接面部に接着材が設けられているので、ネジ締結部に対する切り粉受けカバーの接着作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止できるという作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る締結構造の第1実施例の斜視図。
【図2】本発明に係る締結構造の第1実施例の斜視図。
【図3】本発明に係る締結構造の第1実施例の分解斜視図。
【図4】第1実施例の切り粉受けカバーの分解斜視図。
【図5】本発明に係る締結構造の第1実施例の断面図。
【図6】本発明に係る締結構造の第2実施例の斜視図。
【図7】本発明に係る締結構造の第2実施例の分解斜視図。
【図8】第2実施例の切り粉受けカバーの斜視図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施例>
本発明の第1実施例について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明に係る締結構造10の第1実施例の斜視図である。図3は、本発明に係る締結構造10の第1実施例の分解斜視図である。
【0026】
第1実施例の締結構造10は、第1面部11から第2面部12へ貫通する雌ネジ孔13が形成された第1部材1と、第1部材1の第1面部11に接し、雌ネジ孔13に対応する貫通孔21が形成された第2部材2と、第2部材2の貫通孔21を通じて雌ネジ孔13に螺合する雄ネジ3と、第1部材1の第2面部12に面接触して雌ネジ孔13の第2面部12側の開口を覆う接面部41、接面部41の雌ネジ孔13に対応する部分に形成された凹部42を含む切り粉受けカバー4と、第2面部12と接面部41との接触面で切り粉受けカバー4を第1部材1に接着する接着材5とを備える。
【0027】
第1部材1は、例えば銅板等の金属からなる板状の部材であり、3つの雌ネジ孔13が形成されている。第2部材2は、例えばプリント基板等の板状の部材であり、第1部材1の3つの雌ネジ孔13に対応する大きさ及び配置で3つの貫通孔21が形成されている。切り粉受けカバー4は、第1部材1の3つの雌ネジ孔13に対応する配置で3つの凹部42が接面部41に形成されている。接面部41に設けられる接着材5は、当該実施例においては両面接着テープを用いているが、切り粉受けカバー4を第1部材1に接着可能であれば、例えば液体状の接着材等、どのような接着材でもよい。
【0028】
図4は、第1実施例の切り粉受けカバー4の分解斜視図である。
第1実施例の切り粉受けカバー4は、凹部42の内側面を構成する貫通孔61が形成されたカバー本体6と、凹部42の底部を構成する板状部材7と、接面部41に設けられた接着材5とで構成される。
【0029】
接着材5は、切り粉受けカバー4の製造時ではなく、切り粉受けカバー4を第1部材1に接着するときに接面部41に設けるようにしてもよいが、上記のように予め接面部41に設けておくのが好ましい。それによって、切り粉受けカバー4を第1部材1に接着する作業の効率を向上させることができる。
【0030】
カバー本体6は、どのような材料で形成してもよいが、例えばゴム材やスポンジ等の絶縁性を有する弾性体を用いるのが好ましい。それによって、例えば万一切り粉受けカバー4が脱落して回路基板等に接触しても、それによって回路のショート等が生ずることを防止することができる。またカバー本体6が弾性体で形成されていることによって、第1部材1の第2面部12の面形状に応じて切り粉受けカバー4の接面部41を弾性変形させた状態で、第1部材1に切り粉受けカバー4を接着することができる。それによって、第1部材1の第2面部12に対する切り粉受けカバー4の接面部41の密着度をより高めた状態で切り粉受けカバー4を接着することができる。つまり第1部材1の第2面部12と切り粉受けカバー4の接面部41との間に隙間が生じる虞を低減させることができるので、その隙間から切り粉が落下して飛散する虞を低減させることができる。また第1部材1の第2面部12に対する切り粉受けカバー4の接着強度をより向上させることができるので、第1部材1から切り粉受けカバー4が外れて脱落する虞を低減させることができる。
【0031】
板状部材7は、どのような材料で形成してもよいが、例えば厚紙やプラスチック板等の絶縁性を有する材料を用いるのが好ましい。それによって、例えば万一切り粉受けカバー4が脱落して回路基板等に接触しても、それによって回路のショート等が生ずることを防止することができる。
【0032】
このような構成であることによって第1実施例の切り粉受けカバー4は、例えば以下のような工程により容易に低コストで製造することができる。まずカバー本体6の接面部41となる面の全面に接着材5(両面接着テープ)を貼り付ける。つづいて、第1部材1の3つの雌ネジ孔13に対応する配置及び孔径で、3つの貫通孔61をカバー本体6に形成する。そして、カバー本体6の接面部41となる面の裏面に板状部材7を接着して3つの貫通孔の一方側を塞ぐ。
【0033】
