説明

緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材

【課題】緩衝性に優れる片面段ボールの特徴をそのまま生かしつつ耐衝撃性を向上させることができ、比較的安価に製造できるばかりでなく環境にも優しい梱包材を提供する。
【解決手段】波形に形成されたフルート2がライナ3の内面5に貼着された片面段ボール6の該ライナ3の外面7の全面に紙管原紙9が貼着されている。フルート2は、その溝11の延長方向を軸として該フルート2を内側にして屈曲され得る。紙管原紙9は、その流れ目Fの方向を前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナ3の外面に貼着されている。片面段ボール6の巻回方向で見た先側の端縁で延長重ね片17が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝性と耐衝撃性を具備し、比較的安価に製造できるばかりでなく環境にも優しい梱包材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
片面段ボールは、波形に形成されたフルートがライナの内面に貼着された構成を有するため、そのフルートが適度に柔らかく、緩衝性に優れている。又、片面段ボールは、フルートの溝の延長方向を軸として湾曲させることが容易であるため、物品の大きさや形状を問わずに物品を所要に梱包できる利点がある。しかしながら、片面段ボールをそのフルートを内側にして筒状に巻回して物品を梱包したときにはライナが筒状の巻回部の外面に現われることになるが、このライナは、一般に、坪量が120g/m2 以下の薄肉のものであったため、外力に対する耐衝撃性が小さい問題があった。そのため、物品の大きさやその梱包形態によっては、輸送中における外力の作用により、梱包されている物品が破損される恐れがあった。そこで従来は、かかる破損の恐れを回避するために、物品保護用の外装ケースを要した。
【0003】
片面段ボールのライナに、該片面段ボールとは別体の化粧紙を貼着してなる包装紙として、特開2003−192015号公報が開示するものが提案されている。該化粧紙は、かかる包装紙が物品を包装した状態での外観を綺麗に化粧して商品イメージの向上を図るためのものであって、包装状態の耐衝撃性を向上させるために用いられているのではなかった。それ故、物品の種類やその梱包形態によっては、外力に対する耐衝撃性が不足して物品輸送中等において物品が破損される恐れがあったことは、片面段ボール単体における場合と同様であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−192015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、緩衝性に優れる片面段ボールの特性をそのまま活かしつつ耐衝撃性を向上させることができ、比較的安価に製造できるばかりでなく環境にも優しい、緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材(以下梱包材という)は、波形に形成されたフルートがライナの内面に貼着された片面段ボールの該ライナの外面の全面に紙管原紙が貼着されており、該フルートは、その溝の延長方向を軸として該フルートを内側にして屈曲され得ることを特徴とするものである。
【0007】
該梱包材は、前記紙管原紙が、その流れ目の方向を前記フルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナの外面に貼着されたものとして構成することがある他、前記紙管原紙が、その流れ目の方向を前記フルートの溝の延長方向に合わせて前記ライナの外面に貼着されたものとして構成することもある。
【0008】
前記した各梱包材において、前記片面段ボールの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙を一連に突出して延長重ね片を設けるのがよい。
【0009】
前記した各梱包材において、前記紙管原紙を、前記片面段ボールの前記フルートの溝の延長方向で見た両側縁から突出させて、蓋部形成突出片を設けるのがよい。
【0010】
本発明に係る梱包材の他の態様は、波形に形成されたフルートが紙管原紙の一面に貼着されてなることを特徴とするものである。
【0011】
前記した各梱包材において、前記紙管原紙は、耐水性を有するものとして構成するのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る梱包材は、フルートがライナの内面に貼着された片面段ボールの該ライナの外面に紙管原紙を貼着した構成を有するため、物品を囲むように該フルートを内側にして筒状に巻回したり、コ字状や円弧状等に屈曲させることにより、該フルートによる緩衝性と該紙管原紙による耐衝撃性とによって物品を簡易に然も安定状態で安全に被覆できる。又、比較的安価に製造できるばかりでなく、耐衝撃性をもたらす部分を紙管原紙を用いて構成するため、古紙使用により、環境にも優しい梱包材を提供できることになる。
