説明

緩衝部材及びそれを用いた梱包構造

【課題】包装箱の底部の所定位置への配置作業を効率的に行うことにできる緩衝部材を提供することである。
【解決手段】矩形状の物体が載置されるべき支持板部11と、該支持板部11の各縁辺11a〜11dから下方に続く足板部12a〜12dとによって台状に形成された緩衝部材10であって、前記支持板部11の少なくとも2つの角の一方13aに接合する第1縁辺11aから下方に続く第1足板部12aは、該角を越える所定長の第1延長部12aaを有し、前記支持板部11の前記2つの角の他方13bに接合し、前記第1縁辺11aと直交する方向に延びる第2縁辺11bから下方に続く第2足板部12bは、当該角を越える所定長の第2延長部12baを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン箱等の包装箱内に収容され、その包装箱に入れられた物体に対する衝撃を緩和する緩衝部材、及びその緩衝部材を用いて物体を包装箱内に収容した梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟質の医療用容器を複数梱包した医療用容器梱包体が提案されている(特許文献1参照)。この医療用梱包体は、フラップ部(足板部)を有する底板部材(緩衝部材)が包装箱本体の底部に当該フラップ部が当接するように置かれるとともに、前記底板部材のフラップ部より長いフラップ部(足板部)を有する中板部材がそのフラップ部が前記底板部材のフラップ部と包装箱本体の内壁との間に差し込まれて底部に当接するように包装箱本体内に置かれた構造となっている。そして、複数の医療用容器が、中板部材の上板部(支持板部)との間に空隙が形成されるように底板部材の上板部(支持板部)上に重ね置かれ、更に、中板部材の上板部上に複数の医療用容器が重ね置かれる。
【0003】
このような医療用容器梱包体によれば、中板部材(緩衝部材)上に重ねられた医療用容器の荷重が、底板部材に重ねられた医療用容器にかからないので、その梱包体を落下させた場合に、中板部材に重ねられた医療用容器の荷重が当該中板部材にて吸収され得るようになる。また、底板部材(緩衝部材)上に重ねられた医療用容器と中板部材の上板部(支持板部)との間に空隙が形成されているので、その梱包体を落下させた際に医療用容器の重みで中板部材が変形しても、その中板部材の変形部分が底板部材上に重ねられた医療用容器に達し難い。このため、その落下時において中板部材に重ね置かれた医療用容器の荷重が底板部材にかかることなく、当該底板部材(緩衝部材)上重ねられた医療用容器の荷重が有効に当該底板部材にて吸収され得るようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2007−20710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した医療用容器梱包体では、底板部材としての緩衝部材の各フラップ部(足板部)と包装箱本体の内壁との間に中板部材としての緩衝部材の各フラップ部(足板部)を差し込むようにしなければならないので、前記底板部材としての緩衝部材は、そのフラップ部(足板部)が包装箱本体の内壁に接することなく底部の略中央に配置させなければならない。このため、底板部材としての緩衝部材を底部の略中央に狙いを定めて包装箱本体に入れなければならず、その作業を効率よく行うことが難しい。また、包装箱本体をひっくり返して底側から、中板部材としての緩衝部材を先に入れて底板部材としての緩衝部材を後から入れることも考えられるが、このようにすると、医療用容器を収納した後に包装箱本体をひっくり返す必要がある。このように医療用容器が収容された状態で包装箱本体をひっくり返すと、収容されている医療用容器の配列が乱れてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、包装箱の底部の所定位置への配置作業を効率的に行うことにできる緩衝部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る緩衝部材は、物体が載置されるべき矩形状の支持板部と、該支持板部の各縁辺から下方に続く足板部とによって台状に形成された緩衝部材であって、