また上記構成であることによって第1実施例の切り粉受けカバー4は、例えば、まずカバー本体6の材料で所望の厚みの部材を形成し、その部材に多数の貫通孔61を所望の間隔で形成した後、板状部材7の材料で形成した部材を一面側に接着し、それをネジ締結部の雌ネジ孔13の数や配置に応じて切断することによって、低コストで効率的に量産することができる。
【0034】
図5は、本発明に係る締結構造10の第1実施例のA−A断面(図1)を図示した断面図である。
第1実施例の締結構造10は、第1部材1の第1面部11に第2部材が接した状態とし、貫通孔21を通じて雌ネジ孔13に雄ネジ3を螺合させ、雄ネジ3を締め付け方向へ回転させることによって第1部材1と第2部材とが締結される構造である。そして雄ネジ3を回転させるときに雌ネジ孔13から生ずる切り粉は、雌ネジ孔13の第2面部12側の開口が切り粉受けカバー4の接面部41で覆われているため、その切り粉受けカバー4の接面部41に設けられた凹部42に蓄積されることになる。それによって、雌ネジ孔13から生ずる切り粉が外部に落下したり飛散したりすることを防止することができるので、その切り粉に起因した電子機器の故障等を防止することができる。また切り粉受けカバー4を接着して雌ネジ孔13の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、従来よりも大幅に低コストで切り粉の落下及び飛散を防止することができる。
【0035】
切り粉受けカバー4の凹部42の内径は、雌ネジ孔13の内径以上に設定するのが好ましい。それによって雌ネジ孔13から生ずる切り粉をより確実に凹部42に蓄積することができる。また切り粉受けカバー4の凹部42の内径は、当該実施例のように第1部材1の第2面部12に雌ネジ孔13の一部が突出した環状凸部14が形成されている場合には、その環状凸部14の外径より大きい内径で凹部42を設ければよい。
【0036】
切り粉受けカバー4の凹部42の開口から底部までの長さは、例えば第1部材1と第2部材2とを雄ネジ3で締結した状態において、当該実施例のように雄ネジ3の先端部31が第1部材1の第2面部12から突出する場合には、その雄ネジ3の先端部31の突出長以上の長さとするのが好ましい。より具体的には、切り粉受けカバー4の凹部42の開口から底部までの長さは、雄ネジ3の長さのばらつき等を考慮して、例えば雄ネジ3の先端部31の突出長より1mm程度長くするのが好ましい。それによって、第1部材1の第2面部12から突出する雄ネジ3の先端部31と切り粉受けカバー4とが干渉することを防止することができるので、その雄ネジ3の先端部31による切り粉受けカバー4の破損や脱落等を防止することができる。
【0037】
以上説明したように本発明によれば、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止できるという作用効果が得られる。また切り粉受けカバー4を接着して雌ネジ孔13の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、切り粉の落下及び飛散の防止を省スペースで実現できる。したがって、切り粉に起因した電子機器の故障等を防止する上で、電子機器の大型化が生ずる虞を低減させることができる。さらに切り粉受けカバー4を接着して雌ネジ孔13の開口を覆うという簡単かつコンパクトな構成を採用することによって、多種多様なネジ締結部の構造や配置、電子機器内部の回路基板等の配置に柔軟に対応することができる。
【0038】
<第2実施例>
本発明の第2実施例について、図6〜図8を参照しながら説明する。
図6は、本発明に係る締結構造10の第2実施例の斜視図である。図7は、本発明に係る締結構造10の第2実施例の分解斜視図である。
【0039】
第2実施例の締結構造10は、第1部材1に4つの雌ネジ孔13が形成されており、第2部材2には、第1部材1の4つの雌ネジ孔13に対応する位置に4つの貫通孔21が形成されている点で、第1実施例と相違している。また第2実施例の切り粉受けカバー8は、4つの凹部82が形成されているとともに、その形状及び構造が第1実施例と相違している。
尚、上記以外の構成については、第1実施例と同様である。第1実施例と同じ構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
図8は、第2実施例の切り粉受けカバー8を図示したものである。図8(a)は切り粉受けカバー8の斜視図であり、図8(b)は切り粉受けカバー8のB−B断面(図8(a))を図示した断面図である。
【0041】
第2実施例の切り粉受けカバー8は、第1部材1の第2面部12に面接触して4つの雌ネジ孔13の第2面部12側の開口を覆う接面部81と、接面部81の4つの雌ネジ孔13に対応する部分に形成された4つの凹部82とを含む。第2実施例の切り粉受けカバー8の凹部82は、数及び配置が異なる以外は第1実施例の切り粉受けカバー4の凹部42と同様であるため説明を省略する。切り粉受けカバー8の接面部81には、第1実施例と同様に接着材5が設けられている。そして第2実施例の切り粉受けカバー8は、第1実施例の切り粉受けカバー4と異なり、プラスチック等の合成樹脂を金型に注入して形成したものである。