【0013】
(2) 紙管原紙を、その目の方向をフルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナの外面に貼着してなる梱包材は、直径の比較的大きい大物の物品を梱包する際に有利である。即ち、直径の大きい物品の場合は通常は積み重ねしないため、筒状の巻回部は、その上下方向の強さをそれ程必要としない反面、周方向の耐衝撃性は向上させる必要があるといえる。然して、前記目の方向を周方向にして梱包材を巻回することにより、筒状の形態が安定的に保持され、外力に対する耐衝撃性が向上された筒状の梱包物を形成できるのである。又、紙管原紙は、その目の方向には長尺に形成できるため、物品の直径が大きいものであってもそれに容易に応じられる。
【0014】
(3) 紙管原紙を、その目の方向をフルートの溝の延長方向に合わせて前記ライナの外面に貼着してなる梱包材は、直径の比較的小さい小物の物品を梱包する際に有利である。即ち、比較的直径の小さい物品は、輸送や保管の際に上下方向に積み重ねられることが多いが、この場合は、前記紙管原紙の目の方向が上下方向となるために梱包物の上下方向の剛性が大となり、梱包物の積重に有利である。そして、紙管原紙の目の方向がフルートの溝の延長方向に合わせられていることから、該目の方向を該周方向と直交する方向に合わせて梱包材を巻回することにより、巻回方向の剛性が小さいために巻回させ易い利点がある。
このように本発明によるときは、紙管原紙の目の方向をフルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせるか、或いは、フルートの溝の延長方向に合わせるかを選択することにより、紙管原紙の強度を使い分けて梱包材を合理的に使用できることとなるのである。
【0015】
(4) 前記片面段ボールの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙を一連に突出して延長重ね片を設けるときは、該延長重ね片を前記紙管原紙の筒状の巻回部分の外面に重ねて巻回することができるため、梱包物の耐衝撃性を向上させることができる。
【0016】
(5) 前記紙管原紙を、前記片面段ボールの巻回方向と直交する方向で見た両側縁から突出させて蓋部形成突出片を設けるときは、該蓋部形成突出片に適宜切り込みを入れて該切り込み間の部分を巻回部の内方に折り曲げたり、該蓋部形成突出片に蓋片を取り付けること等により、蓋部を容易に形成することができる。
【0017】
(6) 紙管原紙として耐水性を有するものを用いるときは、耐水性の良好な梱包材を形成できることとなる。
【0018】
(7) 波形に形成されたフルートが紙管原紙の一面に貼着されてなる梱包材によるときも、物品を囲むように該フルートを内側にして筒状に巻回したり、コ字状や円弧状等に屈曲させることにより、該フルートによる緩衝性と該紙管原紙による耐衝撃性とによって物品を簡易に然も安定状態で安全に被覆できる。又、比較的安価に製造できるばかりでなく、耐衝撃性をもたらす部分を紙管原紙を用いて構成するため、古紙使用により、環境にも優しい梱包材を提供できることになる。
【0019】
(8) 又、かかる構成の梱包材によるときも、紙管原紙を、その目の方向をフルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせることにより、直径の比較的大きい大物の物品を梱包する際に有利である。即ち、直径の大きい物品の場合は通常は積み重ねしないため、筒状の巻回部は、その上下方向の強さをそれ程必要としない反面、周方向の耐衝撃性は向上させる必要があるといえる。然して、前記目の方向を周方向にして梱包材を巻回することにより、筒状の形態が安定的に保持され、外力に対する耐衝撃性が向上された筒状の梱包物を形成できるのである。又、紙管原紙は、その目の方向には長尺に形成できるため、物品の直径が大きいものであってもそれに容易に応じられる。
一方紙管原紙を、その目の方向をフルートの溝の延長方向に合わせることにより、直径の比較的小さい小物の物品を梱包する際に有利である。即ち、比較的直径の小さい物品は、輸送や保管の際に上下方向に積み重ねられることが多いが、この場合は、前記紙管原紙の目の方向が上下方向となるために梱包物の上下方向の剛性が大となり、梱包物の積重に有利である。そして、紙管原紙の目の方向がフルートの溝の延長方向に合わせられていることから、該目の方向を該周方向と直交する方向に合わせて梱包材を巻回することにより、巻回方向の剛性が小さいために巻回させ易い利点がある。