前記縁辺から下方に続く1つの足板部は該縁辺に接合する一方の角を越える所定長の延長部を有し、かつ、
前記1つの足板部と直交する方向に延びる少なくとも1つの他の足板部が前記延長部を有する構成となる。
【0008】
このような構成により、支持板部の縁辺から続く相互に直交するように延びる足板部が延長部を有するので、矩形状の底部を有する包装箱に当該緩衝部材を入れる際に、それぞれ直交する方向に延びる足板部の延長部の先端を包装箱の直交する内壁にあてがうようにすれば、少なくともその延長部を有する前記足板部と前記包装箱の内壁との間に隙間をもって当該緩衝部材を入れることができるようになる。
【0009】
また、本発明に係る緩衝部材において、前記1つの足板部の延長部と他の足板部の延長部の長さが等しくなるように構成することができる。
【0010】
このような構成により、相互に直行する方向に延びる足板部それぞれと包装箱の内壁との間に同じだけの隙間をもって当該緩衝部材を当該包装箱に入れることができる。
【0011】
更に、本発明に係る緩衝部材は、前記矩形状の支持板部の各縁辺から下方に続く4つ全ての足板部が前記延長部を有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、矩形状の支持板部の各辺から下方に続く4つの足板部それぞれの延長部を包装箱の4つの内壁にあてがうようにすれば、包装箱の内壁との間にある隙間をもって当該緩衝部材を入れることができるようになる。
【0013】
前記4つ全ての足板部の延長部の前記支持板部からの突出方向が互いに異なるものとすることができる。
【0014】
本発明に係る梱包構造は、前述したいずれかの緩衝部材を用いて梱包箱に物体を収容する包装構造であって、前記緩衝部材を、前記足板部の下端が前記包装箱の底部に当接するとともに前記延長部の先端が前記包装箱の側壁に当接するように配置し、前記物体が載置されるべき矩形状の支持板部と、該支持板部の各縁辺から下方に続く前記緩衝部材の足板部より背の高い足板部とによって大形状に形成された仕切り部材を、該足板部の下端が前記包装箱の底部に当接するとともに該支持板部と前記緩衝部材の支持板部との間に前記物体の収容空間を形成するように前記緩衝部材上に重ねて配置し、それぞれの支持板部上に前記物体を複数並べて載置する構成となる。
【0015】
本発明に係る梱包構造において、前記仕切り部材として、前述したいずれかの緩衝部材を用いることができる。
【0016】
また、本発明に係る梱包構造において、前記物体がスパウト付きパウチであり、前記支持板部上に部分的に重なるように複数並べて載置される構造とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る緩衝部材によれば、相互に直交する方向に延びる第2足板部それぞれと前記包装箱の内壁との間に隙間をもって当該緩衝部材を入れることができるようになるので、緩衝部材を、内壁との間に前記隙間が形成されるような、包装箱の底部の所定位置に効率的に配置することができる。
【0018】
また、本発明に係る梱包構造によれば、緩衝部材と包装箱の内壁との間に隙間ができるので、その隙間に仕切り部材の足板部を入れ込んで当該仕切り部材を前記緩衝部材の上方に容易に重ね配置することができるようになる。その結果、梱包作業を効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態に係る緩衝部材の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す緩衝部材を上から見た状態を示す平面図である。
【図3】図1に示す緩衝部材の展開図である。
【図4】図1に示す緩衝部材と該緩衝部材が収容されるカートン箱の矩形状底部との大きさの関係を示す図である。
【図5】図1に示す緩衝部材を用いた梱包体の例を示す分解斜視図である。
【図6】カートン箱に第1緩衝部材が収められた状態を示す平面図である。
【図7】図5に示す梱包体に用いられる第2緩衝部材の外観を示す斜視図である。
【図8】カートン箱に第1緩衝部材と第2緩衝部材とが収められた状態を示す平面図である。
【図9】図5に示す梱包体の断面図である。