【0042】
このような態様でも本発明は実施可能であり、第1実施例と同様に、ネジ締結部から生ずる切り粉に起因した電子機器の故障等を低コストで防止できるという作用効果が得られる。
【0043】
<他の実施例、変形例>
本発明は、上記説明した実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であること言うまでもない。
例えば切り粉受けカバーの凹部の形状、大きさ、数、配置は、上記実施例に特に限定されるものではなく、第1部材の雌ネジ孔の大きさ、数、配置等に応じて適宜設定することができる。また切り粉受けカバーの凹部は、上記実施例においては雌ネジ孔に一対一で対応するように設けられているが、例えば複数の雌ネジ孔に対応する大きさの凹部を接面部に設けて、複数の雌ネジ孔から生ずる切り粉を1つの凹部に蓄積するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 第1部材
2 第2部材
3 雄ネジ
4、8 切り粉受けカバー
5 接着材
6 カバー本体
7 板状部材
10 締結構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面部から第2面部へ貫通する雌ネジ孔が形成された第1部材と、
前記第1面部に接し、前記雌ネジ孔に対応する貫通孔が形成された第2部材と、
前記貫通孔を通じて前記雌ネジ孔に螺合する雄ネジと、
前記第2面部に面接触して前記雌ネジ孔の前記第2面部側の開口を覆う接面部、前記接面部の前記雌ネジ孔に対応する部分に形成された凹部を含む切り粉受けカバーと、
前記第2面部と前記接面部との接触面で前記切り粉受けカバーを前記第1部材に接着する接着材と、を備える締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造において、前記切り粉受けカバーの凹部は、開口から底部までの長さが、前記第2面部から突出した前記雄ネジの先端部の突出長以上の長さに設定されている、ことを特徴とした締結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の締結構造において、前記切り粉受けカバーは、前記凹部の内側面を構成する貫通孔が形成されたカバー本体と、前記凹部の底部を構成する板状部材とで構成される、ことを特徴とした締結構造。
【請求項4】
請求項3に記載の締結構造において、前記カバー本体は、弾性体で形成されている、ことを特徴とした締結構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の締結構造において、前記切り粉受けカバーは、絶縁性を有する材料で形成されている、ことを特徴とした締結構造。
【請求項6】
第1面部から第2面部へ貫通する雌ネジ孔が形成された第1部材と、前記第1面部に接し、前記雌ネジ孔に対応する貫通孔が形成された第2部材と、前記貫通孔を通じて前記雌ネジ孔に螺合する雄ネジとを備えた締結構造に用いられ、前記雌ネジ孔から生ずる切り粉を受ける切り粉受けカバーであって、
前記第2面部に面接触して前記雌ネジ孔の前記第2面部側の開口を覆う接面部と、
前記接面部の前記雌ネジ孔に対応する部分に形成された凹部とを含む、ことを特徴とした切り粉受けカバー。
【請求項7】
請求項6に記載の切り粉受けカバーにおいて、前記凹部は、開口から底部までの長さが、前記第2面部から突出した前記雄ネジの先端部の突出長以上の長さに設定されている、ことを特徴とした切り粉受けカバー。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の切り粉受けカバーにおいて、前記凹部の内側面を構成する貫通孔が形成されたカバー本体と、前記凹部の底部を構成する板状部材とで構成される、ことを特徴とした切り粉受けカバー。
【請求項9】
請求項8に記載の切り粉受けカバーにおいて、前記カバー本体は、弾性体で形成されている、ことを特徴とした切り粉受けカバー。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の切り粉受けカバーにおいて、絶縁性を有する材料で形成されている、ことを特徴とした切り粉受けカバー。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の切り粉受けカバーにおいて、前記接面部に設けられた接着材をさらに含む、ことを特徴とした切り粉受けカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−107735(P2012−107735A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258933(P2010−258933)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(510206213)FDKトワイセル株式会社 (36)
【Fターム(参考)】