このように、波形に形成されたフルートが紙管原紙の一面に貼着されてなる緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材によるときは、紙管原紙の目の方向をフルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせるか、或いは、フルートの溝の延長方向に合わせるかを選択することにより、紙管原紙の強度を使い分けて梱包材を合理的に使用できることとなるのである。
【0020】
(9) 又、該梱包材によるとき、前記フルートの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙を一連に突出して延長重ね片を設けるときは、該延長重ね片を紙管原紙の筒状の巻回部分の外面に重ねて巻回することができるため、梱包物の耐衝撃性を向上させることができる。
【0021】
(10)又、該梱包材において、前記紙管原紙を、前記フルートの巻回方向と直交する方向で見た両側縁から突出させて蓋部形成突出片を設けるときは、該蓋部形成突出片に適宜切り込みを入れて該切り込み間の部分を巻回部の内方に折り曲げたり、該蓋部形成突出片に蓋片を取り付けること等により、蓋部を容易に形成することができる。
【0022】
(11)又、該梱包材において、紙管原紙として耐水性を有するものを用いるときは、耐水性の良好な梱包材を形成できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る梱包材を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る梱包材を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る梱包材を示す部分側面図である。
【図4】梱包材で物品を梱包した状態を示す断面図である。
【図5】その部分拡大図である。
【図6】本発明で使用する片面段ボールを例示する側面図である。
【図7】物品梱包状態を示す斜視図である。
【図8】その部分拡大図である。
【図9】紙管原紙の湾曲状態を説明する斜視図である。
【図10】筒状の巻回部を上下に連結した状態を示す側面図である。
【図11】本発明に係る梱包材の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】その部分側面図である。
【図13】その梱包材を用いて物品を梱包した状態を示す断面図である。
【図14】その梱包要領と、梱包物を示す斜視図である。
【図15】蓋部を形成する作業工程を説明する斜視図である。
【図16】蓋部が設けられた梱包物を示す斜視図である。
【図17】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図18】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図19】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図20】梱包物のその他の例を示す断面図である。
【図21】梱包物のその他の例を示す断面図である。
【図22】梱包物のその他の例を示す断面図である。
【図23】梱包物のその他の例を示す断面図である。
【図24】梱包物のその他の例を示す断面図である。
【図25】梱包物のその他の例を示す斜視図である。
【図26】その蓋部の形成要領を説明する斜視図である。
【図27】延長重ね片を巻回した梱包状態を示す断面図である。
【図28】コ字状に屈曲された梱包材の使用状態を示す断面図である。
【図29】台形状に屈曲された梱包材の使用状態を示す断面図である。
【図30】円弧状に屈曲された梱包材の使用状態を示す断面図である。
【図31】梱包材を2枚用いて物品を梱包した梱包態様を示す断面図である。
【図32】梱包材を2枚用いて物品を梱包した他の梱包態様を示す断面図である。
【図33】梱包材を2枚用いて物品を梱包したその他の梱包態様を示す断面図である。
【図34】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図35】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図36】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図37】梱包材のその他の実施例を示す斜視図である。
【図38】梱包材を2枚用いて物品を梱包する梱包要領を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