【図10】梱包体内のスパウト付きパウチの他の配列例(その1)を示す分解斜視図である。
【図11】梱包体内のスパウト付きパウチの他の配列例(その2)を示す分解斜視図である。
【図12】梱包体内のスパウト付きパウチの他の配列例(その3)を示す分解斜視図である。
【図13】梱包体内のスパウト付きパウチの他の配列例(その4)を示す分解斜視図である。
【図14】図13に示す梱包体における重ねられたパウチの状態を示す図である。
【図15】図5及び図10乃至図13に示す梱包体において第2緩衝部材として用いられる緩衝部材の他の例の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本発明の実施の一形態に係る緩衝部材は、図1、図2及び図3に示すように構成される。なお、図1は緩衝部材の外観を示す斜視図であり、図2は緩衝部材を上から見た状態を示す平面図であり、図3は緩衝部材の展開図である。
【0022】
図1、図2及び図3において、この緩衝部材10は、例えば、段ボール紙にて形成され、物体が載置される支持板部11と、支持板部11を支える4つの足板部、即ち、第1足板部12a、第2足板部12b、第3足板部12c及び第4足板部12dとによって台状に形成されている。支持板部11は、矩形状となり、4つの縁辺、即ち、第1縁辺11a、第2縁辺11b、第3縁辺11c及び第4縁辺11dを有している。そして、支持板部11の第1縁辺11aから下方に第1足板部12aが続き、第2縁辺11bから下方に第2足板部12bが続き、第3縁辺11cから下方に第3足板部12cが続き、また、第4縁辺11dから下方に第4足板部12dが続いている。
【0023】
第1足板部12aは、支持板部11の第1縁辺11aと第2縁辺11bとが直角に突き当たって形成される第1の角13aを越えて所定長Δとなる第1延長部12aaを有している。第2足板部12bは、支持板部11の第2縁辺11bと第3縁辺11cとが直角に突き当たって形成される第2の角13bを越えて所定長Δとなる第2延長部12baを有している。第3足板部12cは、支持板部11の第3縁辺11cと第4縁辺11dとが直角に突き当たって形成される第3の角13cを越えて所定長Δとなる第3延長部12caを有している。また、第4足板部12dは、支持板部11の第4縁辺11dと第1縁辺11aとが直角に突き当たって形成される第4の角13dを越えて所定長Δとなる第4延長部12daを有している。各足板部12a〜12dの延長部12aa〜12daの長さΔは、等しく、また、図4に示すように、第1足板部12aの延長部12aaの先端と第3足板部12cの延長部12caの先端との間の距離aが、この緩衝部材10が収められるカートン箱の矩形状底部の横方向の長さに対応し、第2足板部12bの延長部12baの先端と第4足板部12dの延長部12daの先端との間の距離bが、緩衝部材10が収められるカートン箱の矩形状底部の縦方向長さに対応するように設定される。
【0024】
なお、指を引っ掛けるための孔部14a、14bが、第2縁辺11bを挟んだ支持板部11と第2足板部12bとの境界部分の所定位置に、第4縁辺11dを挟んだ支持板部11と第4足板部12dとの境界部分の所定位置に、それぞれ形成されている。これにより、緩衝部材10のカートン箱への入れ込み及びカートン箱からの取り出しを容易に行えるようになる。
【0025】
前述したような構造の緩衝部材10を用いた梱包体の例を図5乃至図9を参照して説明する。
【0026】
図5において、この梱包体では前述したような構造の第1緩衝部材10と、前述した構造と異なる構造の第2緩衝部材20(仕切り部材)とが用いられる。
【0027】
まず、前述した構造の第1緩衝部材10が矩形状の底部を有するカートン箱100(包装箱)に入れられる。第1緩衝部材10の支持板部11は、カートン箱100の底面より小さくなっており、この緩衝部材10のカートン箱100への収容は、各足板部12a〜12dの延長部12aa〜12daの先端がカートン箱100の内壁に沿うようにしてなされる。そして、第1緩衝部材10が当該カートン箱100の底部に達すると、図6に示すように、緩衝部材10の周辺部、具体的には、第1足板部12a、第2足板部12b、第3足板部12c及び第4足板部12dと、カートン箱100の内壁との間に各延長部12aa〜12daの長さΔに相当する隙間Sが形成される。この状態で、第1緩衝部材10の支持板部11はカートン箱100の底部の中央に配置されている。