図1〜3において本発明に係る梱包材1は、波形に形成されたフルート2がライナ3の内面5に貼着された片面段ボール6の該ライナ3の外面7の全面に紙管原紙9が貼着されてなり、図4〜5に示すように、該フルート2を、その溝11の延長方向を軸として該フルート2を内側にして筒状に巻回(屈曲)させることによって筒状の巻回部10を形成できるものである。
【0025】
図6は、段高さの異なるフルート2を具える片面段ボール6を用いて構成された梱包材1を示すものである。
【0026】
これらの片面段ボール6は市販品であり、ライナ3の内面5に貼着されるフルート2としては、Aフルート2a、Bフルート2b、Cフルート2c、Eフルート2d等の各種のものを、梱包される物品に応じて適宜選択できる。図1〜3においては、段高さの大きいAフルート2aやCフルート2c、Bフルート2bのうちの何れか、例えばAフルート2aを用いた場合が示されている。
【0027】
前記紙管原紙9としては、例えば、約1mm厚さで坪量が660g/m2 〜710g/m2 程度の高密度で圧縮強度が高いものを用いる。好ましくは、耐水性を有するものがよい。該耐水性紙管原紙は、例えば、耐水性の薬品を紙管原紙に染み込ませて形成できる。そして該紙管原紙9は、その目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向で、紙管原紙の繊維の流れ方向)F(図2、図3)を前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナ3の外面7の全面に貼着されている。
【0028】
本実施例においては図1〜2に示すように、該紙管原紙9の幅方向で見た両側縁12,12は、前記片面段ボール6の幅方向の両側縁13,13と合致している。そして、前記片面段ボール6の巻回方向で見た先側の端縁15で前記紙管原紙9が一連に突出して延長重ね片17が設けられている。該延長重ね片17は、図4〜5に示すように、物品21を取り囲むように巻回状態にある紙管原紙9aの外面16に重ねて巻回されるものであり補強作用を有する。なお、図4(B)においては、延長重ね片17を、説明の便宜上、破線で示している。該延長重ね片17の延長長さは、前記筒状の巻回部10の外面20を略一周できる程度に設定されている。
【0029】
かかる構成を有する梱包材1の主要部の寸法を例示すれば、前記片面段ボール6の幅L1と前記紙管原紙9の幅L2は等しく、約1000mmに設定されている。又、前記片面段ボール6の長さL3は約2300mmに設定されており、前記延長重ね片17の延長長さL4は約2300mmに設定されている。
【0030】
かかる構成を有する梱包材1を用いて物品21を梱包する要領の一例を説明する。図7〜8、図4〜5は、例えばパレット22上に載置された温水器等の機械装置や建材等としての比較的大物の物品21aを周方向で取り囲むように梱包する場合を示すものであり、該梱包材1を、前記紙管原紙9の目の方向Fを周方向にして該物品21aの周囲を取り囲むように、前記フルート2を、その溝11の延長方向を軸として該フルートを内側にして筒状に巻回する。図4〜8においては、片面段ボール6が物品21aを取り囲んでその端部分23,23相互が重なりあった状態が示されている。そして前記延長重ね片17が、筒状の巻回部10の外面20に重ねて巻回され、該外面20を一周した状態となされ、該延長重ね片17が巻き戻らないように、その先端部分25が粘着テープ26で適宜止着されて梱包物24が形成される。該筒状の巻回部10の直径は、例えば700mm程度とされている。なお、該先端部分25を筒状の巻回部分の外面28に接着してもよい。
【0031】
かかる梱包状態で、前記筒状の巻回部10の内側となる部分がフルート2で構成されているために良好な緩衝性が発揮されると共に、該筒状の巻回部10の外側となる部分は紙管原紙9で構成されているために、梱包物24は、外力に対して耐衝撃性を発揮する。特に本実施例においては、前記延長重ね片17が、紙管原紙9の筒状の巻回部10の外面20に重ねて巻回されているために、紙管原紙9が二重に巻回された状態となり(本実施例においては紙管原紙の積層厚さが約2mm)、梱包物24の耐衝撃性が向上されている。
【0032】
そして本実施例においては、前記紙管原紙9は、その目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向)Fを前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナ3の外面7に貼着されている。一般に紙管原紙9は、図9に示すように、その目の方向Fを軸とした湾曲27bは容易であるが、目の方向Fに抗しては湾曲27bさせにくい。即ち、目の方向Fを弓形にするようには湾曲させにくい。本実施例においては、前記のように、紙管原紙9の目の方向Fを巻回の周方向にしているが、大物の物品21aを周方向で取り囲むように梱包するために巻回の直径が大きい。従って、目の方向Fに抗する湾曲とはなるが、梱包材1を無理なく巻回させることができる。それ故、巻回状態の紙管原紙9に縦方向(図7では上下方向)に不用意に折り目が生ずる等の恐れがない。かかることから、筒状の巻回部10は、その筒状の形態が安定的に保持され、外力に対する耐衝撃性が大きいのであり、本実施例に係る梱包材1によるときは、大物の物品を安定状態で安全に梱包できることとなるのである。
【0033】
なお、前記物品21aの高さが前記筒状の巻回部10の軸線方向の長さよりも大なるときは、図10に示すように、同様に形成した別の筒状の巻回部10の下端部分29を前記パレット22上に存する筒状の巻回部10の上端部分30に被るように重ね合わせて筒状の巻回部を上方に延長することもある。
【実施例2】
【0034】
図11〜12は、本発明に係る梱包材1の他の実施例を示すものであり、波形に形成されたフルート2がライナ3の内面5に貼着された片面段ボール6の該ライナ3の外面7の全面に紙管原紙9が貼着されてなり、該フルート2を、その溝11の延長方向を軸として該フルートを内側にして筒状に巻回(屈曲)させることによって、図13に示す筒状の巻回部10を形成できるものである。
【0035】
前記片面段ボール6と前記紙管原紙9は、実施例1におけると同様のものであり、該紙管原紙9は、その目の方向Fを前記フルート2の溝11の延長方向に合わせて前記ライナ3の外面7の全面に貼着されている。そして図11に示すように、該紙管原紙9の幅方向の両側縁部分が前記片面段ボール6の幅方向の両側縁13,13から稍突出して、蓋部形成突出片31,31が設けられると共に、前記片面段ボール6の巻回方向で見た先側の端縁15で前記紙管原紙9が一連に稍突出して止着用重ね片32が設けられている。
【0036】
かかる構成を有する梱包材1の主要部の寸法を例示すれば、前記片面段ボール6の幅L5は約500mmに設定され、その長さL6は約980mmに設定されており、前記蓋部形成突出片31の突出長さL7は約220mmに設定されている。又、前記止着用重ね片32の突出長さL8は約60mmに設定されている。
【0037】
かかる構成を有する梱包材1を用いて物品21を梱包する要領の一例を説明する。図14(A)は、例えばガラス製品(花瓶やランタン等)や陶磁器、機械の部品等の比較的小物の物品21bを周方向で取り囲むように梱包する場合を示すものである。該梱包材1を、該物品21bの周囲を取り囲むように、前記フルート2を内側にして、且つ、前記紙管原紙9の目の方向Fを周方向と直角の方向にして巻回し、前記止着用重ね片32を筒状の巻回部10の外面20に重ね、該巻回部10が巻き戻らないように、その先端部分25が粘着テープ26で適宜止着されている。該筒状の巻回部10の直径は、例えば300mm程度とされている。なお、該先端部分25を該筒状の巻回部分の外面28に接着してもよい。
【0038】
その後、前記片面段ボール6の巻回方向と直交する方向で見た前記両側縁13,13から突出している前記蓋部形成突出片31,31に、図14(A)に示すように適宜切り込み28を入れ、図14(B)に示すように、この切り込み間の部分32を該筒状の巻回部10の内方に折り曲げ、適宜粘着テープ26等で止着することにより、前記巻回部10の両端を封止する蓋部33,33を形成する。該蓋部33を形成する際、紙管原紙9だけからなる切り込み間の部分32を折り曲げることとしているため、片面段ボール6は折り曲げられることがなく、蓋部33の形成が容易である。これにより梱包物24が形成される。
【0039】
図15〜16は、前記蓋部形成突出片31,31を用いて蓋部33を形成する他の要領を説明するものであり、円板状の蓋片35を用いて蓋部33を形成する。該蓋片35は、15mm〜20mm厚さの円板状を呈しており、例えば、1mm厚さの紙管原紙を用いて形成した円板片相互を接着しつつ該円板片を積層して形成されている。前記梱包材1で物品の周囲を取り囲む際に、前記蓋部形成突出片31の内面(片面段ボール6が存する側の面)36に接着剤を塗布しておき、該接着剤の塗布面37に前記蓋片35の外周面39を載せた状態で該蓋部形成突出片31が筒状に巻回されることにより、該蓋片35が前記筒状の巻回部10の両端に固定され、該両端を封止する蓋部33,33が形成される。
【0040】
本実施例においては該紙管原紙9が、その目の方向Fが前記フルート2の溝11の延長方向に合わせて前記ライナ3の外面7に貼着されており、該目の方向Fを巻回方向と直角の方向にして巻回することとしているため、巻回方向の剛性が小さく、梱包材1を巻回させ易い。そして、かかる比較的小物の物品21bは、輸送や保管の際に上下方向に積み重ねられることが多いが、この場合は、前記紙管原紙9の目の方向Fが上下方向となるために梱包物24の上下方向の剛性が大となり、梱包物の積重に有利である。