【0028】
図5に戻って、このようにして第1緩衝部材10がカートン箱100に収められると、緩衝部材10の支持板部11上に複数(例えば、6個)のスパウト付きパウチPがスパウトの向きを順次変えながら部分的に重なるようにして置かれる。次に、第1緩衝部材10の各足板部12a〜12dとカートン箱100の内壁との間の隙間Sにその足板部が入り込むように、第2緩衝部材20がカートン箱100に収められる。
【0029】
第2緩衝部材20は、図7に示すように構成されている。図7において、この第2緩衝部材20は、例えば、段ボール紙にて形成され、物体が載置される矩形状の支持板部21と、支持板部21の第1縁辺21a、第2縁辺21b、第3縁辺21c及び第4縁辺21dから下方に続く第1足板部22a、第2足板部22b、第3足板部22c及び第4足板部22dとによって台状に形成されている。支持板部21は、前述した第1緩衝部材10(図1乃至図3参照)の支持板部11より大きく、カートン箱100の底部より小さい。各足板部22a〜22dの高さは、前述した第1緩衝部材10の各足板部12a〜12dの高さより大きい。そして、第2足板部22bは、支持板部21の第2縁辺21bの第1縁辺21a側の端(角)まで達しておらず、この第2足板部22bと第1足板部22aの一端部との間に第1隙間部25aが形成されている。第3足板部22cは、支持板部21の第3縁辺21cの第2縁辺21b側の端(角)まで達しておらず、この第3足板部22cと第2足板部22bとの間に第2隙間部25bが形成されている。第4足板部22dは、支持板部21の第4縁辺21dの第3縁辺21c側の端(角)まで達しておらず、この第4足板部22dと第3足板部22cとの間に第3隙間部25cが形成されている。また、第1足板部22aは、支持板部21の第1縁辺21aの第4縁辺21d側の端(角)まで達しておらず、この第1足板部22aと第4足板部22dとの間に第4隙間部25dが形成されている。
【0030】
なお、第1緩衝部材10(図1乃至図3)と同様に、指を引っ掛けるための孔部24a、24bが、第2縁辺21bを挟んだ支持板部21と第2足板部22bとの境界部分の所定位置に、第4縁辺21dを挟んだ支持板部21と第4足板部22dとの境界部分の所定位置に、それぞれ形成されている。これにより、第2緩衝部材20のカートン箱100への入れ込み及びカートン箱100からの取り出しを容易に行えるようになる。
【0031】
前述した構造(図7参照)の第2緩衝部材20が、図8に示すように、既にカートン箱100に収められた第1緩衝部材10の第1足板部12aと内壁との間の隙間Sに第1足板部22aが、第1緩衝部材10の第2足板部12bと内壁との間の隙間Sに第2足板部22bが、第1緩衝部材10の第3足板部12cと内壁との間の隙間Sに第3足板部22cが、第1緩衝部材10の第4足板部12dと内壁との間の隙間Sに第4足板部22dがそれぞれ入り込むようにして、カートン箱100に収められる。このとき、第2緩衝部材20の第2足板部22bと第1足板部22aとの間の第1隙間部25a、第3足板部22cと第2足板部22bとの間の第2隙間部25b、第4足板部22dと第3足板部22cとの間の第3隙間部25c及び第1足板部22aと第4足板部22dとの間の第4隙間部25dに、第1緩衝部材10の第1足板部12aの第1延長部12aa、第2足板部12bの第2延長部12ba、第3足板部12cの第3延長部12ca及び第4足板部12dの第4延長部12daが位置するようになり、第2緩衝部材20の各足板部22a〜22dがカートン箱100の底部に当接した状態となる。
【0032】
図5に戻って、このようにして第2緩衝部材20がカートン箱100に収められると、第2緩衝部材20の支持板部21上に複数(例えば、6個)のスパウト付きパウチPが部分的に重なるようにして置かれる。更に、第2緩衝部材20上に載置された複数のスパウト付きパウチP上に段ボール紙製の仕切り板40が置かれ、その仕切り板40上に複数(例えば、6個)のスパウト付きパウチPが部分的に重なるように置かれる。最後にカートン箱100の蓋が閉じられて、図9に示すように、カートン箱100内にスパウト付きパウチPが3段重ねにて収納された梱包体が完成する。
【0033】
このような梱包体では、3段のスパウト付きパウチPが、第1緩衝部材10上に1段分、第2緩衝部材20上に2段分それぞれ分割されて載置されているので、カートン箱100の落下等の衝撃に対して第1緩衝部材10及び第2緩衝部材20は、破損することなく充分耐えることができる。また、第1緩衝部材10が、4つの足板部12a〜12dで支えられる段ボール紙製の支持板部11の撓みによって、その1段分のスパウト付きパウチPに対する衝撃を、第2緩衝部材20が、4つの足板部22a〜22dで支えられる段ボール紙製の支持板部22の撓みによって、その2段分のスパウト付きパウチPに対する衝撃を、それぞれ緩和させる。
【0034】
前述したような緩衝部材(第1緩衝部材)10によれば、支持板部11における第1の角13aに接合する第1縁辺11aから下方に続く第1足板部12aが第1の角13aを越えて所定長Δとなる第1延長部12aaを有し、第2の角13bに接合する第2縁辺11bから下方に続く第2足板部12bが第2の角13bを越えて所定長Δとなる第2延長部12baを有し、第3の角13cに接合する第3縁辺11cから下方に続く第3足板部12cが第3の角13cを越えて所定長Δとなる第3延長部12caを有し、また、第4の角13dに接合する第4縁辺11dから下方に続く第4足板部12dが第4の角13dを越えて所定長となる第4延長部12daを有するので、矩形状の底部を有するカートン箱100に当該緩衝部材10を入れる際に、それぞれ直交する方向に延びる第1足板部12aの第1延長部12aa及び第2足板部12bの第2延長部12baそれぞれの先端、また、それぞれ直交する方向に延びる第3足板部12cの第3延長部12ca及び第4足板部12dの第4延長部12daそれぞれの先端をカートン箱100の4つの内壁にあてがうようにすれば、カートン箱100の内壁との間にある隙間Sをもって当該緩衝部材10を当該カートン箱100に入れることができるようになる。即ち、カートン箱100の底部の中央に緩衝部材10を配置させることができるようになる。このように、緩衝部材10をカートン箱100に入れる際に、各足板部12a〜12dの延長部12aa〜12daの先端をカートン箱100の内壁に沿わせるだけで、底部の略中央に狙いを定めて入れる必要がなくなるため、その作業を効率よく行うことができるようになる。
【0035】
そして、カートン箱100に収容した第1緩衝部材10(緩衝部材)の各足板部12a〜12dとカートン箱100の内壁との間に隙間Sが形成されるので、第2緩衝部材20の足板部22a〜22dをその隙間Sに容易に入れることができ、結果として、第2緩衝部材20のカートン箱100への収納作業も効率的に行うことができる。
【0036】
前述した例では、緩衝部材10(第1緩衝部材)の4つ全ての足板部12a〜12dが延長部12aa〜12daを有するものであったが、少なくとも直交する方向に延びる2つの足板部が延長部を有するものであればよい。例えば、延長部12aaと延長部12baとの組合せ、延長部12aaと延長部12daとの組合せ、あるいは延長部12aaと足板部12dから延長部12daの反対側に延びる延長部の組み合わせでもよい。その場合、その2つの足板部の延長部の先端をカートン箱100の内壁に沿わせながら緩衝部材10を当該カートン箱100に入れることにより、緩衝部材10の各足板部12a〜12dとカートン箱100の内壁との間に隙間Sが形成されるようになる。
【0037】