【0041】
なお、比較的小物の物品21bを周方向で取り囲んで梱包する際、前記実施例1で示すような、紙管原紙9の目の方向Fを前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせてなる梱包材1を用いたとすれば巻回させにくいのであるが、本実施例に係る梱包材1を用いて梱包するときは、かかる問題を生じさせないのである。
【実施例3】
【0042】
図17は、前記紙管原紙9をライナ3として用いることにより構成した梱包材1を示すものであり、前記フルート2が緩衝性を発揮すると共に前記紙管原紙9が耐衝撃性を発揮する。
【0043】
前記紙管原紙9が、その目の方向Fが前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせられてなる梱包材1は、前記実施例1における場合と同様にして、比較的大物の物品を周方向で取り囲むように梱包する際に用いて好都合である。
【0044】
又、前記紙管原紙9が、その目の方向Fが前記フルート2の溝11の延長方向に合わせられてなる梱包材1は、前記実施例2における場合と同様にして、比較的小物の物品を周方向で取り囲むように梱包する際に用いて好都合である。
【0045】
又、例えば図17に示すように、前記と同様にして延長重ね片17を設けることがある他、前記と同様にして蓋部形成突出片31や止着用重ね片32が設けられることもある。そして、かかる構成を有する梱包材1は、前記したと同様の作用効果を発揮する。
【実施例4】
【0046】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0047】
(1) 図18、図19は、前記延長重ね片17と前記蓋部形成突出片31と前記止着用重ね片32を具備しない梱包材1を示すものである。
図17に示す梱包材1は、前記紙管原紙9が、その目の方向Fが前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせられてなるものであり、前記実施例1における場合と同様にして、比較的大物の物品を周方向で取り囲むように梱包する際に用いて好都合である。
又、図19に示す梱包材1は、前記紙管原紙9が、その目の方向Fが前記フルート2の溝11の延長方向に合わせられてなるものであり、前記実施例2における場合と同様にして、比較的小物の物品を周方向で取り囲むように梱包する際に用いて好都合である。
【0048】
(2) 前記紙管原紙9としては、0.5〜4mm厚さのもの等を使用でき、通常は1mm厚さのものを使用する。その厚さの選択は、物品を保護する筒状の巻回部10等、の外力に対して要求される耐衝撃性の大きさを考慮して設定される。
小物の物品を梱包する場合は、紙管原紙が比較的薄くてもよいが(例えば、厚さが0.5〜1.5mmのもの)、大物の物品を梱包する場合は、巻回(屈曲)させ得る限り、比較的厚い紙管原紙(例えば、厚さが2〜4mmのもの)を用いて梱包材を構成することができる。なお3〜4mm厚さの厚い紙管原紙は、例えば1mm厚さの紙管原紙を3〜4枚重ね、該紙管原紙相互を接着剤で貼り合わせて形成することができる。該接着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョンを用いるのがよい。
【0049】
(3) かかる梱包材1の屈曲は、円筒状に限られず、図20に示す楕円筒状や図21に示す直方体筒状、図22に示す六角形筒状、図23に示す五角形筒状、図24に示す三角形筒状等の各種の筒状形態に屈曲させることができる。かかる梱包材1の屈曲は、物品を周方向に取り囲むように屈曲させることの他、物品の収容に先立って、予め所要の筒状形態に屈曲させることもある。このようにして形成した筒状体内に物品を収容すれば、所要の梱包物が得られる。
【0050】
前記と同様、筒状に巻回(屈曲)させる場合は、その巻回状態の直径の大小に応じ、直径が比較的大きい場合は、前記紙管原紙9の目の方向Fを前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせてなる梱包材1を用い、これを、その目の方向Fを周方向にして巻回することとすれば、紙管原紙に縦方向に不用意に折り目が生ずる恐れがなく周方向の保形性に優れ、外力に対する耐衝撃性を向上させることができる。一方、巻回状態の直径が比較的小さい場合は、前記紙管原紙9の目の方向Fを前記フルート2の溝11の延長方向に合わせてなる梱包材1を用い、これを、その目の方向Fと直交する方向を周方向にして巻回することとすれば、巻回方向の剛性が小さいために巻回させ易い。
【0051】