前述した梱包体におけるスパウト付きパウチPの配列の他の例が図10乃至図13に示される。図10に示す配列例(その1)では、各段における複数(例えば、6個)のスパウト付きパウチPは、スパウトの向きが一定方向となって部分的に重なるように配列されている。また、図11に示す配列例(その2)では、各段において、5個のスパウト付きパウチPがスパウトを一定方向に向けて部分的に重なるように配列され、3個のパウチPが前記5個のパウチPの上に、当該5個のパウチPの向きに直行する向きにて部分的に重なるように配列されている。更に、図12に示す配列例(その3)では、3個のスパウト付きパウチPがスパウトを一定方向に向けて縦方向に部分的に重なるように配列され、その隣に3個のスパウト付きパウチPが同じようにスパウトを一定方向に向けて縦方向に部分的に重なるように配列されている。また、図13に示す配列例(その4)では、4個のスパウト付きパウチPがスパウトの向きを交互に変えながら図14に示すように部分的に重ねるように配列され、その隣に4個のスパウト付きパウチPが同じようにスパウトの向きを交互に変えながら部分的に重なるように配列されている。この図13に示す配列例では、スパウトの向きは2方向になるが、交互に振り替えるだけなので梱包の自動化がし易いものとなる。
【0038】
また、第2緩衝部材20として利用可能な緩衝部材は図15に示すように構成することができる。
【0039】
図15において、この緩衝部材30は、前述した第1緩衝部材10(図1乃至図3参照)及び第2緩衝部材20(図7参照)と同様に、物体が載置される矩形状の支持板部31と、支持板部31の第1縁辺31a、第2縁辺31b、第3縁辺31c及び第4縁辺31dから下方に続く第1足板部32a、第2足板部32b、第3足板部32c及び第4足板部32dとによって台状に形成されている。そして、前述した第1緩衝部材10と同様に、第1足板部32aが第1延長部32aaを有し、第2足板部32bが第2延長部32baを有し、第3足板部32cが第3延長部32caを有し、第4足板部32dが第4延長部32daを有する。また、前述した第2緩衝部材20(図7参照)と同様に、第2足板部32bは、支持板部材31の第2縁辺31bの第1縁辺31a側の端(角)まで達しておらず、この第2足板部32bと第1足板部32aとの間に第1隙間部35aが形成されている。第3足板部32cは、支持板部31の第3縁辺31cの第2縁辺31b側の端(角)まで達しておらず、この第3足板部32cと第2足板部32bとの間に第2隙間部35bが形成されている。第4足板部32dは、支持板部31の第4縁辺31dの第3縁辺31c側の端(角)まで達しておらず、この第4足板部32dと第3足板部32cとの間に第3隙間部35cが形成されている。また、第1足板部32aは、支持板部31の第1縁辺31aの第4縁辺31d側の端(角)まで達しておらず、この第1足板部32aと第4足板部32dの一端部との間に第4隙間部35dが形成されている。
【0040】
前記各足板部32a〜32dの延長部32aa〜32daは、支持板部31が第1緩衝部材10の支持板部11より大きい分、第1緩衝部材10における各足板部12a〜12dの延長部12aa〜12daより短い。ただし、第1緩衝部材10と同様に(図4参照)、第1足板部32aの延長部32aaの先端と第3足板部32cの延長部32caの先端との間の距離aが、この緩衝部材30が収められるカートン箱100の矩形状底部の横方向の長さに対応し、第2足板部32bの延長部32baの先端と第4足板部32dの延長部32daの先端との間の距離bが、緩衝部材30が収められるカートン箱100の矩形状底部の縦方向長さに対応するように設定される。
【0041】
なお、第1緩衝部材10(図1乃至図3参照)及び第2緩衝部材20(図7参照)と同様に、指を引っ掛けるための孔部34a、34bが、第2縁辺31bを挟んだ支持板部31と第2足板部32bとの境界部分の所定位置に、第4縁辺31dを挟んだ支持板部31と第4足板部32dとの境界部分の所定位置に、それぞれ形成されている。
【0042】
このような構造の緩衝部材30を第2緩衝部材として使用する場合、緩衝部材30をカートン箱100に入れる際に、各足板部32a〜32dの延長部32aa〜32daの先端をカートン箱100の内壁に沿わせるようにして当該カートン箱100にいれると、自然に各足板部32a〜32dが既に収められている第1緩衝部材10の各足板部12a〜12dとカートン箱100の内壁との間の隙間Sに入り込んでいく。従って、第2緩衝部材のカートン箱100への収納をより効率的に行うことができるようになる。更に、この緩衝部材30の各足板部32a〜32dとカートン箱100との間に所定の隙間が形成されるようになるので、次の緩衝部材を容易にカートン箱100に収めることができるようになる。
【0043】
なお、梱包体において、仕切り板を省略したり、緩衝部材を3つ以上(仕切り部材を2つ以上)重ねたりするなど、組み合わせはスパウト付きパウチ(載置する物体)、カートンの大きさに合わせて適宣選択できる。仕切り部材を2つ以上重ねる場合は、緩衝部材30のように、本発明の延長部を有する緩衝部材を適用するのが望ましい。
【0044】
また、各展開図で示したように、平板の4辺を折り曲げて足板部とする簡単な操作で緩衝部材を構成することができ、梱包作業の自動化に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上、説明したように、本発明に係る緩衝部材は、包装箱の底部の所定位置への配置作業を効率的に行うことができるという効果を有し、カートン箱等の包装箱内に収容され、その包装箱に入れられた物体に対する衝撃を緩和する緩衝材として有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 緩衝部材(第1緩衝部材)
20 第2緩衝部材
30 緩衝部材
11、21、31 支持板部
11a、21a、31a 第1縁辺
11b、21b、31b 第2縁辺
11c、21c、31c 第3縁辺
11d、21d、31d 第4縁辺
12a、22a、32a 第1足板部
12b、22b、32b 第2足板部
12c、22c、32c 第3足板部
12d、22d、32d 第4足板部
12aa、32aa 第1延長部
12ba、32ba 第2延長部
12ca、32ca 第3延長部
12da、32da 第4延長部
13a 第1の角、 13b 第2の角、 13c 第3の角、 13d 第4の角
14a、14b、24a、24b、34a、34b 孔部
25a、35a 第1隙間部
25b、35b 第2隙間部
25c、35c 第3隙間部
25d、35d 第4隙間部
40 仕切り板
100 カートン箱(包装箱)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が載置されるべき矩形状の支持板部と、該支持板部の各縁辺から下方に続く足板部とによって台状に形成された緩衝部材であって、
前記縁辺から下方に続く1つの足板部は該縁辺に接合する一方の角を越える所定長の延長部を有し、かつ、
前記1つの足板部と直交する方向に延びる少なくとも1つの他の足板部が前記延長部を有する緩衝部材。
【請求項2】
前記1つの足板部の延長部と他の足板部の延長部の長さが等しい請求項1記載の緩衝部材。
【請求項3】
前記矩形状の支持板部の各縁辺から下方に続く4つ全ての足板部が前記延長部を有する請求項1または2記載の緩衝部材。
【請求項4】
前記4つ全ての足板部の延長部の前記支持板部からの突出方向が互いに異なる請求項3記載の緩衝部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の緩衝部材を用いて梱包箱に物体を収容する包装構造であって、
前記緩衝部材を、前記足板部の下端が前記包装箱の底部に当接するとともに前記延長部の先端が前記包装箱の側壁に当接するように配置し、
前記物体が載置されるべき矩形状の支持板部と、該支持板部の各縁辺から下方に続く前記緩衝部材の足板部より背の高い足板部とによって大形状に形成された仕切り部材を、該足板部の下端が前記包装箱の底部に当接するとともに該支持板部と前記緩衝部材の支持板部との間に前記物体の収容空間を形成するように前記緩衝部材上に重ねて配置し、
それぞれの支持板部上に前記物体を複数並べて載置する梱包構造。
【請求項6】
前記仕切り部材として、請求項1乃至4のいずれかに記載の緩衝部材を用いる請求項5記載の梱包構造。
【請求項7】
前記物体がスパウト付きパウチであり、前記支持板部上に部分的に重なるように複数並べて載置される請求項5または6記載の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−195404(P2010−195404A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39239(P2009−39239)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】