なお、前記紙管原紙9の目の方向Fを前記フルート2の溝11の延長方向と直交する方向に合わせてなる梱包材を用いる場合、物品の形態に合わせて例えば角筒状に巻回する際は、該紙管原紙9の外面や内面に縦方向に凹状溝を入れて屈曲を容易化することもある。
【0052】
図25は、直方体筒状に屈曲させると共に上下端を折り曲げて蓋部33を形成してなる梱包物24を示すものである。かかる蓋部33は、図26に示すように、前記と同様に構成した両端の蓋部形成突出片31,31に、その四隅のコーナ部41,41,41,41で、梱包物24の長さ方向(図26においては上下方向)で切り込み28を入れ、この切り込み間の部分42,42,42,42を内方に折り曲げ、適宜貼着テープ26(図25)等で止着することにより形成できる。
【0053】
(4) 梱包材1の巻回状態の直径が比較的大きい場合も、必要に応じて前記蓋部形成突出片31を設けることにより、前記と同様にして蓋部を形成することができる。
【0054】
(5) 前記実施例2における場合も、前記延長重ね片17を設けることができる。図27は、このように設けた延長重ね片17を筒状の巻回部10に巻回した状態を示すものである。
【0055】
(6) 前記延長重ね片17を前記紙管原紙9の筒状の巻回部10の外面に重ねて巻回する場合、梱包物に必要な耐衝撃性を考慮して2回や3回巻回させることもある。
【0056】
(7) 図28は前記梱包材1を、前記フルート2を、その溝11の延長方向を軸として内側にコ字状に屈曲させた状態を示すものであり、又図29は、フルート2を同様に内側にして台形状に屈曲させた状態を示すものである。又図30は、フルート2を同様に内側にして円弧状に屈曲させた状態を示すものである。このように屈曲させた梱包材1は、例えば、機械の配電盤等の突出した部分40を保護するために該突出した部分40を被覆した状態で使用できる。このように部分的に被覆することによって、フルート2による緩衝性と紙管原紙9の耐衝撃性とによって該突出した部分40を保護できる。
【0057】
(8) 図31、図32、図33は、比較的大物の物品21aを周方向で取り囲むように梱包した他の態様を示すものであり、二種類の梱包材1a,1bを用いて梱包している。このように梱包する場合は、比較的大物の物品を梱包する際、梱包材の全長(物品を取り囲む周方向で見た長さ)を短くできるため、梱包材の取り扱いに便利である。
【0058】
図31に示す梱包物を構成するための梱包材1aは、図34に示すものであり、前記延長重ね片17と前記蓋部形成突出片31と前記止着用重ね片32を具備しないものである。一方、梱包材1bは、図35に示すように、前記蓋部形成突出片31は具えていないが、前記延長重ね片17,17を片面段ボール6の巻回方向で見た両端縁41,41で突設した構成のものである。
【0059】
かかる2種類の梱包材1a、1bを用いて前記物品21aを梱包するには、先ず図31に示すように、一方の梱包材1aを、該物品21aの周方向の略半分38Aをフルート2を内側にして被覆するように屈曲させる。その後、他方の梱包材1bを、該物品21aの周方向の残りの略半分38Bをフルート2を内側にして被覆するように屈曲させる。このとき、前記延長重ね片17,17を、前記一方の梱包材1aの両端部分42,42に被せる。その後、該延長重ね片17,17の先端部分を粘着テープ等で適宜止着する。なお図31においては、説明の便宜上、延長重ね片17を破線で示している。
【0060】
図32に示す梱包物を構成するための梱包材1a、1bは、共に、図36に示すもので、図34に示すものと同様の構成を有している。かかる梱包材1a、1bを用いて前記物品21aを梱包するには、先ず図32に示すように、一方の梱包材1aを、該物品21aの周方向の略半分38Aをフルート2を内側にして被覆するように屈曲させる。その後、他方の梱包材1bを、該物品21aの周方向の残りの略半分38Bをフルート2を内側にして被覆するように屈曲させる。このとき、図32に示すように、前記他方の梱包材1bの両端部分43,43を前記一方の梱包材1aの両端部分45,45に被せる。或いは、両梱包材1a、1bの両端を突き合わせ状態にする。その後、粘着テープ等で端部分相互を止着する。
【0061】
図33に示す梱包物を構成するための梱包材1a、1bは、共に、図37に示すように、前記蓋部形成突出片31は具えておらず、片面段ボール6の巻回方向で見た一端縁49で延長重ね片17が突設されている。
【0062】
かかる梱包材1a、1bを用いて前記物品21aを梱包するには、図38に示すように、該物品21aの周方向の略半分38A,38Bを、両梱包材1a、1bのフルート2,2を内側にして被覆するように屈曲させる。その後、両梱包材1a、1bの前記延長重ね片17,17を、図33に示すように、他方の梱包材の紙管原紙9の外面16に被せる。その後、該延長重ね片17,17の先端部分を粘着テープ等で適宜止着する。なお図33、図38においては、説明の便宜上、延長重ね片17を破線で示している。
【符号の説明】
【0063】
1 梱包材
2 フルート
3 ライナ
5 ライナの内面
7 ライナの外面
9 紙管原紙
10 巻回部
11 フルートの溝
15 端縁
17 延長重ね片
20 巻回部の外面
21 物品
33 蓋部
35 蓋片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成されたフルートがライナの内面に貼着された片面段ボールの該ライナの外面の全面に紙管原紙が貼着されており、該フルートは、その溝の延長方向を軸として該フルートを内側にして屈曲され得ることを特徴とする緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項2】
前記紙管原紙が、その流れ目の方向を前記フルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせて前記ライナの外面に貼着されていることを特徴とする請求項1記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項3】
前記片面段ボールの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙が一連に突出して延長重ね片が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項4】
前記紙管原紙が、前記片面段ボールの前記フルートの溝の延長方向で見た両側縁から突出して、蓋部形成突出片が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項5】
前記紙管原紙が、その流れ目の方向を前記フルートの溝の延長方向に合わせて前記ライナの外面に貼着されていることを特徴とする請求項1記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項6】
前記片面段ボールの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙が一連に突出して延長重ね片が設けられていることを特徴とする請求項5記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項7】
前記紙管原紙が、前記片面段ボールの前記フルートの溝の延長方向で見た両側縁から突出して、蓋部形成突出片が設けられていることを特徴とする請求項5記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項8】
波形に形成されたフルートが紙管原紙の一面に貼着されてなることを特徴とする緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項9】
前記紙管原紙は、その流れ目の方向が前記フルートの溝の延長方向と直交する方向に合わせられていることを特徴とする請求項8記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項10】
前記紙管原紙は、その流れ目の方向が前記フルートの溝の延長方向に合わせられていることを特徴とする請求項8又は9記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項11】
前記フルートの巻回方向で見た先側の端縁で、前記紙管原紙が一連に突出して延長重ね片が設けられていることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項12】
前記紙管原紙が、前記フルートの前記溝の延長方向で見た両側縁から突出して、蓋部形成突出片が設けられていることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。
【請求項13】
前記紙管原紙は、耐水性を有することを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の緩衝性と耐衝撃性を具備する梱包材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate


【公開番号】特開2011−25930(P2011−25930A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170073(P2009−170073)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(507279875)株式会社旬和 (4)
【Fターム(参考)】